八ヶ岳縦走

日程:2015年9月21日~23日

メンバー:いた・つかみ(記)

(一日目)

21日(晴れ)

新宿あずさ7:00→小淵沢8:54(タクシー15分程で到着)→富士見高原登山口9:25~編笠山13:40~青年小屋14:20(幕営)

秋の連休、天気は良好。大先輩イタさんと二人、富士見高原ゴルフ場脇の登山口からスタート。まずは編笠山へ。林道を進みながら、ポイント毎に看板標示があるので確認しながら進む。道迷いなく進める。日差しも柔らかで心地いい。そして終わることのないおしゃべりのせいか、あっという間に到着。

編笠山山頂は石場になっていて、そこから一気に下り青年小屋へ向かう。ゴロゴロした石の下り。雪があったらすーいすい、みたいな感じで下りられるのに。

約5時間の間・・振り返ると、ずーっと、しゃべりっぱなしだった。

青年小屋テン場にテントを設営。雨が降ってきてもよいようにとテントの周りに溝を掘る。作業を終えるころ、ポツポツと雨が降り出してきた。

(あー、ちょうど良かったー。だけど雨?明日はどうなるのー・・・)

明日は早いからとシュラフに潜るが、寝ている態勢でも話が始まった。

まだ、話し足りないのか?二人ともホント、元気であった。

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(二日目)

22日(晴れ)

青年小屋5:00~権現岳6:40~キレット小屋8:15~赤岳10:40~硫黄岳14:00~夏沢峠14:45~箕冠山14:15~中山峠16:30~黒百合ヒュッテ16:40(幕営)

青年小屋から権現岳。昨日に引き続き、快調なトークと共に進む。

権現岳からは越えて来た編笠山が見えた。まんまるでかわいらしい。

行く手には赤岳、脇には阿弥陀岳や中岳。遠くには富士山とくっきり見える。

(さあ、今日はキレットがある。少し黙って歩かないと)

そんな誓いをたてていると、三人のトレランらしきお兄さんが登場。今朝登り始めたとのことだ。話をすると昨日は剱岳を登ってきたらしい。今日はこのまま蓼科へ下山する予定だと言う。なんてタフなんだろう。一人だけ少しやつれた感じにみえたが、大丈夫だろうか。その後、一度も姿をみることがなかったので、きっと完走したのだろう。

キレット開始の標のように、長い鉄はしごがある。混雑もなく待つことなく下りた。そのあと痩せ尾根を進む。さほど危険ではない。キレット小屋を抜けると赤岳の登りになるが、またもやしゃべりが続き、がむしゃらになることなく赤岳到着。連休ともあって山頂付近は混雑している。食事をとっている人が多い。中にはガスを炊いている人、お弁当。軽くパンやお握りなど様々。みなそれぞれの山を楽しんでいる。イタさんがご褒美にとマンゴープリンを持って来てくれた。そのプリンは何度か食べたことがあるにも関わらず、一段と美味しかった。まさにマウンテンマジック。

赤岳から天望荘まで一気に下り、横岳に向かい登り、また下って硫黄岳。一部鎖場などあるが、注意して進めば問題はない。見晴らしもよく、疲れなど吹っ飛んでしまう。止まぬ世間話。ピークに到着するたび感じる、あっという間。イタさんと夏沢峠もあっという間に到着。時間を感じさせない、まさにトークマジック。山ではいろんな不思議が起きるみたいだ。

ここから先、イタさんは本沢温泉~稲子湯へ。私は蓼科へ向かう。互いに無事を祈り抱き合って別れた。それまで地形図はぶら下げていたものの、エアリアマップはザックの中だった。折りたくなかったエアリアを折り曲げポケットへ。ここから先は一人だ。気合が入る。さあ、第二弾出発だ。イタさんが優しく見送ってくれた。

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目指す黒百合ヒュッテまでコースタイム2:35分。このままだと17時過ぎになる。

一人でテントを設営するのは初めてだ。急がないと。それに初のルート。道に迷わないかと不安を隠しきれない。イタさんからのアドバイス、「看板をしっかり確認すれば大丈夫よ」その言葉を何度も繰り返しながら看板とにらみ合い。無我夢中で進む。額から大粒の汗。手の先からも汗が飛び散る。どうやら努力が報われ17時前にはテン場に到着。受付を済ませ準備にかかる。時間が遅いせいもあってほとんどうまっていた。みな、宴会やら食事の準備をしている。場所柄か子供連れの親子とかも何組かいる。そんな家族の隣にテントを張る。以外にスムーズにいった。ビールを買いに行きテントの中へ。ゴクゴクと飲む。あー美味い!体をキュキュと揺らす。大量の汗を出し切ったこともあり、とにかく美味しい。しかし、相変わらず弱いのでその後はちびちび飲んだ。初の一人テント泊。テントの中は散らかし放題。寝ながらするめをかじり、手を伸ばせばなんだって取れる。いつもは自分の持ち物はコンパクトにしまい、足がつってしまうぐらい身動きに制限がつく。だが、一人テントはすごい。筋トレだって出来てしまう。快適。しかし、反省点もある。夕飯にレトルトカレーを温め頂く予定だったが、億劫になり中止。ただつまみを頬張りアルコールを流し込む。それも、横になったり、うつぶせになったりしながら。寒くなってきた。イタさんはどうしているのだろうか。寒いのに、大丈夫だろうか。「ツエルトがあるから大丈夫よ」そう言っていた。この寒さでツエルトだなんて、強い。心も体も強い。いつか私も真似できるだろうか。

 

(三日目)

23日(晴れ)

黒百合ヒュッテ5:00~高見石小屋5:30~丸山7:00~麦草峠7:45~大石峠8:10~茶臼山8:25~縞枯山9:55~雨池峠10:20~雨池山10:50~三ツ岳11:20~北横岳12:35~亀甲池13:30~天祥寺原13:45~蓼科山荘15:10~七合目15:55~蓼科牧場16:30

今日は長丁場である。黒百合ヒュッテから蓼科経由で下山。コースタイム10時間ちょっと。一番手にテン場を出発。分岐はもちろん、看板はことあるごとに確認。地図と照らし合わせ、コンパスを合わせる。入会して3年目でようやく覚えたコンパス使い。楽しい。ちゃんと向かう方向に矢印が向く。

中山峠から高見石小屋までは、穏やかな登りですぐに着いた。何も食べずに出発したのでここでパンを食べた。これから出発するであろう、女子3人組がいる。話が盛り上がっている。そういえば、昨日テン場の受付をしてから誰ともしゃべってない。声をだしてない。イタさんと全行程分のしゃべりを尽くしてしまったかのように、静かだった。ちょっとしんみりしながら出発。

麦草峠。ここは登山口でもあってバスやタクシー、一般車の駐車場がある。苦労して歩いて来た分、がっがりする光景だ。(簡単にこれるんだなー、ここは・・・)そんな現場を通りすぎ、山の中に入って行く。北八ヶ岳地区に突入。大石峠を超え茶臼岳まで樹林帯を進む。展望はほとんどなし。茶臼岳から3-4分の所に見晴らし展望台がある。ザックを置いて行ってみた。行った価値あり。すばらしい展望だ。北アルプス・御岳山・中央アルプス・南アルプスが見えた。確認したく近くにいた人に尋ねた。しかし、あやふやでわからない様子だ。それならチャンスと説明し始めた。初めてだった。今までは逆に人を避けていた。何処から来たか。何処へどうやって行くのか。などきちんと把握出来ていなかった。だから避けていたのだった。だけど今回は違う。ちゃんと理解している。説明していると頷きながら耳を傾けている。得意になる。要らないことまでしゃべりだす。久々に声をだしている。だけど、しまった!20分以上時間を費やしてしまうのである。

茶臼岳から縞枯山までは緩やかな登り。山頂での展望はなく、雨池峠まで一気に下る。雨池峠でも近くの人に話しかけてしまい、ここでもロング休憩となってしまった。楽しさゆえか、はたまた、寂しさゆえか、よくわからない。だけど、この遊びの時間が後で、無念に変わるとは思いもしなかった。

雨池峠から雨池山は急登だ。そして三ツ岳に近づいてくると、ゴロゴロとした石が積み重なっている。隙間に落ちないように、転ばないように慎重に渡る。鎖場も登場してくる。ストックをしまい集中。展望はよかった。岩場を抜けると樹林帯。ぬけるとロープウェイ山頂からの道と合流。そこから北横岳までもうひと頑張り。ここまでくると疲れているのがわかる。足取りが重い。

北横岳山頂は広く大勢の人で賑わっていた。ゆっくりしたい所だが既に12時を回っている。少し焦ってきた。急ぎ足で亀甲池まで一気に下った。長かった。たった一時間ぐらいなのに、長く感じた。静かな亀甲池を楽しむことなく、足早に先に進む。ここからは地図をみながら慎重に、と思い気や、無い!地形図がない!どこかに落としたみたいだ。9枚綴りの地形図。一枚、また一枚と交換しながら7枚目まで来ていた。力強い味方だった。なのに、無い。右ポッケに手を当てる。このエアリアだけが頼り。絶対に無くせない。慎重に看板と地図をあわせながら進む。平坦な道を進み、ようやく最後の難関蓼科山登山口に着いた。

連休最終日、午後とあって人けがなくなっていた。閑散としていて淋しい。不安になってきた。日が暮れる前に下山できるだろうか。疲れてきている。道迷い大丈夫だろうか。弱気のまま樹林帯へ。しばらくすると干し上がった沢に出た。正解は沢を登り詰めるのだが、ここで間違ってしまった。沢を横切り無理やり樹林帯へ。怪しさ抱きながら進んだ。時間にして2-3分だが、長く感じた。やはり違う、直ちに引き返す。沢に出る。辺りを見渡す。何もない、どうしよう、なにもない・・あった!ちゃんと看板があった。すこし進むとピンクのテープも。疲れも忘れるぐらい一気に沢を登り、また樹林帯へ。しばらくすると二人組のパーティーに会う。嬉しくて話しかけてしまう。急き立てるように経緯を話す。悪い癖だ。後先考えずに思いつきで話す。聞いている方は理解しにくいだろう。全く迷惑な話だ。それでも、頷きながら聞いてくれた。寛大な二人に感謝。

ヘトヘトになりながら、蓼科山荘に到着。ザックをデポして登頂する予定だった。1時間はかかる。途中のおしゃべりや、寄り道がなければどうにかなったはず。しかし、時、既に遅し。15時を過ぎている。山荘に宿泊すれば登頂可能だが、麓のホテルを予約してある。温泉、ビール、ふかふかベット・・それに靴やマット洗いたい放題、テント乾かし放題。魅力たっぷりである。

蓼科山頂を断念することにした。どこからか(そうよ、無理しないで。不完全のほうが、格好いいんだから~)と、声が聞こえて来たような、そんな錯角を侵しながら下山。途中、七合目に蓼科牧場まで一気に行けるゴンドラが動いていた。どちらかと言うと利用派だが、今回はパス。最後まで自分の足で。七合目からはゴンドラの脇を下って行く。大草原。ススキが風に揺れている。思わず、写真をカッシャ。秋だ・・。

日が暮れる前に、無事下山。自立山行、なんとか完了!

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イタさん、ありがとうございました。

まだ数日しか経っていせんが、話したいことが山ほど。

また、ご一緒して下さい。