日程:2016年7月16~18日
メンバー:つりし(L)、ハギ、つかみ(記)
CT:
16日 切明温泉5:50→ 渋沢ダム8:50→ 黒沢出合 12:50(幕営)
17日 黒沢出合7:15→ 魚留ゼン8:30… 10:10 → 南沢出合 15:50(幕営)
18日 南沢出合7:00→ 北ノ沢からの詰めの分岐 9:05→ 藪の詰め10:00→稜線 10:50→ 志賀高原高天ヶ原12:10(ゴンドラリフトにて発哺温泉下山13:00→タクシーにて切明温泉14:00
装備:靴/フェルト ザイル/8×30m
記録:(16日) 秋山郷の最奥に切明温泉がある。ここの雄川閣旅館の駐車場に車を
泊め車中泊。朝方5時に起き準備を整え出発。まずは渋沢ダムを目指す。約3時間かけて5キロの道のりを進んで行く。歩き始めは平坦な登山道。地元の釣り人、三人組が年期かかったミニバイクにまたがり先をゆく。とっても楽しそう。そして楽そうだ。ダム迄は吊り橋を渡りトンネルを通ったり、これより始まる、長い魚野川完全遡行に向けての準備開始だ。
ダムより10分ぐらい進んだ地点で入渓。沢靴に履き替え魚野川に足を入れる。天気は曇り。大汗をかいているのに冷たい。あ~だけど気持ちいい。前日に鉄砲水が流れたとの情報を、途中すれ違った東京電力職員らしき人が言っていた。しかし、増水の気配はない。千沢を過ぎた廊下状のゴルジェもなんらく通過。何度か訪れているリーダーも、巻かずに通過なんて、とつぶやく。それぐらい今回は水量が少なかった。
曇りがちではあるが、気持ちよく癒されながら登って行く。高沢出合いを過ぎ、大ゼンに差し掛かる。左岸を巻きすんなり超える。
大ゼンから1時間弱進むと、一日目の幕営地、黒沢の出合。ナマリ岩がお出迎え。水量がすくなかったこともあり、予定よりも早くに到着。ほっとするのもつかの間で、私はそわそわした。誰もいない貸し切り状態の大自然。焚火に釣り。ビールに御馳走・・・と頭を駆けめぐった。時間はたっぷりあるのに、心は小学生のようにはしゃいでいた。
予定では、夕方より雨。一刻もはやく遊びたい心をなだめ、まずはテントを張った。テン場も最高の場所にある。沢よりも一段高め。しかし水場も焚火からも遠くないベストエリア。設営終えると、リーダーつりしのアドバイスを受けイワナ釣りに出かけた。どれぐらい、釣りをしていたのだろう。調理を始めたころは、既に夕刻時である。三人で10匹近くの大捕獲である。ムニエル、塩焼き、ぬか漬け、オリーブ炒め等々、お腹いっぱい満たされた。元気がよかったのかこの日の就寝は22時を過ぎていた。
(17日)いよいよ、核心部が顔を出す遡行になる。気が引き締まる。天気は厚い雲に覆われている。いつ雨が降りだしてもおかしくない。小雨が降りだしてきた。合羽を着用して出発した。1時間強進むと、魚止めゼンが現れる。スラブ状の幅の広い滝だ。リーダーがロープをつけ左端から登る。しかし容易に登れない、滑々なのだ。ザックをおろし空身でチャレンジ。すんなりとクリア。次は私の番だ。行ける!と思ったが、やはり素人目線だった。二~三歩踏み出した途端、滝に滑り落ちた。二度も三度も、何度やっても落ちる。挙句、左端から水量が多い右側の隙間で立ち往生してしまった。滝の上で腰がらみをしているリーダーは状況が見えず、テンションがかかりっぱなしなので、腰まで浸かった体を動かせずにいた。淵から見守っていたハギさんとは、滝の音に声がかき消され正確に言葉を交わせない。絶対絶命のピンチ。体が冷え震える。どうしたらいいの!?頭の中は真っ白。もがいているとどうにか元の出発地点に戻れた。ハギさんに先に登ってもらい、最後にトップロープ状態であげてもらい、どうにかこうにか、越えた。魚止め滞在時間は1時間40分にも及んだ。実力のなさを思い知らされた。
とんでもない迷惑をかけてしまった。このあとしばらく音が消えて行く・・・。
庄九郎大滝までたくさんの小滝の連発。日差しも差し込み見事なナメ床が続く。
魚止めゼンから進むところ2時間弱。庄九郎大滝。10メートル位だがわりと迫力がある。滝の右側のルンゼを登り巻く。足場は悪く倒木や浮石がひしめき合う。15メートル程登ると、ミナトさんが20年前に張ったらしきロープがあった。そこから先はロープを張りトラバースで進む。
その後、穏やかな癒し沢を楽しみ二日目の幕営地、南ノ沢出合15:50分到着。
テン場は、整地無用。ご丁寧にも厚手の銀マットあり。何方かの忘れ物?贈り物?ありがたいのだが、大自然には似合わない物であることも確かだ。どうしたことか、三人して空きっ腹。テントを張る前にハギさん手製のマカロニスープをいただく。この日イワナは釣れなかった。一匹釣ったものの逃げられた。しかし心配無用。昨日数匹ぬか漬けにしておいた。本日のおかずはイワナのぬか漬け。網の上で焼いた。特に皮の部分が美味い。最後の焚火を惜しみながら22時、横になった。
(18日)南の沢出合から北ノ沢。左岸7つめの沢を行く。一本一本確認しながら進む。
方角も合っている。確信をもち7つめの沢を登って行く。そこから100メートル位で3又の分岐。左に曲がり稜線に出る。そんな作戦を練って進む。しかし左側は垂直ちかい壁。登り詰めるような谷間は見つからない。枝沢みたいのが現れた。そこを行くことにした。急な登り。濃い藪に突入する。リーダーを先頭に藪と奮闘を続けた。途中から鋸で狩り進むこと50分、稜線に出た。
寺子屋峰をピークを得て、志賀高原山頂に。開けた高原にはニッコウキスゲが咲き誇り綺麗だ。手付かずの大自然とは、また一味違う美しさだ。
大自然って何だろう。魚野川で堪能したはずなのに、言葉にしようとすると難しい。さえずりだったり、匂いだったり。風だったり、色だったり。五感が自然を感知する。ありがたい。こうやって楽しめる一つ一つ。癒しあり。勉強あり。恐怖あり。沢って凄い!