奥秩父 荒川水系大洞川 和名倉沢

日程 2023年7月15-16日(沢中1泊)
メンバー つりし(L、記録)、はぎ
コースタイム(一日目は多少ロスはあったが普通、二日目は体調不良でペース上がらず) 
〈1日目〉
三峰観光道路7:05→和名倉沢入渓7:30→大滝下1020m12:30→大滝上1070m13:30→幕営地1300m16:00着
〈2日目〉
幕営地1300m7:10発→1380m7:40(エスケープ開始)→1670m登山道9:40→秩父大学登山口13:40

1日目

車を三峰観光道路沿いのスペースに停め、ガードレールの切れ目から大洞川に降りる、道はしっかり付いてあるが大洞川にかかるつり橋が老朽化で通行禁止になっているため大洞川まで降りて渡渉(水深20cm程度)、対岸にピンクテープがあり通常はそこから入り登山道に戻るようだが大洞川そのまま少し下り和名倉沢との合流点から入渓する。

意外にすんなり和名倉沢に入れたので幸先が良いとおもったのもつかの間、いきなり登れないF1、右岸にトラロープが垂れているが垂直に近く重い泊り装備だと登りにくいので一度空荷で登ってから荷揚げなどをしていたら約30分のロス、セオリー通り登山道から入ったほうが早い。

遡行してすこし経つと釣り人2名出現、太公望のルールでは初めに入渓した者が優先である、我々が沢登りであること、滝下の淵などの釣れそうなポイントにはできるだけ入らないことを丁寧に話し先に行かせてもらう。

彼らも朝暗いうちから釣果を期待してきている、その思いはよくわかるので約束したとおりポイントになりそうなところはできるだけ巻いて通過したのだがそのあと彼らは釣れただろうか、ちなみに魚影は全体的にあまり見なかった。

全体的な渓相としては滝は多いがその多くが登れないので高巻きが多い、そして谷が深いため巻きも急ではあるが、踏み後はしっかり残っているため思ったより迷わずに巻ける。

弁天滝は左岸巻き、通ラズは右岸をセオリー通り巻く いずれもしっかりした踏み後があり危険個所にはトラロープがある。

核心は大滝の巻き、左岸のルンゼを登っていく、途中右側にトラロープがぶら下がってはいるが滑りやすそうなスラブ岩をトラロープ頼りのごぼうで上がらないといけないため、そのまま直登する。

最後は急な泥壁になる木の根で支点が取れるのでロープを出した、ハンマーのピックを打ち込みながら登ると安心である。

1箇所釜を持った小滝があり巻きが少し面倒そうなので、少し泳いでから釜から上がったが水から出るときの手足が乏しく苦労した、二度目のトライで突破、ここが一番楽しかった。

良い時間になったので幕営地を探すもいまいち良いところがない、1300mmのところに二人で泊まるなら焚火もできる適地を見つけたのでそこで1日目の行動を終了する。

少し上には2段8m滝があり滝からの風でテントの中でもとても寒かった。

2日目

朝起きるとなにか体の調子が変だ、頭が重く体中の関節が痛いそして寒気がする、いやな予感もしたが昨日の二日酔いと筋肉痛であることを祈り7:10分に出発する。

まずは2段8mの滝を左岸のルンゼから巻く、ルンゼから右に入るところが少し悪かった。

そして山田の体調が確実に悪くなっていく息が上がりスピードが出ない、この先おおきな核心部はないものの、このペースで最後まで沢を詰めるのは本日中の下山が厳しそうなので撤退を決める、1380mから左岸の稜線を使ってエスケープ開始はじめ上部に岩が見えてくるがこれを右に巻きぎみに稜線上にあがると藪漕ぎもなく、とても歩きやすい、ただ私の体調がみるみる悪くなっていくのがわかる、50歩進むと息が続かず小休止を繰り返す、ハギちゃんには私のロープや水など重いものを持ってもらい、ようやく登山道までこぎつける、沢から登山道までの標高差300mを2時間もかかってしまったが、少し安心する。

ただ、あまりにも関節が痛く頭もフラフラしてきついので、ダメもとで解熱剤(イブクイック)をハギちゃんにもらう、

これがものすごく効果がありその後 意外とすんなり登山道を降りることができた。

沢の印象であるが、谷は深いが奥秩父にしては明るい沢だとおもった(隣の井戸沢と比較して)、また巻き道もしっかりしているのでグレードほどの難しさは感じられなかった、ただ昔の林業の残骸(ワイヤーなど)が沢のあちらこちらに放置されていて、それがなんとも残念であった。

後日談

帰宅後2日目にハギちゃんにも同じ症状が出る検査した結果、コロナであったことが判明し2週間の自宅療養、大迷惑をかけてしまい本当に申し訳ない気持ちでいっぱいであったが、谷の底から無事に這い上がり良く下界に帰ってこれたとハギちゃんと山の神様に改めて感謝をした。

丹波川水系泉水谷小室川谷

●日程:2023年8月26〜27日
●メンバー:つりし(L)、はぎ、きむ、たま(記)
●コースタイム
26日:
三条新橋P (7:59)~小室向・道標(8:27)~入渓(9:00)~S字峡入り口(10:45~松尾沢出合い(11:05)~小室ノ淵(12:36)~雨乞ノ滝(13:58)~蛇抜沢出合い※幕営(15:55)
27日:
幕営地(8:25)~1480m枝沢へ(8:52)~稜線(9:58)~大菩薩峠(10:57)~福ちゃん荘(11:41)~タクシーで三条新橋へ(12:07-12:50

白馬鑓ヶ岳(つぼ足隊)

  • 日程:2023年5月3日~4日
  • メンバー:さぶ(L)、にんべん、もつお
  • コースタイム
    5月3日 猿倉駐車場(10:30)…1600mトラバース地点(12:15)…小日向のコル(13:15)
    5月4日 小日向のコル(4:30)…白馬鑓温泉(6:30)…2774m地点稜線(10:30)…白馬鑓ヶ岳頂上(11:30)…白馬鑓温泉(13:30)…小日向のコル(16:00?)
    5月5日 小日向のコル(7:00)…猿倉駐車場(10:30)

5月3日早朝に集合し、そこから猿倉駐車場をめざす。特に道はそこまで込み合うことなく、10:00頃に猿倉駐車場に到着。先発の白馬主稜隊のお出迎え。途中で採った山菜のおすそ分けを頂いた(これはその晩、つりしさんにより味噌ナッツ和えにしてもらった)。駐車場で集合写真をとり、10:30頃に出発。歩き始めて比較的すぐに白馬鑓温泉への分岐があったので、そちらに入る。そこからしばらくはスノーハイクが続く。雪はズブズブだが、傾斜は緩くとくに歩きにくいことはなかった。12:15頃に1600m地点のトラバースまでくると、傾斜がきつくなり、アイゼンを着用(私は着用しなかった)。

写真:画像は何故かつぼ足隊ではなく、山スキー隊のハギさん

写真:幕営地の小日向のコル

13:15頃に幕営地の小日向のコルに到着。コルには多くの登山客がいたが、自分達以外には3張程度テントがあるだけで、特に込み合うことはなかった。非常に暑い中早々にテントをたてて、コンパと夕食の準備に取り掛かる。19時ころまで外は明るかったが、やはり夜は冷えたので私はダウンを投入して就寝した。

写真:モルゲンロートに赤く染まりとても美しい。

5月4日は白馬鑓ヶ岳アタックの日。朝は4時?に起床し、朝食はコーヒー等で済ませて4:30には出発(山スキー隊は少し遅れて出発)。早朝であったため、雪面は凍り付いていたため、アイゼンを装着し行動。小日向のコルから南西方面に降りていくと、ところどころ沢が走っておりルートは慎重に選ぶ必要がある。

6:30頃白馬鑓温泉に到着する。テントが数張立っており、どうやらここで泊まった登山客もいるようだ。手前付近で一本をとり、さきを急ぐ。また、鑓温泉へと向かう雪渓上はこの時期となると落石が多く発生するようで、石があちらこちらに転がっていた(幸い自分たちが見た落石は一回程度だった)

つらいつらい登り。鑓温泉より少し先、2050m地点より進路を西に変えて、また長い登りが続く。日差しがとんでもなく強く、雪面からも照りかえす感じで非常に暑い。そして風景がなかなか変わらないのもつらい。

10:15頃稜線に到着。稜線上から頂上までは全く雪がなく、山スキー隊は稜線より少ししたでスキーをデポしていた。

11:30頃、行動開始からおよそ7時間で頂上に到着。スキーを担ぎ上げた他の登山客(スキーヤー)が多かったが、お目当てはここから杓子沢方面への滑降のようだ。上から見ると下が見えないくらいの急角度であり、転がり始めると止まらなくなりそうな急斜面だったが、みな颯爽と滑って行った。

帰りはお楽しみの鑓温泉。とてつもなく熱く、そのまま入り続けることはかなり厳しく、定期的に雪を投入し温度を調整しなければ入り続けることは難しそうだった。ベースキャンプへはおよそ16:00頃に戻った。

最終日の5月5日は下山するだけであったので、少し遅めに7時頃の出発。この日も快晴だったが下降し始めるも、初日のトラバースコースではなく、若干北東よりのコースで降りてきてしまい、雪解けの沢が走っているところで出てしまった。画像は雪に覆われているように見えるが、数十メートル下方は雪が解けておりスノーブリッジ状態となっていた。ここは一人ずつ通過したが、少々冷や冷やした場面だった。

最後は山草採りを楽しみながら、およそ10時頃下山となった。

針ノ木雪渓BC

  • 日程:2023年4月23日
  • メンバー:つりし(L)、ハギ(記)
  • コースタイム
    扇沢駐車場(7:00)…最終堰堤(8:10)…2550M平坦地(12:40)…マヤクボノコル(13:20)…扇沢駐車場(16:00)

7:00扇沢駐車場発。雪が豊富なときは篭川の右岸を最初からシールで登れるそうだが、今回は登山道経由。いったん車道に出て、少し歩くと左の砂利道へ。奥に堰堤が見える。橋を渡ると雪上歩きが始まるが、スキーは担いだまま行く。堰堤脇のトラバースは雪が硬く、アイゼンで通過した。

最後の堰堤でつりしさんはアプローチシューズをデポ。ここまでで1時間弱、ようやくシール登行になった。行く手には記録によく載っているとおりの針ノ木雪渓とアルプスらしい景色が見えて、テンションが上がる。

登山口。雪がありません。。

しばらくは平坦だが、デブリの末端から傾斜が変わってくる。最初の50mくらいはクトーを付けて登ったが、デブリで登りにくいのと傾斜がキツくなってきて、途中からアイゼン歩行に切り替えた。シールで登れそうな区間も少しあったが、マヤクボ沢に分かれるその先も急傾斜なので、そのまま行くことに。

そんなわけで、スキーで登ったのは往路中、多分1/3?くらいなもので、他はずっとスキーはザックについたままだった。アイゼンじゃないと登れない所にスキーで来たのは初めてだ。硬いし荒れてるし、これ登ったところで自分にはマトモに滑れないだろうなーという揺るぎない確信だけが増した。

増すばかりの確信にボヤきながら稜線手前の2550m平坦地に到着すると、そこから稜線までは綺麗な斜面が広がっていた。雪も適度に緩んでいるようだ。雄叫びをあげながら落ちるような速度で滑ってくる人、気持ちよさそう。その姿に元気をもらってもうひと頑張り、マヤクボノコルまでの登り。

コルの向こう側には大パノラマが待っていた。東北ばかり行っている2人はまったく同定できず、「黒部湖。。だよね?ツルギって。。見えるの?」という体たらくではあったけど、稜線に上がらないと絶対に見れない景色に大感動。来れてよかった。

2550m平坦地より、爺ヶ岳と鹿島槍
針ノ木岳ピークにダイレクトに詰めあげる人々
ワレワレノピーク(マヤクボノコル)

横にそびえる針ノ木岳の山頂を尻目に、滑降に移る(2人とも針ノ木岳に登ったことがないのに、くたくたの人(ハギ)と、山頂に対する興味が薄い人(つりしさん)でどちらも登頂しようと言わない。こんなにいい天気なのに。。。)。

平坦地まで滑って、そこから先は岩場を挟んで左側、登ってきたルートをなるべく荒れてないところを選んで下るが、先の確信通りでキックターンの連投。傾斜が緩んでようやく『楽しい>ビビリ』になる。よかった。

最後は担いだスキーが枝にひっかかるのが嫌で、車道を忠実に歩く。ゲートのバーを、職員の方が持ち上げて通してくれた。16時、扇沢駐車場着。

***

課題満載でしたが、よい汗をかき、天気に恵まれ、アルプスならではの景色も堪能し、充実した1日を過ごせました。
つりしさんありがとうございました。

赤岳主稜

2022/4/9
メンバー:こば(L)、うえ(記録)
ギア類:(2人あわせて)
・50mダブルロープ1本
・クイックドロー6本…中間支点は雪に埋まっていたので多いピッチでも3本程度しか使わなかった
・キャメロット(#0.2〜2)…岩が脆く、フレアしてるので使用せず。6ピッチ目ではカムは有効だと思う。
・スリング、カラビナ、ビレイデバイス等
工程
5:00美濃戸山荘〜9:00文三郎尾根分岐〜9:25主稜取付〜13:30赤岳頂上〜17:30美濃戸山荘

前日夜は美濃戸口の八ヶ岳山荘仮眠室にて前泊し、翌朝、美濃戸山荘まで車で入る。4時台で2℃くらいで暖かい。駐車場まで凍結箇所はなく、スムーズに行けた。

5:00 スタート

準備をして5:00過ぎにスタート。すぐに雪や凍結箇所が出てきたので私は4本爪軽アイゼンを装着。こばさんはツボ足で進む。右岸の急登を登り切ったあとから完全に雪道になるが、行者小屋まではそのままの装備で進む。

7:15~7:50

行者小屋にて大休憩とウェア調整。小屋の前まで日が当たってきてさらに暖かくなってきた。

7:50〜8:50

文三郎尾根を息を切らしつつ登る

9:00〜9:20 アプローチ

文三郎尾根が稜線に向けて角度を変えるあたり差し掛かると、主稜取り付きの長いスリングが見えた。

どこで登山道を外れるか迷った末、傾斜が緩くなったように感じた慰霊碑のあたりから下降しつつトラバースを開始した。1ピッチ目終了点と同程度の高さだったようなので、登りすぎていたと思う。下山中に確認したところ、もっと下からでもトラバースできそうだった。

ルンゼの雪はかなり緩んでいて、下降しながらのトラバースは緊張感のあるものだった。

先頭のこばさんが作ったステップを崩さないように慎重に下降し、吹き溜りやクラストした斜面を何度も横断して、取り付きに到着。

全工程で一番の核心だったように思う。

トラバース開始

9:25 登攀開始

1ピッチ目(うえ)

雪に埋もれたチョックストーン

1ピッチ目は有名なチョックストーンなのだが、なんと半分以上が雪に埋もれていて、上部のガバにも手が届く状態だ。ピッケルをしまい、ガバを掴み、ステミングであっさり登れた。

その後は右側に続くルンゼを上り、さらに右に回り込んだ突き当たりの壁に終了点(ボルト×2)があった。チョックストーンすぐ上以外中間支点はない(埋もれていた?)が、特に問題はない。

2ピッチ目(こば)

階段状の広い凹角を上がって、右方向に続く稜線上を進む。

階段状凹角

稜線を上から振り返る

雪稜上の大岩に終了点(ボルト×2)あり。

3ピッチ目(うえ)

リッジを頼りに、右横の雪面を登っていく。

突き当たりの壁に終了点(ハーケン×2)あり

下から見た3ピッチ目全貌

3ピッチ目の終了点

4ピッチ目(こば)

おそらくここが中間の岩場だろう。

4ピッチ目最初の岩場

ルンゼから階段状を登ると雪稜になる。ロープを伸ばし切った辺りの広いリッジの中に、雪に埋もれた大岩にボルトがあったので、そこを終了点とした。

4ピッチ目終了点

5ピッチ目(うえ)

広い雪稜の左側に壁が迫ってくる。ブッシュを超えた辺りで左壁に向かい、右方向に大きくカーブした左壁の際を辿りながら右前方のルンゼンを目指す。

ピッチ目全貌。左の壁が途切れるあたりが終了点

左壁が途切れるあたりまで行くと、大きなチムニーから長く垂れ下がった残置スリングが伸びているのが見えた。そこに行くか迷ったが、そのすぐ右に終了点(ボルト×2)を発見した。

左壁の際を辿らずに、雪稜からそのままルンゼに入っていく方が近かったとは思うが、腐り雪ということもあり、ルンゼを避ける形となった。

6ピッチ目(こば)

上部岩壁で出しの岩場

核心と言われているので、先程の残地スリングが伸びる大きなチムニーを登るのか迷ったが、終了点の右奥から小チムニーを登ることに。残地支点が見つからなかったのでフリーで登ったが、ここはカムを使えそうだった。(残念ながら、カムは私が持っていたので使えなかった)

核心の岩場を超えると、岩雪ミックスのリッジになる。リッジ上の大岩に終了点(ボルト×2)あり。

6ピッチ目を振り返って

6ピッチ目終了点

7ピッチ目

初めは岩稜帯だが、次第に雪稜になる。簡単だがかなりな急登でなかなかペースが上がらない。50mロープをいっぱいに延ばした辺りにルンゼが見えるが、ちょうど良い終了点が見つからなかったので、ルンゼ手前の大岩のハーケン一本で終了点とした。

7ピッチ目の初めの岩稜帯

7ピッチ目の途中

8ピッチ目

狭いルンゼを越えて、広いルンゼを登る。

50mロープを伸ばした所で大岩にスリングをかけて終了点とした。

初めのルンゼ

その後のルンゼ

8ピッチ目のビレイポイント

9ピッチ目

引き続き易しい雪稜が続くが、引き続きスタカットで北峰まで登る。山頂の標識でセルフを取り、肩がらみでビレイ。

9ピッチ目全貌。奥に登山道の鎖が見える

9ピッチ目を振り返って

3、7〜9ピッチ目はコンテで登る記録を散見したし、実際かなり簡単だったが、コンテに不慣れなのもあり、全てスタカットで登った。

13:30〜50赤岳頂上

山頂で写真撮影と休憩。

多少風はあるが、非常に天気が良い

雪が相当腐っているので、雪崩が心配だ。(前の週に文三郎尾根で雪崩事故があったそうだ)

気をつけて下山。

15:00〜30 行者小屋

休憩と装備解除。ここでうえは4本爪アイゼンに履き替えた。こばさんはそのまま12本歯アイゼンで下山。

雪がぐちゃぐちゃで、歩きにくく、なかなかスピードが上がらない。

融雪は進んでいるのだが、行きと同じところまでは雪が多く、その後傾斜が緩み泥道が出てきた所からはツボ足で。

うえも軽アイゼンを脱いでしまったが、凍結箇所は駐車場まで続くので最後まで軽アイゼンでもよかった。

バテてしまいペースダウンしたが、明るいうちに下山できた。

17:30 美濃戸山荘駐車場

感想

赤岳主稜という人気ルートに快晴の中、貸切で登れた幸運に感謝。

今まで冬のアルパインは3月の阿弥陀北稜、南稜くらいという初心者の我々には、ドキドキする挑戦となった

もちろん4月のとても快晴の日に登ったので、厳冬期のそれとは厳しさが全く違うのだが、阿弥陀より長く、ルートとしても美しく、とても充実感を味わえた。

暖かく快適だったが、その分雪崩のリスクとは常に隣り合わせだと思う。

前の週に文三郎尾根で雪崩があり、当日も気温が高かったので、各小屋が登山者に対して注意喚起していたらしい。一般道でも登山者は大変少なかった。

金木戸沢 双六谷 遡行

日程
2022年8月11日〜14日

メンバー
こば(L)、うえ、きよ(記録)

工程
【1日目】5:40双六ダム手前の駐車場より出発→9:12取水堰堤→13:00打込谷出会手前より入渓→15:30幕営
【2日目】6:30出発→8:10センズ谷出会→11:17キンチヂミ→12:30蓮華谷出会→14:41六千尺の滝→15:24幕営
【3日目】7:30出発→8:02双六谷→13:07双六小屋泊
【4日目】4:00出発→5:00双六岳→6:30双六小屋→9:02鏡平小屋→11:15ワサビ平小屋→12:28新穂高温泉下山

1日目

前日は道の駅奥飛騨温泉郷上宝で車中泊をし、双六ダム手前の駐車場へ移動した。

5:40

駐車場より出発し、ひたすら林道を歩く。

道中、アブの大群がコバさんを襲っていた。

うえさんはこの日のために秘密兵器のオニヤンマ君を持ってきていて頭につけていた。

効果はあったようでうえさんの周りにはアブは寄ってこなかったが、後に沢に流されていた。

林道を進む。

9:12

取水堰堤へ到着。

泳ぎに自信のあるPTはここから入渓するようだが、私たちはここは巻くことに。

取水堰堤

取水堰堤を過ぎ、沢沿いに進むルートを行くが、踏み跡が非常に不明瞭であった。

途中から道を見失い、1時間ほど藪漕ぎとなりようやく石積みの道を発見し、ルートに復帰することができた。

どいうやらルートよりかなり下部を歩いていたようだ。

沢から50mほど上部に廃道があるようだ。

13:00

打込谷出会の少し手前から沢へ降りると、壊れた吊り橋が見えた。

入渓準備をして入渓する。

写真は曇っているが、壊れた橋が奥に見える。

アルプスらしいエメラルドグリーンの沢に白い巨石が映える。

アルプスの沢のスケールに圧倒される。

所々急流を渡渉したり、滝を高巻いたりしながら進む。

私はこのような大きな沢の遡行は初めてだったので大きな渡渉や泳ぎを非常に楽しめた。

青空もちらほら。

15:30

打込谷出会とセンズ谷出会の中間のぐらいの位置に良さそうな幕営適地を発見し、ここで1泊する。

夕飯はこばさんが美味しい肉団子スープを作ってくれた。

生姜やスパイス入りの肉団子だったのでとても温まった。

幕営地

2日目 6:30

朝から天気は曇天であったが出発する。

この日は台風が近づいていたこともあり、小雨と曇天を繰り返していた。

8:10

センズ谷出会

小雨の降るセンズ谷出会

11:17

多分この場所が核心部と言われるキンチヂミ。

荷物を担いだまま滝の壺へ向かうも水量が多く上手く取り付けない。

最初は滝壺の方から近づくも取り付けない。

うえさんは写真より右側のチムニーに取り付いていたが苦戦していたようだ。

私は荷物をデポし、更に右側の洞窟のような場所から突破を試みる。

私にとってはかなり窮屈であったがなんとか這い出る。

その後全員分の荷物を引き上げ、コバさんはチムニー部から、うえさんは洞窟から突破した。

12:30

蓮華谷出会

ここを越えるころには水量もかなり減り、渡渉や水線突破も容易になってくる。

蓮華谷出会

14:41

六千尺の滝は右岸に倒れかかっている大木を上手く利用し突破する。

右岸の木を使って登る。

15:24

六千尺の滝から40分ほど歩いたところに巨大なスペースの幕営適地を発見し、1泊した。

この日はうえさんが美味しい麩チャンプルーを作ってくれた。

明日には沢を突破できそうということで、私の担当分の食糧もここで解放する。

焼き鳥缶親子丼と豚なし豚汁を作成した。

夜は雨が降ったり止んだりで天気は安定しなかった。

3日目 7:30

幕営地を出発

この日は晴れ間が覗くことも。

8:02

双六谷に入り、ここから一気に水量が減り岩のぬめりが酷くなる。

ラバーソールだとツルツルとって大変だった。

フェルトサンダルがあれば活躍したかもしれない。

青空に飛行機雲が映える。
たまに曇る。
蝶と双六岳(手前)

しばらく進むと(2400m地点ぐらい?)沢も枯れ、多少の藪漕ぎをしながら進む。

木をかき分ける程度の藪漕ぎ

2470mぐらいになると草原が広がりだし、次第に双六小屋が見えてくる。

背の高い植物は次第になくなる。

綺麗なお花畑を土足で踏み荒らすことに心を痛めながらも双六小屋に詰める。

お花畑の先の双六小屋

13:07

双六小屋に到着。

予約はしていなかったが空き状況を聞くと、個室に宿泊することができた。

4日目 4:00

日の出時間が5時ごろとのことなので4時に双六小屋を出て双六岳へ登った。

全体的に曇ってはいたが、太陽が出てくる部分のみ雲がなく、無事ご来光を拝むことができた。

槍ヶ岳とご来光

ご来光を拝んだ後は一度小屋へ戻り、朝食をいただき、そのまま新穂高温泉へ下山した。

ウメコバ沢

写真(18)_CSの2段滝(F6)

(S)銅親水公園駐車場~松木川~ウメコバ沢(泊)~中倉尾根~中倉山登山口~(G)銅親水公園駐車場

■日  付:2022年7月2日(土)~7月3日(日)1泊2日
■天  候:7月2日(土)快晴→小雨  7月3日(日)快晴→雷雨
■メンバー:こば(L)、うえ、ささじ(記)
■装  備:標準沢装備、8×30mロープ、タープほか沢泊グッズ
■活動概略:
合計行動時間:約12時間/行動距離:16.2km/上り/下り:1240m/1248m(累計)
<1日目>銅親水公園~ウメコバ沢F4(泊)
行動時間:4時間50分(内休憩1時間30分)
距離:7.1km  上り/下り555m/126m

<2日目>ウメコバ沢F4~中倉尾根~中倉山登山口~銅親水公園駐車場
行動時間:7時間(内休憩1時間50分)
距離:9.1km  上り/下り 685m/1122m

■記  録:
7月2日(土)※1日目<5:00>
東京を出発、首都高、東北道を経て7:30に銅親水公園(あかがねしんすいこうえん)駐車場に到着した。
幸い車1台が駐車出来るスペースはあったが、この時期早い時間から駐車場は満車になるようなのでご注意願いたい。ちなみに乗用車約30台、バス4台分程度駐車出来る広さである。

1日目<8:30~11:00>林道歩き
沢靴を履いて銅親水公園駐車場を出発。ゲートをくぐり松木川沿いの林道を歩く。
今年は異例の速さで梅雨明けし、すでに40℃を超える気温を記録した地域もある。
この松木川沿いの林道も例外ではなく、しばらく日陰の無い林道が続き小休憩しながら進む。初日の核心はこの猛暑のなかの林道歩きであったと遡行を終えた今でも感じている。

写真(1)_ゲート

写真(2)_林道
写真(2)_林道

しばらく歩くと第2堰堤が現れる。我々は左側から堰堤を越えた(右側からも越えられるかも。未確認)。堰堤左側はロープも張っており難なく超えることが出来た。

写真(3)_第2堰堤
写真(3)_第2堰堤

写真(4)_堰堤を左から超える
写真(4)_堰堤を左から超える

堰堤を越えた後、対岸に戻り廃林道をしばらく歩く。

写真(5)_対岸へ戻り林道へ
写真(5)_対岸へ戻り林道へ

この辺りからは樹林帯を歩くことが出来る。
ウメコバ沢出合いに到着するまでしっかりした踏み後があるが、所々に崩落した場所があるので注意が必要である。

写真(6)_しっかりした踏み後がある
写真(6)_しっかりした踏み後がある

1日目<11:00>ウメコバ沢出合いに到着
出合いがいきなり10m程度の「F1」である。ここで本格的な沢支度をする。
岩登り要素が多いとの情報だったので、今回は3人ともラバーソール。
結果正解だったと感じている。

写真(7)_ウメコバ沢出合いF1
写真(7)_ウメコバ沢出合いF1

右側にロープが張ってあるラインを各々フリーで登っていく。ホールドはしっかりしている。しかしそれなりに高度があり出だしということもあり緊張しながらの登攀だった。

写真(8)_F1
写真(8)_F1

F1を登るとすぐさまF2?が現れる。直登はせず右側の草付きを高巻く。

写真(9)_F2
写真(9)_F2

この後も小滝が続くが登れる小滝なのであえて濡れながら超えていくスタイルでクールダウン。
しばらく進むと前方遠くにF3の大滝が見えてくる。

写真(10)_F2を越えるとF3が見えてくる
写真(10)_F2を越えるとF3が見えてくる

1日目<12:20>F3に到着

写真(11)_F3
写真(11)_F3

写真(12)_F3水花火
写真(12)_F3水花火

F3は30m程度の滝で水量もそこそこの大滝だが、水が滝つぼに轟音とともに落ちる瀑布ではなく、流水がほどよく岩にあたり日が当たれば綺麗な水花火が拝める静かに落ちる美しい滝である。滝に打たれてクールダウンもできる。ここでしばらく撮影タイムを兼ね大休憩をとった。

やはりF3も直登はできない。右側に沢筋がありそこを少し登り、途中からF3右の岩壁を巻く感じで藪に入り高巻き崖上に出る(黄色のライン)。藪中はよく見ると薄いながら踏み後があるが経験とルーファイ力、そしてやはり感が必要。F3を高巻くとすぐそこにはF4が現れる。

1日目<13:20>F4に到着

写真(13)_F4ルート
写真(13)_F4ルート

F4は50mほどの大滝である。
この滝もF3同様に落差がありどっしりとした大きな滝だが、そこはかとなく優しい感じのする滝であった。これまた美しい。また振り返ると今まで登ってきた壮大な景色が楽しめる。

今回はこの辺りを幕営予定地として考えていた。しかし開けた平の地面は少なく各々が分かれて平の場所で寝ることとなる。まぁいつものことのような気がしたが…
薪は太いものは少ないが、乾燥した薪は不足しない程度に集まった。枝沢はないので本流の水を飲料水として使用することとなる。お腹の弱い方はご注意を。

本日は夕方から雲が出始め小雨が降った。雨宿りするほどの雨ではなかったが雨具の上だけ着ておいしい食事と焚火を楽しんだ。焚火を前にしていると些細なことは気にしなくなる。焚火の魔力か。結局雨はひどくなることはなく、夜には満天の星空を楽しめた。

7月3日(日)※2日目<6:30>F4を出発

他の記録ではF4右側のルンゼ(黄色ライン)から高巻いている。しかし今回我々はテンバ(画像左下)から岩壁を巻くような(赤色ライン)ルートで高巻きを試みた。途中からはルンゼルートと合流することとなる。
赤ラインルートは壮大な景色を眺めながら登ることの出来る解放感のあるルートだ。若干岩登り的な要素が含まれるが技術的に難しいことはなく普通に歩ける場所が多くあるが高度感がある。ルート中には植生もあり高度感はあるものの安心して登ることが出来るルートだったが油断は禁物である。

写真(14)_F4高巻きルート
写真(14)_F4高巻きルート

赤ルートを高巻き中、左側の岩壁に「M字」形の門のような岩が見える。このM字門の先はルンゼルートに合流することが出来るがかなりリスクのあるルートであった(自分のみ確認)。無理して行くルートではないのでM字の門が見えても高巻くルートはまだ先であるので注意すること。

写真(15)_M字門はくぐるな
写真(15)_M字門はくぐるな

高巻きは黄色ラインにしても赤ラインにしてもF4より高い高度を高巻くことになる。F4直上あたりは高度感のあるトラバースであるが足場はしっかりしている。

写真(16)_F4直上トラバース
写真(16)_F4直上トラバース

このトラバースを進むと途中でF4の落ち口に降りることが出来るがF4のすぐ上に滑りそうな滝(F5?)がある。このままトラバースを続けると一緒にF4上のF5?も巻くことが出来る。

写真(17)_F4、F5直上トラバース
写真(17)_F4、F5直上トラバース

2日目<7:10>F4、F5を高巻き完了

F4、F5は40分で高巻くことが出来た。予定していたより早く、また危険なところもなくF4の高巻きも大成功だったと思う。リーダーのルーファイに感謝。

F5を巻いたところで沢に降りることが出来る。
降りた先にCSがあるF6が見える。遠目ではわかりにくいが2段の滝である。F4の高巻きが少し早かったこともあり、ここで20分ほど写真撮影タイムを取ることにした。

写真(18)_CSの2段滝(F6)
写真(18)_CSの2段滝(F6)

写真(19)_F6手前で休憩するリーダー
写真(19)_F6手前で休憩するリーダー

2日目<7:30>F6登り始め

休憩も終わりF6を登り始める。1段目は右側を登る。

写真(20)_CSの2段滝(F6)
写真(20)_CSの2段滝(F6)

2段目のCSはくぐれるかなと期待していたが、登ってみるとくぐれないことが分かった。CS横を登ろうにも岩が立っていることとヌメリが強そうで少し厳しそうだ。そこで右側を見るとルンゼがあるのでそこを登ることとする。一応ホールドもしっかりしているので問題はないかと思うが、念のためリーダーが登ったのちロープを出してもらった。
今回の遡行中、最初で最後のロープの使用であった。

写真(21)_CSの滝2段目
写真(21)_CSの滝2段目

写真(22)_CSの滝落ち口
写真(22)_CSの滝落ち口

このF6をもってウメコバ沢の主要な滝は終了する。
これからはしっかり地図読みしながら1615mあたりのコルを目指して詰め上げる。この山域の特徴は基本的に岩稜帯である。よってひたすら斜面を詰め上げるというよりは、一つ一つは高くないが岩壁を4足歩行でグイグイ登って高度を上げるといった岩登り的な感じで詰め上げることとなる。浮石も多くガレ場もあるので注意すること。

写真(23)_詰めのガレ場
写真(23)_詰めのガレ場

グイグイ詰め上げるとコル直下付近からは植生が増えてくる。時間的に気温も上がり、日差しも強くなってきた。歩きやすい場所を求め植生の中を積極的に進むこととなる。シカの糞が増えてきたら詰め上げ終盤で目標のコルは近い。

2日目<9:30>1615m付近のコルに詰め上げ

写真(24)_1615m付近
写真(24)_1615m付近

疲労と暑さでヒイヒイ言いながらやっと予定していた1615m付近のコルに詰め上げることが出来た。そしてそこには今までのモノクロで岩々した景色が一変し、緑美しいカラーの稜線が待っていた。日光付近の山々は割と近場で、尚且つ低山でありながら美しい景色を見せてくれるので自分的には大好きなエリアである。

写真(25)_1615m付近のコルにて
写真(25)_1615m付近のコルにて

写真(26)_コルから出合いがみえる
写真(26)_コルから出合いがみえる

しかし先程から気になっていたのだが、雨は降っていないがゴロゴロと雷鳴が聞こえる。嫌な予感。そんな中、とにかく休憩は後回しにして近くの樹林帯の下まで移動し沢装備を解除する。

写真(27)_稜線風景
写真(27)_稜線風景

沢装備を解除し少し休憩の後中倉山方面へ下山をはじめるがやはり来た。「ゴロゴロ」ではなく「ガラガラガラ!!」と近くで落ちている音が聞こえる。この中倉尾根は樹林帯がない見通しの良い稜線であるため、雷が落ちるとすれば高確率で我々に。いったん沢入山ピーク下の樹林帯に入って様子を見ることに。若干雷が落ち着いてきた頃合いを見て下山を再開したが、標高もだいぶ下がったところで雨も強くなりまた雷も近くでなり始めた。結局その日はずっと雷雨。なんだか沢中より濡れた2日目であった。

写真(28)_おまけ 孤高のブナ
写真(28)_おまけ 孤高のブナ

<13:15>下山、銅親水公園駐車場着

■感想

今年2回目の沢登り。今回は沢登り要素よりクライミング要素が強い沢だったと感じている。何といっても初日の暑さには参った。雨が降らなくても林道歩きには日よけのための傘が必要だと思った。これまた勉強が出来た。ウメコバ沢は決して大きな沢ではない。しかしそれ故に予習と現地での地図読みをしっかりしないと全く違った沢に入り込み、手詰みになってしまう可能性も感じた。何年何回と沢登りを続けてきたが基本の重要性を再確認できた沢だった。

こばリーダー、うえさん今回も大変お世話になりました。

奥穂南稜

日程

2022年5月3日~5月5日

メンバー

コバ(L)、ウエ

1日目

上高地〜岳沢
東京を5:00に出たものの、小仏トンネルからの渋滞が既に調布辺りまで伸びていて上高地に入れたのは12時過ぎ。
岳沢には15時ごろ着。
テントを張り早速取り付きの偵察に向かう。
記録でよく見るルンゼの入り口は数日前の雨で雪が剥がれ落ち、ルンゼの奥にチムニー状の壁が剥き出しになっている。ルンゼに上がるアプローチとしてはここを直登するか、左の斜面にあるバンド状をジグザクにたどるか。
足元がスノーブリッジになっていて、今はそれ以上近づけないため、本番判断とした。
南稜登攀後岳沢に戻るルートとして考えていた前穂高沢も上部まで見えるわけではないので、明日の判断。

奥穂南稜全景:上高地から奥穂南稜全景(赤線は今回のルート)

取付き偵察:南稜取付きルンゼ(実線が実際に登ったルート)

この時間で足元の雪はかなり腐っていて、今日よりも気温が上がる明日にどうなっているか若干心配になりながらテントに戻った。

この計画、計画書では荷物を担いで登り涸沢に抜けることとしていた。しかし岳沢まで登ってきて思ったのは、テン泊の荷物でやろうとするならもっと徹底して減量しなければ我々の体力では無理だと気付き、2つのオプションを持つことにした。
①吊り尾根から前穂高沢下降で岳沢に戻る
雪が安定していて、さらに吊り尾根を通過する時間が必要。
②涸沢に降りて小屋泊にする。
安全なのは②だが、テント回収に岳沢をもう一度登らなければならない。
さあどうなることか。

2日目

4時発。取り付きには4:30ごろ。
先行パーティーがすでに前を歩いている。どうやらルンゼの右(滝沢側)の尾根から取り付くようだ。
スノーブリッジを避けてチムニーに近づいてみるとチムニーの右側の壁が比較的簡単に登れそう。コバがまずはノーロープで登ってみる。ホールドもしっかりあり難なく登れたが、残置ピトンもありロープを出すのが正解か。上は傾斜が緩いがところどころベルグラが張っていていやらしい。落口から少し上がったところにあるピトンを使ってフォローにロープを出して登ってもらう。先に小滝状の岩場が見える。

チムニーの右壁を越える

小滝を越えるところまでウエのリード。右岸側のブッシュ沿いを巻き上がり、小滝上に出る。ここで一旦ロープを仕舞う。
ブッシュを使いながらルンゼを進むと途中から雪壁となる。朝早いので雪は締まりアイゼンがよく効く。快調に登るとルンゼは二手に分かれ、我々は右のルンゼにルートをとる。先行パーティーはそのまま直上するルートを登っていくが、その後いわゆる下の岩壁で合流することになる。
右のルンゼは途中雪渓が切れている。ハイマツやブッシュを使いながらルンゼ状を抜けると再び雪壁登りで岩壁の基部へ。下の岩壁の右に続くハイマツ帯をトラバースしていくと、再び雪稜。右手は滝沢に向かって切れ落ちている。左の大岩に沿うようにして登ると、上部の雪渓が雪庇の壁状に前方を塞いでいる。すでに先行パーティーの影はなく、雪庇を切り欠いたトレースを残してくれていたのでありがたく使わせてもらうこととして、ここでロープを出す。雪庇状の高さは3mほど。まだ雪が締まっていてピッケルもアイゼンもよく効くので難なく乗り越せる。乗り越したところでスタンディングアックスでビレイしウエに登ってもらう。

大岩に沿って雪壁を登る1

大岩に沿って雪壁を登る2

先にトリコニーI峰の取り付きと思われる岩場が見えるので、ロープは仕舞わずスタカットで進む。岩場に入って1ピッチ、記録でよく目にする螺旋状のチムニーに到着。入って右回りに登るとチムニーの上に出るので、さらにチムニーを跨いで先に進むと、トリコニーI峰手前の小岩峰の基部になる。チムニーを跨ぐところで勇気がいる。
小岩峰に登る岩は記録によってはトリコニーの核心とされていて、凹角状4mほどの岩に残置ピトンが1本、なんとカラビナ付きのスリングがぶら下がっている。また、この岩の左奥を覗くとI峰のピナクル手前のコルに簡単に行けそうにも見える。どちらにしようか悩んだ末、リードするウエの判断は核心アタック。1段上がった後がホールド・スタンス共に細かくなり、アイゼンでの登攀では少々厳しく感じた。ここは左に巻くのが正解か。雪が多い年であればもっと手前から左に巻いて雪壁登りでコルに出るのが一般的なようだ。

トリコニーⅠ峰へ続く岩場の取付き。奥にモノリス岩が見えている。

らせん状チムニー。中に入ると右に折れ、右壁を登ってこの上に出る。

小岩峰へのルート。ピトンが一本

ちょっとだけ懸垂してⅠ峰のコルへ(手前のピナクルがⅠ峰、奥はⅡ峰)

登ってしまった岩峰からちょっとだけ懸垂してコルへ。I峰とII峰の間のナイフリッジを期待していたが、雪が少なくハイマツの稜線が剥き出しになっていた。II峰から先はほぼ雪稜で、Ⅲ峰を左に見るあたりでロープを仕舞う。Ⅲ峰は通過しない。

Ⅰ峰からⅡ峰へ。雪のナイフリッジはなかった。

上部からトリコニーを見下ろす(左からⅠⅡⅢ峰)

この先は雪稜と易しい岩場が交互に現れ、特に難しいところはないが、長くて疲れる。
途中一箇所今朝あったような簡単な雪庇状の乗り越しがあったが、今回はノーロープで通過できた。
南稜の頭についた時には11時半になっていた。

雪庇状の雪壁を越える。

雪と岩のミックスを丁寧に通過する

南稜の頭

南稜の頭から奥穂を見上げる

出発前のオプションの①は、想定より時間がかかり気温が上がったため雪が腐ってきていること、トリコニーのあたりの滝沢支流で小さな雪崩れがあったこと、2日前に雪が降ったことなどを考慮して危険と判断し、涸沢に降りることにする。これで岳沢をもう一度登ることが確定してしまった。
南稜の頭で岳沢小屋に戻らない旨電話し、併せて涸沢ヒュッテの予約をとった。便利になったものだ。
南稜の頭から奥穂は15分ほど。
穂高岳山荘経由で涸沢着が15時ごろであった。

3日目

岳沢に寄って下山。

タイムレコード

4:00 岳沢テンバ発
4:30 南稜ルンゼ取り付き
5:50 下の岩壁
8:00 螺旋状チムニー
10:00 トリコニー通過
11:30 南稜の頭

那須岳

【日程】2022年2月26日(土)
【メンバー】もつお(L)(記)、こば、うえ
【行程】5:30こばさん車でメンバーピックアップ…08:45 大丸駐車場 – 11:00峠の茶屋避難小屋 – 11:30 茶臼岳(休憩) – 12:15 峠の茶屋避難小屋 – 13:45 大丸駐車場 ピストン

●2/26:全行程

うえさんともつおをピックアップしてもらい、こばさん車で大丸駐車場を目指します。2、3日前から天気予報と睨めっこしてましたが、この日は概ね晴れの様相で、おそらくアタリの日になりそうです。行きの車中でも遥か遠くの山並み迄見渡せた事で、一安心をしていました。ただ、駐車場に着いて車を降りてから、やはり寒いなぁと思いました。そして、やっぱり人は多そうだなぁと思いました。
※実際に登山客は多く、この日100人以上とすれ違ったような気がします。

登山開始

9:00頃に行動開始。私は訓練のためメットにハーネスも着けて歩きます。雪は締まっており、とても歩きやすいのですが、積雪が多いせいか外付けしているピッケルが木の枝に引っかかって少々面倒でした。そのため、ストックをやめてピッケルに持ち替えます。歩き始めて40分程度で雪に埋もれた峠の茶屋に到着。ドカ雪から逃げそびれたのか、一台車が取り残されていました。

逃げ遅れた車

この先の山の神を超えて木々の間を縫いながら歩いていくと、開けたところに出ます。ここから少し行くと、中の茶屋跡にたどり着きます。ここで本日最初の一本を取り、アイゼンを装着しました。また北方面には朝日岳が聳え立っていて、東南稜を登っているパーティが遠くに見えました。そしてその際コバさんからはしきりに「次はあそこに行くぞ!」と強烈な掛け声がかかりました。
※私はアイゼンの前爪で立つという動作(というかアイゼン自体)に信用できず。。。

朝日岳

アイゼンを装着した後、軽快に登山道を登っていき、11時少し前に峰の茶屋小屋に到着します。

峰の茶屋小屋

小屋はおそらくオールシーズン開いており、小休憩をとることができます。中で一泊されたかたもいらっしゃったようですが、我々は特に中に入ることはせず、外で小休憩を取った後、先を目指します。稜線に出たことで、心なしか若干風が強くなった感じがしましたが、歩きにくいことはなく、そのまままっすぐ頂上を目指します。

山頂方面

11:10頃お鉢の入り口に到着した後、ここから反時計回りで進み、およそ11:30に頂上に到着しました。

頂上

ここで食事を取りつつ遠くを見ると、筑波山が平野部にどっしりと構え、更に遠くを見やると微かに富士山も見えました。

12時頃から下山を開始し、帰りもサクサクと下りていきます。時間的に余裕もあったため、折角なので持ってきたわかんを付けさせてもらいました。ですが、バンドの構造が安っぽく、すぐに外れかけてしまいます。ただそれは前回の谷川で分かっていた事なので、今回ホームセンターで購入したマジックテープを投入してみると、これが効果的面でかなりガッツリと装着することができました。少々乱暴に走っても、全く外れる様子はなく、次回使用する時にもこれは採用していきたいと思っています。

さて、行程的には13:30には無事下山完了。 下山後は、そこから車ですぐの鹿の湯に汗を流しに行きました。この鹿の湯、温泉好きにはたまらないと思います。一言で「趣がある」温泉で、ノスタルジックあふれる古民家のような感じとなっています。ただ、古民家といってもとても清潔感があり、むしろ通の方からは「温泉といったらこうでなきゃ」と言われそうな感じもします。ここまできたのであれば、確実に入ってほしい温泉ですね。

今回、次の山行に向けての雪上歩行技術向上と、前回痛い思いをした靴擦れのリベンジのために、この山域を選ばせて頂きましたが、天候に恵まれて思っていた以上に良い山行になったと思っています。私がリーダーとして計画させて頂きましたが、計画書作成段階からこばさん、うえさんに色々と助言頂けて、とても感謝しています。

この記事を書いている時点では、すでに木曾駒ケ岳山行も終わってしまっていますが、もう一回くらいは雪の上を歩きたいなと思っています。

 

【おまけ】

天気図を載せておきます。
気象庁|過去の天気図(1日表示) (jma.go.jp)
※24、25日は12時をチョイス

〇温泉について(切れにはご容赦ください)

那須温泉 鹿の湯l千三百年続く静寂と癒しの湯 (shikanoyu.jp)

お風呂で疲労回復したいなら交代浴が良いようです。
㊾ ブームの温冷交代浴を医学で解剖してみると | 【公式】東京銭湯/東京都浴場組合 (1010.or.jp)

〇公共交通機関の場合

今回は小羽さん車で行きましたが、公共交通機関でも行ける感じです。

王子(始発)□■□電車鈍行□■□那須塩原(7:43)/(8:00)―――大丸温泉(9:10)

〇気象について ※少し調べました

(何故那須岳(茶臼岳)は風が強いのか?そしてこの日穏やかだった理由は?)
前述の通りこの日はとても風が穏やかでした。風が強くて有名な那須岳ですが、なぜこの日は風が穏やかだったのでしょうか?

まず、なぜこの山域は通常風がとても強いのかという理由ですが、これは那須連山のおよそ北に位置する飯豊山や吾妻山域と、浅草岳を始めとする越後山脈の間がちょうど風の受け入れ口のようになっており、そこで収束された風が阿賀野川に沿って那須連山に吹き付けるからだそうです。

※そう言われれば、何となく風の通り道になっているような気がする・・・。

このような感じで那須岳は風が強いらしいのですが、ただこの日はあまり強いとは感じませんでした。そこで「冬場は風が強い」ということについて、もう少し調べてみたところ、以下の論文に色々と書かれてました。

03_短報-02/青木・渡来●数式_4C.indd (ris-geo.jp)
『「那須おろし」発生時のスコラー数の特徴』

「何とかおろし」と良く使われる言葉ですが、東日本では冬シーズンに山の方から強い風が吹くということで、本稿では那須に焦点を当てて説明がされていました。で、いろいろと難しいことが書かれている中で、3ページの棒グラフ「那須高原」を見てもらうと、この那須おろしの出現率は2月はおよそ40%と、12月と1月と3月に比べて、少し低い出現率となっている感じでした。つまりは(強引にまとめると)、確かに冬場は強い風が吹くのですが、2月は少し落ち着くことが多いということがわかりました。※那須高原を参考にしてもよいのかは不明

また、この論文の冒頭にも「主として西高東低」と書かれているように、当たり前ですが西高東低の気圧配置でこの山域も風が強くなります。で、この日の気圧配置をもう一度振り返ってみますと、等圧線が日本付近で東西に寝ている状況となっていました。

等圧線の向き、高気圧から噴き出す風、朝鮮半島付近の低気圧への流れ込み。そこからこの日の風向きとしては、おそらく西風だったのではないでしょうか?(しかも低気圧も高気圧も那須から少し離れており、弱まった風が届く程度か。)この西風が吹く場合、先ほどの加工画像にあるとおり、越後山脈が壁になって那須連山に風が届きにくくなるのかなぁと思われます。

逆にこの高気圧がもう少し北よりを東進した場合、おそらく等圧線は若干縦向きとなり、更に東日本で線が込み合いはじめ、高気圧の前面では大荒れとはならなくとも、強風が吹く可能性はあったのではないかと思われます。

〈まとめ〉
・冬シーズンの中で、2月は他の月よりも風が落ち着いていることが多い
・やはり西高東低の気圧配置だと風が強く、北、西北西、北北西の風は危ない
・高気圧が来てても風が強い可能性があり、どれくらいの緯度を東進するかで変わる

信憑性のご判断はお任せ致します。

浅間山 外輪山

【日程】2022年1月9日
【メンバー】セキモ(L)、にんべん、ささけい、もつお(記)
【行程】8:25佐久平バス停集合…09:45 車坂峠(中コース) – 11:05 トーミの頭 – 11:25 黒斑山 – 11:45 蛇骨岳 (休憩) – 12:00 仙人岳 – 12:30 鋸岳 – 15:40 車坂峠 ピストン

●1/9:全行程

朝から快晴で、行きの新幹線から浅間山がよく見える。頂上付近にも白煙は見当たらず、風も強くはなさそうだった。

この日は佐久平バス停に集合。天気が良いためバスは混み合うかと思いきや、あまり登山客は多くなく、のんびりと座ることができた。路面が凍結しているとの事で、途中チェーンを装着するため少しタイムロス。

車坂峠に到着後、入山口の広場で装備をつける。峠という事もあり、風を遮るような場所がないため、風が強い日には装備が飛ばされないよう注意した方がよさそうだった。

9:45に行動開始。一応わかんも持ってきていたが、雪は締まっており踏み固められていたため、アイゼン歩行とした(全行程アイゼン)。樹林帯を暫く歩き、11時頃トーミの頭に到着。眼前に浅間山の全貌が広がる。

トーミの頭

少し休憩を取った後、先へ行くと間も無く黒斑山頂上となる。黒斑山までのスノーハイク客が多いようで、頂上付近で写真を撮っている方が多かった。そしてここからおよそ2.30分程歩くと蛇骨岳となる。

蛇骨岳

このあたりまで来ると、風に吹き飛ばされたためか、あまり雪がない。その代わりに岩が多く露出しているため、これまでに比べて若干歩行しにくく、躓く回数も多くなった。蛇骨岳で小休憩を取った後、ここからストックをピッケルに持ち替えて先に進む。所々、浅間山側がスパッと切れ落ちている箇所があり、注意が必要だ。

12:00頃、予定より少し早く仙人岳に到着することができた。

仙人岳

快調に歩みを進められたことで、時間も余っていたため、少し先の外輪山先端付近まで歩いてみる。

鋸岳

ここで写真休憩を取ったのち、来た道を引き返す。帰りも登ったり下ったりの繰り返しだが、歩き始めて少ししたところで、右足の踵に違和感が出始める。「あれ?」と思ったが、どうやら靴擦れを起こしてしまったようだ。こうなったら最早どうしようもない。痛みがある箇所に触れないように歩こうとするのだが、そんな簡単にはいかず、途中から痛みに耐えながら下山後のお風呂のことばかりを考えていた。15:30頃無事(ではなかったが)車坂峠に下山。近くの高峯高原ホテルでお風呂に入るが、この時も強烈に痛かった。

風が強いことが多い浅間山ですが、この日はとても穏やかでのんびりと雪山を楽しむことができました。特にトーミの頭から見る浅間山は圧巻の一言で、山というものをこんなにも大きく感じたことは今までありませんでした。次は前掛山まで行ってみたいです。

リーダのセキモさんありがとうございました。

【おまけ】
天気図を載せておきます。
気象庁|過去の天気図(1日表示) (jma.go.jp)) ※7、8日は12時をチョイス

【その他リンクなど(リンク切れにはご容赦ください)】
浅間山登山のご案内/小諸市オフィシャルサイト (komoro.lg.jp)