五竜岳春合宿(登攀隊)

五竜岳春合宿(GⅡ隊)

●場所:五竜GⅡ
●日程:平成26年5月4日
●メンバー:笹田・かおり(記)

●記録
5月4日 晴天 ? (テン場~白岳沢の出会~A沢~GⅠ~GⅡ頭~五竜山頂~五竜山荘~テン場)
―全体の記録は、小永氏の記録を参照―

4:30 にテン場を出発。
テン場でヒマコンをセッティングし、猿まわしのサルになった気分で歩きはじめる。
西遠見の幕営地を背にして、五竜の雄々しい山塊を見上げる。
背後からは、朝日が昇ってきて書き表せないくらい美しい。
振り返りながら、まだあまり眩しくない太陽を見て
『こんなに美しいなんて、もしや見納め?!イヤイヤ、もう一度太陽を拝むために文字通り必死で笹田さんに付いていかねば!』と心の中ではマイナス思考を払拭する為に無駄な労力を費やしていた。

西遠見の平たい尾根を少し歩き、白岳沢に降りる急斜面へと左へ折れる。
前日のテント内で、「最初の取り付きに降りる急斜面が、核心だよ」と注意喚起されていた。
かなり緊張感して下りに備えたが、前を歩く笹田氏はスキップでお花畑を歩いているように見える。
夜の気温で凍っているかと思った雪は以外にアイゼンが効く。
前を歩く、雪上生物と化した大先輩の歩行を真似て、出会へなんとか辿り着く。ふ~っ。

後方に阿部氏・サブ氏パーディが見える。
笹田氏が声をかけ、ルートを確認すると予定通りGⅡ中央稜を行くようだ。
2人の無事を祈りつつ、別のコースを行く『心の友』サブ氏との別れが寂しい。

6:30 白岳沢の出会にて、休憩後ヒマコンのまま登攀開始。
後ろを歩く笹田氏より右・左・と指示が飛び、言われた通りに動き少しずつ登る。
A沢の中央くらいには、なだれた道が出来ていて、絶えず小石や小さい雪の玉が滑り落ちてくる。

最初の休憩地点はにょきっと立つ木立。自分・ザックともにセルフをとり一安心。
ヨレヨレになったヒマコンのザイルを巻き直し、水を飲んだらまた急傾斜を登る。
またしても、体に巻きつけていたザイルがだらしなく足に絡んでくる。

8:50 シュルンドにて休憩。落石の心配が無く、下に落ち無いといても良い休憩場所。シュルンドに入ると言う概念が無かった私はまた大先輩より学ぶ。
A沢コル手前から左に入り、武田菱の左端を目指す。
一部凍っている斜面にアイゼンの刃が刺さらず、ここで湊隊長より借りたバイルを取り出す。
頼りなげなハイマツの根本にシュリンゲで支点を取り、ダブルアックスで登る。
必死に打ち込むから、飛び散った氷の欠片が顔にあたり冷たいし痛い。
ほんのちょっとしかバイルを使っていないのに、もう何十時間も氷壁に取り付いたかのような緊張感でビレイを取り、笹田氏に声を掛ける。ちょっとした岩のベンチに腰掛けザイルを引く。目の前には富士山から八ヶ岳・妙高・新潟の山々まで見渡せる。
笹田氏が飄々と登ってきた・・・・あれ??
10:00~10:10 支点を取った岩のベンチで暫し休憩後、定時連絡の為に無線を出す。
アトム氏の軽快な実況中継で、かなり元気づけられる。

10:30 GⅡに抜ける少し手前のリッジで大休止。
ヘロヘロの私を横目で眺めながら、笹田氏はGⅡ中央稜の2人組の姿を捉えに岩尾根の先端へ向かう。真っ黒な中央稜を眺めながら、「こんな雪の無い所、岩タケ採りに来たのか~?」と毒づいた。

11:00 GⅡを抜け一般道と合流する。
笹田氏は阿部・サブ組を気にしつつ、頂上へ向かう。
GⅡを抜けることに全力を尽くした私には、五竜の頂上までの道が長い・・・

11:40 五竜岳山頂に到着。
天気も良く360度の絶景。笹田氏に抱き着き、生きて登れたことに感謝。
ヒマコンを解除し下山。ザイルを外されると不安になるのは、リードを外された犬が飼い主を振り返りながら中々走り出せない状況に似ている。
途中GⅡの頭で登ってきた男性パーティに阿部・サブ組の動向を確認する。
GⅡ中央稜は雪が無く、藪漕ぎで大変のようだ。

13:02 五竜山荘到着。
アイゼンを脱ぐのが面倒だし、寄らずにそのまま下山を続ける。

思えば遠くへ来たもんだ~♪
思えば遠くへ来たもんだ~♪

14:30西遠見のテン場に無事帰着。先に戻っていた皆が優しく迎えてくれる。ありがたい。
中央稜の2人の動向を確認すると、無線で確認できていて一安心する。
笹田氏が冗談口調で「湊くん、何かあれば捜索隊出すから酒なんて飲んで待っていられないよな~」と。テン場に到達するのがやっとだった私は、またしても大先輩の偉大さを学ぶ。そうだ、仲間に何かあればあの道をまた登り返さなければならないのだ!体力・気力ともに足りなさ過ぎる自分を反省。
30分くらいで、阿部氏・サブ氏の姿が見え、本当に安堵し、歓喜した。
『母を訪ねて三千里』のマルコの気持ちがよくわかった。たた嬉しいのだ、顔を見られるだけで。
全員がそろった所で、登頂を祝い乾杯。宴会後就寝。

毎回毎回、お世話になりっぱなしの大先輩、笹田氏に感謝しつつ、この恩はいつになったら返すことができるのやら・・・?まだまだピヨピヨしていますが、今後も宜しくお願い致します。
大部隊を無事に帰京させた湊隊長をはじめ大勢の仲間に本当に感謝感謝。