コースタイム
5月4日
越後湯沢駅(8:20) - 桜坂駐車場(9:15)(9:25) -前巻機山(14:50)-避難小屋(15:05)
5月5日
避難小屋(6:15) - 巻機山山頂(6:40)- ピーク(7:00) - 牛ヶ岳(7:20)(7:40)-山頂ー避難小屋(8:25)(8:55)
- (10:05) -桜坂駐車場(11:30)
プロローグ
この山行にさかのぼること5日前、私は木更津に潮干狩りに行き、夢中で貝を掘り続けた為、左肢ひ骨神経麻痺という病気になってしまった。どういう病気かというと、正座して足がしびれた状態がずっと続いているのである。痺れているので足先を持ち上げられないのである。歩く時にはおおげさに太ももを持ち上げないと躓いてしまうのである。これで山にいけるのだろうかと不安になったが、とりあえず尾瀬に行ってみた。ところが、ところがである。不幸は重なるもので、入山の朝、ピッケルを家に忘れた事に気づくのである(不幸でもなんでもなく自分がトロいのである)。ここまでは許容範囲である。しかし、さらに不幸が襲う。なんと車外にだしておいたアイゼンが盗まれたのである。盗まれたと思って鳩待山荘の人に届け出たのだが、妻が私を疑いの目で見るのである。「家にわすれたんじゃないの?」と。「僕は絶対外に置いた、、と思う。。。」そういわれるとほんの5分前の記憶が定かでなくなっているのである。足より脳の方が問題である(1)。そんなこんなで、ピッケルもなく、アイゼンもなく、神経麻痺でつま先上がらず、頭は?状態で尾瀬に入った。恥をしのんで妻のストックを借りたが、案の定何度もコケた。
本編
そんな状態の男だとは知らず、女性三人は意気揚々と越後湯沢に着くのである。男は大丈夫だろうという根拠の無い自信を元に誰にもそんな状態だとは言わず黙々と登山口に車を走らせた。登山口につくと、朝一で入ったスターの伝言を発見する。「上でまってるぜ!」 さすがスターである。こうなると女性3人は今にも走り出しそうである。 まあまああわてなさんな、と足に問題がある男はゆっくり進むのである。
登り始めると、汗が噴出したいそう不快な事このうえなし、さらに大量の虫が追い討ちをかけるのである。「蒸し蒸しですが虫を無視して無心に歩きましょう!」そんなつまらない駄洒落をいったら女性3人はイライラ爆発非難轟々であろうから、ぼけぼけ状態の頭の中だけにしておく。そんな事を考えるうちに、4合目付近から雪が出てくる。雪の登りならこの足でも登れる!ああ神様ありがとう(2)。
八合五勺付近でママさんが重荷にダウンするが、ヒーリングマスターなおさんのハンドパワーで回復。ミスターマリックも真っ青である。左足が大丈夫な事がわかり登りが楽しくてしょうがない私は、食料を引き継ぐ為に渡してもらう。うっ、ずっしり重いのである。こんなに食料って重いの?テントしか背負った事がない私は初めて食当の厳しさを知る。食料を分担され楽しい重荷なのだが、すぐ九合、ニセ巻機山に着く。ここから避難小屋のあるコルを見ると、一張りのテントがある。その脇にスターが穴を掘っているではないですか!「キャー」と奇声をあげながら女性3人は転がり落ちるようにコルに降り、スターと握手を交わす。私もサインをもらおうかと思ったが握手にしておいた。
登り始め | 雪がでてきました |
山々を見渡しながら登る | テント場から頂上を望む |
テントの中に荷物を放り込み、スターと宴会スタート。(つまんない駄洒落を何度もすみません)
ニシノLはドラえもんサウンドと共に4次元ザックからビール6缶を出す。あなたはカクヤスの宅配ですか?と思わず突っ込みたくなる。宴は続き、暗くなる前にテントに入り、スターのディナーショーは続く。今日のコースは、
前菜1:フォアグラソースとフランスパンのあわせ(ママシェフ)
前菜2:天然塩を使った季節の野菜ポテト和え(ニシノシェフ)
肉料理:埼玉県産牛フィレ肉のすき焼きとアルファ米巻機天然水仕込み(なおシェフ)
デザート:柿の種(ぺがシェフ)、、って柿の種かよ!
である(3)。
そしてなにより、スターのトークがうまい! さすが北稜のエンターテイナー、北島三郎も真っ青である。宴は永遠に続くかと思われたが、我々は山岳会であるということをおぼろげながらに思い出し、明日の登頂に備えて就寝することにする。時に午後8時。
二日目は朝5時起床。「5時デース」とニシノLのモーニングコールで起きる。朝食のコースは
前菜:寝覚めのコーヒー
主菜:一晩長期熟成すき焼き風味煮込みうどん (ママシェフ)
である。これがめちゃめちゃうまいのである。なべ一杯のうどんは瞬く間に5人の胃袋に吸い込まれるのであった。
さて、本題。
山頂付近はガスがかかっているが、6時にテン場を出発する。
スターも加わりテンポ良く登り、6時40分山頂到着。地図上のピークはもうすこし先なので行ってみる。そこには石積みしかなかった。ガスが晴れず視界は数百メーター程。本当なら越後の山々に囲まれた快適な稜線歩きのはずなのだが。やはり私の不幸は終わってなかったか。と思った所で、ニシノLの神がかり的な一言「牛ヶ岳まで行ってみましょう」するとなんと牛が岳に到着した途端、私の不幸は霧の如く消え去ったのである。まさに「ああ神様仏様ニシノ様」である。ガスが晴れ越後の山々が見渡せるのである!私はひれ伏し後光の射した我がリーダーを手をあわせて拝むのであった。
しばし山座同定を楽しみ、引き返してテン場にもどる。テントを撤収し下山開始。雪の下山は早くて楽しい。ざくざく降りていくが、左足のつま先が上がらない私はヒールキックが効かず何度もコケる。ニシノLとなおさんの提案で夏道に入らず出来るだけ雪をたどって降りて行き、最後は10mほどの藪こぎで夏道に復帰した。駐車場に到着は11時半。我々の山行は無事終了した。さっと着替えて、我が車で越後湯沢駅へ。みなさんを降ろすと一路東京へ車を走らせる。湯沢ICで乗り練馬まで順調に進み、午後4時には無事帰宅。渋滞に悩まされるかと思ったが、最後に運が戻ってきた。やはり神様仏様ニシノ様のおかげであろう。
さあ、出発 | この辺りがピークらしい |
快適な稜線散歩 | 下山途中 |
(1)家に帰宅して私の記憶が正しかった事が証明された。家にはアイゼンは無かった。本当に盗まれたのだ!
(2)そもそもつま先が少々上がらなくてもブーツで固定されているので殆ど問題はない。
(3)他にも色々ありました。