硫黄岳、横岳縦走
期日:2012年3月17日〜18日
参加者:加藤(L)、笹山、谷口
(1日目)
新宿7:00−9:10茅野9:35−10:10美濃戸口10:40−11:30美濃
戸山荘11:40−12:30堰堤12:40−13:30赤岳鉱泉(幕営)
(2日目)
赤岳鉱泉5:40−7:40硫黄岳7・50−8:10硫黄岳山荘8:40−9:40横
岳9:50−地蔵様11:50−行者小屋12:40−13:00赤岳鉱泉13:50−
14:40美濃戸山荘15:00−15:35美濃戸口16:40−17:10茅野17
:28−19:36新宿
加藤秀夫
(1日目:雪、雨)
雪の中、北沢を行く。堰堤で谷口さん、私はアイゼンを履く。私のアイゼンはペツルシ
ャルレの新品。今山行のためにひだまり山荘社長の荻原先輩に特に頼んで間に合わせても
らったもの。道中笹山さん、私は傘を差して歩く。
14時過ぎから赤岳鉱泉の小屋に入りビールで入山祝い、衣類の乾燥と明日の対策を打
ち合わせる。16:00頃テントに戻り各自の晩飯。谷口さんと、私はレトルトカレー。
笹山さんはつまみと谷口さん差し入れのパン。雪と雨の中19:00就寝。
(2日目:曇後雪)
4:00起床。5:40出発。雨、雪は上がり天気予報どおり曇りの絶好の天気。雪は
締まり、静かな樹林帯が我々を包む。森林限界を超えた赤岩ノ頭の下に出る。雪は締まっ
ているが斜面の雪は昨晩の雨の所為か波打っている。私は途中で引き返そうを声をかけた
が、上の笹山さんが踏み跡を見つけOKのサイン。20mの斜面を静かに駆け上がる。尾
根に上がると風もなく真っ白ななだらかな雪稜が我々を迎える。硫黄岳Pはいつも身体が
飛ばされるほどの風で苦しむがそんなこともなく薄手の手袋、薄手のオーバー手で十分。
下着1枚とヤッケにもう1枚下着を着こみ、雪稜歩きに備える。硫黄岳Pから下りの斜面
は風が吹き出しガスで覆われる。ケルンのお陰で方向は見間違わない。雪で埋まった硫黄
岳山荘でコンテを組む。横岳P手前鉄梯子の急雪稜はスタカットで笹山さん先行。梯子は
雪で埋まり支柱だけが頭を出している。私が笹山さんを確保する。上がった笹山は鎖支柱
でセルフビレーをとり腰がらみでザイルをフィックスする。セカンド谷口さんはプルージ
ックでセルフビレーをとり登る。ザイルを上げてもらい私がラストで登る。一連の動作は
阿吽の呼吸で緩みがない。
|
|
いつもより穏やかな稜線 |
硫黄登頂!! |
|
|
トップでビレイ中の笹山さん |
横岳登頂!おめでとうございます! |
横岳Pで単独の女性と男性が後続してくる。遠くに二人パーティーが見える。稜線とお
しが基本だが巻ルートの鎖場、はしごの難所を超える。更に稜線を辿ると行き詰まる。地
蔵様に続く尾根に出るには西斜面を巻いて岩稜を登り東斜面に出るのだが、雪がつきどの
ポイントから西斜面を下るのか分からない。単独の女性が西斜面を下り鎖場を見つける。
OKのサインで降りると一人では15m弱の急雪壁トラバースができないので先行してく
れと言う。笹山さんが鎖支柱に巻き締めたシュリンゲにカラビナをかけザイルを通す。ワ
ンクッションを入れたザイルを私が腰がらみで確保する。私はセルフビレーをピッケルで
取る。フィックスザイルの状態で各自がカラビナをザイルに掛けピッケルのピックを支点
に後ろ向きでキックステップしながらトラバースする。谷口さん、単独の女性の順。これ
で終わりかと思ったら単独の男性から私も助けて下さいと声がかかる。自前の簡易ハーネ
スにクイックドロー、シュリンゲを繋ぎカラビナをザイルにお掛けスタート。そろそろ着
いた頃と思うのに一向に声がかからない。風が強まり、雪が顔にあたって痛い。ザイルが
重くなり変だなを感じていたが、足を滑らせてザイルにぶら下がったとのこと。落ちたシ
ョックでしばらくは茫然自失の状態で、しかも8本爪のアイゼンのため登り返しに四苦八
苦したらしい。他のパーティーにザイルを使ってもらうことの良否については意見が分か
れるところだがこの場面では仕方がないと判断した。自己確保のセッティングはしっかり
チェックし拙いところは修正した。事故が起きた際我々の責任を回避する意味もある。
|
|
慎重にトラバースする女性 |
息のあったロープワーク! |
最後の難関、地蔵様に続く尾根に上がる東斜面急雪壁トラバースがある。雪崩の心配は
ない。慎重に行く。地蔵様に着いた時刻は11時50分。時間的に赤岳は断念し、地蔵尾
根を下る。この時間帯になると続々と登ってくる。地蔵尾根の梯子、鎖はほとんど雪に隠
れて見えない。途中でザイルを解く。行者小屋経由赤岳鉱泉に無事帰る。15:30美濃
戸口発のバスに乗るべく途中から急いだが5分足らず16:40に乗る。
雪山登山のリスクは大きく冷静な判断と慎重な行動が求められる。難所ではその都度自
分が山に試されているような気がしていた。そんな心細いリーダーの私が難しい状況下に
あるルートを安全にほぼ予定通り完登できたのは、精神力、判断力、理解力、技術力、知
識、体力に優れたものを持つパートナーの笹山さん、谷口さんのお陰。感謝したい。
反省点は、ザイル装備。今回は8mm×30mを使ったができればもう少し径があり長
めのザイルを使う方が安心感と使い勝手が良いと思われた。