期日 | 平成5年12月30日(木)〜1月3日 |
パーティー |
水野二朗、岡田真也、中村孝 |
12月30日(木)快晴
上市(8時05分→伊折(8時40分〜9時00分)→馬場島(11時45分〜12時10分)→松尾平(13時30分)
昨年と同じく滑川で下車。月は輝き星もよく見え、今日の快晴を約束しているようだ。上市に着くと、すでに30人位の登山者がタクシーを待っていた。乗れるのは、8時頃だとのこと。予約しておけぱ…と悔やんでもしかたない。駅前からは北方から南方稜線が見渡すことができ、非常に気分が良い。
伊折までは、チェーンを巻いているため、40分近くかかった。ここに着替等をデボし、馬場島までの長い車道歩きの一歩を踏み出す。昨年より雪が多く、先行パーティーもいるため歩きやすい。途中2パーティーを抜いたので馬場島での順番が40番となる。抜かなけれぱ縁起でもない42番になるとこだった…。
無風快晴のもと、早月尾根の急斜面に取りつく。予定では松尾平までなのでゆっくり行くと、1時間程で松尾平に着くことができた。幕営しているパーティーがあったので、もう少し先まで行き、TVの映りの良さそうな開けた斜面のそばに設営する。
予報では明日は雨。夜になっても寒くない。入山祝いのスキヤキを食べ、お酒をいただく。3人とも防水機能の全くないヤッケのため、雨だったら沈澱することに決め、12時まで飲んでしまった。
12月31日(金)雨のち雪
沈澱
目を覚ますとフライを打つ雨音が間こえたので再び寝る。寝すぎのため夜になっても眠くならず、96度のウオッカを飲み、ラーメンを食べ、11時すぎにやっと寝た。
1月1日(土)雪のち快暗
松尾平(9時15分)→2100m(14時30分)
今日は早月小屋までなのでゆっくりとパッキングし出発する。雪は降っているもののトレールは残っており快調に進む。1500m地点までは急登であったが、このころより雲が切れ、青空が広がり、赤谷、小窓尾根等がよく見えるようになった。年の始めから、素晴しい天候、展望に恵まれ、美しい雪尾根を歩いていられる自分の幸せを思う。1900mまでの急登も、苦にならない。
1900mあたりから、ちらほらテントが設営されている。我々も、抽Mあたりの樹林帯に平地を見つけ幕を張ることにする。ここまで登るとやはり寒い。夜、外に出ると富山の灯がよく見える。久し振りに天の川を見た。
1月2日(日)雪のち晴
2100m(7時05分)→早月小屋(7時45分)→2450m(9時00分〜9時20分)→シシ頭(12時00分)→頂上(13時00分)→早月小屋(15時00分)→2100m(15時30分)
本峰アタックの日であるが寝坊し、出発は7時すぎになる。風、雪とも強いが、天気図から考えると良くなりそうなので歩き出す。2400mあたりから、ますます風は強くなり立ち止まってトレールを確認することが多くなる。雪庇と空間の境が判然とせず、注意しながら慎重に歩を進めると、2600mピークに至り、コルに下るとエボシ岩へと続く急な雪壁だ。
登頂をあきらめ下山してくるパーティーがロープを出しているため、しぱらく順番待ち。雪も締っているし、落ちても下は平らなので、ロープを出さずに登る。
シシ頭のコルで再びトレールは消え、ホワイトアウトになる。一服していると上方から声が聞こえたので、右のリッジに沿った正面の雪壁をラッセルしながら登ると、フイックスのあるシシ頭であった。
この上で、本峰から下りてきたパーティーに聞くと、あと1時間位かかると教えてくれた。天気は一向に回復する気配を見せないが、下降の心配をしつつ、登り続けることにする。まつ毛が凍りつく湿った風雪にてこずりながらも、とうとうカニのハサミである。夏道のクサリがでていたので、池ノ谷側をトラバースすると、その上に別山尾根がぼんやりと確認でき、フィックスのあるルンゼだ。ここで下降してくるN大パーティーに出逢ったが、何と、フィックスザイルに8環をセットしている。驚いて、これはフィックスだと言うと、相手は何を言っておるのかという顔をして懸垂していった…。別山尾根との合流点の標識はでており、ここから稜線に沿って左に向かう。やっと本峰に着いた。ほこらは半分以上、雪にうまっていた。ほこらの屋根を手の平でペタペタたたいて喜ぶ。が、ここは下降の際に、事故が多いため、そして風雪もちっとも弱まらないためすぐ下山にかかる。
カニのハサミ上部のルンゼはトップがルートをはずしたが、すぐに正しいルートに合流する。カニのハサミにN大パーテイーがスタカットでのろのろしていたので岩陰で小休止。5分たってももたもたしているので追い抜くことに決め、ラストの脇をすりぬけ取りつく。ローブはついているし、クサリもある、しかも難しいトラバースでないのに、何をしているのだろうと不思議な気持ちになる。
シシ頭もロープをつけず慎重に越え、ペンキ印を確認し、右の急な雪壁を下りていく。このころより、ガスが切れ、青空が広がるようになり、早月尾根の全貌を見渡すことができるようになった。部分的に消えてはいるがトレールがハッキリとついている。これで下降の心配がなくなり、気も楽になり、景色を楽しみながらゆっくりと下りていく。ブロッケンが出てきたので、3人で手足を動かして遊ぶ。歩いている姿を写し、こっちが歩くと付いてくるという珍しいブロッケンだった。
早月小屋にば、ビールとかいう珍しい飲物があり、ウイスキーとかいうのもあったため、味見をしようと決まり、購入した。テントに着いて3人で乾杯した。ビールの味は格別であった…。
1月3日(月)くもり
2100mm(9時10分)→馬場島(11時50分〜12時00分)→伊折(13時50分)
下山の日だから、ゆっくりと起きお茶を飲んだだけで馬場烏へと下る。富山に着いてから、何を食ベようか、風呂はやってるかな、などと考えながら馬場島を過ぎ、伊折までの長い車道をもくもくと歩いた。
早 月 尾 根 概 念 図 |
〈登山条例について〉
12月1日〜5月15日の間に剣周辺に入山するためには、登山届と登山歴確認書を各1部を登山する日の20日前までに提出しなけれぱならない。