鶏冠尾根

日程:H28.8.19~20
10/15 東上線霞ヶ関駅集合9:30=圏央道=中央道=西沢渓谷駐車場0:00幕営
10/16 駐車場5:30~鶏冠第3岩峰11:00~鶏冠山12:00~木賊山15:30~徳ちゃん新道~駐車場19:30=帰玉
参加者:ミナト(L・記録)、ウエ、ユイ、ミヤユミ

10/15(土)晴れ

リーダー権限で私の最寄り駅で集合とし、レンタルした愚妻車で一路目的地へ。西沢渓谷駐車場の端っこの落ち葉の上にテントを張り、ユイさん持参のワインで軽く酒盛りしてAM1:00に就寝。この駐車場はトイレは遠いが快適な幕場だ。

10/16(日)快晴のち曇り

4:30起床、5:30出発。林道をしばらく歩き東沢を吊り橋で渡ると、すぐ右に東沢沿いの登山道があり、そこを行くと自然に鶏冠谷出合へ導かれる。心配していた東沢の徒渉は問題なく、道標に従い鶏冠尾根へ取付く。ここでヘルメットやハーネスを装着し気を引き締めるが、道は立派な登山道並みで、ちょっとガッカリしつつも黙々と稜線を目指す。天気は秋晴れ、空気も爽やかで急登も気にならない。「あんなところにブルーシートがある!」とウエちゃんが叫ぶと、「あれは青空だよ?」とユミちゃんに返され一同大爆笑!いったいどうしたらそこまで勘違いできるのだろうか?不思議だ…。
稜線手前の岩壁帯を登る所でちょっと迷うが、ウエちゃんから「ここに登った跡があるよ」と助言してもらい、めでたく稜線へ出られた。残置ストックの手書き道標によると、ここはチンネのコルという所らしい。ここから樹林帯をしばらく登るといよいよ岩稜帯のお出ましだ。

写真1登山道並みの良い道
写真2岩稜帯のお出ましだ

所々に鎖やトラロープが設置されているが、それらを使わずとも適所にガバホールドがあり、岩のフリクションも良いので快適に登れる。ちょっと怖い所もあるが、それもスパイスとして楽しみましょう!クライムアップ、ダウンを繰り返すと核心の第3岩峰に突き当たった。今までの岩稜・岩峰に比べ高さと角度が段違いで、鎖やロープも無く、これはクライミングの領域。不安そうな顔のユイさんとユミちゃんに「巻道で行くかい?」と問うと、二人とも思いっきりうなずいて笑顔に戻った。さてウエちゃんはどうかな?「私は登る!絶対に!!」、ハイハイわかりました。

写真3第2岩峰から第3岩峰を見る
写真4第3岩峰取付き

ユイさんとユミちゃんには巻道で行って上で待っててもらうこととし、私とウエちゃんは登攀の準備をしレッツ・クライム。正面フェースはフラットソールじゃないと無理。左へ回り込んでみると右上するクラックが中間テラスへ続いていて「ここを登りなさい」と岩が教えている。まず2m程上のピナクルでランニングを取り、適度にあるガバで順調に登りカムでランニングしようと思ったらハーケンが2枚打ってあった。1枚はヤバそうだが、もう1枚はガッチリ効いているので、それにランニングを取る。そこから2m程登ると中間テラスでビレイポイントも設置されていた。まだ10mも登っていないのでピッチを切らずそのまま上へ。このテラスから左の石を足場にして1段上がって正面フェースに取付く所が核心だろう。フェースに取付いてそのまま上がろうとしたら行き詰り、一旦テラスに降りて仕切り直し。下から「私のビレイで大丈夫ですかぁ~」と不安げなコール。大丈夫も何もここまで来たら行くっきゃないでしょ!真面目にルーファイすると、少し右に行くとガバっぽいのがある。再度取付いてそのガバ目指して登ってみると目論見通り、おまけにハーケンも打ってありヌンチャクでランニングしてひと安心。ここから上はガバの連続で快適なクライミングを楽しんで終了点に到着。
立木を確保支点にして、ウエちゃんに「登っていいよ」のコール。ウエちゃんはスルスルと順調に登ってきたが、例の核心で迷っている。よしよし、それでよいのよ。迷って自分で解決して、それで力が付いてくるのだから。何とか核心を解決し、完登したウエちゃんは満面の笑顔で「楽しかった~!」だって。すぐ上にはユイさんとユミちゃんが待っていてくれて、お待たせしました。そこからちょっと歩くと鶏冠山の山名標があって、登頂おめでとうございます!

写真5ニセ鶏冠山・山頂

時刻は11時。「来た道を戻るか、尾根伝いに木賊山へ登って一般道で下山するか、どっちにする?」と私。「戻るより進みたい!」との全員の意見。この先は特に危険な所も無いとの情報なので、それではそうしましょう!シャクナゲがうるさい踏み跡を1時間ほど登ると「あれれ、鶏冠山の看板がある!」ええっどうゆうこと??どうやらこっちが本当の鶏冠山頂みたい。木賊山到着が14時頃と見積もっていた私は「ヤバい、1時間まちがえた!これじゃ木賊山到着は15時過ぎで、ヘッデン下山確実かも」とひとり焦るが、皆が不安にならないよう「木賊山まであと1時間」と適当にうそぶいたら、ウエちゃんに「そんなに早く着くはずないじゃない!」とたしなめられてしまった。

写真6本当の鶏冠山・山頂
写真7藪漕ぎデビューのお姉さまたち

ここから先はシャクナゲがさらに濃くなり、おまけに下ったりもするものだから、遅々として進まず不安な空気が漂い始める。慣れない藪漕ぎと先が見えない行程に段々とお姉さまたちの機嫌が悪くなり、出てくる言葉は愚痴とため息ばかり。こんな時は申し訳ないが奴をネタにするしかない。そう、あの怪しい東洋人「キム兄」だ!「あいつはさ、あんな顔して…なんだぜ」と私。「そうなんですよね~、あれでも…なんですよ!アハハ~」とウエちゃん。「キム兄さんにはどうやったら会えるの?私も会いたい~♪」とユミちゃんも乗ってきて、あっという間に場は和やかになった。キム兄よ、キミは今、東北の山をさまよっていて知らないだろうが、こうして我々を癒してくれているのだよ!ありがとうキム兄!
先頭のユイさんの絶妙なルーファイで木賊山頂30m手前の登山道に飛び出してひと安心。ユイさんは、「藪漕ぎって面白いですね!」と言い放つ奇特な人で、私にとっては先が楽しみな人材だ。

写真8木賊山にやっと到着

下山は尾根ルートの「徳ちゃん新道」を選択し、途中からヘッデンを点けての下降になる。駐車場に辿り着いたのは19時半。14時間に及ぶ長い1日であった。
今回は、読図、岩稜、藪漕ぎ、夜間歩行、長時間歩行と大変内容の濃い山行であったが、いつの日か、この経験が今後の皆の山行に活かされる日が必ず来るであろうと思う。