60周年記念 アルプス縦走-裏銀座縦走
日程:
平成26年7月19日(土)~21日(日)
行程:
<7月18日(金)~19日(土)>(標準コースタイム:6時間45分)
東京 →(毎日あるぺん号)→ 七倉ダム(七倉山荘前) →(タクシー)→ 高瀬ダム
→ 烏帽子小屋 → 烏帽子岳 → 烏帽子小屋 → 烏帽子小屋(幕営)
<7月20日(日)>(標準コースタイム:10時間00分)
烏帽子小屋 → 野口五郎岳 → 水晶小屋 → 水晶岳
→ 水晶小屋 → 鷲羽岳 → 三俣山荘 → 三俣蓮華岳キャンプ場(幕営)
<7月21日(月)>(標準コースタイム:8時間20分)
三俣蓮華岳キャンプ場 → 三俣蓮華岳 → 双六岳 → 双六小屋
→ 弓折分岐 → 鏡平山荘 → わさび平小屋 → 新穂高温泉
→(濃飛バス)→ 平湯 →(アルピコバス)→ 松本 →(JR)→ 新宿
メンバー:
みやのり(L)、とん(以上、敬称略)、小永(記録)
記録:
<7月18日(金)~19日(土)>
22:10 竹橋・毎日新聞社西口玄関ロビー 集合
22:25 同 出発(毎日あるぺん号 7200円)
4:00 七倉ダム(七倉山荘前) 到着
5:30 同 出発(タクシー 2000円)
5:40 高瀬ダム 到着
10:40 烏帽子小屋 到着
10:50 同 出発
11:35 烏帽子岳 登頂
11:40 同 下山開始
12:15 烏帽子小屋 到着・幕営
16:30 夕食
18:00 就寝
22時10分
毎日あるぺん号は竹橋を定時に出発する。天気予報が悪かったせいか、定員の半分くらいしか乗車していない。ずうずうしくも1人で2席を占拠した。4時00分、多少の渋滞に遭いつつも定時よりも早く七倉ダムに到着する。
4時00分
、辺りはまだ暗く、星も見えない。高瀬ダムまで続く道のゲートが開くまでの間、ヘッドランプを頼りに出発までの準備を行う。ここで、横浜から来た爽やか青年と出会う。この青年の提案によって高瀬ダムまでタクシーに同乗することにする。ゲート開通の時間が近づくと、七倉山荘近くには登山客の人数に応じた数のタクシーが集結してくる。ここでは、タクシーの待ち惚けはなさそうである。
5時30分
七倉ダムを出発する。タクシーの運転手さんは親切な方で、高瀬ダム到着前にも関わらず、2000円丁度で料金メーターを止めたくれた。きっと4人で割り切れる値段にしてくれたのだろう。そういう意味では、青年に出会わなかったら2100円になっていたかも知れない。
5時40分、少し準備をした後、高瀬ダムを出発する。出発間もなくとんさんが憧れの槍ヶ岳を眺めるために不動沢トンネル入り口にある展望台に上がる。しかし、天気は生憎の曇り。とんさんは槍ヶ岳を諦めて展望台を降りるのだった。なお、槍ヶ岳は3日目でようやくその姿を現すことにある。長い不動沢トンネルを抜けると、長い不動沢吊橋が現れる。そして不動沢吊橋を渡ると、本格的な山行の始まりである。
その後、暫く進むとブナ立尾根が現れる。ブナ立尾根は北アルプス三大急登の一つに数えられており、さすがに急登であった。しかし、ルートは良く整備されており、更に当日は曇りで気温も高くなかったことから快適であった。先頭を順番に変えながら1ピッチ1時間程度のペースでブナ立尾根を順調に登っていく。途中、元気な「お姉さん」3人組と追いつ追われつのデッドヒートを繰り広げながら、高瀬ダムを出発して5時間後、烏帽子小屋に到着する。ブナ立尾根を登りきった直後ということもあり、烏帽子小屋で長い休みをとりたいところであったが、天気を気にするみやのりリーダーの判断で、早々に烏帽子岳に向けて出発する。
10時15分
烏帽子小屋に荷物をデポして、烏帽子岳に向けて出発する。標準コースタイムが片道30分ということもあり散歩気分であった。しかし、烏帽子岳までの道は、多くのニセ烏帽子岳が並ぶアップダウンの多い道であるのに加え、ちょっとした岩場もあって、想像以上に歩き応えがあった。11時35分、本山行の最初のピークとなる烏帽子岳山頂に到着する。山頂は狭く山頂標識が立っている部分に至っては1人で立つのがやっとである。そのため1人ずつ順番に証明写真を撮ることにする。今思い返せば、メンバー全員で撮った写真は1枚もなかった。本山行のメンバーは、皆、群れるのが苦手なようである。
11時40分
山頂での短い休憩の後、天気のことも考えて慌しく下山する。前述の通り、烏帽子小屋までの道はアップダウンの繰り返しである。そのため、復路であるものの、ブナ立尾根を登った後の身体には多少なりとも堪えた。もうすぐで烏帽子小屋に戻れるというところで、雨足が強くなってきたため、急いで山小屋に入る。烏帽子小屋からの出発が遅ければ雨の被害を受けていたところであった。みやのりリーダーの好判断が光る一幕であった。
暫く後、雨が弱まるのを待って幕営を開始し、13時前には幕営が完了した。夕食までにはまだ時間がある。そこで、夕食までの間、みやのりリーダーととんさんが引き揚げた大量の食料をつまみながら、北稜山岳会にある都市伝説を語り合う。16時30分、胃は鮭とばで満たされているものの、計画通りに夕食を摂ることにする。夕食は、みやのりリーダー作のマーボー春雨である。時々垣間見えるおつまみソーセージが絶品であった。御馳走様でした。18時00分、明日の長い山行に備えて就寝する。
<7月20日(日)>
3:00 起床
3:10 朝食
4:10 烏帽子小屋 出発
5:30 三ツ岳付近 通過
7:10 野口五郎小屋 到着
7:20 同 出発
7:35 野口五郎岳 登頂
7:40 同 出発
8:05 真砂分岐 通過
9:25 東沢乗越 通過
10:25 水晶小屋 到着
10:35 同 出発
11:05 水晶岳 登頂
11:25 同 下山開始
11:45 水晶小屋 到着
12:05 同 出発
12:55 ワリモ岳 通過
13:35 鷲羽岳 登頂
13:45 同 出発
14:35 三俣山荘・三俣蓮華岳キャンプ場 到着・幕営
16:30 夕食
18:00 就寝
3時00分
起床する。まだ辺りは暗く星も見えない上、小雨も降っている。朝食はとんさん作のラーメンである。トッピングのチャーシューとおつまみメンマが良い味のアクセントになっていた。御馳走様でした。
4時00分
予定通りに烏帽子小屋を後にする。出発後間もなく雨も上がり辺りは明るくなってくる。順調に歩を進めと、5時30分頃、三ツ岳が近づいてくる。ただ、三ツ岳はチェックポイントに含まれていないため、反対意見が出されることもなく巻き道を進むことを選択する。5時50分、後ろにそびえる三ツ岳の山頂と太陽が重なる。これこそが裏銀座縦走コースの名物になるかも知れない「ダイヤモンド三ツ岳」である。私はダイヤモンド三ツ岳に向けてシャッターを切る。それから暫く、メンバーの気持ちは野口五郎岳に向かう。それぞれが「ゴロー」「ゴロー」と呟いて野口五郎岳への愛情を表現しながら、裏銀座縦走コースを順調に進む。そして、7時10分、野口五郎小屋に到着する。しかし、「ゴロー」への逸る気持ちを抑えきれず、野口五郎小屋を早々に出発する。そして小屋を出発して間もなく、「ゴロー」はその姿を表す。しかし、のっぺりとした変化に乏しいその山容は、晴れない天気と相まって、私の気持ちを酷く落ち込ませるのであった。これは「ゴロー」が悪いわけではない。「ゴロー」の魅力が分からない私が悪いのである。7時35分、野口五郎岳に登頂する。辺りがガスっていることもあり、証明写真だけ撮って早々に下山を開始する。「ゴロー」への未練はなかった。
野口五郎岳からは、暫くなだらかな尾根が続く。天気が良ければ最高の景色が楽しめるところであるが、生憎の曇り空が広がる。ただ、雨は降っておらず快適に進むことができが。真砂分岐を抜けて暫く進むとお花畑が見えてくる。花の名前は知らないが、黄色や紫色の小さな花が目を楽しませてくれる。東沢乗越が近づくと、暫く岩稜が続く。そこには、快調に飛ばすとんさんを先頭に、何とか着いていく二番手の私、そして、マイペースに歩を進める三番手のみやのりリーダーの姿があった。烏帽子小屋を出発して7時間半、ようやく水晶小屋に到着する。
ちょっと長めの休憩の後、10時35分、荷物をデポして水晶小屋を出発する。ここから水晶岳までの往復は標準コースタイムで1時間10分しかない。その上、出発から間もなく水晶岳らしき姿が見えてくるため、難なく登頂できるように思われた。しかし、水晶小屋から水晶岳までは岩稜帯が続く上にルートが紆余曲折しているため、なかかな近づくことができず、想像以上に歩き応えがあった。11時05分、水晶岳に登頂する。曇り空のせいで、ここでも展望に恵まれなかった。山頂で小休止を取った後、11時25分、下山を開始する。水晶岳から水晶小屋までの復路は、アップダウンが少ないためか、往路のような疲労感は少なかった。そして、11時45分、水晶小屋に到着する。水晶小屋では、烏帽子小屋に引き続きコーラを回しのみしながら休憩を取る。
12時05分
鷲羽岳に向けて水晶小屋を出発する。ここから鷲羽岳まではなだからな登りが続く。途中、図らずもワリモ岳山頂を通ったため、チェックポイントでないにも関わらず、証明写真を撮る。その後、13時35分、本日の最後のチェックポイントとなる鷲羽岳に登頂する。ここでも曇り空のおかげで展望に恵まれない。山頂では、機械的に証明写真を撮り、早々に下山を開始する。鷲羽岳から三俣山荘に向かう道は、地獄のつづら折が延々と続く。そのスケールは蕎麦粒山のそれを僅かに凌駕するものであった。つづら折マスターのみやのりリーダーを先頭にひたすら下る。そんなとき、向こうからつづら折を登ってくるクールビューティーとすれ違う。クールビューティは時折、一眼レフをクールに構えてシャッターチャンスを狙う。このクールビューティ、本山行に最後まで関わってくることになる。鷲羽岳の山頂を出発して50分、三俣山荘・三俣蓮華岳キャンプ場に到着する。
三俣蓮華岳キャンプ場は、50%程度の込み具合である。適当な場所を見つけて幕営する。しかし、その場所は図らずもクールビューティのテントと目と鼻の先の関係にあった。幕営後、夕食までには相当の時間があるため、残っていた鮭とば等をつまみながら、昨日と同じく、山岳会の都市伝説を語り合いながら過ごす。4時30分になり、夕食を摂る。夕食は、小永作のカレーライスである。但し、ご飯もカレーもお湯を入れるだけのインスタントなので、特に面白い話は生まれなかった。次回の山行からは、おつまみ何チャラでも入れて味に一工夫加えようかと思う。18時00分、明日に備えて就寝する。
<7月21日(月)>
3:00 起床
3:10 朝食
4:00 三俣山荘・三俣蓮華岳キャンプ場 出発
5:00 三俣蓮華岳 登頂
5:15 同 出発
6:25 双六岳 登頂
6:40 同 出発
7:25 双六小屋 到着
7:40 同 出発
8:40 弓折分岐 通過
9:20 鏡平山荘 到着
9:40 同 出発
10:10 シシウドヶ原 通過
12:05 わさび平小屋 到着
12:15 同 出発
13:15 新穂高温泉 到着
14:55 新穂高ロープウェイ 出発(濃飛バス:2800円)
15:28 平湯温泉 到着
16:05 同 出発(アルピコバス)
17:30 松本バスターミナル 到着
18:35 松本駅 出発(スーパーあずさ32号)
21:06 新宿駅 到着
3時00分
起床する。朝食はとんさん作のうどんである。トッピングとして揚げと天かすが乗っている。ただ、十分な量のお湯で茹でなかったせいか、うどんが独特の茹で具合に仕上がっている。このうどん、とんさん本人は、失敗作と考えてたようだが、私は問題なく食べることができた。御馳走様でした。一方、みやのりリーダーは、何らかの原因によって、その後、暫くの間、お腹の調子と戦うことになる。
4時00分
三俣蓮華岳キャンプ場を出発する。出発の時、クールなテントの存在を確認しつつ、クールビューティよりも先に出発する。辺りは暗く、雪も残っている。多少の不安を覚えつつ明るくなるまで慎重に歩を進める。暫く後、辺りは次第に明るくなってくる。今日は山行始まって以来の晴天である。日の出と共に現れた景色は美しく感動的である。ここに来て、心なしかみやのりリーダーのシャッターの機会も増えている。三俣蓮華岳キャンプ場を出発して1時間、三俣蓮華岳に登頂する。山行始まって以来の初めての青空の下での山頂である。頂上から見る朝日、目の前に広がる雲海を見ながら青空の有難さを噛みしめる。ここでは、朝日をバックに証明写真を撮り、休憩も長めに取る。
5時15分
後ろ髪を引かれつつ三俣蓮華岳を出発する。ここらか双六岳までは整備された起伏の少ないなだらかな稜線が続く。本山行での数々の辛い経験を思い出しながら、最後のチェックポイントを目指す。この辺りで、ようやくとんさん憧れの槍ヶ岳が姿を現す。6時25分、双六岳に登頂する。双六岳では、本山行で最後となる証明写真を撮る。
6時40分
双六岳を後にする。ここから暫くは槍ヶ岳を正面に稜線ルートを進む。この稜線ルート、とんさん豆知識によれば「槍ヶ岳に向かう滑走路」との異名を持つらしい。そう言われれば、確かに、槍ヶ岳に向かって広がる滑走路のように見える。滅多に味わえないこの景色、もっと楽しみたいところであったが、残念なことに道半ばで通行止めとなる。残雪が原因である。とんさんの話では、今年は例年に比べて雪が多い、と山小屋の人が言っていたとのこと。確かに例年に比べて雪が多く残っているように感じる。みやのりリーダーととんさんは稜線ルートの最後の思い出に、槍ヶ岳をバックに面白写真を撮る。それとは対照的に、私は機械的にシャッターを切る。記録係は、時に冷静でなければいけない。その後、中道ルートにエスケープし、7時25分、双六小屋に到着する。ここでは、山行開始以来3回目となるコーラを飲みつつ、少し長めの休憩を取る。
7時25分
双六小屋を出発する。ここからは、弓折分岐まで緩やかに登り、その後は延々と下る。花見平に広がるお花畑を見るなどして気分転換を図るものの、延々と続く単調な道に食傷気味になる。そして、9時20分、ようやく鏡平山荘に到着する。ここでは、最後のミッションとも言える噂のカキ氷を食べる。貧しさのせいではないが「一杯のカキ氷」を3人で分けて食べる。これは作り話ではない。
9時40分
鏡平小屋を出発する。鏡平小屋の近くには鏡池があり、天気が良ければ池に逆さ槍ヶ岳が映るとのこと。ただ、晴れてはいたが、頂上に雲が掛かっており、逆さ槍ヶ岳を見ることはできなかった。ここからは小池新道を通って登山口まで下りる。小池新道は、岩がゴロゴロした単調な道である。すぐに飽きてしまい、心は下山後の温泉と美味しい食事に囚われる。小池新道を抜け、左俣林道に入ると、疲労もあるのかペースが落ちる。新穂高温泉までの道を惰性でダラダラと歩く。しかし、そんな時、わさび平小屋手前付近でみやのり隊を颯爽と追い抜く人物が現れる。それはクールビューティーその人であった。三俣蓮華岳キャンプ場を出発した時には、まだテントが撤収されてなかったことを考えると、ハイペースで下山してきたことが分かる。いつもなら悔しい思いをするところだが、相手がクールビューティーなら仕方ない。最後までクールに決めてくれたのであった。
13時15分
新穂高温泉に到着する。ここでちょっとした問題が生じる。13時46分発のバスに乗ると16時10分には松本駅に到着できるのだが、これを逃してしまうと、14時55分出発に乗ることになる。この場合、松本駅には17時30分にならないと到着できない。13時46分発のバスに乗った場合と比べると1時間20分のロスとなる。ただ、時間だけを考えると温泉に入ってる場合ではないが、帰りの道中を考えると、汗を流さない訳にはいかない。そこで、13時46分のバスに乗るべく、急いで近くの温泉施設に突入する。時刻は13時25分。順調に行っても10分程度しか温泉に入ることはできない。しかしこんな時に限って、受付のおじさんが異様にのんびりしている。流石のみやのりリーダーにも焦りの色がにじむ。結局、こちらの事情は伝わる訳はなく、一向に急ぐ気配のない受付のおじさんのおかげで、13時46分発のバスに乗り込む計画は敢え無く失敗に終わる。温泉を出てからバスが出発する14時55分まで、時間をたっぷり使って真っ黒な高山ラーメンをすするのでした。
<まとめ>
今回の縦走は、1日目、2日目は曇りでしたが、3日目には晴れ、3日間通して強い雨に打たれることもなく天気に恵まれた山行となりました。また、メンバーにスピードスターが居なかったことも幸いして無理なくのんびりと楽しむことができました。とんさんのうどんの出来映えも含めて、とても快適な山行となりました。みやのりリーダー、とんさん有難うございました。