爺ヶ岳東尾根〜鹿島槍(積雪期)

2019/3/22(金)〜3/24(日)
メンバー:こば(L)、うえ(記録)

蔵出し記録シリーズ。
爺ヶ岳の東尾根から鹿島槍を目指す、2年前のリベンジを果たすため挑戦だ。

1日目

5:00 東京発
9:30 登り始め
鹿島集落の駐車場に車を停めさせていただき、狩野家の前の登山ポストに計画書を投函。オババの碑の奥が登山口だ。
登り始めはいきなり急登。2年前は雪があったのだが今回は全くない。木の根を掴みながら、さながら沢の高巻きのような状態で登っていく。1476mピークのあたりからようやく雪がでてきたが、とても少なく歩きづらい。
すごい斜度の樹林帯をひたすら登っていく。

ジャンクションピークまでの急登
腐った雪に苦しめられた

12:30 ジャンクションピーク1767m
ようやく東尾根の稜線に出たので歩きやすい積雪を期待したが、気温が高いので雪が腐っている。
この日は我々が先頭だったので、踏み抜きラッセルに苦労し、予定よりだいぶ時間がかかってしまった。
はるか遠くに爺ガ岳山頂、鹿島槍が見えた。

ジャンクションピークからの眺め
下界の雲海が次第に晴れていくようす
遠くに槍ヶ岳を発見!
P3手前の辛いところ

14:30 p3幕営地
本当はp1まで行きたかったのだが、時間と体力の問題でこの日はここまで。
明日の早朝、雪面の状況がよくなることを期待しよう。
ささやかな風除けを作りテントを張った。この日ここにビバークしたのは、我々ともう1パーティだけ。
一時的に風が強まったが、2年前に泊まったp1よりはるかに快適だ。
夜は満月で、美しい山頂と星を眺めることができた。

p3にてビバーク

2日目

5:00 出発
昨日の遅れを取り戻すべく早めの出発。
雪面がクラストして歩きやすくはなったのだが、アップダウンがつらい。
p2周辺には痩せ尾根がいくつもあるが、雪が少なく柔らかくなっていた。崩れるのも時間の問題かもしれない。

明け方P2周辺
p2のナイフリッジ

7:00 p1
p1手前の雪壁を越えてようやくp1に到着。p1は一昨年に幕営した場所だ。
ずっと目の前に見えているのに、爺ヶ岳山頂までがとても長く感じた。歩きやすい広い尾根だが雪庇やクレバスに注意して歩いた。

P1に到着
p1〜爺ガ岳山頂を眺める

8:30 爺ガ岳中峰
ようやく到着。到着したころにはガスってしまったが、次第に正面に立山と劔岳が見えるようになった。

爺ガ岳山頂に到着!
爺ヶ岳山頂から南方面の景色

ここから夏道を辿り、爺ヶ岳の西側斜面をトラバースして冷池山荘に向かう。富山側に出た途端、西風が強くなった。
尾根上は巨大な雪庇ができていて、登山道すぐ横まで亀裂が走っていた…

爺ヶ岳の西面をトラバース

立山も剱岳も間近に!
遥か遠い鹿島槍ヶ岳山頂。よく見ると山荘も写っている
冷池山荘のコルに降りる手前で冬毛の雷鳥とも遭遇
実は2羽いた雷鳥

10:50 冷池山荘
ようやく冷池山荘の冬季避難小屋に到着。
小屋は屋根まで雪に覆われていたが、出入り口周辺には雪がなく、すんなり入れた。

11:15 出発
小屋に荷物をデポして、〜布引山〜鹿島槍ヶ岳を往復。
出発した時の天候は高曇りだったが次第に西風が強まり、天候悪化が目に見えていた。
明日はもっと悪くなる予報なので、登頂のチャンスはこの時だけ。一刻の猶予も許されないと、小屋で休みたい気持ちを封印して必死に歩いた。

布引山とその奥の鹿島槍を目指す

小屋の周辺から布引山、鹿島槍山頂までは至る所に10m以上の雪庇が発達していて、夏道の近くまでクラックが数多くできていた。今回の全行程を通して、雪庇が一番すごいのはこの辺りだったように思う。

13:26 鹿島槍ヶ岳
山頂への九十九折りに差し掛かったあたりで、無情にも霧が立ち込め、山頂に立った時には真っ白になっていた。
タイムリミットが迫る中、なんとか山頂に立てたことに安堵しつつ、即下山。

証拠写真。東面は景色が見えていた

15:00 冷池山荘
小屋に帰ってきた15時頃には粉雪が舞い始め、夕方以降は風雪がかなり強く(風速20m以上?)なっていたようだ。
小屋の中には我々以外に2パーティと、さらに外に1パーティが幕営していた。
ちなみにこの小屋は、冷池山荘が休業中にだけ解放していただいている冬季避難室だ。下山後に、周辺状況をお知らせするお手紙とともに利用料をお支払いする。
この日のような吹雪の日には、小屋の存在は本当に心強い。

3日目

6:40 出発
翌朝は厳しい行動となった。
小屋に泊まっていた他のパーティと共に赤岩尾根を目指すものの、途中の尾根では強風に煽られて必死に耐えながら前進。
赤岩尾根に取り付くトラバース道は、昨夜積もった15cmほどの積雪のため厳しいと判断し、急斜面を100mほど下降して様子を見たが、そちらも雪崩の危険がありそうだった。
他パーティはロープを出して斜面の途中からトラバースするようだったが、我々の装備と技術では危険があると判断し、元来た道を引き返し爺ヶ岳東尾根から下山することにした。
ちなみに、同日に先行していた屈強な4人パーティは、最初夏道でのトラバースを試みるものの断念し、ロープを使用して尾根通しで下降していたと思う。

8:30 赤岩尾根敗退
ここからは昨日と同じ道だが、西側斜面をひたすら歩く道のため、2時間も西風の強風に吹かれ続けた。風上側の右手や右頬が冷たさで痺れたが、隠れる場所もないので摩ったり動かしたりしながらとにかく進んだ。
この時の風で右頬がごく軽い凍傷になり、なかなか跡が消えなかった…(涙)。

10:30 爺ガ岳中峰
爺ヶ岳の東側に出た途端、今までの強風がぴたりと止み天候が回復!
ふわふわのパウダースノーが広がる天国のような場所だ。東と西でこんなにも気候が違うとは…
富山側を無事に抜け出したことに心の底からホッとした。

東面から爺ヶ岳山頂を振り返る

12:40~50 p3
天候が回復すると今度は気温上昇に伴い、初日以上の腐り雪に苦しめられた。
しかもこちらの斜面はさほど降雪がなかったようで、樹林帯の泥山は相変わらず。
一昨年同様、息も絶え絶え下山することとなった。

p2あたりの尾根
山頂を振り返る

15:50 下山

最後に…
今回、2年越しの念願が叶い鹿島槍に登頂することができたものの、爺ガ岳下部の腐った雪や最終日の強風にはかなり苦しめられ、春先とはいえ北アルプスの難しさを思い知らされた。
だがそれと同時に、恐ろしくも美しい巨大な雪庇や、ふわふわのスノーパウダーなど貴重な体験も数多く、忘れられない山行になった。

コースタイム
1日目/9:30登山口〜12:30ジャンクションピーク〜14:30 p3
2日目/5:00 p3〜7:00 p1〜8:30爺ガ岳中峰〜10:50-11:15冷池山荘〜13:26鹿島槍ヶ岳〜15:00冷池山荘
3日目/6:40冷池山荘〜8:30赤岩尾根敗退〜10:30爺ガ岳中峰〜12:40-50 p3〜15:50下山

袖沢御神楽沢

●日程:2019年9月14~16日
●メンバー:
つりし(L)、ササジ、タマ、ハギ(記)
●行程:
【14日】三岩岳登山道…窓明山手前のコルよりミチギノ沢下降…1200M(泊)
【15日】幕場…ミチギノ沢下降…御神楽沢遡行…1585M(泊)
【16日】幕場…御神楽沢遡行…会津駒ヶ岳/中門岳のコル…会津駒ヶ岳…駒の小屋…滝沢登山口

 

9月14日

三岩岳国体コース登山口(6:20)…三岩岳避難小屋(10:10)…窓明山鞍部(11:35)…ミチギノ沢…1202M(14:50)

前夜に東京発。車を下山場所の会津駒滝沢登山口の駐車場に置き、始発のバスで三岩岳登山口に向かう。
のっけからの急登、大汗をかきかき登る。それでもまだ、涼しいのでありがたい。三岩岳避難小屋近くの窓明山方面への縦走路に入り、ドロドロの登山道に文句を言いながら到着した池塘付近の鞍部にて装備を整え、薮に突入。ほどなく沢型が現れ、ホッとする。今日はこのミチギノ沢を下れる所まで下るのだ。

ミチギノ沢へ

しかしホッとしたのも束の間。この沢、よく滑るのだった。わたしはコケて、どういうわけか膝から着地。打ち身の痛みが引かず、膝を庇いながら妙な格好で降りて行く…。
のろまぶりにしびれを切らしたつりしL、後ろから別パーティが来て直近のテン場が埋まってはたいへんと、タマちゃんと先に確保しに先行。テン場近くになったら痛みはようやく引いてきた、まだまだ明日からも先が長いのだ、よかった。
14:50、1202Mの適地に到着。先行Pがいるのが分かっていたため、この下の1100Mの適地が空いているか微妙ということで、ここで1日目は終了。
ササジの富山土産から始まり、タマちゃんが担ぎ上げ下ろしてくれた豪華な夕食とおつまみでお腹一杯。つりしLがテン場周辺で釣り上げた良型の岩魚は一晩焼き枯らして朝食べることにした。

 

9月15日

幕場(6:50)…御神楽沢出合(9:30)…岩畳(11:15)…スラブ滝2段10M(12:10)…ナメ滝50M(14:55)…直瀑10M(16:15)…1585M(16:45)

今日は長くなりそうなので、4:30起床6:30発!の、予定だったが。
6:50発。沢の朝はどうも、のんびりしがちなのだった。

上流よりヌメリが取れて、大分歩き易くなった沢を下降。1100M適地の先で3-4Mほどの懸垂をし、さらに右岸の緩やかな段丘を巻き下る。段丘は懸垂したところから続いていたので、最初から巻きに入ってしまってもよかったかもしれない。最後は浮石だらけの枝沢から下降(段丘から枝沢に降りるところにトラロープがあった。)。ゴルジュっぽいところを、沢通しに下れる箇所も含めて纏めて巻いてしまったようだ。その後は特になにもなく、9:30御神楽沢との出合へ。
「時間、すでに押しているからね!」とつりしLに気合を注入されて出発。

20分ほどであらわれた小滝は右壁のバンドを伝って通過、その後も歩きとほどよい滝が交互に現れるかんじ。

下流の幅広滝
下流の幅広滝2

「御神楽沢の名所」という岩畳は、一時埋まってしまったそうだが、今は岩が一個残っているのみで不思議な景観を取り戻していた。

岩畳
跨ぐ勇気が出ませんでした

スラブ滝2段10Mで先行Pに追いついた。上段の左岸垂壁を1Pが上に抜けたところのようだ、もう1Pを待たずに垂壁手前の、ルンゼ状の枝沢から巻くが、中間が見た目よりなんだかいやらしい。そしてスラブ滝落口へのトラバースの出だしはわたしの大嫌いな土+草付風。お助けを要求…しかし本当に欲しかったところには間に合わなかった。(悲

スラブ滝2段10M、左から登れれば上は容易、でも残念なことに下部が取り付けません

しばし穏やかな歩きが続く。
スラブ滝を最初に抜けたPがいかにもな淵で釣りをしていたが、快く先に行かせていただいた。既に大物を何本も上げていて羨ましいかぎり。
その後は大田区の山岳会だというPも交え、相前後して進む。今回御神楽に入ったのはわたしたちを含めて3Pのようだ。

歩きゾーン

ナメ滝50Mは下部は左を快適に登るが、最後の抜け口が微妙。お助けをもらった。

ナメ滝50M、容易に見えます
ナメ滝50M2

(ナメ滝通過後、一箇所左から巻いて懸垂したのだが…遡行図を見てもどの滝か思い出せない。本流で唯一懸垂した)
渓相が変わって、大岩地帯へ。いつもならテン場でゆっくりしている時間だが、ここにはそんな場所はない。グイグイ登って高度を稼いだ。
大岩地帯の出口には側壁トラバースで登る滝、ちょっと膨らんでいて回り込む箇所に緊張したが問題なし。

大岩地帯で高度を稼ぎます
大岩地帯出口の滝
大岩地帯出口の滝2

沢が右に90度曲がる場所にある直瀑10M滝は左から腰まで浸かりそうなポイントを巻いて滝下に近づき、滝の左側から巻く。

直瀑10M

巻き終わるとすぐに4人寝れるくらいのテン場があり、ここで終了とする。
薪が少なく、あまり盛大な焚き火はできなかったが、河原が狭いのでちょうどよい。
満月で明るい夜だったが尾根向こうに出ているせいで、わたしたちがいるところからは星が綺麗に見え、また月明かりに照らされた対岸の山肌に背後の尾根の影が落ち、幻想的な風景だった。

 

9月16日

幕場(7:00)…ムジナクボ沢出合(7:05)…稲妻型の滝(8:10)…会津駒ヶ岳/中門岳のコル(11:20)…会津駒ヶ岳(11:40)…駒ノ小屋(12:00/12:45発)…林道(14:50)

霧雨の中出発。幕場から出発するとムジナクボ沢はすぐだった。しばらくすると、昨日の幕場よりも乾いて快適そうな適地を見送る。先行していたPはここに泊まったようだ。
さて、記録でよく写真が載っている三段電光型の滝。ちょうど、先行Pが三段目右のリッジをフリーで登っていた。滝全体としては寝ているのだが、三段目は登っているのを見ると見た目よりは立っている印象。

電光型3段の滝

滝上で巻きに入ったのを見届けて、「あの上の5M滝は登れないんですよ」と下調べしてきました感をアピール。するとつりしLが「じゃあ、めんどくさいから(電光型の滝と)一緒に巻いちゃおう」と速攻決断!みんな電光は登っていると抵抗したが、「なら巻きは新ルートかもね♪(試してみよう)」とそのまま左の藪に突入…。ともあれLの的確なルーファイで懸垂なし、電光型3段+5Mの滝+その上の最狭部も最小限で巻いたようだ。しかしツルツル根曲りのトラバースは個人的にきつかったです。片腕パンプ。いやはや。

ともあれ難しいところはもうなく、会津駒と中門岳の間のコルに出ることを目標に詰めるのみ。
1870Mの紛らわしい二俣では奥の二俣を左に進み、あとは方角を合わせて進みやすい方を選ぶ。
沢型は一瞬見失うも、わりと上の方まであり、最後10分ほど藪を漕ぐと、狙った通りの場所の登山道直下のコバイケイソウ地帯に飛び出した。なるたけ踏みつけないように注意しながら木道へ。ガスでどうせなにも見えん、と会津駒を巻いてさっさと小屋に下ろうとするLを説き伏せ、山頂経由で小屋へ向かう。

木道を会津駒山頂へ
真っ白な山頂に到着

駒の小屋で、各々熱いラーメンをすすり大休止。山のカップヌードルはなんでこんなに美味しいんだろ…。ほこほこ温まってすっかり弛緩した体に鞭打ち、雨の中、滝沢登山口に下山した。

*******

充実の3日間。全体の行程に影響を及ぼさずにあと何年、こういう山行に参加できるか…とドキドキするようになりました。「いまなら行ける行きたい沢」には行かないとな〜と思う今日このごろです。リーダーはじめメンバーの皆さまに感謝感謝です。ありがとうございました。

保護中: 9/18集会

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保護中: 8/21集会

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金木戸川 双六谷

2019/08/10-13
メンバー:つりし(CL)、ハギ(SL)、つかみ、セキモト(記録)

いよいよ来た夏休み。台風の影響を心配していましたが、結果とても良い沢旅となりました。渡渉、巨岩が連続する水量の多い沢で、沢登り3回目の私はおっかなびっくりのスタート。エメラルドグリーンの川と奥深い緑に癒される良い沢でした。

8/10

6:34 開始

取り付きより打込谷までは、泳ぎの連続の沢ですが、高巻きで打込谷へ行きそこから入渓するコースを取りました。

長い林道歩きの始まり

7:32 第二ゲート
8:13 崩落地

かなり大きな橋が巨岩で押しつぶされています。自然の力ってすごいですね。

崩落地

9:00 分岐

分岐を広川原方面へ進む、そのあと道沿いにいくがなぜか道が見つからない。
右岸をトラバースする踏み跡があるようだが、結局藪漕ぎを20 -30分ほど行うことに、無事不明瞭な道を脱して打込谷まで林道をひたすら進む。リーダーがしっかりリカバリー、全体的に初心者に合わせたペースで進んでいただきありがとうございますm(_ _)m

広川原方面へ

13:15 入渓

打込谷より入渓。台風の影響もあるのでセンズ谷まで進む予定。ひたすら川の中を歩き、渡渉、ヘつり、泳ぎの連続。特に危ないところは無いが、川底にぬめりがあり注意しながらの歩きとなる。

遡行開始
渡渉の連続

14:30 テン場

センズ谷までの予定であったが、夕立がきて増水するとまずいので、打込谷との中間地点で一泊。河原も見渡せる良いテン場であった。つかみさんが絶品カレーライスを作ってくれ、心配していた雨もなく良い初日で終了する。
(写真なくごめんなさい!)

1日目のテン場

8/11

7:30 開始

2日目も良い天気。引き続き、水量は多いが、台風や夕立の影響はなく良い感じでのスタート。2日目も気を引き締めて、天候がどうなるか、わからないのでできる限り先に行きたい。

2日目も良い天気
引き続き水量多し

12:13 センズ谷

遡行図で言うセンズ谷(違うとの噂も..)を越えたあたりの河原が素晴らしく綺麗でした。とても気持ちよく青空に映え見入ってしまう風景です。こういった場所に出会えるのは沢ならではですね。

気持ち良い河原
センズ谷前

14:10 熊のテン場

雲が出て来て、川下から風が吹いてくる。2日目は天候が崩れる予定だったので、用心して早めにテン場を探す。蓮華谷と抜戸沢の間で、増水しても問題なさそうなテン場を発見。ただ良く見ると、熊のフンがあちこちに… 近くに巣穴になりそうな洞穴も。少し怖いが、爆竹や笛を鳴らし泊まることに。一旦決心してしまうと熊のことは忘れ快適に過ごせました 笑。

2日目のテン場

8/12

7:00 入渓

雨を心配していましたが、昨晩も降られることはなく天気が良いまま3日目を迎える。

小滝が連続するが、特に怖いとこはない。一部ゴルジュ部分があり、ヘツリやお助けロープを出しての遡行となる。大きな岩は、背丈があるので越えられるが、ヘツリやホールドがない部分では、歩き方が重要と常々感じた。前をいくハギ先輩の動きにクライミング慣れしてると感心。まだまだ修行だな…と考えている時にドボンと川へ 笑。下流以外は、流されても安心な沢だったので大滝のある沢と異なり、気は楽に過ごせました。

巨岩を進むリーダー
続くメンバー

8:47 最後の二股

源頭部に近づくにつれて、いよいよ水はなくなっていく。藪漕ぎもなく気持ちが良いまま最後の登りを詰める。

最後の登り

11:28 双六前休憩

双六小屋までの道が美しい。

双六テント場に続く道
遡行終了

14:20 双六小屋

沢登りは終了。時間があるので空身で双六岳山頂まで。天気は悪く槍が岳は見えなかったが、無事登頂。

14:58 双六岳山頂

15:55 双六小屋

双六小屋に戻り、昨日あまりにも寒かったので贅沢し山小屋で一泊+
ビール三昧となりました ^^。

双六小屋で1泊

8/13

6:12 双六小屋

夕食、朝食ともに美味しかったです。

朝ごはん

素晴らしい天気の中、ゆっくりと下山。

7:33 弓折岳

槍から大キレット、滝谷、穂高、ジャンダルム、焼岳まで全て見渡せ素晴らしい天気。

8:16 鏡平山荘

鏡平小屋からの1枚は良い写真になりました。

鏡平より

10:29 ワサビ平小屋

途中のワサビ平小屋で、そうめんを発見。我慢できずに迷わず注文。
美味しかったです。

わさび平小屋で

11:25 新穂高ロープウェイ

11:30で登山終了。

【雑感】
初心者の私にとって、歩き方、ロープワーク、読図と学ぶことが多くとても実りのある沢旅になりました。リーダーには、ペースや増水の危険を考えながら、常に注意を行いつつ気を配っていただき感謝です。ハギさん、つかみさんにはロープの結び方や足の置き方など基本的なことを教えていただきありがとうございます。今までは一般縦走が中心でしたが、今後、山やバリエーションにも楽しんでいきたいです。山岳会に入り始めての夏休み、みなさんと色々な話もでき有意義な時間でした。

双六谷とても綺麗で思い出に残る沢旅になりました !
(記録:セキモト)

滝谷クラック尾根(無雪期)

2019/8/10(土)〜8/12(月)
メンバー:こば(L)、うえ(記録)
ギア類:(2人あわせて)
ダブルロープ:2本、ヌンチャク:9本、キャメロット:#0.3〜4×1ずつ、#0.75〜2×さらに1ずつ、その他個人装備:クライミングシューズ、カラビナ・スリング等

8/10(土)

5:40上高地〜8:05横尾〜9:05本谷橋〜10:45-11:45涸沢〜14:30北穂テント場〜15:10山頂

前夜の渋滞がひどく、沢渡駐車場に到着したのは深夜1:30頃だったが、翌朝はタクシーにすんなり乗れて、幸運にも5:30前に上高地入りすることができた。
寝不足の目をこすりながらも、横尾までは快調に進んでいく。
この日はとても天気が良く、本谷橋の前後からは暑さと寝不足に苦しめられ非常にしんどい登りになってきた。
息も絶え絶え涸沢に到着すると、生ビールを美味しそうに飲む人たちを尻目に、我々はソフトクリームで大休憩をとる。
涸沢から日帰りでアタックする手もあるのだが、明日の朝、なる早で取り付きたいので、根性で北穂まで登らなければならないのだ。
私は初めて北穂を南稜登山道から登ったのだが、急傾斜と灼熱の日差しでヘトヘトになってしまった。こんなに疲れて明日は大丈夫なのだろうか…
登山道の途中で、長野山岳警備の方からクラック尾根の最新の写真を見せてもらった。真新しい崩壊の後が見えたので心配していたが、北穂小屋の方に聞くと「今シーズン何パーティも登っているので問題ない」とのこと。
これで逃げ場はなくなった…
B沢下降点の偵察を済ませて小屋に戻る時、あまりの疲れから登山道をよろよろ登っていたら、小屋のお客さんから「あとちょっとだ!頑張れ!」と声援を頂いてしまった。大キレットを縦走して来たと思われたようで、縦走もしてないのにヘトヘトな自分が恥ずかしかった。
北穂の夜は満点の星空で、薄手のダウンと夏用シュラフでは結構寒かった。

8/11(日)

4:50B沢下降開始〜6:00登り返しfixロープ〜6:30取り付き〜8:50旧メガネのコル〜9:15ジャンケンクラック取り付き〜11:50大テラス〜12:30登攀終了〜14:20下山開始〜16:05涸沢テント場

【アプローチ】
3:00起床、3:40出発で、昨日確認したB沢下降点に向かう。
B沢下降点は北穂小屋から大キレット方面に少し下り、1つめの鎖&鉄梯子の下に×印が連打されている岩が見える。近づくとと「B沢入口」の文字があるのですぐわかる。

B沢への目印は連打された×印
B沢入口

装備を準備しながら日の出を待っていたら、手練れ風の4人パーティが来たので先を譲る。我々は明るくなってからスタートした。
B沢の恐ろしさは様々な記録で読んでいたが、まさに岩の墓場だ。
足元の岩は何一つ信頼できない。壁沿いの岩は比較的マシなので、右に左に側壁を伝いながら慎重に降りていく。

B沢の下降。慎重に下っていく
巨大チョックストーンを振り返って…

途中2箇所、残置ハーケンを使って懸垂した。
1つめは落ち口の左岸寄りをクライムダウンできる気もするが、落石必至なので大事をとった判断となった。
我々の後にもパーティが続々とやってくる。出だしの急な部分や、小ギャップを下る部分はどうしても落石を起こしてしまうので、十分に距離をとったり声を掛け合うなど注意が必要だ。

1時間少々降りたところで、左岸側壁にフィックスロープと足用のボルトが打ち込んである登り返しポイントに到着する。

FIXロープと足場用ボルト

表皮が傷んだロープにヒヤヒヤしながら2段登ると、右奥にペツルボルトの懸垂支点がある。ここを「斜めに懸垂しながらバンドに降りる」と先行記録で読んでいたのだが、実際は思いっきりトラバースしながら降りていくイメージだった。

2段目はFIXロープが切れているのでフリーで登る
ボルトの懸垂支点
バンドを目指して斜めに懸垂

斜上するバンドに降りて、その上の草付きの踏み跡を登っていくとクラック尾根の取付きテラスに到着する。
記録で見た「↑クラック」という文字は消えていて見つからなかった。

踏み跡を登ると取付きテラス

【1P目】(リード:こば)
凹角を登り少し進んだところで、残置ハーケンが固め打ちされているフェイスの前でピッチを切る。
トポの40mという記述よりは短めの印象だ。

1ピッチ目

【2P目】(リード:うえ)
ビレイポイントのあるフェイスをややトリッキーなムーブで上がった後、リッジに上がる場所を探しながら、左奥に回り込んでしまった。
回り込んだ突き当たりのフェイスには残置ハーケンが連打されていて、誰かがこのフェイスを登ってリッジに上がった様子を物語っているが、どうにも難しそう…。トポの記述は「やさしいリッジ」なのでどうも間違えたようだ。
ひとまず突き当たりのフェイスの残置ハーケンでピッチを切り、こばさんに登って来てもらった。ここで右往左往したせいで弛んだロープが浮石に引っかかりB沢に落石してしまった。人がいなくて本当によかった…。

2P目のはじめ

【3P目】(リード:こば)
こばさんにも様子を見てもらったが、ここからリッジに上がるのは厳しそう…ということで、間違えた場所まで戻ることに。
リッジを回り込む手前のフェイスで、ピナクルを使ってビレイポイントとした。
後続パーティはここで1P目を切っていた。

【2P目・やり直し】(リード:うえ)
ハンドサイズのクラックを利用してフェイスを登るとリッジにでる。「やさしいリッジ」を登りきり大きなピナクルに登ると、旧メガネのコルだと思われる崩壊地帯が見下ろせる。ロープ長は約40mほど。
トポではこの手前でピッチを切ってから3P目でピナクルの右を回り込むようだが、私はこのピナクルの上で残置ハーケンを利用してピッチを切った。

やさしいリッジからピナクルを見たところ

【3P目・やり直し】(リード:こば)
ピナクルからコルへクライムダウンして、崩壊したナイフリッジを渡り対岸の壁を1段登る。今年崩壊が進んだと思われる真新しい白壁の前まで。ここの崩壊地はかなり脆くて、私は巨大落石を1尾根とクラック尾根の間のルンゼに落としてしまった。反省。

P3終了点は崩壊壁の前。上部には4P目のワイドクラックと5P目のジャンケンクラックが写っている
崩壊の様子

【4P目】(リード:うえ)
簡単なハンドクラックを1段上がると、次はV級のワイドクラックだ。
フットホールドが乏しいのだが、クラックの中のガバを使いながら少しずつ足を上げていき、チョックストーンを思いっきりひっぱって腰をねじ込み、なんとか安定した体制に持ち込んだ。面白いピッチだった。
その後、突き当たりのジャンケンクラック取り付きでピッチを切った。
写真で見ただけではジャンケンクラックの左右が同じ1枚岩にあるのだと思っていたが、実はワイドクラックのある右の岩の奥に、左クラックのある岩が重なっている構造だった。

【5P目】(リード:こば)
ルート中の核心と言われる、ジャンケンクラック左(V)を登る。
右のクラックは近づいてみるとオフィズスっぽいワイドクラック。
楽しい難しさでなく、苦しいになりそうだったのでここは左を選択したそうだ。
クラックはゆるいフィストでジャミングが効きづらい。右横の細いクラックに右手を引っ掛けながら、クラックと両方使いながら登った。残置ピトンが多く、ここではカムは使わなかった。
クラックはすぐに終わり、右のオープンブックのコーナー(IV)に戻るために、わずかなフットホールドで慎重にトラバースする。ジャンケンクラック自体よりもこのトラバースの方が難しかった。

5P目のジャンケンクラック

トポではコーナーを登り切って、少しフェイスを登ったあたりでピッチを切るようだが、こばさんはその先の脆い凹角を越え、さらにルンゼを少し登った次のフェイスの前でピッチを切った。

つなげて登った脆い凹角。本来は6P目か?
5P目終了点のあたり。槍がよくみえる
絶景

【6P目】(リード:うえ)
左に回り込むラインもありそうだったが目の前のクラックが走ったフェイスを登る。トポには特に書いてないのだが、私にはかなり厳しく、V以上ありそうな印象だった。
正面のクラックの中の残置ハーケンにヌンチャクをかけて右横にカムをきめたあと、「あーでもない、こーでもない」ともがく私に、こばさんから「代わろうか」の一言。
「チョンボします」と、諦めた私はヌンチャクを鷲掴んで体を持ち上げ、なんとか届いた左手のガバカチに体重を預けて登り切った。(ここ、実はとても面白そうでやりたかったあ:こば)

6P目登り出しのフェイス。写真では分かりにくいが、上部が苦労したクラック。

リッジにあがった後はガラガラのルンゼを左手に見ながら、ルンゼが切れる突き当たりをめざし斜めに降りた。
トポではルンゼが80mと書いてあったのでかなり悩んだが、リッジの右を覗き込んだら断崖絶壁だったので消去法で正しいと判断し、ルンゼの突き当たりの階段状を少し登ったところ、巨大な平たいチョックストーンの下でピッチをきった。 ロープ長は40m以上だったように思う。

ガラガラのルンゼを上から見た写真

【7P目】(リード:こば)
チョックストーンの左下を回り込むように登ると再びガラガラのルンゼが繋がっていた。トポの「ルンゼが80m」の記述はチョックストーンの上下を合わせたものだったようだ。
左壁に沿って気をつけて進みながら、ルンゼの行き止まりの大テラスでピッチを切る。

7P目出だしの巨大チョックストーンを下から見たところ

【8P目】(リード:うえ)
大テラスの奥側も登れそうだったが、一段上を少し戻ったところの凹角から登った。
傾斜はゆるく登りやすいのだが、すべての岩が動くので上から押し付けるように慎重に登る。

8P目草付き混じりの凹角

凹角の頂上のピナクル目指して登りきると、登山道が間近に見えて驚いた。トポではもう1pあるはずなので嫌な予感はしたのだが、そこから右に方向転換して踏み跡を上がっていくと、北穂小屋の20mほど下、大キレット登山道のすぐ横にトップアウトしてしまった。
右手奥を覗くとトポの最終ピッチであると思われるバンドが見えたので、凹角の途中でピッチを切り、壁を直上してバンドを左上するのが本来のルートだったのかもしれない。
最終ピッチが無くなってしまったことをこばさんに謝って、周りの登山者の目に照れ臭さを感じながらカムで支点構築して、こばさんに登って来てもらった。

小屋を少し大キレット側に降りたところにトップアウト

スッキリしないトップアウトではあったが、無事に登り切ることができたことは本当に嬉しい。
行動中はほとんど補給をしていなかったので、登攀が終わるとそれまでの疲れがどっと出てきた。
北穂小屋でカレーを食べてひと休みしたのち、急いでツエルトを撤収し、ヘトヘトになりながら涸沢に降りた。
お盆の涸沢は大盛況で、生ビールも名物・手作りおでんも売り切れだったが、缶ビールとレトルトおでんで祝杯をあげた。
涸沢の夜は北穂に比べてかなり暖かかった。

8/12(月)

5:00起床〜6:20出発〜10:30上高地下山

赤く染まる奥穂を眺め、美しい涸沢を堪能したのち足早に下山。
この日も日差しが強く、標高を下げるにつれてどんどん暑くなっていく。
徳沢園のコーヒーフロートがとても美味しかった。
そして観光客で賑わう上高地に無事に下山した。

今回、憧れの滝谷を登るという非常に得難い経験ができた。
こばさんはドーム中央稜を登った経験があるが、私にとっては初めての滝谷だった。
ボロボロとした岩壁に囲まれた薄暗い谷間。ルート上のどこにも確実なホールドがない緊張感。
そして近くに大キレットや、高度をあげると槍を眺めながらクライミングできる素晴らしいロケーション。
滝谷らしい、大きな充実感を得ることができた。
ただ一つ心残りなのは、結局私にはクラック尾根の全貌がよくわからなかったこと。
進むべき方向に確信が持てないので、途中に乱打されている残置ハーケンに随分惑わされてしまった。
お隣の1尾根は山頂から1枚のひだが綺麗に伸びるように見えるが、クラック尾根はいくつかの尾根をつなげ、弱点攻略しながら登っていくルートなのでは…と、こばさんの言。
たしかに…
今回の経験をプラスにして、今後の山行に生かしていきたい。

最後に、いつも先陣をきって導いてくれたリーダーに感謝!