谷川岳雪訓

2013年4月13日(土)~14日(日)

 

●参加者
・泊まり組:アベ(L)、sa山(SL)、グッチー(SL)、サブ(SL)、部長、ハギ、ミナト、ホッシー、コバ、カト(記)
・日帰り組:アトム、かおり、スガ
●行程
・1日目(4/13、晴)
 水上駅8:51(バス)9:00ロープウエイ土合駅-天神平駅10:10-11:00熊穴沢避難
 小屋(幕営)
・2日目(4/14、晴)
 起床5:00-熊穴沢避難小屋7:00-熊穴沢ノ頭1441m下斜面で訓練(日帰り組11:00
 合流)13:00-熊穴沢避難小屋14:00-15:10ロープウエイ土合駅18:00(バス)18:20水上駅18:45-帰京

●記録、感想
4/13(1日目、晴)
水上駅9:00発のバスに乗りロープウエイ駅に行く。車のアベL、ミナトさんはすでに到着していた。ホッシーが予定の電車に乗り遅れ水上駅からタクシーでロープウエイ駅まで来る。出発時間に支障なく天神平駅で合流。
10:00過ぎ出発。スキー場のポールを辿って天神峠への急登を行く。この短いルートは春の雪山だけのもので楽しい。出発時は少し寒さがあったが急登したことによって汗だく。雨具の上着を脱がせてもらう。サブさん、コバさんは半そでになる。1時間弱で熊穴沢避難小屋。小屋は雪で2/3ほど埋まっている。小屋前を整地して4・5テン2張を張ってから訓練開始。sa山さんはテント設営の間に到着。泊まり組全員がそろう。
最初はアベL、サブSLの指導により搬送訓練。事故者に見立てたコバさんをツエルト、銀マット、空ザック(柔らかいものを詰めた天蓋を首部分に背中位置)、ダウンジャケット・フリース(腰や膝下の位置)などをセットした(シュラフは省略)梱包場所まで移動させる。移動は事故者の下に手を差し入れて方膝にのせてからヒューマンチェーンを組んで運ぶ。靴紐をほどき靴と手を軽くテープで巻く。ツエルト内側から靴底、両膝、両腰、両肩、頭にカラビナをアンカーとして外側からシュリンゲでクローブヒッチ。両膝、両腰のアンカーに結束したシュリンゲをシートベントで結び横の線を決める。靴底のシュリンゲを横の線のシュリンゲにシートベントで結び縦の線を決める。更に、両肩のアンカーに結束したシュリンゲと腰のシュリンゲをYの字になるようにシートベントで結ぶ。最後に細紐(7mm×10m程度)で足のアンカーにクローブヒッチし、膝、腰、肩、頭のアンカーにクローブヒッチで結び両サイドを決める。余丁はエイトノットで結束。頭、両肩、細紐エイトノットを長いシュリンゲで流動分散をかけて結ぶ。搬送は8か所に設定したアンカーにかけた細紐にカラビナをかけてデイジーチェーンで長さを調節して引きずる。頭と足を担当する者はコントローラーの役目。4人パーティーの場合は4人で搬送するしかない。また、細紐などなければ持参のザイルを使う。
二度目は、ヘビー級の部長が事故者になりリーダーはほとんど手と口を出さずに行ったが最初より早く(20分程度)しかもしっかりと梱包できた。参加者のレベルの高さが推察できる。

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搬送訓練

次はビーコンを使っての捜索訓練。講師はサブSL。電波の特性、行動の手順など基本的事項の説明の後、サブSLリーダーのパーティー行動中に「一人が雪崩に流された」との設定で本番さながらの訓練を行った。サブSLリーダーがグッチー、ミナトをビーコン担当、部長、ハギ、ホッシーをプローブ担当、sa山SL、コバを掘り出し担当にそれぞれ指名し組織的な行動とるよう指示し行動開始。15分程度で確保する。
 2回目はハギリーダーのもと1回目の設定と同様の訓練。各担当の指示後捜索。12分程度で確保する。3回目は少し深いところに埋めるが10分程度で確保。捜索ビーコンはマムートとピープス2種類。操作性、分かり易さ、スピードはマムートが数段優れている。
実際は、人間を掘り出す際には低体温症対策、作業スペース確保、事故者収容スペース確保など掘り出しにはかなり時間がかかる。これらを含めて生存限度の15分以内で完了させることはかなりの習熟度、体力が必要とされる。雪崩経験者の私としては2度と同じ間違いをしないためにも山様や雪層を絶えず確認し雪崩にあわないような行動しなければいけないと戒めるばかりだ。

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捜索訓練

最後の訓練はスノーマウント設営。7つほどのザックを並べてその上にシートをかけて雪で埋める。春の雪は湿雪で見る見るうちに小山ができる。側面の下側に穴をあけてザックを取り出す。斜面なので丁度ザックの底あたりを掘るようになる。ザックを取り出したら底面を掘る。ホッシーは今晩ここに寝ると言って穴倉に入って懸命に掘る。いい加減に代われと言ってもなかなかやめない。sa山SLが代わってもこれまた穴倉に入って出てこない。穴倉生活が常であった原始時代の人間の本能がこんなところで出るのか。ツエルトで囲ったトイレを作る。18:30頃終了。スノーマウントにザックを収容する。

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スノーマウント

晩飯は部長のすき焼き。大量の肉を胃袋に収容しながらそれぞれ持参した大酒を飲む。ハギさんはなんとロング缶ビール5本を背負ってくれた。いつも大量のアルコールを担ぐsa山SLは今回遠慮気味。私はいつものウイスキーを他の方も飲むだろうとダブルで5杯分くらいを持ってきたが皆さん相当の量を持ってきていたので一人で消化してしまった。飲み過ぎ。コバさんが初めての山行なので皆で自己紹介をする。皆さん個性的な紹介をした記憶があるが定かではない。20:00頃就寝。

2日目(4/14、晴)
起床5:00。朝飯はホッシーさんのにゅう麺。ホウレン草、キムチなどのトッピングで色を添える。
ヒマラヤンコンテで小屋から少し戻り熊穴沢ノ頭から天神峠に向かって左側の熊穴沢と天神沢の間のなだらかな尾根斜面に下る。コンテは、阿部L-コバ、谷口SL-sa山SL、サブSL-ハギ、部長-ミナト、ホッシー-カトの5組。斜面上部を削り10名が立てるスペースを作る。阿部Lが土嚢に雪を詰めてアンカーを二つ作り、また、サブSLが木の枝をアンカーに設定して支点を作る。確保や引き上げ訓練に使う。滑落停止は阿部L、sa山SL持参のそりを尻に当てたので猛烈なスピードで落下する滑落者をヒマコンや肩がらみで止める訓練を行う。引き上げは1/3システムで歩行できる事故者を想定してつるべ方式で引き上げる訓練を行った。また、別の1/3引き上げシステムでは完全に動けない事故者を引き上げることもしたが、湿雪の斜面では二人掛かりでも重く引き上げが困難のことを実感する。
斜面につくったテラスの上部が雪庇乗越訓練に良い場所だなどとsa山SLがけしかけるのでその気になったグッチーさん、ホッシーさんがトライし軽がると超える。新人のコバさんがトライするが敗退。私も簡単に行くだろうと高を括ってチャレンジするが、2度3度やって足元が決まらずずるずると落ちるばかり。ピッケルのシャフトを衝きたててやっと上がれる。年相応にしなければと反省。コバさんが再チャレンジして私同様にシャフトを立てて乗超す。頼もしい新人が入ってきたものだ。

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肩がらみ確保訓練

11:00過ぎに日帰り組が到着。何とアトムさんの足元をみるとビニールのゲートルが巻かれている。スパッツを探したが見つからず応急措置をしたとか。大笑いをしたがいろいろ知恵が出るものだと一方では感心する。早速、かおり-スガ、部長-アトムの組でヒマコンをセットして斜面の歩行訓練、滑落停止などの訓練行う。13:00頃引き上げて熊穴沢避難小屋に戻り日帰り組はビーコンでの捜索訓練。他はテントの撤収など。14:00全てを終了して下山開始。天神峠からは雨具パンツの者はシリセードで降りる。
下のロープウエイ駅で車の阿部SL、ミナトさん、sa山SLと分かれる。16:00発のバスまで時間があるのでビールで喉を潤す。電車は16:45と接続が良いので車内での打ち上げとなった。

新年度に入って初めての月例山行。雪訓に合わせて雪山セルフレスキューを行うことができた。雪山セルフレスキュー訓練は私が入会した2007年以降初めて行われる。アベさん、サブさんが今年の都岳連雪山セルフレスキュー講習に参加したことによって実現したものだ。雪山に向かう会員が増えてきたのでこのような訓練を行う必要性が認識されてきたものと思う。救助活動はない方が良いがこのような訓練をすることによって保温対策、アンカーや支点の構築、結束など様々な技術の取得が得られ岩登り本チャンにも活かされる。万が一何かあった際にはリーダーの指示のもとにそれぞれが役割を理解して自然に身体が動くようになればよいと思う。
月例山行担当のグッチーさん、sa山さん、雪山セルフレスキュー担当のアベさん、サブさんには良い企画を立てていただき、実戦さながらの実のある訓練ができたことに感謝したい。レスキュー訓練などで事故後の対策がいかに大変か実感できる。安全登山にはこの大変さの感覚を忘れないことだと改めて思う。

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