剱岳(先発隊)
さぶ
期日:2011年8月19〜23日
参加者:笹田CL、sa山、さぶ(記録)
8月18日
22:30 新宿出発(さわやか信州号)
8月19日
5:30 立山駅(豪雨の為立山止まり)→7:00→(ケーブル)→美女平→7:30(バス)→8:10 室堂バスターミナル
〜8:30〜雷鳥荘9:20〜11:45剣御前小屋〜12:30剣沢キャンプ場(幕営→悪天のため、真砂沢BCの予定を変更)
8月20日
(雨天につき、源次郎尾根登攀→熊の岩ビバーク中止、偵察のみ)
4:00起床〜6:45剣沢出発〜7:20剣沢雪渓〜8:00平蔵谷出合〜8:10長次郎谷出合〜10:00熊の岩付近〜12:50剣沢キャンプ場
8月21日
(雨天につき、八峰登攀中止→後発部隊の荷揚げサポート)
停滞日 14:00剣沢キャンプ場〜15:30 雷鳥坂中腹〜(後発部隊と合流)〜16:30剣沢キャンプ場
8月22日
7:00剣沢キャンプ場〜剣山荘〜一服剣〜前剣〜10:30本峰〜剣沢キャンプ場13:20〜14:00剣御前小屋〜15:00地獄谷〜15:40 室堂バスターミナル〜16:00
8/18(木)
22時西新宿バス乗り場にて、笹田CLと合流。バスへ乗り込む。
しばらくすると、後発部隊のリーダーあっちゃんが見送りに登場!初合宿、初剱で緊張していたので、気持ちが和む。
うれしいビールの差し入れを頂き、乾杯!「一緒に行こうよ〜」とすがるも、ほどなく、あっちゃんを残して、バスは出発。
今回は、後発部隊とは完璧別行動予定なので、寂しくおもいながら、東京を後にする。
数日後、後発部隊と一緒に剣本峰に立つ事になるとは・・・この時の私は当然知る由もない。
8/19(金)
本来は、7時15分室堂バスターミナル着。
8時に雷鳥沢キャンプ場にて、前日入りしているsa山さんと落ち合う予定・・・だったが、ここで最初の番狂わせ発生。
前日135ミリ以上の雨が降ったということで、有料道路が通行止め、バスは立山駅で立ち往生。
ケーブルとバスを乗り継いで、室堂につくのは8時すぎになる予定。
1時間以上のビハインドが予想されたのでsa山さんの泊まっている、雷鳥壮へ電話をかける。
小屋の人に事情を説明して、sa山さんに小屋で待機してもらうように伝言を残す.
室堂バスターミナルにて、雨具を着込み出発。
怪我後、走りこみをさぼっていた私は、23キロの重量に翻弄され、腰は痛いし、足元がおぼつかない。
ふらふらと石畳を歩いていくと、雷鳥荘近くで、「ケッチボー」の掛け声が。
sa山さんだ。前日入りまでして、バスの時間に合わせてくれたのに、逆に相当お待たしたことになる。すみません。。。
途中、ペースの速いsa山さんと交代し、先頭を歩く。
雷鳥坂の急坂を上り、剣御前小屋を経て、剣沢のキャンプ場へ降りていく。
悪天のため(私がグラグラしているせいか?)笹田リーダーが真砂沢BC→剣沢キャンプ場と幕営地の変更を告げる。
雪渓を荷物背負って行かずにすみ、手放しで喜ぶ私。。。
新品の2,3人テント(10号)を設営。このテント前室が付くタイプのフライで非常に居住空間が広い。
しかし、残念ながら前室部分のポールがなぜか入っていなかったので、笹田リーダのトレッキングポールを代用する。
ここで、仰天。sa山さんのザックから500MLのビールが6本出てくる。
さ、さすが。。。それで、あの速さで歩けるのか。。。脱帽。。
剣沢キャンプ場はトイレもきれいで、水場も近くてとてもいい所だ。
眺めもよいらしいが、残念ながら、あいにくの天気で遠方は臨めない。
時折、雲の切れ間から青空がみえはじめる。
源次郎尾根や八峰など一部が雲やガスから顔を見せる。明日はあそこに行けるだろうか。
雪解け水で冷やしたビールを飲み、夕食を食べ、早めの就寝。
シュラフカバーのみだが、さほど寒さは感じず、先輩二人にはさまれて快適な一晩をすごす。
8/20(土)
雨と風の音で目がさめる。
源次郎尾根→本峰→熊の岩ビバーク予定だったが、予定は中止。無念なり。。
朝ごはんは、笹田リーダが担当。蜂蜜つきバケッド+オニオンスープ。スープはヒヨコ豆とカマンベールチーズ入り。
おいしく、軽く、炭水化物、たんぱく質、資質とバランスのよい食事だ。勉強になる。
「源次郎取り付きまで、偵察にいってくれば?ついでに雪渓でアイゼンなしで歩く練習しておいで」
と、笹田リーダーの提案を受け、sa山さんと二人で、剣沢雪渓へ。
苦手なガレ場をくだり、小さな滝を過ぎると、日本三大雪渓が姿を見せる。
スプーンカットになっている雪渓を足の置き場所を考えながら歩をすすめる。
歩行中、雪渓中央や、支流がぶつかる場所などが雪渓が弱くなる場所だと教えて頂く。
雪渓の状態はよく、アイゼンなしでも、なんとか歩ける。
歩いていくと、もやの中、八峰と源次郎尾根が姿を表わす。山水画のようなに幻想的な風景だ。
源次郎尾根手前で雪渓の傾斜がたってきたところで、アイゼン装着。
取り付きを資料を見ながら確認する。
尾根を正面、やや長次郎側にルンゼがあり、積雪期はそこが取り付きになるとのこと。
無雪期は、ルンゼの横のその横の草付きというかハイマツだらけの急坂が取り付きだとヤマケイの記事には書いてある。
切り立つ尾根を見上げる。うーーーん。厳しそうだ。
源次郎尾根を過ぎたところで、二人連れのクライマーとすれ違う。
昨日、三の窓まで行ったがチンネはあきらめて真砂沢におりて、今日は帰るというこのクライマーが言うには、平蔵谷の方から斜めに突き上げる踏みあとがあり、そこが源次郎の取り付きだと。
ふむ。どちらからもいけるのだろうか。
そのまま、10分ほどで、長次郎谷出合へ。雪渓を見上げる。結構な、急坂だ。。
ここで、戻る予定だったが、sa山さんは、熊の岩が見えるところまで、登ってみようという。
20分ほど登っただろうか、後ろを振り向くと、3人組パーティーが、すごい勢いで近づいてくる。
顔がまだ、あどけない。久留米大の山岳部だと挨拶する。
聞くと、この雨の中、八峰Y峰Cフェースに取り付く予定とのこと。
とりあえず、若者3人の取り付くところをみようかと、後ろに続く。
途中、右側の壁が崩落したような場所があり、そこを過ぎると、でかいクレバスが口をあけている。
クレバスを巻いて、さらに上がると、熊の岩がみえてくる。
Bフェースあたりに、ほかのパーティーが取り付いている模様で、コールが聞こえる。
この天気で岩に取り付くのは、怖そうだなぁと思いながら、心の中でエールを送る。
久留米大の三人がCフェース取り付き付近に消えていくのを見て帰路につく。
かの新田次郎の小説、点の記に出てくる、長次郎雪渓を歩けた事は、感慨深い。
熊の岩を過ぎて、本峰まで、ぜひ行ってみたい。これはまた、次のお楽しみだ。
雪渓の下りは、sa山さんにロープをセットしてもらい、コンテで歩く。
ハーネスはテントに置いてきたので、腰に直接ロープをブーリン結びで固定する。
ブーリン結びが解けてしまうケースを教えてもらう。それを気をつければ十分使える結び方とのこと。
転倒した場合のとめ方などもレクチャーしてもらい、慎重に降りていく。
出合でロープをはずし、幕営地まで戻り本日の行動終了。
剣沢キャンプ場に戻り、テントをあける。
テントキーパーをしていただいた笹田CLの「お帰り」という声に、ほっと一息。
スープを作ってもらい冷えた体を温める。
その後は、乾いた喉を冷たいビールで潤し、本日も宴会。山で飲むビールはうまい。
夕食は本当は熊の岩の上で食べる予定だったsa山さんのボンカレー(笑
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本日登るハズだった源次郎尾根 |
大きく裂けたクレバス |
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本日ビバークするハズだった熊の岩 |
ハーネスなしでロープ固定 |
8/21(日)
またしても雨。
本日は八峰Y峰(Aフェース、Cフェース)登攀の予定だったが、雨天中止。しょんぼりだ。
せっかくなので、テントの中で、ザイルを出して、笹田CL、sa山さんにロープワークのあれこれを教えてもらう。
ハーネスなしで体にザイルを固定する方法、セルフビレイをメインザイルで取るやり方などなど。
フォローのビレイはボディビレイが効率的、時間短縮が図れるとのこと。
勉強になる。忘れないうちに、おさらいしておきたい。
その後、後発隊の荷揚げサポートに行こうと笹田リーダの提案のもと、14時テン場を出発。
このように、仲間を手伝いに行くという会の文化はとても素敵な物に思える。
空身で剣御前小屋まで飛ばし、ひと休憩。雷鳥坂を下り、つづら折の道が終わるところあたり、ガスって見通しの悪いので大声でケッチボーを叫ぶ。
ほどなく、笹田リーダーが後発隊を見つける。
カトさんを先頭に、藍澤さん、あっちゃん、ミナトさん登場。荷物を分担し、剣沢キャンプ場へ。
今回は、このように会える予定ではなかったので、皆と一緒に山道をゆけることが非常に嬉しい。
夕食は合同で、一緒にとることに。
飲みチームはまずビールで乾杯。
笹田リーダーのカルボナーラはにんにくと鷹の爪が利いていて大変に美味。
ミナトさんのチャプチェも甘辛で食欲をそそる。
食後は藍沢さんの絶品コーヒーを頂き、談笑。時間を忘れる。
そんなおり、うっすら、夕焼けがみえた。
明日は晴れるのじゃないだろうか?懲りずに希望を胸に眠りにつく。
8/22(月)
下山日。こりずに雨。。。
朝ごはんは季節はずれのお雑煮を作る。
テントをたたみ、荷物をまとめて、下山準備をしていると、後発部隊は、一般ルートで剣本峰へ向かうという。
急いでコースタイムを足しこむ。室堂→美女平の最終バスが17時半とのこと。い、行ける!!
ということで、一緒に下山予定のsa山さんを私の我侭に巻き込み、剱岳山頂を後発隊とめざすことにする。
sa山さんをを先頭。力持ちのミナトさんにロープを担いでもらい、しんがりは笹田リーダーに守って頂く。
荷物はテン場において、空身で登頂開始。
途中、ガイド連れの団体客のパーティーが数パーティー。
ヌンチャク状にしたカラビナとロープを鎖にかけかえながら鎖場を越えている。素人の私は、はじめてみる。
いろんな安全確保方法があるものだ。
その後も、ガイドつきパーティーはロープなど出して確保していたので、広い場所で先にいかせて貰う。
登りのハイライトは、平蔵谷のコル、カニのタテバイ。
雨でぬれていていやな感じだ。ここをノーザイルで行くのか。。。と、少しため息。
岩の殿堂、剱岳は、一般ルートも中々厳しい。
足の置き場を先輩方に指示して頂きながら、なんとか乗り越す。
ほどなく、頂上。はじめての剱岳。
祠に手を合わせる。登頂の喜びがじんわり体を満たしてくれる。
藍澤さんがフルーツをご馳走してくれる。疲れた体にしみる。。。
皆、笑顔で記念撮影をして、下山。
下りのハイライトはカニノヨコバイ。
sa山さん、カトさんにアドバイスを貰いながら、三点確保で確実に降りる。
下りも浮石、鎖場の連続。
これを新人の時に、25キロ近い荷物を担いでおりたというカトさん、あつこ隊長を心から尊敬する。
途中、登りで追い越したガイドつきのパーティーと会う。
皆で芋づる式に、ロープで繋がって登ってきている。
私には、誰かが落ちたら、みんなで落ちようシステムに見える。うーん。ちょっと怖い。。。
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これでも一般道。慎重に進みます |
こんな鎖場が続きます |
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緊張の連続。気が抜けません |
緊張感の欠片もない雷鳥 |
剣沢の登山指導センターに到着、再度、最終バスを確認。
ここで、また予想外の事が。
17時30分のバスがあるのは、先日まで、今日の最終は17時きっかり。現在、13時20分。
剣沢キャンプ場から室堂はコースタイムで3時間半。
しかも、今度は荷物をしょって行動だ。いい具合でギリギリだ。。。
笹田リーダーから力強い握手を交わしてもらい、皆とお別れ。ありがとうございました!!
13時20分。急いで出発。挨拶もそこそこですみません。相当、あせってました。
歩く居酒屋のふたつ名を持つsa山さんが飛ばしてくれたおかげでコースタイム1時間以上短縮し、15時45分には室堂バスターミナルに到着。16時のバスに乗り込む。
私はバテバテ。。。地金の強さが違う。精進しよう。
その後は、一風呂あびて、電車で帰る予定だったが、下山日に予定にない本峰に行ったため随分なビハインド。
風呂に入ると終電に間に合わない。。
下山後はどうしても温泉&一杯やりたい委員会(勝手に設立)の私は電車帰宅をあきらめ、sa山さんのプランに乗っかる。
それは、温泉後、近所のスーパーで地の酒と肴をGETし、途中のSAで一杯。車中で寝て、朝方再出発。早朝割引を使って安く帰るという素敵プランだ。なんと結局、高速代が3000円だった!安い!
宴会場は、東部湯の丸SAのベンチ(笑
なまこの酢の物、昆布〆、ふくらぎの刺身などを肴に、ビールで乾杯、その後、日本酒をキュッとやる。幸せだ。。。
山が好き。酒が好き。
(と書かれたTシャツが鹿島槍のキレット小屋に売っているらしい。今度、是非、手に入れたいと思う)
その後、車中でぐっすり眠って酒を抜き、朝方再出発し、AM5時にJR桶川駅に落としてもらう。
会社にも無事間に合い、楽しかった合宿も終了。
〜全体を通して〜
雨の為、予定どおりには、行かない合宿でしたが、これも山ということを学ぶことが出来ました。
その中でも、剱岳の頂上に立てたことは大変うれしい事でした。
また、テント内では、笹田リーダーはじめ、諸先輩方から、当会の歴史など、興味深い話を沢山きけました。
もっと会の皆で合宿に臨めたらなぁと思いました。本当に楽しい合宿でした。
来年こそは、源次郎も八つ峰も登れるように、精進しておきます。
笹田、あつこ両リーダー始め、皆さま、本当にありがとうございました!