表銀座(燕岳、大天井岳、常念敗退

期日:2011年5月4日 〜6

参加者: ハギCL、アトム、つりし

<記録>
4日:燕登山口(6:30)→合戦小屋(10:20)→燕山荘(12:15) (13:45)→燕岳(14:20)→燕山荘(14:45)
5日:燕山荘(7:30)→蛙岩(8:20)→大下りの頭(9:00)→切通岩(11:10)→大天井岳頂上(12:50)→常念小屋(16:30)
6日:常念小屋(7:30)→ヒエ平登山口(10:20)
    
 

つりし


序幕(アプローチ)
なにかの飲み会の折 ナオ・ハギ両先輩より「GW山行、春山を堪能できる眺望抜群の
癒し系コースに行かない? ビールも山小屋にあるからたくさん飲めるよ。」と、
そんなこんなのやりとりがあり、5月3日 新宿駅23時50分発のムーンライト信州に
乗っていた。
メンバーはハギ隊長、アトムさん、つりしの3名、ナオさんは都合により残念ながら不
参加 大勢でワイワイ山行も楽しくて好きだが、気心しれた少人数も気楽で良い。 
ムーンライトという夜行電車なのに刺すように明るい車内灯、2席後ろから聞こえる大鼾
にあまり寝られなかったが、それでも穂高駅には定刻通り到着し、バスで燕登山口へ

1日目
登山口からはいきなりの急登、北アルプス3大急登といわれる合戦尾根の始まりである。
1時間も登っただろうか、つりしはすでにバテバテで1歩登ることに汗がポタポタと
したたり落ちる。
そういえば2年前のGW越後三山 中ノ岳急登でも大バテし、そのときも同じ先輩から
「春山ルンルン、ビールが最高」と言われて参加したのだったと今さらながら思い出す。
なんにせよこのままのペースだと、やばいと思ったつりし、なんと牛歩という暴挙にう
ってでる。
まるでエベレスト無酸素登頂(注:つりしがテレビで見たイメージである)をしているよう
な歩みの遅さ、次々と後続の登山者に抜かされる、
最後尾のハギ隊長はそのたびに首を大きくひねって「どうぞお先に行ってください、い
えいえどうぞどうぞ」とか対応するのが大変である。
何人に抜かされただろうか、とうとう富士見小屋付近で「つりし、荷物分担してもらえ
〜」という命令がハギ隊長から出てしまう。
私の体力不足・調整不足を皆様の負担にしてしまい、すみませんでした。
その後、途中の合戦小屋で30分の大休憩、350円の日清カップメンを食するとだいぶ元気に
なってきて、ふくよかな中年ハイカーとの熾烈なデットヒートを制し燕山荘に到着、早
速テントを張ると一面ガスってきたので、そのまま宴会になりそうになるが、寸でのと
こでとどまり、燕岳アタック開始、往復1時間の道は整備されていて危険箇所もな
く快適に登れる。
テントに戻ると会社の友人たちと来ていたタカタカペアが来テンしてくれて楽しく一緒に
飲む、アトムさんのザックからは缶ビールが人数分出てきて、その体力の凄さに驚く。
飲用水は雪が少ないため、やむなく小屋で2?入りペットボトル600円×3本を購入した。

北アルプス三大急登を牛歩中。 燕岳登頂!頑張りました!


2日目
本日は6時出発の予定で4時に起床したが、稜線上であるテン場は深夜未明から天気が
崩れ凄い風である。小屋で見た天気予報によると夕方から崩れるものの日中は天気が持
ちそうなので、少し収まった7時30分出発 表銀座縦走コースの蛙岩の穴倉を通過した
り雷鳥を近くで観察しながら楽しみ、そして少し遠くに槍ヶ岳 北鎌隊はいまごろどこ
らかと思いをはせる。
大天井直下の切通岩の鎖場から、少し険しくなりストックからピッケルに持ちかえる。
一部急な斜面のトラバース、滑るとかなり下のほうまで落ちるのでピッケルの石突きを
山側の斜面に深く刺しながら一歩一歩慎重に歩き、キックステップで少々傾斜のある斜面を登
りかけたとき、後ろが騒然とする。
振り返ると、なんとアトムさんが体勢を崩し、すぐうしろにいたハギ隊長が支えている。
すぐに体勢を整え事なきを得たが、滑落すればただではすまない場所での出来事だった
ので、肝を冷やした。
あとで聞くところによるとピッケルを刺す直前に吹いた突風に体勢を崩され滑ったとい
うこと、ほんと何事もなく良かったのとハギ隊長の冷静な対処には感服した。
その後も斜面を登っていくが、耐風姿勢をとりながらでなかなか進まない、雪面から風
ではがされた雪の塊がまるでクレー射撃の皿みたく水平に飛んでくる。
山頂下で安全のため、お助け紐を出して岩を乗りこし、やっと大天井岳の頂上にたてた。
こんなハードな山行になるとは思っていなかったので頂上にたてたときは皆で歓喜の雄
叫び、記念撮影を手短にして早々に下山開始をする、目指すは幕営地の常念小屋である。
これからはアップダウンもあまりない緩やかな稜線を下るだけだが、いろいろ緊張を強
いられた隊長の糸が切れ一旦遅れがちになるも、行く手の稜線上に真っ黒な険悪な雷雲
がかかりBB弾位の雹が容赦なく降り注ぐ、締めに雷鳴がゴロゴロピカドンと鳴りだすと
再び隊長の糸がくっついたようでスピードがあがり始める。
もはや、とても癒し系山行などと呼べるものではない。
ともかく、なんとか常念小屋に16:30に到着 時間にして9時間行動ではあったが、そ
れ以上に疲労感があったのでテントの中に入ったときは皆ぐったりであった。
特に隊長は疲れた体に鞭打ちハンバーグシチューにフランスパンという大変豪華な美味
しい食事を我々に作ってくれたものの、せっかくの美味しい食事ものどを通らず、三度
の飯より多分好きであろうビールさえも飲めずに白湯を飲むのが精一杯であった。


さあ!いざ大天井岳へ 途中、槍が顔を見せます
力を合わせ、大天井岳登頂!!(撮影:アトムさん) 癒し山行のつもりが・・・
暗雲立ち込めはじめてます!!急いで〜!!

3日目
そして第二幕が始まる 以下時系列で
2:00 強風によりフライがテント本体を叩く音が気になり、まんじりともせずにいると、
今までにないほどの横殴りの突風にテントが通常の半分位の高さに押しつぶされたかとお
もうと「ボキ」という鈍い音、外に出るとフライが頂点からざっくり裂け、そのざっくり裂
けた穴から真っ二つになったポールが顔を覗かせている、テント本体もポールを通すところがス
ッパリと切れていて エライコッチャ事態発生である。
強風のなか修理にとりかかる、これが皆すばやい段取り、ナイフ、靴紐、ガムテープ、シュリンゲ 
外にいるつりしが思いつくままに要求するがすばやく出てくるのは流石、極めつけ
はアトムさんが持っていた電気工事で使用するというビニールテープ丸ごと1巻(重かったろ
うに)壊れたポール・フライの補強に大きな役割を果たす。
3:30 一旦は収束に向かった風が再び強くなるとフライの裂け目はますます広がり、そこ
から風が入り丸ごと飛ばされそうなため、やむなくナイフでフライを切り離す。
4:00 重石代わりにテントの角に座っていた隊長の体が強風で浮きだしテントごと飛ばされ
かける、あわててポールを全部外しテントを低くしながら中で手当たり次第にパッキング。
その後テントをなんとか丸め、常念小屋に事情を話し、落ち着いてパッキングできる場
所を提供してもらう、
宿泊のお客さんがごった返す時間帯であったので、大事な売物が収納してある倉庫に案
内してもらった、寒いならば乾燥室も使っていいという。
朝食ももちろん有料(1000円)ではあったが、急な申し出にも快く応じてくれ暖かい食
事をとることができた。
働いている方の対応も皆とても親切でとてもありがたかった。 
最終日はそんな状況であったので、皆とても常念岳に登ろうとする気力・体力も無くな
り一の沢を尻セードを交えそそくさと下ったのでした。

終わりに
厳しい気象条件でしたが、ハギ隊長のもと3人協力しあい次々と発生する困難を
乗り切ることができたことは、今後のためにもとても良い経験ができたと思います。
また自然現象とはいえ会の共同装備であるテントを破損させてしまい申し訳ありません
でした。