北アルプス・穂高岳周遊                  大久保 純

期  日 1997年11月2日(日)〜4日(火)
メンバー 大久保 純
11月2日(日) 天候 快晴 上高地(6:30) -- 横尾 -- 涸沢(10:50〜設営〜11:50) -- 北穂高岳ピストン -- 涸沢(14:20)

 土曜日発夜行の急行アルプスに乗り、松本、新島々を経由して6:00に上高地へ到着する。上高地に来るのは、今年の黄金週間に北鎌〜槍ヶ岳縦走をした時以来である。バスターミナル周辺にはわずかながら積雪があった。今回の山行は、上高地で積雪の状況を見てから行先を決めることにしていた(それゆえ予定表提出しませんでした)が、この分だと稜線はそこそこ雪がありそうだ。そこで、とりあえず入山者の多い涸沢に向うことにする。上高地を 6:30 に出発するも、非常に寒く、フリースを着たまま横尾まで歩く。

 横尾で一本取り、身支度をして涸沢へ向う。途中、本谷橋を過ぎたあたりから、雪山らしくなり、今シーズン初の“スノトレ”を楽しむ。10:50に涸沢へ到着する。積雪は50p程度だろうか。快晴のもと、白く雪化粧をした涸沢カール、前穂北尾根がなんとも素晴らしい。いろいろ考えた結果、今宵は涸沢で過ごすことにし、さっそく設営に取りかかる。設営後、下山後のお楽しみであるビールを雪に埋め、アイゼンを付けて北穂高岳へ向う。ルートの下部は夏道と同じだが、上部は残雪期と同様北穂沢にトレースが付けられている。下山してくるパーティーとすれ違いながら、13:20に北穂高岳頂上(北峰)に到着する。頂上からの展望は申し分なく、北方にキレット〜槍ヶ岳へと続く主脈稜線、昨年の冬合宿の舞台となった横尾尾根、その先には東鎌尾根も見える。頂上には4名ほど先客がいたが、みな写真を夢中で取りまくっている(私はどっかりと腰を下ろしスニッカーズとか羊羮とかチーズケーキとかカロメとかをぱくついていた)。しばし展望とレーションを楽しんだ後、涸沢へ向け下る。気温が高く、アイゼンにこびりつく“雪団子”がうっとおしい。14:20涸沢のテン場へ到着、冷やしておいたビールで喉を潤す。
 

 
11月3日(月) 天候 快晴 涸沢(7:30) -- 白出のコル -- (奥穂〜前穂ピストン) -- 白出のコル(13:30)  -- 涸沢 -- 横尾(16:05)

 涸沢は標高 2350m程度とはいえ、昨晩はけっこう寒く、幾度となく目を覚ます羽目となり、冬用のぶ厚いシュラフを持ってこなかったことを後悔する(ちなみに私は今シーズン、イギリス製高級シュラフ“ME”を購入する予定。購入後は現行の冬用シュラフ--といってもフランス製“ヴァランドレ”--を希望者に格安にて譲ります)。テントを撤収し、7:30に出発、白出のコルを目指してザイテングラードを登る。今日は昨日以上に気温が高く、雨具を着ていると暑いくらいだ。コルから降りてきたおじさんが、「岳沢は雪崩の危険がある」という。出発する時は、白出のコルから奥穂、前穂を経て岳沢ヒュッテ辺りに幕営するう予定だったが、予定を変更し、白出のコルから奥穂高岳〜前穂高岳間をピストンすることにする。サブザックにレーションその他を入れ9:10にコルを出発する。登り始めてすぐの所の梯子や、その上のちょっと傾斜のある雪稜を通過し、奥穂高岳の頂上に達する。頂上で展望を楽しんだ後、吊尾根を前穂高岳へ向かって下り始める。

 奥穂高岳から紀美子平(前穂頂上への分岐点)までの間、稜線の東側はところどころ雪庇が発達しているため、トレースは夏道と同様に西側の斜面をトラバースするように付けられている。気温の上昇で雪はかなり緩くなっており、慎重に進む。紀美子平を経て前穂頂上に到達したのは11:20 だった。頂上からは主脈である奥穂、北穂、槍ヶ岳などの山々が重なるように連なっている。北尾根を見下ろすとトレースが見える。頂上で15分ほど休んだ後、来た道を戻る。奥穂まで登り返しとなるが、下ってきた時ほど悪くはない。本日2度目の奥穂頂上で再び展望を楽しみ、白出のコルへ下る。コルのすぐ手前で、ザイルを出して懸垂している若者5人パーティーに掴まり、10分ほど待たされる。13:30,白出のコルに到着、パッキングをして涸沢へ向けて下り始める。 上部はザイテングラードを、中ほどより小豆沢を下り涸沢に到着する。3連休の最終日とあって、出発する時は20張ほどあったテントは、今は2張になっていた。アイゼンを外し、横尾を目指して再び下り始める。本谷橋までの間、踏跡によって雪は硬く締まり、滑るように下る。16:05,横尾に到着、誰もいないテン場に幕営する。


 11月4日(火) 天候 晴れ 横尾(6:05)−上高地(8:15)

 今日も帰るのがもったいない位良い天気だ。今回の山行も好天に恵まれたのは、きっと普段の行いが良いからだろう(?)。上高地9:10発のバスに乗るべく足速に歩く。いつも賑やかな徳沢もひっそり静まり返り、わずか数張のテントがあるだけだった。前穂北尾根を仰ぎ見ながら、梓川沿いの道を進む。明神を経て、河童橋前の“五千尺ホテル”売店に立ち寄り、職場の人達への土産を買い8:15に上高地バスターミナルに到着、すべての行動を終えた。