平成10年度春合宿 早月尾根から剱岳     人見 邦明     

期  日 1998年53日(日)〜5日(火)

メンバー 大久保純、中村孝、水野二朗、中村 優、加藤まゆみ、人見邦明 6名

行  程 5月2日 上野駅から急行能登号で滑川へ。

5月3日 地電で上市、タクシーで馬場島野営場へ。雨のため停滞。

5月4日 330起床(大久保ねんざで歩行不能) ― 5:45早月尾根に取りつく ― 11:40 早月小

             屋着 幕営 

5月5日 3:00起床??4:35小屋前発 (6:20 日の出)??7:55〜8:30剱岳山頂 ― 10:40 早        

       月小屋??11:30 下山 ―?3:00馬場島着タクシー で上市、地電で富山駅。

 会の春合宿。参加6名のうち、残念ながら隊長の大久保がねんざで登頂断念。一日停滞の後は最高の天気に恵まれ、山頂からの大展望を満喫した。

2日(土)午後9時に上野駅16番線ホームで待ち合わせ。出発まで3時間もある。入山の儀式でビールを飲む。阿部さんが見送りのウィスキーを差し入れ。1156分急行能登号(約8000)発車。座席の隣の立ったままの女性にシートを貸して床に座ってもらう。なかなか眠れないまま北陸へ。

 3日。5:55滑川駅着。かなりの雨が降っている。6:16発の富山電鉄(400) で上市駅。ワゴンタクシーが迎えに来ている。関西からきた男が相乗りして出発。

 馬場島野営場まで9660円。男が2000円を払ってくれた。キャンプ場は大雨。早月川が轟音を上げる。派出所に入山届を出すが、雨は止まず停滞に決定。雨の中を出発するパーティもいる。指導センターの軒下に車座になりだらだらと酒盛り。

 水場・トイレ付きの素晴らしいテン場である。正月の遭難事故の遺体を捜索する人が来ている。スープ・サラダ・焼き肉と豪華な夕食。テント2張に各3人だから大変快適。

 4日。3:30起床。大久保は右足首が痛くて歩行不能に。電車に乗る時、ステップで転倒し、寝る頃から痛みだして腫れている。昨年はやけど、今年は捻挫とついていない。大久保は断腸の思いで見送り、5名は不要なものを炊事場にデポ、5:45早月尾根に取りつく。約50分ごとに休みを入れ、長大な尾根を登る。ブナの林にはカエルがうようよと出ている。小さい草に赤い花、木にも白い花をつけている。春。小雨のガスが次第に切れてくる。8:20晴れてきて西大谷尾根が見え、快哉を叫ぶ。さらに登ると雲海の上。1400メートルほどから腐った雪道になる。

 日差しも強くて暑い。変化する景色に嬉々としながら、11:40 早月小屋着。快晴で本峰がくっきりと見える。最高の天候にビールで乾杯。今日はこれで行動を打ち切り、明日登頂することになる。加藤はこの上には行かないつもりだったが皆に登頂を説得される。日差しを浴びて午睡。水作り。小屋の無線で遭難の交信が聞こえる(源治郎尾根の落石事故)。ぶなの会という団体が大人数で来ている。早い時間からリッチな夕食。寝酒にウィスキー。富山湾に夕日。荷物はツェルトに入れ1張のテントに5人が寝る。眼下に町の明かり、天には星。

 5日。3:00起床。さすがに眠い。テンプラそばで朝食。4:35出発。雪がしまってアイゼがよくきく。時々あらわれる急斜面では気を引き締る。トラバースのやぶ歩き。6:25日の出。日本海がうっすらと見える。昨日は雪面を滑り落ちる人を目撃した。水野、加藤、人見、JR、中村の隊列。切れ落ちた所では最注意。それでも難儀することなく高度を上げる。最後の岩場では鎖につかまりギシギシいわせて登る。7:55ついに剱岳山頂着。昨年逝去した会員の冥福を祈って黙祷を捧げる。完璧な快晴。富士も南も中央もなんでも見える。だれもが笑みを浮かべている。雪の尾根で休む。小さな鯉のぼりをつけた人が登頂してくる。今日は子供の日。絶景を満喫し8:30下山。登りよりも気をつけて下る。雪がとけないうちにおりよう。10:40 小屋着。テントを撤収し、11:30 下山。アイゼンを外したが危ない。再び付けて歩く。ぐさぐさの雪。途中で道をそれて(注1)、夏道に戻るのに少しヤブこぎ。それにしても暑い長い道のりだ。3:00馬場島着。炊事場にはちゃんと荷物があった。タクシーを待つ間にビールで乾杯。タクシー2台に分乗し上市へ(1台6730円)。地電(580) で富山へ。駅に荷物をおいて「観音湯」で汗を流す。

 すかさずイタリア系の店でビール、夕食。さら「白木屋」でチュウハイ。夜行で帰る水野とJRがまだ飲み続ける。3人は20:16特急「はくたか」で越後湯沢、最終の新幹線(10500円)で上野11時半過ぎ。帰宅は12時をまわる。

 

 感 想 ・大久保さんの希望で決めた尾根だったのに本人が行けなかったことは大変残念。

     ・停滞の判断は的確だった。合宿の成功は好天に恵まれたことに万事尽きる。

      ・コースは概ね状況もよくザイルを使用しなくても行けた。意外と楽だった。

      ・登りより下りで細心の注意を払うべきこと。自分の力を過信してはならないこと。

      ・経験浅い加藤さんがきちんと登頂できたことはエラい。

      ・早月尾根は、遠く暑く長い。特に下山はつらい。冬は大変だろうな。

 反省会での主な意見(5月13日 王子労政会館)

 注1? 早月尾根標高1700m付近から尾根の左側に外れ、1650mから南西方向に急に向きを変え立山川に

     落ちる尾根へトレールに導かれ迷い込んでしまった。早月尾根は尾根上に夏道がついているので、 

     気をつければ迷うことはない。当日は天気も良く、暑く、結構疲れてきていたので誰も気にもせずに、

     トレールを追っていってしまったので・・・。