大堂海岸

・日:2012.11.3(土)〜11.8(木)
・場所:高知県幡多郡大月町
・メンバー:笹田、悦子、たかたか、カト(記)

・日程、行程:
11月3日(土)赤羽10:00−13:10足柄昼飯−15:40豊川−17:30草津−18:50西
      宮名塩−20:20兵庫県白鳥SA(幕営)
11月4日(日)起床6:00、兵庫県白鳥SA6:40−8:20香川県豊浜−10:00高知−12:
      00佐川・司牡丹酒造−13:20須崎みちの駅−16:00宿毛−17:10大堂
11月5日(月)雨のため足摺岬周辺観光
11月6日(火)起床6:00、出発8:00−9:00モンキーエリア取付(スーパークラック、
      ビッグウエーブ)…15:30終了−16:30キャンプ場(キャンプ場キャビ
      ン泊)
11月7日(水)起床6:00、出発7:40−9:00お座敷エリア(アシカクラック、黒潮ラ
      イン、雀の涙、Hクラックなど)−15:30終了−16:30キャンプ場(キ
      ャンプ場キャビン泊)
11月8日(木)起床6:00、出発8:30−10:30宇和島−11:30松山−13:00道後温
      泉−15:30松山空港17:15−16:30羽田空港
      ※笹田夫妻は松山にて数日滞在

 

カト



11月3日(土)晴
 赤羽カト小屋に集合し出発。事故渋滞などあり足柄SAで昼食。以後順調に走る。兵
庫県白鳥SAの草地で幕営。夕食はSA。
11月4日(日)晴
 白鳥SAで朝食。たかさんの左頬が腫れている。こめかみの下を押すと痛いらしい。お
多福風邪のようだ。私は2日前から風邪で身体がだるい。高速を降りたら病院によること
にする。早島から瀬戸中央自動車道となり瀬戸大橋から瀬戸内海を見下ろす。高知で高速
道を降りJR高知駅に行き病院を探す。たかさんと私が診察を受ける。薬局の若い薬剤師
の高知弁がさわやかで遠く高知まで来た実感が湧く。たかさんは頬が腫れているが元気。
私は何となく身体がだるい。40年と言う歳の差を感じる。高知と言えば司牡丹だ。高知
から1時間ほどの佐川の酒蔵に寄る。数種類試飲して滞在用として口に合うもの72ml、
3本を買う。また、宿毛ではスーパーで食材、ビールを仕込む。
 大月エコロジーキャンプ場は足摺宇和海国立公園内にありよく整備されている。キャビ
ンはきれいだ。風邪気味の私を除いて皆さん車で2.3分上がったところのホテルの風呂
に行く。飲み、食い20:00頃就寝。
11月5日(月)雨
 朝は雨がなく登攀の支度をして出るが間もなく強い雨となる。海底水族館など足摺岬周
辺観光。昼食はサバを食べたかったが船が出ずダメ。15:00頃雨が上がる。大月のス
ーパーで食材を購入。夕食は特に笹田さんが選んだうちわエビが絶品。私はメジカの子供
の新子を選んで刺身にしようとしたが地元の方から刺身ではあまり食べないと言われてボ
イルしたがまあまあであった。天気が回復し明日のクライミングが楽しみだ。
11月6日(火)晴
 起床6:00、目玉焼き、サラダ、フレンチトースト。スタミナ満点で8:00出発。
昨日は大堂海岸方面の路肩崩落で通行止めのロープが張ってあったが、本日は釣り師進入
のせいかロープをよけてあったので車を進める。岸壁に下る地点まで車だと10分程度だ
が歩くと30分くらいかかるか。樹林帯の急斜面を20分程度下る。太平洋の荒波が打ち
寄せる花崗岩の壁や大きな岩を渡り歩いて取付に9:00頃着く。スーパークラックの上
まで一直線に伸びる割れ目を見て度肝を抜かれる。たかさんから手の甲を、悦子さん指先
を、それぞれテーピング方法を教わる。準備完了。
 笹田さんがセルフビレーの支点を設定する。上にセットしたナッツのワイヤーに下側に
セットしたワイヤーループを入れて上側のナッツループに環ビナをかける。下側のナッツ
は上方向に引っ張られる力を止めるためだ。ひとつのナッツだけでは上下のテンションに
対してどちらかが耐えられず外れること大。教科書では「反対側にセットする」しか書い
てないので意味が分からなかったがこれで理解した。
 笹田さんがリードする。たかさんがビレー。私はシャッター係。3mほどのところでフ
レンズで支点を取る。そこから2mほど上がった左の小さなテラスにのる。手足のジャミ
ングを利かせて素晴らしいスピードのクライムだ。左上の小さなテラスから終了点までの
15mほどが厳しい。とてもこんな厳しいところをリードでは登れない。こういうところ
をリードしてトップロープを設定できなくてはとてもリーダーにはなり得ない。
 次は私がトップロープで登る。クラックに足先がうまく入らない。外反母趾のだんびろ
甲高の足を恨む。足が決まらなければ登れない。最初から引っ張り上げられる。あと3m
で笹田さんは右上クラックをいったが私には直上の途中に残置ナッツがあるルートをとれ
と言う。ここが狭いクラックで手足がうまく決まらない。四苦八苦して上に出る。終了点
まで僅か2mほどのトラバースが厳しい。ここで落ちたら大きく振られるので慎重に渡る。
下を覗くと断崖絶壁、太平洋を一望し荒波が岩にぶつかり白く泡立っている。すごい所に
来てしまったと改めて感じる。坂本竜馬が狭い日本から世界に目を向けた気持ちが分かる
気がする。
 次はたかさん。私が梃子摺ったクラックを難なく登る。若さだけでなく日頃の精進の成
果なのだろう。悦子さんは素晴らしいバランスで登る。元地元なだけに流石にクラックを
熟知している。
スーパークラックをリードする笹田さん
すごいスケール感です!
 少し場所を移してビッグウェーブに行く。ここも笹田さんがリードしトップロープをセ
ットする。途中から扇状の垂壁カーブをアンダーで3mほど進みそこから深く抉れたバン
ドホールドがない壁を右上するのだが、笹田さんはなんなく通過する。上手な方は素人目
には易しく写る。次は私だ。メーンザイルが大きく右にカーブしているので落ちたら右に
振られるためもう1本着けたザイルを支点に懸け変えて登る。
扇状壁アンダーは力づくでこなすがその先の核心の抉れた壁で落ちる。再度戻るのも厳し
い。何とか少し進むもルートを外して登る。終了点でランニングしてきたザイルを持参し
たプーリーに懸け替えて懸垂下降する。ここでの失敗はセットしたプーリーに懸け替えた
ザイルのバックアップを取らなかったことだ。もしプーリーが壊れたりなどしたら落下す
ることになる。笹田さんのセッティングを見てバックアップをとらねばと思っていたが緊
張と焦りで忘れる。しっかりやらねばいけない。
 たかさん、悦子さんは核心を除いて危なげなく登る。悦子さんはやり直した核心での腰
をおとした姿勢で抉れた岩の中に足を突っ込み足の甲で身体を支える秘技を披露した。
十分に楽しんで15:30終了。キャビン16:30。
ビックウエーブ、またまたリードの笹田さん
11月7日(水)晴
 起床6:00、朝食は野菜炒め、パン。出発7:40。展望台下あたりのお座敷エリア
に行く。最初は笹田さん達が拓いたと言うアシカクラックに行く。ここはいわゆるお座敷
からかなり離れている場所だ。取付きまで行くのに岩稜帯登攀並み。花崗岩の大きな岩の
急斜面の登り下り、壁のトラバースなど結構きついアプローチだ。別ルートから上に行っ
た笹田さんがトップロープをセットする。アシカクラック9:00開始。私が最初。笹田
さんからフレンズの練習を兼ねて厳しければA0でもいいよとの易しい言葉に甘えてキャ
メロットで練習させてもらう。こんな厳しい場所でのカム使用は初めてで難しさが分かる。
片手と足をしっかりジャミングしクラックのサイズに合ったカムの選定、差し込みなど結
構時間がかかりそのうち手足が緩んでくる。3本使ってみたがへとへとになった。上部は
ジャミングが決まって気持ちが良い。
 ちなみにアシカクラックは、笹田さん達が拓いた(初登)ルートとのこと。敬意を表し
て力が入った。午後からご一緒した宇和島山岳会の有田さんと言う方が笹田さんの後にア
シカクラックに登り山岳雑誌に「アシカクラック初登」として投稿し記録されたエピソー
ドを披露してくれた。命名の由来は、取り付きの海の中の巌がアシカに似ていることから
命名された。
 たかたか、悦子さんは言うまでもなくまったく問題なく楽しそうに登る。11:30頃
アシカクラックを終わり、お座敷に行く。
アシカクラック
楽々登るたかたかちゃん!
 お座敷まで行くのにこれが大登攀。洞穴状態の岩の下の通り抜け、八艘飛び、大岩石の
よじ登りなど大苦戦。20分ほどでお座敷へ。なるほど大きな岩石に囲まれた平らで広い
一枚岩がまるでお座敷のようだ。既に有田さん、多田さんがトップロープをセットし待っ
ている。ご両人は宇和島山岳会の方で有田さんは笹田さんの古い友人とのこと。気心が知
れた深い絆で結ばれたよき山の仲間の様子が窺われる。多田さんは宇和島消防署レスキュ
ー隊員とのこと。私は黒潮ライン、名前不明ラインの2本を登って昨日痛めた左腰がひど
くなってきたのでリタイア。笹田さん、悦子さん、たかたかは雀の涙、Hクラックなど5.
10、5.11に果敢に挑む。北稜ここにありの意気込みを示す。有田さん、多田さんの
トップロープシステムは一本のザイルで二つのルートが登れるようにセッティングしてあ
りその知恵に感心する。有田さんのフレンズを見ると小さいサイズものは凹凸が無くなる
ほどすり減っている。経験の深さが忍ばれる。宇和島からの日帰りの有田さん、多田さん
とは上の道路でお別れする。本当にお世話になった。私たちが登っている間にトップロー
プをセットしてくれたご両人がいなかったら短時間で5本や6本は登れなかっただろう。
かといってご両人はセッティングだけしていたのではない。クライミングの見事さは一見
の価値あり。私たちにはこう教えた。壁は腹、すねなどがフリクションになる、体を壁に
寄せて上手く使う工夫をするとよい、と。15:30終了。ホテルの風呂に入り最後の晩
を焼きそば、買い置きの食材などで豪華に過ごす。
雀の涙(5.10) Hクラック(5.11)
果敢にアタック中!!
11月8日(木)晴
 起床6:00、朝食はおかゆ。出発8:30。宇和島10:30、松山11:30。道
後温泉で汗を流す。親類訪問で数日滞在する笹田夫妻に松山空港まで送ってもらい17:
15発の飛行機で一足先に帰京する。

 笹田さんには大堂海岸の素晴らしい花崗岩クライムミングを体験させていただき、また、
車の運転をしていただきすっかりお世話になってしまった。悦子さん、たかたかにも楽し
い時間を一緒に過ごさせていただいた。皆様に感謝したい。