コップ


 いくら下界で食器に凝っている人でも山にウエッジウッドのカップを持っていったり銘が入ったような茶碗を持っていくのは止した方がいいと思う。
 
 学生時代は軽量化のため使わなくてもすむ物は決して持たなかったものである。箱膳での食事のように面子に食後お茶を注ぎ食事の残滓を綺麗に溶かしてから飲み、カレー風味のココアとか、だしがうっすらと利いた紅茶などを味わったものである。もちろんティーバッグは最後の一滴までちゅうちゅう吸い、巻紙で綺麗に面子を拭いて御馳走様、という具合であった。

 コッヘルもしくは面子があれば代用できるので必ずしも必要とはいえないが、美味しい飲み物を美味しく飲むため、または夕餉をとりながら飲むためには必要な装備だと思う。自分などは面倒なのであまり持っていかないが、うちの会ではいつでもどこでもおいしいのみ物が呑めるように取り出しやすいところにカップをパッキングすることが奨励されている。
 だからといってザックの外にぶら下げるようなことは決してしてはいけない。最近よくぶら下げている妙な人を多く見かけるが、どのように考えているのだろう。みっともないと思わないのだろうか。雪や砂や塵芥が入るだろうしどんどん形が崩れてべこべこになるのではないだろうか?更に木の枝などに引っかけてなくしてしまう心配はないのだろうか?カップに限らずザックに物を下げて歩くことは、その装備はなくなってもよい物であると認識しているに等しい。なくなってもいいような物は持っていってはいけない。
 この間キャンプ用品を扱う店に行ったら把手がナスカンになっている物があり、何だこれはと思ってしまった。カップはザックから下げて使う物だったのか。上に書いたことは間違いだったか。あじゃぱーである。しかし、たとえ全人類がザックからカップを下げて歩こうとも私はコップをザックから下げたりしないぞ。カップザック吊し法ができてカップを持つときはザックから吊さないと死刑になるようなことになったら私はカップを持つことを永遠に放棄するだろう。酒はボトルからでも呑める。

 最近当会ではシェラカップ及び類似品が流行している。ちょっとした食器代わりになるし、直接火にかけても口があつくないのがいいらしい。自分としてはあの把手がどうもじゃまくさいので持つ気にはなれないが使いやすいと思う。
 当会のJ氏などはアルミの20年は使っていそうなカップを毎回愛用しているが、パッキングのスペースが足りないと手でつぶしてパッキングするという荒技を使っている。 

100円の計量カップ(容量200cc)

最近100円ショップでステンレスの計量カップを見つけて取っ手を曲げて使っているがこれがすこぶる具合がよい。なんと言っても目盛りがついているのが偉い。あまり使い慣れないインスタント食品などを作るのに意外に重宝している。
 要するに割れたり裂けたりしなくて軽い容器ならば何でもいいのではないかと思う。金属製ならば冷めかけたお茶もコンロにかざすだけで温まるし熱燗の日本酒も手軽にできるのでチタンなどのものがいいのではないか。(紙の箱でもお湯は沸かせる、と小学校の理科の実験でやったけど)

保温性のあるカップ
腰高で安定しないので使いにくい

 テルモスをぶった切ったような保温性のある物もあり、とてもうれしいが重いし高いので使用は遠慮させていただいている。
 大きめの軽い金属製のカップが私には使いやすい。


(H11.12 岡田)