剱岳 八ツ峰Ⅵ峰~本峰~早月尾根

●日程: 9月21日~9月23日
●剱岳: 八ツ峰Ⅵ峰~本峰~早月尾根
●メンバー: 笹田(L)・カトー・サブ・sa山・かおり(記)

9月20日 夜10時 月夜 
(竹橋:毎日新聞社集合)

夜行バスの集合場所へ向かい地下鉄を乗り継いだ。今回こそ忘れ物大王の汚名を返上するため、持ち物は二度三度と確認した。不安はいっぱいだが気分は上々である。
が!!竹橋の改札で切符が無い!確かポケットに入れたハズ・・・メトロの駅員さんの前で大きなザックで改札口を占領し、無くした旨を必死で訴えた・・・しぶしぶ再度、運賃を払おうとした私に早く改札の前から退いて欲しかったのか、注意のみで改札を出してくれた。地下に居ても今宵の月のように明るい社員だ。
バスの受付はカトー氏が滞りなく手配を進めてくれ、いざバスへ乗り込む。翌日のことを考えなるべく就寝を心掛けるが、やはりバスでの移動は窮屈だ。隣席では酔っ払いsa山氏の相手をサブちゃんがしている。脱帽。

9月21日 はれ ☀ 
(室堂~雷鳥沢ヒュッテ~剱御前小舎~剱沢雪渓~長次郎出合~熊の岩)

8:00頃 室堂に到着。
8:40  室堂出発。
晴天の連休初日で、登山客や観光客で賑わっている。みくりが池温泉経由で雷鳥沢へ下る。
雷鳥沢より、新室堂乗越経由で剱御前小屋を目指す。途中尾根に上がったところで休憩する。槍や石川県の白山・富山市内まで見渡せる。秋の台風シーズンでこんなに天気に恵まれるとは!
11:10 剱御前小屋着。所々紅葉しはじめていて岩と雪に黄や紅が混じる。
12:15 剱沢小屋着。軽アイゼンをつけて剱沢雪渓を下る。この時私は、4本爪の軽アイゼンで四苦八苦する。

今年四月のマチガ沢雪訓で熊と遭遇した際、笹田氏が「アイゼンに雪が団子上に付き高下駄で滑った」と言っていた。私は驚いて腰を抜かしたのだと思っていたが、今回自分もアイゼンに雪が団子状に付き、あまりに滑るので、ようやくあの時の台詞を理解した。次からは人の言葉を素直に信じると共に6本爪の軽アイゼンを持参したい。

この時アイゼンが外れて真横についていた。アイゼンの意味が全く無い・・・
この時アイゼンが外れて真横についていた。アイゼンの意味が全く無い・・・

13:30 長次郎出合から長次郎雪渓を登る。
晴天に加え、他のパーティもあまり会わず絶景を独占しているようだ。

絶景!長次郎雪渓。しかしここからの登りがキツかった~
絶景!長次郎雪渓。しかしここからの登りがキツかった~

出合から、熊の岩の幕営地まで小休憩をはさみながら高度を上げていく。私は慣れない雪渓歩きに四苦八苦。他のメンバーはさすがベテラン、顔色変えずに黙々と登る。

足の短い私は冷や汗をかきながらクレパス越え。前のカト氏から「ザイル出そうか?」のお声あり・・・
足の短い私は冷や汗をかきながらクレパス越え。前のカト氏から「ザイル出そうか?」のお声あり・・・
笹田氏同じくクレパス越え。足の長さはあまり変わらない様な気がするが安定感が違う…
笹田氏同じくクレパス越え。足の長さはあまり変わらない様な気がするが安定感が違う…
ちょっとゾクっとするシュルンド。腰が引けている私とカタギには見えないカト氏
ちょっとゾクっとするシュルンド。腰が引けている私とカタギには見えないカト氏

16:00 熊の岩到着!!
北穂のテン場でも非常に感動したが、熊の岩はまた格別。一般登山客がいない事や雪渓を越えてきた充実感も相まって、ここに来たことの優越感・満足感がヒシヒシと込上げる。

大変な思いをしても行く甲斐有る熊の岩。サブちゃんは3年越しの思いが叶ったらしい
大変な思いをしても行く甲斐有る熊の岩。サブちゃんは3年越しの思いが叶ったらしい

隣のテントの女性とカトー氏・笹田氏がなにやら楽しげに会話していると思ったら、どうやらガス缶を忘れて来たパーティだったらしい。私たちは各自1缶持参しているので、心優しいサブちゃんがガス缶を分けてあげる。
サブちゃんの手料理と剱沢小屋で仕入れたビールとsa山氏が担ぎ上げた富山名物昆布シメで入山祝い。早々に就寝。
深夜 月が明るく雪渓に反射してヘッドランプが不要な程。

9月22日 はれ ☀
(熊の岩~八ツ峰Ⅵ峰Cフェース~熊の岩~左俣経由長次郎のコル~剱山頂~早月小屋)

3:30起床 壁に一番で取り付くため早くに起床。カトー氏の豪華朝食を食し、準備へ。
カトー氏の食事を初めて食べたが、豪華で海抜0m地帯でも味わえない食事を2500mの高地で頂く。
5:00出発。アタックザックのみで、目前に迫る八峰Ⅵ峰Cフェイスへと向かう。
雪渓をトラバースして取り付くため、笹田氏が自分の6本爪のアイゼンを私に貸してくれる。寛仁大度。
私が、雨具が見つから無くもたもたしている間に笹田氏はノーアイゼンで軽々雪渓をトラバースしCフェイスへ先に到達。カトー氏を先頭に残るメンバーで取り付きへ。

暗い中Cフェイスまでの取り付き。雪渓に続きガレ場で登攀前にヘロヘロ…
暗い中Cフェイスまでの取り付き。雪渓に続きガレ場で登攀前にヘロヘロ…

先に到着していた笹田氏が私の雨具をそっと差し出す。あれだけテン場で探していたのに無い訳だ!
しかし軽アイゼンを借りているし、これから壁に登るし・・・私は苦情を飲み込んだ。くぅ~

私の写真がイマイチなのは、常にカッパがはみ出てるせいなのでは…?
私の写真がイマイチなのは、常にカッパがはみ出てるせいなのでは…?

さて壁に取り付くぞ!との段でカトー氏、フラットソールが無いと騒ぎ出す。穂高で登攀具を忘れた私が言うのもナンですが『何しに来たんだ・・・』
しかし、さすがカトー氏!この位の壁ならクラッシックスタイルの登山靴で登ることにする。
あらためて、壁に取り付く段で今度はサブちゃんが腹の不調を訴えた。早朝の爽やかな八ツ峰Ⅵ峰Cフェイスでサブちゃんマーキング。その間にカトー+sa山ペアが先行して登る。
ザイル分け : カトー+Sa山 / 笹田+サブ+かおり
1ピッチ目:サブちゃんリードで登る。グングン行く。後で聞くと、ハーケンが見つけられず探した~とのこと。
灌木や小石があって、後続に落とさないように注意した。笹田氏が最後。

1ピッチ目サブちゃんリード。腹を下していたとは思えない見事なリード。
1ピッチ目サブちゃんリード。腹を下していたとは思えない見事なリード。

2ピッチ目:サブちゃんリードで登る。ハイマツの間を登り、右に緩やかに折れて、終了点へ。
ザイルが支点にかけたシュリンゲに巻きつき、引き上げるのに苦労。サブちゃんの腕力をもってしても、かなり苦戦していた模様。「ザイルを2本引き上げるので進む方向と交錯しないように支点を取らないといけないね。」とサブちゃん談。また一回り大きくなった彼女を見た。
3ピッチ目:サブちゃんリードで登る。ここから他のパーティと入り乱れるようになり、経験の少ない私はかなり焦る。笹田氏が冷静に指示してくれるが、他グループのザイルが顔に当たったり、急かされているような感じがあったりで小心者の私は右往左往。リッジ手前のビレーポイントまでたどり着く。
4ピッチ目:なんと私が外岩初リード。3ピッチ目でビビりまくっていた私は、笹田氏の「行け」という言葉に声もなく従う。ここは、高度感のあるリッジをへばり付くようにして、なんとか渡る。ザイルは2本引かずに1本で行ったが、途中からザイルが動かない。どうやら、私たちのザイルが後続のパーティの人に引っかかっていたらしい。支点は見つからないし、ザイルは重いし、高度感抜群だし、先行のカトー・sa山コンビはアドバイスが正反対の事を言っているし・・・大変なリードデビューだった。しかし、終了点についてサブちゃんをザイルで引いた時感動が込上げてきた。サブちゃん・笹田氏は余裕のリッジ越え。

4ピッチ目のリード!後続の人にサイルが絡んでこんな所で前に進めないなんて~
4ピッチ目のリード!後続の人にサイルが絡んでこんな所で前に進めないなんて~
さすが人気ルート写真で見ても入り乱れている。サブちゃん笹田さんは余裕。
さすが人気ルート写真で見ても入り乱れている。サブちゃん笹田さんは余裕。

5ピッチ目:私がリード。4ピッチ目を考えると、簡単で登りやすかったが、他グループのザイルが交錯していて、どう対処していいかわからなかった。Cフェイスの頂上で交錯してしまったザイルの主に謝ると、なんと昨日テン場でガス缶を分けたパーティ。「気にしなくて良いから、ビレー点まで来い」とのお言葉。8:00Cフェイスの頭完登。

ザイルをまたいだ証拠写真。しかし、ガス缶の恩があり笑顔で完登を祝ってくれた
ザイルをまたいだ証拠写真。しかし、ガス缶の恩があり笑顔で完登を祝ってくれた
完登!ポチっ。
完登!ポチっ。
秘境!熊の岩。
秘境!熊の岩。

懸垂を2回して雪渓までクライムダウン。例えようも無いくらい美しい景色だが、やはり下りは怖い・・・
9:00  熊の岩着。テントを撤収して、剱岳本峰へ向かう。
10:15 熊の岩出発。左俣を登る。が、大変岩が崩れる場所で一歩すすんで3歩崩れるような場所で、非常に疲れる。隊の先頭はサブちゃんで、真下に居る私に岩を落とさないように慎重に歩いてくれる。私はカトー氏にボロボロ落とすが・・・
長次郎のコルに向かい登るが、踏み跡をたどれ!との先輩方の指示にサブちゃん少々プチキレて「目指すコルはどれ?!」と真正面にある不動のコルを見失っていた・・・それもこれも足場が非常に悪いせいである。
Sa山氏を先頭に岩壁にへばりつくように長次郎のコルを目指す。私の後ろはカトー氏が守りを固めてくれているので安泰。横をみると笹田氏がマネの出来ない足さばきでガレ場を登っている。
11:45 長次郎のコル着。疲労困憊でコルに到着。

長次郎のコルから頂上へ。カト氏快心の笑顔だが直後に足の不調を訴えている。我慢の人
長次郎のコルから頂上へ。カト氏快心の笑顔だが直後に足の不調を訴えている。我慢の人

12:10 剱岳頂上到着!なんか色々ありすぎて、頂上へ着いたのに感動が薄い・・・

剱岳山頂 お社が無く、アイテムを集めての記念撮影
剱岳山頂 お社が無く、アイテムを集めての記念撮影

12:40 山頂を出発し、早月小屋までの下りに入る。これが長いこと急なこと!
16:00 早月小屋到着。Cフェイスの頂上に着いた時より、長次郎のコルを抜けた時より、剱岳山頂へ到着した時より、小屋に着いたときのほうが感動するとは・・・恐るべし早月尾根・・・宴会後就寝。

9月23日 はれ ☀ 
(早月小屋~馬場島 上市→富山→越後湯沢→都内帰宅)

4:30 起床。笹田氏の洋風朝食。オートミールなるものを人生で初めて食す。甘くて美味い。
6:00 早月小屋出発。またしてもひたすら急な下りで、昨日の筋肉痛にひびく。
10:00 馬場島到着。たいへん美しいキャンプ場でタクシーの到着までゆったりとした、ひと時を過ごす。
ヤマボウシなる木の実を教えてもらうと、カトー・sa山両氏は子供のように狩りに出る。元気だ・・・

コメント:サブちゃん「裸足の富山猿」
コメント:サブちゃん「裸足の富山猿」

富山で白エビを食べ、電車内で宴会し帰路へ。
最後に、天気に恵まれ初リードをさせて頂き有意義で楽しい時間を過ごせたのも、メンバーの皆様のおかげだと感謝しています。機会損失を掲げ強引に誘っていただいたsa山氏にも感謝。


感想:カト

劒岳長次郎谷、八ツ峰Ⅵ峰は思い出の地だ。山を初めて2年目の2008年夏に「劒岳 点の記」を読んで感動したことを笹田さん話したところ「行こうか」と言って素晴らしい世界を体験させてもらったところだ。別世界を垣間見て山にはまり込んだ特別の地。もう2度目はないだろうと思っていたが幸いにも今回思い出の地を踏むことができた。

熊ノ岩からの八ツ峰は本当に素晴らしい。シャモニーから見たアルプス針峰に匹敵すると思うのは独りよがりか。

5年前は共同装備をメンバーに担いでもらい今思えば身軽で臨んだがそれでも長次郎雪渓はヒーヒー言っていた。今回はリーダーの笹田さんに特にお願いして自分のSザイルを担がせてもらった。5年を経過して登攀具とザイルを担いでどこまでいけるか老いる自分との戦いでもあった。案の定熊ノ岩手前で皆さんに置いていかれる。歳を感じた瞬間だ。しかし、3度目はないと思うので本峰、熊ノ岩、八ツ峰を目に焼きつけながら懸命に歩を進めた。八ツ峰Ⅵ峰登攀そのものは私には技量がないので難易を言う程のものは持ち合わせてないが、高度感、岩質、展望など五感を鋭くして集中し感じ入ることが楽しい。

山の仲間は素晴らしい。楽しい時は共に笑い、苦しい時は目に見えない手を差し伸べてくれる気配を感じる。こんなことが頑張れる源泉だろうか。今回もメンバーに助けられて記憶に残る山行となった。自然や仲間の優しさに生かされていることをしみじみと感じた山行であった。

 

感想:sa山

昨年、一昨年と合宿は雨に叩かれ、3年越しの釼岳です、チャンスをのがすと今度、いつになるか分からないよ、という事でカオちゃんを引っ張り込みました。いい所は、一人でも多く感動してもらいたい、釼岳、八ツ峰はそういうところです。

9/21 釼沢の雪渓はもっと少ないと思っていましたが、200mほど後退している程度で、夏とそんなに変わらない。長次郎雪渓は昨年さぶちゃんと偵察に来たときは熊の岩まで雪渓通しに来れたが、途中ガレ場が出ている。

室堂から8時間ほどで熊の岩、ここでの幕営は初めてです、パーティーも少なく、整地された良い場所に張れた、正面に針ノ木岳、遠くには燕岳、大天井岳、常念岳が連なり素晴しいロケーションです。

中秋の名月後でもあり、明るい月夜で岩が白くひかり、うっすら雪化粧のように見えた。

9/22 5時早朝出発、取り付きで明るくなる、カト・sa山、隊はDフェースを計画していたのですが、威圧感に押され、一緒にCフェースを登ることに変更。一ピッチ目、sa山、二ピッチ目、靴を忘れたカトさん、旧スタイルでゴローの登山靴で、三ピッチ目sa山、4ピッチ目カトさん。そこで確保してもらい後続をカメラに収める、残りチョッとで終了。

後続組み、笹田さん、さぶちゃん、カオちゃんは、核心部の三→4ピッチ目で、ガイド付の他パーティのトップが追い抜きザイルが流れず苦労している、他パーティのセカンドは、ザイルワークを知らず、こちらのザイルの流れを悪くしているようだ。最近のガイドは自信が在るのだろうが、先を急ぐ余りにルールを守らない、巻き込まれるのはごめんです。

全員無事終了点に着き記念写真、八ツ峰頭を登り、右俣を下降する予定でしたが、今日中に早月小屋に向うということで、ラク石に注意し下降、2ピッチザイルで降り、5,6のコルへ、幕場に戻り撤収し、左又コルに向かう、雪渓が少なく、あり地獄のようなガレ場登りとなり、切れることしばし、コルにつき一休みし、頂上へ向かう、頂上には祠が無く、修理中のようだ。

早月尾根初めてですが、こんなにキツイ尾根とは知りませんでした、やせ尾根の急登で鎖が張られた所は、他の山でも、よく在りますが、それが延々と続く、普通の尾根の倍ほど時間を要する理由が分かりました、小屋の屋根が見えほっとする。幕場はいい所はすでに張られ、迷惑をかけない様、間に割り込んで張らせてもらう。

9/23 ゆっくり6時出発する、ここからも昨日同様急登が馬場島近くまで続く。タクシーが来るまで、徳沢園のような馬場島のキャンプ場でテントを干す。途中上市のアルプス温泉で汗を流し、富山駅に出て白エビを囲み乾杯し岐路に着いた、皆様楽しい山行ありがとうございました、又次の計画を楽しみにしております。

 

感想:サブ

皆様とすばらしい山行が出来た事、幸せでした。
笹田リーダー初め、皆様にお世話になりました。
Cフェース取り付きでお腹を壊す
左俣のガレ場でプチ切れる
情けない自己を認識をすることができて、よい山でした。(涙
Cフェースはちょっと物足りなかったので(下●ピーが何をいうかですね)
次は、チンネ左稜線行きたいです!
でも、早月尾根はしばらくはいいです。。。
とまれ、70歳になる笹田L、加藤代表の心技体の揃いっぷりに脱帽でした。
笹山さんの富山猿ぶりも、圧巻。
そして、チーム田吾作、かおちゃんと一緒で本当に楽しい山でした。
またよろしくお願いします!!

甲斐駒岳~早川尾根~地蔵岳

甲斐駒岳~早川尾根~地蔵岳
2013年9月21~23日
メンバー:ミナト(L)・みやのり・アトム・タカタカ・ケン・サイトウ
いしつかみ・トン(記録)・アイザワ(七丈小屋)

9/21(土)晴れ 韮崎駅8:40―竹字神社登山口10:00―笹ノ平11:48
刀利天狗12:30―五合目小屋跡14:37―七丈小屋15:40
9月21日(土曜日)第1日目
不安と期待に満ちた、北稜での初の山行を迎えた。
前夜は緊張のため、あまり眠れなかった。
十条駅から埼京線で新宿駅へ。新宿でアトムさん、ケンちゃんと合流。三連休初日ということでスーパーあずさ1号は超満員。韮崎駅でミナトさん、みやのりさん、タカタカさん、サイトウさんと合流。全員でジャンボタクシーに乗車し登山口へ。竹字神社で湧水を補給し、いざ黒戸尾根へ。日本三大急登と言われるだけあって最初から尋常ではない登り。汗がポタポタと落ちる。初めての幕営山行ということで、荷物も今までの山小屋山行とは違い、かなり重たく、ずっしりとのしかかり堪える。笹ノ平―刃渡りー刀利天狗―五合目小屋跡、と登って行く。刃渡りは鋭く切れた岩場だったが、鎖が取り付けられているので恐怖はなかった。五合目からは七丈小屋までは鎖、梯子の連続でさらに体力を消耗してしまった。なんとか七丈小屋に到着する。手続きをしてからテントを張り宴会へ。先に到着されていた藍沢さんが我々のために本格的な珈琲を入れてくれた。とてもおいしかった。藍沢さんありがとうございました。テン場からトイレが遠くて困った。たどりつけなかったので、途中で・・・。テン場からは甲府市内の夜景が綺麗にみえた。

9/22(日)晴れ 七丈小屋5:30―八合目6:00―甲斐駒頂上7:24―駒津峰8:51
仙水峠9:58―栗沢峠11:51―アサヨ峰13:27―早川尾根小屋15:40
9月22日(日曜日)第2日目
3:30起床―朝食:みやのり(高級ラーメンをいただく)
5:30出発―藍沢氏の見送りつき
八合目の石の大鳥居は倒れてしまっていた。黒戸尾根上部には祠や石碑、鉄剣などがあり信仰登山の面影が強く残っているのがうかがえた。七丈小屋を出発して約2時間、とうとう甲斐駒岳山頂に到着。頂上からは北岳、富士山、仙丈ケ岳、八ヶ岳、中央アルプス、北アルプスが大パノラマとなって眼前に展開され感動・・。いつまでも感動にひたっていてはいられない。今日は早川尾根に取りつき、早川尾根小屋まで行かなければならない。もう一度気を引き締めなおす。山頂から駒津峰へ向かう。さらに急坂を下って仙水峠まで下ってきたが、ここでバテバテになってしまった。テントをサイトウさんに、米をケンちゃんに荷わけしてもらった。サイトウさん、ケンちゃん申し訳ありませんでした。ミナトさんにザックもきっちり体にフィットするように締め直してもらう。長めの休憩をとり出発。仙水峠からは栗沢山まで直登。栗沢山から見る甲斐駒ヶ岳はとてもすばらしい。早川尾根に入ってから登山者はほとんどいなくなり静かな山行になった。アサヨ峰経由でなんとか早川尾根小屋に到着。なんとかたどり着けてホッと一息したもつかの間、山小屋の人から報告があった。

崩落看板
崩落看板

9月16日の台風でこの先登山道が崩落、消滅しているらしい。巻き道は作ってあるが崩落は現在も続いており、いつ底が抜けるか分からない状態なので、広河原峠から下山するようにとのこと。いまいちよくわからないが、とにかく危険ということのようだ。

 

 

 

テントを張り宴会へ。今夜はいしつかみさんと食担。新潟から届いた新米と麻婆茄子を作った。自分でいうのもなんなんですが、とても美味く出来たな~と・・。今日もバテてしまったので、よくマッサージし明日への山行に備える。広河原に下山か、それとも地蔵岳まで縦走か・・・。

甲斐駒を望む
甲斐駒を望む

 

 

 

 

 

 

9/23(月)晴れ 早川尾根小屋6:00―広河原峠6:22―広河原8:15―奈良田温泉10:00―下部温泉駅12:40―甲府駅14:29―新宿駅―16:04
3:30起床―朝食:サイトウさん(バラエティパスタをいただく)
空には星が出ており今日もいい天気。ミナトさんから広河原峠へ下山することが全員に伝えられる。地蔵岳まで縦走したかったが、またの機会ということで。朝食はサイトウさんがパスタを作ってくれた。朝からおいしくいただく。今日は下山するだけなので6時出発。広河原まで樹林帯の道、さらに広河原までおりていく。出発から約2時間で南アルプス林道に出た。無事に下山できホッとする。広河原まで歩き奈良田温泉へ。バス時間があわないのでジャンボタクシーを利用。北稜行きつけの奈良田温泉は朝から登山客でにぎわっていた。久しぶりのお風呂はちょっとぬるかったが気持ちよかった。入浴後お蕎麦を食べたりして休憩。バスの時間があわないので此処でもジャンボタクシーを使って、下部温泉駅へ。下部温泉から甲府駅で、かいじ、に乗り換え新宿へ。この山行では色々学ぶことが多かった。特に荷物の軽量化が必要だなと、あらためて思った。(余計なものが多かった)途中でバテてしまったので、体力もつけないといけないと自覚した。天気にも恵まれとても楽しい三日間だった。
メンバーの皆様、ありがとうございました。

「尾瀬、燧ケ岳、至仏山」  山行記録

1、期間
2013年9月21日(土)~23日(月)

2、参加者
リーダー グッチー(記)、部長

3、コースタイム

9/21 移動 部長 尾久駅6:31→高崎乗換→沼田駅9:11着、9:20(始発)関越交通バス→大清水着10:57
グッチー 新宿南口7:10発、関越交通尾瀬号 →大清水着(11:10予定)13:10
大清水出発13:30→ 三平峠15:20→ 尾瀬沼ヒュッテ着15:50 テント泊

9/22 6:10ヒュッテ発~長英新道~俎ぐら9:00~柴安ぐら(燧ケ岳)9:34~見晴新道~燧小屋(見晴)12:00⇔ 三条の滝(往復3h)テント泊

9/23 5:50燧小屋発~尾瀬ヶ原木道~山の鼻小屋7:40~至仏山10:00~小至仏山~鳩待峠12:15着、12:20発の乗合タクシー→戸倉12:40着、15:10発の関越交通尾瀬号 →新宿東口(19:10予定)20:30着

4、状況
9/21
・部長が途中参加のため往きのバスの予約が取れず大清水での待ち合わせとなった。
・連休初日のため渋滞、関越自動車道に乗るまでにも時間を要し2時間の遅延。直通バスは片道3,500円と割安だが、渋滞を考慮することが必要。

尾瀬沼から燧ケ岳を望む

・尾瀬沼ヒュッテのテント泊は予約制。テントサイトはウッドデッキで、個々に離れて配置されており快適。サイト数は28張りと少なく、当日は満杯。800円/人/泊。
・天気はまずまず。部長の美味なロースカツ煮で一杯。

9/22
・朝食は、部長用意のパンとロースハム&チーズ&スープ。
・天気は良好。早朝に立つ人が結構いるが、思っていたほどの混み合いには思えず。

 

 

 

燧ケ岳下山道見晴崩壊状況新道
・長英新道入口に見晴新道が荒れており通常の5割ましの時間がかかるとの注意書きが掲示されている。台風18号の影響。

 

 

 

・俎ぐら頂上では、雲間に時々眺望が垣間見れるていどだが、柴安ぐら頂上では、雲が晴れ眺望を得る。
・見晴新道方向に下山を開始し、途中温泉小屋方面への下山道を見たが、進入禁止になっており、そのまま見晴新道を下山。
・注意書きの通り、温泉小屋下山道分岐以下は山崩れで下山道が崩壊しており、かなり危なっかしい状況で、注意しつつ下山。
・燧小屋でテントを張り、部長の提案の三条の滝へ向かう。尾瀬の水が全て集まるという滝は迫力満点。往復約2~3時間のピストン。
・また、尾瀬ヶ原は草紅葉が黄金色に輝き、木々も色づきはじめ、訪れる人も意外と少なく眺望を満喫できた。
・こちらは予約不要、テン場も広いが土間で、料金は同じく800円。HPでは100張りできるとあったが当日40~50張りで満杯に見える。
・トイレ、水場はヒュッテと変らずとてもきれい。(後の山の鼻小屋も同じ。)
・夕食はグッチーがお取り寄せの花川うどん。うどんは美味しいが味付けと具が今ひとつ?
・小屋情報では、今晩一時雨、明日は天気とのこと。

9/23
・朝食は、グッチーの佐渡土産の棒ラーメン(あごダシバージョン)。味はやっぱり棒ラーメン。
・未明から降っていた雨は止み、天気回復を期待しつつ6時前に出立。

最終日至仏山を目指し尾瀬ヶ原を行く
最終日至仏山を目指し尾瀬ヶ原を行く

・尾瀬ヶ原を縦断するメインストリートを往くが、人はまばらで、ほとんど二人きりの貸しきり状態。小川には岩魚が群れていました。
・山の鼻小屋到着。一服後至仏山登山口へ。こちらは登り専用、かなり狭く急でもあり双方向はやはり難しそう。
・残念ながら天気は霧雨状態となり、眺望はきかず、ひたすら登りながら頂上での回復を期待したが、雨が強まり頂上手前で雨具を着用。
・それでも至仏山頂は結構な人、眺望も無く早々に小至仏経由で下山開始、岩が滑り慎重に降りる。途中フラットな木道でグッチーが3回転倒。濡れた木道は恐るべし、別の登山者も同様に転んでいた。
・鳩待峠ではシャトルバス、乗合タクシー同額で乗車でき、乗合タクシーで戸倉へ、きのこ蕎麦で一杯やり、温泉入浴し帰京のバスを待つ。
・バスは、ほぼ満席で、案の定渋滞で約1時間半の遅れで新宿駅東口に到着。

鷹ノ巣山

鷹ノ巣山
・時期:2013年9月7日
・メンバー:かおり(L)、グッチー、カト(記)
・行程:
東日原9:20-稲村岩尾根10:20/10:40-鷹ノ巣山12:20/12:50-三ノ木戸山分岐15:00-奥多摩駅16:30 (T7:10)
・記録:
天気が悪く小川山の計画が潰れた。7日土曜日は何とか天気が持ちそうなので集会見学者Mさんの小川山ハイキングの代替えをMさんの窓口になっていたかおりさんに要望した。
この日は鷹ノ巣谷の遡行山行(L:ハギさん)が出ていたので鷹ノ巣山又は下山後ケッチボーをかおりさんが企画してくれた。心憎い配慮だ。グッチーさんも乗ってきてくれて妙齢美女二人と虎視眈々と獲物を狙うグッチー猛獣と餌も取れないよぼよぼのカト野獣の絶妙のカルテットだと思っていた。が、肝心のMさんは他の予定を入れたとかで不参加。意義を失い何となく気合が入らない美女・野獣トリオとなった。
鷹ノ巣山登山口の巳ノ戸橋で6人の沢組と分かれる。稲村岩までの標高差は約400mの急坂は余り意識せずに尾根に取付く。意義を失い気合が入らないトリオだがここからが違ってきた。登山口から鷹ノ巣山までの標高差は500から600mくらいと思っていたがかおりさんに聞くと1200mくらいと言う。稲村岩から鷹ノ巣山まではまだ標高差850mを登らなくてはならない。ここから歩行トレと気持ちを入れ替えてPに向かう。しかも午前中は雨が降らないと思っていたのが尾根歩きを始めた途端にしとしとと秋雨が降ってくる。

最新山ファッション
最新山ファッション

 ここで雨対策のグッチーさんが新兵器を出す。傘をさすと思いきや、傘を頭につけている。何だこりゃ、坊さんやお百姓さんがかぶる傘風だ。「ハッと!アンブレラ」といっておしゃれ傘として売っているアンブレラハットと言うらしい。奥さんが釣り道楽なので奥さんから譲ってもらったかと思ったが釣り道具屋で買ったそうだ。奥さんは恥ずかしくてこんなものはつけないと言っているらしい。かおりさんは腹を抱えて笑いこける。後ろにいる私はなんだかお地蔵さんを見ているようでそんなに違和感がない。しかし、前から見ると何ともに様な格好だ。本人は両手が使えて便利だとしたり顔。追い越す人は珍しいものを見るようで振り返る。すれ違う人もずっと頭から目を離さない。当の本人は注目度が高くご満悦。山には不似合いの格好と思う周囲の意識とご満悦の本人の意識とのずれが大きいのがまた可笑しい。

 わいわいと盛り上がっているうちのPに到達。ここでも人間技と思えない光景を見る。私が持参したミカンをかおりさんに渡すと何と皮ごとがぶりつくではないか。皮にくっきりと歯型がついている。象でもあるまいしサルでも皮を剥くと言うのに素晴らしい原始乙女だ。私もまねをして一口ガブったがまずくて食えない。本人はゴミを出さないなどと綺麗なことを言っているが本当は魔女か忍者か。そういえば最近は飛騨尾根、滝谷ホンチャンバリエーションルートをするすると登っているらしい。いよいよ本性を現したか。
まっ、意義のない山行を意義あるごとくするのも楽しからずや。しかし、最後に大どんでん返しが起こった。沢組とのケッチボーを諦めていたが奥多摩駅前の茶店でビールで乾杯する寸前につりしが一人で現れる。もっと遅いかと思っていたので変に感激した。つのだ車乗車の後続が着いて全員で乾杯する。いいもんだなあと思う。
かおりリーダーの思惑どおりの結果となった。やっぱりかおりさんは魔女はたまた知恵豊かな忍者の再来だと改めて認識した。
以上、思い込みと誇張の脚色でゆめゆめ本気と思われんことを。

谷川岳馬蹄形縦走 -恐るべき北稜第1期78歳とみた先輩-

●期日:2013.8.24(土)~2013.8.26(月)
●メンバー:【稜友会:すぎうらさん(L)、とみたさん、としみさん】、カト(記)
●行程:
(1日目8/24曇後雨)
東武成増駅5:50-谷川岳ロープウエイ土合駅駐車場8:30/9:00-天神平駅9:10/9:20-熊穴沢避難小屋10:30/11:00-肩の小屋12:00(肩の小屋泊)
(2日目8/25晴後雨)
肩の小屋6:50-トマノ耳7:00-オキノ耳7:20-奥の院7:30-一ノ倉岳9:00-茂倉岳10:00-武能岳12:20-13:10蓬ヒュッテ(蓬ヒュッテ泊)
(3日目8/26曇後晴)
蓬ヒュッテ4:40-七ッ小屋山5:40-清水峠6:40/7:20-ジャンクションピーク9:30-朝日岳10:00/10:30-笠ヶ岳11:50-白毛門13:00/13:30-16:20土合

●記録:
-はじめに-
とみたさん? 78歳で北稜1期のとみたさんは王子の集会後の酔っぱらいの千鳥足の姿しか見てない。馬蹄形は大丈夫かとの心配は24日朝、成増駅で会った姿で吹っ飛ぶ。立ち姿が美しく歩行がしっかりしていることに驚く。あの千鳥足のとみた先輩ではない。案の定スタートしてから先頭を歩くスピードはかなりのもので我々を置いていく。3日間とも同じペースで我々が「もっとゆっくり」と何度言ったか分からない。仕舞は自分のペースが良いと分かり一人先に行ってもらう。時々後続を待ってくれる。3日目の行動時間は11時間40分の長丁場だったが「ちょっと疲れたかなあ」くらいの涼しい顔。何と言う78歳なのか。少しは年相応にしてもらいたいものだ。私の北稜入会期は52期。山は老若男女、経験値の差でハンデをつけず公平に扱ってくれる。経験値が半世紀も違う大先輩と同じ土俵で公平な行動を求められるスポーツは稀だろう。私が9年後の78歳になった時を想像するととみたさんほどにはとても歩けない、と思う。よい目標ができてうれしい。スーパーシニアとみた先輩万歳。

(1日目8/24曇後雨)
すぎうらさん運転で関越を行く。車が多いが渋滞する程でなくロープウエイ土合駅に着く。とみたさん、ケーブルを使うか尾根を歩くか聞いてくる。当然ケーブルでしょう。最初からプレッシャーをかけられた気がする。前日までの雨から好転した所為か登山者が多い。お先にどうぞとかなり譲ったが我々も負けてはいられない3パーティを抜いたか。とみたさんが抜群のスピード。天神尾根の岩場もなんのその軽快に越していく。早く着くとそれだけ酒の量が増えるのでゆっくり行こうと言ってもマイペース。11時頃天狗の遊び場大岩手前で1本立てると雨が降ってくる。雨具を着こみ12:00肩の小屋へ。雨の所為か登山者で大賑わい。14時頃になるとほとんどが下山していく。泊まるパーティは我々以外は20人程の太田市のシニアハイキングクラブだけ。我々は小屋奥のテーブル席で大声でよもやま話をしているが、隣の部屋では太田市のハイククラブが初心者のための登山講座で勉強している。出てきた方にうるさくてすみません、と声をかけると「いいえ、教えたがり屋が沢山いて皆気にしていないのでお構いなくどうぞ」と大人の態度。教えたがり屋が一杯いるなぞどこの山の会でも一緒だなと思う。
17:30夕食。ハンバーグ、焼き魚など。お米が美味しくお代りをする。天気予報を確認して19:00頃就寝。

(2日目8/25晴後雨)
4:00起床。とみたさんは既に散歩を済ませたようだ。5:00朝飯。6:50出発。雲がかかったり空が覗いたりはっきりしない天気。いよいよ馬蹄形のスタート。経験者は40数年前に歩いたと言うとみたさんだけ。国境稜線が美しく伸びている。としみさんは7月に国境稜線を歩いていて馬蹄形を歩くと谷川の稜線をほぼ制覇すると言う。そういえば私も同じだ。すぎうらさんは聞いていないが経験豊富なので同じだろう。としみさんには花を教えてもらう。北稜では3歩歩くと忘れるカトで通っていてここでも同じ。シモツケソウ、ツリガネニンジンソウ、アキノキリンソウ、アズマギクなど出てくるたびに聞く始末。花を知っていると女性にもてると言われて白馬でかなり勉強したが役に立ってない。ボケ老人は始末に悪い。

谷川馬蹄形_一ノ倉岳へ
一ノ倉岳へ

一ノ倉岳手前から天気が良くなる。茂倉岳から眺める武能岳はクマ笹の草原の上に大きく立っている。フウフウいいながら急登する。大源太山がマッターホルンのように聳えている。武能岳からの急降下を終わるとすぐに蓬ヒュッテ。13:20到着。ビールで乾杯後往復30分の水場に水取りに行く。雨が降ってきたことと熊にでも出会うとやばいと思い15分で戻る。水場は斜面から豊富な水が迸っていた。ここの小屋主は高波さんと言ってお父さんが谷川の父と言われた超有名人だそうだ。ここに来る8年前は苗場山の小屋を32年間守っていたとのこと。としみさんは苗場で会っているそうだ。
晩飯は17:00、カレーライス。美味しくてここでもお代りをする。18:30就寝。

02谷川馬蹄形
谷川馬蹄形武能岳から蓬ヒュッテへ

(3日目8/26曇後晴)
蓬ヒュッテを4:40に朝飯なしで出発。本日が核心。出発してすぐに腰上に伸びるクマ笹の藪こぎ状態。下半身水浸し。私は甘く見て登山靴でなくアプローチシューズなものだから靴下までびしょ濡れ。七ッ小屋山前から登山道の草を刈ってくれていたので助かった。振り返り振り返りこれまで歩いてきた稜線を眺めては感動する。

03谷川馬蹄形_一ノ倉尾根
一ノ倉尾根

大源太山分岐から後ろを見ると大岸壁の大きな山塊がある。こんなに大きな山がここにあるとは。誰もが何の山だろうと不思議がる。地図で確認すると谷川本峰から茂倉岳の間の一ノ倉沢、マチガ沢、幽ノ沢などを持つ猛々しい山塊だと分かる。皆顔を見合わせて呆れて大笑い。周回コースの悪戯か。清水峠は二つの小屋がありここで朝飯を取る。大休止していよいよ後半。急登急下降を繰り返して池塘を抱える朝日岳。としみさんは初めてとのこと。頂上標識に抱きつかんばかりの嬉しさを表す。目指す白毛門の標識がかすかに見える。また力が湧いてくる。登り下りを繰り返して白毛門。ぴんぴんしているのはとみたさん、としみさん。白毛門からの下りが長い。クマ出没情報があり時々笛を鳴らしながら下山。3,4回休憩しただろうか。白毛門へのアプローチ道路が見えた時にはほっとした。15:00下山を想定していたが、16:20の1時間20分遅れとなったが大健闘だと思う。

馬蹄形コース縦走は前からの希望であった。すぎうらさんが企画してくれたお陰で素晴らしい山行となった。また、泊まり山行と言う意味では私は稜友会の皆さんとは初めての山行。更に登山歴6年の浅い経験でしかない中、山小屋泊まりは4回目か5回目。小屋泊のよい面を勉強させてもらった。稜友会の素晴らしい仲間と素晴らしい天気、素晴らしいコースに恵まれて大満足の山行ができたことを信頼感絶大リーダーすぎうらさん、スーパーシニアとみたさん、スーパーウーマンとしみさんに感謝したい。ありがとうございました。

穂高合宿(槍穂縦走隊)

●期日:8月10日〜14日
●メンバー:けん(CL・記)、コバ、サブ(12日から登攀隊に合流)、サイトウ(12日に上高地へスピード下山)
●行程:8月10日 上高地バスターミナル11:30〜西穂高山荘テン場14:30
8月11日 起床2:00〜出発3:30〜西穂独標4:25〜西穂高岳5:40〜天狗岳7:35〜ジャンダルム10:00〜穂高岳山荘12:35
8月12日 起床2:30〜出発4:05〜北穂岳6:55〜A沢のコル8:45〜南岳小屋10:50〜槍の肩14:05〜殺生ヒュッテ14:4
8月13日 起床4:00〜出発5:30〜西岳8:30〜大天荘11:50
8月14日 起床3:00〜出発5:10〜燕岳8:00〜中房温泉10:30

●記録
ここ2年ほど、全日すっきりと晴れた山行をすることがなかったが、今回の槍穂縦走は全日が快晴となった。もちろん直射日光はわれわれを容赦なく照らし、暑さで体力を消耗したが、穂高の山々は美しく、忘れられない山行となった。

8月10日
上高地到着後、涸沢へ行くメンバーと別れ、西穂山荘テン場へと向けて歩き始めた。登山道の入り口、田代橋で驚きがわき上がる。先行して西穂山荘へ行かれたはずのサイトウさんが、登山口にいたからだ。サイトウさんは、一度、西穂山荘に上がってテントを立てた後、再び登山口まで迎えに来てくださったのだ。登山口までの出迎えは、北稜史上未だかつてないことではないだろうか。感謝を通り越し、ただただ驚嘆である。
西穂山荘への登山道は、森の中で景色の変化がなく、体力を消耗していく。そんな中で宝水と呼ばれる湧き水があり、疲れた我々を癒やしてくれた。
テン場に到着後は、すでにサイトウさんにテントを張って頂いていたため、後は宴会のみ。コバさんお手製の生姜焼きが振る舞われ、西穂の夜は更けていった。

8月11日
予定よりも早く起床し出発準備。朝食はサイトウさんの塩ラーメン。うずらの卵の燻製が入っているところが心憎い。
出発時にはすでにいくつかの先行パーティーがいたが、快調なスタートを切る。西穂独標、西穂高へと順調に進み、今回の縦走の核心へ。先頭のサブさんとサイトウさんはずんずんと先行されていく。

01槍穂隊
先行2人

私は、リーダーという肩書きはあるものの、このパーティーで一番経験が浅いため、足を引っ張らないように慎重に進む。事前に思っていたほどの恐怖はなかったものの、かなり必要以上に慎重に歩いていたと思う。
天狗岳頂上では、槍がきれいに見られたが、ここでサプライズが。サイトウさんお手製のフルーチェが振る舞われました。

02槍穂隊
山頂のフルーチェタイム。

フルーチェ。子どもの頃、1・2回は食べたことはあったが、30年近くその味を忘れていた。しかし、やまで食べるフルーチェはうまい、しかも、槍を見ながらのフルーチェはうまい。
天狗岳の後も難所は続いたが、10時にはジャンダルム頂上に到着。ちょうど、無線の交信時間に重なり、他の隊はどこにいるのか気になったが、なんと、登攀隊の隊長は穂高岳山荘に、縦走隊は奥穂高におり、無線交信をしながら、お互いに「ケッチボゥオゥオゥ」のかけ声を掛け合うことがでた。無線だけでなくお互いの声でコミュニケーションを取れたのが、今回一番の思い出です。出発時間を早めて良かった。

03槍穂隊_ジャンダルム
ジャンダルム

奥穂への最後の難関、馬の背を越えた後、奥穂高岳へ。山頂は多くの人で賑わっており、難所を越えた実感が沸いてきた。穂高岳山荘到着後は、例によって宴会に突入。

8月12日
この日から、2人山行に。テン場で仲間と別れてからは、まず、涸沢岳に登る。山頂でご来光を拝んでから先へと出発。涸沢岳を越えてからは、南岳までは、難所の縦走路、気を引き締めて進む。北穂高から先は、一気に高度を下げていく。縦走路はがれていて、小石を落とさないように注意して進む。前日の縦走路と較べてそれほど難しくはなかったが、とにかく浮き石が多く、他人をケガさせてしまわないことだけに注意して進んだ。
ただし、景色は最高。槍を正面に見ながら、歩を進めるとともに、右を見れば前穂のゴジラの背が、左を見れば笠ヶ岳が、後の方には滝谷がいつも見えており、絶景を愛でながらの行動となった。

04槍穂隊_大キレット
大キレット

南岳山荘に到着後は、一般縦走路となる。正直、気も緩みまくりました。
槍ヶ岳に到着すると、そこにはたくさんの人が。テン場も満杯。とりあえず定時の無線交信を試みるもつながらず。

05槍穂隊_槍に多くの人が
槍に多くの人が

2人とも槍には登ったことがあるということで、今回は頂上には立たず、殺生ヒュッテまで降りることになる。
殺生ヒュッテでは、コバさんお手製の中華丼を頂きながら、均整の取れた槍を見つつ、夜は更けていった。

8月13日
起床後、ペルセウス座流星群を見た後、出発。東鎌尾根に上がり、北鎌尾根を眺めながら歩く。

06槍穂隊_北鎌尾根
北鎌尾根

次は北鎌尾根に行きたいという話をしながら、歩いていると、県警のヘリが我々の周りを飛び始める。どうやら捜索活動をおこなっているようである。
縦走路を進み、西岳へ。穂高や槍の姿をきれいに見ることができた。さらに縦走路を進み、早々と大天荘に到着。生ビールがあり、早めではあるがテン場でダラダラとする。途中、思い出して大天井岳へとピストンし、さらにテン場でダラダラする。

8月14日
起床後、ペルセウス座流星群を見る。前日よりも数は多く見られた。また、遠くの穂高や槍のシルエットをハッキリと見ることができた。
出発後は、所々で名残の槍穂を見ることができた。燕山荘に到着後は、空身で燕岳を目指す。燕岳は花崗岩が特徴的。

07槍穂隊_燕のイルカ
燕のイルカ

燕岳山頂では、立山や剱岳を見ることができた。燕山荘に戻り、しばし休憩した後は、中房温泉まで一気に降りる。下山後はおきまりの温泉に入り、昼食を食べ、帰路へ。

何度も書いて恐縮ではあるが、全日快晴で、穂高や槍をさまざまな角度から見ることができ、甘味や生ビールが美味しかった今回の山行は、これまでで最高の山行であった。

穂高夏合宿(本隊)

●日程8月10日~8月14日
●メンバー:ミナト・笹田・サブ・かおり(記)

●記録
8月10日 はれ ☀ (上高地~涸沢)
縦走隊2班・登攀隊がタクシーにて上高地に11時ごろ到着。順調なスタートをきった・・・はず、であった。
私はこの時、涸沢で起こる、身も凍るような瞬間をまだ分っていなかった・・・

天気にも恵まれ絶景の中、涸沢に向かい楽しく足は進む。本谷橋を過ぎて登りが急なり、しばらくすると、前方から1日早く入山していたミナト大隊長が重荷をピックアップに来てくれる。感謝感激。
17:40分涸沢到着。こちらも先に入山していたカトー氏がお出迎え。テントの用意も万事整えられていて上げ膳据え膳状態。しかし膳は私といしづかみ氏が担当。さっそく調理の準備に取り掛かろうと荷を解くと、登攀具を入れたアタックザックが無い!
たまねぎを握り締めながら、オタオタとザックを再度見るが、やはり無い!
風邪を引いて具合の悪いミナト隊長へ「登攀具忘れた~」と泣きつく。
「大丈夫。いらないよ~」とミナト・笹田氏。穂高の山々の様に懐の広い男だ。感慨無量。

01-穂高本隊
上高地にて出発前の集合写真 やっぱり忘れているよ・・・登攀具・・・

8月11日 はれ ☀ (涸沢~穂高岳山荘~奥穂~前穂~穂高岳山荘)
3:30起床。北穂東稜の予定を変更し、ザイテングラード経由で穂高岳山荘を目指す。真夏の雪渓歩きは都心の35度を超える気温を考えると実に贅沢だ。
山荘到着。テントを設営し、体調の悪いミナト氏をデポし、残るメンバーで前穂をピストンする。これが非常に長く辛いピストンであった・・・
奥穂山頂を過ぎたあたりで、ジャンダルムの西穂縦走隊と「ケッチボー」を交わす。いしづかみ氏の声が良く通る。吊尾根の最低暗部から紀美子平の分岐までが長い・・・
復路、疲弊しながら歩いている私たちに前方のおっちゃんが手招きする。子連れ雷鳥発見!最低鞍部よりも低く落ちていた私たちのテンションも一気に上がり、なんとか山荘到着。先に宴会を始めていた縦走隊とともに、ケン氏渾身の晩餐会。

8月12日 はれ ☀ (穂高岳山荘~ジャンダルム飛騨尾根~穂高岳山荘~北穂テン場)
2:30起床。本日からは縦走隊2班と分かれての行動。登攀具一式を忘れた私が言うのも何だが、不安一杯。
3:50山荘出発。アタックザックのみで、前日遠望したジャンダルムへと向かう。サブちゃんを先頭に奥穂への暗い道を登る。前のパーディの男性が穂高に似つかわしく無い仮装をしており、馬ノ背越えの記憶がレオタードの尻で終わる・・・

02-穂高本隊
足場が悪く、壁にへばり付いて下降
03-穂高本隊
トラバース。一番怖かったかも

5:42下降点到着。一般道よりはずれて、ザレ場を下る。途中一個の落石から小規模の岩雪崩がおき、谷底まで音が響いて、かなりビビる。笹田氏に続きサブちゃんが先にトラバースを抜け写真をポチっと撮ってくれているが、このとき私の後方に居るミナト隊長は、弱音ブツブツ。来年の合宿は燕岳3泊4日になるんじゃないかと真剣に心配する。

04-穂高本隊
トラバースし、支稜を越えるとT2に到着

T3からT2はコンテで行くような状態だと言うことで、T2より登り始める。
飛騨尾根は、サイの角に見える。
6:40準備を整えミナト隊長が先陣をきる。つづいてフォローのサブちゃんの登り。
笹田氏がリードで登り、一人ぽつ~んとT2に残されたときは、寒くて寂しくてちょっと悲しかった。
登りは、足がしっかりかかり、私でもなんとか登れたが、岩が冷たい。
8:00 T1に到着。広めのテラスになっており、空中庭園のようだ。お日様があったかくて、ありがたい。小休止。

05-穂高本隊
T1のテラスにて。槍や笠ケ岳が絶景
06-穂高本隊
登ってきた岩を見下ろすと谷底まで切れ落ちていて高度感が!

T1からジャンダルム頂上までは、サブちゃんがリードでグイグイ登る。つづいてミナト隊長。笹田氏より、「行け」と言われ私もリード気分。
9:00ジャンダルム登頂。

07-穂高本隊
ジャンダルム

頂上より懸垂下降でジャンダルムを下る。晴天のなか往路を戻り穂高岳山荘へ。11:50山荘着。
テントを撤収し、北穂テン場へと向かう。12:50山荘出発。
しつこい様だが、登攀具を忘れた私が言うのも何だが、「何故この荷物(重)で穂高を毎日移動?!」
涸沢岳から北穂までの岩稜帯の厳しいこと・・・筆舌に尽くしガタシ。私だけかもしれないがヘロヘロになりながら、16:15北穂テン場着。ふ~。
サブちゃんが、ビールと水を往復30分かけて北穂小屋まで調達してきてくれる。天使だ。
天空遺跡のような北穂テン場で本日の祝勝会。疲労もあり早々に就寝。流星群の夜なのに、眠気に勝てず見逃す。笹田氏とサブちゃんはマーキングしながら流れ星の数を数えた様子。

8月13日 はれ ☀ (北穂テン場~滝谷ドーム中央稜~北穂テン場~涸沢)
4:30起床。いよいよ滝谷である。準備を整え、6:00出発。
6:30下降点。北穂テン場から涸沢岳へ向かう途中西側の谷へザレた急な岩場を降りる。懸垂下降用のハーケンと残置シュリンゲを見つける。打険してみるが、補助ザイルで確保しながら笹田氏が最初に懸垂下降。ハーケンが動くので、最後に懸垂下降するミナト隊長は、新たに支点を作りビナとシュリンゲを残置。本チャンはやはり危険だ。

08-穂高本隊
1回目の懸垂下降。残置ハーケンが動いた!
09-穂高本隊
オートブロックで下っているところ
10-穂高本隊
この懸垂ポイントの前に下降しながらトラバースする場所がありかなり怖い。

最後に、右側に大きく回りこむと取付き地点があった。

11-穂高本隊
テラスにて準備万端。この時ミナト隊長はやたらとガチャ類を身に付けていて笹田氏とサブちゃんに「何だ~ビックウォールでも登るのか?!」と失笑される。登攀具を忘れた私は沈黙・・・

1ピッチ目:笹田氏がトップでリード。チムニーをズリズリ抜けているらしいが、私の場所からだと見えない。チョックストーンを乗り越し、ザイルを引いてもらう。私は初チムニーであったが、登り方が分からず、チムニー内深部にあったクラックに足を突っ込み登る。続いて登ってきたミナト隊長はザイルが重いらしくチョックストーン上で「重い~重い~」と言っていた。
サブちゃんはザックが邪魔でクリオネのように登ったらしい。
2ピッチ目:また笹田氏がトップでリード。登り出してすぐに前方にカンテが現れる。私には垂直に見える。がフォローなので、思い切って登る。やっとカンテを越えたところで追い討ちのようにスラブがあり上がると終了。高度感は最高である。
3ピッチ目:やっぱり笹田氏がトップでリード。4ピッチ目のビレーポイントまで流れるように進む。サブちゃんがリード。
4ピッチ目:ここでも笹田氏がトップでリード。ここは、登り始めより中盤から最後にかけてがキツかった。斜度がだんだんキツくなってきて、クラックに手足を入れなんとか登るとまたしてもスラブ。なんとかこれで終わりか!と思ったら最後チムニーを飛び越える目に合うとは・・・足の短い私は、ここが20mはある峡谷に見えた。が、笹田氏が冷静に「足が届くよ~」と。気合と共に飛び移る気だった肝の小さい私は心の中で『もっと早く言ってくれ!』と擦り減った勇気を惜しんだ。続くミナト隊長もやはり同じチムニー越えで躊躇。最後のサブちゃんはすんなりチムニー越え完了。
5ピッチ目:最後まで笹田氏がトップでリード。するすると岩を登る姿は別の生物のよう。終了点直下のクラックに向かい何とか登っていく。サブちゃんがリード!

12-穂高本隊
さぶちゃん余裕のリード
13-穂高本隊
最後のクラック越え
14-穂高本隊
登攀終了!ドーム中央稜の頂上!
15-穂高本隊
もう一枚!

登攀具をすっかり忘れておきながら登らせて頂いたことに感謝しつつ、北穂テン場まで戻る。
12:30 北穂テン場にて、テントを撤収し涸沢へ向かう。
16:00 涸沢到着。ヒュッテで乾杯!この合宿中で一番おいしいビール。ミナト隊長はこの酒にやられ二日酔いに陥る。笹田氏の最後の晩餐。実においしい。

8月14日 最後まで晴天 ☀ (涸沢~上高地)
4:00起床。6:00涸沢出発。ミナト隊長の「早く歩け」の指示のもと暴走車なみに前の人を煽り上高地まで行く。途中全ての施設で登攀具の忘れ物を尋ね歩く。が、結局上高地の登山案内所のおじちゃんが保管しておいてくれていた。タクシーにて松本まで。沢渡でミナト隊長を下ろす。松本で蕎麦を食し猛暑の都内へ帰宅。

すべて順調だ!と豪語していた体調不良のミナト隊長。おっしゃる通り。すべてが最高の夏合宿だった。
最後に、登攀具を忘れても「帰れ!」と怒らないばかりか、助けていただいた夏合宿の皆様に感謝をこめて。

<サブちゃん感想>
本当に、充実した4日間でした。
西穂~ジャンダルム~奥穂での縦走では、けんリーダーの元
スリリングな岩場の縦走を楽しみ
ジャンダルム頂上では、ちょうど奥穂頂上にいた本隊とケッチボーを叫びあい
飛騨尾根の登攀では
西穂へと続く稜線上からグッチーさん率いる縦走隊のケッチボーの声に励まされれ
浮世から遠くはなれた、北穂のテン場では、流星群を見上げて
「えらいところにきちゃったなーっ」て何度もつぶやきながらの
滝谷のアプローチ。
その憧れの滝谷をミナトリーダーとザイルを組ませて頂き
最終ピッチのリードまでさせてもらって(びびったー・・)
無事登攀終了後、トランシーバーで
奥穂で別れたケンコバコンビの順調な縦走の様子と
本隊の登攀の成功を分かち合い
涸沢で生ビールで合宿成功をお祝い
本当に、充実した、そして、苦しくて、楽しい合宿でした。
一日たりとも、テント場を定着しないでの登攀という過酷な計画をこなせたのは
今まで北稜で培ってきたもの
そして、リーダーと仲間に恵まれたからだと思います。
皆で穂高連峰をうろうろ(笑
各隊別れた中でも、トランシーバーや、ケッチボーの声で、お互いの隊を応援しあう。。。
本当に胸が熱くなりました。

全体をとりまとめてくれた湊大隊長
奥穂までお世話になった、けん縦走隊リーダー、
合宿中に3度も奥穂に登ったカト代表
縦走隊を取りまとめてくれたグッチーCL
一緒にびびりながらも、笑顔で登攀したかおちゃん
西穂~上高間を超高速で2往復してくれた斎藤さん
おいしい料理を提供してくれたコバさん
笑いで同行者を呼吸困難にする、いしづかみさん
そして、いつも私たちをやさしく指導してくれる笹田さん
皆様、本当にありがとうございました!

穂高合宿・奥穂~西穂縦走(ジャンダルム隊)

●期間:8月10日(土)~8月13日(火)
●メンバー:グッチー(CL)・カト・ミチ(記)
(登攀隊:ミナト・笹田・さぶ・かおり)
(西穂槍燕縦走隊:けんた・コバ・サイトウ)

●行程:8/10~11本隊と共に行動
10日:新宿7:00→松本→上高地→18:40涸沢
11日:起床4:00→涸沢5:30→8:30穂高山荘9:10→10:00奥穂10:20→12:20前穂12:30→15:00穂高岳山荘
12日:起床2:30→穂高岳山荘4:30→5:00奥穂→6:30ジャンダルム→8:30天狗ノ頭→11:00西穂11:30→ピラミットピーク12:10→独標12:40→13:30西穂山荘
13日:起床5:00→西穂山荘6:30→8:30田代橋→上高地10:10(バス)新島々11:20(松本電鉄)12:00松本13:02(Sあずさ)15:33新宿

●記録
8月12日(晴天)
2:30分起床。とても早い起床ということで朝食はとらず、コーヒーだけ飲んで調整しました。本隊は先に出発し、私たちは少し遅れて4:30分に出発。まだ夜が明けていないので、ヘッドライトを着けて歩き出しました。奥穂高山頂へは、標高差200メートル急な岩場登り。まだ体が温まっていないし歩き始めもあって、よたよた不安定な格好でグッチーさんの足跡を追いました。30分程で到着。すでに先を行くパーティーの列。私たちも、いざ、ジャンダルム方面へ。足の裏から「うわー」っと、血が逆流する感じがしました。
いよいよ、です・・。
最初の難関(馬の背)足元がすっぱり切れ落ちており、天気もよかったので高度感はマックス。岩から手を離し両手を広げて立つと何も考えられず、日本海から吹き抜ける風が心地よく「ふわ~」っと、感覚しか感じられなかったです。

馬の背
馬の背

一気に下り、続いて(ロバの耳)トラバースと直登の連続で、無心でした。
カトさんが「ゆっくりでいいから、落ち着いて確実に」と、要所で声をかけてくれます。そしてもうすこしで、ジャンダルムかな、思われる岩山前で休憩をとりました。その岩山は脇を通るルートに○マーク。そして直登に×マーク。丁度、登山者が来て○に行こうか×を登るか迷っていました。迷った揚句×を登って行きました。大丈夫なのかな・・。

ジャンダルム
ジャンダルム

実はここの岩がジャンダルムだったのです。
カトさんは「これジャンダルムじゃない?」っと、思いながらもグッチーさんは「いやー、こんな小さいはずはないです。これ超えた所です」そのお言葉通りに○マークのルートを行くとピークはなく・・(って、ことは・・)
「えっ!これがジャン」とあっけにとらわれるグッチーさん。笑うカトさん。前回登頂されたときはもっとダイナミックな姿に見えたそうです。今回2013年のジャンダルムはコモノに見えたみたいです。みんなで引き返し・・

さあ、ジャンダルム直登開始。ザイルをつけてまずはトップのグッチーさん。ひょいひょい、と登って行きました。次いで私の番。カトさんが「俺、ソロで先に行くわー」っと、言いました。「えっ!」っと、固まったら「よし、わかった一緒に行こう」・・。中央一枚岩右横の登りがてこずりました。
上からはグッチーさんが引っ張ってくれ、すぐ下からカトさんがアドバイス。・・・!!
やったー、登った、やったー!です。ジャンダルムン直登成功!
ものすごくうれしかったです。万歳―〃
男前の握手をしました。一瞬目がウルってきました。なんとも言えない充実感。グッチーさん、カトさん、ありがとうございました。
感動に満ち溢れながらジャンダルムを後にし、目指すは西穂高岳です。
この地点では、まだ3分1なのに、力を果たしきった感じでした。
その後は容赦なく、登ったり下ったりの連続。
(コブ尾根→畳岩尾根→天狗の頭→間ノ岳)と、進みました。間ノ岳、赤茶けた岩が積み重なったようなピーク。もろい浮石などには泣かされました。
そして目差す西穂高岳山頂(11:00分)到着。ここで今朝食べなかった「もちっこワンタン」を作って食べることに。とても簡単で沸騰したお湯にワンタン・粉スープ・お餅を入れるだけ。5分ほどで出来上がります。名だたる北アルプス西穂高山頂にて熱々のスープ。あ~、なんと贅沢な。幸せです・・。

西穂山頂にて
西穂山頂にて

お腹も落ち着き(11:30分)出発。(ピラミットピーク→独標)を経て、
西穂高山荘(13:30分)到着。西穂高からは登山者が多く、夏休みもあってかちびっ子たちも元気に登山を楽しんでいました。
ホッとしたのか、一気に足がガタガタになってきました。テントを設営し山荘の涼しいカフェで乾杯しました。まだ陽が落ちない前にテラスにて夕食。
グッチーさんのニューバージョン麻婆茄子丼&キムチスープ。カトさんはおでんをご馳走してくれました。おいしかったです。ご馳走さまでした。
6時には就寝。やはりカトさんが一番のりで眠りに。
私もテント泊で始めて、ストンっと眠りに就きました。それも熟睡。きっと緊張がほぐれて寝れたのかと・・。やはり「憧れの岩稜帯」ですからね。
夜も更け・・午前三時。グッチーさんとペルセウス座の流星群を見ました。ものすごい星。そのなかを「スー」と、流れる流れ星。願い事をしようかと思いながらも、「どこだ、どこだ」っと、探すのに力を注いでしまいました。それにしても綺麗でした。

8月13日(晴天)
4:30分起床。カトさんのソーメンを頂き6:30分穂高山荘を後にしました。最終日、先頭を歩かせていただきました。大先輩と一緒なので、モタモタしていたら駄目だと自分に言い聞かせ、早歩きしました。普段通りの速さを装いながら、必死スピードで駆け下りました。カトさんは厳冬期に歩いたルートを確認しながら・・グッチーさんはカッコいいサングラスをみつけるし・・私の気合とは裏腹、お二人は余裕の下山でした。
8:30分到着。その後、アルペンホテルにて温泉で汗を流しました。
やはり格別ですね。何日もお風呂に入ってないと、お風呂のありがたみが身に染みます。「最高―!」誰にも迷惑のかからない匂いになって、(河童橋→上高地→新島々→松本)丁度お昼時もあって駅にある手打ち蕎麦へ。蕎麦屋ですがご当地の日本酒がたくさんあり、先輩たちは追加しながら飲でいました。
13:02分発のあずさに乗り帰京。おつかれさまでした。

爆睡中
爆睡中

天気にも恵まれ、よかったです。
本隊、縦走隊の皆様もありがとうございました。


●メンバーの感想

〈グッチー〉
再度訪れた奥穂西穂ル-トはやはりすばらしく、前回より落ち着いて堪能できとても楽しかったです。同行の皆様に感謝です。

〈カト〉
穂高連峰合宿感想-ケッチボーが穂高の峰々に木霊する-
8月11日(日)10:00過ぎ、奥穂から定時の無線交信。西穂-奥穂縦走隊から「今ジャンダルムです」の音声。見ると数人の色とりどりのウエアーがジャンダルムのピークで確認できる。「ケッチボー」で呼びかけると「ケッチボー」が帰ってくる。お互いに手を振り確認する。
同日、奥穂からの下りの鉄梯子から奥穂山荘のテラスを見ると人がごった返している。きっとあの中に早く着いた西穂-奥穂縦走隊がいる。新人のミチさんが「ケッチボー」声出しの練習。物凄く大きな声で「ケッチボー」を叫ぶ。穂高連峰が震撼する。テラスの人々が一斉にこちらを見る。お互いに手を振り確認する。ビールを買って宴会の準備をして我々を待っていることを期待して合流する。これで合宿メンバー全員がそろい乾杯。
8月12日(月)7:00頃、ジャンダルムを下ったところから振り返ると、飛騨尾根を登攀してジャンダルム基部のコルにいる登攀隊がいる。「ケッチボー」で呼びかけると「ケッチボー」が帰ってくる。

今年のアルパイン夏合宿も多くの会員が参加した。異なるルートを踏破する各隊が広い奥穂連峰の峰々で遠くの仲間を「ケッチボー」で確認する素晴らしさを味わった。合宿の醍醐味だ。事故がなく全員がそれぞれの目標を達成して満足して下山できたことは参加者の不断の努力、事前トレに加え諸先輩の指導の賜だと思う。
この合宿の経験を活かし今後とも精進し安全で楽しい山行を重ねたい。
最後に、アルパイン班企画担当の総隊長ミナトさん、各隊リーダーの皆さん、顧問格の笹田さん、チームメンバー隊長グッチーさんとミチさん、そして参加者全員に感謝したい。
(追記)
実質6日間の山行で同じピークを4度も踏む希有な経験をした。最近の合宿では何故か同じピークを2度踏む(一昨年甲斐駒冬合宿、昨年劒夏合宿)ことが続いていたが、何と今回は奥穂を一挙に4度も踏んだ。倅夫婦と涸沢-奥穂をピストンした8日が1度目、登攀隊と合流して涸沢-北穂-奥穂山荘を計画変更し涸沢から奥穂山荘-奥穂-前穂をピストンした11日に2度目、3度目、奥穂-西穂を縦走した12日で4度。
奥穂はお腹一杯でもう許してほしいと言う感じになったが、よく考えてみれば山は同じルートでも日々異なる条件となりひとつとして同じと言うことはない。奥穂を中心にして縦横に歩く機会を与えてくれたこと、異なる条件環境を経験させてくれたことにむしろ感謝しなければいけないだろうと改めて感じる。

八ヶ岳/硫黄〜赤岳縦走

●期日:2013年7月27~28日
●メンバー:ミナト(CL)、スガ(SL)、みやのり、サイトウ、いしつかみ(記)

●記録
〈7月27日 晴れ→曇り→雨〉
7時、新宿発のあずさ1号(自由席)に、ミナトさん、いしつかみ、が乗車。
いしつかみ、が先に乗り込むも流れに逆らって隣の車両に行きました。進行方向一番後方の席を確保。(でかした)と、リュックを席に置き横を向くと、みやのりさんがいるではありませんか。(よくやった、と、なおも誇らしげになったのもわずかで・・みやのりさんから痛恨のお言葉。「あれっ・・?ここ指定席ですけど・・。」その瞬間全てを理解し流れに戻りました。(先に乗車したのに何ミスっているんだろう・トホホ・・)ミナトさんがしっかり席を確保していました。助かりました。もうすこしで茅野までの長旅、直立で向かうところでした。初めての、テント泊山行もあって気が舞い上がってしまっています。落ち着かないといけませんね・・。
9時30分、あずさ組よりすこし早くにスガさんは茅野に到着していました。
バス停で合流し9時35分、美濃戸行きバス発車。(7日間有効で1500円)
10時15分、美濃戸口到着。小屋のご主人みたいなサイトウさんが現れ合流。
今回のメンバー全員そろいました。よろしくお願いいたします!!
10時23分、出発、オーダーはスガさん、いしつかみ、サイトウさん、みやのりさん、ミナトさんです。この時点では天気は晴れ。暑かったけど楽しい山歩きの始まり、始まりです。・・・・・。
11時24分、美濃戸山荘で休憩。温かいお茶や冷たい水など頂きました。
12時04分、林道終点、ここから北沢登山道にはいります。
13時00分、赤岳鉱泉に到着。スガさんは分かりやすく丁寧にテントの設営を教えてくれました。「一つ一つのことには理屈があって・・」などなど、発する言葉はまさに先生です。当初はテントの上に張る雨除けシートのフライも、「フライパン」と勘違いしていました。なにもかも新鮮な世界です。
テントを張り終えると、小屋のテラス状の場所で宴会を始めました。マムートのジョッキに入って(一杯800円)の生ビールで乾杯!「~~うん、旨い!」いっぱい汗かいた後のビールは格別です。つまみも豊富で・・(パクパク)・・ピスタッチオが止まりませんでした。何を話したか記憶が定かではありませんが、とにかく楽しく、楽しくって、笑いが止まらなかったことはしっかり覚えています。

130727赤岳鉱泉
赤岳鉱泉

時間を忘れる程の時を過ごしていると、雨雲が近づいてきました。宴会を一旦しめて、夕飯作り。メニューはカレーライス。事前に炒めてある野菜とひき肉を煮詰めるだけ。とっても簡単です。ライスはスガさんが炊いてくれました。炊き終えると同時に猛烈な雨が降ってきました。雨は1時間ほど激しくふり、夕食後も雨がやむまでしばらく団らん。ここでも、笑いはとまりませんでした。日中の疲れはどこへやら・・。
20時過ぎに男子テントを離れ女子テントにて就寝。やはり興奮しているのか、なかなか寝付けずにいると・・「スースー」っと、スガさんの寝息。外は雨でテントを叩く音がさらに大きく。(あ・・明日大丈夫かしら)心配しながらも先輩からお借りしたシュラフに包まれ、徐々に眠りにつきました。

〈7月28日 曇り→晴れ〉
3時起床。昨夜の雨はやんでいました。朝食はみやのりさんがラーメンを作ってくれました。シャキシャキもやし入りです。早朝もあって、食べれるか不安でしたがサイトウさんがもりもり食べていたので、(先輩に続かないと)できるだけ頑張りました。炭水化物は大事なエネルギー源なので必要不可欠ですから・・。
4時29分テントが雨で濡れているし、いらないものは置いていけるので、そのままにして出発。まず行者小屋にむかうも樹林帯の中はうっすら暗かったです。5時行者小屋に到着、少し休憩をしました。6時16分、文三郎道の中岳との分岐、ここでも少し休憩をとりました。ここまでくると曇りがちだった景色も、山頂のあたりは展望がよくなってきているのを確認できました。
6時45分赤岳山頂到着。結構登山者が多く、記念撮影をして早々に退散しました。こ6時52分赤岳山頂小屋にて、休憩。そこからすこし下り7時26分、赤岳展望荘ここでも休憩をとりました。ここで悪場が出でくるためミナトさんがトップに。いしつかに、安全対策のためチェストハーネスをセット。すこし歩き始めると・・渋滞となりました。8時30分、横岳手前のピークで休憩をとり、30分ぐらい行くと狭路で登りと下りが行き違えない状態が生じ動かなくなる程の渋滞に・・。

130728横岳付近
横岳付近、大渋滞中。

そこを過ぎると一気に空いてきました。危険な場所もなくなるため、ミナトさんとスガさんが入れ替わり、ここからまた、スガさんの足場を追いながら進みました。途中大量のコマクサを眺めつつ歩きました。スガさんやみやのりさんは高山植物に詳しく、高度な話しをしていました。(シロバナコマクサ発見)

130728シロバナコマクサ
紅白コマクサ

9時46分、硫黄岳山頂到着。広い山頂でしたが、周りが断崖絶壁となってスパッと切れ落ちていました。また霧が濃い所なので転落しないよう、ケルンが方々にありました。(事故がありませんように)

130728硫黄岳
硫黄岳

11時、赤岳鉱泉到着、テント撤収。14時45分発(しかもそのときは14時35分発だと思い込んでいた)のバスに間に合うべく急いで準備しました。
11時45分、赤岳鉱泉出発。急ぎ目で下山開始。トップはスガさんで、急ぎ目とはいえとにかく早い。すいすい先を行く。(何が何でも遅れをとってはならぬ)と、必死でついていきました。12時40分美濃戸山荘到着。この調子だと間に合いそう・・っと、思いながらも焦る休憩でした。あともう少し、下山途中にあるショートカットを利用しつつ、時間短縮を図りました。通り雨もパラパラ降ってきましたが、なんのその・・、ハイピッチ継続で・・13時30分美濃戸口到着。バス発車まで1時間以上あります。(あ~よかった)ゆっくりと入浴(500円)したり、蕎麦を食べたり、ビールを飲んだり、下山報告をしたりしてバスを待ちました。そしてここで、自車で来ていたサイトウさんとお別れです。サイトウさんはワークマンスタイルでバランスのとりかたを教えてくれました。しっかりと活かしていきたいと思います・・。
14時45分、茅野行きバス発車。思っていたより乗客はすくなかったです。
15時20分、茅野駅到着。ここで各駅停車の旅をするスガさんと別れました。スガさんはたくさん面倒をみてくれました。豊富な経験と知識には脱帽いたします。そして、時より正しい指摘にて(突っ込み)笑わせていただきました。ミナトさん、みやのりさん、いしつかみは、あずさにて帰京。新宿から埼京線に乗車。それぞれの駅にて解散しました。みやのりさんはテントを貸してくれたり、なくしたはずのペンを拾ってくれました。ミナトさんは誰よりも重いリュックを背負い幅広くサポートしていただきました。八ヶ岳は四季折々の楽しみ方がありますので、これから何度も訪れると思いますが、楽しく笑いの絶えない今回の山行は、忘れることがないと思います。みなさに支えられての北稜会、デビュー登山を無事終えることが出来ました。
皆さま、ありがとうございました。

南会津・黒檜沢

●期日:2013年7月21日
●メンバー:つりし(CL)、エビ、コバ、ハギ(記)
●行程:小豆温泉駐車場06:10~登山道横断点07:45~1030M二俣09:20~高巻き開始1220M地点10:25〜1400M奥ノ二俣12:30~4段30M滝下13:50~登山道22:00~小豆温泉駐車場01:50

●記録
土曜16時赤羽集合。西那須野で高速を下りてから多分24時間営業でないコンビニ(山あいの那須温泉街に入ったら、数軒の個人商店的ヤマザキストアのみ。温泉街手前の十字路にセブンあり)で買い出し。入渓場所の小豆温泉を通り過ぎてアルザ尾瀬の郷の駐車場にテントを張る、水洗トイレ&水道あり。入山祝い後就寝。

翌朝4時起床、小豆温泉スノーシェッドの切れ目にある駐車場へ移動。道路から入渓しようと黒檜沢にかかる橋を偵察するが、止めて三ツ岩岳登山口から5分ほど上がり、容易に沢に降りた。
コバさんが、下山祝いにと人数分ノンアルコールビールを持ってきてくれていて、流されないよう慎重に水に沈める(痛恨の残置品となるとはこの時誰も知らない…)

しばらくは穏やか。晴れていればもっとだろうが、白い花崗岩の綺麗な沢だ。ほどなく下部のゴルジュに入る。水量が豊富なので概ね水線を避けて右から左から、次々に出てくる滝を越す。たまに滝下で股まで浸かるが、思ったほど水は冷たくない。

01黒檜沢_ゴルジュ内
ゴルジュ内、次々滝が現れます

7M滝は登れず右岸の枝沢を登るとすぐに登山道にぶつかる。右に辿ると沢の横断点。銀色が眩しい、新しそうな鉄パイプ製の橋は崩れていた。
いったん開けるが、すぐにまた沢幅は狭まり、滝場。
一旦ゴーロになった二俣を過ぎ、途中ウドが沢山生えており10分ほど足を止め採取。コバさんから、お浸しが絶品というイタドリの新芽を教えてもらう。
再び滝場。最後の12Mくの字滝?、コバさんが果敢にフリーでシャワークライム、たきつけたつりしさんも負けじと続く。エビ&ハギは二人がザブザブと豪快に被ってるのを見て戦意喪失、左の岩壁から抜けると、またゴーロが広がる。

02黒檜沢_シャワークライム
コバさん直登中

ほどなく沢幅いっぱいに雪渓が現れた。端を舐めて少し進んだが、それもままならなくなり、天井が薄いスノーブリッジの先は陥没し、その先も視界が許す限りずっと続いている。ザッツ雪渓、な景色を沢で見るのは初めて、緊張+興味津々で中を覗く。

03黒檜沢_雪渓
雪渓が現れました

状態が悪そうだし側壁トラバースも土壁草付きでずっと行くにはどうか、ということで、纏めて高巻こうとの判断になった。スノーブリッジをくぐり抜け、右岸から藪に入る。途中、発破のような轟音が辺りに響き渡る。どこかで崩落してるらしい。一度本流左に並走する枝沢に降りるが、覗いた本流はまだ真っ白、枝沢に戻り少し上がってから再び藪に入る。高巻き開始から2時間ほどして沢が分かれているようだ、真下は白が途切れている。コバさんの文明の利器GPSで、1400奥の二俣付近に居るらしいと判る。高度計も1400。同時期の記録では、雪渓があるのはこの辺りまでで、詰める予定の左俣は雪がないかもしれない。

時間も押していたので、つりしリーダーは上部も雪渓が続いている可能性を考慮し、登山道横断点を目指して撤退、の選択肢も提示した。しかし話し合った結果、来た道を考えると、滝の側壁は高く洗われていて立木まで遠く、支点が容易に取れず懸垂ロープが足りない可能性、手持ちのハーケンも二枚ということで、撤退も厳しいものになりそうだ。ともかく降りて先を見てみようということになった。

懸垂で本流に降りる。
改めて地図チェック、本当にどんぴしゃで奥の二俣出合の左俣側に出たようだ。同じ斜面なのに雪渓で先がずっと埋めつくされた右俣に反して、左俣は見る限り何もない、この違いは何なのだろう。ともあれ一同喜び、明るい内に稜線に出ようと先を急ぐ。少し前から快晴になり、明るい白い沢はとても気持ちよい。後ろを振り向けば、近郊沢とは別世界な爽快な景色が広がっていた。

04黒檜沢_奥の二俣
1400M奥の二俣、後ろの右俣は雪で埋まっています
05黒檜沢_左俣
左俣は雪なし、快適
06黒檜沢
景色が開けて気持ちいい!

4段30M大滝の巻きをこなせば、核心は終わりだ。つりしリーダーがリード、左岸の草つきを直上(1P)ハング気味な真上の岩を巻いて右にトラバース(1P)、渇いた岩に強いアクアステルス靴のエビさんに交代、立っているスラブ岩を直上(2P)、さらにつりしさん直上(1P)、再びエビさんが岩と草付きのミックスを少し左に寄ってから直上(1P)、後続は固定ロープで登る。初めて使ったがタイブロックが非常に有効だった。にしても30Mロープなのでもう!?というくらいにすぐロープ一杯で、もどかしいほどにジリジリと進んでいく。読んだ記録では落ち口と同じくらい登ればすんなりトラバースでき、沢に戻れたような記述だったのだが。。。

07黒檜沢_奥は4段滝
奥に控えるのは4段滝
08黒檜沢_大滝高巻き中
大滝高巻き中…

傾斜が緩くなる岩稜と藪の境目まで来たときには、かなり高く追い上げられてしまい、沢には戻れない場所にいた。
気持ちを切り替え、このままこの尾根を稜線へ詰めよう!とつりしリーダー先頭に藪に突入。

しかし、上部の藪は強烈だった。ツル、太い笹、シャクナゲの波状攻撃(途中からトゲトゲ草も加わった)。携帯がつながったので、エビさんが18:30ごろ、下山が遅くなる旨掲示板に連絡を入れる。岩に突き当たり、少し左にトラバースして、マシな所から笹を掴んで強引に体を引き上げる(私は一度トライするも腕が負けてずり落ちてしまい、エビさんに最初の一歩ショルダーして貰う)。ザックを外して下に潜りザックを押しながら匍匐前進で抜けたり、足は概ね地面についてなかったり、なにがなんだかだ。ハーネスとかぶら下げているものは全部外してザックにしまった。

いよいよ完全に暗くなる前に、稜線方向にコンパスが合っているか改めて各自確認するようリーダーから指示される。また、ニッチもな岩稜に暗くなってから突き当たったら、明るくなるまでビバークすると伝えられた。

たまに太い木に乗ると頭が上に出て、スッと涼しい風。薄雲が被さっているが満月に近い月の光は力強く周囲の稜線をクッキリ浮き上がらせていて、新月でなくてよかったと思う。こんな所にこんな時間にいる自分が、ケモノになったような気分だ。遅れる私、コバさんが笹を倒したまま再三待ってくれる。
「登山道着いたぞー!!」と先を行くリーダーの歓声・ホイッスルが何度も吹き鳴らされ。全員が固い地面に揃ったのはちょうど22時だった。楽しみにしていた檜枝岐のお風呂もお蕎麦も今や、遠い彼方である。

さぁ…まだ終わってない、下山だ。
ヘッ電をザックに入れ忘れたコバさんよりもソロソロ降りる私を見兼ね、リーダーがストックを片方貸してくれた。3本足になって百人力。
登山道途中の分岐は、沢沿いコースでなく尾根コース(旧道)を選択。この瞬間、冒頭のノンアルビール残置が決定した。

コースタイムの2倍かけて車に戻り、そのままアルザに行く。それぞれ外の水道を借りて頭を洗い、水に浸したタオルで体を拭いて着替え、一応サッパリする。私も異臭を放つ服をぽんぽん脱ぎ捨て素っ裸(一応公序良俗上、皆からは離れた)、もうなんでもありである。午前2時半過ぎ、東京に向けて出発した。

月曜、つりしさん・コバさんはお休みを取り。。。、帰路お二人に運転を任せひたすら眠らせて貰ったエビさんと私は自宅へとんぼ返りで出勤。色々と忘れられない山行になった。

*********************
在京のみなさまには本当にご心配をおかけしましたこと、お詫び申し上げます。自分はパーティのために役に立てたのかと思うと、助けられるばかりで。「One for ALL、ALL for One」の精神で向かわなければならないと、身に染みました。
以下、記述は多少被りますが、MLに送付されたつりしリーダーによる顛末記を原文ママ記載します。
*********************

前夜泊し、入渓は予定時刻6:00、花崗岩の綺麗な沢だが水量多く手ごわい、要所要所でロープを出す。
途中、登山道を横切るところまでネットの記録ではここまで大体1hほど、対し我々は2h特にそれほどのロスがあった覚えもないのだが・・
遡行を続け10時20分 スノーブリッジ出現、延長50m位が確認できる、真ん中薄く崩壊個所ありで、下も上も行ける状況にあらず、小さい枝沢を使って高巻き開始。
(記録でその部分は一部残雪が遅くまで残るとあったので、そこだけではないかとそのときに思った)
しかし高巻中の藪の隙間からときおり見える沢はまるでスキーコース、メンバーに撤退の可能性が高いと告げるが、よく考えると沢の状況は全体的に両壁切り立った泥壁か岩壁 もってるハーケンは2つ、支点となりそうな竹、木は沢床から約5m~10mほど上に生えているので、30mザイルでは床に届かない。(これが豪雪地帯の沢の特徴かと改めて思い知る)
とりあえず予定地点の奥の二俣まで行き方針決定しようと、今回遡行予定 の左俣に懸垂するとスノーブリッジが消えている、情報通りやはり一部なんだと大喜びし遡行続行 時間は12時30分これなら楽勝で登山道には明るいうちには出れる。
そして問題の最後の核心部の3連の滝の高巻き開始13:30 これを過ぎれば終わりが見える。
情報では左岸巻、少し登ってトラバース 下のワンピッチはザイルを出せばよいだろうとのこと。
1ピッチヌメ岩、2ピッチ泥壁トラバース、3、4ピッチ乾いたスラブ直登、5ピッチヌメ岩直登、6ピッチスラブ直登
どれも要ザイルのピッチ、支点は1cmの小枝をシュリンゲでまとめとる、30m以内で切らないとなので支点構築に時間にかかる。
目を凝らし探し登るもトラバースができるところが見つからない、どんどん上まで追い上げられる。
コースアウトしたのか?
しかし6ピッチからうえは藪、傾斜もなだらかになりザイルなしで稜線には行けそうである。
16時半 すでに幕営ができない沢に下降という選択肢はない、稜線から藪こぎで登山道に突破することを決定する。
親方達による北アルプス深夜の猛烈な藪漕ぎ話に、暗くても藪漕ぎならできるんだと勇気をもらい、しかしもしも岩場が出てしまったら、そこでビバークすると心に決める。
シャクナゲ、蔓、竹の猛烈な藪でなかなか進まなく心がたびたび折れそうになるが途中から開き直りこの状況を楽しむこととした。
22時登山道に到着、夜の登山道を通常コースタイムの倍をかけ2時に登山道無事到着しました。(嬉しかった~)

改めましてメンバーの皆様、お疲れさまでした。
藪漕ぎ計7時間、沢+高巻き計9時間、下山登山道4時間の累計20時間に及ぶ大変厳しい山行になりましたが、メンバー各々の日頃の鍛錬で培った体力、技術力に裏付けられた自信、そしてなによりお互いの信頼関係によりこの困難を乗り越え、全員無事に下山できたことを山行リーダーとしてメンバーに深く感謝し最後の結びとしたい思います。