8/1~8/2 北岳バットレス

北岳バットレス山行記録

日程:7/31夜発 8/1~8/2

メンバー:サイトー、タカタカ

行程:7/31 埼玉新都心駅18:30集合-(車)-奈良田22:30着

8/1  奈良田5:30発-(バス)-広河原6:15-広河原山荘7:00-二股9:00-c/d沢中間尾根10:30-dがリー取り付き12:00-第4尾根取り付き(ビバーク地)18:00

8/2  第4尾根取り付き4:40-終了点10:00-山頂11:00-広河原15:40-帰京

北岳バットレス第4尾根主稜は、標高日本第2位の北岳頂上直下に突き上げるダイナミックなアルパインコース。アルパイン経験・技術の乏しいタカタカにとっては難しいコースだったが、幸運にも晴天に恵まれ、何よりアルパイン経験の豊富なサイトーさんがパートナーだったことにより、無事に楽しく最高の景色の中で完登することが出来た。

第4尾根主稜コースは、第4尾根主稜とその取り付きまでの下部岩壁の2行程に大きく分けることが出来る。当コースは非常に人気が高く、所々で渋滞の可能性がある。ネット情報によると、白根御池小屋を早朝出発し1日で全工程を終了し小屋まで下山するケースが多いらしい。混雑を避けるため、我々は1日目を下部岩壁登攀、第4尾根主稜取り付きでビバークし、2日目で頂上を目指すことにした。

さらに、下部岩壁のコースは数種類の取り付きがあり、①bガリー、②dガリー、③第5尾根などの候補がある。①はbガリー大滝をつめてcガリーを横断する際、落石が危険との情報あり。だが②・③は雪渓の状態が悪いとの前情報があり、判断が難しい。結局、前日に山小屋へ電話で雪渓問題なしとの確認を取ったため、②を採用した。

朝一のバスで広河原入りし、まずは下部岩壁取り付きを目指す。大樺沢沿いに歩き二俣を越えた辺りから、取り付きのポイントを注意して探る。ただし、心配性のサイトーさんが事前に万全のリサーチをしてくれたお陰でdガリーへの明瞭な踏跡(c沢とd沢の中間尾根から登る)を容易に発見することが出来た。終始アイゼンは不要だった。dガリー前でクライミング装備を身に付け、いざクライミング!とその時、頭上から不穏な音が。。頭部より大きい岩が複数降ってきた!落石だ!間一髪の距離!!サイトーさん「上を見て!石が来たら避けろ!」と叫ぶ。早速アルパインの洗礼を受け、プルプル震えて立ちすくむタカタカ。スタート地点で早急に「本気で帰りたい。」と喉元まで出かかったが、落石はcがリー上部の崩壊跡から発生するため、我々のルートには影響は無いとの冷静なサイトーさんの判断から決行することにした。(北岳は2010年の大崩落後、今も岩が脆い状態。実際に我々の登攀中、その崩落現場からは何度も落石が発生していた。cガリー横断は非常に危険だ。)

dガリー取り付きから第4尾根主稜取り付きまで、ほぼスタカット(サイトーさんリード)で5ピッチ。途中の支点が頼りないこと(途中フレンズも使用)、足元が結構ざれていること等、不安定要素が多かった。dガリー取り付きまで雪渓の下を泥だらけになりながらくぐったり、上部の高度感たっぷりなトラバースが足元ザレザレだったり、結構バクバク心臓に負担をかけつつ(!)、第4尾根主稜取り付きにようやく到着。

第4尾根主稜取り付きは広いテラスになっていてツェルトビバーク可能。岩壁ビバーク得意のサイトーさん主導で心地よい安全なツェルト生活があっという間に完成。ビバーク方法を教えてもらった。例えば、ツェルトの設定方法から始まり、常に自己ビレイを取りヘルメットも装着する、トイレの為のビレイをロープで予めセットする、物を落とさないように必ず袋に収納し確保する等、貴重な体験をして参考になった。翌日の登攀のため、夕食後は早々に就寝。2人用のツェルトはそれほど大きくは無いが、岩の上にテントマットを敷き、シュラフカバーで包まって寝ると意外と居心地良いものだった。

翌朝3時に起床し、朝食後に身支度を整える。空が明るくなった後、第4尾根主稜取り付きから登攀開始。一般的に最終点まで9ピッチあり、核心部は1、5、9ピッチ目。タカタカは「ツルベなら偶数ピッチは担当しようかな~♪」なんて呟いたのも束の間、ゲレンデとは違うアルパインの迫力に圧倒され、あっさりフォローを志願する。「だってだって、ランアウトするし、絶対に落ちれないし、支点不安定だし。。モニョモニョ」と言っている間に、サイトーさんはタイムリミットを気にして全工程リードを担当してくれた。流石多くのクライミング経験を持つサイトーさんは、重い荷物を背負いながら、次々と突破していく。1ピッチ目のクラックや5ピッチ目のスタンスの少ない垂壁、そこからの大胆な高度感のあるナイフリッジ、6ピッチ目のマッチ箱の懸垂下降、9ピッチ目のハング気味のチムニー越え、各終了点ポイントでは素早い支点作りや所々のフレンズの使用等、まるで山岳ガイドのような身のこなし。本当にすごい技術と精神力だ!これだけお世話になったにもかかわらず、クライミングの途中でサイトーさんのカメラ(今回の唯一の記憶媒体)をタカタカがどこかで紛失。恩を仇で返すとはこのことだ。サイトーさん「そのカメラ3日前に買ったばっかりなんだよね。。」とぽつり一言。(←後日落し物として届出があり(!)無事にカメラを回収。しかしクライマックスのサイトーさんの格好良いシーンが全く撮影できず、本当にすみません。。) サイトーさん優しく許してくれました。

登攀後に装備を解除し、北岳山頂へ30分程度で到着。本来盛り上がって記念撮影をするはずだが、ここでも写真は無し。自分のおっちょこちょいを呪う。山行計画では肩の小屋でゆっくり1泊する予定だったが、突如天候が急変しザーザー降りになったため、急いで広河原まで下山し、最終バスで帰京した。

常にフォローで情けないが、清々しい晴天の下、3000メートル級の尾根をを登攀しながら、ふと背に見る壮大な山々の景色は最高に気持ちよかった!!登攀の途中にテラスでビバークしたのも楽しかった!!他のパーティとも会わずに北岳の尾根を独り占め出来た贅沢な山行だった。全てはサイトーさんのお陰です。ありがとうございました。

・アクセス詳細

広河原への道はマイカー規制があり、アクセスにはバスもしくはタクシーの利用が必要。南アルプス登山バスは、夜叉神~広河原間での落石による通行止めのため、一時的に奈良田~広河原のルートにて代替運行となっていた。それにより、今回は奈良田に駐車することになった。

交通所要時間 さいたま新都心駅-(車で4時間)-奈良田

奈良田-(バスで45分)-広河原

奈良田から広河原までのバスは大変混雑するので、要注意。

奈良田には2箇所の駐車場があり、各駐車場にバス停がある。第1駐車場がバスの始発駅で、第2駐車場が次の停留所。第2駐車場から乗車すると、混雑の為に時刻通りのバスに乗れない可能性あり。我々の場合、前夜22:30に奈良田に到着して、ギリギリ第1駐車場に駐車したので、始発駅から乗車出来た。早めに第1駐車場に到着することをおススメする

月山から石跳沢を下る

— 月山スキーでシーズンを終わる—

○月山スキー行:5月9日夜発~5月11日 志津野営場一泊
○参加者:野口OB夫妻 田中OB L稲垣み 角田 ハギ 部長
○行程:5月9日夜9時半久喜駅 角田車で東北道 午前1時安達太良PAで仮眠
5月10日 安達太良6時発 月山スキー場10時田中、野口夫妻OBが合流 天候待ち午後リフト終点から姥ヶ岳コルまで往復3時間ほど
5月11日 4時半起床 朝食・準備 田中OB帰宅の途に 8時すぎリフト終点からシール登高 牛首にスキーデポしツボ足 10時半月山山頂着 牛首に戻りスキーでダウンヒル 姥沢コルから石跳沢を下る 12時半駐車場着 荷物整理し帰途に 野口ペンション訪問 蔵王エコーラインを経て白石ICから東北道 9時久喜駅解散

○記録
隊長いたさんが月山スキーをプロデュース。角田人見ハギが参加。いたさんの目的は3名の古希祝いである。ジャンボテントを張ってお茶を飲みつつ天気が好転するのを待つ。その間に角田はツエルトを張り竹の子を天ぷらに揚げ、このまま入山祝いになだれ込む危険もあるので、隊長が行動開始を命じる。

リフトで終点まで登るが天気は好転しそうにない。野口OBが立ち止まってガスの晴れ間に方向を確認、トラバース気味に進む。姥ヶ岳と金姥のコルまでたどり着いて、その日の行動を打ち切った。

テントに戻り、晴れ晴れと堂々と入山祝いを始める。それぞれがつまみを供出、盛りだくさんのご馳走が並ぶ。ビールで乾杯、ワインや新潟土産の越乃寒梅もでる。そのうち3名の名前が入ったケーキが持ち込まれる。キャンドルを点しケーキカット。古希を祝う会となった。

各自人生の蘊蓄を語り、角田は持って来た本に署名をねだり、野口氏はまんざらでもなさそうにサインし、いたさんは相変わらずおしゃべりが止まらず、田中氏は二王岳にぜひいらっしゃいと繰り返し宣伝し、ハギちゃんはビールを飲み続け、空には星がまたたく。9時に就寝。

11日は早めに目覚める。快晴。角田がうどんを用意、テントを畳む。所用で帰る、田中さんと再会を約してお別れ。
余裕を持ってリフト乗り場へ。運行開始と同時に乗る。日曜晴天とあって他の客も多い。遮るものがない大展望のなか、角田がリードし昨日と同じルートをとり、牛首を目指す。

青い空、白い大雪原、くっきりと稜線が延びる中を、蟻のように私たちは進む。ヒールを高くセットして高度を上げる。
やがて月山の肩ともいえる牛首に着く。
ここでスキー板を外してデポしツボ足で登って行く。岩やブッシュが混じった斜面にストックを補助にして登る。程なく神社を祀った月山山頂に着く。
南に朝日連峰と飯豊連峰、眼下は庄内平野その先に日本海、北には鳥海山がカッコよく立つ。これ以上望めない最高の展望である。

記念写真を撮ってデポ地に下る。さあ、ここからお楽しみだ。春の日差しに輝く大雪原を一気にダウンヒル。うーん、爽快感が体中を突き抜ける。たまりません。下手なターンでも胸のすくシュプールを描く。角田と野口夫人は安定したきれいな滑りだ。昨日のコルまではトラバースしていく。

昨日は何も見えなかった稜線やコル、今日はとても楽な斜面だと分かる。そのコルから石跳沢のコースに入る。二日分のルートをこの日だけでまとめて滑ることになる。
この斜面も広く迷うことなしにダウンヒルできる。雪はうねっているが技術的には問題ない。沢コースは初めてのハギちゃんも大満足のスキーとなる。
やがてブナ林にでて、野口OBのリードでスムーズに車道に出、テン場に直接着いた。いやはや楽しい山スキーでした。シーズンのフィナーレに花を添えて飾れました。

角田の発案で野口ペンションを訪問。コーヒーを頂き、山菜のお土産まで頂きました。感謝します。再会を約して坊平高原を後にしました。
この後蔵王エコーラインを下って角田さんの古里、白石から東北道に入る。

長時間にもかかわらず、運転お疲れさま。車内で精算、ひとり6000円ほど、同行の皆さま、ありがとうございました。

五竜春合宿(G2中央稜登攀隊)

やっと、本来のダブルアックス

五竜岳春合宿(G2 中央稜 登攀隊)

メンバー:アベ(L)、さぶ(記録)

5/4日
コースタイム:4:30 西遠見BC~白岳沢出会~A沢出会~G2右稜出会~中央稜~13:30G2の頭~15:00 西遠見BC
(全体の記録はこちら)

西遠見BCから見る、登る予定の、G2中央稜はほぼ雪がついていない。
雪がないと、ざれ場+ヤブ漕ぎで難儀するだろう?という予想を事前にアベリーダーも口にしていたが
現地行って、行そうなところを登ろうと前夜に確認し、アタックの日を迎える。

ササダ、かおり組が少し先行して歩く。彼らは雪がついているA沢から武田菱を登るそうだ。
かおりちゃんの背中が緊張でこわばっている様に見えるは気のせいじゃないだろう。
私も同じ気持ちだ。

アベさんより、とりあえず中央稜に行く方向で白岳沢を下降することを伝えられる。
晴天。システムはヒマコン2。朝日を背にして白岳沢の下降点まで歩く。

しかし、えらい傾斜だ。。。このトラバースしながらの下降がキツイ。
アベさんは、さっさと、降りてしまうので、ついていくのが精いっぱいで、ここで汗だく。

A沢の出会いについた時には、すでにササダ、カオリペアはA沢を登っていた。

A沢を行くササダ&カオリペア
A沢を行くササダ&カオリペア

私たちはA沢を過ぎ、G2右陵にとりつき、これをのっこす形で中央稜へ。

先行パーティーが上から懸垂下降で降りてくる。
どうも、雪がなくガレていて登れないと判断し、敗退するらしい。
どうしようかと、アベさんと相談し、とりあえず、自分の目で見て判断しようということで、アベさんリードで
登る事に。ほどなく、やはりガレていて危険とのことで、戻ってきた。
いやはや、確認ありがとうございます。

アベL偵察中
アベL偵察中

 

さて、他に行けるルートがないかと、きょろきょろしていると、後発パーティーが稜線の右側のルンゼをつめていく。
あっちなら、登れそうだ。

テラスまでトラバースしながら上がる。しかし、雪がかろうじてついているが
相当腐っていて、草付がところどころ出ているようなルンゼだ。

先ほどのパーティーが登り終わるまで、テラスでしばし休憩。

こちらもくさった雪に相当、てこづっているようだ。

私たちの番で、ここもアベさんリード。すみません。お願いします。。。

アベさんはするすると登ってしまい、ロープを伸ばしてくれる。
続いてフォローで行くが、相当難儀する。なんせ、アックスが効かない上に、足場が崩れる。。。
リードでするするといったアベさんが同じ生き物には思えない。。。

登る事にしたルンゼ1P目
登る事にしたルンゼ1P目

サクサクと登るアベリーダーは、先行パーティーに追いついてしまったが、ロープが交錯しないように、ルートをとって
順調にロープを伸ばしてくれる。

私は、途中でくさった雪に上に上がれずに、半泣きになりながらなんとか上がる。
ところどころ、雪がない泥壁、草つきにダブルアックスで登るはめになる。
なんで、5月の五竜でこんな目に。。。

草付をダブルアックスで
草付をダブルアックスで

ほどなく、前のパーティーを追い抜く形で、ヤブ交じりの雪稜を今度は私がリードする。
ロープ半分くらいで、ピッチを切ろうと思ったら、もっと行けと、アベリーダーよりゲキが飛ぶ。
こっから、完璧にヤブだ。ヤブの急登。。。シャクナゲとハイマツ君が容赦なく立ちはだかる。。。
なんてこった。これはミナトさんの好きなヤブ漕ぎだ。
手と足が地につかないのだ。3級から4級はあっただろう。
ラッセルは好きだが、ヤブ漕ぎは好きじゃない。

枝にひっかかり重いロープを頑張って引っ張りながら、砂場みたいな広い場所に出る。ここでピッチを切る。
ほどなく、ヤブからアベリーダーが上がってくる。なんだ、この構図。。。

ヤブから出てくるアベL
ヤブから出てくるアベL

頂上の方を見ると、ザレ場が、ヤブしかない。雪はどこいった!!

ここでロープとアイゼンを外す事になる。
5月の五竜でアイゼンを外すはめになるとは。

地に足がつかないけど、うっかり地につけてしまうと、地面が凍結していてい、滑ってこれも怖い。
背中でただの荷物と化してる、アイゼンとアックスがただ悲しい。

ヤブとザレザレのザレ場に泣かされながら、なんとか高度を上げる。
最後にやっと雪が出てきた。

本来のダブルアックスの使い方が出来て心底うれしい。
先行するアベさんに、1枚くらい北アルプスっぽい写真が欲しくて
おねだりして写真をとってもらう私。先輩にすみません。

やっと、本来のダブルアックス
やっと、本来のダブルアックス

アベさんのルートファインディングは素晴らしく、予想どおりにG2の頭に突き上げる。
さすがです。私、本当に今回、なんの役にも立たないっていうか、なんとか後ろをついていくのに精一杯。。。
このスタンスから早く卒業しないと。。

こっからは五竜山頂はあきらめ、五竜山荘経由で下山。
五竜山荘で交信をすると、本隊とつながる。
本隊は随分前に、BCに戻り
ササダ、かおり部隊も登攀を終え、頂上を踏んで下山している事を確認できて
皆の登頂成功を喜ぶ。

BCに着くと、みんな外でお出迎えしてくれた。
これは本当にうれしかった。皆さんありがとうございました。

アベさんには、本当にお世話になりました。
無事に、登攀できたのも、アベリーダーのおかげでした!
本当に、ありがとうございました。

しかし、もう、ヤブはコリゴリです(笑

甲斐駒ヶ岳

竹宇駒ヶ岳神社~黒戸尾根~甲斐駒ヶ岳

時期:     2014321日(金)~23日(日)

メンバー:  コバ、ケンタ
工程: 3/21日 曇り時々雪 東京- 登山口- 七丈小屋   3/22日 快晴 七丈小屋 - 山頂 - 七丈小屋     3/23日 七丈小屋-竹宇駒ケ岳神社

 記録

東京を5:30に出発するものの、首都高の事故の影響でのっけから渋滞気味。予定より若干遅れて8:00すぎに尾白渓谷の駐車場に到着。2月の雪の影響で駐車場へ通じる道も不通だったため、先週まで約1ヶ月の間駒ケ岳山頂を踏んだ人はいなかったとのこと。駐車場にもまだ大分雪が残っていました。

駐車場あたりは春の雰囲気
駐車場あたりは春の雰囲気

さっさと準備をして出発。竹宇駒ケ岳神社も雪の中。お参りをして先に進みます。尾白川に掛かる吊橋を渡ったところから本格的に登り始めます。先行者が結構いるようで、踏み跡ははっきりしていて迷うことはありません。しかしこの日は気温がどんどん上がってきて暑い。結構な傾斜の単調な山道で飽きる。暑い。疲れる。結局笹の平の分岐まで2時間も掛かってしまった。笹の平までくれば傾斜も少し落ち着いてくる。

ここから1時間ほどで刃渡り。この頃から風が強くなり、雪が混じるようになる。刃渡りも横風に少し緊張する。ようやく楽しいゾーンに入った感じ。刃渡りの先すぐにあるはずの刀利天狗も雪に埋れて確認出来ず。ハシゴや階段が続くがほぼ雪に埋まっていて準雪壁状態の場所も多い。ピッケルとアイゼンの前爪を効かせて慎重に登って行く。特に五合目小屋跡の先の鎖場は完全に雪に埋まり緊張感のある雪壁になっていて、この日の核心部でした。
七丈まではこんな感じが続き、小屋手前のいやらしいトラバースをこなして小屋に到着。
雪が多いため、テンバは第一小屋の前に設定されてました。水は小屋が提供してくれるのですが、水を入れた10Lのヤカンは17:00位には引っ込んでしまうので注意。
トイレも清潔で居心地の良いテンバです。
晩飯は鳥肉のトマトシチュー。米は炊いてみました。なかなかでした。

22
()快晴
4:00起床 ー 七丈5:30 ー 山頂8:00 ー 七丈11:00
夜の間ずっと強い風の音が響いていましたが、朝起きると満天の星空。絶好の天気です。5:00頃東の空が赤く染まり、足元が明るくなってきた5:30頃行動開始。
 まずは八合目を目指します。第二小屋の手前の雪だまりをよじ登ってスタートです。気持ちの良い樹林帯を経て徐々に傾斜が増てきます。先行者がいるらしくトレースが続く。でも人数は少なそう。樹林が薄くなったあたりで先行者を上部に発見。ソロの男性のよう。

七丈小屋のすぐ上から
七丈小屋のすぐ上から

雪は深く、時々膝下くらいまで踏み抜くことはあっても、トレースのおかげで順調に高度を稼ぐ。

八合目直下
八合目直下
八合目から摩利支天と遠くに北岳
八合目から摩利支天と遠くに北岳
八合先の大岩の基部を巻いていく
八合先の大岩の基部を巻いていく
お馴染みの剣が刺さった岩
お馴染みの剣が刺さった岩

八合からは遠くに鳳凰と北岳が望め、目の前には摩利支天がそびえる。これから登る方向も険しさが増してきます。八合からすぐに大岩があり、この下を巻いて行くところが嫌な感じだけど、これを切り抜けると例の剣が刺さった岩の脇に出る。この辺りで先行者に追いつき、トレースのお礼をしてトップを代わる。昨日の雪でノントレース。まっさらな雪に自分の足跡を刻んで行くのは何とも爽快。雲ひとつない空に白い雪が眩しい。ここからは3人でトップを代わりながら山頂へ。朝の低い気温で締まった雪にアイゼンとピッケルがよく効く。

見上げるとトレースの無い雪壁に霧氷が綺麗
見上げるとトレースの無い雪壁に霧氷が綺麗

10

もうすぐ頂上
もうすぐ頂上

今週一番乗りの駒ケ岳山頂からは目の前には次の目標仙丈と北岳池山吊り尾根が見渡せる。遠くには北アルプスが一望。八ヶ岳もクッキリ。そして富士山がデカイ!

山頂から北岳
山頂から北岳

 久しぶりの充実感。いつも思うけど甲斐駒ケ岳山頂は独立峰の趣があってやっぱり良い。

山頂で単独の人と話し込んだらどうやら新潟の山岳会の人で夏は沢、冬はアイスが中心だそう。新潟の早出川流域が素晴らしいと言ってました。
摩利支に立ち寄ると言っていた新潟さんと別れて、僕らは下山します。雪の下山は何時ものごとく登りの倍のスピードで下って行きます。あまりの天気の良さと快適な登頂に気を良くして調子に乗りすぎていたかもしれません。
八合を過ぎて傾斜が緩んできたあたりからは、シリセード混じりに快調に下っていました。樹林帯に入りトレースをショートカットしようとシリセードを始めました。方向転換しようと前方の木を蹴飛ばした時、グキッとやな音が。左足首捻挫確定。大した傾斜じゃなかったので蹴飛ばしたとき止まって良かったのですが、もう立ち上がれません。とりあえずケンちゃんが持っていたテーピングで固定し、這うようにして七丈まで下りました。
七丈でのんびりして次の日下るのは予定通りとはいえ、ほぼ一日中アイシング
最終日はアイシングの甲斐あって少し痛みも引き、靴も履けたので下山決行。実はこの日小屋の客で靱帯を切った人がいてヘリで運ばれて行きました。
僕はといえば、ケンちゃんから借りたストックに頼りながら、ヨチヨチ下山。それにしても黒戸尾根は長い。5:30に下山開始し、駐車場には15:30。実に10時間かかりました。
翌日念のため整形外科を受診したら左足首内側くるぶし骨折が判明。下れて良かったあと心から思いました。関係の皆様にはご心配をおかけし大変申し訳ありませんでした。

さて、身を持って次のような教訓を得たわけです。

1.シリセード
シリセード自体は下山時よく行われることなのですが、コースを見極めること。先に障害物があるときは基本どおりピッケルで停止する。たかが木とはいえ(僕が蹴飛ばしたのは直径15cmくらいの細い木)体重が乗ったときの衝撃はかなりのものです。

2.救急セット
捻挫(僕は骨折でしたが)は山では比較的起きやすいトラブルです。山小屋などはないのが普通なので、足を固定するテープは必携。今回は僕とケンちゃんで2本あったのが救いでした。また下山を想定した場合は痛み止めもあった方が良いでしょう。今回は僕が持っていたバファリンが気休めになりましたが、ロキソニンとかもっと強いのがあったらより行動が迅速だったでしょう。
捻挫であればボルタレンとかの湿布も有効です。特に夏はアイシングが出来ないので。

3.ストック
今回はケンちゃんのを借りられたけど、使わなくても持ってると安心ですね。杖なんてバカにするのはやめにします。
いうことで少し進化して来年は池山吊り尾根を目指します。みんな付き合ってね!


八ヶ岳 横岳-硫黄縦走

日ノ出岳のルンゼ(だと思われる)急でした。

3/22-23 八ヶ岳 横岳-硫黄縦走

参加者:カト、サブ(記録)

<コースタイム>
3/22 曇り時々雪
新宿7:00-9:08茅野9:35-美濃戸口10:13…14:50行者小屋(幕営)
3/23晴
起床3:30-行者小屋5:30-地蔵の頭6:30-横岳9:50-硫黄岳12:00-12:30-赤岩の頭-赤岳鉱泉-美濃戸山荘14:30-美濃戸登山口15:30

<感想>
全くの私事だが、年度末恒例の駆け込み仕事、消費税増税に加えて、新規プロジェクトを掛け持ちで、仕事がてんてこまいまいの私は、
12月頭のキックボクシングの試合を終えてから運動不足がたたり、なんと、6キロも太ってしまった。

春合宿までに、なんとか体重と、体力を戻すべく、カトさんが出していた山行にのっかることとした。

1日目は茅野でカトさんと合流。天気はいまいち。茅野で、友人二人とバッタリ。
彼女らは、行者小屋どまり、赤岳主稜と石尊稜を行くという。実は、去年の春合宿で北穂の東稜でもバッタリあったのだ。山は広くて、狭い。

この日は、美濃戸から行者まで。カトさんの軽快な足取りに運動不足の私は、なんとかついていく。
途中凍結箇所があったので、私は迷わずアイゼンを付けるが、カトさんは美濃戸山荘までノーアイゼン。
私の希望で、景色のよい北沢経由で行く。

行者小屋には15:00前に到着。よき場所にテントを張り、さっそく宴会。カトさんの豚シャブは絶品。19時頃、カトさんは就寝。
私は、南沢でアイスを楽しんでから、小屋入りすると言っていた件の友人を訪ねる。
18時過ぎに小屋に到着したようで、1時間ほど談笑。テントに戻り20時頃就寝。

3/24 5:30出発予定だったが、二人とも身支度早く、明るくなるまで小屋で暖をとりながらアイゼンなどつける。
予定時刻に出発。
地蔵尾根を上がる。天気はすごぶるよい。周囲の景色に顔がにやける。
途中、1個目のはしご付近で男性が一人降りてきた。
なんでも、先行パーティーが、2個目のはしごの先にトレースがなく、危ないので、引き換えると聞いて、彼も降りてきたとのことだ。

カトさんが、私たちはとりあえずこのまま行くこと、また、地蔵までのルートを詳細に彼に伝えたら
どうやら、勇気を得たようで、最初はついていくといいつつ、そのうち、先にどんどん行ってしまった(笑

しばらくすると、彼の言っていた、先行3人組がやはり降りてくる。これから先は怖くていけないから戻るとのことだった。
彼らを見送り、私たちは先にすすむ。

しかし、12月末に来た時よりずいぶん雪が増えて、ほぼはしごが埋まっている。
地蔵の頭までも結構厳しかった。。。いや、正直に言おう。久しぶりの山なので、相当、怖かったです。はい。

地蔵の頭への最後の急登 (後続者)
地蔵の頭への最後の急登
(後続者)

やっと地蔵の頭に出る。

右を見ると、赤岳がキレイに見える。
横岳に向かう人はいなさそうだ。トレースもうっすら。あるかないかの感じ。今日入っている人はいないようだ。

最初はなだらかな雪稜。天国のようにキレイだ。振り向くと赤岳の後ろに富士山が。来週行くかもしれない県界尾根の切り立った姿にビビりながら北に目を向ける
まず、二十三夜峰。。。確か、右に巻く。途中鎖だと思われる金具があるので、夏道通しなんだろう。カトさんが先を行くが、このトラバースも中々、慎重さをもとめ
られる。私は加藤さんが切ってくれたステップを使ってなんとかついてゆく。
私は今回、ここが一番怖かった。

そのあとは日ノ岳のルンゼを行く。トレースはない、右にトラバースでルンゼを横切り、そこから直上する。
ここで、硫黄方面からの単独の男性と行き違う。彼のトレースにしばし助けられほっとするが
ここは、雪の状態が悪いとルンゼなので、雪崩が怖いとのこと。
今回は雪がしまっていてアイゼンもピッケルもよく効く。

 

日ノ出岳のルンゼ(だと思われる)急でした。
日ノ出岳のルンゼ(だと思われる)急でした

この上で後続の男性に先に道をゆずる。

鉾岳はたぶん左に巻いて稜線に出た(と思う)石尊峰は気が付かないうちに通り過ぎた模様(石尊稜を見下ろしたかった。。。)
やがて杣添尾根との分岐、三又峰の道標が出てくる。

あとは広い稜線で奥ノ院(横岳の主峰)まで進む。横岳山頂で他のパーティーに写真をとってもらう。
いやはや、360度パノラマ。。。すばらしい天気だ。

横岳山頂。素晴らしい青空!
横岳山頂。素晴らしい青空!

これでほっとした私は、横岳からの下りがあまりにもナイフリッジでビビる。
リッジをこわごわ行くと、今度は、はしごだ。

カリカリに凍っており、手がかりがなさそうだ。左側にプラプラと番線が出ているので、これを手がかりに降りるのか~と
おもっていたら、カトさんが、はじめてここで、ロープを出そうという。
(どうやら、番線があるのに気が付かなかったよう)

ええ?ここで?と思ったが、確かに落ちたら命がなさそうだ。
ロープ出すなら、とさっそく先におろさせてもらう。
ここで何パーティーがとカチ合いしばし待機。

はしごを降りて、しばらくいったところで、今度はカトさんをビレイする。
ここでロープはしまい、あとは硫黄まで、天国のような縦走だ。

広い雪原を硫黄岳までいく。 でも、ホワイトアウトしたら怖い場所ですね。。
広い雪原を硫黄岳までいく。
でも、ホワイトアウトしたら怖い場所ですね。。

何度も景色を振り返り、写真をとったり、こんなにゆっくり山を楽しむのはどのくらいぶりだろうかって感じ。

広い雪原を悠々と進む。硫黄の烈風の洗礼をうけるのを少し楽しみにしていたが
なんと、無風快晴。そよ風もないくらいだ。
ちょっと、残念だが、せっかくなので楽しもう。

青い空に白い雪のコントラストがまぶしい。やがて、ケルンが山頂へ導くようにつまれてるのが見えてくる。

頂上までトラバース気味のケルンを後目に途中から爆裂火口に向かって直登していく。

はじめてみる爆裂火口は、自然のすさまじさを目の当たりにさせた。

爆裂火口。すさまじい~。
爆裂火口。すさまじい~。

その後、山頂へ。

登山客が全員笑顔でご機嫌だ。そりゃそうだろう。スケスケのファイントラック一枚になっているおにいちゃんもいた。

写真をとって、握手。しばし山頂で休む。こんなに硫黄山頂でゆっくりできるのもめずらしいらしい。

自然と笑顔になってしまう風景。
自然と笑顔になってしまう風景。
硫黄岳山頂。横も硫黄も私は初めてでした!ご満悦。
硫黄岳山頂。横も硫黄も私は初めてでした!ご満悦。

カトさんとは、ここでお別れ。私は、次の日仕事が入ってしまっているので、このまま美濃戸まで下山。

カトさんは、もう一日、本沢温泉経由で渋の湯に抜ける予定だ。

別れを惜しむ。なんだか、すごくさみしい。。。一緒に行きたいが、仕事なので仕方ない。

私は赤岳鉱泉まで降りる。途中、雪崩危険個所があるようだが、雪の状態がよいが、さっさと樹林帯まで降りる。
赤岳鉱泉で一休みしてから、一気に美濃戸の登山口まで降りる。
途中で、カモシカがいた。もふもふだった。

15時30分、バス停につく。
16時30分のバスでゆっくりお風呂に入ってから、帰ろうと、山荘のお兄さんにお風呂の券を買った時に衝撃の事実をしる。
下の道に路上駐車が多く、バスが通れないから、なんと!ここから歩いて20分のバス停まで歩いてくれと。
余裕をみて16時には出た方がいいと聞き急いで風呂に入り、髪の毛も乾かさずでてくると、最終バスなので
乗り遅れると申し訳ないと、アルピコバスが、送迎のバンを出してくれるとのこと。
よかった。。。生ビールを一杯急いであおるだけの時間をもらい、なんとか帰路につくことができた。

晴天の中、ヤツの美しさを存分に楽しむ事ができた。
上げ膳据え膳にもしてもらい、カトリーダーには本当に感謝です。

また、よろしくお願いします!!

(カトの感想)
雪山はいつも同じ顔ではない。だから今度はどんな顔をして迎えてくれるのかが楽しみでわくわくする。横岳縦走は何回か経験してきたが地蔵の頭から硫黄岳に向かうルートは初めて。地蔵ノ頭へのルートは二つ目の梯子から右の岩を巻いてからナイフエッジに出るのだが雪がしっかりついていて雪稜上からナイフエッジまでの急斜面を直登する。クラスト気味の斜面はアイゼン、ピックがきいて気持ちよい。

横岳方面へは本日は誰も入ってない。微かにトレースが見える。このルートはいくつかのピークを東面、西面を巻くのだが、いつもは巻くルートが厳しいが今回は雪のお陰でザイルを出すほどでもなく楽しい縦走となった。ただし、横岳を直下の梯子だけは下りのためにザイルを出した。お互いの姿が見えず、声も通らない場所でのスタカットのよい練習になった。ザイルの動きで対応する本番でのザイルワークを感じ取れた。

硫黄岳は何度も経験しているが無風状態は初めて。さぶさんには硫黄岳の強風を体験してもらえないのが残念。

本沢温泉に下り、露天風呂に入る。男性3人、女性2人が入っている。後から女性2人が入ってくる。女性は水着を着ていて準備がよい。暖かな陽気とはいえ約40度のお風呂から出るときは寒くて勇気がいる。

2日目は7:00本沢温泉を出発。上りの調子が出ない。夏沢峠まで1時間30分、箕冠山まで1時間もかかってしまう。根石岳の裾野の広々とした雪面を見て気合が入る。根石岳から天狗を見ると素晴らしい雪稜で誰もいない。雪稜を独り占めして黙々と登る。東天狗もそよ風で頂上でゆっくりする。下山は中山峠経由黒百合平、渋ノ湯に下りる。渋ノ湯でゆっくり温泉につかり山行を振り返る。

北稜に入って初めての本格的雪山がこの硫黄-横岳縦走だった。このときのメンバー6人で残っているのは笹田さん、ハギさんと私の3人。このルートは思い出深い。何度来ても飽きないがこれからはそう来られないだろう。よい天気と良きパートナー(さぶさんには老人相手で申し訳ないと思うが)のお陰で有終の美を飾れたと思う。

 

 

 

白毛門

白毛門
期日:2014年2月22日(土)~23日(日)
メンバー:ミナト(L)アトム・スガ・ケンタ・コバ・サイトー・いしつかみ(記)
行程:
2/22・・水上駅8:51集合・・バス8:57・・土合バス停・・白毛門登山口9:40→松ノ木沢の頭手前平担地(幕営)3:20

2/23・・起床4:00~テント(出発)7:00→白毛門8:45→テント地9:15→ テント回収10:00→白毛門登山口11:25・・土合バス停・・バス12:17・・水上駅12:52出発

記録:
2/22 曇り時々小雪や晴れ
土合バス停留場をおりると、そこは雪国だった・・。(当たり前)一週間前に大雪に見舞われたので物凄い積雪を想像。しかし、思ったより大雪ではなさそうなので一安心。小雪がちらつくなか、小屋の軒下で準備を整える。登山靴に直接わかんを装着し準備万端。白毛門ラッセツ隊、いざ出発。
先頭からコバ、いしつかみ、サイトー、ケンタ、アトム、スガ、ミナト?だったか??・・順番に関しては記憶が定でなく、途中何度も変化。そして、なにより前を歩く人の足元しかみれてない、余裕のない歩きっぷり。そんな訳で前後以外はあまり覚えていない。何度も記録を担当しているはずなのに、情けない。今年はこの曖昧な記憶を克服したい。

IMG3309さて、話しは戻り・・出だし付近のラッセルの深さは膝下ぐらい。登山口付近では他のパーティーを確認しなかったが、場所によってうっすらトレースがついている。それでもここは豪雪地帯。先頭を行く隊員は、気力、体力、全て出し切らないと進めない。しかし、楽しそうにコバさんは進んで行く。一歩一歩、足元を固めながら進む。重い雪も場所によってはサラサラで、なかなか足元が決まらない箇所もあるが、ルンルンに進んで行くのであった。

一時間ほど歩いて最初の休憩。汗をかかないように登るのが冬の掟なのだが、たっぷりと汗かきまくり。ニット帽もインナーも全て外し薄着に。毎度このような事態になるのだが、準備段階で薄着になる根性がない。体質的なこともあると思うが、サイトーさんは最初からヤッケの下は下着一枚。たまにチラッとみるとチャックがオープンに。暑さ調節だ。それにニット帽はかぶらずヤッケの帽子で調節。なるほど・・。サイトーさんからは色々教わった。言葉だけじゃなく無言で(こちらが勝手に解釈)伝わることもある。

薄着になった後は快調。初めてのラッセルも経験。ピッケルで雪を掻き分け、膝で雪を固める。そして足を踏み込んで行く。その繰り返し。息が上がり、同時にテンションも上がっていく。(何これ?楽しいー!やばい、最高―!!)

興奮したのもつかの間、物凄い体力を消耗する。踏ん張りどころだが、ラッセルマシン化した兵だらけ。ついつい甘えが発生してしまう。ほんのわずかで交代した。今日、この日はコバさん、ケンちゃん、アトムさん、そしてサイトーさんが大活躍だった。

2/23 晴れ時々曇り
翌朝4時起床。さあ、いよいよ白毛門頂上を目指す時が来た。
昨夜、降っていた雪もそんなに大袈裟なものでもなく、かえって綺麗な白銀の世界を造っていた。状況次第でピーク断念かもしれない。タイムリミット12時。スガさんの調子が悪くテントに留まることになる。
そんな条件つきで6名のラッセル隊は出発。

今日もトップバッターはコバさん。大変なんだろうけど楽しそうに、楽しそうに登る。少年のような、はしゃぎっぷり。これって大事なことで後を歩く私までもが楽しさが伝染してくる。辛いのに楽しい。面白い現象だ。コバさんの後を歩くとマルコのように、何千里でも歩けそうだ。

次にケンちゃん。やはり持久戦チャンピオンとでもいうのか、息も切らさず進んで行く。足が長い?否、身長があるからだろうか、歩き幅が他の誰よりも長い。文句一つ言わない姿勢に脱帽。細身の身体だけど体力十分、スピードもある。ケンちゃんだけにはお姉さん風を吹かせたい。息が上がるが聞こえないよう堪えた。辛さアピールも控えた。必死の努力、気付いていたのだろうか・・。

さて、アトムさん。全身筋肉で鍛え上げられた体はまさにラッセルマシーン。身を持って私たちを危険から救ってくれた。それは二度もクレパス風(雪の下が空洞)に填まった。しかし全身の筋肉をフル回転させ、登り返す。あの技はまさに、アトムさんのオリジナル、日ごろからのトレーニングの賜モノ。立派だった。あの空洞は今でもはっきり目に焼きついている。怖い、切り立った尾根よりも怖い。まるで落とし穴みたいで予測不能。山ってすごい・・。

IMGP1329そして、この白毛門ラッセル山行ラッセル部門に輝くのは、なんと言ってもサイトーさんだ。同期だが数多くの雪山を経験している先輩だ。

一人真白な銀世界の急勾配を漂々と進むその姿は美しかった・・・。その姿は美しくて足が止まる程だ。感動を覚える。人ってこんなに美しいものなのか。山と一体化している。今、こうやって想い返すだけで心が静止する。幸せだ・・。

わかんを外している間にかなり先に進んでいった。魅了されながら後を追う。思ったより急勾配。積雪も膝上まである。ものすごい運動量なのだろうけど、真っ直ぐに伸びた姿勢、変わらない表情。あ、まさしく山男なのだ・・。

隊長のミナトさん。今回はほとんど、ラッセルすることがなかった。しかし、頂上付近での鎖場では、先頭をきり導いてくれた。それにアトムさんに続いて私も、空洞に片足をとられた。その時は引き上げてくれ助かった。それに頂上付近以外はずっと列の最後にいてくれた。何て言えばいいのか、底知れぬ安心感がある。決して見放さない、裏切らないブレナイ安心感。終始変わらずの安心感を与え続けてくれた。それに大事な寝床、幕営地での整地作り。スコップがとても似合っていて、早くて綺麗。まさに職人技、完璧だ。あっという間に平に仕上げた。松の木沢の頭手前のわずかなスペースを快適な寝床にしてくれた。

IMGP1335出発から1時間45分で頂上到着。頭の部分がちょこんと出た標識以外、何もない頂上。ふみ後一つない雪の上。「やったー!」記念写真を撮る。

見上げると谷川岳が姿をみせる。頂上付近にガスが、かかっているがはっきりと眺めることが出来た。風もなく爽快だ。

テントまではふかふかの雪を一気に下った。やわらかい雪を駆け下りるのは快感すら覚える。登り綺麗に描かれたトレースは、ぐちゃぐちゃに変わる。白毛門を独占。童心にかえる。贅沢な大人の雪遊び・・。

そんな勢いで駆け下りたので、30程度で到着。あっという間だった。

幕営地から登山口までの下りは1時間30分程度。しかし以外に大変だった。
ふみ後が変形していて歩きづらくなっていた。天気もよく気温も上がってきて、下りなのに汗が滲む。わかんは外れる。だけども、はじけながら下って行く。

それでも、みんな、予定通り無事下山。12時のバスに乗車し白毛門を後にした。

IMGP1338最後に、テントの中で笑い転げた時間なしでは語れない、山行だった。

とりわけガタイのいいメンバーが4.5テントに終結。足をたたんだり伸ばしたり、時には、つりながらも、尽きない時間。辺りには静けさの他何もない。だから遠慮なくドンチャン騒ぎ。気付けば10時を回っていた。笑いセラピーとかがあるが、負けてない気がする。翌朝もテント内は笑い転げた。いったい何の話をしていたのか。気になるところだが、またしても記憶が曖昧。楽しかったことだけはしっかり覚えている。

白毛門ラッセル山行。楽しかった。天候にも恵まれ・・、天気じゃなくても、きっと楽しかった。くどいが、とにかく楽しかった。さらに楽しい山行は進化していく。

みなさま、ありがとうございました!

編笠山~権現岳

編笠山~権現岳

期日:2014年1月11日(土)~13日(月)

メンバー:いた(L)・ハギ(SL)・かおり・いしつかみ(記)

行程:1/11・・新宿発7:00(スーパーあずさ1号)~小淵沢8:54~タクシー~観音平口9:30~富士見平11:30~雲海12:55~押手川14:20(幕営)・・就寝20:15

1/12・・起床4:30~押手川(スタート)6:45~編笠山8:10~青年小屋8:30~権現岳11:00~青年小屋12:30~編笠山13:15~押手川14:05・・就寝19:15

1/13・・起床5:00・・押手川(撤収)7:25~富士見平8:40~観音口10:00~タクシー~温泉10:30・・12:50~小淵沢13:10~甲府14:09~新宿

 

記録:
今回の権現隊は女子だけのメンバーでした。荷物や力仕事、男子がいると、ついつい頼りがち。だからこそ甘えのない山行を!の意気込みで参加させて頂きました。
新宿発のスーパーあずさで四人の女子隊は小淵沢へ向かいました。
三連休初日とあって混雑を予想していたはずの車内は余裕たっぷりでした。天気は良好。窓からは八ヶ岳連峰は顔を覗かせ、わくわく致しました。
小淵沢駅に到着すると事前に予約していたタクシーに乗り込み、観音平口へ。20分位で到着。装備を整えいよいよ出発。さあ、ここから楽しい山行の始まりです。

富士見平の登山口まで林道を歩きました。ゆるやかな勾配にもかかわらず、私は大汗をかき始めました。それに気づいた先頭を歩くかおさんが、汗は大敵だから脱ぐようにとアドバイス。新調したヤッケと腰に貼り付けたカイロを外しました。汗は落ち着きいい感じに。早い時に自分で意思表示をしなければならないと思いました。

登山口から少したった辺りに、シカがお出迎え。キョトンとしてかわいらしく、結構たくさんいました。この辺りのエリアを拠点としているらしく、帰りもまた見送ってくれました。行きも帰りも同じシカでしょうか、私たちはシカに見つめられながら、進んでいきました。

しばらくすると雲海に到着。まだ樹林帯なのですが、ちょっとした展望台になっていまして風があたります。ここでアイゼンを装着し、汗のかかない程度の速さで進んで行きました。

微妙な時間で押手川にさしかかりました。リーダーの判断で、青年小屋ではなく押手川でテントを張ることに。一旦ザックを置き、適切な場所はないかと探索にとりかかりました。急に身軽になり、はしゃぎながら登っていくと、この日初めての登山者と会いました。日帰り単独男子、編笠山ピストンコース。この先の様子など尋ね総合判断をし、編笠山手前、急勾配手前ギリギリのナイスエリアにテントを張りました。時間的に余裕の幕営でした。風もなく良好な環境でしたが、やはり八ヶ岳2000メータ上空。手足が凍えてきました。

(やば・・やばかったかも・・)などの思いが過ぎりました。(頑張って青年小屋まで行っていたら・・)そう思うと、余裕をもっての行動って大切なんだと、実感致しました。

テントの中では個々に持参したアルコールで乾杯。止まらぬおしゃべり。

夕食も一人150gとたっぷりお肉のすき焼き。いたさんが丁寧に三度にわけて味付けしてくれました。おいしかったです。あ~、なんて幸せなんだろう・・。

編笠へ
編笠へ

翌日、荷物をテントに置き最低限だけ持参して、いよいよ編笠山~権現岳へと出発。編笠山頂上までは急勾配でしたが、途中に素晴らしい景色が溢れていました。陽のでに照らされ反射する優しいオレンジ色の木々。空を舞う幻想的なダイアモンドダスト。吸い込まれそうな真っ青な空。雲の上に浮かんで見える富士山。くっきりと頂上の姿までみえる南アルプス。そして静かに連なる北アルプス。どれもこれも、凄い!美しい!見事であります!!

私たちは何度も足を止めてしまいました。魔法にでもかかったように何度も立ち止まりました。(日焼け止めクリームタイムも含む)

編笠山に到着。それまで無風に近かったのに、ものすごい風でした。私は顔の面積が広いのか、とにかく顔が痛く、守ろうとあたふたしてしまいました。その為頂上のことはよく覚えていませんでした。それが、不思議なことに帰りは全くの無風。腰を下ろし休憩をとるほどでした。近くにいた男性は「毎年来ているけどこんな天気はめずらしい」と絶賛していました。

編笠山
編笠山

編笠山から青年小屋までは下り。(あ~)と思い、そして権現岳へ(ふ~)と登り返し。注目していたトラバースには鎖が出ていました。大丈夫ということで慎重に進んで行きました。私は終始右手にピッケルを持っていましたが、山側にピッケルを差し込みながら、とアドバイス。「はい!そうか、3点確保・・」より安定して歩くことが出来ました。一つ、また一つと大切な事を教えてもらいながらの学びの山行でもありました。

 

 

 

仲間たち
仲間たち

トラバースも過ぎ権現岳小屋手前の細い稜線で、カトさん、ケンちゃんに会いました。嬉しいですね、楽しいですね、山で仲間に会うと高揚してきます。

写真を撮り、つかの間の時を終え、さよなら致しました。

 

 

 

 

権現岳
権現岳

さあ、最終段階です。またもや風が吹き荒れてきました。場所によって風が強かったり、なかったり。一歩一歩進み、よじ登り・・権現岳山頂に到着。風に煽られながらハイチーズ。観賞に浸る間もなく頂上を後にしました。・・。 

真っ直ぐにそびえ立つ赤岳。元旦に登る予定が悪天候のため断念。そんな暗い話しも吹き飛ばすような絶景。誰のものでもない山なのに、何故か自分に語りかけているような錯覚を起こしたり、贅沢な時間でした。

ワイワイしながら、テントに戻って来ました。テントを確認したとき「テント」が「家」という感覚でした。その我が家での過ごす時間も格別でした。俗に言うガールズトークと言うのでしょうか、女子だけならではの本音おしゃべり。内容は非公開とさせていただきますが、楽しかったです。(おホホ・・)

 

 

P1000914
雪稜から編笠へ

翌日、無事観音口ゲートまで辿りつき、タクシーを手配し温泉へ。20分位車を走らせた処にある「延命の湯」。受付の方が良心的で通常料金600円だけど、クーポン利用で500円にしてくれました。世の中の流れなのでしょうか、女子だけだと得をする世の中なのでしょうか。(ちなみに受付は中年男性)

ゆっくりと温泉につかり、その後お食事処で、ビールで乾杯!あ~美味い!

充実した三日間でした。天候に恵まれ素晴らしい展望でした。風もなく、時には暑いぐらいの陽気でした。女子だけの山行は初めてで、新たな発見を体験させていただきました。そして、リーダーいたさんの、的確な判断やアドバイスなど勉強になりました。おっとりとした口調や身のこなしなど安心していられました。またご一緒させて下さい。かおさんはとことん面倒をみてくれます。本当に感謝致します。ハギさんは自然体なので憧れからか、チョロチョロ見てしまいました、すみません・・。

初めての冬山登山達成を果たしました。厳しい条件付きの厳冬期。しかし今回は恵まれまして、いいことだらけでした。やはり女性は逞しい、そう確信致しました。これで迷いはなくなり、ますます冬山にはまってしまったようです。

次の山行まで、いてもたってもいられない、楽しみです!

 

皆様、ありがとうございました。

二 王 子 岳

青空の中すべります

期 日:2013年3月14(金)~17日(日)
参加者:案内:田中(OB)、L高嶋と夫人(友人)、いた(記)

14日 高円寺9:00~聖籠IC~旅館「庭山」0254~25~2028 泊
15日 南俣に車駐車9:15~二王子神社10:45~一王子避難小屋13:10
16日 出発5:45~独標7;20~山頂小屋9:50~10:40~一王子避難小屋12:00~12:40

~二王子神社14:00~車14:30 旅館 泊
17日 帰宅

二王子岳は とても、とても良い山でした。 1420mと標高は低いのですが、登り始めが200mなので、約1200mを登るのです。
日本海の強風がまともに当たり地形が複雑で、何度も登っている新潟の田中さんの案内と、同行してくれた高嶋夫妻のおかげで登ることが出来ました。

15日、快晴
旅館で待ち合わせ~南俣に駐車。すぐに雪道になりシールを滑らします。樹林の中を二王子神社へ歩き始める。
二王子神社で旅の安全を祈り、水を汲んで山道を歩きます。

二子神社
二子神社

途中三ヶ所雪の付いた細い橋を緊張して渡り一王子避難小屋へ着きました。小屋にはスコップが置いてあり、二階から入ります。太陽がさんさんと暖かいので、外にベンチを作りさっそくビールで乾杯。

と・・・長部さんが滑り降りて来ました。鳥海山の千蛇谷を一緒に登った人で75才です。
再会を喜び「あさっても山に行く」と言うのにはびっくり、元気をいただきました。
と・・・間もなく田中さんの娘さんが歩きで降ってくるではないですか。地元の人はいいな~。
お父さんのうれしそうな顔は当然ですねぇ。  夜・・・満天の星空にみとれていました・・・。 

16日、晴れ~曇り
4:00起床。田中さんが持ち上げてくれた石油のお陰で温かく寝る事ができました。
雪面が硬いので途中でクトーを付けゆっくりゆっくり歩きます。
独標では標識の棒があり積雪4mを示していました。眺めが良く日本海が見えます。

青空の中すべります
青空の中すべります

傾斜が急になってきたので、スキーを担いだ方が早いとひさしぶりに背負っての登りです。
風が強くなり、凍った雪面を蹴り込みながら登っていると、左手はるかに頂上の小屋が見えてきました。
風がいっそう強くなり背負っているスキーがあおられて、フラッとよろけ、・・・小屋まで・・・小屋まで・・・といいきかせ、やっと着きました。
スキーごと小屋に入り込みホ~~。
小屋では二王子の主、長谷川さんとしばし談笑。

 
飯豊連峰のパノラマを眺め・・・・さあ、シールをとって、滑りです!

素晴らしい山行ですね!
素晴らしい山行ですね!

強風の中、カリカリの氷と雪とめまぐるしく変わる雪面を・・・・転ばないよう・・・転ばないよう・・・。
高嶋夫人が後で「大丈夫だから思い切って!」と声をかけてくれます。

 

ご主人はスキーはおてのもの、すいすい滑っています。
独標で小休憩 フゥ~~。 小屋までは風も少なくなり、快適に?滑り降りました。
ここからは重くなった荷を背負って、樹林の中の滑りになり、木に当らないよう枝の落ちている雪面を田中さんの先導で右に左に滑ります。
とても分かりにくいところです。
マンサクの花に会いました、うれしい!わたしの好きな花です・・・しばらくすると日本カモシカが博士のような顔をしてこちらをじっと見ているではないですか、
いいね~~。
二王子神社に着いて ホッ~ 自然に手を合わせていました。
参道を滑り南俣の車の所でオ・シ・マ・イです・・・。 新潟へ帰る田中さんと別れがたく、村の雪割草展を眺めて、さよならをしたのでした。
田中さんに呼びかけて頂き、念願の二王子岳に登れました。
ありがとうございました。

17日 真っ白に輝く二王子岳をふり返りふり返り新発田を後にしました。

東沢乙女ノ滝アイスクライミング

東沢乙女ノ滝アイスクライミング
2013 年1 月26 日~27 日
メンバ笹田、山田(典)、高野(賢)、阿部記
1 月26 日
AM7:00 いつもの西大宮駅でタカちゃんと合流。そこで湊さんからテントとアイススクリ
ューを借用する。
湊さんは仕事で3 日間も自宅に帰れていないとかで、疲れきっているように見える。
気の毒で掛ける言葉が見つからない。本人が一番行きたがっているアイスクライミングな
のだが・・・。
湊さんの見送りを受けながら圏央道を通って中央高速に入る。順調に走っていたのも笹子
トンネルの手前まで。天井の落下事故で片側通行の渋滞に捕まる。予想はしていたのだが、
想像以上の大渋滞に待ち合わせ時間までに到着できるか不安になっていると、ちょうど笹
田さんからの電話が入る。山ノリさん車は一般道を快調に走行しているとのこと。
それでも何とか集合時間5 分前に西沢渓谷駐車場に到着。
笹田さんは大月駅で下車したのだが、偶然にも“上高地散策隊”と同じ列車になったとの
こと。強い冬型なので長野方面は降雪していることが予想されるが、目的の半分は飲み食
いのようだから心配は無用かも。
駐車場を出発してすぐアイゼンを車に忘れたことに気づき慌てて戻る。危なかった。
西沢と別れ、東沢に入ったところでアイゼンを装着する。
左岸側に登山道があるのだが、所々に倒木があり行く手の邪魔をする。夏は一般道のはず
だが、滑落したらただでは済まないような所もあり気は抜けない。清兵衛沢で小休止し、
ホラの貝沢を大きく高巻き、山の神を過ぎればあと少しで乙女ノ沢のはずなので、適当な
場所に幕営地を求める。幾分高台になった場所にテントを設営し、夕方まで乙女ノ滝F1 で
登降の練習をする。斜度はきつくないが50 メートル一杯登る必要があり、途中休めないの
でふくらはぎがパンパンになる。ピックの打ち込みも普段使うことのない筋肉を使ってい
るようで、上部の方になるとピックの刺さりが甘くなる。練習の途中風雪が一時強くなっ
たが練習を切り上げる時間には穏やかな天気に戻る。
乙女ノ滝取り付き付近には男女ペアがテントを設営している。「どんぐり山の会」だとか。
結局この2 日で乙女ノ滝を登りに来たのは我々とこのパーティのみであった。
今回は氷のコンディションは最高で、誰も手を付けていないピカピカの氷瀑が堪能できた。
テントに戻り、山ノリさんの常夜鍋と磯部餅と適度なアルコールでお腹を満たす。
笹田さん持参のベーコンがスコッチウィスキーに良く合う。

F1取り付きで登降練習
F1取り付きで登降練習

1 月27 日
AM4:00 起床。天気快晴。
懸垂下降の時間を考え、行動は11:00 までとする。
タカちゃん特製の野菜いっぱいラーメンの朝食を済ませ出発。AM7:00 乙女ノ滝取り付き
に到着。「どんぐり山の会」ペアに先を譲る。彼らは荷物を背負って尾根を越え西沢渓谷側

に下りるようだ。
今日は笹田さんのご指示でペアを変え、笹田&山ノリ、アベ&タカでクライミングを開始。
今日はF1 では途中にアイススクリューを1 本打っただけで上に抜ける。
昨日の練習から氷が硬くピックの効きが良いことと、スクリューをねじ込むのが結構大変
だということが分かったので。
くの字の小滝を越えると次の50 メートル位の滝が見える。我がパーティはスタカットで登
っているので、ここで笹田パーティに追い抜かれる。
次の50 メートルは傾斜が緩いのだが、やはり疲れる。右岸の潅木に支点を作る。タカちゃ
んも相当疲れているようで、ピックを打つ力が足りていないのが分かる。
ここを登るといよいよ80 メートルの大滝になる。乙女ノ沢では一番急な滝である。私は左
岸側を、山ノリさんは右岸側にルートを取り、クライミング開始。氷が硬くアイススクリ
ューがなかなか入らない。その間にふくらはぎに疲労が溜まって苦しい登攀になる。アイ
ゼンを何度も蹴り込みステップを作り、スクリューを打ち込む作業を繰り返しながらやっ
との思いで潅木のビレィ点に着く。すぐ横にはチョロチョロと水が流れている。確保して
いると取り付き点で何か騒いでいる。問題が起きたようだ。タカちゃんが借りてきたバイ

ルのねじが緩んでしまったようで、タカちゃんはここでリタイア。
代わりに笹田さんにフォロー回収をお願いすることに。笹田さんには山ノリさんの残置支
点を回収し、さらにトラバースして、こちら側のアイススクリューも回収というご苦労を
掛けることになってしまった。相当疲れる作業のはずだが、何事も無かったかのように登
ってくる。普段どんなトレーニングをしているのでしょうね・・・
ビレィポイントに到着すると「アベくん、次リードするか?」と聞かれて、「いや、ここで
終わりにしましょう。」と答える。行動終了目標11:00 までにはちょっと時間が早いが、
引き上げることに決定。多分、山ノリさんもタカちゃんもほっとしたのでは?
ここから潅木を利用しての懸垂下降の連続となる。懸垂下降に苦労したような記録もある

が、ロープが最後の下降点で解くのに時間がかかった事を除けば、スムーズに降りて来ら
れた。人が少なくとても静かで、山の中に居る充足感を味わうことができた山行でした。
帰ってきて道具を見るとバイルの先も、アイゼンの先も少し丸くなっていました。
尖っているかどうかで刺さり具合に、それが疲労具合に影響するはずです。
そんなことを考えながらヤスリを掛けています。

80メートル滝全景
80メートル滝全景

赤岳主稜

8ピッチ目(sa山リード)

八ヶ岳赤岳西壁主稜

1 日  平成25年2月5日・6日
2 山域  南八ヶ岳
3 ルート  赤岳西壁主稜
4 目的  アルパインクライミング
5 メンバー  笹田(L)、カト(食担)、sa山、のり(記録)
         ひだまり山荘 荻原(OB)ほか2名
6 行動
2月5日  
 茅野駅 午前9:30集合~美濃戸口(2車両に分乗)午前 11:00~美濃戸午前 11:50出発(赤岳山荘駐車場、のり車のみ)~行者小屋(南沢登山道)午後 3:10着、(幕営)
2月6日
 行者小屋午前 6:30出発~文三郎登山道~赤岳沢上部トラバース~主稜取付き~チムニー(Ⅳ-)から凹角を登りリッジを右上~小フェースを越えてリッジを登る~やさしい雪稜~正面の凹角(Ⅲ+)を越えて右上ぎみに登って左のリッジへ~やさしいリッジ~雪の斜面~赤岳山頂(sa山・のり組 午後0:11、笹田・G女組 午後0:25、荻原・カト・N雄組 午後1:09)~行者小屋テン場 午後2:50、テント撤収 午後4:00~美濃戸 午後6:00~美濃戸口 午後7:05~茅野駅解散

7 記録
 山行日、5日は概ね快晴、6日に南岸低気圧が発達しながら通過するため天候は崩れる予想。6日から八ヶ岳周辺は風雪が強まるようだ。
 5日朝、茅野駅に参加者全員が集合、初顔合わせの方や、それぞれが今山行の成功を祈願しながら挨拶を交わす。
 2台の車に電車組の荷物を載せ、それぞれが分乗し一路美濃戸口へ向った。
 美濃戸口からは路面もアイスバーン状態、四駆でチエーン装着のジムニーに7人の荷物を載せ、もう一台はここへ置いてくことにし単独運転で先行、6人は空荷で歩く。 
 美濃戸までの道程はツルツルで、下り坂ではスタッドレスタイヤも効かずハンドルを切っても思うように進まない。
 沢に車ごと落ちないように、アクセル、ブレーキ、ハンドル操作を駆使し何とか赤岳山荘駐車場に到着した。

歩きの6名も到着し、装備の点検と出発の準備を
歩きの6名も到着し、装備の点検と出発の準備を

 装備を整え、八ヶ岳山荘へ用足しにの為に先行したsa山さんを除いて出発する。八ヶ岳山荘前でsa山さんと合流し、山荘前で南沢登山道に入り行者小屋を目指す。今年は積雪が多く南沢も歩き易い、カトさんを先頭に徐々に南沢を詰めて行く。
 南沢は北沢に比べ、地形の具合か、或いは中山乗越の高低差がプラスされている関係か登りが続く。予想通り5日の天気は上々で、雪目を警戒し皆さんサングラスを掛ける。
 南沢大滝、小滝の分岐を過ぎ、行者小屋までの距離は、残す処3分の1程度、更に進むと、開けた場所では、南八ヶ岳の重鎮達が視界に入ってくる。

南八の重鎮たち
南八の重鎮たち

なんとも爽快な景色を目の当たりにし、嬉しくなってくる。
そんなこんなで、ちょっと遅めも全員元気に行者小屋に到着した。
早々にテント2張りを設営、お約束通りに宴会へ突入したのであった。夕餉のキムチ鍋や荻原さんから差入れて頂いたスパイシーなインド風料理に舌鼓を打ちながら、盃が進む。酔いは舌のまわりも滑らかにし、山談議に花を添えながら今宵は更けてゆく。

 翌2/6日 午前5時起床、予想通り天候が悪化している。夜半から降り出した雪は止む気配がない。

天気悪い・・・
天気悪い・・・

 早々にカトシェフが用意した麺を昨夜のキムチ汁に投入し、速攻の煮込みラーメンを頂く。喉が渇きそうだ。身支度を整え、装備を纏めて午前6時30分出発した。
 新雪の積もった文三郎道を隊列を整えsa山さんをトップに主稜分岐を目指す。昨日とは打って変わり降雪のため展望は望めない。樹林帯を抜け、急登を越え文三郎道が右へぐっと曲がるところに到着。主稜取り付きへのトラバース箇所だ。ここからロープを出しスタカットでルンゼをトラバースに掛る。トップは私が務め50m目一杯まで伸ばしsa山さんをビレイする。

※主稜取り付き点から文三郎方面を、トラバース中の諸氏。
※主稜取り付き点から文三郎方面を、トラバース中の諸氏。

 7名が行動するため先頭を切る我々(sa山、のり組)はサッサと主稜取り付きから1ピッチ目を登り始める。
 1ピッチ目(のりリード)チョックストーンのⅣ級-をアイゼンとアックスを使って乗越して行く。

1ピッチ目チョックストーンのⅣ級
1ピッチ目チョックストーンのⅣ級

 チムニーは雪が詰まっているため雪面にアックスを効かせ左手でホールドを掴みながらコルまで到達、更に右手のバンドに入りちょっと嫌らしいミックス箇所を越えて支点に到達しピッチを切った。岩が乾いており、ベルグラは付いておらず一安心。
 2組目リードの笹田さんもsa山さんの直後に上がってきている。
 2ピッチ目は(sa山リード)支点左の立ったフェースのやや左側から登り、しばらく行ったところから開けたリッジに抜ける。
 3ピッチ目(のりリード)リッジ上を歩きに近い状態でどんどん登って50m一杯に伸ばすも、あと3m位で中間の岩場支点に届かず、仕方なくアックスを埋め支点にして、肩絡みビレーでsa山さんを迎える。ここでちょっと一服、温かいココアとクリームパンで喉と胃袋を満たす。笹田さんも到着。
4ピッチ目(sa山リード)すぐ左に見えている凹角へ突っ込んでいく。ちょっと手応えのある凹角からリッジに抜けてビレイ。このあたりから風雪が厳しくなってきた。
 5ピッチ目(のりリード)上部岩壁の右端目指して両手両足を使い、息せき切りながら上部核心部の支点へ到達した。ぺツルのハンガーボルトが打たれている。ここでピッチを切ってsa山さんを迎える。
 6ピッチ目、(sa山リード)上部岩壁Ⅲ級+、出だしの小垂壁にちょっと手こずりながら上がっていった。が、しばらくして「ビレイ解除」コール。登っていくと、何とミックス壁部分(嫌らしい箇所でトラバース気味に右上する所)とチムニーの手前でピッチを切っていた。結局、上部岩壁の核心部分はオイラが受け持つ羽目に。
 7ピッチ目(のりリード)トラバース気味の部分がちょっと嫌らしく、下まで切れ落ちている。以前ここから滑落したソロクライマーは一番下まで落ちたと聞いており、一つ一つを丁寧に慎重にこなす。しかし、ランニングをとる支点が見当たらない、チムニー部分も雪が付いてるせいか同じである。何とかアックスを上手く雪に効かせてバランスを取りながら抜け出て、そのままロープを伸ばしてピクナルでビレイ。笹田さんも別ルートから上がってきた。
 8ピッチ目(sa山リード)ここからはミックス帯になりルンゼを登り凹角手前で左のリッジに取りついた。(正規ルートはそのまま凹角を直上)

8ピッチ目(sa山リード)
8ピッチ目(sa山リード)

リッジを登り始めるも途中でモジモジしているのが下から見てとれる。きっと難しいのだろう。姿見えなくなって間もなく「ビレイ解除コール」。
 荻原さんがピクナルのところまで到達したので凹角部分の情報を伝えて登り始める。その間に笹田さんは凹角を右に回り込んでいった。
 リッジを登り始めると、それほど難しくはないが、正規ルートではないようでピンが1本も見当たらない、そのためにsa山さんは踏ん切りがつかなく「モジモジ」していたようだ。ここもアックスを決めて登っていく。
 ビレイ点に到達すると笹山さん笹田さん二人がビレイしていた。脇を通りそのままリードで登り始める。
 9ピッチ目(のりリード)ここからは徐々に傾斜も落ち、ロープを50m一杯に伸ばし、山頂へ残すところ20mほど手前でピッチを切った。
 あとはコンテで午後0時11分赤岳山頂に到達した。
 笹田、G女パーティーは午後0時25分、荻原、カト、N雄パーティーは午後1時9分に到着した。(荻原パーティーは登頂に1時間近く遅れたが、特に問題はなかった。)

 赤岳山頂で記念撮影をした後、コンテで踏み跡の消えた文三郎道を行者小屋へと下山を開始した。今日の無事を山ノ神に感謝m(__)m