- 場所:那須朝日岳
- 日程:平成27年1月4日
- メンバー:こば(L、記)、えび、けんた
- 記録
少し登山のレベルを上げていきたいと、夏頃から暖めていた計画を実行に移した。短く難易度も低いが、東京から日帰りで行ける岩混じりのバリエーションということで、初チャレンジの僕らにはちょうどいいルートに思えたのだ。登ってみると危惧していた那須の強風もそれほどではなく、茶臼を眺めながらの楽しい登山となった。
8時半頃県営大丸駐車場に到着。鹿の湯の少し上からチェーンを履いたが、途中にスキー場があることもあり、道路の整備状況はよい。
準備を整え9時頃出発。登山口脇にはトイレがあり、右脇が登山道なのでトレースがなくても道はすぐわかる。この日は先行者が多くトレースバッチリ。しかし前日も吹雪だったとの情報もあり、さすがに雪が多い。峠の茶屋まで深いところでは膝上くらいのラッセルとなる。先行者がいないときはわかんが必要かもしれない。ハイカーたちはスノーシューの人が多かった。
峠の茶屋から峰の茶屋避難小屋に向かう登山道を20分くらい歩くと、例の「こんなところに高山植物」の看板がある。目の前に切り立って見える尾根が東南稜。末端の左側のガレ場に取り付く計画。見るからに雪はまだ少ない感じ。または風で飛ばされているか。見ると東南稜の右側から1パーティー取り付いているのが見える。
看板から朝日岳 真ん中の尾根を登る
取付きに向かう
とにかく取り付きに向かう。看板の目の前の雪を被ったルンゼ状を真下に見える手前の沢の堰堤めがけて下る。堰堤から上がった尾根を少し登るように越えて、取り付きに。ここで最終の準備を整える。
稜の左は少し登るとすぐにガレ場となる。ガレは凍結して安定してるし、傾斜もさほどではない。徐々に岩混じりとなるが、大きな岩場を右に左に巻いていけば難しいところはない。やがて目の前に「門」が現れる。この向こう側が今回の一つ目の核心であるギャップがある。「門」の右側をトラバースするように回り込むとギャップに出る。
先行パーティがちょうど懸垂下降したところで、登り返しの準備をしている。少し待って様子をみるが、彼らはロープなしで登っていく。
先行パーティーを行かせてから僕らの番。下降点には立派なボルトとチェーンが設置されているので訳ない。エビがロープをセットし、コバが最初に下降する。岩は階段状になっていて、クライムダウンも出来そう。7m位か。
ケンタ、エビが下降している間に登り返しの偵察をする。下からみると若干被っている感じでランニングをとるような場所はない。先行パーティーの様子からも、あまり難しくなく越えられるのかもしれないが、僕らは念のため、一段登ったところにあるピナクル状の岩にスリングでランニングをとり、最悪下まで落ちていく事の無いよう安全をみる事にする。ケンタのビレーでコバがトップで登る。最初が少し嫌らしいが、少しずつ上がると右手にガバがあり、そのあとは結構簡単に登れる。登ったところにも新しいボルトが2本打たれていて、これで後続をビレーできる。
ここからはなかなか快適な稜線歩きとなる。多少ガレ場はあるが、ほぼ稜線上を歩け、適度に雪があったりして気持ちがいい。目の前の朝日岳がどんどん近づいてくる。振り返ると茶臼岳の大きな山体が迫る。高度感もなかなかで、バリエーションルート故の楽しさを味わいながら進む。
するとあっという間に頂上直下へ。目の前には切り立った壁があり、その左側がネット上の記録によく出てくるスラブ状。一見ここも悪そうに見えるがこれを越えれば頂上。ここはエビに最後の核心のリードを任せる。と、意外にもすんなり行ってしまう。続くケンタも。実はとりついてみると一枚岩でもなく、スタンスも結構ある。ここも気持ちよくクリアすることが出来た。この上はもう山頂。約3時間の楽しい時間が終わってしまった。振り返ると登ってきた東南稜が茶臼に向かって鋭く落ち込んでいる。一気に気持ちが高揚してくるのを感じた。緊張してたんだなあ。実に充実した一日でした。
今回、これまで冬季バリエーションを経験したことのない3人が、初めて短いながらバリエーションに挑んだこの冬前半の目標。自分達なりに準備をし、なし得たことは少なからず自信になったと思う。何事も最初の一歩からだ。