【期間】2016年10月7日~8日
【メンバー】こばL、キム
今回はキム兄が東北巡業に出る直前ということもあり、贅沢にも1人1台の車。道の駅みなかみ近くのコンビニで待合わせて、まずは下山地点の白毛門登山口にある駐車場へ。キム兄の車をデポして新潟へ。桜坂の駐車場には11時ごろだろうか。ビールを飲んで眠りにつく。
10月7日(金)
6:00出発-6:30入渓-9:40避難小屋-10:00巻機山頂(ホントの山頂)-11:25米子頭山北側のコル-12:40米子頭山-15:00北側の1809m峰北側のコル(BP)
5時起床。
普通ならば尾根ルートを取るところだが、某先輩の言葉に調子にのって米子沢遡行、ナルミズ下降という計画にしていた僕等。カップ麺を食って沢支度をすると6時。計画書では柄沢岳手前の1809m峰のコルの池塘としていたが、できることなら今日のうちに檜倉山まで、はたまた朝日まで抜けたいなんて。なんと無謀なことか。
6時半前に入渓。10時には巻機山の本当の頂上。ここまでは予定通り。しかし試練はこれからだ。赤牛岳との分岐からいよいよ国境稜線に足を踏み込む。多くの記録にもあるように、ここからしばらくは群馬県側の草地に踏み跡がある。これを辿ると栂ノ頭を東から巻いて行くことができる。途中何箇所かの笹薮はあるものの快適だ。草地の傾斜が強くなりこれ以上は行けなくなる栂ノ頭直下で笹を掴んで稜線に乗る。ここから米子頭山北のコルまではどの記録でも心くじかれる激藪。しかし3年前の記憶ではさほどではない。後で思うことだが、先人たちは朝日側から踏破していることが多く、この辺りは最後の苦しい登りになる。逆から行く我々にはあまり参考にならないのであった。この下りもやはり背丈を超えて潅木が混じる激藪ではあるが、まだまだ元気な僕らにはダメージが少なかったように思う。それでも巻機山頂から1時間半。
コルを通過するといよいよ藪の登り。しかしここは背丈と腰ほどの藪が交互に現れ比較的楽。12時40分頃米子頭山到着。藪に囲まれた山頂だが群馬側は露岩で開けていて眺望がある。山頂には一応山名板もある。
米子頭から先もやはり背丈ほどの藪。ピークを幾つか越えていくが柄沢岳手前の1809m峰南側の草原が今日のBP予定地。気合を入れて再スタートを切る。
ピークがあるとは言っても高低差はあまりなく、それがかえって藪漕ぎを辛いものにしている。顕著な登りや下りであれば笹も枝も下に向かって這っているので両手で掻き分けやすい。傾斜が緩いと好きな方向に這っているので、まるで編み込まれたようで両手で漕いでも歯が立たない。勢い枝の上に乗り上げてねじ伏せるが、それも不安定で恐い。かれこれ2時間上以上格闘し精魂尽き果てた頃急に視界が開け草原地帯となる。
二つある1809m峰のうち北側にあるものの南面に出たのだ。コルの辺りに二つの池溏があり一面の草原だ。次のピークまでは踏み跡もみえる。まるで天国のようだ。二人とも草原に出たところでしゃがみこんでしまい、もう一歩も動く気がしない。時間は15時。もう少し先に予定していた池溏と草原のテンバ適地があるはずだが、ここでビバークすることに決定した。明日取り返せるのだろうか?
池溏の水も意外ときれいだが一応浄水器で濾過し、一度沸かして使うことにした。これがなかったら一体どれだけの水を担がなければならなかったことか。日が暮れるまでのんびり酒飲んで飯食って。日がくれると一気に冷えてくるのでさっさと寝てしまった。
10月8日(土)
6:00出発-7:30柄沢山-11:10檜倉山-15:00大烏帽子山-16:40ジャンクションピーク-17:15朝日岳-22:00白毛門登山口駐車場
2日目も5時起床6時出発。
しばらくは草原と踏み跡のある笹原に昨日は見えたが、行ってみると笹原に踏みあとは見つからず。結局1809m峰南のコルまでそれなりの藪漕ぎ。やはり池塘を持った草原が広がりこちらも天国のテンバ。地獄の藪と天国の草原が交互に出てくるのだこの稜線は。(圧倒的に地獄が多いけど)
目の前に大きくそびえる笹の茂る柄沢山を目指す。稜線の中心を歩くと時折踏み跡が現れる。旧道はここに付いていたのであろうか。確かに藪も胸くらいで首が出せるだけ気持ち的には楽になる。小ピークをいくつか越えながら進むのだがなぜか小ピークの付近にはシャクナゲや針葉樹の灌木が密集する。このころになるともう避けるよりも中央突破。柄沢山の直下から草原となる。これはうれしかった。そしてこの草原が新潟側の奥まで続いているようにみえる。草原に誘われるように歩いていった先には悪魔が待ち構えていた。そう、この稜線は新潟側に外れてはいけないのだ!草原はやがて浅い笹藪となり、すぐに行くことも戻る事も出来ない激藪に変わり牙を剥く。真っ直ぐ新潟側の斜面に這っている笹を掻き分けるのはほぼ不可能。音を上げて稜線を目指すがあまりに遠い。高度を上げるとさらに灌木の密度が増して壁のようになる。わずかばかりだが進んだ辺りで南へのそこそこの下降となる。これを逃したらもう稜線に戻れない!笹に掴まり枝に掴まり力ずくで体を振って稜線目指して下降する。足元は常に空中。コル状になったところで稜線を捕まえて力尽きる。振り返ると群馬側に草原がみえる。俺たちはなんてことをしてしまったんだあ。ガッカリである。しかもたどり着いた稜線には踏みあとが。。。
下降中にも見えたが、ここから檜倉山までは灌木中心の藪。見た目には紅葉してたりしてきれいだが、そんな見た目には騙されないぞ!(って突っ込むしかないのだが)
枝をなぎ倒し、踏みつけ、落っこち、転がり、脛を打ちながら越えていく。何度か倒れこんだまま動けずそのまま休憩。正直ここから檜倉山までの間に何があったのかほとんど覚えていない。ようやく檜倉山についたときには3時間以上が経過していた。
<わかるかなあ。足の下は地面まで1M弱>
檜倉山山頂は広い草原&池塘で天国のテンバ。しかし昨晩すべてのアルコールを飲みきってしまった僕らにはここで泊まる選択肢はない。
そうは言っても出発からすでに5時間。くたくたなので大休憩とする。池塘の水を濾して一旦沸かして水筒に補給する。ちょっと色がついている。このルートにはこんな水しかないのだ。
20~30分休憩して鋭気を養って最後のピーク大烏帽子へ。ここから先も何があったかはやはり記憶があいまい。というかどこも同じようにひどい藪。
大烏帽子の頂上直下近くに来るといきなり藪から飛び出し草原となる。なんと開放的なことか!これで苦行も終わった!と思ったのだが。。。草原はさほど続かず、ホントの頂上直下は藪。でも頂上からはナルミズ沢の源頭まで草原が広がっている。その先は踏み跡があるとの記録どおり、上から見ると明瞭なトレースがつながっている。やったー終わった!
しかし時計を見ると15:00。これから沢を下るのは危険。コルでビバークしたとして明日ナルミズ沢下降+東黒沢下降までできるか。さらに天気は下り坂。ナルミズ沢下降は諦め、今日のうちに土合まで下山すべく覚悟を決める。ナルミズ沢のコルからジャンクションピークまでは確かに踏み跡はあるが、やはり沢屋の踏み跡。一般登山道とは違うわけで暗くならないうちに通過しなければならない。15:00ともなるとこの時期は日の傾きが気になる。せっせと藪漕ぎ交じりの踏み跡を辿り何とか明るいうちにジャンクションピーク。そして朝日岳の水場までたどり着けることができた。
この先は暗いながらも一般道で水もたっぷり。安全だし、まあカモシカ山行?久しぶりのヘッデン下山にちょっと楽しさを感じつつ夜10時には下山。予定通り?
白毛門登山口の東黒沢で身を清め、デポした車で再び桜坂へ。腹減りまくってたけど意外と食えないもんですなあ。2時ごろ眠りにつきました。