快晴の赤岳南峰リッジ中央稜

           

いた


3月21日
朝方ぐっと冷え込み星が煌々と輝いている、久しぶりに身が引き締まる思いでいました。前日、偵察に行ってくれた深沢さんの、ショルダーリッジはやめておいた方がいいのではとの提案で急遽南峰リッジに変更になった。「南峰リッジって何処?」「ああ雪混じりの傾斜のゆるいリッジよ」と笹田リーダーは軽く言ったのですが・・・。

文三郎尾根を登り中岳への標識の50m位手前を取り付きとし支点のピッケルを打ち込む。笹田さんが登りだしカトさんが続く。同じルートを二パーティに分けてハギちゃんが登り出した。ハギちゃんの初めての登攀が冬の赤岳というのも珍しいが、かなり岩トレに行っていたし沢も登っていたので不安はない。急な雪原を3ピッチ雪も締まっていて、アイゼンが良く刺さる。 ツルベで順調に岩の基部についた。 4P目からやさしい岩場になり、左に回りこんで右上に、途中支点を岩角に二ヶ所とってハギちゃんを上げる。
5Pハギちゃん、右に回りこんで直上する所でザイルが止まった・・・気合を入れている声が聞こえるが姿は見えない。少しづつザイルが伸びていく・・・悪いんだな・・・やがてどんどんザイルが引かれた・・・ぬけたようだ。そして私、つかむ岩が浮いていていやな所だ、慎重に岩を確認しゆっくり身体を持ち上げる、くずれませんように・・・。後は岩と雪のミックスのリッジだ。「ハギちゃん良く登ったね〜」パートナーのうれしそうな顔に、フッと緊張がゆるむ。
強い風に吹かれビレイしているのは身体が冷え切ってくる。すばやいロープワークが必要だ。 見上げる空はあくまでも蒼い・・・。雪のナイフリッジをたどり、ザレたリッジを過ぎると、8P氷混じりの急なクロアールが現れた。2m位のトラバースが足の雪が不安定で思い切りが要る「ハギちゃんお願いね」「ハイ」という元気な声に後押しされて無事通過。上のクロアールはアイゼンが良くききピックもしっかり刺さる、しかし途中の支点がとれない・・・どの岩も丸く氷が付いている。慎重に・・・落ちなければいいのだから・・・。30mいっぱいに伸ばした所に笹田さんが待っていてくれた「このビレイを使うといいよ」「?」ありがたく使わせてもらいハギちゃんを上げる。何か気合を入れながら登ってくる。緊張と疲れが出てきたのかな「大丈夫がんばって」とエールを送る。

主稜の方はたくさんの人が並んでいるが、こちらは静かなものだ。せかせられながら登ることもなく、ゆっくりと楽しむことが出来る。後は傾斜もゆるくなってきて頂上が見える。9Pの支点は笹田パーティのザイルが降りていて助けてくれている??? 支点がないので心配してくれたのだ。そして頂上へ・・・うれしかった!ハギちゃんと抱き合って喜びを分かち合う・・・この開放感がなんともいえない。 南峰リッジは短いルートでしたが、私達には長く長く感じられました。
頂上小屋の脇で、主稜パーティと合流しお互いの健闘をたたえあい、春の日差しを感じながら地蔵尾根を満ち足りた気持ちで、ゆっくりゆっくり降りました。

笹田、加藤パーティの先行があったので支点の援助や、一番重要なルートファンディグをしないでも登れたのです。二人で登らせるのには不安があったはずと思いますが、広い心と太っ腹な笹田リーダーのおかげで登ることが出来ました、感謝感謝でいっぱいです。そしてパートナーのハギちゃん、悲鳴に似た気合の入れ方にどうしたのかと思いましたが、あれがハギちゃん流とわかって思わず笑ってしまい緊張がフッと和らぎました。とてもがんばりましたね、これからの成長が楽しみです、有難うございました。