三ッ頭~権現岳~編笠山
・時期:2014.1.11(土)~2014.1.12(日)
・メンバー:けんた(L)、カト(記)
・行程:
(1日目:1/11晴)
新宿8:00(スーパーあずさ5号)小淵沢9:53/9:57-10:13甲斐大泉(タクシー)天女山入口10:40-天ノ河原12:00-2,000m標識14:00-前三ツ頭15:30<幕営>CT4:50
(2日目:1/12晴)
前三ツ頭6:10-三ツ頭8:00-権現岳9:30-権現小屋9:40/10:40-青年小屋12:00-編笠山12:30-雲海14:00-富士見平14:30-観音平ゲート15:20 CT9:10
・記録:
-まとめ・感想-
3年ぶりに雪の権現岳を堪能しました。また、編笠までの縦走は初めての経験でした。三ッ頭から権現岳まではトレースなし、深いラッセルでルートファインディング、体力など技量を試される山行でした。計画どおり無事下山できたことはけんたLの判断、リードのお陰だと感謝しています。
権現から三ッ頭に延びる稜線途中から西側稜線へのトラバース斜面は3年前に出ていた岩稜帯が雪で隠れ深い雪面となっていてルートの選択が難しかった。もっとも雪面はどこでもルートになるので自分たちの力で行けるルート選択が適切だったと考えるしかない。
権現岳直下西斜面岩稜帯の誰もいない荒涼とした世界を二人だけが独占したのは勿体ないほどでした。降雪量は3年前の同ルートと比べて倍はあった感じです。
11日富士見平から入山のいたさんを隊長とする女子隊4名と権現小屋手前のやせ尾根でケッチボーし笑顔で握手。お互いの健闘を称え合い、山の仲間っていいなあと感じた瞬間でした。
(1日目:1/11晴)
甲斐大泉で下車し観音平ゲートまでタクシー。1,000円弱。雪は多く私はアイゼンを履く。けんたLはつぼ足。3年前の車道歩きは雪がなかった。左の斜面の天女山登山口
標識を入る。踏み跡はあまりなくオートモービルらしい跡を辿るが潜るので二人でワカンを履く。しばらく歩くとまた天女山への標識がある。左にカーブすると天女山だが踏み跡らしきものは真っすぐあるので辿る。車道にぶつかり、突っ切って斜面をいくとラッセルになるので車道を歩く。つきあたりが天ノ河原。どうやら天女山を巻いてショートカットしたらしい。
天ノ河原から前三ッ頭までは一本道だが2,000m標識から尾根に上がるまでの急登は厳しい。予定どおり前三ッ頭の稜線にテントを張る。本当は樹林帯に張りたかったが適当な場所がない。翌朝の確認で分かったことだがもう15分歩けば三ッ頭樹林帯入口にテントを張った跡らしきスペースがあったが後の祭りだ。
今回はけんたLにおんぶに抱っこで共同装備のテント、フライを担いでもらい、私はポールだけで登攀道具もなく荷が軽い。いつものマッカランは100cc程しか在庫がなかったので家の冷蔵庫からくすねたビール2本を持参する。初めての持参ビールで乾杯。けんたLは水2Lを担いできた。晩飯はけんたLのビーフシチュー。牛肉は高級らしく柔らかくうまい。ウイスキーではもったいなく赤ワインが欲しかった。19:00頃寝る。風が強く眠れない。フライがポールから外れることが心配でけんたLがトイレで起きた際に見てもらう。私はトイレタイムの2度と未明で1度確認する。
(2日目:1/12晴)
4:00起床だが私はけんたLに20分過ぎて起こされる。朝飯は私のにゅう麺。家で炒めてきた鴨肉とマイタケ、麺つゆを入れて出来上がり。簡単で美味くできたと自画自賛。
6:10出発。まだ暗く星がきれいだ。風は強い。微かな踏み跡を辿る。昨日11日に下山する人と結構出会った割りにはトレースは明確でない。風に飛ばされたせいだろう。三ッ頭でテントをたたんでいる単独者がいる。昨日権現から赤岳に縦走予定がラッセルで疲れて幕営したとのこと。ここまで踏み跡をつけてくれた彼に感謝し先に行く。いよいよ本格的なルーファイとラッセルの開始だ。三ッ頭からは基本的には稜線通しだが一
部巻くなどけんたLのルーファイが光る。権現岳から三ッ頭に延びる稜線は写真ごとく雪庇は心配ないのだが実際は近視眼的で雪庇が気になりどうしても斜面側を歩くので股下くらいのラッセルを強いられる。極力ハイマツや木の上を狙うのだが簡単ではない。ラッセルを交代しながら登る。稜線の中ほどでルートを相談する。私は相談した場所からバンド状に見える斜面をトラバースして西側尾根に出ている3つ目の大岩下に出ることを提案するが、けんたLは稜線直上か西側尾根に出ている2つ目の大岩下を左上することを示したのでLに従うことにした。けんたLに先導してもらう。少し登ったところで私は稜線直上の岸壁乗越は無理であり、また、左上も尾根への取付きが急雪壁で無理と考え水平に行くことを再提案する。けんたLは納得してくれて3つ目の大岩上を狙いトラバースする。実は先に相談した際、私の提案を受けて欲しく暗にほのめかしたがけんたLは自説を譲らなかった。リーダーの資質として私は「頑固さ」と「君子豹変さ」が必須条件だと考えている。けんたLがこの二つを持ち合わせていることが分かって嬉しかった。私は優柔不断、判断力ゼロで尻馬に乗る方だが、けんたLは社会でもきっと良きリーダーになることだろう。
トラバースは止むを得ないこととして、一番恐れたのは雪崩だ。股下まで入るので滑落の心配はない。私は足元と上に注意しながら慎重に行く。2つ目の大岩下まで数本ある大きな木の上に乗るとホッとした。西側稜線に出ると一面荒涼とした岩稜帯。権現Pが視野に入る。少し上に上がると権現小屋が見える。私たちを追ってきた単独者はトラバース斜面約30m後を追ってきたが西斜面の岩稜帯では見えなくなってしまった。どこに行ったのだろうか。雪崩れた音はなかったと思う。西斜面を権現小屋にトラバースするのは馬鹿げている。摩訶不思議。稜線へはジグザクにルートをとる。けんたLが少し遅
れるので「大丈夫か」と聞くと大きな声で「大丈夫」と返ってきたので安心する。稜線に上がり突きあたりが権現頂上を構成する切り立った岩場。直下に小さな祠があり一礼して左の3m程の岩を乗超す。上がるとバンド状の回廊があり頂上に続いている。けんたLは冬の権現は初めてだと言うので先に劒のある頂上に行ってもらう。3年前は前三ッ頭から権現まで約2時間行程だったが今回は3時間20分もかかった。条件によって山が異なることを再認識させられた。
権現小屋で昨日青年小屋の冬季小屋泊の方に女子4人組の所在を確認するがないと言う。けんたLは予備日を使うので青年小屋まで荷上げせずに途中で幕営しているのではないかと推測する。その読みは当たっていた。10:10の交信で権現小屋が見えるところにいると言う。良く見るとギボシの向こうの稜線に4人組が見えるではないか。権現小屋前のやせ尾根で合流。ケッチボーをして笑顔
で握手を交わす。ここだけ風がなく陽だまりの感じ。聞くと押手川に幕営して空身で今朝登ってきたと言う。女子隊の皆さんは皆元気一杯。本日はもう1泊して祝杯を上げるとのこと。酒とつまみが残っていたら押手川のテントに置いていって欲しいと頼まれたが飲兵衛の私には無理な相談だ。けんたLは酒がほんの少し残っているがザック奥深くだと言うので勘弁してもらって押手川のテントを素通りした。それよりけんたLは行動食が尽きてしまいシャリバテになっていたようだ。非常食用に持参したという乾燥米をぼりぼりと食んでいた。
編笠山からの下山ルートが分かり難かった。観音平方面の標識方向にいくと踏み跡が途切れラッセル状態になるのでおかしいと思い頂上近くに上がりトレースを確認。夏道から外れて左斜めに雪面を下って樹林帯の夏道に入っていた。登る人にとってはこのほうが傾斜が和らいでいいのだろう。雲海からは観音平方面はパスして富士見平ルートをとる。車道への近道だ。車道に出て30分で観音平ゲートに着くと思っていたが40分近く歩いた。いつもながら下山の最終章での車道歩きほど厭なものはない。
小淵沢駅近くに有名なうなぎ屋があるので時間があれば寄って腹を満たしたいと思いタクシー運転手さんに聞くと夕刻営業は17時からで15:30頃の今頃は休憩だろう、とのことで断念する。駅に着き16:35発あずさ乗車まで時間があるのでそばを食う。けんたLはそば+お稲荷1個、車中用の駅弁、ビールを買い込む。私は白ワインボトルと白州ミニボトルを車中用とした。電車に乗り込みまず白ワインで乾杯。新宿近くなってけんたLのビールで最後を締めた。
雪山らしバリエーションを経験し、ラッセルなど厳しい面はあったが天気に恵まれ楽しさのウエートが高く記憶に残る山行であった。