巻機山山行記録

巻機山

2014年11月1~2日

メンバー:コバ(L)つかみ(記)

11/1(土) 桜坂駐車場(8:30)—巻機山避難小屋(11:30)

11/2(日) 避難小屋(7:30)—巻機山頂上—米子沢の頭手前コル—避難小屋(12:00)

—桜坂駐車場(14:30)

紅葉が真っ盛りの秋の三連休。織姫伝説が伝わる、巻機山へと向かう。

麓の塩沢町は古くから機織が盛んで、巻機山を機織や養蚕の神として崇拝してきた。そして山中で機を織っている美女を見かけたという伝説も伝えられている。ほんとかどうか首を傾げてしまうが、頂上付近はなだらかな山肌を覗かせ、当に女性的な雰囲気に包まれる。

初日は雨でのスタートだった。桜坂駐車場から巻機山頂上(1967m)まで、標高差1373m、距離は7.9キロ。8時半頃スタートし、12時には巻機山避難小屋に到着。雨に濡れた体は冷え、とにかく寒かった。ガスを炊き、暖かいお茶(酒)を体に流し込み、シュラフに半分包まりながら・・のんびり過ごした。

しばらくすると、若者3人組のパーティが来た。昼飯を食べ、元気に下山していった。夕方近くになると年配2人組のパーティも来た。こちらは物静かで泊まりだ。あまりにも大きなザックなので、何処から何処へ向かうのか気になったが挨拶以外の言葉は交わさなかった。避難小屋は大きく二階部分もある。年配の2人は二階に陣をとり、私たちは一階部分。お互い気を使わずに過ごすことが出来た。今回始めてビールを持参した。足りずにコバさんが作って来てくれた葡萄ウイスキーを頂く。つまみも焼いたり煮たり、ここが避難小屋だと言う事を忘れてしまうぐらい、立派なものだ。飛び跳ねるベーコンの脂がコバさんのシュラフに降りかかる。まったく気にしてない。私はまだその聖域まで達していないので、羨ましかった。いつか慣れるのだろうか?それとも永遠に気にし続ける人でいるのだろうか?大事なことは直に忘れ、こんなちっちゃいことを鮮明に覚えている。自分で言うのもなんだが、この先大丈夫なのだろうか・・。

アルコールのせいか、到着直後は寒かったが、就寝時は寒さ感じず熟睡。

翌朝5時半まで深い眠りに就いた。

巻機13

 

 

 

 

 

前日の雨のおかげで空気が澄んでおり、近隣の山々が綺麗に見える。念願叶って八海山頂上部分の、ギザギザを見ることが出来た。帰省する新幹線からは見ることが出来なかった場所だった。また一歩、想いが塗りつぶされていく。

来年には越後三山行って・・谷川の馬蹄形も、国境稜線も・・。いやいや来年の前に雪の白根山、皇海山・。次から次へと、山への意欲で話は尽きない。

コバさんは、独自の色を持った人なので、雑誌や山行本などに、毎度登場するものはノーサンキュー。有名な山は山でも、ルートやつなぎ方など独自のものに変える。それに喋りが上手く、どの山行も興味がそそわれて仕方がない。

今回もまさにそうだった。当初は、白毛門からスタートし、朝日岳から藪漕ぎで進み、巻機山へ。藪で全身ボロボロ状態で挑み・・やっとこさっとこ抜けて・・そこには雄大な草原が!池塘が点在しすばらしい展望!いっぺんに苦労が吹き飛ぶ・・何なんだこの充実感、爽快感、達成感、感、感、感じる大自然、感じる~!が待っていた。このような展開を描いた山行計画だった。

しかし、天候が悪化し初日が雨。そのあともどうなるか、不安定な予報。ましてや藪漕ぎ経験なしの同伴者。思案した結果、巻機山に的を絞った井戸尾根コースのピストン。が、しかし、王道コースでは終わるわけがない。朝日岳を繋ぐ稜線上での藪漕ぎ体験付だ。

巻機9

 

 

 

 

 

さあ、それでは藪漕ぎについて。久々に両足に激痛の走る程の筋肉痛を与えてくれた藪漕ぎ。初体験であった。字の如く藪の中を歩く、ではなく漕ぐのである。具体的には平泳ぎの手つき、時には握り締めかきわける。足はラッセル時に負けず劣らずの腿上げ。踏みつけても藪は必死に起上る。こちらもパワー全開で踏み倒す。しかし容易ではない。腰まですっぽり埋まる。時には全身すっぽり埋まってしまう。先頭をコバさんが進んで行く。その後をぴったり付いて行けば、いくらか楽なんだろうけど、すぐに遅れを取ってしまう。まごまごしていると藪に囲まれ、コバさんを見失う。何度か「コバさーん」と叫ぶ。ちゃんと待ってってくれる。しかし、打ち付ける藪に何度も負けそうになる。ぶつぶつ唱える。精神的に安定していると「よっこいしょ、~よっこいしょ」イライラしてくると「くっそー、何なのよ!」テンションがあがってくると「ファーイト、ファイト」こんな感じだ。

それでも、これでもか、これでもか・・藪は続く。笹を見ていると・・

(あーここは新潟、笹団子が名物。これだけ笹がある。余るほど笹がある。かつて笹団子を作り出した先人はこんな藪を歩き、笹団子たるものを思いついたのだろうか・・。決して好かれないだろう藪笹。だけども、笹団子の生みのきっかけかも知れない。そっかー。凄いんだ、この笹。)

そんなこと想像していたら、ちょっこっとだけ、愛おしく感じたりもした。

石楠花地帯に突入。市になると石楠花が売られている。何千円もするものもある。そんな石楠花を踏みつけている。(あーいけないんだ、いけないんだ〃)

ハイマツがちらちら現れる。(ちょっと、じゃま、なんでこんなところに、生えてんだ!)など等・・藪では笹、石楠花、ハイマツが、ひしめき合っていた。

巻機33

 

 

 

 

 

 

進むにもかなりの時間をかけてしまっているのに、何度も靴紐が解けてしまう。藪に靴紐が引っかかるのだ。そう、藪ではスパッツは必要不可だったのだ。何度縛り直したか数えられない位、縛りなおした。一回につき3分程度はかかった。すくなくても30分は無駄にした。それに、どんなに雨の中を歩こうが濡れなかったパワー靴が、びしょ濡れになった。あ~、恐るべき藪道であった。

米子沢ノ頭手前のコルまで行き、また巻機山へと戻った。4時間半の藪漕ぎであった。楽しい?否、辛かった。だけども藪漕ぎ山行、また行きたい。やりたい。挑戦したい。時間の許す限り藪漕ぎを楽しんだ。思いっきりはじけ、心底楽しんでいるコバさん。反対に辛い思いに支配される私。それなにに嫌いになれない藪漕ぎ。コバさんに影響されたからだと思う。楽しい感情が伝染されるのだ。辛いが快感に変化する。山に対していつも楽しそう。楽しんで、楽しいを伝染する。コバさんは不思議な人だ。気分が乗らず低迷していても、コバさんにかかれば、弾けること間違いなし。

地図を一度もみようとも、広げようともしなかった愚か者ですが、最後まで見捨てず、また色々な事を教えて頂き感謝いたします。朝日岳から巻機山までの果てしなく続く藪漕ぎ山行。来年の紅葉の時期、トライしたいと思います。

一味違う、新感触の山行ありがとうございました。

以上