美濃戸山荘前で準備中 | 赤岳鉱泉アイスキャンデーは人だらけ |
今日の核心、中山乗越への登り | ハギちゃん作・キムチ鍋 |
2月10日
3:30起床。明け方には星空が広がっていました。朝食をとり、まだ暗い中を出発。行者小屋から赤岳鉱泉への道は、夜中に降り積もった雪でフカフカになっていました。鉱泉で改めて身支度をととのえ、硫黄岳の登りに取付きます。はじめは緩やかな登り、しかしだんだん斜面が急になっていきます。広がってくる景色に励まされながら、一歩ずつ登っていきます。そして樹林帯がきれるとラッセルをしている先行パーティーの姿が。前夜の積雪、そして強風でトレースは全くない状態。かなり苦戦している様子でした。
赤岩の頭まで来ると体がよろけそうになるほどの強風。トレースもほとんどありません。うっすらと残るトレースをたどり、最後のひとのぼりで広々とした山頂へ到着。風はかなり強いですが、天気はどんどん好転していて、青空も広がっています。「こんなにいい条件の冬山はないからね。進みましょう」という笹田さんの判断で、横岳へ向かいます。ここから先は先行パーティーもなく、私たちだけでした。
横岳へ向かう下りはじめ、この道はケルンや高山植物保護のための杭があり、冬でも分かりやすいです。すっかり雪に埋もれた硫黄岳山荘を過ぎ、横岳への登りへ。ガスも晴れ、前方がきれいに見渡せます。こんなに眺めのよい状態でこの道を歩いたことはなかったかも。感激しながらも、実は硫黄までの登りでかなり体力を消耗してしまい、このあたりではヨロヨロでした。
横岳山頂の少し手前、ちょっと悪い岩場の下りがあり、ザイルを出しました(笹田さんと私で他の4人を確保)。下っていくメンバーに「大丈夫ですよ、いけますよ」と声をかけながらも、ちょっと緊張。全員無事に通過し、そこから横岳山頂まではほんのひとのぼりです。眺望に感激し、しばし休憩。ランさんが夢中で写真を撮っていました。
ここからも少し悪い道が続くということで、6人でアンザイレンして歩くことにします。ところどころ岩場や、ちょっと嫌な感じのトラバースが出てきます。後続に声をかけながら、慎重に進みます。二十三夜峰を過ぎたところで、長く急な斜面のトラバースがあり、ここでもザイルを出しました。全員が無事に通過したところでザイルをしまいます。さらに歩き、地蔵の頭に出たところで、今日は時間切れ。赤岳は行かずに地蔵尾根を下ります。
いつもは登りに使う地蔵尾根ですが、下ってみるとけっこう急でした。途中、ちょっとだけ尻セードもまじえながらひたすら歩き、1時間もかからずに行者小屋へ到着。「登頂祝」で盛り上がりました。この日はハギちゃんとともにツェルトで宿泊しました。…といってもシュラフを使ってぬくぬく快適なビバーク体験でした(それでも寒くて何度か目が覚めてしまいました…)。
強風と地吹雪の硫黄岳山頂 | 横岳山頂へ最後の登り |
赤岳、阿弥陀岳を望む | 地蔵の頭にて |
2月11日
前日同様、3:30起床。満天の星空の下、5:10に出発します。文三郎尾根を登っていきますが、かなり急な登りです。ゆっくり歩いているはずが、だんだん息があがります。周囲を見ると、赤岳主稜に取付いているパーティーや、阿弥陀北稜線を進むパーティーの姿が見えました。ゆっくりと歩を進め、赤岳・阿弥陀岳の分岐へ。ここから阿弥陀方面へは、先行者が1人いるだけ。
まずは中岳への登り。少し雪がふかふかで歩きづらいところ、やや嫌な感じのトラバースもありますが、慎重に進みます。ひとのぼりで山頂に立ち、すぐに中岳のコルへ。ここからは3人ずつコンテで登ります。見上げる阿弥陀岳は威圧するような雰囲気。長い長い登りを、一歩ずつ詰めていきます。ふかふか雪の急な登り、ヒヤリとする岩場、なかなか着かない山頂。しかし、ようやく見えてきた山頂。一緒に登ってきたカトさんに先頭を譲り、念願の登頂です。360度の大展望。
しかし阿弥陀岳の核心は下山です。登りで急だと思ったところは下りではさらに急に感じます。慎重に、ザイルでつながったメンバーにも気を遣いながら進みます。中岳のコルについたところで、今日は雪質が安定しているからという笹田さんの判断で、中岳沢を進みます。本来ここは雪崩の多く発生するところ。アンザイレンはそのままで、とにかくひたすら早く進みます。一気に下り、あっという間に行者小屋へ到着。小屋の少し手前でカモシカにも遭遇しました。
テントを撤収し、南沢ルートを下山します。相変わらず長い、しかもザックが重い…。しかし、1月に来たときよりも雪の量が多く、山麓あたりで変に凍結しているところもなく、気持ちよく歩けました。そしてようやくゴールの美濃戸口へ到着!全員で握手をして無事下山を喜びあいます。
中岳山頂付近から中央アルプス方面を | 阿弥陀岳山頂 |
行者小屋近くでカモシカに遭遇 | テント撤収し、これから下山 |
念願の硫黄〜横〜赤の稜線縦走、阿弥陀岳の登頂。よい先輩、よいメンバーに恵まれ、絶好のコンディションで達成できたことをうれしく思います。体力的な課題も多く残りましたが、楽しく充実の山行でした。おつかれさまでした。ありがとうございました。