きのこ採り沢2016 福島県滑谷沢

期日:2016年10月1~2日
場所:滑谷沢左俣下降~三本松右俣遡行~栗子山~三本松左俣下降
メンバー:つりし・(L)ハギ・こば・あずさ・つかみ(記録)

週末の天気が・・・。
前線の影響で、週末雨が予想されていた。当初計画していたのは、奥只見に位置する白石沢スラブ。残念ながら中止が決定。それでも諦めきれず、相談を始めた。雨から逃れ、なおかつ水量がすくなく、秋・・きのこだ!と、言うことで2年前に訪れた、栗子山塊、滑谷沢に行くことになった。

【一日目】

6:00 王子駅前セブンイレブン前~東北自動車道・福島飯坂IC経由~
9:45 東栗子トンネル駐車場到着。全員沢靴に履き替え出発。

写真1前線を抜け見事な天気

駐車場の脇道を進むこと5分程で、林道に入る。この林道はかつての国道。(昭和41年に廃止されている)万世大路と呼ばれる旧国道は勾配も穏やかで、歩きやすい。
10:35 二つ小屋トンネルに到着。

写真22年前より整備されている

トンネルを抜け、しばらくすると大きなキノコを発見。次いで紫色したキノコ。図鑑で詳しく調べる。食べられると判明すると袋の中へ。それから入渓地までキョロキョロ収穫しながら進む。キノコだけではない、山ぶどうもある。粒が大きく甘い。もちろんこちらも袋の中に。宴会での葡萄酒、とても楽しみだ。そして歩きながらも山ぶどうを頬張った。

写真3大きいキノコ
写真4図鑑で検索
写真5スギタケモドキ

12:20 太平橋到着。ここより入渓。

写真6太平橋

日差しがブナの隙間からこぼれる。時より美しいナメ床が出現する。平坦で遡行しやすいのだが、キノコを探すのに夢中で何度か見逃す。みんな袋をぶら下げながら幕営地となる裏見の滝手前の二俣へと進む。前回は大収穫のため、今年もと・・期待をよせた。が、しかし・・大量収穫とまではいかなかった。

写真7きのこハンター
写真8美味しそうなナメコ

13:40 幕営地到着。右岸には人臭い気配が残っていた。向かって左岸はどうにか、人工的なものがない。なので、こちらに決定。タープを張り、テントを設営。次いで、個人の準備を整え、上流へとキノコ採りへと出発。裏見ノ滝を少し過ぎた辺りで倒木にはりついたクリタケを発見。その後は真剣に探すも、腐れていたり古かったりで無念に終わった。2年前に比べると不作らしいのだが、コッフェルいっぱいにキノコを収穫出来た。

写真9ご覧あれ、きのこ尽くめ

夕方には宴会が始まる。今までにないビールの量。今日はハギさんの誕生日前夜祭。こば料理長の料理はいつもながらプロ級だ。写真でお見せ出来ないのが残念だが、どうにか伝えたい。旬の芋煮は牛肉、キノコ入りと、贅沢な具が盛りだくさん。しかも白菜が溶け込んで、たまらない美味さだ。芋煮だけじゃない、豚の味噌漬け。焼き鳥。まさか山で三種類のお肉を食べるなんて想像もしなかった。ミズのお浸しは鰹味と梅味を楽しみ、採れたて葡萄とバーボンのコラボ酒。米は収穫したてのコシヒカリ。あっ・・これ以上、望むものなんて・・主役はハギさんのはずだが・・負けじと、みんな幸せに包まれた夜を過ごした。

【二日目】

5:30 起床。予定より30分遅れた。まさかの全員寝坊。今日は荷物をデボして6時間程の行動予定だから、押した分急がないといけない。しかし慌てる様子もなく、約一時間後の6:40分出発した。

テン場の滑谷沢左岸から三本松沢右岸の奥へ進み、そのまま沢床へ降りる。遡行図では栗子山までの間、2~5m、3~7mの小滝連続と大雑把に記されている。次から次へと滝が続く。大きなものはないのだが、ナメがあり慎重になったり、濡れるのを回避しまいたりした。いくつ滝があったかは数え損ねたが、ロープを出すこともなく楽しめた。

写真10ナメ床を進む
写真11快適に登る

9:35 栗子山到着。三角点をみつけられなかったのだが、ドラム缶が放置してあり、そこを頂上とした。

写真12栗子山のドラム缶

藪漕ぎをしながら稜線を南に南下。稜線にはピンクの紐で標がされている。背丈ほどある藪を抜けると見晴らしの良い台地になっていて、吾妻連峰や麓の町がよくみえた。しばらく休憩・・何もかも吹っ飛んでしまう程、癒される・・。

写真13藪を抜けると絶景が
写真14稜線からの眺め

10:30 稜線から三本松左俣下降に入る。小滝が連なるが、比較的簡単に下降できる。中俣、右俣と出合いしばらくすると、滑谷沢出合いでる。
12:20 幕営地に到着。撤収を行い
12:40 出発。帰りはキノコ採りに夢中だったので気づかなかった部分を何度か確認しながら進んだ。場所によっては新鮮な感覚を覚える。

写真15昨日通ったはずなのに・・

13:35 太平橋~14:45 二つ小屋トンネル 林道の万世大路を下って行く。
トンネル内は舗装されているので、歩きやすい。整備されている気配だが、崩落している箇所があったりもして、気が引き締まる。木漏れ日に当たりながらあっという間に、駐車場到着。15:30。

自然の恵に、感謝せずにはいられない。
きのこ採り沢、このまま秋の定番コースになりそうだ。

コースタイム
【一日目】東栗子トンネル駐車場出発9:45~二つ小屋トンネル10:35~太平橋(入渓)12:20~二俣(幕営地)13:40
【二日目】二俣幕営地6:40~栗子山9:35~三本松左俣下降10:30~幕営地12:20~太平橋13:35~二つ小屋トンネル14:45~東栗子トンネル駐車場15:30

谷川岳 馬蹄形縦走

日程: 2016年10月8~9日
メンバー: ミナト(CL)、アトム、ウエ、ユイ(記)

CT: 10/8 土合橋駐車場(7:05)〜松ノ木沢の頭(09:40)〜白毛門山頂(10:50/11:20)〜笠ヶ岳山頂(12:25/12:40)〜朝日岳(14:00/14:35)〜ジャンクションピーク(14:50)〜清水峠(16:25:幕営)
10/9 清水峠(7:30)〜七ツ小屋山(08:25)〜蓬峠(09:25)〜白樺避難小屋(10:20/10:45)〜芝倉沢巡視小屋(12:30/12:50)〜マチガ沢駐車スペース(13:50/14:00)〜土合橋駐車場(14:25)

1日目、早朝に集合、先ず、土合橋駐車場から霧の中、白毛門に上がります。なかなかの急坂が続き、露岩も点在するしっかりした登りです。松ノ木沢の頭前後から森も疎らになり、視界も開けてくるはずですが、今日は真っ白、ジジ岩・ババ岩も見えません。そのまま岩がちな山道を白毛門へと登り、稜線を伝って、笠ヶ岳へと歩いていきます。

白毛門へ、岩場を越える
白毛門山頂にて

笠ヶ岳へ向かうあたりから、霧が晴れてきた。パーティのメンバーから一斉に歓声があがります。霧が晴れると、周囲は紅葉した木々の山々、正面に笠ヶ岳から小烏帽子の稜線、稜線の笹が風に波打って風紋のよう。眺望は期待していなかっただけに喜びが湧いてきます。

紅葉の笠ヶ岳
笹原が波打つ笠ヶ岳の稜線

笠ヶ岳からは稜線を伝って、小烏帽子を抜けて朝日岳に到達。時折、晴れ間も出てきて、ぐるり360°の展望を楽しめる眺望山行となりました。朝日岳に到着して休憩。朝日岳周辺は広くてとても気持ちが良いところ、静かでとてもきれいな山頂です。休憩後はおだやかな池塘の広がる木道を進み、ジャンクションピークを抜けていきます。

笠ヶ岳山頂にて、山頂同定中のよう
笠ヶ岳山頂より白毛門方面、ジブリ調
崖上のミナトさん
朝日岳山頂にて
朝日岳池塘の木道
ジャンクションピークの先には、右手に巻機山のカッコいい稜線が続き、登山道の続く稜線には幕営予定地である清水峠が見えます。清水峠への下りは、トラバース気味なやや嫌らしい個所も幾つか越えるなど足元に気を使い、また、視界に清水峠にあるJRの巡視小屋と避難小屋を肉眼ではっきりと捉えるものの、なかなか清水峠に到着できませんでした。
ジャンクションピーク先の稜線
カッコいい巻機山
清水峠はあと少し
紅葉稜線
幕営地の清水峠は、穏やかな笹原にある心地よいところ。水場の水はとてもおいしく、幕営にちょうど良いです。この日の夕食は、ウエちゃんが、マイタケのスープ、エリンギとホタテのアヒージョ、トマトソースのペンネをふるまってくれました。アトムさんが持参して下さったビールで乾杯し、ウイスキーや焼酎をいただきながら、歓談のひと時を経て、22時頃に就寝しました。
清水峠に到着

2日目:翌朝は冷たい雨。起床時間を遅らせ、お湯を沸かして、アトムさんが作るコーンビーフサンドイッチをおいしくいただきました。この日は、風雨強く、早々に蓬峠から土合口への下山を決める。冷たい雨と風の中、七ツ石小屋山を越え、蓬峠から下山開始です。雨の谷川岳は、蛇紋岩がつるつる滑り、途端に難しくなります。崩落した岩のトラバース、増水した沢の渡渉などがあり、気を使いながら、慎重に対処します。雨に濡れた岩は、まるでアルカリ温泉にある浴槽と洗い場のようにつるつる滑り、また、沢も増水していて渡渉が難しく、下山は思ったより大変でした。

雨の清水峠
雨の白樺避難小屋
増水した沢の渡渉個所を探す

事前の天気予報では、両日とも雨予報でしたが、初日は山行日和になり、紅葉と眺望を楽しむことができました。2日間の歩きごたえあるルート、無事に楽しく歩けたのは、泊まり山行に慣れた会の皆さまのお陰です。今回は、荒天で蓬峠から下山となってしましましたので、次回は、好天の日に、是非とも谷川馬蹄形をコンプリートしたい、魅力的なルートと山行でした。

米子沢~国境稜線~白毛門山

【期間】2016年10月7日~8日

【メンバー】こばL、キム

今回はキム兄が東北巡業に出る直前ということもあり、贅沢にも1人1台の車。道の駅みなかみ近くのコンビニで待合わせて、まずは下山地点の白毛門登山口にある駐車場へ。キム兄の車をデポして新潟へ。桜坂の駐車場には11時ごろだろうか。ビールを飲んで眠りにつく。

10月7日(金)
6:00出発-6:30入渓-9:40避難小屋-10:00巻機山頂(ホントの山頂)-11:25米子頭山北側のコル-12:40米子頭山-15:00北側の1809m峰北側のコル(BP)

5時起床。
普通ならば尾根ルートを取るところだが、某先輩の言葉に調子にのって米子沢遡行、ナルミズ下降という計画にしていた僕等。カップ麺を食って沢支度をすると6時。計画書では柄沢岳手前の1809m峰のコルの池塘としていたが、できることなら今日のうちに檜倉山まで、はたまた朝日まで抜けたいなんて。なんと無謀なことか。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA<米子沢は薄曇りで寒かったあ>

6時半前に入渓。10時には巻機山の本当の頂上。ここまでは予定通り。しかし試練はこれからだ。赤牛岳との分岐からいよいよ国境稜線に足を踏み込む。多くの記録にもあるように、ここからしばらくは群馬県側の草地に踏み跡がある。これを辿ると栂ノ頭を東から巻いて行くことができる。途中何箇所かの笹薮はあるものの快適だ。草地の傾斜が強くなりこれ以上は行けなくなる栂ノ頭直下で笹を掴んで稜線に乗る。ここから米子頭山北のコルまではどの記録でも心くじかれる激藪。しかし3年前の記憶ではさほどではない。後で思うことだが、先人たちは朝日側から踏破していることが多く、この辺りは最後の苦しい登りになる。逆から行く我々にはあまり参考にならないのであった。この下りもやはり背丈を超えて潅木が混じる激藪ではあるが、まだまだ元気な僕らにはダメージが少なかったように思う。それでも巻機山頂から1時間半。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

コルを通過するといよいよ藪の登り。しかしここは背丈と腰ほどの藪が交互に現れ比較的楽。12時40分頃米子頭山到着。藪に囲まれた山頂だが群馬側は露岩で開けていて眺望がある。山頂には一応山名板もある。
米子頭から先もやはり背丈ほどの藪。ピークを幾つか越えていくが柄沢岳手前の1809m峰南側の草原が今日のBP予定地。気合を入れて再スタートを切る。
ピークがあるとは言っても高低差はあまりなく、それがかえって藪漕ぎを辛いものにしている。顕著な登りや下りであれば笹も枝も下に向かって這っているので両手で掻き分けやすい。傾斜が緩いと好きな方向に這っているので、まるで編み込まれたようで両手で漕いでも歯が立たない。勢い枝の上に乗り上げてねじ伏せるが、それも不安定で恐い。かれこれ2時間上以上格闘し精魂尽き果てた頃急に視界が開け草原地帯となる。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

二つある1809m峰のうち北側にあるものの南面に出たのだ。コルの辺りに二つの池溏があり一面の草原だ。次のピークまでは踏み跡もみえる。まるで天国のようだ。二人とも草原に出たところでしゃがみこんでしまい、もう一歩も動く気がしない。時間は15時。もう少し先に予定していた池溏と草原のテンバ適地があるはずだが、ここでビバークすることに決定した。明日取り返せるのだろうか?
池溏の水も意外ときれいだが一応浄水器で濾過し、一度沸かして使うことにした。これがなかったら一体どれだけの水を担がなければならなかったことか。日が暮れるまでのんびり酒飲んで飯食って。日がくれると一気に冷えてくるのでさっさと寝てしまった。

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10月8日(土)
6:00出発-7:30柄沢山-11:10檜倉山-15:00大烏帽子山-16:40ジャンクションピーク-17:15朝日岳-22:00白毛門登山口駐車場

2日目も5時起床6時出発。
しばらくは草原と踏み跡のある笹原に昨日は見えたが、行ってみると笹原に踏みあとは見つからず。結局1809m峰南のコルまでそれなりの藪漕ぎ。やはり池塘を持った草原が広がりこちらも天国のテンバ。地獄の藪と天国の草原が交互に出てくるのだこの稜線は。(圧倒的に地獄が多いけど)
目の前に大きくそびえる笹の茂る柄沢山を目指す。稜線の中心を歩くと時折踏み跡が現れる。旧道はここに付いていたのであろうか。確かに藪も胸くらいで首が出せるだけ気持ち的には楽になる。小ピークをいくつか越えながら進むのだがなぜか小ピークの付近にはシャクナゲや針葉樹の灌木が密集する。このころになるともう避けるよりも中央突破。柄沢山の直下から草原となる。これはうれしかった。そしてこの草原が新潟側の奥まで続いているようにみえる。草原に誘われるように歩いていった先には悪魔が待ち構えていた。そう、この稜線は新潟側に外れてはいけないのだ!草原はやがて浅い笹藪となり、すぐに行くことも戻る事も出来ない激藪に変わり牙を剥く。真っ直ぐ新潟側の斜面に這っている笹を掻き分けるのはほぼ不可能。音を上げて稜線を目指すがあまりに遠い。高度を上げるとさらに灌木の密度が増して壁のようになる。わずかばかりだが進んだ辺りで南へのそこそこの下降となる。これを逃したらもう稜線に戻れない!笹に掴まり枝に掴まり力ずくで体を振って稜線目指して下降する。足元は常に空中。コル状になったところで稜線を捕まえて力尽きる。振り返ると群馬側に草原がみえる。俺たちはなんてことをしてしまったんだあ。ガッカリである。しかもたどり着いた稜線には踏みあとが。。。
下降中にも見えたが、ここから檜倉山までは灌木中心の藪。見た目には紅葉してたりしてきれいだが、そんな見た目には騙されないぞ!(って突っ込むしかないのだが)

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枝をなぎ倒し、踏みつけ、落っこち、転がり、脛を打ちながら越えていく。何度か倒れこんだまま動けずそのまま休憩。正直ここから檜倉山までの間に何があったのかほとんど覚えていない。ようやく檜倉山についたときには3時間以上が経過していた。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA<わかるかなあ。足の下は地面まで1M弱>
檜倉山山頂は広い草原&池塘で天国のテンバ。しかし昨晩すべてのアルコールを飲みきってしまった僕らにはここで泊まる選択肢はない。

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そうは言っても出発からすでに5時間。くたくたなので大休憩とする。池塘の水を濾して一旦沸かして水筒に補給する。ちょっと色がついている。このルートにはこんな水しかないのだ。
20~30分休憩して鋭気を養って最後のピーク大烏帽子へ。ここから先も何があったかはやはり記憶があいまい。というかどこも同じようにひどい藪。
大烏帽子の頂上直下近くに来るといきなり藪から飛び出し草原となる。なんと開放的なことか!これで苦行も終わった!と思ったのだが。。。草原はさほど続かず、ホントの頂上直下は藪。でも頂上からはナルミズ沢の源頭まで草原が広がっている。その先は踏み跡があるとの記録どおり、上から見ると明瞭なトレースがつながっている。やったー終わった!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA<最後の草原。終わったあ。>

OLYMPUS DIGITAL CAMERA<ナルミズ沢の源頭>

しかし時計を見ると15:00。これから沢を下るのは危険。コルでビバークしたとして明日ナルミズ沢下降+東黒沢下降までできるか。さらに天気は下り坂。ナルミズ沢下降は諦め、今日のうちに土合まで下山すべく覚悟を決める。ナルミズ沢のコルからジャンクションピークまでは確かに踏み跡はあるが、やはり沢屋の踏み跡。一般登山道とは違うわけで暗くならないうちに通過しなければならない。15:00ともなるとこの時期は日の傾きが気になる。せっせと藪漕ぎ交じりの踏み跡を辿り何とか明るいうちにジャンクションピーク。そして朝日岳の水場までたどり着けることができた。
この先は暗いながらも一般道で水もたっぷり。安全だし、まあカモシカ山行?久しぶりのヘッデン下山にちょっと楽しさを感じつつ夜10時には下山。予定通り?
白毛門登山口の東黒沢で身を清め、デポした車で再び桜坂へ。腹減りまくってたけど意外と食えないもんですなあ。2時ごろ眠りにつきました。

奥秩父全山縦走

日程:H28

9.9 韮崎駅発バス8:50~瑞牆山荘前10:05~金峰山~大弛峠小屋15:00幕営
9.10 幕営地4:00~国師岳~甲武信岳~破風山~雁坂峠小屋14:30幕営
9.11 幕営地5:30~古礼山~笠取山~唐松尾山~将監小屋12:30幕営
9.12 幕営地6:00~飛龍山~雲取山~雲取山荘13:00幕営
9.13 幕営地6:00~白岩山~三峰神社9:30 西武バス10:30発~帰玉

参加者:ミナト(単独)

9/9(金)晴れのち曇り

韮崎駅バス停の『台風の為、バスの運行を中止します』との貼紙に唖然と立ち尽くす私…。過去2回の挑戦は体力不足で敗退、そして今回はなんとアプローチ敗退とは!
途方に暮れていると、バスの運ちゃんが来てその貼紙をベリッと剥がします。「バ、バスは出るんですか?」と私。「安全が確認出来たので出ますよ」とのこと。ヨカッター!!
終点の瑞牆山荘前でバスを降りて身支度を整え、金峰山に向かい幅広の登山道を登ります。富士見平小屋の水場で喉を潤し、小屋で休憩しようとしたらノコギリを持った髭づらの小屋番が入口で仁王立ちしていて、ちょっと怖かったので素通りしてしまいました。仕方がないので大日小屋まで休まず進みここで休憩です。この小屋も何だか不気味な気配が漂っていたので中には入りませんでした。
ガマスラブみたいな大日岩を横目に過ぎて、急登で大汗を掻き樹林帯が切れるとようやく砂払いの頭に到着。たぶん展望が開けているのでしょうが、今はガスの中。「まったくなんにも見えなかった」と言いながらオジサンが頂上から降りて来ました。その後はガスの中の岩稜帯をよじ登り、五丈岩と金峰山頂に到着。平日なのにガヤガヤと登山者が居て、さすがは百名山です。頂上から少し離れた静かなところで休憩し、今夜の泊り場の大弛峠へ向けてあと2ピッチを頑張ります。

証拠写真その1:金峰山証拠写真その1:金峰山

次のピークの鉄山は巻いて、その次の朝日岳を越えてちょっと下ると大弛峠で、立派な舗装された駐車場に車が数台駐車しています。「こんな山奥なのに…」と場違いな思いを抱きながら、できるだけ車道から離れた場所にテントを張りました。

9/10(土)晴れ

今日はちょっと頑張るので、3:00時起床、4:00時出発。まずはヘッデンを点けて国師岳へ向かいます。皇太子様のおかげなのか国師岳までは立派な遊歩道で、ヘッデン無しでも行けちゃいそうなくらいです。途中奥秩父最高峰の北奥仙丈岳へ寄り道し、国師岳に着いたのは5時ちょっと前。山頂には御来光と富士山の撮影目的のカメラマンが大勢いて、しかも皆声ひとつ出さずに黙って東の方向を見つめており、何か新興宗教のような不気味さを醸し出しています。山名標の写真を撮るのも憚られすぐに先に進みます。
ここから甲武信ヶ岳まではガイド本等によると「展望も登山者も無く、ひたすら原生林の尾根歩きがうんざりするほど続く」らしいのですが、原生林フェチの私は大いに期待してしまいます。確かに国師岳から先は道も細くなり登山者も皆無、そして「これでもか!」というほど針葉樹の原生林に浸れますが、木が若干細いことがイマイチだったかなぁ。雰囲気的には南アルプスの光岳周辺か八ヶ岳の御小屋尾根のような感じで、世代交代後のまだ若い森なのでしょうか、あと百年くらいしたら見頃なのだろうなと思いながら歩きました。

国師岳で御来光を待つカメラマン国師岳で御来光を待つカメラマン
原生林の朝日に輝く苔原生林の朝日に輝く苔

そんな楽しい原生林の道も甲武信ヶ岳が近づくと普通の登山道になって、百名山ハンターがウヨウヨしています。甲武信ヶ岳山頂も甲武信小屋もウヨウヨ、小屋でコーラを飲んだらとっとと木賊山へ、そして山頂から笹平へ急降下すると破不避難小屋が見えてきました。明るくてとても雰囲気の良いキレイな小屋で、思わず泊まってしまいたくなりましたが、まだ昼の11時です。大休憩することで我慢しましょう。
小屋から西破風山への登りは本日一番の頑張り所で、休まず一気に登らないとヤバイです。頑張って登って、もうひと頑張り雁坂嶺を登って下りたら日本三大峠の雁坂峠です(あと二つは針ノ木峠、三伏峠)。とても気持ちの良い笹原の峠で、ここのベンチで1時間程昼寝をしてしまいました。そして、今夜はここから10分下った雁坂小屋に幕営です。

泊まってみたい!破不避難小屋泊まってみたい!破不避難小屋
日本三大峠の雁坂峠日本三大峠の雁坂峠

9/11(日)曇り時々晴れ

今日はのんびりなので、4:30起床、5:30出発です。小屋から雁坂峠へ登り返し、水晶山へ緩やかに登っていきます。昨年の秋にも訪れたのですが、ここから古礼山までの原生林がとても素敵なのです。適度な樹間を保つコメツガやトウヒの黒木の大木、倒木を覆う厚い苔の絨毯、朝の斜光の輝き、それらが原生林フェチを夢中にさせます!
古礼山からは雄大な富士山が見えるハズですが、今日はガスで何も見えません。そそくさと燕山へ向かい、ショボい山頂を越えると雁峠へ急降下です。雁峠は広くてとても気持ちの良い静かな高原の峠です。そしてひっそりと佇む廃屋の峠小屋が、昔日の賑わいを語っています。

フェチのおススメ原生林フェチのおススメ原生林
静かな雁峠静かな雁峠

さて、これから今山行一番の急登の笠取山を迎えます。昨日の西破風山よりもさらに急登で、攣りそうになる足を騙し騙し登ってやっと頂上です。頂上っぽくない頂上を通り過ぎ、さらに3つほどのピークを越え急降下して本来の縦走路に合流しましたが、すぐに唐松尾山への分岐路に入ります。大して期待していなかったこの分岐路ですが、いやいやこれは素晴らしい原生林じゃないですか!唐松とコメツガの大木や老木と、背の低い笹原の林床とのマッチングは「The_奥秩父」と呼ぶのに相応しい原生林です!幻想的な霧の中の緩やかな起伏の原生林を彷徨い歩き、幸せな時間に浸っていたら唐松尾山の山頂にひょっこり出ました。山頂は展望も無くひっそりとしています。あとは和名倉山分岐の山ノ神土、なだらかな草原の午王院平、明るい将監峠を経て将監小屋まで下れば今夜の幕場に到着です。

主のような黒木の大木主のような黒木の大木
ひっそりとした頂上ひっそりとした頂上

将監小屋の出入り口には、スズメバチの巣があって中に入れません。炊事棟で休んでいた人達が「今日は小屋番は留守だよ」と言うので、受付せずに適当にテントを張って昼寝しました。夕方起きたら誰も居らず、辺りはシーンと静まり返っています。ちょっと寂しかったので、そそくさと夕食を食べ6時には寝てしまいました。

9/12(月)小雨のち雨

今日は5:00起床、6:00出発。段々と起きるのが遅くなってきましたね。小雨が降る中、飛龍山に向かって巻道を行きます。計画では地図読みしながら竜喰山~大常木山を登頂する予定だったのですが、「雨の中、わざわざ地図読みかぁ?」と日和ってしまいました。ダメですね、本当に根性無しですみません。
飛龍山までの巻道は退屈でした。森も過去に伐採が入った様でイマイチです。飛龍山頂への分岐手前に禿岩という好展望地があるのですが、ガスで何も見えませんでした。分岐から山頂へ向かうと辺りの雰囲気はイイ感じになってきます。シャクナゲのトンネルや黒木が迫る奥秩父らしい道をしばらく行くと静かな飛龍山頂に到着です。

静かな飛龍山頂上静かな飛龍山頂上

分岐まで戻り、雲取山を目指してまた退屈な縦走路を歩きます。北天のタルで三条の湯へ下る道を見送り、しばらくすると「狼平」という不思議なところに出ました。森の中にそこだけぽっかりと笹と苔の原の空間が開いています。しかも小雨煙る中、動物の遠吠えまで聞こえてきました。「えっ、オオカミ!」と思いましたがまさかね…。

狼平狼平
笹と苔の原:オオカミがいるかも?笹と苔の原:オオカミがいるかも?

そこからすぐで三条ダルミ、ここからも三条の湯に下れます。雲取山荘への巻道は通行止めになっていて、縦走路は雲取山へ直登します。けっこうキツイ登りですが、最終目的地だと思うとテンションも上がります。「どはっ、ヤッタゼ!!」と雲取山頂に到着し、しばし感慨に浸ります。なんか場違いなほど立派な山名標の証拠写真を撮り、のんびりとおやつを食べて、今夜の幕場の雲取山荘へ下りました。

証拠写真その2:雲取山証拠写真その2:雲取山

9/13(火)大雨

5:00起床、6:00出発です。土砂降りですが、下山して温泉に浸かれると思うとそんなのはヘッチャラです。川のようになった登山道を三峰神社目指してどんどん進みます。靴の中はもちろん、カッパを着ていてもパンツまでぐっしょりです。しかし頭の中は「温泉入って~♪カツ丼食べて~♪」と温泉とカツ丼の歌がグルグル回っていて、ほとんど休みも取らずに三峰神社に到着してしまいました。神社の屋根付きバス停でズボンまで脱いで着替えていたら、掃除にきたオバサンに変な目で見られてしまいましたが、しょうがないですよね。
あとは大滝温泉にゆっくり浸かって、隣接する食堂でカツ丼からダムカレーに浮気して、3度目の挑戦にしてやっと達成できた奥秩父全山縦走の喜びをひとり味わいました!

柳沢川右俣遡行

2016年9月10日〜11日
≪メンバー≫
ハギ(L)、いた、アトム、コバ、つかみ、キム、アベ

今年度入会のユイさんのために、ハギさんが企画した山行に加わった。
その主役のユイさんが、当日発熱のため急遽不参加になってしまった。
前夜送られてきたメール内容から、すごく張り切っていた様子が伺える。
遠足前に張り切りすぎて、当日熱を出してしまう可愛そうな小学生がいるが、同じ症状なのでしょうか?
真実はどうなのか聞いてみたい・・・。
主役不在でも山行は予定通り決行される。日曜日は雨の予報なので濡れることを覚悟したが、そこは北稜きっての晴れ女、いたさんの参加があったので、両日晴天に恵まれ楽しい沢登りが堪能出来た。

9月10日(土)
≪コースタイム≫
東武日光駅→(¥1500)→赤沼→(¥300)→西ノ湖入口
→11:00 柳沢出合→12:00 赤岩滝分岐→13:00 二股→13:40 2段15m滝→
14:40 テント場 22:00 就寝

 自家用車を使っての山行が多い自分にとっては本当に久しぶりの電車利用に、最初からとまどいがあった。車だと余分な物はトランクに置いておけばよいのだが、公共機関利用だとそうはいかない。ただ酒が飲めるという最大の利点があり、運転しない安心感もある。
初めて使う日光までの東武鉄道には、春日部駅から乗車。
最後尾に乗車したが、新今市駅で車両の切り離しがあり、日光駅まで行けるのは後2両だけだったのでラッキーだった。
予定時間で東武日光駅に到着。前を歩いて行くコバさんを発見。
改札口でみんなと合流。
湯元温泉行きのバスでJR組のいたさん、アトムさんと合流。運行バスの運転手さんは、「今年は大変緑が綺麗なので、すばらしい紅葉になるだろう。でも、紅葉時期は日光駅から中禅寺湖まで5時間掛かる。」との説明に、来て欲しいのか来て欲しくないのかとの疑問を感じた方も居たようだ。バスは「いろは坂」を登り赤沼で下車。
赤沼でバスを乗り継ぎ「西ノ湖入口」で下車。唐松林の遊歩道を赤岩滝方面に右折し40分ほどで沢の出合いに着く。

記録はユイさんが担当する予定だったらしいが、参加していない人に頼むこともできないので、急に参加させてもらうことになった自分が引き受けた。
赤岩滝分岐を左に入りしばらくすると、崩壊の激しい場所に出る。このところ続いた台風と大雨の影響によるものと思われる。いくつか枝沢が入り込んでいるが、何れもかなりの水量があり、土中に相当量の水を含んでいることが推察される。
右俣沢に入るとナメ床が現れる。これを見たいためにここまで来ていると思いたいが、今日の顔ぶれをみると、目的は別にありそうだ。
沢の終わりに素晴らしい平坦地があるらしく、そこで一泊するのが狙いのようだ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA二俣付近のナメ

2ナメ滝

 2段15mの滝を右岸から高巻き、次のスダレ状15mは左岸を直登。途中ハイステップのところがあって、つかみさんにアドバイスすると、自分にとってはハイステップではないと言う。横に並んで足の長さを比較された。
スミマセン。余計なお世話でした。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA黒岩滝は右岸に巻道あり

4スダレ滝は右端を登る

 水の浸み出している最初の場所が今宵の宿営地になる。水路を挟んで両脇が平坦で、なるほど泊まりたくなる場所だと納得する。

5本日の目的地

 左側に焚き火の跡があり、我々もそこにタープを張る。
まだ陽は高いのだが、せっかちなメンバーが居て酒宴開始となる。
今日参加できなくなったつりしさんが「ユイさん、あいつらから守ることが出来なくて、ゴメン」と言ったとか、言わないとか諸説あるが、あいつらの中に自分は含まれていないと皆思っているようです。また、守ると言った本人も本当に守ってくれるのか怪しいと思っているのは私だけではありません。
そんなこんなで、持ってきた酒は全部飲み干していつもの通り就寝。

 

9月11日(日)
5:00 起床 7:00出発→7:50 稜線→9:00 2077m鞍部→10:40二股→
12:10 柳沢出合→13:20 西ノ湖入口バス停→13:50 赤沼→15:00 東武日光駅

鳥のさえずりで起床、だったら気持ち良かったのですが、鳥はどこにも居ません。
うるさい虫も見当たりません。みんな逃げてしまったようです。
そりゃそうだろう。
なかなか燃えない薪で煙はモウモウだし、キム兄は辺り中に毒をまき散らかすし、こうやって新人も毒に犯されていくんだろうな・・・。
たまにしか日本に居ないのに、この存在感はどうだ。これでずっと一緒にいられたら鬱陶しくなるのは想像に難くない。
朝食はアトムさん特製のパスタ。特製といっても麺を茹でて上に調味料を掛けただけの物だが、意外にいける。今日の降水確率はゼロパーセントらしく、良いほうに外れたことに感謝する。
テント場から1時間ほどで稜線に出る。不明瞭だが道らしき跡は確認できる。また、木に打ち付けられた目印もある。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA笹の稜線を進む

 笹が密集していて急な坂道は良く滑るし、笹に隠れて足元をすくう罠のような倒木もある。そういうのを割り引いても、静かな山は気持ちがいい。進行方向左側には中禅寺湖が映える。
ハギリーダーは地図とコンパスでルート確認に余念がない。リーダーは大変だね、ご苦労さん。
2077mの鞍部まで下降すると、すぐ左側に沢筋が見えるので、左沢へはそこから簡単に入渓できる。

7

左俣右沢と合流

 下降路は5mほどの滝で1回ロープを使ったが、その他はさほど悪場もなく無事二股まで帰着。バス停までの途中きのこ採取に没頭。白樺の流木に生えたムキタケ? 唐松林に生えたイグチなど秋の到来を感じさせる。
西ノ湖入口から赤沼までのバスで移動中、地元の中学生と思われるグループとすれ違う。みんなキラキラした目で手を振る。
ア~ァ、俺にも隣の方にもあんな時代があったはずだけど・・・

 最後に急な参加表明にも関わらず、暖かくメンバーに加えてくれたことに感謝申し上げます。

(記録 アベ)

西穂~奥穂縦走

メンバー: ケンタ(L) ・ ミドリ ・ タケ(記)

9/10 上高地~西穂山荘(幕)
9/11 西穂山荘~西穂高岳~天狗の頭~奥穂高岳~涸沢(幕)
9/12 涸沢~上高地

台風接近中。週末の天気予報がイマイチ良くない。
しかし、日頃の行いが良いからであろう。金曜の午後になり、急に日曜の天気に☀マークが!
「ボールはまだ生きています」
「このまま天気予報が変わりませんように!」

9/10(土)
深夜バスに乗り、上高地へ。やはり天気予報が悪いせいだろうか。いつもより人が少ない。
リーダーの最終判断の元、西穂高へ向かう。
上を見上げれば青空。もう秋の空である。9時前にはテントを設営し、3人で西穂ラーメンを食べる。
期待は上回らなかったが、やはり山でのラーメンは美味しい。続いて生ビールもいただく。
「ザ・最高の週末」である。ミドリさんはお酒が足りなかったらしく、この後、酎ハイを飲まれていたらしい。
会に入ってまだ3か月足らずだが、女性のお酒が強い会だなと思う。
その後、ケンタ隊長&みどり先生によるロープワーク講習。ロープワークはおもしろい。
この日は19時前に就寝。隣のテントは遅くまで話し声がした。

9/11 (日)
1時起床、2時15分西穂山荘出発。
みどりさんの卵雑炊をいただく。あっさりしていてスッと胃に収まった。
1時間余りで独標に到着。まだ真っ暗だ。独標でご来光を待つのかと思ったら先に行くと言う。
さすが山岳会。まさか西穂までカモシカ山行するとは。ミドリさんは楽しそうだ。
西穂から先は明るくなるまで待機。5:15から明るくなり、再出発。

いざ出発!
逆層スラブ

思ったよりルートのマル印がついている。西穂から奥穂のルートは上りメインのルートであるが、
意外と下ったりもする。不本意だが下った分、上らなくてはならない。息が上がってきた私とは反対に、ケンタ隊長は先頭に立ち、さらっと登ってゆく。ミドリさんも仕事後トレーニングしているだけあって足取りが軽い。
逆層スラブを上り、天狗の頭へ。岳沢との分岐では、3時間強で上がってきた西穂で会った若者2名に先を越されたり、ヘルメットなしの不安げなおじさんとすれ違ったりした。
10時、ついにジャンダルム頂上を踏む。やっと着いたー。あの有名な天使がいる。穂高山荘が見える。

あと少しでジャンダルム
頂上着~!

馬ノ背を上る途中、ソロの女の人が後ろから迫ってきて横から追い越そうとし、少し怖かった。馬ノ背は意外とあっさり通過できた。馬ノ背を越すと奥穂がもうすぐである。ここでケンタ隊長が高山病になったようだとカミングアウト。最後の最後まで弱音を吐かず、体調悪くても頑張ってくださった隊長には頭が上がらない。穂高山荘で小休止。穂高山荘で売っていたバンダナを買っておけばよかった。涸沢までは単調な道が続く。通りすがりの女性に「一昨日ここで人が亡くなったのよ」と言われ、慎重にザイテングラードを下る。涸沢着。ここで衝撃が走る。なんと、涸沢小屋のおでんがタマゴしかないと言う。そんな馬鹿な!大根は?!糸コンは?!と思ったが、ビールが冷えていたので良しとした。
夜ご飯はケンタさんの野菜入りスープ。ご本人からラーメン失敗したなど、いろいろ聞いていたので、どんなものが出てくるかと心配したが、キャベツたくさんでおいしかった。ミドリさんはここで焼酎を少し嗜んでいた。

馬の背Riding
涸沢からのモルゲンロート

9/12(月)
4時起床、となるはずが、「あと30分」と言う鶴の一声で4:30までまた寝る。
9時間睡眠である。穂高を照らすモルゲンロートを鑑賞し、上高地までまったり下る。
途中、徳沢でソフトクリームを食べた。ケンタさんは今回の山行で涸沢・徳沢・上高地と3回もソフトクリームを食べていた。丈夫なお腹である。徳沢のソフトクリームおいしいなと思ったが、ミドリさんは更に高級な○○○のバニラアイスを先日食べており、これが最高だと言う。高級アイス、いつか私も食べてみたいものである。
上高地バスターミナルで100円/3分 シャワーで汗を流す。しかし、簡易的なものなので、シャワーは2台しかなく、シャンプーも購入しなければならない。ドライヤーなし。ゴミ箱は持ち帰り。次は温泉がいいかな。
松本で蕎麦を食べた後、特急で帰京。

お試し山行後の飲み会時に話がまとまり、まさか本当に計画に至るとは思いませんでした。
ケンタ隊長、忙しい中、企画・準備・判断と、本当にありがとうございました。何もかもバッチリでしたね。
ミドリさん、山行前の的確なメール、および山行中の素敵な笑顔をありがとうございました。癒されました。
お二人には、新人で至らない点や気を遣わせてしまった部分が多々あったかと思います。
それでもジャンダルムにご一緒させていただき、充実した山行で感謝しております。御礼申し上げます。

南会津・黒檜沢

2016年8月28日
つりし(CL)、コバ、ハギ(記)

黒檜沢_GPS軌

〈CT〉
小豆温泉駐車場(6:00)〜登山道横断点(6:25)〜1110M二俣(7:40)〜1400M二俣(8:50)〜3段大滝(9:50/12:20)〜三俣状(12:30)〜登山道(16:15)〜小豆温泉駐車場(19:40)

〈記録〉

窓明温泉が休業とのゲートの告知を横目に、小豆温泉スノーシェッドの駐車スペースを出発した。なるべく時間に余裕を持ちたいし、前回は下部から遡行しているから今回は登山道横断点から入渓する、とのリーダーのお達し。今回は「前回」のリベンジだ。3年前の7月、私たちは雪渓のために標高差200Mあまりを薮漕ぎし…、さらに大滝の巻きでルートを見失い、そのまま稜線まで薮尾根を標高差300Mあまり薮漕ぎするという経験をしてしまった。きちんと遡行し直したいという思いが、ずーっと心の中にあった。

お達し通り、登山道横断点から入渓する。なんか記憶より地味だなぁという印象を持つが、白い綺麗なゴルジュ地形の中に連続する滝があったのは横断点より下流域だったと思い出した。
とはいうものの、ちょいちょい現れる小滝を越えていく。ナメ床もあるのだが、岩がゴロゴロしていてちょっと残念。ゴーロ地帯の先に右岸が大きく崩壊している1110M二俣。10Mほどの滝を左から歩いて越えると、またゴーロで、おそらくこのゴーロ帯で雪渓に阻まれたのだと思う。3M滝は腰まで浸かってシャワーで左から越え、ナメ滝を越え…またゴーロかぁ。…と、その先に滝がみえた。前回薮漕ぎの末に懸垂で降り立った1400M二俣、左俣の出合の滝だった。

滝もたまにありますが…滝もたまにありますが…
中流域の主はゴーロ中流域の主はゴーロ

少し前からガスってきていて舞台設定はよろしくないが、ここからがある意味本番。当然左俣に入る。ゴーロが多めの中間部と打って変わっての滝の連続になった。出合の滝は左から、上部がホールドが少ない。30分くらい先の5Mくらいの滝は左壁からバンド伝いに安易に巻けそうに見えたが、落ち口に乗る所が意外と悪く、下から薮に入って巻いた方が安心だ。

左俣出合の滝左俣出合の滝

ゴーロ歩きの鬱憤を1時間晴らし、いよいよ真打ち登場、前方に宿題の3段大滝。巻きの前に腹ごしらえ、じっくり休憩しながら眺める。
つりしさんがトップで登る。右壁の岩を巻くように草付をトラバースした後、直上。広いテラスからさらに岩稜を上がり、左上して岩と薮の境目へ。前回はここで左ではなく右の方へ行ってしまったんだとわかった。コバさんがつるべで薮の中に偵察に入る。OKとの合図でフィックスを辿ると、一枚岩を2〜3Mトラバースしてさらに薮の中へ。こちらの薮に入ると、地面がよく踏まれていることに気づく。薮の中の広いスペースにいったん集合し、その後は灌木を伝い笹を伝って、滝の落ち口のぴったり上に降りた。時間は少々かかったが、終わった〜。
(今回はルートがはっきり見えた。当時、積雪のある地域の沢は谷川とか等は複数回行っていたが人が入るので踏み跡がしっかりしているので、それをあてにルーファイをしていたのではなかったか(あと情報も多かったし)。いわゆる自分の目で地形、植生などを見てルートを選定していなかったのが原因であった。〈つりしさん談〉)

三段滝登場三段滝登場
写真5

ほどなく前方が開けて三俣状、ここは右の滝を登り、次の二俣は水の多い左へ。最後の滝らしい滝6M滝は登れず、右の乾いた岩の凹角から。ラバーソールのコバさんが嬉々として登り確保してくれる、フェルトだとちょっと登りにくい+ちょっと遠かった。水が冷たくなってきた…と思ったら、あっけなく水枯れ。窪になってしまった沢型を進むが、とうとう薮漕ぎに突入した。

三俣状三俣状

シャクナゲ、蔓がミックスしていた前回と異なり、根曲り竹メインの薮だったが。背丈より大分高く、濃密猛烈な薮でなかなか前に進まない。右へ右へと心がけていたはずが、進みやすい方へ導かれていたらしく、GPSで確認したら地形図の1900M岩マークの左側に入ってしまっていた。前方の岩を避けて右上へ、右上へと漕いでいくと、飛び出したのは三岩岳直下2020M付近、登山道からちょっと三ツ岩方面に入った所。先ほどの前方の岩=三ツ岩だったらしい。少し歩くと登山道に出た。

激薮激薮

もう夕方。大滝巻いたらすっかり終わった気分でいたが、最後まで濃厚すぎた。やれやれ。そして最後はお約束?ヘッデン下山になる。改めて、日帰り沢にしては長めで厳しいなぁと思った黒檜沢だった。

ともあれリベンジ。成りました!

徳本峠

【日程】平成28年8月26日~28日
【メンバー】けんた(記)、みやのり、みやゆみ

8/26(金)  島々宿~岩名留小屋~徳本峠
8/27(土)  徳本峠~明神~徳沢
8/28(日)  徳沢~上高地

【1日目】

前日の木曜日に、王子セブンイレブン前に集合。みやのりさんのご厚意で、車を出して頂き、島々宿近くの道の家へ。そこで仮眠を取った後、島々宿の徳本峠入口の駐車場に移動。
徳本峠入口は朝の5時。車は一台も止まっていない。そこへ、マウンテンバイクに乗った男性が軽装で現れた。徳本峠を越えて上高地まで行った後、また戻ってくると言う。大量の荷物を背負った我々とは真逆のスピード山行に、ただただ感服するのみ。
滑り出しは平坦な林道を淡々と歩いて行く。今年は熊がよく出没していることも有り、熊鈴は鳴らしながら歩いて行く。1時間半ほどで二俣に到着。ここから西に方向を変え、沢沿いを歩いて行く。道は良く整備されており、沢の左岸・右岸を行ったり来たりしながら、進んで行く。途中倒木を活用した橋を渡るときはちょっとだけ緊張した。

倒木の橋

出発して4時間ほどで岩名留小屋に到着。想像していたよりも、廃屋感のある小屋であった。軒下に座ってゆっくりしていると、みやゆみさんが、雨戸を開こうとチャレンジしていた。さすがB型。雨戸を開けたら見てはいけないものが見えてしまいそうな小屋だったので、開けられなくてよかった。
岩名留小屋からは、急登区間に突入する。途中に湧き水(力水)が出ており、ここでまず給水。その後も休み休み進んだ。つづら折りの山道ではあったが、かなりきついと感じていたとき、ようやく徳本峠小屋に到着した。天気は曇、展望台に上ると明神岳が眼前に拡がっていたが、すぐに雲で見えなくなった。

明神岳

夕方食事を取った後、雨がぽつぽつと降り始めた。

【2日目】

朝4時に起きて出発しようと言うことになっていたが、テントに振り付ける雨は弱まることはない。「起床、6時にしましょう」、意思の弱い私は、また眠りへと落ちていった。
朝6時に起床するも、雨は変わらず。とりあえず、朝食を食べ、雨が小降りになるのを待つが、なかなかやむ気配がない。諦めて、徳本峠小屋へ行き、珈琲を頂きながら、小屋の主人と、会話を交わす。台風が近づいているため、今日明日と天候は期待できない。今日帰るか明日帰るか悩んでいると、雨が小降りになってきたので、とりあえず、明神まで降りることにする。
明神までの下りは淡々と下る。お昼頃に明神に到着したので、小屋で昼食にカレーを食べる。加えて、みやゆみさんはおしるこ、私はソフトクリームカフェラテをいただく。ちなみに、みやのりさんは、生ビール。これが決定打となり、徳沢で上高地を満喫することに。
徳沢までの道のりは、雨に打たれるが、徳沢に着いたときには、打って変わって、晴天に。雨で濡れていたテントや衣類を乾かすことができた。おきまりの徳沢園ソフトクリームを堪能しつつ、穏やかな徳沢は日が暮れた。

徳沢園

【3日目】

朝4時起床。雨は降っていない。早々に出発の準備をして、徳沢園を後にした。
上高地までの道のりは2時間弱。最後に書くが、実は我々は、カメラや交換レンズ、三脚などを背負った写真山行であったが、天気に恵まれず、ただただ重い荷物を背負っただけであった。私は天気を呪いつつ、リベンジを誓った山行であった。

ゴール
みやのりさんコメント
撮影山行なるものは初めての経験でしたのでカメラ素人の私はパッキングをどうしたもんかかなり悩みました。雨には絶対濡らしてはいけないし衝撃も良くない。仕方がないので梱包用の衝撃吸収材を使用しましたが結構かさばりました。普段の荷物+カメラ、三脚等で重量もかなりです。冬山に備えてのボッカなんて軽口を叩いても、疲れても水のように捨ててはいけません。歩き始めからほとんど高度の上がらない林道を延々歩き、二俣を過ぎてからは沢沿いの山道になり崩落しているところに道がついてました。最後の急登はそこまでの長いダラダラ登りが結構効いておりヘロヘロでした。峠では古風な小屋と思いきや、それは保存して残しているだけで宿泊する小屋は結構綺麗でちょっとがっかりしました。しかし、もっとがっかりしたのはせっかく担ぎ上げた三脚等を使用する場がなかったことです。夕方から雨になり翌日は概ね雨。星空を撮ってみたいという私の願いはむなしく消え去りました。またの機会ということでよろしくお願い致します。
みやゆみさんコメント
出発前。星空撮りましょう!と3人はウキウキしていました。
「写真山行」のはずが、撮った写真は12枚でした。
カメラは防水バッグとゴミ袋でぐるぐる巻きにされ、ザックの奥で厳重に保管されたままでした。
三脚は物干しになっていました。
こんなはずじゃなかった?そんなことはありません。
撮影しながら山を歩くことの大変さ、また、改善点なども分かり、次回につながる良い山行だったと思います。

虎毛山塊 皆瀬川春川本谷ダイレクトクーロワール

 

メンバー: こば(L)、あずさ(記)
日程:2016年8月31日(前泊)~9月3日

事の始まりは、釣り雑誌Fly Fisher2015年2月号の表紙だ。二段目に丸く美しい緑の釜を持つ、三段の滝。それこそが、春川の三滝のうち、本流に掛かる正面の滝だった。
それから1年半。私が事あるごとに「春川に行きたい~」「ダイレクトクーロワールってルートが、山頂に突き上げるからいいらしいよ~」などと言い続けた甲斐もあって、こばLが「この8月に行こうか。」と、同行してくれることとなった(本当は私がリーダーをするなどという話もあったが、そこはやはり経験値の差があるのと、前情報が少なかった為にお願いすることになってしまいました…)。

【一日目】8月31日(金)
19:30 東京出発

23:00 あ・ら・伊達な道の駅
別にふざけている訳ではない。こんな名前の道の駅が本当にあり、そこで前泊したのだ。静かで広く、過ごしやすい場所だった。

【二日目】9月1日(土)
04:00 起床
↓車移動
06:30 大湯温泉出発
例の道の駅から車を1時間半ほど走らせると、皆瀬大湯の阿部旅館付近までたどり着く。皆瀬川に掛かる林道は、阿部旅館から少し離れた場所に入口がある。
最終日には、虎毛山から赤倉橋方面へ下山し、秋ノ宮温泉郷からタクシーで大湯まで戻ってくる算段だ。

正面のピンクテープが林道の入口。手前は、駐車出来る広いスペースがある。

虎毛沢との出合いまでの林道には、例の通行禁止の橋が…。
渡った先も、ものすごい梯子。

林道から見た皆瀬川は、心なしか水量が多めに見える。
こんなかわいいキノコも生えていた。食べられなさそう…。

08:25 虎毛沢出合

地形図では対岸へ渡る林道が続いているようだが、近くには見当たらないので徒渉。

08:50 春川入渓
対岸へ渡って少しだけ藪を通ると、すぐに春川となる。

出合から三滝までは平凡な河原歩きが続くが、所々スラブ壁の片鱗が見え隠れする。

それにしてもいい天気だ!

最初の滝は、左岸にロープが下がっているので、その助けを得て越える。

この滝の上からは、少しだけ滑床が出始める。

10:15 三滝

写真左が本流の滝で、Fly Fisherの表紙になっていたものだ。

本当は、更に左にも沢が合流していてその奥にも滝があり、合わせて三滝という。
本流の滝は、一番右の滝のバンドから中間の尾根に入り、難なく高巻く。

高巻き中に、右の滝から見た本流の滝

緑の美しい釜は見る影もない。なんてことだ…半分くらいこの為に来たというのに…。
林道で感じた水量の多さは、どうやら勘違いではなかった様だ。台風のせいだろう。

失意の三滝だったが、ここからは美しい亀甲模様のナメが続く

虎毛模様
中でもこの場所は一番奇怪だった。まるで、プールのウォータースライダー。

11:30 万滝沢出合

写真は、万滝沢側からのもの。

私は見に行っていないが、万滝沢出合手前の幕営地はすごーく快適そうな草地だったらしい(リーダー談)

万滝沢から先は、アクアステルスなら快適に登ることのできるスラブ滝が続く。
台風の影響だろうか。釜の緑が濁って見える

泳いで取付く

この滝は、本来なら正面から取付くことのできる水量だが、今日は勢いが激しすぎて右壁の微妙なクラック沿いに上がる。

美しいスラブにはしゃぐこばL。カメラの水滴が玉に瑕

12:05 四滝
四つのスラブ連瀑から、四滝と呼ばれるらしい西ノ又沢出合前の滝場。
全て快適に登れるので、他のパーティのコースタイムからして、ここで遊びほうけていたに違いない。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA上から見ると、釜が見事な円形を描いている。まるで人工物の様だ。

12:15 西ノ又沢出合
地形図上では西ノ又沢との記載はないが、皆ここをそう呼んでいる。
この沢を詰めると、虎毛山北東のコルに突き上げ、そのまま虎毛沢へ下降することが出来る。次来る時は、こちらを使って皆瀬川周遊も楽しいだろう。

予定では西ノ又沢近くで幕営するつもりだったが、出来るだけダイレクトクーロワールに近付きたいのと、二人だけで狭い場所でも幕営できる為、更に進むことにする。
(西ノ又沢出合より手前には、狭いが幕営できる場所があった。)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA時間に余裕があるからか、巨岩で遊ぶリーダー。

10mスラブ滝は左から登り、
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
その上の20m滝は右から高巻く。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

13:30 幕営
三俣少し手前の左岸で幕営することに。それほど広くないが、二人なので丁度良い。

夕食は、リーダー特製の和風ポトフ。ジャガイモの代わりに使った里芋のとろけ具合が絶妙で、ほっぺたが落ちそうだった。白米と一緒に食べると、とろろごはんを食べている気分になるのがまたいい。

【三日目】9月2日(日)
04:30 起床
06:00 出発
幕営地を出てすぐで三俣に入るので、左右に気を付けながら真ん中の本流を進む。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA本日最初の滝は、左から登る。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA今日も天気がいい。滝の奥に、虎毛山の尾根が見える。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA登れないと評判の三連瀑、一番下の滝が見えてくる。

ここは、近づきすぎないうちに左岸の尾根から高巻くが、どうにも取り付けず、灌木とハンマーを頼りによじ登る(地形図的には、少し戻れば楽に取り付ける尾根なのだが、面倒くさがった結果だった)。
この高巻きは、沢側に近付く程に山ブドウの藪が酷くなり、一時的に藪漕ぎ6級状態だった。もう行きたくない。

07:40 ダイレクトクーロワール出合
評判通りパッとしない出合で、見過ごしてしまいそうだ。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
ダイレクトクーロワールの代名詞とも言える、60mスラブは、思ったより規模が小さい。
70mや40mとも言われるが、50mロープが少し足りないくらい(2ピッチで登った)なので、やはり60m位なのではないだろうか?
1ピッチ目は左から登り、2ピッチ目は右から。
1ピッチ目は意外とゴム靴が効かないので、ホールドの多い左からが行き、途中で右に移る。2ピッチ目は難しくない。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA1ピッチ目を登るリーダー。私は、2ピッチ目でリードさせてもらう。
OLYMPUS DIGITAL CAMERAこの二連瀑は、一段目:左壁から、二段目:灌木を掴みながら右壁。

こばLは、二段目をエイドで登ろうと苦心していたが、諦めたようだった。
私は、二段目は先に登ったリーダーに引っ張ってもらい、ゴボウで登った。つらい。

この後の5mくらいの滝で、ゴム靴では登れないぬめりだったため、右のルンゼから高巻き、2つ程滝を飛ばす。ここは、目的の滝を丁度良く巻くことが出来た。GPSとリーダーの観察眼さまさまだった。

高巻き後は、いくつかの小滝を越して、ツメに入っていく。
その間は、終始コンテ(?)状態になっており、正直歩き辛かったが、結果的には私の腕の力だけでは心もとないツメだったため、時間短縮につながったのではないかと思う。

最後のツメは、灌木を掴みながら、スタンスの少ない壁をよじ登り続ける地獄だった。
※辛すぎて写真はありません。
しかしその甲斐あってか、飛び出した先の頂上は、素晴らしい草原が広がっていた。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
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14:10 虎毛山山頂

結局、ダイレクトクーロワールの攻略には6時間半近くかかってしまったが、明るいうちに山頂へ到着することが出来た。今夜は、山頂避難小屋で夜を明かすこととする。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
OLYMPUS DIGITAL CAMERA小屋の周りにはかわいい花が咲いていた。何というのだろう?

余談だが、この避難小屋は何故かタイガース一色だ。「虎」毛山だから…?
夕飯はカレー。疲れた時のカレーは食が進む。
避難小屋は非常に居心地がよく、快適な一夜だった。

【四日目】9月3日(月)

04:30 起床
06:00 出発
短い時間だったが、虎毛山ともさよならだ。
登山道で振り返ると、朝日を浴びた虎毛山が、まるでダイヤモンドヘッドの様(?)。
名付けて、ダイヤモンド虎毛。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

下山路も、美しい森だった。
途中、ミツバやミズ、フキなどが群生しており、手土産に採取する。

08:45 赤倉橋下
ここまで約3時間。疲れているからか、ミツバに気を取られていたが、若干遅め。
この先の車道で電波が入り、仙秋タクシーさんに電話し、高松岳の登山口近くで拾ってもらう。

11:00 車デポ地(皆瀬大湯)
タクシーで1時間弱揺られ、ようやく出発地まで戻ってきた。
タクシーの運転手さんは流ちょうな東北弁の方だった。
その後は、阿部旅館さんの日帰り風呂に入り、5時間近くかけて東京へと帰京した。

最後に、私の我儘に付き合って下さったリーダー、本当にありがとうございます!一人じゃ一生来られなかったと思います…。
しかし、結論から言うとダイレクトクーロワールは6時間の壮大なるツメです。次春川へ行くときは、虎毛沢へ下降する西ノ又沢を行きたいですね!!

コースタイム:

1日目 19:30東京-23:00あ・ら・伊達な道の駅
2日目 06:30大湯-08:25虎毛沢出合-08:50春川入渓-10:15三滝-11:30万滝沢出合-12:05四滝-12:15西ノ又沢出合-13:30三俣手前幕営地
3日目 06:30出発-07:40ダイレクトクーロワール出合-14:10虎毛山山頂
4日目 06:00出発-08:45赤倉橋-11:00大湯

大キレット

日程:H28.8.26~28
参加者:L・記録_ミナト、たけ

8/24の朝、勤め先のPCで1通の不穏なタイトルのメールを開いてみると、
『三つ峠が中止になったみたいなので、槍穂縦走に同伴してください。私は新人なのでリーダーやってください。ついでに計画書も。あと、8/26のAM5:00に上高地に集合です。私は夜行バスで行きます。ミナトさんも適当に来てください。 byたけ』
なにぃー、8/26って明後日じゃん!ということは本日中に計画書を作って提出しなきゃヤバイじゃん!でも今日が提出期限の見積書がまだ終わってないし、午後からサイトーさんとのエナジー練もあるし、どうしよう?少ない脳みそで考えた結果、以下のような不等式が成立しました。
[ 計画書 > エナジー練 > 見積書 ]
その後は、ルートや共同装備や食担やらのメールを十通近くやり取りし、何とか午後イチに計画書を提出し、そしてエナジーへGO!です。あれっ見積書は…まぁいいや。

8/26(晴れのち曇り):上高地~横尾~天狗原分岐~氷河公園~南岳小屋(幕営)

前夜、自車(会社の)で沢渡へ行き仮眠をし、朝一のタクシー相乗りで5時15分に上高地へ到着です。15分の遅刻ですが、たけちゃんはおにぎりを頬張りながら待っていてくれました。
「サイトーさんに文句を言われたから、ウェアーを新調しましたよ」などと話すたけちゃんとすっ飛ばし、あっという間に横尾です。ここでたけちゃんは水を大量に汲んでいます。疑問に思ったのですが、聞くと怒られそうなので黙っていました。横尾から先は登山道らしくなり、斜度も増してきます。次第にたけちゃんの息遣いが荒くなってきました。「大丈夫?」と聞くと、「み、水が、お、重い…」とたけちゃん。「何リットル背負ってるの?」、「炊事用4リットルと行動用1.5リットルと、ジュースと、えーと」…唖然とする私。ここはリーダー権限でプラティパを奪い取って私が1リットル程がぶ飲みし、残りは捨てさせました。「ザック、かる~い♪」と喜ぶたけちゃんですが、当たり前ですよ!
荷が軽くなったので快調に飛ばし、登山道が槍方面と南岳方面に分かれる天狗原分岐に到着です。休憩しながら何となく協議しました。
「俺は槍に4回登ったけど、たけちゃんは槍に登りたい?」
「2回登ったので、どっちでもいいですよ」
「ふ~ん、今夜のテン場を槍から南岳へ変更すると明日が楽なんだよなぁ…」
「槍に未練は無いし、今回は大キレット狙いなのでそれでもいいですよ~」
と、なんとなく日和った感じですが、このいい加減な決定が後の大キレットの成否を左右する重要な決定であったことを、この時はまだ知らない二人でした。
天狗原分岐からは、天狗池、氷河公園を経て南岳へ直行です。途中にクマ糞が大量にあり、しかも、数十分前と思われるものもありましたが、たけちゃんが怖がるので黙っていました。

クマ糞地帯クマ糞地帯
槍ヶ岳が見えました槍ヶ岳が見えました
やっと稜線へ出ましたやっと稜線へ出ました

15時頃に風力発電機のある南岳小屋のテント場に到着し、テントを設営したら取りあえずビールで乾杯です。食担失格者の汚名を晴らすべく久々に私が夕食を担当しましたが、パスタがビーフンみたいになってしまい、やはり失敗してしまいました。なんでうまくいかないのだろう…。

ビーフンのようなパスタビーフンのようなパスタ

8/27(雨のち曇りのち雨):幕営地~大キレット~北穂高岳~涸沢~横尾(幕営)

朝目覚めると、テントを叩く雨音はかなりの音量です。クラッカーとお菓子の朝食を食べながら今日の行動を検討します。大キレットを越えるか、昨日のルートで槍沢へ降りるか、停滞するかと思案していると、「7時頃には雨が上がるみたいですよ!」と、スマホで天気を見ていたたけちゃんの情報です。
「じゃあ様子を見ながら大キレットへ行ってみるか?」
「行くっきゃないですよね!」
大キレットへは、まず最低コルへ大下ります。所々に鎖があってけっこう急です。雨は上がっているのですが、岩が濡れて滑りやすいので慎重に進みます。たけちゃんは新調した靴のグリップが良いので喜んでいますが、調子に乗らないようにお願いしますよ!

大キレットへ突入します大キレットへ突入します

最低コルから長谷川ピークまでは普通の縦走路並みです。長谷川ピークが第一核心部となります。岩が濡れていなければ面白い岩稜だと思うのですが、今回はツルツルなのでちょっと怖いです。鎖を伝ってトラバースする所では、鎖が太すぎて手の小さいたけちゃんは苦労していました。長谷川ピークを過ぎるとA沢のコルで一休みです。同じく北穂に向かう3人パーティが休憩していましたが、長谷川ピークを第二核心部の飛騨泣きだと勘違いしていて、「飛騨泣きはこの先ですよ」と教えたらガッカリしていました。このパーティ、ちょっと心配です。
A沢のコルからは傾斜の緩いフェースと岩稜を鎖を頼りに50m程登り、そしていよいよ第二核心部の飛騨泣きに突入します。最初の岩壁は鉄杭を足場によじ登り、次の岩峰を右から回り込むと写真でよく見るステップ付のナイフリッジのトラバースです。ここでは我々も写真を撮ったりして遊びました。たけちゃんは長谷川ピークの方が悪かったと主張しますが、手の大きい私には同じくらいの感じでした。

飛騨泣きで遊ぶ飛騨泣きで遊ぶ

さあ、後は上空に見える北穂小屋目指して頑張りましょう。急登30分で小屋に到着です。朝出発してからここまで約2時間半でしたが、対向パーティは2組、同方向は1組と渋滞皆無の状況だったからですね。天気が良ければ渋滞は必至で、3時間以上はかかると思われます。
大キレット越えの成功をジュースで祝っていたら、急に雨脚が強くなってきました。
「昨日槍に行っていたら、今日の大キレット越えはダメでしたね」とたけちゃん。
「うん、この雨じゃ南岳から下りちゃっただろうな」
「私たちラッキーですね!」
と話していると、先ほどの3人パーティが元気に登ってくるのが見えました。ああ良かったです。3人に手を振ってから、北穂頂上へ向かいました。

北穂の証拠写真北穂の証拠写真

北穂頂上で証拠写真を撮り、この雨じゃ奥穂までの縦走は危険であることをたけちゃんに言い聞かせ、涸沢に下りることにしました。ここで注意がひとつ。北穂頂上からすぐの地点で涸沢方面へ下るペンキ矢印がありますが、これは東稜(バリエーション)への分岐です。涸沢へ下る一般登山道はそのすぐ先の標柱がある所ですので間違えないように!
土砂降りの涸沢にはテントが数えるほどしかなく、こんな寂しい涸沢は初めてです。涸沢ヒュッテのテラスでパンをかじりながらまた協議します。
「飛ばせば最終バスに間に合うかも。でも、家に着くのは深夜になっちゃうな」と私。
「この雨の中、上高地まで走るのはイヤですね…」とたけちゃん。
「俺も嫌だな」
「じゃあ、横尾に泊まりましょうよ。食料はいっぱい残っているし、ビールも飲みたい!」
横尾への道すがら、残雪期の横尾尾根の取付きを探しますが、何となく此処だろうと思う場所はありましたが確証は得られませんでした。来年の春にはぜひとも行きたいですね!
15時位に横尾のテン場着。広々としたテン場には我々のテントがぽつんとひとつ、ちょっと寂しいですね。

テントがぽつんとひとつテントがぽつんとひとつ

白馬でリュウちゃんから教わった「じゃがりこサラダ」をつまみにビールで祝杯を上げます。昨夜失敗した私は夕食を作る気が失せて、リーダー権限でたけちゃんの大量のお菓子を夕食とすることにしました。お菓子ウマー!

8/28(晴れ):幕営地~上高地~帰京

昨夜、徳本峠越えのケンちゃん達と徳沢で合流出来ないこと(ケンちゃん達に合わせると3時起き!)が分ったので、今日の起床はゆっくりです。さらに二度寝までしてしまい、普段の山行では考えられません。余っているお菓子を朝食とし(いったいお菓子をどれだけ持ってきているんだ?)、のんびりと上高地へ向かいます。天気は上々で、前穂東壁や明神も良く見えました。コバさんとエビちゃんが行った明神を仰いで、よくあんな所を登ったよなぁと二人で感心してしまいました。

朝の明神岳朝の明神岳

その後、せせらぎの湯へ行ったら、駐車場でケンちゃん達に遭遇しました。ケッチボーできて良かったです!

今回は天候不順により当初計画を縮小しましたが、第一目標の大キレット踏破は達成しました。雨の間隙を突いての踏破でしたが、初日に槍に向かっていたら達成出来なかったことを考えると、つくづく運なのかなぁと思ってしまいます。
また、反省点としては、計画が早急過ぎて会での十分な審査時間が得られない状況になってしまったことです。一般ルートでもあり、ダメ元で計画書を提出しましたが、承認して頂いたリーダーの皆さま、本当にどうもありがとうございました。今後はもっと早く計画を表明できるように、参加者のたけちゃん共々反省しております。