『平成13年春合宿 釼岳・早月尾根』

大久保 純


日程  :  4月28日(土)〜29日(日) *往復とも夜行列車利用
メンバー : 中村 孝、水野 二朗、服部 寛庸、大久保 純


 27日(金)、上野発の夜行列車『急行能登号』に乗車する。出発直前、中村隊員の参加が危ぶまれたが、
何とか参加できることとなり、まずは一安心。電車の中での話に花が咲いた水野隊員と体調(大久保)の
2名は、結局1:30過ぎまで飲んでしまった…。

4月28日(土) 快晴 
    馬場島(08:00)→ 早月小屋BS(14:00)
 
 7:40ごろ、馬場島に到着する。快晴。急行能登の車内で、中村隊員持参の、山で飲む予定であったワインを飲み干したため、胃はムカムカ、頭はフラフラ状態のため、すこぶる調子悪し。8:00、まだ半分酔っ 払った状態ながら、早月小屋を目指して出発する。小屋の標高は2200m、馬場島が760m、標高差は差引き1440m。今日はつらい一日になりそうだ・・・。
 しょっぱなから、道を間違え、小窓尾根へ通ずる沢沿いの道を行ってしまい、15分ほどロスする。登山口からは、樹林帯の急登がしばらく続き、松尾平に辿りつく。4名ともTシャツ姿だがすでに全身汗だく状態となる。普通の人は、飲みすぎた時、一汗かけば調子よくなるはずだが、体調(大久保)の場合は、酔っ払い状態から二日酔状態になり、これからが長く苦しむこととなる。
 松尾平から先、途中で根暗な若人パーティー、熟年パーティーをそれぞれ抜き、1時間に1回程度休みながら、延々と続く尾根を登る。13:00ころ、尾根上にようやく小屋の屋根を確認するも、この手前にある小ピークの登りがきつい。途中何度も立ち止まりながらも登り、14:00にようやく早月小屋に到着する。
 小屋の前では、管理人さんが我々4人を出迎えてくれた。設営を後回しにして、まずはビールを買って喉を潤す。設営後、管理人さんに誘われるままに小屋に行く。この春は、我々北稜隊が最初で、今晩は宿泊客もいないとのこと。つまみをご馳走になりながら酒を飲んだ後、テントに戻る。幕営は我々のみで、どうやら追い抜いてきた若人、熟年両パーティーとも、早月小屋に達せず、尾根上で幕営しているようだ…。
 この後、なぜかシュラフに入らずに寝込んだM隊員が、ほどなくして『さむい、さむい』を連発し、他の3人の睡眠を妨害する。隣で寝ていた体調は、この時初めて、自慢の高級舶来羽毛シュラフを目一杯引っ張ら れるという、貴重な体験をした…。


4月29日(日) 快晴 
    BS(05:30)→ 釼岳(9:15・9:45)→ BS(13:15・14:05)→ 馬場島(16:10)
  
  4:00起床の予定が寝坊して30分ほど遅い4:30起床となる。昨晩のシュラフ騒動の影響だろうか?3人はラーメン、1人は冷めたジフィーズ(昨晩の残り)で朝食を取り、5:30に出発する。
 外で身支度をしている時、昨日の若人パーティーが登ってきて先へ進む。しばらくは比較的なだらかな雪稜 が続く。そこを登りきった所(標高2450m付近)で、水野隊員が体調不良を訴え、テントに戻ることとなった。残念!もっとも、酔っ払って電車に乗るときコケて捻挫して馬場島で敗退した例と比較すれば、まだましと言えよう。
 この先のちょっと急な雪稜の手前で若人パーティーに追いつき、先行する。2614m峰より上部は、所々悪い箇所があり、緊張の連続。途中、池ノ谷側30m前後のトラバース、シシ頭(?)での懸垂下降を経て、9:15、 釼岳頂上に達する。天気は相変わらず快晴無風。手袋なしでもOKなほど暖かい。頂上で展望を楽しんだ後、下山開始。頂上直下の別山尾根との分岐を過ぎた先のルンゼ状の所で、懸垂下降する。今回、沢用の30m補助ロープ1本のみのため、ロープ一杯下降した後は自力で降りる。固定ロープが張られている所で、登ってきた 熟年パーティーとかちあう。ザイルを出して確保しているため、40分ほど待つ。ここの下りは、我々も懸垂下降し、下部は固定ロープを利用してケーブルで下る。アイゼンの雪団子がいやらしく、傾斜の急な所は躊躇せず、後ろ向きでクライム・ダウンする。シシ頭では、登りでは稜線通しにルートを取ったが、下りは池ノ谷側をトラバースする。距離は50m近くありそうだ。満を持して中村隊員がステップを切り、体調、服部隊員がこれに続く。
 この先、登りでトラバースした所は、後続パーティーのトレースでバケツ状態となったため、難なく通過する。
 2614m峰を過ぎると、早月小屋とテントが確認され、ここから先は、いやらしい所は無く、まずは一安心。14:05に早月小屋のテン場に到着、前日に引き続き、まずはビールで喉を潤す。日程は明日30日まであるが、今晩から天気は下り坂であることから、予定通り、今日中に馬場島まで下ることにする。
 はるか彼方の馬場島目指し、延々と続く長い尾根をひたすら下る。16:10、ようやく馬場島に到着し、終了する。この後、タクシーで富山へ出て、行きと同じ上野行きの夜行列車(急行能登号)にて帰路へついた。