赤岳主稜

2022/4/9
メンバー:こば(L)、うえ(記録)
ギア類:(2人あわせて)
・50mダブルロープ1本
・クイックドロー6本…中間支点は雪に埋まっていたので多いピッチでも3本程度しか使わなかった
・キャメロット(#0.2〜2)…岩が脆く、フレアしてるので使用せず。6ピッチ目ではカムは有効だと思う。
・スリング、カラビナ、ビレイデバイス等
工程
5:00美濃戸山荘〜9:00文三郎尾根分岐〜9:25主稜取付〜13:30赤岳頂上〜17:30美濃戸山荘

前日夜は美濃戸口の八ヶ岳山荘仮眠室にて前泊し、翌朝、美濃戸山荘まで車で入る。4時台で2℃くらいで暖かい。駐車場まで凍結箇所はなく、スムーズに行けた。

5:00 スタート

準備をして5:00過ぎにスタート。すぐに雪や凍結箇所が出てきたので私は4本爪軽アイゼンを装着。こばさんはツボ足で進む。右岸の急登を登り切ったあとから完全に雪道になるが、行者小屋まではそのままの装備で進む。

7:15~7:50

行者小屋にて大休憩とウェア調整。小屋の前まで日が当たってきてさらに暖かくなってきた。

7:50〜8:50

文三郎尾根を息を切らしつつ登る

9:00〜9:20 アプローチ

文三郎尾根が稜線に向けて角度を変えるあたり差し掛かると、主稜取り付きの長いスリングが見えた。

どこで登山道を外れるか迷った末、傾斜が緩くなったように感じた慰霊碑のあたりから下降しつつトラバースを開始した。1ピッチ目終了点と同程度の高さだったようなので、登りすぎていたと思う。下山中に確認したところ、もっと下からでもトラバースできそうだった。

ルンゼの雪はかなり緩んでいて、下降しながらのトラバースは緊張感のあるものだった。

先頭のこばさんが作ったステップを崩さないように慎重に下降し、吹き溜りやクラストした斜面を何度も横断して、取り付きに到着。

全工程で一番の核心だったように思う。

トラバース開始

9:25 登攀開始

1ピッチ目(うえ)

雪に埋もれたチョックストーン

1ピッチ目は有名なチョックストーンなのだが、なんと半分以上が雪に埋もれていて、上部のガバにも手が届く状態だ。ピッケルをしまい、ガバを掴み、ステミングであっさり登れた。

その後は右側に続くルンゼを上り、さらに右に回り込んだ突き当たりの壁に終了点(ボルト×2)があった。チョックストーンすぐ上以外中間支点はない(埋もれていた?)が、特に問題はない。

2ピッチ目(こば)

階段状の広い凹角を上がって、右方向に続く稜線上を進む。

階段状凹角
稜線を上から振り返る

雪稜上の大岩に終了点(ボルト×2)あり。

3ピッチ目(うえ)

リッジを頼りに、右横の雪面を登っていく。

突き当たりの壁に終了点(ハーケン×2)あり

下から見た3ピッチ目全貌
3ピッチ目の終了点

4ピッチ目(こば)

おそらくここが中間の岩場だろう。

4ピッチ目最初の岩場

ルンゼから階段状を登ると雪稜になる。ロープを伸ばし切った辺りの広いリッジの中に、雪に埋もれた大岩にボルトがあったので、そこを終了点とした。

4ピッチ目終了点

5ピッチ目(うえ)

広い雪稜の左側に壁が迫ってくる。ブッシュを超えた辺りで左壁に向かい、右方向に大きくカーブした左壁の際を辿りながら右前方のルンゼンを目指す。

ピッチ目全貌。左の壁が途切れるあたりが終了点

左壁が途切れるあたりまで行くと、大きなチムニーから長く垂れ下がった残置スリングが伸びているのが見えた。そこに行くか迷ったが、そのすぐ右に終了点(ボルト×2)を発見した。

左壁の際を辿らずに、雪稜からそのままルンゼに入っていく方が近かったとは思うが、腐り雪ということもあり、ルンゼを避ける形となった。

6ピッチ目(こば)

上部岩壁で出しの岩場

核心と言われているので、先程の残地スリングが伸びる大きなチムニーを登るのか迷ったが、終了点の右奥から小チムニーを登ることに。残地支点が見つからなかったのでフリーで登ったが、ここはカムを使えそうだった。(残念ながら、カムは私が持っていたので使えなかった)

核心の岩場を超えると、岩雪ミックスのリッジになる。リッジ上の大岩に終了点(ボルト×2)あり。

6ピッチ目を振り返って
6ピッチ目終了点

7ピッチ目

初めは岩稜帯だが、次第に雪稜になる。簡単だがかなりな急登でなかなかペースが上がらない。50mロープをいっぱいに延ばした辺りにルンゼが見えるが、ちょうど良い終了点が見つからなかったので、ルンゼ手前の大岩のハーケン一本で終了点とした。

7ピッチ目の初めの岩稜帯
7ピッチ目の途中

8ピッチ目

狭いルンゼを越えて、広いルンゼを登る。

50mロープを伸ばした所で大岩にスリングをかけて終了点とした。

初めのルンゼ
その後のルンゼ
8ピッチ目のビレイポイント

9ピッチ目

引き続き易しい雪稜が続くが、引き続きスタカットで北峰まで登る。山頂の標識でセルフを取り、肩がらみでビレイ。

9ピッチ目全貌。奥に登山道の鎖が見える
9ピッチ目を振り返って

3、7〜9ピッチ目はコンテで登る記録を散見したし、実際かなり簡単だったが、コンテに不慣れなのもあり、全てスタカットで登った。

13:30〜50赤岳頂上

山頂で写真撮影と休憩。

多少風はあるが、非常に天気が良い

雪が相当腐っているので、雪崩が心配だ。(前の週に文三郎尾根で雪崩事故があったそうだ)

気をつけて下山。

15:00〜30 行者小屋

休憩と装備解除。ここでうえは4本爪アイゼンに履き替えた。こばさんはそのまま12本歯アイゼンで下山。

雪がぐちゃぐちゃで、歩きにくく、なかなかスピードが上がらない。

融雪は進んでいるのだが、行きと同じところまでは雪が多く、その後傾斜が緩み泥道が出てきた所からはツボ足で。

うえも軽アイゼンを脱いでしまったが、凍結箇所は駐車場まで続くので最後まで軽アイゼンでもよかった。

バテてしまいペースダウンしたが、明るいうちに下山できた。

17:30 美濃戸山荘駐車場

感想

赤岳主稜という人気ルートに快晴の中、貸切で登れた幸運に感謝。

今まで冬のアルパインは3月の阿弥陀北稜、南稜くらいという初心者の我々には、ドキドキする挑戦となった

もちろん4月のとても快晴の日に登ったので、厳冬期のそれとは厳しさが全く違うのだが、阿弥陀より長く、ルートとしても美しく、とても充実感を味わえた。

暖かく快適だったが、その分雪崩のリスクとは常に隣り合わせだと思う。

前の週に文三郎尾根で雪崩があり、当日も気温が高かったので、各小屋が登山者に対して注意喚起していたらしい。一般道でも登山者は大変少なかった。