米子沢
ヤマダ
期日:2009年9月20日 -21日
参加者: スター(L)、孝のほうだよ、部長、ハギ、ニシノ、ヤマダ
9月20日:桜坂駐車場でテン泊
9月21日:桜坂駐車場5:30→米子沢入渓地点6:02→手前の二俣12:35/12:50→8合目登山道13:30/14:04→桜坂駐車場15:37
米子沢遡行の前夜、我々は巻機山のふもとの桜坂駐車場にいた、空を見上げると満天の星空、天の川もはっきりと見える。こういうときに星座の名前でも知っているとカッコいいのだが、私はオリオン座しか判らない。この素晴らしい天体ショーをもっと見ていたかったのだが、宴会をしなければということでジャンボテント内大いに盛り上がった前夜祭、やっぱり星より酒でした。
スターLの厳命により朝4:00に起床した私たちは朝食をそそくさとすませ、しばしティータイム、外に出ると満天の星空、今日の天気を約束してくれているようだ。夜露をまとったテントはそのままに5:30出発、入渓ルートは駐車場入口付近の工事用道路、目印は皮肉にも「米子沢事故多発・入渓禁止」の立て看板である、道なりに歩いて途中にある左脇道を行くと入渓地点である。
入渓地点は伏流水となっており水がまったく流れていないゴーロ地帯、テンが2匹走り去る、先行パーティーはいないようだ。そのゴーロ地帯を30分ほど歩くと少し流れが出てくる、上流に行くに従い段々川幅が広がっていくのが、妙な感じである。川幅が広がるとすぐに出てくるF1の小滝を越え、次の出合いを左、F2のトイ状滝を登ると 3段40mの立派な滝が目の前に立ちはだかるが、これは左に巻く熊笹を掴みながら滑らないよう登っていく。その後10m前後の滝を左右に登るが、濡れているところはかなり滑るので、適宜ザイルを出していただく。水は思ったほど冷たくなく、試しに飲んだら錆臭く飲み水としては不合格である。
2段7m滝の右脇を登るとゴルジュ、それをおそるおそる高くトラバースをするとチムニー滝、その後ろには2条20m滝が控えている、これを右に高巻くものの途中で踏み跡がなんかおかしいとトップの孝先生が引き返してくる、見ると巻道途中の細い数本の低木に残置シュリンゲが巻きついている、下まではかなり高さがあるように見えるが、この支点から本当に懸垂したのだろうか? いずれにしても私たちのザイルは40mなので下までは届かないのは明らか、別の下降場所を探しに戻る、スターLがここら辺ではと思われる場所のやぶをかき分け絶好の降下地点を見つけて、滝上に5mくらいの懸垂で安全に降りることができた。後日ネットで他のパーティーの遡行記録を見ると、我々が戻った巻道をそのまま進み米子沢の見所である大ナメをも全部巻いて稜線まで出てしまった大失敗の記録があった、引き返して大正解である。
次の12m滝は、垂直のスラブになっており残置支点にシュリンゲを掛けアブミ代わりにして登る、ここもザイルで安全に登らせていただく。一番緊張したのが、大ナメ手前の滝を左からトラバース中、滝に向かい傾斜している小さいスラブに乗るところ、万一滑ったら10m下の滝つぼへ一直線である。たまたま残置支点があったので、万一滑ってもドボンしないようセルフビレーをとってから乗り越えた。ここが私にとっての核心部でしたが、後で皆さんに話したところ「そんな所あったっけ?」と先輩の方々はご記憶すらない、実はなんでもない箇所であったのか?(でも後続のハギ様、その節はお世話になりました。)
|
|
堰堤の間を抜けていく |
だんだん川に水が増えていく中を登る |
|
|
スリングをあぶみにして登る |
順調に高度をあげていく |
その滝を登りきると、幅広のナメが天空へ伸びていた、大ナメの始まりである。時間には余裕があるので中休止、沢沿いに吹きおろす風は少し冷たく、稜線は赤く色づき秋が確実に降りてきている。大ナメに寝転び日光浴をしながら遠く上越の山々を見て感動し、ここに居られる幸せをかみしめる。しかし、この素晴らしい大ナメがとても滑る、特に水の流れているところは茶や黒のコケでつるつるである。滑って勢いがついてしまったら滝上からダイブ必至、という場所もある、遡行中は決して油断できない。水も少なくなり孝先生のアドバイスもあって、フェルト底の私はゴム底の登山靴に履き替える、乾いているところ限定で歩くにはグリップが良く安心である。
最後の詰めは途中の二俣を左に行き避難小屋下辺りの稜線に向かうが結構な傾斜、途中から見事な草地になるが滑るので4本足で踏ん張る、人類が2足歩行になる前はこんな感じだったのかと余計なことを考えながら30分ほど登ると巻機山8合目の登山道に出た。そこから桜坂駐車場まで登山道を下り1時間30分ほどで桜坂駐車場に到着、湯沢で温泉&食事をし、感動の余韻を引きずりながら帰宅の途についたのでした。
|
|
快適なナメ滝 |
美しい景色と空の広さに感激 |
|
|
稜線は紅葉が始まっていました |
草原のツメ。きれいだけど苦しい登り |
天気にも恵まれ素晴らしい遠望、そのスケールの大きさに圧倒されまくりの大ナメなど感動の米子沢でした。他パーティーの記録などを見ると「比較的易しく初心者を連れて行くには適当な沢で・・」という米子沢紹介のくだりを見かけるのですが、私にとっては決して容易い沢ではありませんでしたが、ご一緒させていただいた方々の力をお借りし登り切ることができました。スターL、孝のほうだよ先生、部長、ハギさん、ニシノさんありがとうございました。また、これまでに参加した沢行・岩登りで、いろいろな経験をさせてもらいながら、多くの貴重なアドバイスを頂いたことが大変役に立ちました、重ね重ね感謝いたします。