岩場のセルフレスキュー

2019年11月17日(日)岩レスキュー
コバ(L)、ウエ、ツリシ、ハギ、トヨタ、キム、ササジ、たま、ノダ、キヨ(記録)

丹沢モミソ谷出合の岩場セルフレスキュー訓練を行いました。

コバさん、ウエさんが中心となりご指導していただきました。

訓練内容は以下のとおり。
•ビレーからの脱出
•懸垂下降からの停止、仮固定、登り返し
•介助懸垂下降
•1/3引き上げシステム
•ザックを使用した搬送方法
•ヒューマンチェーン
•横引きを用いた急登の搬送

また、以下のロープワークを使用するがここでの説明は割愛する。
・エイトノット
・ミュールノット
・フリクションノット
 −クレイムハイスト
 −オートブロック

また、今回の岩講習ではダイニーマがフリクションには適していないかという議論があったが、
これには諸説あるようで明確な答えは見つからなかった。

以下、岩講習の詳細。

●ビレーからの脱出

リード者が負傷し、意識がない時に自分がビレーから抜け出し助けを求めに行く際の想定でのレスキューとなっている。

1.支点が確保できそうな場所まで行き、ミュールノットでビレー中のロープを仮固定する。
ミュールノットが作成できたら両手を離しても問題ない。
バックアップを取ることを忘れずに。

▲背景に黄色いロープがあってわかりにくいかもしれないがミュールノットとバックアップを作成した状態。
写真では付けていないが、バックアップのところに環ビナを取り付けるのを忘れずに。

2.支点を流動分散で作成する。(ボルト2つでレスキューに耐えうる支点というイメージ)

▲流動分散を作成。近くにボルトがない場合は木や岩等で作成する。

3.ビレイデバイスからリード側のロープにスリングでクレイムハイストを作り、機能しているかを確認する。

4.フリクションノットと作成した支点を環ビナで接続し、クエイムハイストを持ち上げて支点とロープにテンションがかかる位置まで引き上げる。

▲クレイムハイストを作成し荷重を支点に移している。

5.ビレイを解除してクレイムハイストの下方にエイトノットを作り流動分散した支点にバックアップを作成する。
ここで救助を呼びにいく。

▲バックアップを取り付ける。泳いでいるロープは出来るだけ短い方が望ましい。

6.固定を解除する時はバックアップを外し、ビレイデバイスにロープをセットし、ミュールノットを結び、クレイムハイストを外し、ミュールノットをゆっくり解除する。

▲バックアップを解除してビレイを装着した状態。

●懸垂下降からの停止、仮固定、登り返し

1.懸垂下降中のロープ2本を使いミュールノットで仮固定をする。

▲ミュールノットで仮固定している状態。

2.ミュールノットより上方でスリングでフリクションノットを2つ作る。
ここではオートブロックでもクレイムハイストでも好きな方のフリクションノットで結ぶ。

3.上のフリクションノットに自分のハーネスに固定しているスリングを接続する。

4.下のフリクションノットに環ビナとスリングを接続する。
このスリングは足を掛けて登るためのスリングになるができるだけ短い方が登る効率が良い。
身体の柔らかさと相談である。

▲登り返しの準備が完了。フリクションノットの真ん中を握りながら登っていく。

5.上方のスリングをギリギリまで持ち上げ下方のスリングを足が届く範囲まで持ち上げる。

6.足でスリングに乗り、体を持ち上げる。

7.上方のスリングをギリギリまでもちあげる。

8.上方のスリングに体重を預けて下方のスリングを持ち上げる。

9.以下、6〜8を繰り返して登り返していく。

●介助懸垂下降

1.ビレイデバイスの環ビナ側に約3:7の割合で結んだスリングをかける。

▲3:7、人によっては2:8という人もいるらしい。好みで。

2.短い方を要救助者側、長い方を自分のハーネスにそれぞれ環ビナで固定する。

3.要救助者と自分のハーネスをクイックドローで固定する。

4.ビレイデバイスの下方にクレイムハイストでバックアップを作成する。

▲左が要救助者、右が救助者

5.懸垂下降で降りていく。この時、懸垂下降なので膝は曲げないこと。

▲救助の様子

●1/3引き上げシステム

1.支点2つにアッセンダーや滑車のようなものを取り付ける。

2.支点と支点の間に写真のように環ビナにフリクションノットを取り付ける。

3.引き上げる側からロープを引っ張り、クレイムヘイストの位置をずらしながら引き上げていく。

▲左側がロープを引っ張る側、右側が引っ張られる側。

写真はシステムの説明なのでリングボルトを支点として使用しているが、破断の危険があるため必ず複数のボルトから流動分散等で支点を作成すること。

●ザックを使用した搬送方法

これはハーネスを装着していることが前提の搬送方法である。

1.ザックの両方のショルダー部分にクイックドローをつける。

2.クイックドローを交差して要搬送者のハーネスの腰部分に装着する。

▲この状態でザックを背負い、立ち上がる。

3.ザックを背負い、周りの介助を借りて立ち上がる。

●ヒューマンチェーン

これは短距離の要救助者の移動を複数人で安定して行いたいときに用いる。
今回は5人で要救助者を運んだ。

1.要救助者を仰向けで横たわらせる。

2.3人と2人に分かれ要救助者の左右に交互に立つ。

3.要救助者の下から手を伸ばしお互いの手首を握り、そのまま立ち上がり安全な場所へ移動する。

●横引きを利用した急登の搬送

1.搬送者の上方に支点を作成する。

2.スリングにアッセンダーや滑車のようなもの、なければ環ビナを2個交互にかける。
2個使う理由は、ロープを引く際に少しでも摩擦を減らし軽くするためである。

3.ロープの片方を搬送者に装着し、もう片方を視点から真横に引く。

以上が今回の岩レスキューでの講習内容となる。
非常に有意義な講習でしたが、実際に使う機会がないことを祈りたい。

この日のために準備をしていただいたコバさんうえさん、この場を借りてお礼申し上げます。
また、丁寧に補足等していただきご指導していただいた参加者の皆様ありがとうございました。

仙ノ倉山北尾根

【日程】2019年3月9日-10日
【メンバー】ハギ(L)、つりし(記録)
【コースタイム】
9日…土樽駅6:45→毛渡橋登山口7:10→タカマタギとの分岐7:25→群馬大避難小屋9:30/9:40→北尾根取9:50→1182m11:50→1495m幕営地14:10
10日…1495m幕営地6:20→1627m6:55→シッケイノ頭7:35→仙ノ倉山頂8:50→シッケイノ頭9:35→1495m幕営地10:30/11:40→1182m13:00→群馬大避難小屋14:30→毛渡橋登山口16:05

 

1日目

前夜土樽駅前で車内泊、駅前は車6台ほどしかのスペースがなくすでに満車、我々の横の車は7名パーティー、聞くと我々と同じ目的地、前日にだいぶ雪が降ったとのことで、かなりのラッセルになるのではないかと時間的にもタイトになりそうなので明日は6時出発とのこと、リーダーとおぼしき方の話に気が引き締まる。

しかし明朝、我々は結局6時45分出発、登山口につくと踏み跡多数、新雪が深く心配していたがトレースは意外としっかりついている、しかし大方タカマタギに行くパーティーのようで、歩き始めてから30分ほどの鉄塔を左に曲がる分岐からは踏み跡が少なくなりワカンを装着。

行く手に仙ノ倉山

川沿いの平らな林道を2時間ほど歩くと群馬大学避難小屋に到着、昨夜土樽駅で話した7人パーティーに追いつく、北尾根にとりつくのはどうやら我々だけのようだ、いままでつけてもらったトレースにお礼を言い、今度は先に出発する。
橋を渡って真正面にある小高い台地をあがるとすぐに稜線の取りつき、木には赤いペンキ目印がある。

はじめからなかなかの急勾配が続く、股下までのラッセルをはぎちゃんと交互に行う。
息がだいぶあがってきたところで、先ほどのパーティーのうち男性陣4人が追いつき「一緒にやりましょう」と声を掛けてくれる、以後この即席ラッセル隊で幕営地付近まで共に進軍した。


先頭でのラッセルを終え隊列の最後方につくと楽になるその間に体力を温存し息を整える、そして15分ほどすると再び自分に先頭が回ってくる、「よし!」と気合を入れる、急こう配な登りに腰まで潜るふかふか雪、太陽がじりじりと照り付け汗が噴き出る、膝で手前の雪を固め足場をつくる、息があがり速度が落ちてきたところで、後ろの人から「そろそろ交代しましょう」との声、後続を先に行かせるため横にずれるのも辛い、「お疲れっす」「グッドジョブ!」などと横を通る隊員たちに声を掛けられる。

隊列の最後尾に回りこみ、ふと顔をあげると目標とする稜線は真っ白な新雪、雲一つない青空、遠い山々から来る風が気持ち良い、やりきった満足感もあり至福のひと時である。

そんなことを繰り返し14時過ぎまで、すでに全員へろへろ、一番長いこと先頭で頑張ってくれていた20代とおぼしき男子は足が攣って痛そうである、ほんと感謝しかない。

明日は今日来た道を下降する我々は幕営地を1500m付近に、向こうへ抜けて交通機関で土樽に戻る彼らの幕営地は1600m付近にどちらも1時間ほどの土木工事は必要ではあったが、甲乙つけがたい稜線上の眺望のよい素敵な幕営地でした。

尾根上の幕営地(翌日帰幕時の写真)

 

2日目

幕営地に荷物をデポし6時20分出発、7人パーティーはすでに出発しており遠くに見える、本日も先行していただいた。
昨日ほどではないが、それでも所々深い雪になっており、苦労のあとがうかがえる。

今日も雲ひとつない晴天、稜線の勾配が緩急がはっきりしていて、見事な自然の造形美がひろがる。

しっけいの頭の下は雪壁とまではいかないくらいの急斜面になっていて、今回はロープを出してはいないが雪質、力量によっては出したほうが安全、支点で使えそうな灌木もじゅうぶんあった。

シッケイの頭

しっけいの頭からは傾斜も緩やかになり雪面も適度にクラストしているので歩きやすい、空荷の我々はこのあたりで先行パーティーに追いついたのだが仙ノ倉山頂まではあと少し、ここまでトレースをつけてくれた彼らに敬意を表し休憩をいれて彼らの登頂を待つことにした。

山頂まであと少し。肩に先行Pが見えます

8時50分 仙ノ倉山に登頂、先行パーティーにお別れの挨拶をして、すぐに元来た道を下る。

下山は我々がつけた踏み跡を下るので楽ちんかと思いきや、気温も上がったため雪が腐り始め、あちこちで踏み抜く、太陽も照り付け季節外れの熱中症状態に陥る、これは平標に抜けたほうが良かったなどと、最後はぶつぶつ言いながら下りましたが、へとへとの体になりながら無事登山口に着いたときは気持ちの良い達成感に満たされました。

ちなみに我々が到着したときには7人パーティーの車はすでに無くなっていました。

***

終わりに、天気に恵まれ眺望も素晴らしく、また記憶に残る山行になりました。
前日降った大雪に苦労はしましたが、大所帯のパーティの方々のおかげで敗退せずにすみました。
たぶん我々だけであったら、最後まで行けていなかったかもしれません。
ただ、できれば北稜山岳会のパーティーだけの力で突破できたら、もっとよかったとも思いました。
はぎリーダーさま、お世話になりました。
毎年恒例になっている越後シリーズ、次はこの隣の尾根ですかね、ありがとうございました。

 

保護中: 12/4集会

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保護中: 11/20集会

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戸隠山

【日程】2019年11月9日
【メンバー】サイトー(L)アベ、マル、ノリ、ツカミ(記)
【コースタイム】戸隠キャンプ駐車場(6:50)~戸隠奥社入口駐車場(7:00)~戸隠神社奥社(7:50)~百間長屋(9:00)~蟻の戸渡(9:40)~戸隠山(10:30)~九頭龍山(11:30)~一不動避難小屋(12:40)~氷清水(13:05)~帯岩(13:25)~牧柵(14:10)~戸隠キャンプ場(14:40)

戸隠山と云うと、真っ先に蟻の戸渡が浮かんで来ます。キレキレのナイフリッジを渡る姿からこの名前が付いたと言われます。山登りをしていると、どうしてもこのような場所に行ってみたくなります。
今回のメンバーは、高度の技術をもつリーダーとアベさん。岩場に強いのり。力自慢の丸ちゃん。そして中年の域に突入した私の5名でアタックしました。

深夜東京を出発し、午前3時頃、戸隠キャンプ場に到着しました。50台ぐらいは駐車可能な大きい駐車場です。眠気でもうろうとしながら車から降りると、満天の星空。プラネタリウム並みです。なかなか遭遇しない貴重な瞬間、息をのむ光景でした。
わずかな仮眠から目覚めると、約束されたような晴天。マイナス3度の標高1,200メートルの世界は霜が降りています。吐く息は白く冬の一歩手前を知らせているのでしょうか。そして長野からやって来たマルちゃんと合流。車一台をデポし、走ること10分で戸隠神社入口駐車場へ。こちらの駐車場は有料でした。
駐車場目の前に鳥居があり、ここらかスタートです。

戸隠神社入口

鳥居をくぐると、まっすぐな参道の両脇には立派な大木が並んでいます。
ちょうど、朝日が昇り私たちの影を作りました。参道なだけに神秘的な画です。ここは奥社までの参拝者もいます。50分程で到着し、みなで参拝。

参道
戸隠神社奥社

奥社から、いよいよ登山道が始まります。急こう配が続きますが、葉が落ちた木々の間からはパノラマ景色が見られます。鎖場も始まりますが、スタンスも手もしっかりしているので登りやすいです。途中の百間長屋はリーフ状になっており、クライミングを連想させられます。

晩秋の山
百間長屋

蟻の戸渡りに到着しました。看板もあり緊張が走ります。幅50センチ、長さ20メートルのナイフリッジ。落ちたら300メートル真っ逆さま。フィックスロープを張るためリーダーが先頭をきります。このリーダーの凄いところは、この岩稜帯を薄っぺらの(ワークマン風)靴で渡りきることです。かつて先人達、愛用草履の域です。ボルトが打ち込んであり、4~5か所にランニングをとり50メートルロープいっぱいでした。ハーネスにスリングを通し、ビナにロープをかけ、誰一人怪我することなく無事クリアーです。

蟻の戸渡
蟻の戸渡
蟻の戸渡

蟻の戸渡から戸隠山頂上までは1時間もかからず、到着。展望がよく晴天ときています。北アルプスの山々には雪が降りかかり、遥か遠くの雲海の先には富士山も見えました。
戸隠山から一不動避難小屋まで、急なアップダウンが続きますが気を付けて歩けば問題ありません。避難小屋分岐から、大洞沢沿いに降りて行きます。小屋からすぐ近くだと思っていた氷清水は25分下った所にありました。マルちゃんが沢の水を飲んでいましたが、美味い!とのことです。立派な登山道なのですが、沢登りと言いたくなるほど、水が流れていました。鎖も張られていますが、足元が滑るので気が張ります。それに下山後の戸隠そばを思うあまり、皆おなかをすかせていましたので、お気楽から遠い状態でした。何度か渡渉を繰り返し、やっと牧柵が見えて来ました。

戸隠山
帯岩
トラバース
牧場

大人の青春山行でした。深夜0時に、集合し深夜の高速を飛ばし戸隠山へ。山岳信仰の山とあって神社やキャンプ場もあり、賑わいのある場所です。ハイク、参拝、鎖場、アップダウン、沢登り、ハイク、温泉、観光と盛りだくさん。帰宅したのが深夜0時に近く、24時間活動していたわけです。好きで始めた登山、ご利益があったのか、ますます大好きになりました。みなさん、ありがとうございました。

保護中: 11/6集会

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黒部川上ノ廊下

【日程】2019年9月12-16日
【メンバー】コバ(L)、うえ、つかみ(記)
【コースタイム】
9/11 新宿発(さわやか信州号)23:10
9/12 扇沢着5:30(電気バス)発7:30→ 黒部ダム着7:50~平の小屋11:30~平の渡し発12:00~対岸着12:10~奥黒部ヒュッテ14:20(幕営)
9/13 奥黒部ヒュッテ発6:05~口元のタル8:15~スゴ沢12:50~金作谷14:35(幕営)
9/14 金作谷発6:00~岩苔小谷12:40~立石奇岩12:55~B沢16:15~薬師沢小屋17:30
9/15 薬師沢小屋~赤木沢~太郎平小屋~薬師峠(幕営)
9/16 薬師峠~太郎平小屋~折立(タクシー)→富山駅→東京

後は、天気だけでした。天気さえもってくれれば、完全遡行できる!
ここまでくるのに、たくさんの時間を要しました。たんに私が、覚えが悪いと言うのも一応にありますが、今でかつてないほど記録を読み、まとめ、試行錯誤で装備整えました。
三人そろっての練習は、新潟県にある早出川中杉川に行きました。更に、個々にトレーニングを重ねていきました。
やることはやった、後は、天気だけ。晴れて増水してなければ、行ける!
運よく願いは叶い、全行程終日晴れ、無事完全遡行出来ました。それも計画より一日はやく。
しかしながら、簡単に遡行出来たわけではありません。やはり厳しい所です。恐怖で足がすくんだり、水流にながされ息ができなかったりと、波乱の連続でした。
入渓前に、倒木に足を滑らせのけ反るように転倒。グッギ!と何かが切れるような音がしました。2~3分位固まりましたが大丈夫そうだと、不安はありましたが沢に入って行きました。その時は靭帯を損傷したとは思いもせず、冷たい沢の水がとても心地よかったのを覚えています。痛みは当日より2日目、3日目と徐々に現れて行きましたが、気が張っていたせいかどうにか下山に至りました。よく頑張ってくれた足に感謝です。

扇沢

新宿より深夜バスにて、ここ扇沢に到着です。ここから黒部ダムまでトロリーバスで向かいます。始発に乗るべく切符売り場の先頭に並びます。売り場窓口が、開かない箇所がありましたので注意です。そして時期によって始発のバス時刻が異なりますので、確認が必要です。切符を購入したら、乗り場は2階になります。今回私たちの始発の出発は7時半でした。

黒部ダム

堰堤

丸太の橋

15分ぐらいの乗車で黒部ダムに到着します。黒部ダムから堰堤を渡り、平の小屋まで湖岸歩きが続きます。丸太の橋や階段がたくさんありますが、比較的整備されており歩きやすいです。しかし、ザックの荷が重く汗をかきながらのアップダウン。10時の渡し船を目指していましたが、間に合いそうもないので途中からゆっくり向かいます。
約3時間半歩き、平の小屋に到着しました。

渡し船

平の小屋から少し降りた場所から乗車。対岸まで10分弱で到着。関西電力が運営しており無料で乗車できます。運行時刻は季節によって異なります。私たちは12時発の船に乗りました。

長い階段

奥黒部ヒュッテ、テン場

渡し船の対岸から、また湖岸歩きが続きます。長い階段なども現れ、汗をかきながら進み、2時間強で奥黒部ヒュッテに到着しました。
小屋のご主人に廊下の様子を尋ねました。前日に大雨が降ったとのことです。安心できる言葉を期待していましたが、濁し言葉から厳しい様子が伝わり、より一層気が引き締まりました。
テン場と小屋は目と鼻の先、水場は小屋の脇にあります。24時間利用できます。

東沢出合

へつり

9月13日。いよいよ上ノ廊下へ入渓。テン場から10分弱で東沢出合にでます。前日に偵察に行きましたが、若干水量がすくなくなっている様子かなと・・(想いたい)。
入渓してすぐに徒渉が始まりました。リーダーが先頭に渡り、同じラインをウエちゃんとスクラムを組み渡って行きました。徒渉したり、へつったりしながら、進みます。東沢出合から1時間程進むと、熊ノ沢出合手前左岸にいいテン場がありました。
その後進むこと2時間程で、口元のタル沢。いよいよ、一番の核心部、口元のタルに突入します。

口元のタル突入

へつる

まず、リーダーが右岸をへつりから泳ぎました。水流は左岸方面から右岸にぶつかるようにながれていたので、右岸の壁と水流の間に体をねじ込んで行きました。ねじ込んだ先には水流が壁沿いに若干上流に向かって巻いてあったので、それに乗って進み突破しました。
フォローの私たちは、一緒に連なってロープで引き上げてもらいました。
泳ぎながらの突破が4~5回あり、3時間弱あまりでようやく抜けました。
記録やガイド本には突破方法が記されていますが、現地判断が主です。リーダーの判断が危険を左右します。この日の水量や水圧は過去の記録と比べることは難しく、無事越せたのは間違いなくリーダーの的確な判断のお蔭でした。

流された現場

口元のタルを無事に超えたと安心する間もなく、ゴルジュを超えた直後、2m程の渡渉に失敗。流されてしまいました。流れが早くあっという間に10mの補助ロープギリギリまで流され、あわや、と云うところでリーダーが、足がつく中州まで上手く誘導してくれ助かりました。軽い低体温症気味になりましたが、大休憩と日差しの下での河原あるきで、徐々に回復。30分以上時間をロスしてしまいました。

スゴ沢

上の黒ビンガ手前にスゴ沢があります。ガイド本ではエスケープとして記載されており、尾根を使って2,431mの無名のピークを目指す、とあります。しかし、どうみても入り込めない急峻な地形。河原で停滞しても決して入り込めないところです。

上ノ黒ビンガ(1)

上ノ黒ビンガ(2)

計画ではスゴ沢の出合で幕営予定でした。しかし、時間にして午後1時前。体力もまだあるし、このまま金作谷まで行くことになりました。この上ノ黒ビンガは、上ノ廊下最大の景勝地と言われています。深いゴルジュになっており、特に激しい徒渉や泳ぎなどありませんでした。入り込む日差しと重なり圧巻な世界が広がっています。しばし心奪われます。

金作谷

スゴ沢から2時間弱で金作谷出合に到着。まだ雪渓がありました。出合手前の右岸側に、河原から一段高い平地に絶好のテン場があります。枝沢から水もとれます。薪も不自由しません。入渓一日目に申し分のない場所でした。焚火で体を温めながら、衣類も、乾け、乾けと至福のひと時。9月の北アルプスは寒暖差があり夜は冷え込みます。テント設営でしたが、それでも寒かったです。

金作谷の淵

高巻き

泳ぎ

9月14日。入渓2日目。このペースだと、今日中に薬師沢小屋に抜けられる予定です。
朝6時出発。沢の水は冷たく体を縮めさせられます。泳ぎを回避したく、最初は泳ぎではなく右岸を高巻きました。最初にハーケンを打ってセルフをとり、ウエちゃんのビレーで、リーダーは階段状の壁を、へつり気味で登って行きました。水深が浅くなっている所までくると残置ハーケンがあります。ここでピッチを切って、5m程の高さをクライムダウンしました。100mにも及ばない距離ですが、1時間弱かかりました。やはり泳いだ方が早いと言うことで、その後は迷うことなくリーダーは水に飛び込んで行きました。

スゴの淵

三番目の難所、スゴの淵。ここは絶対に落ちることの出来ないへつり。左岸を進みます。高度もあり膝をついたまま前進しました。残置がありましたが、新たに残置ロープを設置し、ロープをつかみながら下降しました。高さにして3mぐらいです。

岩苔小谷出合

立石奇岩

金作谷のテン場を出発して、泳ぎやへつりの連続をくりかえし6時間半。一先ず安心の出来るエスケープ地、ここから高天原山荘へ抜けられます。水圧も少しずつですが、緩やかになってきて、張り詰めていた緊張が徐々に解けていきます。しかし、まだまだ先は長く続くのです。立石奇岩は思っていたより感動は小さかったです。やはり上ノ廊下での最大の感動は、徒渉や泳ぎなどを突破した時の方が大きかったです。難儀をしたところほど、感動が大きかったです。

B沢出合の懸垂下降

B沢出合

薬師沢小屋

ゴルジュ状で左岸を高巻き、残置があるので支点をとり5m程懸垂下降。右岸へ徒渉します。これが最後の渡渉で、この後、大道新道に合流し登山道や、河原歩きを繰り返します。所処矢印で導いてくれますので、迷うことはありません。B沢出合から進むこと1時間、薬師沢小屋に到着。小屋の夕食20分前とあって余韻に浸ることなく装備を解除しました。

計画から実践にいたるまで、責任を背負っての覚悟からか、時には厳しくもありましたが、最後まで無事に遡行出来たのは、リーダーのお蔭です。ウエちゃんは、徒渉の際には常に一緒でした。流されトラウマ気味の私を、力強くハーネスを掴み、勇気付けてくれました。
二人には、心から感謝しています。
応援してくれた仲間や家族にも感謝です。
みなさんのお蔭で、念願だった上ノ廊下完全遡行できました~ありがとう!

【装備】沢装備・ラバーソール・ロープ30m・補助ロープ10m×2・ハーケン・ハンマー
【服装】
《つかみ》
上:フラッドラッシュ(ファイントラック)、雨具、ライフジャケット(フロートベスト)下:フラッドラッシュタイツ、薄手長ズボン(以上ファイントラック)、膝パット
《うえ》
上:アクティブスキン長袖、ラピッドラッシュ、フラッドラッシュ(以上ファイントラック)、雨具、ライフジャケット(泳ぎ時のみ)
下:アクディブスキンタイツ、フラッドラッシュタイツ(以上ファイントラック)、薄手長ズボン、雨具

真名井沢

8月23日(月)真名井沢
天気:霧雨→曇り
メンバー:こば(L)、うえ、きよ(記録)

7時29分川井駅発のバスに乗り込み上日向で下車。
天気はあいにくの霧雨。
5分ほど歩くと林道に入りそこからさらに30分ほど歩きとりがや橋の脇から8時半ごろ入渓。

橋の手前から入渓

最初に4つの石堤を越え、山葵園の隣をあるきながら野山葵を摘みつつ30分ほど進む。

山葵園の隣を歩く。
4つの堤防を巻いて越える。

9:00ごろ480m地点で6mほどの滝が現れる。
うえさんが先頭で余裕で登り私が苦労しながら登り振り向くともうコバさんが登ってきていた。

霧雨はいつの間にか上がっていたが、すごく薄暗い沢を遡行していく。

10時ごろ、630m地点で大きな二股の分岐に到達。

二股の分岐。ここを左側へ進む。

進行方向左手側に進みここからは1ランクレベルが上がる感じがした。
この頃から流木が増え、歩きにくくなってきた。

10時半ごろ、700m地点では4mほどの滝が現れたがシャワー状で足場がなくうえさんもコバさんも登るのを諦め、
ここは右側を巻いて進んだ。

ルートを悩む二人。

その後800m地点で6mほどの滝をお助けロープを出して貰い登ったが、私は一度落ちてしまった。
まだまだ実力が足りないようだ。

思い切って滝の中に突っ込めば登りやすかったようだ。

いよいよ大詰めで11時50分ごろ最後に6mほどの滝をお助けロープを出して貰い登りきり、
左側に踏み跡を見つけ遡行終了。

最後の大きな滝。

急な坂を登りきり、12時半ごろに登山道に出てきた。

ピンクテープを発見。遡行終了。

帰り道はとても整備された歩きやすいく、猿にも出会い楽しい下山だったが、
古里駅への下山道を近道をしようと地図上を頼りに破線を目指して進んだが予想以上の急斜面で私の中では今回で一番の核心となった。

急がば回れとはよく言ったものだと感じた。

青空が少し見えた。
サル🐵

私のわがままに付き合い急遽沢を計画していただいたコバさんありがとうございました。
色々丁寧にアドバイスを下さったうえさんありがとうございました。

まだまだ実力のなさを感じる遡行となりましたが、精進していきたいと思います。

餓鬼岳・唐沢岳

●2019年9月14日〜16日
●メンバー:(L)ケン、ノダ、セキモト(記録)

 

今回は久しぶりにのんびりの尾根歩き。ただガレ場の多い餓鬼岳、沢沿いの登山道で危険も多く気を抜かず歩いてきます。

7:00 スタート

登山道のはじまりです。

登山道の始まり
8:34

ひたすら沢沿いの道を進みます。天気が良い日だったので沢沿いはとても気持ちがいいです。ただ足場はしっかりしていますが、へつり、高巻きが多い道で落ちるとアウトです。気をつけて進みます。

沢沿いの道-1
沢沿いの道-2
沢沿いの道-3
9:20

最終水場で2日分の水を各自2-3リットルほど用意して行きます。餓鬼岳小屋では、水は有料(雨水)なので、もし自前に確保したい方はこちらで。

最終水場
11:22大凪山

アップダウンの続く山道が続きます。

13:32 餓鬼岳小屋間近

街中が稜線より見えます。よい風景です。

頂上間近より
13:58 餓鬼岳小屋

餓鬼岳小屋に到着。3連休ということもあり、予想外にテント場が混雑。それでも、なんとかよい場所を確保でき早めに宴会を開始。

15:00 テント場付近より

天気がとにかく良い。最高の眺め。ノダさんがなんと赤ワインをボトルで、さらにケンさんはコーヒーを豆で持ってくるというサプライズ、山頂直下でコーヒーをひくという始めての経験! 良い眺めと共に至福の時間でした。明日は12時間以上の長丁場となるため、16時過ぎに宴会は終わらせ早めの就寝です。

テント場付近より
剣ズリ方面

9/15(2日目)

3:00 スタート

ヘッドライトをつけて真っ暗の中、行動開始です。

3:33 餓鬼岳

暗闇の中突き進みます。

4:45 餓鬼のコブ

夜が徐々に開けてきました。太陽と山並みが幻想的です。いつ見ても夜明けは綺麗ですね。

夜明け
太陽と山並み
6:15 唐沢岳 – 9:17まで

餓鬼のコブから唐沢岳までは、険しい山道が続きます。アスレチック感もあり面白い山道です。また山頂からの眺めは素晴らしい、北アルプスの表銀座より先の最深部より穂高、常念方面の山々が全て見渡せます。

本日はテント場からここまで2時間で到着する予定でしたが、予想以上に時間がかかり唐沢岳から燕の合戦小屋までの行動を断念。別ルートも考えましたが、今回は皆でゆっくりしようと決め、あまりに頂上が気持ちいいので、頂上で昼寝(朝寝)。3時間ほどゆったりとして最高に気持ちよかったです。

山頂より
10:26餓鬼のコブ

唐沢岳良い山でした。

振り返っての唐沢岳

森からの槍が岳。全て山が見渡せます。

森からの眺め
11:35 餓鬼岳
11:44 餓鬼岳小屋

本日は早く着いたため、まずはビールで乾杯の後、昼寝です(笑)

9/16(3日目)

4:14 餓鬼岳小屋

本日は4:00おきで、下山して温泉の後、12時頃に気になっていた蕎麦屋を目指します。半分旅行気分ですが、最後は気を引き締めて下山します。

5:48 大凪山

今日も天気が良く、沢沿いの道が綺麗です。

沢沿いの道
大岩
9:29 登山口

登山口を離れ、温泉に浸かった後、念願の蕎麦屋です。長野のそばは美味しいですね。近くに風車がありとてものんびりした場所でした。

蕎麦屋近くの風車
蕎麦屋

〈最後に〉
今回は、ケンさん、ノダさんと始めての登山。二人がはまっているクライミングの話も聞けてとても勉強になりました。楽しい時間をありがとうございました。
久しぶりの尾根歩き、やはり百名山もいいですね!