那須・朝日岳山行記録

那須・朝日岳

時期:2015年2月21日(土)

参加者:OB1期T氏(L)、カト(記)

記録:

大丸温泉P8:40…10:30峰の茶屋跡11:00…12:20朝日岳…13:40峰の茶屋跡…14:40大丸温泉P

奥多摩の蕎麦ではつとに有名らしくまだ行ったことのない御嶽駅のそば屋「玉川屋」でそばを食べる目的で、奥多摩駅から大岳山・御岳山山行の計画書をすでに提出していた。前日昼頃OB1期の稜友会T氏からTELがあり、明日21日の那須岳は現地の風もなく絶対良い天気になるので行かないか、とのお誘いがあった。この時期那須岳に行ってみたいと思っていてバス便を調べたところ以前あった黒磯駅8:10発がなく断念していた。いつも那須岳には風雪に悩まされていたので、狙った山が絶対天気でないと出かけないと言う知る人ぞ知るお天気博士のT氏のお誘いは渡りに船。

鳩ヶ谷駅5:30合流。東北自動車道那須ICから那須温泉を通り大丸温泉駐車場8:00過ぎ着。下の駐車場は満杯で上に駐車。聞くとスキー客の車らしい。登山者も多い。8:40出発。朝日岳へは行ったことがないと言う私のために朝日岳を先に行くことにする。天気は良く風もない、こんな那須岳は初めてだ。避難小屋まで上着を脱いでシャツだけになる。T氏は先の八ヶ岳北横岳より足の調子はよさそうだ。それにしても80歳になろうとする人が雪山をやるとは普通では考えられない。朝日岳へは夏道だと牛首から剣が峰の東斜面をトラバースしてコルに出るのだが、雪の急斜面は危ういので稜線通しで剣が峰に登った後急斜面を転げ落ちるごとくコルに下る。牛首から稜線の雪は温かいせいで腐っている。地肌が出ている所も多く歩きづらい。朝日の肩手前、西面の鎖場の一部は雪に埋まっている。急斜面の雪面トラバースはピッケルを雪面深く差し込み慎重に行く。朝日の肩に出ると三本槍のなだらかな稜線が美しい。その稜線を縦走している人が小さく動いている。ここでT氏から三本槍岳の地名の由来を教わる。昔この山頂の領地がはっきりしないため、周辺3藩(会津、那須、黒羽)が領地談合するため定期的に集まって槍を立てた故事による、とか。三本の槍が立っているような急峻な地形を想像していたが、見渡すとなだらかな丘陵地帯と言っていいほどの広い山域になっている。

朝日岳頂上へは肩から5分ほどだがミニエベレストを髣髴するようにそびえている。頂上直下の踏み跡が不明で先に行くT氏はそのまま進んだが、私は先の斜面が急らしく見えたので戻る。岩の左上に緩斜面になっているしっかりした踏み跡がある。T氏に呼び掛けるが戻らない。頂上に行くと裏から出てくる。そっちが正解らしいね、などと言って涼しい顔をしている。この辺の見極めが1期たる所以か。

那須・朝日岳山頂
那須・朝日岳山頂

男体山、燧ケ岳などガイドよろしくT氏からいろいろ教わる。下山は登ってきた道をたどる。T氏は休み休み行くが歩き出すと早いのは何時ものこと。14時前に峠の茶屋跡非難小屋に着く。この時間なので茶臼は当然パス。大丸温泉Pに向かって下山する。避難小屋からのトラバース道の途中でアイゼンを脱ぐ。岩、石で歩きにくい。15時前に下山する。鹿の湯温泉に寄るが残念ながら休業。少し下りて「H立花屋はなや」の「小鹿の湯」に入る。知っていて寄ったのではなく駐車場が空いていて何となく良さそうなので入っただけ。入ってみるとこれが鹿の湯のミニ版で、地方の部落の共同風呂のような造りでまことにひなびた温泉浴場に入った気分。木造りの湯船は二つあり高い方は46度だと地元の方に教わる。5分も入っていられない。全身しびれてしばらくは汗が引かない。T氏には車内で20分ほど仮眠をとってもらう。私は近くの酒屋に入り酒粕1Kg540円を買い時間つぶしをさせてもらう。

東北自動車道は案外渋滞もなく順調に鳩ヶ谷駅に着く。毎度ながら往復の運転をさせてしまったT氏には申し訳ないと思う。

ところで、80歳にもなるT氏が何で雪山に行くのか率直に聞いた。曰く、「昔から雪山が好きで途中のブランクはあるがその時々のパートナーがいてこれまで続けて来た」、「最近は3期I氏と一緒する機会があるがI氏も体調次第でいつもと言うわけではない」、「これからはお前も雪山メンバーだ」と言う。1期の大先輩から仲間だと言われることが嬉しい。更に聞けば、日常的に移動するときも電車に乗らず歩くと言う。要はやる気があるかないかと言う気力の問題だとも言う。最近はあまり聞かないが、よく結婚式の祝辞で披露されたサミエル・ウルマン「青春の詩」冒頭の一節を思い出す。「青春とは人生のある期間を言うのではなく、心の様相を言うのだ。優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心、こう言う様相を青春と言うのだ。」を実践する生き方ではないか。帰りの車中で、家族との関係、老後の態度など貴重な示唆を頂いた。山の先輩、人生の先輩は有難い。私には、創造力も、強固な意志も、情熱も、猛勇心も、冒険心も、何にもねえ!!。先輩の爪の垢でも煎じて飲んで性悪・煩悩の塊のごとき私の良薬としたい。

以上