●期日:8月10日〜14日
●メンバー:けん(CL・記)、コバ、サブ(12日から登攀隊に合流)、サイトウ(12日に上高地へスピード下山)
●行程:8月10日 上高地バスターミナル11:30〜西穂高山荘テン場14:30
8月11日 起床2:00〜出発3:30〜西穂独標4:25〜西穂高岳5:40〜天狗岳7:35〜ジャンダルム10:00〜穂高岳山荘12:35
8月12日 起床2:30〜出発4:05〜北穂岳6:55〜A沢のコル8:45〜南岳小屋10:50〜槍の肩14:05〜殺生ヒュッテ14:4
8月13日 起床4:00〜出発5:30〜西岳8:30〜大天荘11:50
8月14日 起床3:00〜出発5:10〜燕岳8:00〜中房温泉10:30
●記録
ここ2年ほど、全日すっきりと晴れた山行をすることがなかったが、今回の槍穂縦走は全日が快晴となった。もちろん直射日光はわれわれを容赦なく照らし、暑さで体力を消耗したが、穂高の山々は美しく、忘れられない山行となった。
8月10日
上高地到着後、涸沢へ行くメンバーと別れ、西穂山荘テン場へと向けて歩き始めた。登山道の入り口、田代橋で驚きがわき上がる。先行して西穂山荘へ行かれたはずのサイトウさんが、登山口にいたからだ。サイトウさんは、一度、西穂山荘に上がってテントを立てた後、再び登山口まで迎えに来てくださったのだ。登山口までの出迎えは、北稜史上未だかつてないことではないだろうか。感謝を通り越し、ただただ驚嘆である。
西穂山荘への登山道は、森の中で景色の変化がなく、体力を消耗していく。そんな中で宝水と呼ばれる湧き水があり、疲れた我々を癒やしてくれた。
テン場に到着後は、すでにサイトウさんにテントを張って頂いていたため、後は宴会のみ。コバさんお手製の生姜焼きが振る舞われ、西穂の夜は更けていった。
8月11日
予定よりも早く起床し出発準備。朝食はサイトウさんの塩ラーメン。うずらの卵の燻製が入っているところが心憎い。
出発時にはすでにいくつかの先行パーティーがいたが、快調なスタートを切る。西穂独標、西穂高へと順調に進み、今回の縦走の核心へ。先頭のサブさんとサイトウさんはずんずんと先行されていく。
私は、リーダーという肩書きはあるものの、このパーティーで一番経験が浅いため、足を引っ張らないように慎重に進む。事前に思っていたほどの恐怖はなかったものの、かなり必要以上に慎重に歩いていたと思う。
天狗岳頂上では、槍がきれいに見られたが、ここでサプライズが。サイトウさんお手製のフルーチェが振る舞われました。
フルーチェ。子どもの頃、1・2回は食べたことはあったが、30年近くその味を忘れていた。しかし、やまで食べるフルーチェはうまい、しかも、槍を見ながらのフルーチェはうまい。
天狗岳の後も難所は続いたが、10時にはジャンダルム頂上に到着。ちょうど、無線の交信時間に重なり、他の隊はどこにいるのか気になったが、なんと、登攀隊の隊長は穂高岳山荘に、縦走隊は奥穂高におり、無線交信をしながら、お互いに「ケッチボゥオゥオゥ」のかけ声を掛け合うことがでた。無線だけでなくお互いの声でコミュニケーションを取れたのが、今回一番の思い出です。出発時間を早めて良かった。
奥穂への最後の難関、馬の背を越えた後、奥穂高岳へ。山頂は多くの人で賑わっており、難所を越えた実感が沸いてきた。穂高岳山荘到着後は、例によって宴会に突入。
8月12日
この日から、2人山行に。テン場で仲間と別れてからは、まず、涸沢岳に登る。山頂でご来光を拝んでから先へと出発。涸沢岳を越えてからは、南岳までは、難所の縦走路、気を引き締めて進む。北穂高から先は、一気に高度を下げていく。縦走路はがれていて、小石を落とさないように注意して進む。前日の縦走路と較べてそれほど難しくはなかったが、とにかく浮き石が多く、他人をケガさせてしまわないことだけに注意して進んだ。
ただし、景色は最高。槍を正面に見ながら、歩を進めるとともに、右を見れば前穂のゴジラの背が、左を見れば笠ヶ岳が、後の方には滝谷がいつも見えており、絶景を愛でながらの行動となった。
南岳山荘に到着後は、一般縦走路となる。正直、気も緩みまくりました。
槍ヶ岳に到着すると、そこにはたくさんの人が。テン場も満杯。とりあえず定時の無線交信を試みるもつながらず。
2人とも槍には登ったことがあるということで、今回は頂上には立たず、殺生ヒュッテまで降りることになる。
殺生ヒュッテでは、コバさんお手製の中華丼を頂きながら、均整の取れた槍を見つつ、夜は更けていった。
8月13日
起床後、ペルセウス座流星群を見た後、出発。東鎌尾根に上がり、北鎌尾根を眺めながら歩く。
次は北鎌尾根に行きたいという話をしながら、歩いていると、県警のヘリが我々の周りを飛び始める。どうやら捜索活動をおこなっているようである。
縦走路を進み、西岳へ。穂高や槍の姿をきれいに見ることができた。さらに縦走路を進み、早々と大天荘に到着。生ビールがあり、早めではあるがテン場でダラダラとする。途中、思い出して大天井岳へとピストンし、さらにテン場でダラダラする。
8月14日
起床後、ペルセウス座流星群を見る。前日よりも数は多く見られた。また、遠くの穂高や槍のシルエットをハッキリと見ることができた。
出発後は、所々で名残の槍穂を見ることができた。燕山荘に到着後は、空身で燕岳を目指す。燕岳は花崗岩が特徴的。
燕岳山頂では、立山や剱岳を見ることができた。燕山荘に戻り、しばし休憩した後は、中房温泉まで一気に降りる。下山後はおきまりの温泉に入り、昼食を食べ、帰路へ。
何度も書いて恐縮ではあるが、全日快晴で、穂高や槍をさまざまな角度から見ることができ、甘味や生ビールが美味しかった今回の山行は、これまでで最高の山行であった。