湯檜曽川東黒沢~宝川ウツボギ沢

○期日:2016年7月9日〜10日

○メンバー:コバ(CL)、みどり、トヨタ、ハギ(記)

○行程:

9日…白毛門登山口(8:50)〜白毛門沢出合(9:45)〜1040二俣(11:40)〜丸山乗越(12:55)〜ウツボギ沢出合(14:05)〜幕場(14:30)

10日…幕場(7:00)〜右俣出合(7:55)〜1520二俣(10:25)〜笠ヶ岳下鞍部(11:15)〜白毛門山頂(12:00/12:25)〜白毛門登山口(14:55)

○記録:

【9日】

分かっていた。分かっていたけど、雨だといまいち気分は乗らない。夕方から回復して明日は晴天との天気予報にみんなで気持ちを盛り上げて出発、白毛門登山口右側の道を歩き堰堤上から入渓。

雨だけども、白い岩盤はやっぱり綺麗だ。ああ、晴れてればなぁという言葉を道すがら幾度となく吐き出すことになった。

出発から30分でハナゲの滝。2箇所、明瞭な巻きの入り口があり、今回は上側の入り口から巻いた。少し歩くと白毛門沢出合。

ハナゲノ滝

以降ナメ床とナメ滝の繰り返しになり、晴れてればなぁ、晴れてればなぁと唱えながらも雨の中楽しく遡行。東黒沢は数年前に来たことがあるが、こんなに綺麗な沢だったけか。小滝もでてくるがどれも簡単に登れる。

ワンシーズン分のナメを半日で歩いたんじゃないかと思うほど、ナメにすっかり毒気を抜かれてしまった。やっとこ水がちょろちょろになり、スカイラインが低くなってくる。最後の二俣状から一度踏み跡ぽい所へ入って行くが、あまりはっきりしなかったので、コバLの取った右の沢型を忠実に詰めた後に踏み跡をたどる方が正解だったか。ともあれ薄い薮なので苦労することはない。先行したコバさんの笛を追うとすぐに平らな所に出て(丸山乗越)、北へ方角を定めて緩やかにくだれば、またすぐに小さな小さな窪に出会う。ほどなく小沢になり、ウツボギ沢の枝沢に合流した。何箇所か後ろ向きで降りるところはあったが、問題なし。

1時間ほどでウツボギ沢に出て、幕場を探して30分ほど付近をウロウロする。広河原は4人並んで寝れるサイズのタープをテンションかけて張れるほどしっかりした木がなくて却下。宝川の対岸まで見に行ったが、結局、水面からの高さはあまりないが、快適そうなウツボギ沢の河原に張ることにした。

話に聞くとおり周辺には薪が少ない。宝川まで遠征したり、広河原に残されたものを頂いたりして、なんとか集まった。濡れた薪からの着火にチャレンジしてみたが、やっぱり私には難しく、そしてきっと根気も足りなかった。

雨の中出掛けたコバさんが岩魚をゲット。ミズとフキ、ヒラタケちょっぴり、それらを平らげ、焼鳥、カレーとなるころにはお腹も一杯。ごちそうさまでした。ツエルトを持ってきていたが、全員タープの下で寝た。

夕餉

 

【10日】

昨日の夕方に止むはずの雨は結局、朝までダラダラとしつこく残っていた。

しばらく穏やかな沢歩き。ウツボギ沢の最大15mくの字滝は右から巻く。一段上がり、右から入る枝沢の端を登り、途中から薮に入りトラバースすると、滝上すぐの所にすんなりと導かれる踏み跡がついている。

くの字滝の途中

この滝の上はぐっと空が広くなり気持ちがよい。

このへんでようやく完全に上がったらしい雨に暑苦しい雨具を脱ぎサッパリ、注がれはじめた日差しにさらに気をよくした。

ナメ、ナメ滝、ナメ、小滝、という渓相がこれでもかと続いていく。大分沢幅も狭くなってきたなと思うと、向こうに美しい小滝が現れる(沢幅に対して結構立派)、の繰り返しで、「まだ続くの!」とみんな嬉しい悲鳴。

 

1520の二俣は左、そのあとは沢型を水のある方へと忠実に詰めていく。水はかなりの所までなかなか枯れなかった。

笹が被さったトンネル状の窪のどん詰まりから一段あがり、すぐそこの稜線を目指す。なんとなく跡ができているので軽くかき分けるだけで簡単に前に進み、頭が笹の上に出てからは右手には笠ヶ岳から下ってくる登山道が見えるようになり、方角も間違えようがない薮漕ぎ1級。ふりかえれば皆もにこにこ楽しそう。窪から上がって10分もしないうちに、ちょうど笠ヶ岳から下りきった鞍部に出た。

 

そのままのんびり歩を進め、一の倉沢のビュースポットではあそこが○稜で△稜でというトヨタさんとコバさんの会話についていけず首をかしげ、沢山の人でにぎわう白毛門でのんびり装備を片す(のんびりしすぎて気がついたらみんなパッキング完了していた。ごめんなさい)。白毛門の下山は…やっぱりうんざり。ピストンでハイキングの人が大半のようだったが、こちらは片道でお腹一杯である。みどりさん曰く「午前中の綺麗な沢の記憶が薄れちゃった」、本当に本当にその通りだ。

…でも、思い起こせばやっぱり綺麗な癒し沢でした。

 

〈メモ〉

コバさんはアクアステルスで難なくだったが、全体的にはぬめっている所が多いような感じはしたので、慣れてない人ならフェルト靴使用が無難だと思う。

南八ヶ岳 赤岳

南八ヶ岳 赤岳 山行記録

日程 2016/2/20-21

メンバー コバ(L) セキザワ アベコ(記)

20日 曇り

5時に王子に集合しコバさんの車で赤岳鉱泉に向かう。狙いは赤岳から硫黄岳への縦走だ。中央道から見える八ヶ岳は岩が露出し黒々としている。2月の八ヶ岳とは思えない姿だった。8時には美濃戸につき、北沢コースから赤岳鉱泉を目指す。この間の凍った道にはチェーンスパイクが良い働きをしてくれた。赤岳鉱泉はこの日テントは10張り程度しかなく、多くが山登りよりアイスクライミングを目的に宿泊している人だった。午後から天候は悪化し雪が、夜中は2月の八ヶ岳なのに雨がふった。夕食はすき焼き、山で食べる生卵おいしい。

 

21日 曇り

4時に起床、準備にもたもたして予定の出発時刻より30分遅れの6時に赤岳鉱泉を出発した。小屋はまっくら、テントの人も多くが寝ているようだった。行者小屋へ行く途中に1組のパーティとあったが、彼らは阿弥陀北陵の登攀目的とのこと。

6時40分行者小屋に到着、こちらは新雪が積もっており、夜間は雨じゃなく雪が降ったようであった。文三郎尾根を使い登り始める。中岳への分岐手前で先行していたパーティを追い抜くと予想外の先頭パーティとなる。夜間にふった雪のせいでトレースはなく気持ちのよい登りとなった。しかしガスのせいで視界は不良、夏に歩いた記憶も頼りに山頂直下の岩場に取りつく。岩場ではいやらしいトラバースで吹き溜まりになっているところがあり、強風と硬い雪が飛んできて眼も開けられず、こりゃたまらんとゴーグルをつけるが雪が侵入したちまち凍りつきさらに視界が悪化した。曇り対策のため上部のスポンジを取り払っていたのが裏目にでてしまった。岩場自体は先日に行っていたアイゼントレの効果もあり特に怖いと思うところはなく、9時に赤岳に登頂した。冬の赤岳の山頂立つという目標はここで達成された。

赤岳天望荘への下りも視界不良のため、記憶と地図頼りに降りる。天望荘は営業していた。

天望荘から振り返ると一瞬ガスが途切れ、この日初めて赤岳の姿を見た。雪煙を上げる姿は荒々しく美しかった。この日赤岳に登れてよかったと思った。視界不良と強風のため、硫黄岳への縦走は諦めることとなった。地蔵尾根から降りるがここもトレースはなく、また地図が役にたった。地蔵尾根は人工物が多く、本格的に道迷いしてしまうことはないだろうが人工物がない山でホワイトアウトしたときのことを想像するとぞっとした。

 

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下りはあっという間ですぐに行者小屋に到着、そのときには少しガスも薄れていた。文三郎尾根には蟻の行列のように登山者がおり、阿弥陀北陵にも数組のパーティが取りついているのが見えた。赤岳鉱泉に戻り、テントを撤収。小屋で昼食を食べ、下山する。赤岳鉱泉から見えた横岳は昨日と違い真っ白でとても綺麗だった。

次は硫黄岳への縦走、いつかは赤岳主稜を目指して頑張ろうという気持ちになった。

 

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コバさん、セキザワさん楽しい週末を送らせていただきありがとうございました。

最後に

この日赤岳で滑落事故があり、亡くなられた方がいたことを後日知りました。山での事故は誰にでも起こりうるということを改めて感じました。亡くなられた方のご冥福をお祈りしたいと思います。

 

八久和川

・目的地:八久和川

・日程:2015年9月19日~23日(前夜発4泊5日)

・メンバー:こば、ハギ、つりし、エビ、キム、アズ

 

9月18日(金)

20時都内集合。車に2台に分乗し、東北道から村田JCT経由月山IC付近

9月19日(土)

5:00起床-7:30八久和ダム着-8:00発-12:00フタマツ徒渉点-18:00BP (10h)

林道終点には庄内ナンバーの車が3台くらい既に駐車している。特に駐車スペースと言えるものはなく、沿道に停める。大分藪が濃く、山の深さと先行きの厳しさを感じさせる。準備を整えて出発したのは8時過ぎ。雨が降ったりやんだりの怪しい天気。林道はすぐに踏み跡に変わり、藪をかき分けながら最初の目標地点フタマツ徒渉点を目指す。左岸からいくつもの沢が入り込むが橋などは当然なく、そのたびに谷に降りまた登り返す。踏み跡はしっかりしている。

途中マイタケ採りの地元の方に出会うと、なんとザック一杯のマイタケ。手提げにも3つほどのマイタケが!フタマツまでの間で採ったという。まだ人があまり入っていないようなのでカクネあたりではたくさん採れるだろうとの情報。丁度青空が頭上に広がりこれからの天気の回復をイメージさせ、メンバーの気持ちは高まる。

フタマツ徒渉点に到着したのは12時ごろ。大きなブナの木に「フタマツココ下る」のナタメ。付近にはテープも。谷に降りる踏み跡もあり、注意していれば間違えることは無いだろう。急な斜面を灌木と笹を頼りに比較的浅い流れとなった八久和本流に降りる。水は若干濁って流れの力も強そう。念のためロープを出して渡り、対岸にある小さな流れ込みに沿って右岸の台地上に上がる。

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フタマツ徒渉点以降踏み跡はあいまいになってくる。テープを頼りに先に進むが次第になかなか見当たらなくなる。踏み跡らしきものもなくなる。しばらく行くと横沢出合の先あたりで谷に阻まれ一旦本流におりることにする。雨足も次第に強くなり、増水も心配になってくる。

谷の対岸から小尾根を少し上がると何となく踏み跡があるように見えるので辿るが、すぐ不鮮明になり結局本流を行くことにする。本流はヘツリと徒渉を擦り返しながら先に進むことが出来る。よく見ると所々に先行者の踏み跡が砂浜に残されている。

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基本的にルートとして間違っていないとの自信を得る。左岸側を遡行中、高い岩が両岸に立ちはだかり、白く激しい水流を吐き出しているゴルジュに遭遇し行詰まる。右岸にはカクネ道があるはず。何としても対岸に渡りたいが、チャレンジむなしく流されて戻ってきてしまう。やむなく左岸を樹林帯まで上がり大高巻を決意。時間も16時を過ぎているため比較的安全な場所でビバークすることとした。

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9月20日(日)

3:00起床-7:00BP発-11:00懸垂下降点-12:00長沢出合BP (5h)

雨の中のビバークはツラい。3時ごろから誰ともなく声を掛け合い始める。やはり皆なかなか寝付けなかった様子。雨は夜通し降り続け、まだ時おり強く降る。下を覗くと八久和本流の流れは心なしか昨日よりも強くなっている。メンバーの疲労と安全を考慮し、しっかり明るくなる7時ごろを待って行動開始することと、この日のテン場をカクネ沢先の長沢出合付近に決定。この時点で日程の関係から中俣沢までの完全遡行断念が決定した。

地形図で見るかぎりここを越えれば一旦比較的なだらかな斜面となる。雨も次第に弱くなり回復の兆しがある。灌木を頼りに降りていくとそこには平坦な森が広がっていた。すると先頭から悲鳴に似た歓声が聞こえる。なんとマイタケだ。株の直径30センチ以上。重さにして2キロはありそうな大物だ。その後もナメコやヒラタケを確保。ようやくメンバーのテンションが上がってきた。

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本流を覗くと対岸にカクネ沢らしい大きな沢が滝をかけて出合っているのが見える。地形図ではこの先に広い台地が広がっている。傾斜のきつい斜面をトラバースしながら、比較的深い谷が前方をふさいだところで、下降点を探るために小羽が本流の際まで偵察に降りる。ブナの木につかまって下をのぞきこむと、降りることが出来そうだ。40mロープで懸垂下降し、11時ごろようやく本流に帰ってくることが出来た。

ここから先は広い河原歩き。昼過ぎには長沢出合に到着し、長沢を少し入ったところに良い河原を見つけ今日のテンバとする。天気は回復し次第に青空の面積が大きくなっていく。昨夜のビバークで濡れた衣類や荷物を河原中に広げて乾かしながら、テントとタープを張ってのんびり過ごす。イワナの釣果は無かっが、付近には大きなコブのついたミズがたくさんあり、フキも取れたのでマイタケと合わせて盛大な宴会となった。

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9月21日(月)

4:00起床-6:00BP発-12:00茶畑沢-17:00平七沢出合BP (11h)

朝4時起床。まず全員の体調を確認する。23日の下山をマストとすると岩屋沢から一般の登山道を登って天狗角力取山から大井沢温泉への下山しか選択肢はない。万が一今日中に岩屋沢まで届かなくても22日中に天狗小屋まで上がれれば何とかなるだろう。

食事と準備を整えて6時出発。大分水量が減っている。昨日までとはだいぶ様相が違い、穏やかな八久和川だ。

最初のうちは河原歩きのような状態で徒渉を繰り返しながら歩を進める。時に胸までつかる水は冷たく、早く太陽がさしてくれるのを願うばかりであった。芝倉沢が出会うあたりから少し両岸が立ってくる。まだ7時前。流れの急な場所で僕らが徒渉を躊躇していると後から3人パーティーが追い付いてきた。オツボ沢を目指しているという。僕らが躊躇していたところを何の躊躇も無く飛び込んで渉っていく。「これが沢を専門とする会か」と感心していたが、僕らも何とかしなければならない。地形図を見ると自分たちがいる右岸の上には台地上の地形が小国沢手前600mあたりまで続いている。「この時間飛び込むのはツラいよ。」の一言で巻きを決定。近くの藪から上方に向かうとあっさりと台地上に乗る。比較的歩きやすい。やがて傾斜がきつくなり本流に降りる地点を探す。かなり高さはあるが沢床は浅いようだ。ロープを2本つないで懸垂。

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ここからは岩床の発達した明るい渓相で、時折飛び込みや泳ぎを伴う徒渉もあり、ロープで後続を引いてみたりとなかなか楽しい。太陽も高く上がり、冷たい水を浴びても寒さはあまり感じなかった。小赤沢を過ぎ、左岸から茶畑沢が3mほどの沢を伴って合流すると、その先で両岸が切り立ってくる。同時に沢幅は狭くなり水の勢いも増してくる。ヘツリを繰り返して進むが、その先に一目見て明らかに突破できない急流が現れる。ここは右岸から巻く。明瞭な巻き道があり小さく巻くことが出来た。途中急流を上から覗き、「これが大ハグラ石滝じゃないか」と言うことになるが、高さはなく、大きな岩の急流で、やはりとても滝とは見えない。

これを越えると大きな深い淵に出くわす。右岸側はつるっと磨かれた壁。とても取り付けない。左岸側には谷に向かって倒れこむようにそびえる大きな板状の岩が。当然こちらも水線には近づけない。自然プールってやつ?左岸を高巻くように登ってみるがその先は急に落ち込んでいてとても沢床には降りられない。岩の切れ目に降りられそうなところもあるが、当然その下は深い淵が続き遡行を続けられそうには見えない。仕方がないので一旦引き換えし、手前のルンゼから樹林帯へ入り高巻を試みる。しかしここも八久和。ある程度上がったらトラバースで越えて行こうとするも、どんどん上に追いやられていく。さすがにこれ以上はというところで斜めに下降していくことにする。少し進んだあたりに小さな谷があり、ここも20m以上ありそうなのでロープを2本繋いで懸垂下降。ここですでに16時。

10自然プール?

対岸に渡り少し行くとまたしても大きな淵が現れる。これが自然プール?他のメンバーは「どうせ深いんだろ」と見切りをつけ左岸をさっさと巻いていく。自分は何となく途中までは足が付きそうなので様子を見に行ってみる。しかし少し進むとすぐに足が着かなくなり泳ぎを強いられる。最初のうちは右岸の壁を伝って何とか前に進むが、止まって見える水面も実はなかなかの水流の強さである。もう少しというところで右岸をあきらめ、泳いで左岸に渡ることを決意する。上流を向いて平泳ぎで全力で泳ぐも全く前には進まない。なんとか左岸にたどり着き、手当たり次第にホールドを探り、ようやく上陸することが出来た。精根尽き果てたとはこのことか。

これが最後の淵となり、その先は河原となる。時間は既に5時を回っている。すぐ先が平七沢のはずだ。20分ほど歩くと左岸から流入している沢が見える。その近く、一段上がったところに砂浜状の平地があり、ここを今日のテンバとした。

 

9月22日(火)

5:00起床-14:00天狗小屋

この日は行程が短い予定のため5時起床のんびり出発。岩屋沢までは特に難所もなく1時間足らずで到着。あとは一般道で稜線に上がるだけ。

 

たくさんの記録を何度も読んで乗り込んだ八久和だったが、1日目にして自分たちが試されたような気がした。多くの完全遡行記録の裏には分厚い蓄積があるのだということが行ってみて初めて理解できた。もっともっと経験を積んで、次はもっと八久和を楽しみながら完全遡行してみたい。メンバーの皆様お疲れ様でした。次もまた付き合ってね。(記こば)

八ヶ岳縦走

日程:2015年9月21日~23日

メンバー:いた・つかみ(記)

(一日目)

21日(晴れ)

新宿あずさ7:00→小淵沢8:54(タクシー15分程で到着)→富士見高原登山口9:25~編笠山13:40~青年小屋14:20(幕営)

秋の連休、天気は良好。大先輩イタさんと二人、富士見高原ゴルフ場脇の登山口からスタート。まずは編笠山へ。林道を進みながら、ポイント毎に看板標示があるので確認しながら進む。道迷いなく進める。日差しも柔らかで心地いい。そして終わることのないおしゃべりのせいか、あっという間に到着。

編笠山山頂は石場になっていて、そこから一気に下り青年小屋へ向かう。ゴロゴロした石の下り。雪があったらすーいすい、みたいな感じで下りられるのに。

約5時間の間・・振り返ると、ずーっと、しゃべりっぱなしだった。

青年小屋テン場にテントを設営。雨が降ってきてもよいようにとテントの周りに溝を掘る。作業を終えるころ、ポツポツと雨が降り出してきた。

(あー、ちょうど良かったー。だけど雨?明日はどうなるのー・・・)

明日は早いからとシュラフに潜るが、寝ている態勢でも話が始まった。

まだ、話し足りないのか?二人ともホント、元気であった。

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(二日目)

22日(晴れ)

青年小屋5:00~権現岳6:40~キレット小屋8:15~赤岳10:40~硫黄岳14:00~夏沢峠14:45~箕冠山14:15~中山峠16:30~黒百合ヒュッテ16:40(幕営)

青年小屋から権現岳。昨日に引き続き、快調なトークと共に進む。

権現岳からは越えて来た編笠山が見えた。まんまるでかわいらしい。

行く手には赤岳、脇には阿弥陀岳や中岳。遠くには富士山とくっきり見える。

(さあ、今日はキレットがある。少し黙って歩かないと)

そんな誓いをたてていると、三人のトレランらしきお兄さんが登場。今朝登り始めたとのことだ。話をすると昨日は剱岳を登ってきたらしい。今日はこのまま蓼科へ下山する予定だと言う。なんてタフなんだろう。一人だけ少しやつれた感じにみえたが、大丈夫だろうか。その後、一度も姿をみることがなかったので、きっと完走したのだろう。

キレット開始の標のように、長い鉄はしごがある。混雑もなく待つことなく下りた。そのあと痩せ尾根を進む。さほど危険ではない。キレット小屋を抜けると赤岳の登りになるが、またもやしゃべりが続き、がむしゃらになることなく赤岳到着。連休ともあって山頂付近は混雑している。食事をとっている人が多い。中にはガスを炊いている人、お弁当。軽くパンやお握りなど様々。みなそれぞれの山を楽しんでいる。イタさんがご褒美にとマンゴープリンを持って来てくれた。そのプリンは何度か食べたことがあるにも関わらず、一段と美味しかった。まさにマウンテンマジック。

赤岳から天望荘まで一気に下り、横岳に向かい登り、また下って硫黄岳。一部鎖場などあるが、注意して進めば問題はない。見晴らしもよく、疲れなど吹っ飛んでしまう。止まぬ世間話。ピークに到着するたび感じる、あっという間。イタさんと夏沢峠もあっという間に到着。時間を感じさせない、まさにトークマジック。山ではいろんな不思議が起きるみたいだ。

ここから先、イタさんは本沢温泉~稲子湯へ。私は蓼科へ向かう。互いに無事を祈り抱き合って別れた。それまで地形図はぶら下げていたものの、エアリアマップはザックの中だった。折りたくなかったエアリアを折り曲げポケットへ。ここから先は一人だ。気合が入る。さあ、第二弾出発だ。イタさんが優しく見送ってくれた。

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目指す黒百合ヒュッテまでコースタイム2:35分。このままだと17時過ぎになる。

一人でテントを設営するのは初めてだ。急がないと。それに初のルート。道に迷わないかと不安を隠しきれない。イタさんからのアドバイス、「看板をしっかり確認すれば大丈夫よ」その言葉を何度も繰り返しながら看板とにらみ合い。無我夢中で進む。額から大粒の汗。手の先からも汗が飛び散る。どうやら努力が報われ17時前にはテン場に到着。受付を済ませ準備にかかる。時間が遅いせいもあってほとんどうまっていた。みな、宴会やら食事の準備をしている。場所柄か子供連れの親子とかも何組かいる。そんな家族の隣にテントを張る。以外にスムーズにいった。ビールを買いに行きテントの中へ。ゴクゴクと飲む。あー美味い!体をキュキュと揺らす。大量の汗を出し切ったこともあり、とにかく美味しい。しかし、相変わらず弱いのでその後はちびちび飲んだ。初の一人テント泊。テントの中は散らかし放題。寝ながらするめをかじり、手を伸ばせばなんだって取れる。いつもは自分の持ち物はコンパクトにしまい、足がつってしまうぐらい身動きに制限がつく。だが、一人テントはすごい。筋トレだって出来てしまう。快適。しかし、反省点もある。夕飯にレトルトカレーを温め頂く予定だったが、億劫になり中止。ただつまみを頬張りアルコールを流し込む。それも、横になったり、うつぶせになったりしながら。寒くなってきた。イタさんはどうしているのだろうか。寒いのに、大丈夫だろうか。「ツエルトがあるから大丈夫よ」そう言っていた。この寒さでツエルトだなんて、強い。心も体も強い。いつか私も真似できるだろうか。

 

(三日目)

23日(晴れ)

黒百合ヒュッテ5:00~高見石小屋5:30~丸山7:00~麦草峠7:45~大石峠8:10~茶臼山8:25~縞枯山9:55~雨池峠10:20~雨池山10:50~三ツ岳11:20~北横岳12:35~亀甲池13:30~天祥寺原13:45~蓼科山荘15:10~七合目15:55~蓼科牧場16:30

今日は長丁場である。黒百合ヒュッテから蓼科経由で下山。コースタイム10時間ちょっと。一番手にテン場を出発。分岐はもちろん、看板はことあるごとに確認。地図と照らし合わせ、コンパスを合わせる。入会して3年目でようやく覚えたコンパス使い。楽しい。ちゃんと向かう方向に矢印が向く。

中山峠から高見石小屋までは、穏やかな登りですぐに着いた。何も食べずに出発したのでここでパンを食べた。これから出発するであろう、女子3人組がいる。話が盛り上がっている。そういえば、昨日テン場の受付をしてから誰ともしゃべってない。声をだしてない。イタさんと全行程分のしゃべりを尽くしてしまったかのように、静かだった。ちょっとしんみりしながら出発。

麦草峠。ここは登山口でもあってバスやタクシー、一般車の駐車場がある。苦労して歩いて来た分、がっがりする光景だ。(簡単にこれるんだなー、ここは・・・)そんな現場を通りすぎ、山の中に入って行く。北八ヶ岳地区に突入。大石峠を超え茶臼岳まで樹林帯を進む。展望はほとんどなし。茶臼岳から3-4分の所に見晴らし展望台がある。ザックを置いて行ってみた。行った価値あり。すばらしい展望だ。北アルプス・御岳山・中央アルプス・南アルプスが見えた。確認したく近くにいた人に尋ねた。しかし、あやふやでわからない様子だ。それならチャンスと説明し始めた。初めてだった。今までは逆に人を避けていた。何処から来たか。何処へどうやって行くのか。などきちんと把握出来ていなかった。だから避けていたのだった。だけど今回は違う。ちゃんと理解している。説明していると頷きながら耳を傾けている。得意になる。要らないことまでしゃべりだす。久々に声をだしている。だけど、しまった!20分以上時間を費やしてしまうのである。

茶臼岳から縞枯山までは緩やかな登り。山頂での展望はなく、雨池峠まで一気に下る。雨池峠でも近くの人に話しかけてしまい、ここでもロング休憩となってしまった。楽しさゆえか、はたまた、寂しさゆえか、よくわからない。だけど、この遊びの時間が後で、無念に変わるとは思いもしなかった。

雨池峠から雨池山は急登だ。そして三ツ岳に近づいてくると、ゴロゴロとした石が積み重なっている。隙間に落ちないように、転ばないように慎重に渡る。鎖場も登場してくる。ストックをしまい集中。展望はよかった。岩場を抜けると樹林帯。ぬけるとロープウェイ山頂からの道と合流。そこから北横岳までもうひと頑張り。ここまでくると疲れているのがわかる。足取りが重い。

北横岳山頂は広く大勢の人で賑わっていた。ゆっくりしたい所だが既に12時を回っている。少し焦ってきた。急ぎ足で亀甲池まで一気に下った。長かった。たった一時間ぐらいなのに、長く感じた。静かな亀甲池を楽しむことなく、足早に先に進む。ここからは地図をみながら慎重に、と思い気や、無い!地形図がない!どこかに落としたみたいだ。9枚綴りの地形図。一枚、また一枚と交換しながら7枚目まで来ていた。力強い味方だった。なのに、無い。右ポッケに手を当てる。このエアリアだけが頼り。絶対に無くせない。慎重に看板と地図をあわせながら進む。平坦な道を進み、ようやく最後の難関蓼科山登山口に着いた。

連休最終日、午後とあって人けがなくなっていた。閑散としていて淋しい。不安になってきた。日が暮れる前に下山できるだろうか。疲れてきている。道迷い大丈夫だろうか。弱気のまま樹林帯へ。しばらくすると干し上がった沢に出た。正解は沢を登り詰めるのだが、ここで間違ってしまった。沢を横切り無理やり樹林帯へ。怪しさ抱きながら進んだ。時間にして2-3分だが、長く感じた。やはり違う、直ちに引き返す。沢に出る。辺りを見渡す。何もない、どうしよう、なにもない・・あった!ちゃんと看板があった。すこし進むとピンクのテープも。疲れも忘れるぐらい一気に沢を登り、また樹林帯へ。しばらくすると二人組のパーティーに会う。嬉しくて話しかけてしまう。急き立てるように経緯を話す。悪い癖だ。後先考えずに思いつきで話す。聞いている方は理解しにくいだろう。全く迷惑な話だ。それでも、頷きながら聞いてくれた。寛大な二人に感謝。

ヘトヘトになりながら、蓼科山荘に到着。ザックをデポして登頂する予定だった。1時間はかかる。途中のおしゃべりや、寄り道がなければどうにかなったはず。しかし、時、既に遅し。15時を過ぎている。山荘に宿泊すれば登頂可能だが、麓のホテルを予約してある。温泉、ビール、ふかふかベット・・それに靴やマット洗いたい放題、テント乾かし放題。魅力たっぷりである。

蓼科山頂を断念することにした。どこからか(そうよ、無理しないで。不完全のほうが、格好いいんだから~)と、声が聞こえて来たような、そんな錯角を侵しながら下山。途中、七合目に蓼科牧場まで一気に行けるゴンドラが動いていた。どちらかと言うと利用派だが、今回はパス。最後まで自分の足で。七合目からはゴンドラの脇を下って行く。大草原。ススキが風に揺れている。思わず、写真をカッシャ。秋だ・・。

日が暮れる前に、無事下山。自立山行、なんとか完了!

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イタさん、ありがとうございました。

まだ数日しか経っていせんが、話したいことが山ほど。

また、ご一緒して下さい。

尾瀬 実川赤倉沢

実川赤倉沢

〇日程:2015年9月5~6日
〇メンバ:ハギ(L・記)、つりし、コバ
〇行程:

9/5…矢櫃沢橋付近(8:05)~赤安沢付近(9:05)/入渓(9:40)~実川本流~ゴキタ沢出合(10:15)~硫黄沢出合上部(13:50)
9/6…幕場(6:45)~赤倉沢最大滝10M(7:35)~花沼湿原(10:00)~硫黄沢左俣右岸尾根(10:30)~硫黄沢(12:25)~幕場発(12:55)~硫黄沢鞍部取付点(13:10)~実川本流(13:45)~林道(14:10)~矢櫃沢橋付近(15:30)
〇記録

アプローチ楽ちん、最後は車道からバスで車に戻れるという「硫黄沢」に行くつもりで調べていたら、実川本流の奥に同じ名前の沢があることを知った。その「硫黄沢」のお隣の沢が赤倉沢。記録は少ないし遡行図もないが、面白そうだ。という偶然の出会いで赤倉沢に行ってみることにした。

(9/5)

道の駅湯の香しおばらで前泊、6時前に七入に向け出発。実川の脇に入る林道に車を乗り入れる。すぐに車止めがあるが、施錠されてないチェーン。
矢櫃沢橋を過ぎ、さらに奥へと試みるが、落石でこれ以上入れなさそうなことを確認してバックで戻り待避所的な所に駐車。車三台分程度。

対岸の谷の切れ込みに注意を払いながら黒溶沢、赤安沢を同定して歩く。推定赤安沢の少し先に、下に降りる明瞭な林道の分岐。よいだろうと入るが、ほどなく途切れてしまったのでそこで装備を改めて整え、笹藪に分け入る。真っすぐ降りていったら切れ落ちた所に突き当たり、上流方面に移動しながら傾斜が緩んだ所から笹を掴み沢床に降りたった。

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河原状から遡行開始。
顕著な支流のゴキタ沢を左に見送ると崩壊地を経て、深い淵をもった滝が現れる。つりしさんがかなり粘ったが、逆層&微妙に薄被りで諦める。

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左岸から巻いて越え、その先の廊下状の右をへつる。その上は尾瀬的なナメ床で癒され、

釣り竿を出しながら進む。ちなみにたまーに現れるグリップする尾瀬的岩盤以外は河原の水中の石もぬめっておりゴムよりフェルトが安心な感じ。
深い釜を右岸から巻いた後のナメ滝は左から右へ流心を跨いで直上。
またすぐに釜を持った二条の幅広滝。右岸から上がり四メートルほど懸垂、古い残置あり。

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ここから地形図での顕著なポイント、逆コの字地形手前のゴルジュへ。屈曲して行く手が見えないが、歩いて通れる。まずは奥の幅広滝、ここがネットの記録にある「ザル滝」だろう。コバさんが左端から直登を試みるが見たところ細かい逆層で、真ん中くらいまで登った後ランナーが欲しい感じだと言って戻る。左の窪から上がり、上部の藪沿いに小さく巻き、すんなり深い釜を持った滑滝の側壁へ降りつつ、継続して釜をへつってトラバースしてからの登りは傾斜は立っていないので難無く登る。その上のゴルジュどん詰まりの滝はヌメっているが、ホールドスタンス豊富。

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その上のちょっとした廊下を通過するとぐっと平坦になり、両岸は低くなり硫黄沢が近い。振り返れば綺麗で、遡行も困難ではないものの変化があり大満足な一日目だった。
硫黄沢出合から硫黄沢に少し入り、周り中が整地必要無しの適地だが、渇いた平らな段丘を吟味して決定。テンバとしては最高ランクで設営前からごきげん。

二人がタープを張っている間にツェルトを張ると、そのへろへろは一体なんだと大受け。コバ先生からレクチャーを受けている間につりしさんがそこら中に豊富にある薪をノコギリで切り揃えてさっさと大量に確保してしまった。ここまでの道すがらの釣りでは成果に恵まれなかったつりしさんは本気釣りへ、コバさんはキノコと山菜探しへ、私は道すがら相変わらずダメダメだったルアーのキャスティングを練習しにと、のんびり自由時間。水際の水溜まりに4センチほどのチビ岩魚をみつけた。しばらくしゃがみ込んで観察、興奮を分かち合いたいが皆散っているので一人で地味に悶絶。可愛い。

5時過ぎになんとなく焚火を開始、なかなか安定しなかったが、つりしさんの粘り勝ちで大きな焚火になった。
つりしさんの釣果は二尾、下流より魚影がめっきり少ないとのこと。コバさんはコブを付けたミズをたくさんと蕗。遊んでいただけの私、途中でキクラゲをみつけたからよしとして貰おう。
海藻サラダ/途中で採ったヌメリスギタケ・ナラタケ・キクラゲとベーコンのミルク炒め/キツネノチャブクロの醤油炒め/岩魚のフキの葉包みホイル焼き/岩魚卵の醤油漬け/ミズコブとミョウガのお浸し/鶏肉・玉葱・しめじの塩胡椒炒め/ベーコンあぶり焼き/炊き込みご飯。みんなで料理しながら食べ、飲み、夜が更けていく。豪華な夕餉になった。胃袋の限界を超えると、焚火の周りに全員でごろ寝してウトウト…幸せ至極なり。
(9/6)
朝、5時起床。
コバさんのドリップ珈琲とかけ蕎麦を頂き、タープはそのままに泊まり道具はデポして出発。赤倉沢、すぐに二俣で右に入る。
小滝が連続するが倒木が多く、昨日がとても綺麗だっただけに残念に思う。昨日には及ばないが、倒木さえなければ綺麗だろうな…。

赤倉沢最大の滝10Mくらいか、高さはあるがスタンス大きく立ってないので右から難無く上がる。一旦平地になるが、深い釜+被っているので登れない5M滝、左から巻く。

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穏やかな流れになりこのまま消えていくかと思ったら、右側が大きく開けた緩傾斜地に飛び出し、先には最後の小滝。

本流を忠実に辿ってきたが、1900過ぎで傾斜が変わったので西に斜面に沿って斜め上に歩いていく。しかーし今回の最終目的地の花沼湿原がみつからない。途中の浅い沢型で赤テープ、ここが硫黄沢源頭かしら?

しばらく右往左往していると西へ向かう踏跡ぽいものをみつけた。先ほどは気づかなかったが、先ほどの推定硫黄沢源頭赤テープの先にテープが一つ。もっと先で落ちている赤テープ、枝に結び直す。人臭いのは嫌だといいながらもこういう時は嬉しい、以降なんとなく下地が薄い所を拾いながら進んでいくと森が薄くなり、湿原に飛び出した。深い森の中にぽっかりと、静寂に包まれた広い空間がある不思議さ。時間切れになるかと思ったが、この景色の中の一部にひととき、なれてよかった!

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いつまでもいたいが時間を1時間近くロスしたので、すぐに下降にうつる。湿原の西端の池糖の淵を周り、北に向け森に分け入る。最期は笹を掴んで硫黄沢に合流、そのまま対岸の右岸側の尾根へ。狙い通り1880ポコ手前に上がったことを確認。ここから先、結果としては予定の尾根から一つ隣の平行する尾根を下ったことが後で分かったが、下部で左寄りに修正して緩やかな沢型に入り、水が出てきたらほどなく硫黄沢へ合流することができた。

硫黄沢を下り、テンバへ到着。少し前から雨が降り出していた。急いで荷物をまとめ、硫黄沢を登り返す。ネットの記録を参考に、コの字地形のゴルジュをまるっと巻く心づもりだ。沢がカーブしている所、上はコルぽい地形、ここら辺かなーと見ていると、ここって踏跡ぽくないか、といち早く見つけたコバさんが教えてくれた。笹藪を掴んでコルに上がり、沢型と思しき方向へ下る。ここからはかなりの密藪、私は全く進まずギブアップで後ろに付く。だが沢型に入り水が出てくると下を潜れるので楽になる。実川本流に合わさる所は立っているナメ滝なので、左岸の立木にお助けロープを引っ掛けて握りながら斜めに降りた。上流を見やれば幅広二条滝があった。

近くの対岸に林道に上がる踏跡があるらしいのだが、判然とせずもう少し下降してみることにする。滝の巻き下りに入ろうとして左岸を上がっていたら、コバさんが対岸から合わさる滝、の上方に設けられた直径2メートルはありそうな排水穴を発見!!!言われて見ると樹木の間に白いのが辛うじて見えた、よくぞよくぞ。ということは林道が真上に来てるに違いないよね、ということで、降りて右岸に移動、藪に入る。少し登り、その排水穴の上、滝の傾斜が緩んだ所に出ると奥に下のものより少し小さめな排水穴があり、その脇には石積みの階段状人工物。数段上がればあっけない感じに林道に飛び出た。あのままゴルジュ地形をゴキタ沢付近まで下っていたらば掛かったであろう時間を思うと。ありがたくて言葉もない!!直後の写真はあーよかったと、皆もの凄い笑顔であった。

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興奮冷めやらぬまま、止んでいた雨が再度降り出し雨足が強まる中を、足早に車へ向けて下った。

只見川水系恋ノ俣川

只見川水系恋ノ俣川

日程: 8月12日(水)−15日(土)
メンバー:つりしL、ハギ、サブ、ツカミ、キム、トヨ

1日目 曇り
集合場所の越後湯沢駅に集まったメンバーが一人足りない。キム兄から2時間遅刻との連絡があり、浦佐駅での待ち合わせとなる。
スタートが遅くなるため、時間短縮を図るため、浦佐駅で沢装備を整え、恋ノ俣に向かう。銀山平から恋ノ岐までの道路はカーブが多い山道で、ハーネス装着での道中は、車酔いしやすいメンバーにとってはちょっと厳しかったか。
11時20分 恋ノ岐の駐車場到着。他に数台車があった。入渓点は駐車場の向かいで、徒歩0分。下山時の下降はオボコ沢の予定だが、万が一登山道を下ることになっても沢靴で問題ないだろうとの判断で、アプローチシューズをデポする。
11時40分入渓。沢慣れしていないため、私は早々に苔のついた石で足を滑らせ、ズボンを濡らす。先が思いやられる出だしであるが、これで濡れる覚悟ができた。
恋ノ岐の出だしは所々に数メートルの滝が現れ、入渓直後のウォーミングアップといった感じである。


とは言え、日帰り沢と違い泊まりで荷物が重く、私はと言えば、いつもなら乗り越せる高さのところで体を上げられず、ツカミさんに押し上げてもらい、岩から岩への飛び移りも躊躇し、スピードが出ず遅れがちとなる。
13時30分、清水沢付近で最初の休憩。ここから先は更になだらかな渓相となり、時々大釜を持った滝が現れ、飽きさせない。

16時20分頃、木々の間に薄く煙がかかっているように見える箇所がある。先行パーティが幕営し焚き火を始めたようだ。その対岸にも幕営可能な場所があり仮確保する。キム兄がこの先を偵察しに行くが、適当な場所がなかったため、標高1200m付近で泊まることとする。
河原での盛大な焚き火を囲み、食事をし、一息ついていると曇り空に星が見え始め、しばらくすると満天の星空となる。明日の好天を祈り眠りにつく。

2日目
残念ながら、予報通り夜中2時半くらいから雨が降り出す。
4時起床。一旦雨が上がり、6時40分出発。びっしょりと濡れたフライが重い。暫く進むと、静かな淵に魚影を見かけるようになるが、まだまだ先が長いので竿は出さず、先に進む。
8時20分オボコ沢出会。明日の下降時にピックアップする予定で、ここに少し荷物をデポする。とは言っても、状況によっては別ルートで下山の可能性もあるため、お酒等なくなってもよい物品のみだ。遅れがちな私を見かね、リーダーがフライを持ってくれると言う。一瞬悩んだが先のことを考え、甘えさせていただく。結果的にこの後はあまり遅れることなく、進むことができ助かった。(リーダー、ありがとうございます!)
オボコ沢から先は、水量が減り沢幅も狭くなるが、程よい間隔で、数mの滝が現れる。ゴルジュ状の滝が多く、次から次へとヘツリの課題を出されているようだ。

記録には沢が途絶えるちょっと前に40mの大ナメ滝があると記載されていたが、徐々に沢幅も狭まり、そんなスケールの滝が現れるような雰囲気ではない。半信半疑で進んで行くと、やや高度感のある滝が現れる。右側から登ることができそうだが、ぬめっていそうなのと、高さがあるためロープを出す。全員問題なく登る。そこから暫く進むと40mの大ナメ滝が現れた。微妙な傾斜のスラブである。乾いていればなんということもないのだが、ぬめっている箇所もあるので気を抜けない。大ナメ滝を過ぎると、その先はどんどん水が少なくなり、笹ヤブへ突入する。地図と磁石で登山道の方角に目星をつけてヤブ漕ぎが始まるが、フェルトでの笹の藪漕ぎ経験があまりない私は、結構苦戦した。ハギさんの「ヤブが水平になったよ〜」の声の後、登山道に飛び出た。15時過ぎだった。
休憩をとりながら、幕営地は検討するため、天気予報を確認しようとするが、ラジオも携帯もうまくつながらない。ひとまず電波の入りやすい頂上に向かう。目の前の登りを超えるとすぐに姫の平に出るかと思いきや、次から次へと新たなピークが現れる。
16時、姫の平到着。荷物をデポし、平が岳に向かう。
16時30分、道標に導かれ、木道脇の小道を少し進むとのっぺりとした草地が現れる。そこが平が岳山頂であった。

携帯で天気情報を確認し、姫の平で幕営とする。暫くすると小高状態だった雨が本降りとなる。二つあるテントのうち、レジャー用テントが雨漏りし始めたので、ビニール・タープで覆う。これが結構優れもので、雨を防ぐとともに、保温効果もあり、夜中の気温低下にも役にたった。湿原なので焚き火はないが、サブさんの用意してくれた豪華な夕食で和んだ。

3日目
5時過ぎに目が覚め、身支度をしていると遠くで雷の音が聞こえた。ウン?と思っているとどんどん近づいてくる。リーダーから樹林帯へ避難するとの指示が出る。5時30分、荷物をそのままにテントを飛び出し、急ぎ標高の低い場所へ移動する。雨が徐々に本降りとなる。タープを被り、姿勢を低くし、雷雲が通り過ぎるのを待つ。山の稜線での雷は怖い。近くで落雷があったようで、テントが心配になる。

小1時間程過ぎると雨が小降りになり、雷鳴も遠のいたので、6時30分にテントへ戻る。テントに雷は落ちなかったようだが、レジャーテントはビショ濡れだった。
沢靴を履き、荷物の撤収をしていると、再度雷の音が聞こえだした。急いで荷物をまとめ、標高の低い場所へ移動する。登山道脇の樹林帯で再びタープを被る。予報では今日の午後から天気が回復するとのことだったが、これまでの降雨量を考えると、沢の下降を断念し、登山道を降りることにする。ただ、登山道だと車までかなり車道を歩かなければならないため、キム兄に先行をお願いし、車を取ってきてもらうこととした。
雷が遠ざかり、キム兄出発。荷物を再分配し、残りのメンバーも8時30分に出発。稜線を下り始めると一時雨が止んで霧が晴れ、周りの景色を楽しむことができた。

その後は雨が降ったり止んだりで、一向に好天の気配がない。10時10分、台倉清水到着。ここがオボコ沢への下降点となるようだ。10時30分、台倉山通過。
エアリアマップに下台倉山から先はヤセ尾根と記載おり、沢靴なので心配したが、それほど危険なルートではなかった。下りきった後は、平坦な樹林帯の中をしばらく進み、車道に出る。14時下山。
周りを見回して車を探すがない。仕方なく歩き始めようとしたところ、こちらに向かって走ってくる車がパッシングをした。メンバーから歓声があがる。
その日は、銀山平のロッジに食事付きで宿泊し、アドベンチャーな山行を振り返りつつ飲み明かし、翌日帰京した。

(参考: 奥只見山荘 食事付きバンガロー 一人10200円)

船形連峰 大倉川鬼口沢下降ー笹木沢遡行

メンバー:こば、ハギ、つりし、ツノダ、アズ

<1日目>8/1(土)

6:00観音寺林道終点登山口―7:50定義分岐点跡―8:25鬼口沢入渓―13:30笹木沢出合―15:00テンバ(700m付近)

<2日目>8/2(日)

6:50テンバ発―9:00鎧滝―12:30登山道

8月1日(土)

東京を21時頃出発し、東北道~山形道を経由し柳沢小屋に1:30頃到着。柳沢小屋は築年数はそれなりだがよく管理されていて快適。囲炉裏があって田舎のおばあちゃん家に来たような雰囲気。ビールで乾杯して2:30頃仮眠。5時起床。夜には気づかなかったがとても気持ちのいい水場があり、冷たくておいしい。夜のうちに車で到着し、車内で寝ていたというツノダさんと小屋の前で合流。

車で林道終点まで移動。林道終点には車が5~6台以上は止められるスペースがある。準備を整えて出発。

登山口から粟畑までは軽い登りで30分くらい。ブナの気持ちのいい森の中を歩くが、幹はどれも細く若い。植林だろうか。阿波畑からの登山道は仙台カゴまでピークを巻いてアップダウンも少なく快適。仙台かごを越えて下りきったところが定義分岐点跡で、97年のトマの記録ではここから大倉川鬼口沢(本流)に向けてトラバース気味に進むとある。

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地形図で1000mの等高線伝いに尾根を回り込んでいくと鬼口沢右岸の崖マークが切れる場所があるが、ここが入渓の目標地点。分岐から少し行くとすぐに踏み跡は見えなくなる。たまに踏み跡らしきものやピンクのテープがあったりするが、実質地形図とコンパスが便り。手前の尾根を回り込むと下の方がやや平坦に見える。地形図で鬼口沢の崖マークの上にあるなだらかな地形のようだ。であればこれをたどればいいはず。と言ってみるとこれがビンゴ!8:30入渓
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下降を開始するが最初からまずまずの渓相。小滝をクライミングダウンしていくと1時間ぐらいで15m位の滝が現れる。これは懸垂。下部が少し空中懸垂となるが問題なく下降していく。

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最初の大滝を超えると沢は開けてくる。両岸が切り立ったスラブ状のV字谷となり日差しが直接差し込むので暑い。一か所未だに雪の残るところを発見。ウドか何か山菜がないかと探し廻るも収穫なし。左岸から何度か沢が滝となって合わさる。滝に打たれたり淵で泳いだりしながら体を冷やす。P1020344

V字谷が終わり、緑が濃くなると5m位のすだれ状の滝となる。傾斜はないがつるんとしているため念のためロープを出す。渓相は河原歩きが中心となるが、その分快適なテン場適地が目立つようになる。魚影も濃い。途中右岸から金吹沢が滝で出合い、しばらく行くと小ゴルジュとなり今日のハイライト笹木沢手前の大滝となる。前出のトマの記録では30mとあるが、近年のひろたさんの記録では15m程度。但し上からは下の様子が把握できない。左岸を5m位上がると樹木があるので、懸垂用にロープをセットしつりしさんが様子を見ながら下降することとする。万が一の時の登り返し用にツノダさんのアッセンダーを借りて行く。左岸を下降するが、若干水流から離れるようにルートを振りながらの下降となるが、ロープの長さも充分であった。

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この滝のすぐ下で笹木沢と出会う。時間は14時。この先テンバ予定地の770m付近までは特に大きい滝もなく安全と判断。つりしさんとツノダさんは大倉川本流を少し釣り下ってから笹木沢を遡ることに。残る3名は先行してテンバを探す。出来るだけ水流を避けて遡行していくが時折大きな魚影が走る。

笹木沢に入ると渓相はナメと滝の連続となる。小滝を超えると長いナメが続くといった感じで東北らしいやさしい感じが続く。長いナメの間のちょっとした淵にも大きなイワナが。今晩のご馳走が頭をよぎる。

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15時頃右岸の1m位上がったところに焚火跡を発見する。周囲を整地すると5人くらいが焚火を囲めるスペースが出来る。少し上がったところにはテントも張れる。薪を集め焚火の準備をしていると釣り師二人が戻ってくるが、なんと手ぶら。どうやら水温が高く魚が餌を食わないという。まあ僕ら先行者がいたのだから警戒して喰わないのも当たり前。そこで二人はテンバの上流に。今度はイワナ3匹をゲット。ツノダさんが持ってきた牛タンとで豪華な宴となった。

 

8月2日(日)

朝5時に起床。7時前に出発。最初しばらくは高くても5m位の登れる滝と長いナメが連続する。7:30ごろ7m滝。スタンス、ホールド共に細かそうで、中盤はツルッとしていていやらしい感じ。ロープを出してリードする。案の定中盤でホールドスタンスが見つからず動きが止まる。小さなクラックがありボールナッツが決まりそうで決まらない。1か所ランニングが取れれば随分気持ちが違うのだが。仕方がないのでランニングをあきらめホールドを探す。手を伸ばしきったところに何とかカチで決まるホールドを発見。左足をクラック状の岩の隙間にかましてそーっと上がる。何とかクリア。ロープをフィックスして後続にはタイブロックで上がってきてもらう。

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その後も7m位の滝を2つほどクリアすると目の前に鎧滝がそそり立って見える。しかしこの鎧滝、左壁の乾いたところを登ると何とも快適。階段状である。高度感がかえって気持ちいいくらいだ。落ち口付近が少しぬめっていて気を付けなければならないが、簡単に登ることができる。

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鎧滝を超えると滝やナメはいくつか出て来るものの若干単調な様子となり源頭の雰囲気が出てくる。しかしイワナはまだいる。そしてここからが長く暑い。つりしさんは何度となく泥水に浸かって体を冷し、全員ひーひー言いながら詰めあがった。但し大した藪漕ぎは無く登山道に出ることができた。

短い下山で駐車場に、柳沢小屋の冷たい水で顔を洗い舟形連峰を後にした。

短いけどいい夏休みといった感じでした。

会越国境 霧来沢大鍋又沢右俣左沢~中俣下降

平成27年7月4日・5日

メンバー つりしL(記録)、はぎ、えび

7月4日 王子6:00発→林道通行止箇所11:30(道中観光など寄り道1時間ちょい)→入渓13:00→三俣BC地点15:00 行きはバッタ(釣餌)・山菜をとったりしたので車からBCまでのコースタイムは5日を参考にしてください。

7月5日 BC7:15発→二段30mスラブ滝下8:11着/滝上9:05発→御神楽の稜線着10:00→(携帯紛失30分ロス)→中俣沢着11:50→BC12:05着/12:40発→林道12:50着→駐車場所15:20着

 

アプローチは東北自動車道から磐越自動車道の会津坂下ICを出て国道252号を走り本名ダムの脇に伸びている林道を入っていく。

林道はよく整備されていて、普通乗用車でも問題なく走れるよい道だが今年途中の橋が流されたようで手前で通行止めのバリケード(下記写真)。(詳細は金山町HP参照)

あと余談であるが、行きはインター出てすぐのところにセブンイレブンがあり買い出しできる。(そのあとすぐのファミマであとは道沿いにはコンビニ無いので注意)

そのセブンの対面に野菜売り場があり、お買い得。

特大大蒜200円をひとつ買ってたき火で焼いたらジャガイモみたく甘くて大好評

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林道は入渓点に近づくところからやぶが濃くなり、ぬかるむので沢靴での歩行が良い。本流と左岸からの枝沢の合流したところの降り口にピンクのテープがある。

沢のぬめりはあまりなくフェルト靴・ゴム底どちらもフリクションに問題なし。

下記写真は入渓点から少し入ったところ。幕営地までに高巻1か所、宴会材料で重い荷物には少ししんどいトラバース1か所あったが、あとは特に問題なし。

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入渓して1時間30で今日の幕営地である変則3つ俣に到着、一段上がった平地の葦を倒してテンバにする。
あと中俣にすこし入ったところにも樹木の中に良いテンバがあった。
時間があるので左俣を釣り上がるもチビイワナばっかりが飛びついてくる、ようやく20cm一匹確保したがスノーブリッジが出てきたので終了した。
三俣付近まで来ると水量が減るので下流が釣りにはおすすめ。
山菜はウルイが多かった、あとはワラビ少々、ウドはなかった。
河原にでて開放的な場所でのたき火が楽しい。

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深夜に雨が強くなり河原に出しっぱなしの荷物を一段高いテント場所にあげる。

水かさが少し(5cm)くらい上がっていたが、水量が少ないので特に問題はなかった。しかしスラブ状の岩肌が多いのであまり保水能力があるとは思えないので用心にこしたことはない。

翌朝、雨が止んでいたので出発、大鍋又沢右俣を少し行くとすぐにスノーブリッジ2ヶ所 ひとりずつ下を通り抜ける、標高600m位なのだが、さすが豪雪地帯である。

スノーブリッジはそこだけであとは無かった。

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二俣までは単調な渓相だが右俣左沢に入ると沢も開けてきて2m~5m位のボルダチックな小滝が連続して楽しい。
少し行くと前にスラブ滝、下記左の写真が下部20mくらい 右が上部10mくらい
その間に10mの踊り場あり、40mザイルでは一気には届きそうもないので 踊り場にハーケンを打ち一度切る。
下部は高さはあるものの手足はちゃんとしたのが続いているので慎重に行けば大丈夫、上部は写真の取付ルートは少しやらしかったようで一度戻って右に回りこんで登った。

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スラブ滝を超えて少し行くと水が無くなり、稜線に突き上げる乾いたスラブ帯が出てくるが傾斜ゆるくザイルは必要ない、ただ浮き石が多いところがあるので注意が必要。
稜線に出ると標高1000mと思えない深い山々が素晴らしい。携帯(ドコモ)は稜線に出ても繋がらない。

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下山ルートは最初の稜線を右に折れやぶを掴みながら下りていく。
やぶの密集度は低くシャクナゲ、つる類もないので至極快適である。
途中、保険でGPS代わりのスマホをヤブコギ中に落としてしまい、戻って探したので30分ロスした。(運よく発見できてホッとした。)
最後沢に降りるところは直進すると急であったので最後の小ピークから左(中俣下流側)に降りたら途中沢形にぶつかり中俣沢にザイルを一度も使わずに降りられた。

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あとはゆったりとした流れの中ノ俣沢を少し歩くとBC着、すぐに撤収して沢を下降していたら、単独で来ていた釣り人(フライ)に会う、我々が上流から来たのでこの渓相だとこの上は釣りにならないだろう、我々が悪いわけでもないのだが、ここまで来たのに残念な釣り人の気持ちもよくわかる「すみませんね」と声を掛けると「戻って別の沢に入るので気にしないで」と気持ちよく言ってくれる。

帰りの温泉は国道から少し入ったところにある「つるの湯」入って初めて知ったのだが湯治場もある由緒ある温泉、濁り湯の泉質も気持ちよかったし、横を流れる只見川から吹いてくる風も気持ち良かった、最後まで癒された沢行でした。

霧来沢ほかにも魅力的な支流があり、楽しめそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北穂東稜線 前穂北尾根

吊尾根

春合宿 北穂東稜 前穂北尾根

さぶ(L、記録)、笹田、カト

日程&行程
2015/05/02(晴れ)   22:00竹橋BT出発
2015/05/03(晴れ)   5:00上高地着-12:30涸沢(幕営)
2015/05/04(曇りのち雨)3:00起床-4:30出発-東稜-北穂山頂-涸沢(幕営)
2015/05/05(晴)    2:00起床-3:30出発-5:30 5.6のコル-12:00前穂頂上-吊尾根-15:30奥穂頂上-1815涸沢(幕営)
2015/05/06(晴れ)   涸沢-上高地

GW合宿の場所として、2年前の春合宿で行けなかった、前穂北尾根に場所を決めた。
2年前はSLとして入ったが、SLらしき事は全くできず、反省の残る山だった。
いい加減、ピヨピヨ後ろをくっついていく山はやめて
今回は、、リーダーとしてきっちり、岩を登れる技術、安全を確保する技術を
身に着けたいと思っていた。
大先輩と二人と一緒で、一番心配なのが私といういつも構図はぬぐいきれないが。。。

2日の夜、竹橋に集合しバスに乗り込む。おそらく1日の夜発の人が多いのだろう、思ったよりすいていた。
ハズは順調で、5時半前は上高地に到着。東京は真夏日がつづていたが、上高地は思ったより寒い。

5時40分に身支度を整えて、出発。いつもどおり、徳沢、横尾で休憩をとる。
ちょうど横尾で前穂付近を旋回する県警のヘリを見る。事故だろうか。。。暗い気持ちでヘリを見る。
しばらくするとヘリは町の方で飛んで行った、救助された人が助かるといいと願う。
そのまま、順調に歩をすすめ、12時半には、涸沢の人となる。
ちょうど、テントを撤収している若者たちがいたので
その整地された場所をそのままもらう。涸沢はまずまずの混雑具合。ただし、明日が雨予報の為、今日下る人が多いとテントの受付で聞く。昨日は過去最大の人数がいたとのこと。

その後、小屋にて横尾で北尾根付近に飛んでいたヘリは、4峰で仲間の落とした落石にあたって落ちた方がいると聞く。
しかも、1人は亡くなったと聞く。これから行くルートで死亡事故があった事を重く受け止め、4峰付近を臨み、一人黙祷をささげた。

テント設営したら、3人でいつものように生ビールとおでんで乾杯だ。
呑みながら、見ると、前穂の北尾根の下の雪渓をスキーで滑走しているふたつの陰がある。えらいところを滑っているなとビールを飲みながら話していると、ほどなくして、涸沢のデッキに相席してきた男女2人がその人と知り、びっくり。いやはや、すごい。。。

明日の天気は、雨模様。。。早い時間は曇りマークだったが午後は持ちそうにない。
事故の件もあり、明日の行動をどうするか考えながら穂高連邦とにらめっこして、ビールを口に含む。いつもより苦く感じる。

夜ごはんはさぶのビーフシチュー。沢山食べて明日にそなえるべし。ここで、最後の天気予報を見て明日の行動を決めて先輩に告げる。

当初は明日、前穂北尾根→吊尾根経由→奥穂山荘のテンバでツェルトビバークし、5日に上がってくるかおり隊長率いる後発隊と合流。
奥穂に一緒に登頂する予定だったが、雨天でのビバークがキツいのと、天気が崩れた状態で長い行程の前穂北尾根~奥穂をやりすごす自信がないので、4日は、短時間で行ける北穂東稜に変更。
天気の回復する5日、前穂北尾根にする旨を伝える。大先輩二人とも快諾してくれた。

どちらにせよ、明日は、午前中勝負だ、早出を告げてさっさと就寝。

4日、AM4:30涸沢出発。ガスっていて、稜線が見えない。軽量化のため、1本のロープでコンテにして、とりあえず、北穂沢を登る。
オーダーは、さぶ、笹田さん、カトさんの順。

途中で、このあたりだとうと思う所から、北穂沢をはずれて、右にトラバース。。。しかしとりつきがガスで見えず、ルーファイが全くできない。
しかも別のパーティーが、北穂の一般ルートと間違えて、私たちの後ろをついてきてしまったようだ。気が付いて戻って引き返していた模様。危ない、危ない。
ガスが薄くなった瞬間にとりつきの鞍部を確認する。他にも東稜にとりつこうとしているパーティーがいるが
彼らもルートの見極めに難儀しているようだ。自分を信じて他のパーティーに惑わされないようにと笹田さんにアドバイスをうけ
少しラインを外しながら稜線へ。とまどいならも、なんとか取り付きの東稜の鞍部に出てほっとする。

雪のナイフリッジ、ゴジラの背の岩場とそこまで難しい箇所はないが、前回来たときと違って、雪が随分くさっているのでラインを
岩にとるか雪にとるかをここも迷い迷いリード。天気は相変わらず悪い。真っ白だ。。

ゴジラの背
ゴジラの背。視界なし!!

岩場は、スタカットに切り替えて越していく、さすがの悪天で人気ルートも人がいない。前回の様に渋滞で待つこともなく難所を抜けて、北穂山荘までは、雪壁を上がっていく。頂上で記念写真をとって、小屋の前で一休みし、北穂沢を一般ルートで下る。
早出が功を奏して、テンバについたのがたしか10時過ぎくらいだったか。雨が本降りになる前にテントに入る事が出来た。
(なぜかこの日の写真だけデータが壊れて取れてなかったため、カトさんの写真のみ。記録時間が曖昧なのはこのせいです。。。すみません)

さて、テントに入ると随分と雨足が強くなってくる。後発のかおり隊の心が折れてないか心配しながらテントで装備を乾かす。

12時の交信時、無線をOPENするとうっすらかおり隊長の声が入る。
が、私が無線の使い方を間違えていて(交信時に押すボタンを間違えてた。すみません。。。)うまく交信できず。。。
でも、順調に上がってきているようで、安心してテントで待つと、しばらくすると外でききなれた声がするので、外へ出る。

重荷を背負って、雨の中の行軍のせいか、彼女たちのテンションがリーマンショック以降の株価のごとく急降下しているのが見てわかる。
明らかに、おうちに帰りたくてしょうがない空気をまといつつなんとかテントを設営している姿がなんとも痛ましい。。うう、お疲れ様。。。
落ち着いた所で、かおちゃんに先発隊の、予定変更を説明。

ここでかおちゃんが、明日はきっと余裕がないだろうから、1日前倒しにしてけっちぼー宴会を今日やってしまおうと提案される。(本来は今日私たち奥穂山荘でビバーク予定だったわけです)
かおちゃんの絶品シチューをはじめ、なんと厚焼きたまごまで持ってきてくれたのはびっくり、重かったに違いない。。。
そして、いたさんのふきみそが出てきたときは、これは日本酒だな!!との流れに
雨の中とんちゃんが自ら進んで(決して強要はしてない。。。はずだ)売店まで買い出しに行ってくれた。ありがとう。。
明日は天気がよさそうだ。長い一日になるだろうけど。頑張ろう。

5日 AM2:00起床。星が出ている時折風がごうっとなるが、天気はよさそうだ。手早く朝食を済ませる。
私の一番の心配ごと。。。大きい用事が入山以来果たせてない事。。。(いつもシモの話ですみません)
前回、夏の前穂北尾根では体調不良で、吐くは下すわの大騒ぎでコルというコルにマーキングしてきたのだった。。。
全ピッチリードさせてほしいと先輩にミエを切った手前、おなか痛くってなんて言ってられない。

3時30分過ぎに涸沢出発。奥穂に向かうかおちゃん、いたさん、とんちゃんがわざわざ外まで出て見送ってくれた。仲間の励ましが心に沁みる。
この日は2本のザイルの頂点が私で、笹田さん、カトさんがそれぞれにつながる形だ。コンテの時はカトさんが先頭ー私ー笹田さんと続く
スタカットの時は私がリードして2人をビレイするシステムだ。

笹田さんが、めずらしく「大丈夫?」と心配してくれる。「大丈夫です」とここは答える。無茶はしないつもりだが、最初から弱気ではいけない。
後で聞くと、核心部の3峰の1ピッチ目で泣きが入るだろうなと思っていたようだ。
気合を入れて、まずはコンテで5.6のコルをめざす。

3日のうちに5.6のコルへ上がるラインを確認していたが、4日の雨で踏み跡は割とながされていて不明瞭。先頭のカトさんもところどろ迷うようだ。
ちょっと、6峰の尾根にあがりそうなくらい上の方に進路をとったので、あれ?違うかなと思ったら、笹田さんからもっと下だと教えてもらう。
5.6のコルまでは6峰の尾根の下をトラバースするように回り込んで、コルをめざす。しばらくすると空が白んでくる。息をのむような絶景が広がる。

ちょっと写真をとってもいいですか?と立ち止まったところで、カトさんに緊急事態発生。私の十八番のお腹痛い事件を先取りされてしまった。
(いや、本家本元はカトさんか)
とはいえ、結構な急斜面だ。あと、少しで5.6のコルなのだが、もうどうにも我慢できないようで、私がカトさんを追い越す形で前に出て、
ピッケルを突き刺し、カトさんのロープをクローブヒッチで固定して確保する。
カトさん、ギリギリで間に合ったよう。色々無事で何よりだ(笑

5.6のコルを目指す
5.6のコルを目指すカトさん

再び、とりなおして、5.6のコルへ行くと、テントがはってある。どうもここにビバークして、これから前穂北尾根を登る人たちのようだ。
軽く挨拶して、先へ行く。
5峰~4.5のコルまでもコンテ。4峰を見上げる。

3.4のコルから4峰
4.5のコルから4峰を見上げる。

ここで先日人が亡くなったと思うと、気の毒な気持ちと、怖いと思う気持ち。
そんな所にいる自分ってなんなのかと不思議な気持ちになる、改めて、ひそかに黙祷をささげた。
落石を気を付けながら、笹田さんのアドバイスもあり、コンテで間隔を詰めて登る。
4峰は基本的には、稜線どおし、雪はほぼなく、最後に奥又白側に回り込み、ここの雪壁をダブルアックスで行く。

3.4のコルの手前で3峰を見下ろしながら、改めてこのルートの核心部を確認する。

4峰から3峰を見る
4峰から3峰を見る。ここが核心部。

取り付きには残置のシュリンゲがあり明瞭。1ピッチ目はまでは以前、夏に登った記憶があるので、なんとかわかる。。。。はずだ。。
しかし、そのあとのチムニーがよく覚えてない。たしかあの時、私たちはチムニーを右に巻いたような気がする。
今回は核心部のチムニーは登りたいと思っていた。

4峰から見ると、二つのチムニーがあり、左側はすっきりとチョックストーンがほぼなく
右側のチムニーはいくつかチョックストーンが見える。右のチムニーがルートだと思っていたが
カトさんから事前に右側のチムニーは崩落があり今は使ってないような情報を見たと聞く。
ここで笹田さんに確認すると、どっちでもいけると思うヨ~とのこと。
チョックストーンが崩落時にできたものなら、それが安定してないといやなので、左側を行こうと決めて取り付きまでいく。

3峰1P目、尾根を左に巻くように行く。いくつもボルトがあるのでどのラインが一番簡単か見極めながら
右往左往してしまった。ルーファイに時間のかかり、全体の行動の遅延につながる。大いに反省。。。
1P目の右のラインは、私には無理だと判断
結局、夏に行ったとおりの道をとおる。おそらく一番左側にトラバースをするラインだと思う。
ボルトが何本も打ってあるところで1P目を切り、先輩二人をビレイ。
2P目。左のチムニーにつっこむ。
雪が詰まっているところまではいいが、最後は雪がせり出していて、ハング気味に膨らむ。
しかし、まったくピンがない。
テラス状になっている雪面にバイルを入れるが、くさっていて中々決まらない。
ハング気味にせり出している、雪をピッケルのブレードで切り出し、なんとかずりあがろうとするが
手がかかり足がかりともにない。。。

右側の壁の高い一に唯一、アイゼンがひっかかりそうな溝がある、不自然に右足だけあげてアイゼンをひっかけて体を少しあげると
雪面に氷化した部分があり、なんとかバイルがひっかかる。左のバイルと、右足だけで体をぐいっとあげたところで
なんと、後続のガイドから
「そこ、ルートじゃないぞ!!登れないよ!!」との指摘が。。。
えーー!!このタイミングで言われたって!!
どうやら、後で聞くとガイド曰く、雪の時期は右のチムニーが
夏の時期はチムニー横のスラブがルートどの主張だった。

と言われましても。。。ギリギリ登れるかなってところを下るのは不可能な訳で。
下降するにも、支点をとるもピンもない。
行くしかないだろうと覚悟を決めて
「降りれないので、このまま登ります!!」と叫ぶ。

アイゼンもバイルも効いている。絶対登れる、と心を決めて体を上げる。

なんとか無事に平な雪面まで体を上げることに成功。
とりあえず、心配している先輩二人をビレイして上がってきてもらう。

チムニーから臨む風景
2P目。チムニーから臨む風景。なんとか上がれてよかった。。

笹田さんいわく、何度も夏も冬もここを上がっているので、問題ないとのこと。
しかも、アルパインのルートを教科書通りに登っているなんて初登なんかできないだろうと。
おお、さすが師匠。。。
しかし、今回ギリギリ登れたが、もうちょっと雪が解けた状態だと、私には左のチムニーは厳しかったかもしれない。
また、雪などで、崩落部分が安定しているなら右の方はピンがあるので、こちらの方が安心なのかな。
とにかくアルパインルートは自分でルートの状況を判断し、安全に登れれば正解なのだろうと思う。

3P目?そこから、教科書のルートはチムニーを出たところのクラックのある凹角を直上するのだが
笹田さんより、後ろのガイドとルートが被るから左にトラバース気味に上がろうと提案されそのように上がる。
途中で、岩にザイルが絡まったり、ダブルザイルが交錯したりと散々な状況に。。。ここでもタイムロス。
ダブルザイルの扱いは課題だ。

4P目は雪壁。ガイド一向を先に行ってもらう。

4P目ロープが交錯。。。
4P目。雪のルンゼ状。ビレイ点から

5P目は岩壁。出だしがちょっとやらしい。。。これで3峰の頭へ出る

5P目の岩壁
5P目の岩壁。出だしで手間どる。。

3峰は明確なピークじゃなく、私一人、知らないうちにとおりすぎてしまった様で
2峰の懸垂下降の時点で、まだ3峰の下りだと勘違いしていた。
(懸垂下降は2峰だとしっていたのに!!)
そんな訳で、2峰だと、勘違いしたまま頂上に到達とする痛恨のミス。

笹田さんにここが頂上だぞ!!って言われてはじめて、気が付く。

わーい!!なんとか登れた!!ありがとうございます!!と師匠に抱きつく。

前穂頂上
前穂頂上。ありがとうございました!

ここで12時過ぎ。リーダー未熟につき、時間かかりすぎの巻き。
うーーん。吊尾根~奥穂~涸沢となると随分遅くなるだろう。
距離でいえば今来た道を戻るという選択肢もあり、それも視野にいれての北尾根だったが、
今来た道を私の技量で戻るのも随分時間がかかりそうだと
師匠に相談すると、やはり、奥穂経由で戻った方がいいとのこと。

頂上でしばし休憩をとることとして、かおり隊と交信を試みる。
するとすぐに応答。なんと、あちらも奥穂の頂上にいるとのこと。

前穂の頂上から奥穂へと手を振ると、こちらは雪面なので奥穂から私たちが認識できたようだ。
お互いの登頂を喜びあう。奥穂にいた他の登山者も一緒に喜んでくれたようだ。
北穂の頂上は天国のよう、360度パノラマだ。本当に、感動的に瞬間だった。

しかし、感動ばっかりしてられないのだ。こっからが長い訳で。ザイルをしまい、奥穂をめざす。
吊尾根はほぼ雪がなく、とはいえ、ときおり、雪の部分が出てくるのでアイゼンは脱げず
岩場のアイゼンでの歩行がわずらわしい。

吊尾根
長ーい吊尾根。でも景色は抜群!!

なんとか奥穂の山頂についたのが15:30。
かおり隊が心配しているだとうと思い、交信すると、かおり隊もちょうど、奥穂小屋を降りてすぐだったようだ。
17時で涸沢の売店が閉まる事を知っていた私は、到底間に合いそうもないので
お酒をかっておいてもらえるように、お願いする。周囲で板さんの笑い声が聞こえる。すみません。呑み汚くてw

お互いの無事の再会を願いながら、こちらも下山開始。

小屋の手前の急雪壁はちょといやらしかった。後ろ向きでちょこちょこ降りる、
奥穂小屋の方に、小さな落石を伴う雪崩があったことを聞いて、雪崩箇所に寄らないように言われ
最後まで気をひきしめて下山。

涸沢が見え始めると、なんと、かおちゃんととんちゃんが出迎えにきてくれた。
達成感が押し寄せる。かおちゃんと、ハグして、お互いの隊の無事の再会を喜ぶ。
テント場に戻ると板さんが甘くて温かい紅茶をふるまってくれて、ここで心底ほっとする。

夜の宴会は、とんちゃんの料理もおいしく
楽しく会話がつきることがなかった。とりあえず、かおり隊長がドバイの石油王の第二夫人になる可能性について多いに議論があった事だけ特筆したい。
しかも、この未来の石油王の第二夫人は、ビールと、ボトルのワインまで買い込んでくれていた。感謝。感謝。

翌日は、7時頃、出発。上高地までは、穂高連邦を名残おしく振り返りながら帰り、
いつもの立ち寄り湯で汗を流し、
松本のいつもの蕎麦屋で打ち上げとなる。

事前のアイゼントレ、赤岳主稜のトレーニングも快くつきあってくれ
また、ピヨピヨリーダーの私に諸事判断を任せてくれながらも
カンどころでは的確なアドバイスをくれた、笹田さん、カトさんの諸先輩方に心からの感謝を。しかし、まだまだな弟子に冷や冷やしたことでしょう。すみません。

多大な食糧を担いでくれた後発隊にも感謝を。奥穂に登りたいという意欲を見せて前向きにトレーニングしたとんちゃん。万事やさしくサポートしてくれた板さん。そして、後発隊を取りまとめてくれた、かおちゃんに心から感謝。
本当にありがとうございました。

涸沢で記念撮影
涸沢で記念撮影。みんなありがとうございました!

最後に、書くか迷いましたが。。。

入山日に見た、前穂のヘリコプター、そして4峰で滑落死があったと記録にも書きましたが。それは、私の知人でした。
下山して、初めて、事実を知りました。

彼女はとても優秀なクライマーで、国内外、数々のアルパインルートを経験した技術も経験もある女性でした。
とてもストイックで、それでいて、人にやさしい尊敬すべき女性でした。
彼女が亡くなった事実、また、彼女が亡くなった山を直後に知らずに登ったという事実。
正直、気持ちの整理がいまだについていません。

山の事故とは、経験がなかったり、準備不足だったり、技量が足りない人だけが遭遇するものではない事を実感させられました。この事故を自分の中でどう考えればいいのか、自分がどう山に向き合っていくのか、改めて考えおります。

最後に彼女のご冥福を心からお祈りさせて頂きたいと思います。

裏越後三山

日程: 前日発 5月3−5日

メンバー: ハギ(L)、つりし、キム、トヨタ(記)

5月2日(土) 快晴

昼前東京発、車で銀山平に向かう。銀山平船着場にて前夜泊。

前日のうちに登山口を確認すると、宿泊場所から登山口まで向かう途中の銀山平船着場⇔石抱橋間は雪崩の危険があるため、夜間(18:30-6:00)全面通行止めとなることがわかる。

 

5月3日(日) 無風快晴

4時起床。1日目の行動時間の予測が難しいため、6時の開通に一番乗りできるよう、少し早めに車で向かうと、ゲートが開いており難なく通過できた。民宿「きこり」前の銀山平駐車場に車をデポし、6:20出発。

蛇子沢の左岸の尾根をルートとして選び、石抱橋付近の尾根の末端に取付く。

朝一で雪がやや固く、傾斜もあるので、安全のためアイゼンを付けて登り始める。

尾根に上がるとしばらくは快適な雪の尾根歩きが続く。

1

1256m付近から雪が少なくなり、雪があっても亀裂があり、そのため雪のない踏み跡を辿る箇所が徐々に多くなってくる。

しばらくすると、ルート上に雪がまったく見えなくなり、藪だけとなったところでアイゼンを外し、ピッケルやストックをしまう。

周りは白いコブシにピンクのシャクナゲ、足元にカタクリ、イワウチワと春爛漫である。だが、藪が背丈を越え、藪濃度がグンとあがると花どころではなくなる。

ザックに括りつけたピッケルやストックが枝に引っかかり苦戦する。藪漕ぎ慣れしているメンバーもこの状況には辟易としていた。

そのうち薮100%の急登となり、薮との格闘が始まる。

男性が体重で枝を押し下げ空間を作って抜けて行くような箇所を、軽い女性は抜けることができず別ルートを探り、逆に、女性なら通り抜けられる隙間で男性が苦戦するといったように、藪漕ぎ力が試されるようなルートだった。

2

1649m手前あたりから、また雪面が現れようになり、再度アイゼンをつける。やっと薮を抜け、快適な雪稜が現れるかと期待するが、案に相違し、雪と薮の繰返しであった。

3

無風快晴の急登&藪漕ぎで汗がしたたり、喉が渇く。手持ちの水がだいぶ少なくなってしまったので、雪を口に含みながら登る。

1800mを越えたあたりで樹林帯を抜け、荒沢岳までのルートが一望できる雪稜に出る。

4

雪はあるのだが、所々クラックが走っており快適な状態とは言い難い。安全を考えると部分的に薮を選択せざるを得ない箇所があり、最後まで薮と離れられなかった。ハギリーダーの情報で夏道を発見し、薮から解放される。

16:45本日の幕営地、荒沢岳直下の鞍部に到着。テント設営時あたりから少し風が出てくる。

 

5月4日(月) 曇りのち雨

4時起床。天候は曇りでやや風がある。

5:40空身で荒沢岳往復。荒沢岳までのルートには雪がなく、テン場から15分で山頂到着。山頂からの眺望は、360°の山・山・山の景色で、山の奥深さを感じる。これから縦走する中岳までのルートも見えるが、やや遠く感じる。

6:20テン場に戻り、荷物を持ち出発し、5分程で分岐に到着。灰吹山方面は広い雪面が広がり、快適な雪稜歩きとなる。

5

8:30灰の又山山頂。今日は面白いように距離を稼ぐことができる。このあたりから、登りの北面は雪だが、下りの南面は雪がなく、夏道を行くといったパターンになる。

9:50巻倉山通過、11:30兎岳到着。休憩後、兎岳の山頂から延びる夏道を進むが、どうも向かっている方向がおかしい。地図を確認すると、丹後山へ向かう分岐に入り込んでしまっており、15分程度ロスする。兎岳の山頂から更に少し戻ると、雪の中に中ノ岳に向かう分岐を発見する。

兎岳から中ノ岳まではほぼ雪道となる。兎岳からの下りで雨が降り出す。西の空も暗く、本降りになるかと思われたので雨具をつけるが、雨は暫くぱらついただけで止んでくれた。

小兎岳を経由し、一旦グンと高度を下げ、それから中ノ岳への長い登りが始まる。雨具を着ての登りは暑いが、風があるので助かる。雪庇やクラックを避けながら、黙々と登って行くと、中ノ岳頂上の手前で雪壁が現れる。

6

14:30雪壁の高さは20m程度、70°以上あると思われ、上部は更に傾斜が増している。雪壁にははっきりと登りのステップが刻まれており、先行者がいるようだ。

一番手のつりしさんがステップをトレースしながら登り始める。後続が続いて登るのはリスクが高いため、残りのメンバーは下で見守ることにする。ステップはまあまあしっかりしているようだが、上部に行く程、慎重を期している様子が窺える。

雪壁を乗り越え、つりしさんの姿が見えなくなると、こちらもホッとする。

安全を期して、ロープを出してもらうことにする。少し風があるため、ビレイヤーが寒いと思われたので、急いで登る。

(同じ時期にここを通過した他パーティの記録では、雪壁の西側をトラバースして巻いたと記されていた。)

 

雪壁を抜け、やや傾斜が緩くなった雪稜をしばらくいくと15:35中ノ岳に到着。

7

このころから少しガスがかかる。15:50中ノ岳避難小屋着。小屋には先行パーティがいた。彼らは前嵓岳経由で荒沢岳に登り、ここまで来たという。荒沢岳直下では2ピッチ程ロープを出したとのこと。先ほどの雪壁のステップは彼らのものと思われる。

その日は夕方から雨が振出し、夜は暴風雨となったが、快適なトイレ付の小屋で一晩明かすことができたのは幸せである。

夜は、GWの越後駒ヶ岳の山頂小屋でビールを売っていたという情報で、小屋でビールを調達し、幕営地でビール片手に越後の山並みを愛でようという話で盛り上がる。

 

5月5日(火) 快晴

一晩中小屋にたたきつけていた雨音が明け方には聞こえなくなった。5時起床。3日目は越後駒ヶ岳を経由して適当な場所で幕営予定なので、ゆっくり身支度を整え、7:40に小屋を出発する。

明け方の冷え込みで雨は雪に変わったようで、新雪が薄らと雪面を覆っている。雪もしまっており、快適に中ノ岳からぐんぐん下る。

9:40檜平方面はほぼ夏道なので、アイゼンをはずす。途中、雪面に黒い物体を見つける。熊?と思ったが、カモシカだった。

8

11:10天狗平到着。駒ヶ岳への途中で盆栽のような小さな桜が花をつけていた。

12:20山頂直下で再度アイゼンを付ける。

13:10越後駒ヶ岳到着。

9

中ノ岳からのルートですれ違ったパーティは1組だけだったが、さすがに百名山の越後駒ヶ岳には登山者やスキーヤーがちらほらいる。山頂で小屋の様子を尋ねると、小屋は開放されているが無人とのこと。ビールの調達ができないとわかり、メンバーのテンションが一気に下がる。話をした登山者は日帰りで、これから下山すると聞き、我々も下山しようかとの声が出る。

越後駒ヶ岳の山頂からは雪の斜面をどんどん下る。雪の状態もよく、下りは軽快である。

10

15時過ぎに道行山付近で休憩をとる。

目の前に3日間かけて辿ってきたルートが一望でき、最高のロケーションである。

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蛇子沢の尾根は上部がかなり急登であることがわかり、二日前の苦闘が蘇る。荒沢岳から中ノ岳、越後駒ヶ岳にかけては美しい山並みが続いている。このまま山中で泊り、のんびり山を眺めながら一晩過ごすのも捨てがたいが、帰りの高速渋滞を考え下山することに決める。

途中、コシアブラを収穫しながら山から降りきると、白沢に出る。白沢の中州にスノーブリッジがかかっており、沢を渡り進んでいると、リーダーからこちらからは北ノ又川が越えられないとの声がかかる。改めて地図を確認するとその通りであった。後続パーティは白沢の対岸を川下に向かっている。白沢の対岸に戻り、残雪で斜面となった沢沿いを進む。何気に歩きにくい道を厭きるほど歩くと、石抱橋の手前に小さな橋がある。それを渡ると駐車場へ続く車道へ出る。17:30下山。

白銀の湯で3日間の汗を流し、銀山平船着場でテントを張り、ビールで乾杯した。

3日間とも10時間程度の行動となったが、山菜と薮と雪と山を楽しんだ、とても充実した山行だった。