八ヶ岳縦走
カト
期日:2008年9月21日(日)〜23日(火)
参加者:(CL)みやした、カト
9月21日(日)
新宿8:00=10:07茅野駅10:25=バス=11:29麦草峠12:00―13:15高見石小屋―中山峠−15:30黒百合平(幕営)
9月21日(月)
黒百合平6:25−東天狗−夏沢峠−11:15硫黄岳−12:00横岳−14:00赤岳−16:00キレット小屋(幕営)
9月23日(火)
キレット小屋5:50−7:25権現岳−9:15編笠山−12:45観音平−(タクシー)小淵沢14:36=16:36新宿
9/21(日)雨
新宿発8:00スーパーあずさ5号に乗る。混むことを予想して1時間前に着く。乗車ホームで北岳バットレス登攀のため7:30あずさ3号に乗車する笹田さん、ニシノさんに会う。雑談の中で八ヶ岳縦走にあたって機構な情報を得る。
茅野10:07着。ここからバスで約1時間30分。バスに乗車した登山者は10人程度。皆小屋泊まりなのか軽装。大きな重そうなザックは40代で働き盛りのみやさんと介護保険証をもらったばかりで先のない我輩の二人だけ。なんとなく冷やかな目つきを感じるのは思い過ごしか。
麦草峠に11:30着。麦草ヒュッテでトイレ借用。長い用足しと雨対策でみやさんを待たせ12:00スタート。雨が本降りとなる。登山者は既に皆出発し、我がパーティが最後。
しらびその樹林帯を急登し、高見石小屋を13:15。ぬかるんだ登山道の水たまりを避けながら黒百合平に15:30に着く。所要時間3 時間30分。もう少し早く着けると思っていたが、この雨では仕方がない。テント場に着いた時は運よく雨が上がる。テント利用届と場所代二人で2,000円と缶ビール2本で1,000円を払い、テント設営。幕営組は我々を入れて3パーティ。
本日の無事を祝いビールで乾杯。みやさんは焼酎、我輩はウイスキーを飲みながら明日の行動を相談。4時起床、5時30分出発としたが、雨がひどいようなら出発を遅らせ、また、途中でひどい雨の場合は様子を見て、小屋泊まり、下山でまとまる。食事担当の我輩が夕食づくりの腕を振るう。何のことはない。家で調理してきた肉、野菜を並べるだけ。胡麻だれとポン酢で何とか食える。みやさんの後日談「カトさんのあのきゅうりの切り方で料理をやったことがないことがすぐわかったよ。」とのたまう。確かに長短太細厚薄、入り混じり。まあ食えればいいか。
8時頃就寝するがものすごい雷と雨。朝方4時頃までひどい雨。まんじりとしない夜であった。
9/22(月)雨のち曇のち夜晴
4時頃まで雨。しばらくシュラフの中で様子を見る。雨が上がったことが確認できたので出発の用意をすることにし、5時頃から朝飯の用意を始める。
フレンチトーストを作ろうとしたが、肝心の牛乳がない。しまった、茅野駅で買ってくるのを忘れた。仕方なくスープとパサパサの食パンをメイプルシロップにつけて食す。とんだ失態だ。山行前日まで3日間練習した。コッフェルで焼くと焦げるので8枚切りの薄い食パン、耳を切らない、牛乳と卵をといた中に砂糖を入れない、バターは多め、焼いた後はメイプルシロップをかけて食う。これで完璧なまでなフレンチトーストとなったのだが。みやさんは何となくブスッとしている。海草サラダを食うかと聞いてもいらないと言う。食い物の恨みは恐ろしいと言うが、これから何もないことを祈る。
何となく気まずい朝食を過ごし、テントを撤収し6:25出発。すぐに大きな岩石を急登し、天狗の奥庭の池、草地を下に見て東天狗岳を8時過ぎに通過。根石岳をを過ぎて白い砂礫の道を気持ちよく下る。この頃一瞬太陽が薄くのぞき晴れ間を期待する。箕冠山を経て夏沢峠に着く。小屋の右手、南の登山道から硫黄岳に向かう。天気は霧雨から雨に変わる。展望は利かずひたすら直進する。硫黄岳の爆裂火口を見たかったが残念ながら見えるのは灰色の雲だけ。7つのケルンを数えつつ緩やかな上り勾配をゆっくり行く。これからの行程を相談しながら11:15硫黄岳山荘。
ここで本日の天気予報を聞くと、現在前線通過中で14時頃に雨は上がるとの情報。コーヒーを飲みながら暖を取り作戦会議。地蔵の頭まで行ってまだ雨がひどいようなら様子を見て地蔵尾根を下って行者小屋泊まり、赤岳まで行けた場合で雨がひどければ赤岳頂上小屋泊まり、とすることとした。
硫黄岳山荘を出ると強い風雨。夏沢峠あたりから先行している若い3人組パーティを追う。厳しい岩稜地帯、鎖場を経て12:00横岳。風雨は徐々に弱まる。横岳を過ぎてからもいくつもの鎖場、鉄梯子があり慎重にわたり地蔵の頭に13:00頃。雨風はほとんどない。赤岳への厳しい上りをふうふう言いながら14:00着。赤岳から南の権現岳方面は明るく、周囲の山々が見渡せる。勇躍しキレット小屋に向かう。約500mの急降下はガレ場と鎖場で難儀する。16:00キレット小屋着。
テン場に着いてすぐの作業は、ザックの背中を支えている金具の一方がザックの底を突き破り腰に当たって痛かったので、途中で拾った細長い石をザックの底部に詰めた。これで明日は大丈夫だと思う。途中で適当な石を見つけるために下を向いてきょろきょろし幾つか石を拾っていたので、みやさんからカトさんは石を集める趣味でもあるのかと言われる。テント利用届をみやさんにしてもらう。場所代一人520円、水は雨水利用で無料。幕営は我がパーティだけ。あたりはすっかり晴れ上がり明るい。テント場所の選定は当初広々とした場所にしたが、みやさんの指摘で林の近くに変更する。風対策のためだ。テントを設営し、お茶を飲み、アルコールタイムの頃は夜空が美しい。星が間近に大きく迫り今にも手が届きそう。
夕食はキムチ鍋にうどん。料理が苦手の我輩は、事前練習で愚妻から教わった鍋に入れる野菜の順番をすべてを無視し、身近にあるものを手当たり次第に鍋に放り込む。大根が最後に手に触れたので慌てて入れる始末。みやさんは呆れてただ見ているだけ。鍋に野菜をあまりにも詰め込む我輩を見て、みやさんいたたまれず、「カトさん2回に分けて食べようよ」とイエローカードを出す。きっとレッドカードを出したかったに違いない。食べてみれば大根と汁以外は全部なくなる。汁と大根は翌朝のキムチ雑炊に使う。讃岐うどん二人前も全部平らげる。なんだかんだといっても完食。
9時前に就寝。しかし強風で眠れない。木にぶら下げていた濡れたレインウエアやフライが吹っ飛ぶのではないかと心配で夜中に3回ほど起きて確認する。今夜もまんじりとしない夜を過ごす。
9月23日(火)快晴
みやさんに起こされて4時起床。慌ててお茶と朝食の準備。昨日の残りのキムチ汁で雑炊を作る。この朝食だけが唯一順調。食事担当とは何と難しいものか思い知らされる。今まで食事の時間になれば食えるものだと当然に思っていたが、準備、調理などの苦労が身にしみた。食事担当は永遠にご遠慮しなければ、何をしでかすか分からない危険を自分自身に感じる。
テントを撤収し5:50出発。キレット小屋の前を通り過ぎたところが登山口で、すぐに鎖場の急登。樹林帯の岩場を越えると尾根。風が強くやせ尾根通過は慎重に歩く。尾根下の岩稜地帯を過ぎると噂の20m鉄梯子。風があまり当たらないので安心するが、垂直に立っているかのような梯子の上部ははるか上に見える。先に行くみやさんはすいすいと登る。登り始めは段数を数えていたが登ることに集中しすぐに止める。半分ほどのところで一息入れようとしたが、ここで動きを止めたら次の足が上がらないのではないかとの不安から震える足の筋肉を押して登る。7:25権現岳。赤岳、大天狗、富士山など眺めがよい。遠く南アルプス、中央アルプスが展望できるが山の名前は分からない。
いよいよ八ヶ岳縦走の終盤。網笠山に向かう。青年小屋まで下り8:45着。ここから100m登って網笠山。大きな岩石と樹林帯を急登。9:15網笠岳頂上。頂上は広く登山者が多い。小淵沢からのハイキングの人のようだ。2日間の雨をここで一気に取り戻す。天狗岳、硫黄岳、赤岳、権現岳、2月雪山合宿で登った阿弥陀岳が一望でき、ここを歩いたのだという感慨と山の稜線の美しさに改めて感嘆する。幸せを感じるひと時だ。大休止し、9:40下山に向かう。約1,000mの長い下りを一気にと思うが、なかなかそうはいかない。下り始めからしばらくは岩場の急降下などあり厳しい。小淵沢からの登山者と多くすれ違う。
12:45権現平着。広い駐車場に車が満杯。グリーンロッジでタクシーを呼ぶ。待ってる間に、温泉を中止し小淵沢駅前で一杯やるために汗みどろのシャツを着替える。小淵沢駅に13:00頃着。14:36発特急あずさの指定券を買い、駅前の蕎麦屋で打ち上げ。カツ丼を肴に瓶ビール1本、日本酒1本。この蕎麦屋は焼酎を置いてない。昔からだという。日本酒には百合根の煮物とナスのしげ焼きをサービスしてくれた。電車の中でチュウハイ2本。よい気持ちで新宿に16:36着く。
みやさんとの山行は大変勉強になった。ルートの事前調査、コピーした地形図にルート情報を細かくメモし、山行中は高度計と地形図を併せて現在地を確認する。この大切さを教わった。2月から4度目になる2,000m超の八ヶ岳はどこをとっても厳しい山々であった。一度経験した山でも天候が違えば、違った山の姿になり瞬間たりとて気が抜けない。そんな中でも、遠い山々の展望、美しい稜線、岩の雄々しさ、草木の彩り、苔の瑞々しさなどを感じたり見たりする楽しさで緊張した気持ちが和らぐ瞬間が何とも言えない。折角いただいた介護保険証だが少しでも長く使うことのないように精進したい。