長沢背稜(カモシカ山行)

エビ

期日:2011年11月26日〜27日
参加者:あつこ(CL),ミナト(SL),なお,ハギ,エビ


11月26日(晴れ)
17:09奥多摩駅集合→17:15発バス(610円)→18:00鴨沢→七ツ石山→23:00雲取山→0:30芋ノ木ドッケ→1:45長沢山→水松山→酉谷山→6:00三ツドッケ→7:30東日原→奥多摩駅

 土曜日の夕方、奥多摩駅に変人が5人集合した。
 ・・・という人もいるかもしれないが、楽しみは人それぞれなのだ、5人ともワクワクした顔をしている。本日はカモシカ山行、天気もよく絶好のカモシカ日和。
 始まりは、夏の雲取山行のときに今回のCLあつこさんが「変人と言えばこの人!」とミナトさんに声をかけたのがきっかけで、不運にも私はその場に居合わせてしまった。経験浅く不慣れな私が持ち物・服装に不安を抱きながら準備をするのはいつものことなのだが、夜通し歩くとなると尚更だ。しかし今回はベテランの女性陣3名もいつもとは違い手探りのようで、情報交換。あつこさんは、「おにぎりとパンとお菓子をこのくらい」と両手で示してくれた。なおさんはかなり久しぶりに購入した新しいザックが輝いている。唯一カモシカ山行経験者だと思っていたハギさんに前回の話を聴くと、「夜は、結構しっかり寝ていた」と・・・もしかすると酒も飲んでいたのではないだろうか。しかし今回のCLは、きっとそんな緩いことを許してはくれないであろう。食べ物や防寒対策、仮眠などを心配しているのをよそに、ミナトさんは、他4人が持ってきたシュラフカバー(シュラフを持ってきた人も?)やテルモスを持ってこないでも、熊鈴代わりのエイト環と予備の電池を10本も持ってきたので余裕の表情。やはり常人とは一線を画するお方だ。
 既に真暗な奥多摩の駅から鴨沢まで行く最終バスに乗ると登山の格好をしているのは、我々だけで、他に2、3人いた乗客も途中で降りて貸し切り状態。鴨沢で降りると向かいのバス停で帰りのバスを待っている平均年齢70歳だという山ボーイズ&ガールズから「なんで今頃来たの?」「あの人達は今から登るの?」と疑問の声。耳が遠いのかひそひそ声がやたらでかい。
 いってらっしゃいと見送られながら、バス停脇の階段を上りいよいよカモシカ山行開始。地図上でのCT14.5h、暗闇・・・とても緊張する。初めはアスファルトの舗装された道、所々「熊出没注意」の看板、普段であれば決して明るいとは思えない程度の道路やバス停の明かりがどんどん遠のいていく。しかし5人でヘッドランプを点けていると意外に明るい。最近のものは飛躍的に明るくなったようだ。歩く順番は、先頭エビ、ハギさん、なおさん、あつこさん、最後尾ミナトさん。いくらヘッドランプが飛躍的に明るくなったとはいえ先頭は怖い。時々すぐ近くの藪から飛び立つ鳥にビクッと身体を震わせてしまう。七ツ石山に向かって樹林帯を登って行く、50分歩いて10分休憩。登っていくとどんどん気温が下がっていき、「立ち止まると寒い」が「動いていても寒い」になり服装を調整。それでも休憩で身体が冷え込み歩き始めが寒くて仕方がない。なおさんの提案でゆっくり長く歩いて休憩を減らそうということになる。七ツ石山をまいて樹林帯を抜け、尾根に出ると山からの風が吹きぬけていよいよ寒さが増す。狭い登山道を歩いていたときにはそんなに感じなかったのだが、突然広いところに出るとヘッドランプの明かりはなんて狭い範囲しか照らせないのだと方向感覚が不安になった。奥多摩小屋手前のヘリポート付近でフッと見上げると綺麗な星。全員ヘッドランプを消すと満点の星空、とても贅沢な美しさだった。奥多摩小屋付近ではテントがたくさんあり、熊鈴が鳴らないように握り締めて、静かにそっと通り過ぎる。
一寸先は闇 雲取山頂23時。本番はこれからです


 雲取山頂に着き、方角を確認のため尻ポケットに入れていたコンパスを見ると動きが鈍い。0℃までしか対応していないものを持ってきてしまったが、5cm以上の霜もザクザク降りているし気温は間違いなく氷点下。ここから長沢背稜は先頭をローテーションで先頭だった人が最後尾に付くようにしようということだったが、まず先頭は引き続き自分。CLから「平坦なところは、もっとスピードアップしてください!・・・寒いから」との指示、必死に先頭を努める。次の休憩後、最後尾に付くと今まで最後尾だったミナトさんに「最後尾は後ろ真暗でなかなか怖いよ」と脅される。確かに振り返ると何も見えない。なるべく後ろは気にしないようにして歩くが寒さのせいか進む速度がすごく速い。少しでも立ち止まるとあっというまに皆の明かりが前方に遠のいてしまうので必死について行った。最高地点の雲取山頂を過ぎたので、もうそんなにきつい登りは、ないだろうと思っていたが、芋ノ木ドッケまでは結構な登りだった。0時を過ぎての登りはきつい。芋ノ木ドッケを過ぎたところから所々道がわかりづらくなり、ヘッドランプで正しい登山道を見つけるのは大変だったし、スリリングだった。酉谷山を過ぎて、七跳山付近の分岐点手前から見えた秩父盆地の夜景は、とても綺麗だった。三ツ目ドッキ一杯水避難小屋を過ぎて少し行ったところで最後の休憩。ここからバス停まであと1.5hほどだが、気温も徐々に上がってきて眠くなる。ここであつこさんがくれた味噌汁が美味かった。あと少しだから頑張って、朝に下山報告をしよう!と最後の踏ん張りで歩いていると徐々に空が明るくなり、日の出を見る。待ち遠しかった日の出、この感動はカモシカ山行特有かもしれない。皆の頑張りで東日原バス停に7:30下山。仮眠せずに地図CT14.5hを13.5hで歩き続けて、眠いし、色々なところが痛いし、ハギさんはもうペンギンのような歩き方になってしまっていたし、皆疲れた顔に疲れた声だったが、「やり遂げた」ことを皆で喜んだ。
 ある本に山登りは、体力の3分の1を登りで使い、体力の3分の1を下りに使い、体力の3分の1は、緊急時の余力とすべしと書いてあった。確かにそれは正解の1つであり、景色や一緒に行った人達とのおしゃべりを楽しむ軽いハイキングも好きだ。でもたまには、限界まで体力を使い切って燃え尽きるのもよいものだなと思った。やはり楽しみというのは人それぞれなのだ。
待ち遠しかった日の出。12時間ぶりの光! 燃え尽きた一同。でも満足げ?