北アルプス・後立山縦走その1    唐松だけ(岳?)        
村 瀬 み ゆ き

期  日  1997年10月9日()夜〜10月11日()
メンバー  人見邦明、川合(村瀬友人)、村瀬みゆき


 10月10日() 天候 快晴  八方池山荘(8:55) -- 第二ケルン(9:25) -- 第三ケルン(11:08) -- 丸山ケルン(12:10) -- 唐松山荘(13:20) -- 五竜山荘(15:40)

 人見さんがバッチリつくってくれた計画表に基づき、夜の10時に新宿7番線ホームに集合。臨時の急行アルプス81号(23:20発)は列をコンコースに作っていなかったので、直接ホームへ。すると中村さんがビールを持って登場。聞けば、今夜大久保さんもまた南アルプスへ行くらしい。我々のあと、中村さんは隣のホームへ大久保さんを捜しに行った。夜行列車は楽しい。なぜなら酒が飲めるし、気分がHIGHになれるからだ。

 暗いうちに白馬駅に着く。ゴンドラが8時からなので、白馬駅でゆっくりと朝食をとり出発。しだいに見えてきた山々が雪に覆われているのに驚く。久しぶりに快晴に恵まれ、眼下の紅葉は真っ盛り。その上には新雪をうっすら(より、少し多めだった)かぶった峰々が争うように青空に連なっていて、もう気分は最高潮!! 「神様ありがとう!」を心の中で連発しながら八方尾根を行く。地図上に“トイレあり”とあったので期待していた第2ケルンの立派なトイレは閉鎖されていた。

 3連休だけあり、登山道を行く人はかなり多いのだが、ゴンドラがあるためか小さなザックの身軽な人たちがほとんどで、テント泊と思われる人はまれ。「ずいぶん重装備だけんど五竜の方まで行くんけ?」(この“け”を連発する人が何人かいた)と聞かれた。

 槍ケ岳と不帰ノ嶮の眺めが特にすばらしい。丸山ケルンを越えるとしだい雪がでてきて、北面で道が細く、凍っているところが一箇所あり、私はヒジョーに恐かったのに、他の軽装の人たちは、特にビビッている様子もなく、自分が臆病なのかな〜と、自信をなくす。

 稜線に出ると一気に日本海側から強風が吹きつけて寒くなる。唐松山荘にザックを置き、山頂までピストン。360度の大展望に言うことなし! 槍や日本海も見えて大満足。当初は唐松山荘でラーメンをつくる予定だったが、ゴンドラで並んで時間を食ったためレーションだけにして出発。牛首の岩場を慎重に越えて進む。右手に白くなった劔や立山を眺めながら歩けるこの最高の幸せ!!途中一箇所、下が切れている雪と岩の急斜面で先行の14人ほどの若者パーティーがシュリンゲを出しているところがあったが、雪が凍っていなかったので我々は出さずに通過(あとで人見さんがこのシュリンゲの束が道に落ちているのを拾ってリーダーらしき人に手渡した)。雪の斜面をステップ通りに登り切り、ようやく五竜山荘に到着。目の前には五竜が全身にうっすらと雪をまとい、覆いかぶさるように肩をいからしている。道が白くなってとても目立っている。「もし雪が凍っていたら危ないなあ」と思い、駅でピッケルを持っている人をちょっと馬鹿にしたことを後悔した。

 今夜のメニューはハンバーグ丼とおそば。ご飯もうまく炊けました。せっかく意気揚々と冬合宿の時持っていった中国酒を飲み始めたら「すごいにおい!」と二人からひんしゅくを買ったので、もう二度と山には持って行きません(でもあのにおいがいいんだけどなあ?)。明日のことを考えてあまりお酒も飲まずに早々と7時に就寝。 
 外はしだいに風が強くなり、月明かりでヘッ電もいらない。

 
 10月11日() 天候 風雪  五竜山荘(8:20) -- 西遠見(9:20) -- 大遠見(10:23) -- 地蔵の頭(11:35) -- アルプスだいら(12:00)

 テントの周囲に石をたくさん置いたから飛ばされなかったが、一晩中フライの音がうるさくてよく眠れなかった。それでもしっかり計画表に基づき4時に起床。外に出てみてビックリ、周囲は一面真っ白でけっこう積もっていて、風や雪や霰がビシビシ飛ばされてくる。吹雪とも言う?でもそれほど寒くはない。「こんな状態じゃ今日はまあ登れないとして、もし明日天気が良くなりそうだったら一日ここに停滞してお酒でも飲んではどうか」と最初考えていたが、寒冷前線が通過して冬型の気圧配置になり、冷え込んでくるらしい。すると積もっている雪や雨がカチンカチンになる。人見さんも気力がなくなったと言うし、遠見尾根を下ることにする。人見さんが出がけに持って行くよう提案してくれた軽アイゼンがここで大いに役立った。昨日とうって変わった何も見えない白い世界の中をひたすら下る。

 食料も酒類も大量に残っていたので、第一ラウンドをアルプスだいら(テレキャビン駅)で、第二ラウンドを大町駅前公園で、第三ラウンドを「あづさ」車内で行う(一杯ほどの焼酎、ビール類はタクシー待ち、湯上がりなどその都度)。私は少しのみ過ぎたようで松本を過ぎた次ぎに意識が戻ったのは、車掌が横にいて「切符持ってないんですか?」ときつく詰問されているとき、次ぎに戻ったのは新宿だった。

 あのどっしりとした男性的な五竜さんと、あの耳をとがらせてカッコつけている鹿島槍くんと絶対近い将来デートしてやる、と固く心に誓ったのだった。