八ヶ岳 横岳-硫黄縦走

3/22-23 八ヶ岳 横岳-硫黄縦走

参加者:カト、サブ(記録)

<コースタイム>
3/22 曇り時々雪
新宿7:00-9:08茅野9:35-美濃戸口10:13…14:50行者小屋(幕営)
3/23晴
起床3:30-行者小屋5:30-地蔵の頭6:30-横岳9:50-硫黄岳12:00-12:30-赤岩の頭-赤岳鉱泉-美濃戸山荘14:30-美濃戸登山口15:30

<感想>
全くの私事だが、年度末恒例の駆け込み仕事、消費税増税に加えて、新規プロジェクトを掛け持ちで、仕事がてんてこまいまいの私は、
12月頭のキックボクシングの試合を終えてから運動不足がたたり、なんと、6キロも太ってしまった。

春合宿までに、なんとか体重と、体力を戻すべく、カトさんが出していた山行にのっかることとした。

1日目は茅野でカトさんと合流。天気はいまいち。茅野で、友人二人とバッタリ。
彼女らは、行者小屋どまり、赤岳主稜と石尊稜を行くという。実は、去年の春合宿で北穂の東稜でもバッタリあったのだ。山は広くて、狭い。

この日は、美濃戸から行者まで。カトさんの軽快な足取りに運動不足の私は、なんとかついていく。
途中凍結箇所があったので、私は迷わずアイゼンを付けるが、カトさんは美濃戸山荘までノーアイゼン。
私の希望で、景色のよい北沢経由で行く。

行者小屋には15:00前に到着。よき場所にテントを張り、さっそく宴会。カトさんの豚シャブは絶品。19時頃、カトさんは就寝。
私は、南沢でアイスを楽しんでから、小屋入りすると言っていた件の友人を訪ねる。
18時過ぎに小屋に到着したようで、1時間ほど談笑。テントに戻り20時頃就寝。

3/24 5:30出発予定だったが、二人とも身支度早く、明るくなるまで小屋で暖をとりながらアイゼンなどつける。
予定時刻に出発。
地蔵尾根を上がる。天気はすごぶるよい。周囲の景色に顔がにやける。
途中、1個目のはしご付近で男性が一人降りてきた。
なんでも、先行パーティーが、2個目のはしごの先にトレースがなく、危ないので、引き換えると聞いて、彼も降りてきたとのことだ。

カトさんが、私たちはとりあえずこのまま行くこと、また、地蔵までのルートを詳細に彼に伝えたら
どうやら、勇気を得たようで、最初はついていくといいつつ、そのうち、先にどんどん行ってしまった(笑

しばらくすると、彼の言っていた、先行3人組がやはり降りてくる。これから先は怖くていけないから戻るとのことだった。
彼らを見送り、私たちは先にすすむ。

しかし、12月末に来た時よりずいぶん雪が増えて、ほぼはしごが埋まっている。
地蔵の頭までも結構厳しかった。。。いや、正直に言おう。久しぶりの山なので、相当、怖かったです。はい。

地蔵の頭への最後の急登 (後続者)
地蔵の頭への最後の急登
(後続者)

やっと地蔵の頭に出る。

右を見ると、赤岳がキレイに見える。
横岳に向かう人はいなさそうだ。トレースもうっすら。あるかないかの感じ。今日入っている人はいないようだ。

最初はなだらかな雪稜。天国のようにキレイだ。振り向くと赤岳の後ろに富士山が。来週行くかもしれない県界尾根の切り立った姿にビビりながら北に目を向ける
まず、二十三夜峰。。。確か、右に巻く。途中鎖だと思われる金具があるので、夏道通しなんだろう。カトさんが先を行くが、このトラバースも中々、慎重さをもとめ
られる。私は加藤さんが切ってくれたステップを使ってなんとかついてゆく。
私は今回、ここが一番怖かった。

そのあとは日ノ岳のルンゼを行く。トレースはない、右にトラバースでルンゼを横切り、そこから直上する。
ここで、硫黄方面からの単独の男性と行き違う。彼のトレースにしばし助けられほっとするが
ここは、雪の状態が悪いとルンゼなので、雪崩が怖いとのこと。
今回は雪がしまっていてアイゼンもピッケルもよく効く。

 

日ノ出岳のルンゼ(だと思われる)急でした。
日ノ出岳のルンゼ(だと思われる)急でした

この上で後続の男性に先に道をゆずる。

鉾岳はたぶん左に巻いて稜線に出た(と思う)石尊峰は気が付かないうちに通り過ぎた模様(石尊稜を見下ろしたかった。。。)
やがて杣添尾根との分岐、三又峰の道標が出てくる。

あとは広い稜線で奥ノ院(横岳の主峰)まで進む。横岳山頂で他のパーティーに写真をとってもらう。
いやはや、360度パノラマ。。。すばらしい天気だ。

横岳山頂。素晴らしい青空!
横岳山頂。素晴らしい青空!

これでほっとした私は、横岳からの下りがあまりにもナイフリッジでビビる。
リッジをこわごわ行くと、今度は、はしごだ。

カリカリに凍っており、手がかりがなさそうだ。左側にプラプラと番線が出ているので、これを手がかりに降りるのか~と
おもっていたら、カトさんが、はじめてここで、ロープを出そうという。
(どうやら、番線があるのに気が付かなかったよう)

ええ?ここで?と思ったが、確かに落ちたら命がなさそうだ。
ロープ出すなら、とさっそく先におろさせてもらう。
ここで何パーティーがとカチ合いしばし待機。

はしごを降りて、しばらくいったところで、今度はカトさんをビレイする。
ここでロープはしまい、あとは硫黄まで、天国のような縦走だ。

広い雪原を硫黄岳までいく。 でも、ホワイトアウトしたら怖い場所ですね。。
広い雪原を硫黄岳までいく。
でも、ホワイトアウトしたら怖い場所ですね。。

何度も景色を振り返り、写真をとったり、こんなにゆっくり山を楽しむのはどのくらいぶりだろうかって感じ。

広い雪原を悠々と進む。硫黄の烈風の洗礼をうけるのを少し楽しみにしていたが
なんと、無風快晴。そよ風もないくらいだ。
ちょっと、残念だが、せっかくなので楽しもう。

青い空に白い雪のコントラストがまぶしい。やがて、ケルンが山頂へ導くようにつまれてるのが見えてくる。

頂上までトラバース気味のケルンを後目に途中から爆裂火口に向かって直登していく。

はじめてみる爆裂火口は、自然のすさまじさを目の当たりにさせた。

爆裂火口。すさまじい~。
爆裂火口。すさまじい~。

その後、山頂へ。

登山客が全員笑顔でご機嫌だ。そりゃそうだろう。スケスケのファイントラック一枚になっているおにいちゃんもいた。

写真をとって、握手。しばし山頂で休む。こんなに硫黄山頂でゆっくりできるのもめずらしいらしい。

自然と笑顔になってしまう風景。
自然と笑顔になってしまう風景。
硫黄岳山頂。横も硫黄も私は初めてでした!ご満悦。
硫黄岳山頂。横も硫黄も私は初めてでした!ご満悦。

カトさんとは、ここでお別れ。私は、次の日仕事が入ってしまっているので、このまま美濃戸まで下山。

カトさんは、もう一日、本沢温泉経由で渋の湯に抜ける予定だ。

別れを惜しむ。なんだか、すごくさみしい。。。一緒に行きたいが、仕事なので仕方ない。

私は赤岳鉱泉まで降りる。途中、雪崩危険個所があるようだが、雪の状態がよいが、さっさと樹林帯まで降りる。
赤岳鉱泉で一休みしてから、一気に美濃戸の登山口まで降りる。
途中で、カモシカがいた。もふもふだった。

15時30分、バス停につく。
16時30分のバスでゆっくりお風呂に入ってから、帰ろうと、山荘のお兄さんにお風呂の券を買った時に衝撃の事実をしる。
下の道に路上駐車が多く、バスが通れないから、なんと!ここから歩いて20分のバス停まで歩いてくれと。
余裕をみて16時には出た方がいいと聞き急いで風呂に入り、髪の毛も乾かさずでてくると、最終バスなので
乗り遅れると申し訳ないと、アルピコバスが、送迎のバンを出してくれるとのこと。
よかった。。。生ビールを一杯急いであおるだけの時間をもらい、なんとか帰路につくことができた。

晴天の中、ヤツの美しさを存分に楽しむ事ができた。
上げ膳据え膳にもしてもらい、カトリーダーには本当に感謝です。

また、よろしくお願いします!!

(カトの感想)
雪山はいつも同じ顔ではない。だから今度はどんな顔をして迎えてくれるのかが楽しみでわくわくする。横岳縦走は何回か経験してきたが地蔵の頭から硫黄岳に向かうルートは初めて。地蔵ノ頭へのルートは二つ目の梯子から右の岩を巻いてからナイフエッジに出るのだが雪がしっかりついていて雪稜上からナイフエッジまでの急斜面を直登する。クラスト気味の斜面はアイゼン、ピックがきいて気持ちよい。

横岳方面へは本日は誰も入ってない。微かにトレースが見える。このルートはいくつかのピークを東面、西面を巻くのだが、いつもは巻くルートが厳しいが今回は雪のお陰でザイルを出すほどでもなく楽しい縦走となった。ただし、横岳を直下の梯子だけは下りのためにザイルを出した。お互いの姿が見えず、声も通らない場所でのスタカットのよい練習になった。ザイルの動きで対応する本番でのザイルワークを感じ取れた。

硫黄岳は何度も経験しているが無風状態は初めて。さぶさんには硫黄岳の強風を体験してもらえないのが残念。

本沢温泉に下り、露天風呂に入る。男性3人、女性2人が入っている。後から女性2人が入ってくる。女性は水着を着ていて準備がよい。暖かな陽気とはいえ約40度のお風呂から出るときは寒くて勇気がいる。

2日目は7:00本沢温泉を出発。上りの調子が出ない。夏沢峠まで1時間30分、箕冠山まで1時間もかかってしまう。根石岳の裾野の広々とした雪面を見て気合が入る。根石岳から天狗を見ると素晴らしい雪稜で誰もいない。雪稜を独り占めして黙々と登る。東天狗もそよ風で頂上でゆっくりする。下山は中山峠経由黒百合平、渋ノ湯に下りる。渋ノ湯でゆっくり温泉につかり山行を振り返る。

北稜に入って初めての本格的雪山がこの硫黄-横岳縦走だった。このときのメンバー6人で残っているのは笹田さん、ハギさんと私の3人。このルートは思い出深い。何度来ても飽きないがこれからはそう来られないだろう。よい天気と良きパートナー(さぶさんには老人相手で申し訳ないと思うが)のお陰で有終の美を飾れたと思う。