八ヶ岳(冬季合宿)
ミナト
期日:2010年12月28日〜2011年1月1日
参加者:カト(CL)、笹田(アドバイザー)、ハギ(SL)、ハットリ(SL・装備)、sa山、あつこ、こいわい、ながお、ミナト
12月28日
新宿〜美濃戸口〜行者小屋(ハットリ、sa山)
12月29日
行者小屋〜赤岳〜行者小屋(ハットリ、sa山)
新宿〜美濃戸口〜行者小屋(カト、笹田、ハギ、あつこ、こいわい、ながお、ミナト)
12月30日
行者小屋〜硫黄岳〜赤岳鉱泉〜下山(sa山、こいわい)
行者小屋〜硫黄岳〜赤岳鉱泉〜行者小屋(ながお)
行者小屋〜石尊稜取付〜行者小屋(カト、笹田、ハットリ、ハギ、あつこ、ミナト)
12月31日
行者小屋〜硫黄岳〜横岳〜地蔵尾根〜行者小屋(カト、笹田、ハギ、あつこ、ながお、ミナト)
行者小屋〜硫黄岳〜赤岳鉱泉〜下山(ハットリ)
1月1日
行者小屋〜赤岳鉱泉〜ジョウゴ沢F1〜赤岳鉱泉〜下山(カト、笹田、ハギ、あつこ、ながお、ミナト)
12月29日)
ちょっとしたトラブルがあり、予定より1時間遅く登山口の美濃戸口に到着した。あたり一面は雪景色で、これからの山行に期待が高まる。3泊分の荷が詰まったザックは重いが、今日は行者小屋までなので幾分気が楽だ。ハギさんを先頭に赤岳鉱泉を目指し黙々と進む。途中、美濃戸山荘でお茶をご馳走になった。冷えた体にありがたい。ゆるく長い登りが続く。やがて樹林が開け、アイスクライミング練習の氷柱が見えると、そこはもう赤岳鉱泉であった。トイレ休憩とするが、寒いのですぐに出発。中山乗越しまでの急坂を喘ぎつつ登り、まもなく行者小屋に着く。「ケッチボー」を叫ぶと、沢山のテントのひとつから先発隊のsa山さんが顔を出した。先発隊の隣を入念に整地し、テントを張る。さあ、これから3日間よろしくお願いします。夕飯の具沢山のキムチ鍋で至福の時を過ごし、明朝4時起床を確認し寝袋にくるまった。。
12月30日
4時に起床し、朝食の卵雑炊を胃に流し込み、すぐに出発する。まだ暗いのでヘッドランプを点けて歩く。中山乗越しからしばらく下り、前日に目星をつけた石尊稜への分岐と思われるところで、硫黄岳隊とお互いの安全を祈り別れた。石尊稜とは、石尊峰に突き上げる岩稜尾根で、下部と上部に岩壁をもつ横岳西面のバリエーションルートだ。そんな石尊稜へのアプローチは、ひざ上ぐらいのラッセルで始まった。雪だらけになりもがき続け、そろそろ下部岩壁だろうと思った矢先、なんと頭上を人がのんびり歩いているではないか。一同絶句。どうやらアプローチを間違えていて、中山尾根を登り返してしまったらしい。気を取り直し、石尊稜に向けて樹林帯をトラバース。20分位で石尊稜へのトレースへ合流し、やがて石尊稜末端に到着した。天候が悪いこともあり、本日の石尊稜登攀は我々と年配夫婦の2パーティのみ。しかし、この夫婦もすぐに登攀を断念し引き返してしまった。
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ラッセル中! |
静寂の森の中。。。 |
下部岩壁に取付くべく末端から右に廻りこみ、氷と岩のミックスした岩場下に立つ。ここで笹田班とカト班の2班に分かれ、各々登攀の準備をする。まず、笹田さんがリードし、アイゼンの爪を効かせスルスルと登って行く。「登っていいよ」のコールがあり、ハギさん、ミナトの順で登るが、時間の節約の為に、カト班も続いてフォローで登ることになった。30メートル程上のテラスでピッチを切り、2ピッチ目を登る笹田さんをミナトがビレイし、後続のカト班をハギさんがフォローする。セルフビレイは、笹田さんが打ったハーケンからとる。時折吹雪く強烈な寒さの中、ハギさんはスタンディングアックスで後続の3人を1時間以上フォローしている。なんという精神力の持ち主だろう。あの小柄な体のどこに、こんな強靭な力を秘めているのだろうか。
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寒い中ビレー、ありがとうございます |
ハギさん、奮闘中! |
全員が揃ったところで、笹田さんが先にリードし待っている2ピッチ目を登りはじめる。まず、ハギさんが登るが、20メートル程ロープが伸びたところでピタリと止まった。傾斜が強く核心部になっている所なのだが、浮石だらけで苦労しているようだ。核心を越えると、後は順調にロープは伸びていった。コールがありミナトが登り始める。核心部では、ハギさんの苦労の跡を土がむき出しとなって語っていた。何とか登攀し、狭いテラスで後続の3人をハギさんと二人で同時にフォローする。あつこさん、カトさんとやはり核心では苦労しながらも順調に登ってこられたが、ハットリさんは靴の具合が悪く、登攀途中で脱げてしまうアクシデントに見舞われる。そんなこんなで2ピッチ目を終了し、3ピッチ目が終了した時点で15時近くになってしまっていた。さらに追い討ちをかけるように、3ピッチ目終了点にボルトがあり、ここが下部岩壁の取付き点であることが判明する。なんと我々が今まで下部岩壁と思って登っていた壁は、まだアプローチだったのである。時間的にもこれ以上の前進は断念せざるをえなく、笹田さんのアドバイスに従い、急ではあるがダケカンバが生えている尾根をコンテで下ることにする。懸垂を交えてどんどん下り、やがて今朝登ってきた石尊稜末端のトレースに降り立つ。途中、ミナトは買ったばかりのアックスを失くしてしまったが、幸運にもカトさんに拾ってもらい手元に戻った。カトさんありがとうございました。
12月31日 大晦日
本日も4時起床。眠気をカトさん自慢の野菜ラーメンで吹き飛ばし、硫黄岳へ向け出発。今日は、硫黄岳から赤岳へ縦走する予定だ。天気も上々で、士気も上がるハズなのだが、ながおさん以外は石尊稜の影響が出て、お疲れ模様。ゆっくりと硫黄岳に登頂し360度の絶景を楽しむが、いかんせん風が強く辛い。笹田さんから、このぐらいの風は硫黄岳では穏やかな方だと教わりびっくりする。普段はどんな風が吹くのだろうか。ここで、ハットリさんは下山し帰京する。お疲れ様でした。
残りのメンバーは、横岳に向けて縦走開始。猛烈な風の中をフラフラと歩いていくが、途中でたまらず、硫黄岳山荘に逃げ込む。ストーブで暖まり生き返る。ずっとここに居たかったが、後ろ髪を引かれる思いで小屋を出て横岳に向かう。岩稜帯が始まると、2班に分かれロープを出しコンテで進むことにする。凍った岩場は危険だが、ルートが岩の東側になると風が遮られ、ほっとする。風が無いと陽が暖かく別世界だ。トレースが吹き飛ばされ、時折ルートを見失うが、すぐに修整し確実に進んで行く。横岳を過ぎ、杣添尾根への分岐を見送り、昨日登頂する予定であった石尊峰を越え、日ノ岳、二十三夜峰とハシゴやクサリを頼りに悪場を通過する。風の向こうに白く霞んだ富士山が神々しく聳え感激する。やがて地蔵の頭に到着した。時刻は13時半であり、この先の工程を検討する。ながおさん以外は皆、疲労の色が濃く、最後はリーダーのカトさんが赤岳登頂断念を宣言し、地蔵尾根を降りることにする。ながおさんは残念そうだが、またいつか必ず登頂することを約束し納得してもらう。
地蔵尾根を駆け下り、あっという間にテン場に到着し、すぐに宴会に突入。酒を飲み、次から次に出てくる肴を平らげ、今回の合宿の成功を祝う。果てしなく続いた宴会は、年越し蕎麦で締めくくられ、我々の大晦日もようやく幕を閉じた。
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横岳山頂。さ、寒い・・・! |
1月1日 元旦
「あけましておめでとうございます」の挨拶のあと、あつこさん特製のお雑煮とおせちで新年を祝う。本日はジョウゴ沢でアイスクライミングの練習を行い、あとは下山するだけだ。のんびりテントを撤収し、赤岳鉱泉へ。ザックをデポし、ピッケルとアックスだけを持ってジョウゴ沢へ。F1に到着し、笹田さんの説明を受けてからダブルアックスで凍った滝を登る。これが実に面白く、少々ハマッてしまった。1時間ほど遊んでから下山開始。快調に飛ばし、美濃戸口にはバス発車時刻の1時間前に着いてしまった。皆で握手を交わし、無事に合宿を終えられたことに感謝する。本当に充実した合宿であった。みなさん、ありがとうございました。そしてお疲れ様でした。
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バスから見る風景が山麓から集落に移ると、新年を祝う家々の飾りを目にするようになる。今日が正月であることをやっと実感できた。
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2011年元旦!今年もよろしくお願いします。 |
ジョーゴ沢でアイスのまねごと。きまると楽しい |