北アルプス烏帽子岳~船窪岳~針ノ木小屋~扇沢

【山行記録】60周年記念山行(北アルプス烏帽子岳~針ノ木小屋~扇沢)

日程:8月7日夜発~8月10日

行程:烏帽子岳~針ノ木小屋~扇沢

メンバー:サイトー

お詫びがあります。

今回雨風ひどく写真を撮る事が出来ませんでした。

申し訳ありません。

87

22時 自宅

3時 大町 

60周年記念山行の北アルプス中部を担当する役目を仰せつかり休暇と仕事を調整してみるが、なかなか上手くいかない。日程は3日。それなら北アルプスで一番不遇な縦走路である烏帽子から針ノ木を歩きたい。参加募集をしてみるが、どうも一人みたいだ。う~ん、寂しすぎる。最も苦手な単独行だ。修行僧の精神で行くしかない。でも寂しい。と考えていたが、いよいよ出発の日となってしまった。

車に乗り込む前に天気予報をチェック。なんと台風が接近中だ。かなり天気は悪いらしい。出だしから不吉。とりあえず車で現地に向かう。がしかし、な、なんとガス欠。しかも高速道路である。大至急JAFを呼び、どうにかこうにか大町に到着。やはり凶だ。とりあえず寝る事にする。

88日 

430分 大町

6時    高瀬ダム 

8時    烏帽子小屋着

830分 烏帽子小屋発

11302459

13時   船窪小屋

430分タクシーに1人(やはり寂しい)で乗り込む。天気は今にも降り出しそうな怪しい雲行きだ。高瀬ダムで朝食をとり6時出発。平坦路からブナ立て尾根にはいった途端雨が降りだす。やばい。帰りたい。でも行かないと。まさに修行僧サイトーだ。100歩歩いては5秒休むを繰り返し、なんとか2時間で小屋に到着。30分程休憩。雨は激しく視界は10メートルぐらい。意を決して行動開始。歩くにつれ風も強くなる。烏帽子を過ぎたあたりからザレ場や鎖場がでてくる。視界はないし、雨風強いし、誰にも会わない。とりあえず船窪小屋まで行けば会話ができるぞ、と思い必死のスピードで歩く。休憩無しで2459峰到着。なんの感動もわかない。なぜならパンツや靴まですべてビショビショだからだ。しかも霧がすごく視界23メートルだ。10分程休み転げ落ちるように船窪小屋到着。本来ならテント泊だが、台風のため小屋泊とする。人生ではじめての小屋泊である。ワクワク、ウキウキ。しかも宿泊客は自分と長野県警の隊員2名。小屋はランプの小屋で、とても素朴で温かいおもてなしで感動しっぱなしでした。感謝感謝。でも窓の外は横殴りの雨。あ~、でも明日はアベ隊と合流出来るので、やる気が少しづつ出てきた。20時就寝、布団なので爆睡でした。

89

530分 船窪小屋

545分 七倉岳

620分 北葛岳

740分 蓮華岳

8時    針ノ木小屋

9時    アベ隊合流

430分起床。外はなにも見えない。雨風も強く外に出るのはかなりの勇気が必要である。昨日の残りのおにぎりを食べ出発。昨日のコースに比べたらあまり悪い箇所はなく、天気はよくないが、スピードアップでわき目もふらず進む。昨日同様ピークの写真すら撮れる状況ではない(申し訳ありません、この縦走では1枚も撮る事ができませんでした)精神的にまいっていると遭難しかねない天候である。視界がないためピークも突然にやってくる。針ノ木小屋まで休憩無しで歩く。今日もパンツ、靴はビショビショである。でもアベ隊と合流するので、気持ちは楽である。時間があるので小屋から迎えに行く。小一時間ぐらい下った所で待っていると、雪渓を3人で登ってくるパーティが見える。ヤッター、本隊だ。手を振り全身を振った。やはり登山は仲間と登るのが良い。合流がとても楽しく一人ウキウキしてしまった。合流後の評細はタカタカさんの記録を参考にしてください。

810

5時 針ノ木小屋

7時 大沢小屋

8時 扇沢

天気予報では本日台風が通過する予定らしい。本来なら本隊と種池まで行動を共にする予定だったが、台風のため針ノ木雪渓を下山する事にする。小屋で本隊の無事を祈りつつ朝日での再会を約束し、下山の途につく。雪渓はとても悪く、視界が数メートルでしかも踏み跡が消えてしまい、2回ルートを見失う。かなりあせる。小屋まで登り返して翌日下山した方がよいかなとも考えた。だがなんとか野生の勘で雪渓から脱出。この3日間で一番緊張した。あとはゆっくり扇沢まで無事に感謝しながら歩を進めた。

60周年記念山行(北アルプス北部縦走)

【山行記録】60周年記念山行(北アルプス北部縦走)

日程:8月8日夜発~8月16日

行程:扇沢~親不知

メンバー:アベ(L)、カト、タカタカ(記)

合流メンバー:サイトー、グッチー、ツノダ、ママ、大崎、カオちゃん(合流日付順)

(記録)

※アベさんとカトさんの記録、また費用・食糧の詳細情報は当文章の末尾に掲載しています。

8月8日 20:30 西大宮駅発

アベリーダー、カトさん、タカタカの3人は西大宮駅で集合し、アベさんの車で信濃大町へ向かう。24時過ぎに現地に到着。タクシー会社に翌日の扇沢までのタクシーを依頼すると、ついでに今夜の宿泊地として事務所の一部屋を無料で使わせてくれるとの有難いお心遣いを頂く。さらにアベさんの車を専用駐車場に10日間無料で駐車させてくれるサービス付き。

8月9日 雨のち豪雨(台風11号接近、進み遅く四国に上陸は明日?)

・0:30 信濃大町駅着 アルプス第一交通の事務所で宿泊
・4:00 タクシー乗車 運転手さんが準備万端で出発が早くなった
・6:05 扇沢 発
・7:20 大沢小屋
・9:00 齋藤さんと雪渓上部で合流
・10:40 針ノ木小屋  シュラフがズブ濡れ、寒くて眠れず。

 

本日の行程は5時間なので、6時に信濃大町を出発する為ゆっくり準備をしていたら、事務所前でタクシーが4時前にスタンバイ。登山客だから早出が良いという気遣いだろう。タクシーを待たせているプレッシャーに耐え切れず、朝食も食べずに急いで出発する。昨日の対応といい、とてもサービスが良い。扇沢登山口到着後支度を整え、いざ長期縦走の出発だ!山々の尾根を越え、辿り着く先は遠い遠い日本海!なんてロマンを感じる旅だろう。

歩く順番は常に1番目カトさん、2番目タカタカ、最後はアベリーダー。長期山行に慣れているカトさんの歩くペースは丁度良い。阿部リーダーは後ろで優しく見守ってくれている。前代表と現代表に挟まれ、これ以上無い安心感を持って歩くことが出来た。
しかし条件は良くない。台風接近の天気予報。当たり前だが入山する人は少なく、むしろ下山する多くの人と擦れ違う。悪天候山行の不安はあるが、60周年記念山行のために突っ込むぞ!(もちろん慎重安全第一が北稜の教えです)

途中、大沢小屋で4本アイゼンを借り、針ノ木雪渓を登る。だいぶ溶けたようで、1時間ちょっとの雪渓歩き。アイゼンは不要なほど雪はしまっていた。さて、雪渓終了点に全身真っ赤の人がコチラに手を振っている。いや、まさか。本日は2泊3日船窪岳方面から来るサイトーさんとこの先の針ノ木小屋で合流するはずだが、まだサイトーさんだって小屋には到着していないはず。。そのまさかだった。数々の伝説を持つサイトーさんは「俺のコースタイムはエアリアの半分だ」「ザックの腰バンドなんか切って捨てろ」(体幹トレーニングの為らしいが、効果は確かでない)等、とにかく凡人の理解を超える大型新人であるため、尋常でないスピードで小屋を通過し、わざわざ雪渓まで迎えに来てくれたのだった。
針ノ木小屋は泊まり客ゼロ、テントは他1パーティーのみ。そりゃそうだ、台風だもの。雨の中テント2張を設営し、4人で夕食。今夜のメニューは入山祝のカツ丼だ。生卵でトロトロ上出来。しかし問題は就寝後に起こった。台風を甘く見てはいけない。暴風雨によりテント内浸水し、シュラフからパンツまでビショビショ。全然寝られないよ~。

 

8月10日 雨、台風11号の影響
5:00 針ノ木小屋キャンプ場発 齋藤さんは針ノ木雪渓下山
6:00 針ノ木岳
7:00 スバリ岳
9:05 赤沢岳
10:00 鳴沢岳
10:40 新越山荘  8400円/人 水とビールのサービス

団らん室のストーブが有難い
カトさんカレーGood

 

本日の予定は冷池山荘までだが、この台風下行けるはずもない。行程が1日遅延するが、仕方が無い。サイトーさんは針ノ木雪渓を下山。正しい判断。3人はとりあえず次の山荘まで駒を進めることにした。暴風雨は半端でない。強風により足元がふらつきながら、ようやく新越山荘に到着し転がり込む。「良かった、無事に避難できた。。」5時間しか歩いていないのに、3人ともにヨタヨタである。靴の中もパンツの中もグチョグチョだ。「山荘に宿泊しよう」もちろん全員一致で即決。身に着けているもの、ザックの中身、全てを乾燥室に放り込む。翌日には結構乾いた。新越山荘はとても清潔で居心地が良い。我パーティー以外の宿泊客は1名のみで、寝室は個室だ。団らん室のストーブ前を占領し、熱燗をちびりちびり。カトさんお手製カレーは乾燥野菜の甘みが凝縮して非常に美味。あ~、幸せ。飲みすぎちゃう。

 

8月11日 雨時々曇
6:05 新越山荘発 二重の虹とブロッケン現象 オコジョと遭遇
6:50 岩小屋沢岳
8:20 種池山荘
9:15 爺ヶ岳
10:10 冷池  本日宿泊予定のキレット小屋は飲料水無しの情報
11:30 布引山 日本猿と遭遇
12:30 鹿島槍ヶ岳  八ツ峰キレット
14:15 キレット小屋 谷口さんと合流

素泊まり6500円/人

台風のお陰で飲料水確保

 

小屋の朝食は贅沢で美味しい。皆ご飯と味噌汁をお替りして元気いっぱいだ(ちょっと二日酔い気味)。この日は朝からラッキーの連続。二重の虹やブロッケン現象を見たり、オコジョと挨拶したり、10匹程のサルとにらめっこしたり、雨の憂鬱を吹き飛ばしてくれた。鹿島槍ヶ岳を越えて八峰キレットへ。鎖が沢山設置してあるため、予想以上に安全である。キレット小屋ではグッチーさんが出迎えてくれた。ケッチボー!乾燥室や食事室、トイレなど、山荘主人のごとく案内してくれる。グッチーさんは長身のステキなロマンスグレー紳士なので「こんな山小屋の主人がいたら通っちゃうわ」なんてコッソリ妄想をしてしまった。夕食はカトさん特製のシチュー。乾燥野菜や乾燥ホタテの旨みギッシリで本当に美味しかった。アベさん持参のベーコンもこんがり焼いて贅沢だ。キレット小屋はテント場は無いので小屋泊まり。この小屋は通常は飲料水は提供しないのだが、台風の雨のお陰で無料で飲料水を貰うことが出来た。

 

8月12日 曇のち晴れ
5:25 キレット小屋発
7:00 北尾根の頭
9:15 五竜岳
10:05 五竜山荘 谷口さんとここで別れる
13:15 唐松山荘 トイレ遠く、キャンプ場としてはNGだが景色は良い。
濡れたテントを乾かす。

 

キレット小屋を後にして五竜岳へ向かう。岩稜帯が長く続くため苦労した。五竜岳山頂はなかなか近づいてくれない。しかし後ろを見ると、昨日雲の中にあった鹿島槍ヶ岳が全体像を堂々を見せ付けてくれた。こんなにカッコイイ稜線を歩いてきたのだと思うと苦しさも吹っ飛ぶ。五竜岳の山頂にようやく到着し、雲の中で記念撮影。の前にグッチーさんは一足先に五竜山荘へ。というのも、グッチーさんの登山靴の靴底が剥がれてしまったので山荘で修理をするためだ。本当は翌日も一緒に行動するはずだったグッチーさんは、残念ながらそれを理由に遠見尾根から下山した。3人は唐松山荘へ向かう。唐松キャンプ場は山荘から徒歩5分くらい離れているので不便だが、景色が最高。今までずっと曇り続きで景色は望めなかったのだが、なんと急に晴れてきた。剱岳を中心に北アルプスの峰々が浮き上がる。なんと美しいのか。。。3人はしばらくウットリ見とれていたのだった。その景色を眺めながら、タカタカ手作りの煮物を夕食のおかずにする。具材が高野豆腐やお麩である為、出来上がりは鍋中で茶色い物体が汁に浮き上がっている有様だったが、味は美味しい(と2人とも言ってくれた)。山では何でも美味しいのだ(勝手に言い訳)。お酒は少ないので早々に寝床に着く。

 

8月13日 晴れ
4:30 唐松山荘キャンプ場発
4:40 唐松岳 不帰のキレット
9:00 天狗の頭
9:40 天狗山荘
10:50 白馬鑓ヶ岳
11:50 杓子岳 コマクサの群落
13:00 白馬岳キャンプ場  角田隊と合流、キャンプ場は満杯

ジャガイモとシシトウ、お酒の差し入れが有難い

 

今朝は珍しく快晴。唐松岳山頂付近で日の出となる。剱岳を中心に北アルプスの峰々が神々しく浮き上がる。左手奥には槍ヶ岳が見えた。今回の山行行程の中でこの眺めが一番記憶に残っている。さあ、本日は今回山行のクライマックスである不帰剱に向かう。エアリアマップには危険マークが幾つかある(ドキドキ!)しかし通過してみると、しっかりした鎖が沢山設置されており距離も短く、予想したより簡単だった(ただし登る体勢は常にへっぴり腰!とほほ)。今までの悪天候により登山客が少なかったからか、行き交う人が少なく渋滞なしでスムーズに通過できた。今回山行の全工程において、針ノ木岳から唐松岳までは岩稜帯が続く男性的な荒々しい雰囲気だったが、この先の白馬岳より北部の山々は女性的でなだらかな印象。長距離縦走をすると、地域別に山の印象が違うことを体感できて面白い。天狗山荘を通過し、白馬三山へ向かう。白馬鑓ヶ岳と杓子岳は岩石がゴロゴロしたガレ場で植物が育たないようだ。そのため、杓子岳では貴重なコマクサの群生に会うことができた(コマクサは他植物が生育出来ない厳しい環境に生育する)。白馬岳頂上宿舎に到着し、テントを張る。白馬岳はアクセスが良く登りやすい山なので登山客が多い為、テント場は隙間が無いほど込み合っていた。ここでもケッチボー!角田さん、ママさん、大崎さんと合流。多くの差し入れを頂く。例えば、ママさん特製のキュウリの漬物や角田さん持参の生野菜で作るカレー。他にもお酒やハム等、流石体力のある角田さんは沢山の嗜好品を担ぎ上げてくれた。カレーを作る際、ジャガイモの皮を剥いていると、アベさん「皮を捨てるのは勿体無い!」ということで、ジャガイモ皮のソテーを急遽作ってくれた。バター風味で香ばしくてイケる!流石料理上手のアベさんだ。またもや飲みすぎ注意!

 

8月14日 曇時々晴れ
5:10 白馬岳キャンプ場発 角田隊と別れる
6:30 白馬岳  見事なお花畑
9:30 雪倉岳  雪倉岳下りでシゲさんと武蔵さんに遭遇

朝日小屋間近でカオリちゃんと交信。水場で体を洗う。

・14:15 朝日小屋キャンプ場  ロケーションGood

齋藤さん&カオリちゃんと合流
夜、テントのポールが折れて、応急処置。

 

何日間も山生活を続けていると朝の身支度が素早くなるもので、早々にテントを撤収。角田隊と別れ、3人で白馬岳へ向かう。とその前に、本日のコースタイムは約7時間で比較的短い為、白馬山荘の雰囲気の良いレストラン(とてもおススメ!)に立ち寄ることにした。小1時間ほど優雅にモーニングコーヒーを楽しむ大人の時間。この先もゆっくり進む。なぜなら、白馬岳から雪倉岳辺りで沢山の種類のお花が出迎えてくれたからだ。私達は何度も足を止めてお花達を観察した。お花といえばカトさん!いや失礼、カト先生と呼ばなければならない。先生は色々な種類の花の名前や特徴を教えてくれて、とても勉強になった。

雪倉岳を過ぎた辺りで、なんとサプライズのケッチボー!蓮華温泉へ向かう武蔵さんと佐藤さんだ。元気な大先輩とお会いするとこちらが励まされる。互いの無事を祈って握手を交わした。
朝日岳に近づくと、水が豊富になってくる。朝日小屋手前の水場で3人は頭と体を洗う。あ~!すごく気持ちイイ!だって約1週間ぶりの水浴だもの。ワカメの様な髪の毛がサラサラになり、野生的悪臭が薄くなり、身も心もリフレッシュ。
朝日小屋手前でまたまたケッチボー!本日朝日小屋で合流予定のカオちゃんとサイトーさんがわざわざ迎えに来てくれたのだ。2人はイブリ尾根から入山し、最終日まで行動を共にする。長丁場の縦走は体力的精神的に辛くなってくるが、2人の笑顔を見たら一気に元気が沸いてきた。夕食も豪勢で更に元気百倍。カオちゃん特製の牛鍋やサイトーさん持参のおでんやプリンやベーコン等、差し入れに感謝。
就寝後、事件が発生した。アベ隊が使用していたテントのポールが折れたのだ。ここで頼りになるのがアベさん。コッヘルの持ち手部分の針金をポールの中に通し、ポールの周りをテントのペグで補強し、テーピングで固定。スゴイ!素早く修理してくれて、とても助かった。

 

8月15日 曇のち雨
4:20 朝日小屋キャンプ場発
5:15 朝日岳
6:00 照葉池
8:00 黒岩平 野口隊から交信が入る
11:45 栂海小屋  昼から雨、夜半に雨風とも強くなる。

都岳連遭難対策委員の吉田夫妻と会う。

 

朝日岳から北部は環境が変化する。1つは日本海からの風が強くなるということ。特に「吹上のコル」では体がよろけるほどの暴風だった。他にも、湿地帯が広がり池塘が多く点在することが挙げられる。広範囲で木道が完備されて歩きやすいルートだった。
黒岩平付近で野口隊から無線交信が入る。本来は野口隊+稲垣隊と合流するはずだったが、我が隊が1日遅延した為に残念ながら合流ならず。お互いに無事であることを伝える。ケッチボー出来なくても、声が聞けるだけでも嬉しい。
栂海小屋に到着。この小屋は無人小屋だが、設備が良い。2階建てで部屋が幾つかに仕切られている。毛布が各人に2枚程度用意されており、夜は暖かく寝ることが出来る。我がパーティの他に5組程度のパーティがいた。昼ご飯はタカタカ手作りのちらし寿司、夜はサイトーさんのラーメン。この日は昼から雨が強く降り始め、夜中も雨風の音に悩まされた。明日が不安だ。

 

8月16日 雨
3:55 栂海小屋発
5:30 黄連の水場
8:00 白鳥小屋  雷雨に見舞われる。全身ずぶ濡れ
13:30 栂海新道登山口

親不知観光ホテルで入浴。
実家に帰省中の笹山さんからの差し入れが嬉しい。

 

昨夜の不安は的中。朝から雨だ。白鳥小屋辺りから豪雨になり、遠くで雷も鳴り響く。樹林帯の登山道は、まるで濁流の川となり、靴の中は泥水でぐちゃぐちゃ。全身ずぶ濡れで気分が滅入る。しかしゴールはもうすぐだ。展望の無い樹林帯の中、時折木々の隙間から日本海がチラリと見える。気持ちが高揚する。泥まみれになって最後の急な下りを懸命に進む。

目下に日本海が広がった。その瞬間、涙がでた。8日間3人で励まし合いながら一歩一歩懸命に進んだこと、ケッチボーで多くの仲間と元気を分け合ったこと、皆が無事に目標を達成できたこと、なんと幸せなことだろう!
下山後、登山口正面にある親不知観光ホテルで入浴。ホテル従業員に「湯船に入る前に体を洗ってください」と念を押される。臭いのは自覚しているが、言われると恥ずかしい。ホテルを出たところで、なんと最後のケッチボー!帰省中の笹山さんが富山名物の押し寿司や海鮮ちらし寿司を持って来てくれたのだ。改めて仲間の有難さを痛感した。

 

今回のような長期縦走は初めてだったので、山行前は非常に不安でした。実はどこでリタイア出来るか、エスケープルートを探していたくらいです。しかし悪天候の中でも何とか無事にゴールまで辿り着いたことは、カトさんのペース配分やアベリーダーの適切な判断、またお二人の優しいお心遣いのお陰です。また、ケッチボー出来た仲間達の励ましにも助けられました。皆様、誠にありがとうございました。また山にご一緒してください!

 

高野 賢子

 

 

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針ノ木~親不知 感想

 

雨に打たれた山行でした。

普通の夏山は、下山後風呂に入ると日焼けした肌がヒリヒリするものだが、今回はそれが無い。入山初日から台風11号に見舞われ、シュラフまで濡れ寒い夜を過ごした。
この歳になって、何を好んでこんなことをしているのだろうと思った。
雲の切れ間から時々顔を見せる剣岳の山容は心に響くものがある。
雨が上がって唐松岳キャンプ場で見た景色と心地よい風は、それまでの反動で余計に感動する。
自分で計画したのだが、8日間もの縦走は初めてだ。重荷を背負っての岩稜歩きに足元がおぼつかない。ちょっとバランスを崩し、立ち直すまでの時間が長い。
肉体の衰えをつくづく感じた。
こんな体力では冬山の岩稜歩きは、もう無理かな・・・と思う。
それでも、途中で合流してくれる仲間は本当に有難い。その都度鋭気をいただく。
齋藤さん、谷口さん、角田さん、福田さん、大崎さん、長谷川さん、笹山さん、このご恩はどこかでお返しできれば、と思います。
最後に山行を共にしてくださった賢ちゃん、カトさん、ありがとうございます。
お二人の工夫を凝らした料理は感動ものでした。

阿部

 

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北アルプス後立山連峰縦走感想

加藤秀夫

7月の南アルプス全山縦走(7/18-7/31光岳~甲斐駒ケ岳・鋸岳)に続いて後立山連峰縦走(8/8-8/16針ノ木岳~親不知)に参加させていただいた。このルートは以前から興味があり一度は歩いてみたいと思っていた。60周年記念山行「日本アルプス縦断」企画のお蔭で念願がかなった。企画をしていただいた阿部代表ほか関係者に感謝したい。本山行に同行していただいた阿部リーダー、高野貴さんには老体を気遣いいただきながらの山行でお二人なくしては成しえなかったことと心から感謝したい。また、縦走途中でケッチボーした谷口、角田、福田、大崎、齋藤、長谷川(齋藤、長谷川両氏は日程変更までしていただき合流)の諸氏には食糧、料理、酒などを振舞っていただき有難かったがそれ以上に同じ仲間に高山で会えたことで新鮮な気持ちになり新たな意欲を奮い立たせてくれたことが完登できたと思う。更に、下山地の親不知に駆けつけていただきチラシ寿司などの差し入れを頂いた笹山さんにも感謝したい。また、8/14稲垣隊と別れた永久会員の武蔵氏とOBの佐藤先輩に雪倉岳付近で遭遇したことは嬉しかった。唯一残念なことは台風の影響で稲垣隊と1日遅れで合流できなかったことだ。長期縦走中ピンポイントで合流することは難しい。

スタート時の台風と後半の停滞前線の影響で雨に始まり雨で終わった山行だった。しかし、中間の鹿島槍、五竜、白馬、雪倉などは展望がよく剱を見ながらまた花を愛でながら気持ちよく歩けた。花の名前は相変わらずわからない。チングルマ、ハクサンイチゲ、キンポウゲ、キンバイが分かる程度で進歩がない。三国堺を左に折れたガレ斜面一杯のコマクサの花畑は嬉しかった。

8/14晴天となった朝日小屋手前の沢で6日ぶりに体を洗いシャツを洗濯する。長期縦走ではこのことが一番の楽しみかもしれない。

最終日8/16栂海小屋からの登山道は雷雨のため小川と化し水の中のジャブジャブ歩きと泥道歩きを強いられたことも終わった後では稀有な経験として思い出深い。

お盆のこの時期の悪天候で北アルプスは数人の遭難が報道された。私たちが無事下山できたことは阿部リーダーの適切な判断があったからこそと改めて感謝したい。

’07年64歳、52期として北稜に入会し登山を始め今年9月で丸7年になる。北稜の皆様のお蔭で多くの山を経験させていただいた。日本アルプスで言えば残すところ北アルプスの表銀座、三俣蓮華岳~針ノ木岳、焼岳、中央アルプス全山、御嶽山、乗鞍岳とまだ沢山残っている。高齢者保険証をもらっている身ではそう時間がない。歩けるうちに残された日本アルプスの山々に登ってみたい。

 

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費用

西大宮⇔信濃大町 高速代:8200円 燃料代:8400円
信濃大町→扇沢 タクシー:6300
親不知→信濃大町(齋藤車):1200円/人
針ノ木キャンプ場:500円/人
新越山荘(1泊+朝食):8400円/人 水&ビール1缶サービス
冷池 飲料水 :150円/L
キレット小屋(素泊まり):6500円/人 通常水無
唐松山荘キャンプ場:900円/人 飲料水はペットボトル買い
白馬キャンプ場:1000円/人
朝日小屋キャンプ場:700円/人
栂海小屋:寸志
親不知観光ホテル入浴料:750円/人

 

ビール代、飲食代を除くと 約28000円/人 になります。

 

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食糧詳細

8/9  朝 各自         夜 カツ丼
8/10 朝 トマトパスタ     夜 カレー(加藤さん担当)
8/11 朝 山荘の朝食      夜 シチュー(加藤さん担当)
8/12 朝 キノコクリームパスタ 夜 高野豆腐の煮物
8/13 朝 ラーメン       夜 角田隊特製カレーおすそ分け
8/14 朝 卵雑炊        夜 トマトスパゲティ(加藤さん担当)
8/15 朝 ラーメン       夜 ちらし寿司とラーメン
8/16 朝 マーボー春雨丼

 

軽さを重視し、全てのメニューに乾燥物を使った(カツ丼は除く)。
加藤さん特製のカレーとシチューには乾燥ホタテや手作り乾燥野菜を使用。
高野豆腐煮物の材料は、仙台麩・高野豆腐・乾燥椎茸・乾燥エビ・乾燥ごぼう。
ちらし寿司の具材は、乾燥「きんぴらの具」を煮〆たもの・錦糸卵(常温保存)・のり等。
3日間夕食は加藤さん担当。それ以外の全ては高野が担当したが、食糧の重さは全く負担にならず、軽量化に成功したと思う。味も阿部総料理長に合格点もらいました^^

 

 

以上

 

 

 

 

 

 

 

記念山行 柏原新道~キレット小屋で合流

1、期間 2014,8,10~12(2泊3日)当初計画より1日早く下山

2、参加者 グッチ、キレット小屋より五竜岳までアベ本隊に合流

3、コースタイム
8/9 23:00新宿高速バスターミナル発
8/10 5:05扇沢着、6:20柏原新道登山口通過、9:30種池小屋着、同小屋泊 8/11 6:20小屋発、6:55爺が岳(南峰)登頂、7:15爺が岳(中峰)、8:08冷池小屋着、10:13鹿島槍ヶ岳(南峰)登頂、
10:55鹿島槍ヶ岳(北峰)登頂、12:09キレット小屋着、阿部本隊と合流、同小屋泊
8/12 5:41小屋発、8:32五竜G5通過、五竜小屋経由、11:17白岳で阿部本隊と分かれ遠見尾根を下山、13:54テレキャビン駅着
14:00テレキャビン下車、14:10花丸バスで14:20白馬駅、14:38特急あずさ(新宿直通)乗車、18:40新宿駅着

主な料金 新宿発扇沢高速バス 6,100円、花丸バス500円、白馬発新宿行き特急あずさ7,780円、種池小屋素泊まり6,000円、キレット小屋素泊まり6,800円

4、記録
8/9 ・深夜バスの「扇沢」経由「栂池」行に乗車。台風の影響でガラガラ。あすの便は満席とのこと。

8/10  ・予定通りの運行。雨は本降り。扇沢で4人ほど下車。行き先を尋ねると、みんなトローリバスで黒部、剣方面とのこと。

柏原新道入口
柏原新道入口

・扇沢から大町方面に15分ほど戻り、柏原新道入口に到着。登山口小屋に管理人が一人、尾根までは大丈夫だが種池小屋から強風のため注意するようアドバイスを得た。

・登山開始から風雨が強くなるが、例の雨傘を頭に装着し登り続ける。森林帯を抜ける頃には強風で雨傘を脱ぎ雨具のフードをかぶると、まもなく稜線が見え、種池小屋に到着。

・小屋にいる長野県パトロールの方に聞いたところ、これから台風が最接近するので小屋での停滞を勧められ、小屋泊を決める。

・小屋には10人強の登山客が同宿。

種池小屋から出発
種池小屋から出発

8/11  ・まだ雨は止まず風もあるが青空が見え虹がかかっており、まずまずの気分で出発。

・阿部本隊の針木方面が遠望できるが、雲が低く頂上は確認できない。

・爺が岳(南峰)を過ぎてから雷鳥との遭遇があり、8羽ほどと挨拶を交わす。

・天気は快方に向かうのでもなく、時折視界が広がるが、概ね眺望が効かない。相変わらず雨と強めの風。

・鹿島槍北峰をピストンし、キレットに入った時に異変に気づく。右足の登山靴のソールがべろりと剥がれる。手持ちのテーピングテープでソールをぐるぐる巻きにし、ともかくもキレット小屋を目指す。テープが保つことを祈りながら。なんとかキレット小屋に到着。

冷池小屋への稜線
冷池小屋への稜線
鹿島槍頂上
鹿島槍頂上

・早速、強力接着剤を小屋で購入しソールを補修、その後ウイスキーをちびちびやっていると窓外にカトーさんが見え、阿部本隊が到着。冷池小屋の予定をキレットまで足を伸ばしてくれた、やはり仲間がいると心強い。

・ちなみに昨日はキレット小屋の宿泊者は0人とのこと。この日は我々4人のほか6人くらい、カラカラの山小屋は結構居心地が良い。値段は高いが(素泊まりで6,800円)。

・夕食はアベさんのベーコンで一杯飲み、カトーさんのシチューをご相伴させていただく。

8/12 ・朝、靴を確認するとなんとか接着している様子。更に、番線(針金)を分けてもらい、カトーさんに手伝ってもらい靴に巻きつけ固定。

・朝食にタカタカさんの暖かいパスタをいただき、靴が仮にも直り、待望の立山、剣岳の眺望もあり、気分爽快に出発。

キレット小屋出発
キレット小屋出発
キレット越え
キレット越え
振り返る鹿島槍
振り返る鹿島槍

・キレットを抜け、G5を経て道はそれなりに険しいものの順調に進んだが、途中から番線が切れだし、遂に五竜に着いた時(縦走路の頂で本当の頂上は別)、番線が切れ、再度靴のソールがべろりと剥がれる。阿部本隊は五竜頂上に向かうが、自分は一歩先に五竜小屋へと向かう。僅かに残っていたテープを再度巻きつけ、なんとか五竜小屋へ到着。

・五竜小屋で登山靴を売っているとは、キレット小屋で聞いていたが、値段が16千円で、その時の手持ちの金が16千円。地獄の沙汰も金しだい。カードは効かぬと言われ、再度番線で補修を試みたが結果はダメ。結局、財閥カトー様に借金し、靴を購入。そんなかんなで五竜小屋到着時間を記録するのを失念しました。

・やれやれと思いつつ携帯を確認すると家内からの留守電。親戚が亡くなったので明日のお通夜に間に合うよう至急下山されたしとの指示。(山上で携帯が使えるのも善し悪し?)

・そこで、アベ本隊と分かれ遠見尾根を下山。なんとか白馬駅の新宿直通の特急あずさに間に合い18:30頃に新宿に到着、事なきを得る。(今回残したルートは今後の課題です。)

8/1~8/2 北岳バットレス

北岳バットレス山行記録

日程:7/31夜発 8/1~8/2

メンバー:サイトー、タカタカ

行程:7/31 埼玉新都心駅18:30集合-(車)-奈良田22:30着

8/1  奈良田5:30発-(バス)-広河原6:15-広河原山荘7:00-二股9:00-c/d沢中間尾根10:30-dがリー取り付き12:00-第4尾根取り付き(ビバーク地)18:00

8/2  第4尾根取り付き4:40-終了点10:00-山頂11:00-広河原15:40-帰京

北岳バットレス第4尾根主稜は、標高日本第2位の北岳頂上直下に突き上げるダイナミックなアルパインコース。アルパイン経験・技術の乏しいタカタカにとっては難しいコースだったが、幸運にも晴天に恵まれ、何よりアルパイン経験の豊富なサイトーさんがパートナーだったことにより、無事に楽しく最高の景色の中で完登することが出来た。

第4尾根主稜コースは、第4尾根主稜とその取り付きまでの下部岩壁の2行程に大きく分けることが出来る。当コースは非常に人気が高く、所々で渋滞の可能性がある。ネット情報によると、白根御池小屋を早朝出発し1日で全工程を終了し小屋まで下山するケースが多いらしい。混雑を避けるため、我々は1日目を下部岩壁登攀、第4尾根主稜取り付きでビバークし、2日目で頂上を目指すことにした。

さらに、下部岩壁のコースは数種類の取り付きがあり、①bガリー、②dガリー、③第5尾根などの候補がある。①はbガリー大滝をつめてcガリーを横断する際、落石が危険との情報あり。だが②・③は雪渓の状態が悪いとの前情報があり、判断が難しい。結局、前日に山小屋へ電話で雪渓問題なしとの確認を取ったため、②を採用した。

朝一のバスで広河原入りし、まずは下部岩壁取り付きを目指す。大樺沢沿いに歩き二俣を越えた辺りから、取り付きのポイントを注意して探る。ただし、心配性のサイトーさんが事前に万全のリサーチをしてくれたお陰でdガリーへの明瞭な踏跡(c沢とd沢の中間尾根から登る)を容易に発見することが出来た。終始アイゼンは不要だった。dガリー前でクライミング装備を身に付け、いざクライミング!とその時、頭上から不穏な音が。。頭部より大きい岩が複数降ってきた!落石だ!間一髪の距離!!サイトーさん「上を見て!石が来たら避けろ!」と叫ぶ。早速アルパインの洗礼を受け、プルプル震えて立ちすくむタカタカ。スタート地点で早急に「本気で帰りたい。」と喉元まで出かかったが、落石はcがリー上部の崩壊跡から発生するため、我々のルートには影響は無いとの冷静なサイトーさんの判断から決行することにした。(北岳は2010年の大崩落後、今も岩が脆い状態。実際に我々の登攀中、その崩落現場からは何度も落石が発生していた。cガリー横断は非常に危険だ。)

dガリー取り付きから第4尾根主稜取り付きまで、ほぼスタカット(サイトーさんリード)で5ピッチ。途中の支点が頼りないこと(途中フレンズも使用)、足元が結構ざれていること等、不安定要素が多かった。dガリー取り付きまで雪渓の下を泥だらけになりながらくぐったり、上部の高度感たっぷりなトラバースが足元ザレザレだったり、結構バクバク心臓に負担をかけつつ(!)、第4尾根主稜取り付きにようやく到着。

第4尾根主稜取り付きは広いテラスになっていてツェルトビバーク可能。岩壁ビバーク得意のサイトーさん主導で心地よい安全なツェルト生活があっという間に完成。ビバーク方法を教えてもらった。例えば、ツェルトの設定方法から始まり、常に自己ビレイを取りヘルメットも装着する、トイレの為のビレイをロープで予めセットする、物を落とさないように必ず袋に収納し確保する等、貴重な体験をして参考になった。翌日の登攀のため、夕食後は早々に就寝。2人用のツェルトはそれほど大きくは無いが、岩の上にテントマットを敷き、シュラフカバーで包まって寝ると意外と居心地良いものだった。

翌朝3時に起床し、朝食後に身支度を整える。空が明るくなった後、第4尾根主稜取り付きから登攀開始。一般的に最終点まで9ピッチあり、核心部は1、5、9ピッチ目。タカタカは「ツルベなら偶数ピッチは担当しようかな~♪」なんて呟いたのも束の間、ゲレンデとは違うアルパインの迫力に圧倒され、あっさりフォローを志願する。「だってだって、ランアウトするし、絶対に落ちれないし、支点不安定だし。。モニョモニョ」と言っている間に、サイトーさんはタイムリミットを気にして全工程リードを担当してくれた。流石多くのクライミング経験を持つサイトーさんは、重い荷物を背負いながら、次々と突破していく。1ピッチ目のクラックや5ピッチ目のスタンスの少ない垂壁、そこからの大胆な高度感のあるナイフリッジ、6ピッチ目のマッチ箱の懸垂下降、9ピッチ目のハング気味のチムニー越え、各終了点ポイントでは素早い支点作りや所々のフレンズの使用等、まるで山岳ガイドのような身のこなし。本当にすごい技術と精神力だ!これだけお世話になったにもかかわらず、クライミングの途中でサイトーさんのカメラ(今回の唯一の記憶媒体)をタカタカがどこかで紛失。恩を仇で返すとはこのことだ。サイトーさん「そのカメラ3日前に買ったばっかりなんだよね。。」とぽつり一言。(←後日落し物として届出があり(!)無事にカメラを回収。しかしクライマックスのサイトーさんの格好良いシーンが全く撮影できず、本当にすみません。。) サイトーさん優しく許してくれました。

登攀後に装備を解除し、北岳山頂へ30分程度で到着。本来盛り上がって記念撮影をするはずだが、ここでも写真は無し。自分のおっちょこちょいを呪う。山行計画では肩の小屋でゆっくり1泊する予定だったが、突如天候が急変しザーザー降りになったため、急いで広河原まで下山し、最終バスで帰京した。

常にフォローで情けないが、清々しい晴天の下、3000メートル級の尾根をを登攀しながら、ふと背に見る壮大な山々の景色は最高に気持ちよかった!!登攀の途中にテラスでビバークしたのも楽しかった!!他のパーティとも会わずに北岳の尾根を独り占め出来た贅沢な山行だった。全てはサイトーさんのお陰です。ありがとうございました。

・アクセス詳細

広河原への道はマイカー規制があり、アクセスにはバスもしくはタクシーの利用が必要。南アルプス登山バスは、夜叉神~広河原間での落石による通行止めのため、一時的に奈良田~広河原のルートにて代替運行となっていた。それにより、今回は奈良田に駐車することになった。

交通所要時間 さいたま新都心駅-(車で4時間)-奈良田

奈良田-(バスで45分)-広河原

奈良田から広河原までのバスは大変混雑するので、要注意。

奈良田には2箇所の駐車場があり、各駐車場にバス停がある。第1駐車場がバスの始発駅で、第2駐車場が次の停留所。第2駐車場から乗車すると、混雑の為に時刻通りのバスに乗れない可能性あり。我々の場合、前夜22:30に奈良田に到着して、ギリギリ第1駐車場に駐車したので、始発駅から乗車出来た。早めに第1駐車場に到着することをおススメする

月山から石跳沢を下る

— 月山スキーでシーズンを終わる—

○月山スキー行:5月9日夜発~5月11日 志津野営場一泊
○参加者:野口OB夫妻 田中OB L稲垣み 角田 ハギ 部長
○行程:5月9日夜9時半久喜駅 角田車で東北道 午前1時安達太良PAで仮眠
5月10日 安達太良6時発 月山スキー場10時田中、野口夫妻OBが合流 天候待ち午後リフト終点から姥ヶ岳コルまで往復3時間ほど
5月11日 4時半起床 朝食・準備 田中OB帰宅の途に 8時すぎリフト終点からシール登高 牛首にスキーデポしツボ足 10時半月山山頂着 牛首に戻りスキーでダウンヒル 姥沢コルから石跳沢を下る 12時半駐車場着 荷物整理し帰途に 野口ペンション訪問 蔵王エコーラインを経て白石ICから東北道 9時久喜駅解散

○記録
隊長いたさんが月山スキーをプロデュース。角田人見ハギが参加。いたさんの目的は3名の古希祝いである。ジャンボテントを張ってお茶を飲みつつ天気が好転するのを待つ。その間に角田はツエルトを張り竹の子を天ぷらに揚げ、このまま入山祝いになだれ込む危険もあるので、隊長が行動開始を命じる。

リフトで終点まで登るが天気は好転しそうにない。野口OBが立ち止まってガスの晴れ間に方向を確認、トラバース気味に進む。姥ヶ岳と金姥のコルまでたどり着いて、その日の行動を打ち切った。

テントに戻り、晴れ晴れと堂々と入山祝いを始める。それぞれがつまみを供出、盛りだくさんのご馳走が並ぶ。ビールで乾杯、ワインや新潟土産の越乃寒梅もでる。そのうち3名の名前が入ったケーキが持ち込まれる。キャンドルを点しケーキカット。古希を祝う会となった。

各自人生の蘊蓄を語り、角田は持って来た本に署名をねだり、野口氏はまんざらでもなさそうにサインし、いたさんは相変わらずおしゃべりが止まらず、田中氏は二王岳にぜひいらっしゃいと繰り返し宣伝し、ハギちゃんはビールを飲み続け、空には星がまたたく。9時に就寝。

11日は早めに目覚める。快晴。角田がうどんを用意、テントを畳む。所用で帰る、田中さんと再会を約してお別れ。
余裕を持ってリフト乗り場へ。運行開始と同時に乗る。日曜晴天とあって他の客も多い。遮るものがない大展望のなか、角田がリードし昨日と同じルートをとり、牛首を目指す。

青い空、白い大雪原、くっきりと稜線が延びる中を、蟻のように私たちは進む。ヒールを高くセットして高度を上げる。
やがて月山の肩ともいえる牛首に着く。
ここでスキー板を外してデポしツボ足で登って行く。岩やブッシュが混じった斜面にストックを補助にして登る。程なく神社を祀った月山山頂に着く。
南に朝日連峰と飯豊連峰、眼下は庄内平野その先に日本海、北には鳥海山がカッコよく立つ。これ以上望めない最高の展望である。

記念写真を撮ってデポ地に下る。さあ、ここからお楽しみだ。春の日差しに輝く大雪原を一気にダウンヒル。うーん、爽快感が体中を突き抜ける。たまりません。下手なターンでも胸のすくシュプールを描く。角田と野口夫人は安定したきれいな滑りだ。昨日のコルまではトラバースしていく。

昨日は何も見えなかった稜線やコル、今日はとても楽な斜面だと分かる。そのコルから石跳沢のコースに入る。二日分のルートをこの日だけでまとめて滑ることになる。
この斜面も広く迷うことなしにダウンヒルできる。雪はうねっているが技術的には問題ない。沢コースは初めてのハギちゃんも大満足のスキーとなる。
やがてブナ林にでて、野口OBのリードでスムーズに車道に出、テン場に直接着いた。いやはや楽しい山スキーでした。シーズンのフィナーレに花を添えて飾れました。

角田の発案で野口ペンションを訪問。コーヒーを頂き、山菜のお土産まで頂きました。感謝します。再会を約して坊平高原を後にしました。
この後蔵王エコーラインを下って角田さんの古里、白石から東北道に入る。

長時間にもかかわらず、運転お疲れさま。車内で精算、ひとり6000円ほど、同行の皆さま、ありがとうございました。

五竜春合宿(G2中央稜登攀隊)

やっと、本来のダブルアックス

五竜岳春合宿(G2 中央稜 登攀隊)

メンバー:アベ(L)、さぶ(記録)

5/4日
コースタイム:4:30 西遠見BC~白岳沢出会~A沢出会~G2右稜出会~中央稜~13:30G2の頭~15:00 西遠見BC
(全体の記録はこちら)

西遠見BCから見る、登る予定の、G2中央稜はほぼ雪がついていない。
雪がないと、ざれ場+ヤブ漕ぎで難儀するだろう?という予想を事前にアベリーダーも口にしていたが
現地行って、行そうなところを登ろうと前夜に確認し、アタックの日を迎える。

ササダ、かおり組が少し先行して歩く。彼らは雪がついているA沢から武田菱を登るそうだ。
かおりちゃんの背中が緊張でこわばっている様に見えるは気のせいじゃないだろう。
私も同じ気持ちだ。

アベさんより、とりあえず中央稜に行く方向で白岳沢を下降することを伝えられる。
晴天。システムはヒマコン2。朝日を背にして白岳沢の下降点まで歩く。

しかし、えらい傾斜だ。。。このトラバースしながらの下降がキツイ。
アベさんは、さっさと、降りてしまうので、ついていくのが精いっぱいで、ここで汗だく。

A沢の出会いについた時には、すでにササダ、カオリペアはA沢を登っていた。

A沢を行くササダ&カオリペア
A沢を行くササダ&カオリペア

私たちはA沢を過ぎ、G2右陵にとりつき、これをのっこす形で中央稜へ。

先行パーティーが上から懸垂下降で降りてくる。
どうも、雪がなくガレていて登れないと判断し、敗退するらしい。
どうしようかと、アベさんと相談し、とりあえず、自分の目で見て判断しようということで、アベさんリードで
登る事に。ほどなく、やはりガレていて危険とのことで、戻ってきた。
いやはや、確認ありがとうございます。

アベL偵察中
アベL偵察中

 

さて、他に行けるルートがないかと、きょろきょろしていると、後発パーティーが稜線の右側のルンゼをつめていく。
あっちなら、登れそうだ。

テラスまでトラバースしながら上がる。しかし、雪がかろうじてついているが
相当腐っていて、草付がところどころ出ているようなルンゼだ。

先ほどのパーティーが登り終わるまで、テラスでしばし休憩。

こちらもくさった雪に相当、てこづっているようだ。

私たちの番で、ここもアベさんリード。すみません。お願いします。。。

アベさんはするすると登ってしまい、ロープを伸ばしてくれる。
続いてフォローで行くが、相当難儀する。なんせ、アックスが効かない上に、足場が崩れる。。。
リードでするするといったアベさんが同じ生き物には思えない。。。

登る事にしたルンゼ1P目
登る事にしたルンゼ1P目

サクサクと登るアベリーダーは、先行パーティーに追いついてしまったが、ロープが交錯しないように、ルートをとって
順調にロープを伸ばしてくれる。

私は、途中でくさった雪に上に上がれずに、半泣きになりながらなんとか上がる。
ところどころ、雪がない泥壁、草つきにダブルアックスで登るはめになる。
なんで、5月の五竜でこんな目に。。。

草付をダブルアックスで
草付をダブルアックスで

ほどなく、前のパーティーを追い抜く形で、ヤブ交じりの雪稜を今度は私がリードする。
ロープ半分くらいで、ピッチを切ろうと思ったら、もっと行けと、アベリーダーよりゲキが飛ぶ。
こっから、完璧にヤブだ。ヤブの急登。。。シャクナゲとハイマツ君が容赦なく立ちはだかる。。。
なんてこった。これはミナトさんの好きなヤブ漕ぎだ。
手と足が地につかないのだ。3級から4級はあっただろう。
ラッセルは好きだが、ヤブ漕ぎは好きじゃない。

枝にひっかかり重いロープを頑張って引っ張りながら、砂場みたいな広い場所に出る。ここでピッチを切る。
ほどなく、ヤブからアベリーダーが上がってくる。なんだ、この構図。。。

ヤブから出てくるアベL
ヤブから出てくるアベL

頂上の方を見ると、ザレ場が、ヤブしかない。雪はどこいった!!

ここでロープとアイゼンを外す事になる。
5月の五竜でアイゼンを外すはめになるとは。

地に足がつかないけど、うっかり地につけてしまうと、地面が凍結していてい、滑ってこれも怖い。
背中でただの荷物と化してる、アイゼンとアックスがただ悲しい。

ヤブとザレザレのザレ場に泣かされながら、なんとか高度を上げる。
最後にやっと雪が出てきた。

本来のダブルアックスの使い方が出来て心底うれしい。
先行するアベさんに、1枚くらい北アルプスっぽい写真が欲しくて
おねだりして写真をとってもらう私。先輩にすみません。

やっと、本来のダブルアックス
やっと、本来のダブルアックス

アベさんのルートファインディングは素晴らしく、予想どおりにG2の頭に突き上げる。
さすがです。私、本当に今回、なんの役にも立たないっていうか、なんとか後ろをついていくのに精一杯。。。
このスタンスから早く卒業しないと。。

こっからは五竜山頂はあきらめ、五竜山荘経由で下山。
五竜山荘で交信をすると、本隊とつながる。
本隊は随分前に、BCに戻り
ササダ、かおり部隊も登攀を終え、頂上を踏んで下山している事を確認できて
皆の登頂成功を喜ぶ。

BCに着くと、みんな外でお出迎えしてくれた。
これは本当にうれしかった。皆さんありがとうございました。

アベさんには、本当にお世話になりました。
無事に、登攀できたのも、アベリーダーのおかげでした!
本当に、ありがとうございました。

しかし、もう、ヤブはコリゴリです(笑

甲斐駒ヶ岳

竹宇駒ヶ岳神社~黒戸尾根~甲斐駒ヶ岳

時期:     2014321日(金)~23日(日)

メンバー:  コバ、ケンタ
工程: 3/21日 曇り時々雪 東京- 登山口- 七丈小屋   3/22日 快晴 七丈小屋 - 山頂 - 七丈小屋     3/23日 七丈小屋-竹宇駒ケ岳神社

 記録

東京を5:30に出発するものの、首都高の事故の影響でのっけから渋滞気味。予定より若干遅れて8:00すぎに尾白渓谷の駐車場に到着。2月の雪の影響で駐車場へ通じる道も不通だったため、先週まで約1ヶ月の間駒ケ岳山頂を踏んだ人はいなかったとのこと。駐車場にもまだ大分雪が残っていました。

駐車場あたりは春の雰囲気
駐車場あたりは春の雰囲気

さっさと準備をして出発。竹宇駒ケ岳神社も雪の中。お参りをして先に進みます。尾白川に掛かる吊橋を渡ったところから本格的に登り始めます。先行者が結構いるようで、踏み跡ははっきりしていて迷うことはありません。しかしこの日は気温がどんどん上がってきて暑い。結構な傾斜の単調な山道で飽きる。暑い。疲れる。結局笹の平の分岐まで2時間も掛かってしまった。笹の平までくれば傾斜も少し落ち着いてくる。

ここから1時間ほどで刃渡り。この頃から風が強くなり、雪が混じるようになる。刃渡りも横風に少し緊張する。ようやく楽しいゾーンに入った感じ。刃渡りの先すぐにあるはずの刀利天狗も雪に埋れて確認出来ず。ハシゴや階段が続くがほぼ雪に埋まっていて準雪壁状態の場所も多い。ピッケルとアイゼンの前爪を効かせて慎重に登って行く。特に五合目小屋跡の先の鎖場は完全に雪に埋まり緊張感のある雪壁になっていて、この日の核心部でした。
七丈まではこんな感じが続き、小屋手前のいやらしいトラバースをこなして小屋に到着。
雪が多いため、テンバは第一小屋の前に設定されてました。水は小屋が提供してくれるのですが、水を入れた10Lのヤカンは17:00位には引っ込んでしまうので注意。
トイレも清潔で居心地の良いテンバです。
晩飯は鳥肉のトマトシチュー。米は炊いてみました。なかなかでした。

22
()快晴
4:00起床 ー 七丈5:30 ー 山頂8:00 ー 七丈11:00
夜の間ずっと強い風の音が響いていましたが、朝起きると満天の星空。絶好の天気です。5:00頃東の空が赤く染まり、足元が明るくなってきた5:30頃行動開始。
 まずは八合目を目指します。第二小屋の手前の雪だまりをよじ登ってスタートです。気持ちの良い樹林帯を経て徐々に傾斜が増てきます。先行者がいるらしくトレースが続く。でも人数は少なそう。樹林が薄くなったあたりで先行者を上部に発見。ソロの男性のよう。

七丈小屋のすぐ上から
七丈小屋のすぐ上から

雪は深く、時々膝下くらいまで踏み抜くことはあっても、トレースのおかげで順調に高度を稼ぐ。

八合目直下
八合目直下
八合目から摩利支天と遠くに北岳
八合目から摩利支天と遠くに北岳
八合先の大岩の基部を巻いていく
八合先の大岩の基部を巻いていく
お馴染みの剣が刺さった岩
お馴染みの剣が刺さった岩

八合からは遠くに鳳凰と北岳が望め、目の前には摩利支天がそびえる。これから登る方向も険しさが増してきます。八合からすぐに大岩があり、この下を巻いて行くところが嫌な感じだけど、これを切り抜けると例の剣が刺さった岩の脇に出る。この辺りで先行者に追いつき、トレースのお礼をしてトップを代わる。昨日の雪でノントレース。まっさらな雪に自分の足跡を刻んで行くのは何とも爽快。雲ひとつない空に白い雪が眩しい。ここからは3人でトップを代わりながら山頂へ。朝の低い気温で締まった雪にアイゼンとピッケルがよく効く。

見上げるとトレースの無い雪壁に霧氷が綺麗
見上げるとトレースの無い雪壁に霧氷が綺麗

10

もうすぐ頂上
もうすぐ頂上

今週一番乗りの駒ケ岳山頂からは目の前には次の目標仙丈と北岳池山吊り尾根が見渡せる。遠くには北アルプスが一望。八ヶ岳もクッキリ。そして富士山がデカイ!

山頂から北岳
山頂から北岳

 久しぶりの充実感。いつも思うけど甲斐駒ケ岳山頂は独立峰の趣があってやっぱり良い。

山頂で単独の人と話し込んだらどうやら新潟の山岳会の人で夏は沢、冬はアイスが中心だそう。新潟の早出川流域が素晴らしいと言ってました。
摩利支に立ち寄ると言っていた新潟さんと別れて、僕らは下山します。雪の下山は何時ものごとく登りの倍のスピードで下って行きます。あまりの天気の良さと快適な登頂に気を良くして調子に乗りすぎていたかもしれません。
八合を過ぎて傾斜が緩んできたあたりからは、シリセード混じりに快調に下っていました。樹林帯に入りトレースをショートカットしようとシリセードを始めました。方向転換しようと前方の木を蹴飛ばした時、グキッとやな音が。左足首捻挫確定。大した傾斜じゃなかったので蹴飛ばしたとき止まって良かったのですが、もう立ち上がれません。とりあえずケンちゃんが持っていたテーピングで固定し、這うようにして七丈まで下りました。
七丈でのんびりして次の日下るのは予定通りとはいえ、ほぼ一日中アイシング
最終日はアイシングの甲斐あって少し痛みも引き、靴も履けたので下山決行。実はこの日小屋の客で靱帯を切った人がいてヘリで運ばれて行きました。
僕はといえば、ケンちゃんから借りたストックに頼りながら、ヨチヨチ下山。それにしても黒戸尾根は長い。5:30に下山開始し、駐車場には15:30。実に10時間かかりました。
翌日念のため整形外科を受診したら左足首内側くるぶし骨折が判明。下れて良かったあと心から思いました。関係の皆様にはご心配をおかけし大変申し訳ありませんでした。

さて、身を持って次のような教訓を得たわけです。

1.シリセード
シリセード自体は下山時よく行われることなのですが、コースを見極めること。先に障害物があるときは基本どおりピッケルで停止する。たかが木とはいえ(僕が蹴飛ばしたのは直径15cmくらいの細い木)体重が乗ったときの衝撃はかなりのものです。

2.救急セット
捻挫(僕は骨折でしたが)は山では比較的起きやすいトラブルです。山小屋などはないのが普通なので、足を固定するテープは必携。今回は僕とケンちゃんで2本あったのが救いでした。また下山を想定した場合は痛み止めもあった方が良いでしょう。今回は僕が持っていたバファリンが気休めになりましたが、ロキソニンとかもっと強いのがあったらより行動が迅速だったでしょう。
捻挫であればボルタレンとかの湿布も有効です。特に夏はアイシングが出来ないので。

3.ストック
今回はケンちゃんのを借りられたけど、使わなくても持ってると安心ですね。杖なんてバカにするのはやめにします。
いうことで少し進化して来年は池山吊り尾根を目指します。みんな付き合ってね!


八ヶ岳 横岳-硫黄縦走

日ノ出岳のルンゼ(だと思われる)急でした。

3/22-23 八ヶ岳 横岳-硫黄縦走

参加者:カト、サブ(記録)

<コースタイム>
3/22 曇り時々雪
新宿7:00-9:08茅野9:35-美濃戸口10:13…14:50行者小屋(幕営)
3/23晴
起床3:30-行者小屋5:30-地蔵の頭6:30-横岳9:50-硫黄岳12:00-12:30-赤岩の頭-赤岳鉱泉-美濃戸山荘14:30-美濃戸登山口15:30

<感想>
全くの私事だが、年度末恒例の駆け込み仕事、消費税増税に加えて、新規プロジェクトを掛け持ちで、仕事がてんてこまいまいの私は、
12月頭のキックボクシングの試合を終えてから運動不足がたたり、なんと、6キロも太ってしまった。

春合宿までに、なんとか体重と、体力を戻すべく、カトさんが出していた山行にのっかることとした。

1日目は茅野でカトさんと合流。天気はいまいち。茅野で、友人二人とバッタリ。
彼女らは、行者小屋どまり、赤岳主稜と石尊稜を行くという。実は、去年の春合宿で北穂の東稜でもバッタリあったのだ。山は広くて、狭い。

この日は、美濃戸から行者まで。カトさんの軽快な足取りに運動不足の私は、なんとかついていく。
途中凍結箇所があったので、私は迷わずアイゼンを付けるが、カトさんは美濃戸山荘までノーアイゼン。
私の希望で、景色のよい北沢経由で行く。

行者小屋には15:00前に到着。よき場所にテントを張り、さっそく宴会。カトさんの豚シャブは絶品。19時頃、カトさんは就寝。
私は、南沢でアイスを楽しんでから、小屋入りすると言っていた件の友人を訪ねる。
18時過ぎに小屋に到着したようで、1時間ほど談笑。テントに戻り20時頃就寝。

3/24 5:30出発予定だったが、二人とも身支度早く、明るくなるまで小屋で暖をとりながらアイゼンなどつける。
予定時刻に出発。
地蔵尾根を上がる。天気はすごぶるよい。周囲の景色に顔がにやける。
途中、1個目のはしご付近で男性が一人降りてきた。
なんでも、先行パーティーが、2個目のはしごの先にトレースがなく、危ないので、引き換えると聞いて、彼も降りてきたとのことだ。

カトさんが、私たちはとりあえずこのまま行くこと、また、地蔵までのルートを詳細に彼に伝えたら
どうやら、勇気を得たようで、最初はついていくといいつつ、そのうち、先にどんどん行ってしまった(笑

しばらくすると、彼の言っていた、先行3人組がやはり降りてくる。これから先は怖くていけないから戻るとのことだった。
彼らを見送り、私たちは先にすすむ。

しかし、12月末に来た時よりずいぶん雪が増えて、ほぼはしごが埋まっている。
地蔵の頭までも結構厳しかった。。。いや、正直に言おう。久しぶりの山なので、相当、怖かったです。はい。

地蔵の頭への最後の急登 (後続者)
地蔵の頭への最後の急登
(後続者)

やっと地蔵の頭に出る。

右を見ると、赤岳がキレイに見える。
横岳に向かう人はいなさそうだ。トレースもうっすら。あるかないかの感じ。今日入っている人はいないようだ。

最初はなだらかな雪稜。天国のようにキレイだ。振り向くと赤岳の後ろに富士山が。来週行くかもしれない県界尾根の切り立った姿にビビりながら北に目を向ける
まず、二十三夜峰。。。確か、右に巻く。途中鎖だと思われる金具があるので、夏道通しなんだろう。カトさんが先を行くが、このトラバースも中々、慎重さをもとめ
られる。私は加藤さんが切ってくれたステップを使ってなんとかついてゆく。
私は今回、ここが一番怖かった。

そのあとは日ノ岳のルンゼを行く。トレースはない、右にトラバースでルンゼを横切り、そこから直上する。
ここで、硫黄方面からの単独の男性と行き違う。彼のトレースにしばし助けられほっとするが
ここは、雪の状態が悪いとルンゼなので、雪崩が怖いとのこと。
今回は雪がしまっていてアイゼンもピッケルもよく効く。

 

日ノ出岳のルンゼ(だと思われる)急でした。
日ノ出岳のルンゼ(だと思われる)急でした

この上で後続の男性に先に道をゆずる。

鉾岳はたぶん左に巻いて稜線に出た(と思う)石尊峰は気が付かないうちに通り過ぎた模様(石尊稜を見下ろしたかった。。。)
やがて杣添尾根との分岐、三又峰の道標が出てくる。

あとは広い稜線で奥ノ院(横岳の主峰)まで進む。横岳山頂で他のパーティーに写真をとってもらう。
いやはや、360度パノラマ。。。すばらしい天気だ。

横岳山頂。素晴らしい青空!
横岳山頂。素晴らしい青空!

これでほっとした私は、横岳からの下りがあまりにもナイフリッジでビビる。
リッジをこわごわ行くと、今度は、はしごだ。

カリカリに凍っており、手がかりがなさそうだ。左側にプラプラと番線が出ているので、これを手がかりに降りるのか~と
おもっていたら、カトさんが、はじめてここで、ロープを出そうという。
(どうやら、番線があるのに気が付かなかったよう)

ええ?ここで?と思ったが、確かに落ちたら命がなさそうだ。
ロープ出すなら、とさっそく先におろさせてもらう。
ここで何パーティーがとカチ合いしばし待機。

はしごを降りて、しばらくいったところで、今度はカトさんをビレイする。
ここでロープはしまい、あとは硫黄まで、天国のような縦走だ。

広い雪原を硫黄岳までいく。 でも、ホワイトアウトしたら怖い場所ですね。。
広い雪原を硫黄岳までいく。
でも、ホワイトアウトしたら怖い場所ですね。。

何度も景色を振り返り、写真をとったり、こんなにゆっくり山を楽しむのはどのくらいぶりだろうかって感じ。

広い雪原を悠々と進む。硫黄の烈風の洗礼をうけるのを少し楽しみにしていたが
なんと、無風快晴。そよ風もないくらいだ。
ちょっと、残念だが、せっかくなので楽しもう。

青い空に白い雪のコントラストがまぶしい。やがて、ケルンが山頂へ導くようにつまれてるのが見えてくる。

頂上までトラバース気味のケルンを後目に途中から爆裂火口に向かって直登していく。

はじめてみる爆裂火口は、自然のすさまじさを目の当たりにさせた。

爆裂火口。すさまじい~。
爆裂火口。すさまじい~。

その後、山頂へ。

登山客が全員笑顔でご機嫌だ。そりゃそうだろう。スケスケのファイントラック一枚になっているおにいちゃんもいた。

写真をとって、握手。しばし山頂で休む。こんなに硫黄山頂でゆっくりできるのもめずらしいらしい。

自然と笑顔になってしまう風景。
自然と笑顔になってしまう風景。
硫黄岳山頂。横も硫黄も私は初めてでした!ご満悦。
硫黄岳山頂。横も硫黄も私は初めてでした!ご満悦。

カトさんとは、ここでお別れ。私は、次の日仕事が入ってしまっているので、このまま美濃戸まで下山。

カトさんは、もう一日、本沢温泉経由で渋の湯に抜ける予定だ。

別れを惜しむ。なんだか、すごくさみしい。。。一緒に行きたいが、仕事なので仕方ない。

私は赤岳鉱泉まで降りる。途中、雪崩危険個所があるようだが、雪の状態がよいが、さっさと樹林帯まで降りる。
赤岳鉱泉で一休みしてから、一気に美濃戸の登山口まで降りる。
途中で、カモシカがいた。もふもふだった。

15時30分、バス停につく。
16時30分のバスでゆっくりお風呂に入ってから、帰ろうと、山荘のお兄さんにお風呂の券を買った時に衝撃の事実をしる。
下の道に路上駐車が多く、バスが通れないから、なんと!ここから歩いて20分のバス停まで歩いてくれと。
余裕をみて16時には出た方がいいと聞き急いで風呂に入り、髪の毛も乾かさずでてくると、最終バスなので
乗り遅れると申し訳ないと、アルピコバスが、送迎のバンを出してくれるとのこと。
よかった。。。生ビールを一杯急いであおるだけの時間をもらい、なんとか帰路につくことができた。

晴天の中、ヤツの美しさを存分に楽しむ事ができた。
上げ膳据え膳にもしてもらい、カトリーダーには本当に感謝です。

また、よろしくお願いします!!

(カトの感想)
雪山はいつも同じ顔ではない。だから今度はどんな顔をして迎えてくれるのかが楽しみでわくわくする。横岳縦走は何回か経験してきたが地蔵の頭から硫黄岳に向かうルートは初めて。地蔵ノ頭へのルートは二つ目の梯子から右の岩を巻いてからナイフエッジに出るのだが雪がしっかりついていて雪稜上からナイフエッジまでの急斜面を直登する。クラスト気味の斜面はアイゼン、ピックがきいて気持ちよい。

横岳方面へは本日は誰も入ってない。微かにトレースが見える。このルートはいくつかのピークを東面、西面を巻くのだが、いつもは巻くルートが厳しいが今回は雪のお陰でザイルを出すほどでもなく楽しい縦走となった。ただし、横岳を直下の梯子だけは下りのためにザイルを出した。お互いの姿が見えず、声も通らない場所でのスタカットのよい練習になった。ザイルの動きで対応する本番でのザイルワークを感じ取れた。

硫黄岳は何度も経験しているが無風状態は初めて。さぶさんには硫黄岳の強風を体験してもらえないのが残念。

本沢温泉に下り、露天風呂に入る。男性3人、女性2人が入っている。後から女性2人が入ってくる。女性は水着を着ていて準備がよい。暖かな陽気とはいえ約40度のお風呂から出るときは寒くて勇気がいる。

2日目は7:00本沢温泉を出発。上りの調子が出ない。夏沢峠まで1時間30分、箕冠山まで1時間もかかってしまう。根石岳の裾野の広々とした雪面を見て気合が入る。根石岳から天狗を見ると素晴らしい雪稜で誰もいない。雪稜を独り占めして黙々と登る。東天狗もそよ風で頂上でゆっくりする。下山は中山峠経由黒百合平、渋ノ湯に下りる。渋ノ湯でゆっくり温泉につかり山行を振り返る。

北稜に入って初めての本格的雪山がこの硫黄-横岳縦走だった。このときのメンバー6人で残っているのは笹田さん、ハギさんと私の3人。このルートは思い出深い。何度来ても飽きないがこれからはそう来られないだろう。よい天気と良きパートナー(さぶさんには老人相手で申し訳ないと思うが)のお陰で有終の美を飾れたと思う。

 

 

 

白毛門

白毛門
期日:2014年2月22日(土)~23日(日)
メンバー:ミナト(L)アトム・スガ・ケンタ・コバ・サイトー・いしつかみ(記)
行程:
2/22・・水上駅8:51集合・・バス8:57・・土合バス停・・白毛門登山口9:40→松ノ木沢の頭手前平担地(幕営)3:20

2/23・・起床4:00~テント(出発)7:00→白毛門8:45→テント地9:15→ テント回収10:00→白毛門登山口11:25・・土合バス停・・バス12:17・・水上駅12:52出発

記録:
2/22 曇り時々小雪や晴れ
土合バス停留場をおりると、そこは雪国だった・・。(当たり前)一週間前に大雪に見舞われたので物凄い積雪を想像。しかし、思ったより大雪ではなさそうなので一安心。小雪がちらつくなか、小屋の軒下で準備を整える。登山靴に直接わかんを装着し準備万端。白毛門ラッセツ隊、いざ出発。
先頭からコバ、いしつかみ、サイトー、ケンタ、アトム、スガ、ミナト?だったか??・・順番に関しては記憶が定でなく、途中何度も変化。そして、なにより前を歩く人の足元しかみれてない、余裕のない歩きっぷり。そんな訳で前後以外はあまり覚えていない。何度も記録を担当しているはずなのに、情けない。今年はこの曖昧な記憶を克服したい。

IMG3309さて、話しは戻り・・出だし付近のラッセルの深さは膝下ぐらい。登山口付近では他のパーティーを確認しなかったが、場所によってうっすらトレースがついている。それでもここは豪雪地帯。先頭を行く隊員は、気力、体力、全て出し切らないと進めない。しかし、楽しそうにコバさんは進んで行く。一歩一歩、足元を固めながら進む。重い雪も場所によってはサラサラで、なかなか足元が決まらない箇所もあるが、ルンルンに進んで行くのであった。

一時間ほど歩いて最初の休憩。汗をかかないように登るのが冬の掟なのだが、たっぷりと汗かきまくり。ニット帽もインナーも全て外し薄着に。毎度このような事態になるのだが、準備段階で薄着になる根性がない。体質的なこともあると思うが、サイトーさんは最初からヤッケの下は下着一枚。たまにチラッとみるとチャックがオープンに。暑さ調節だ。それにニット帽はかぶらずヤッケの帽子で調節。なるほど・・。サイトーさんからは色々教わった。言葉だけじゃなく無言で(こちらが勝手に解釈)伝わることもある。

薄着になった後は快調。初めてのラッセルも経験。ピッケルで雪を掻き分け、膝で雪を固める。そして足を踏み込んで行く。その繰り返し。息が上がり、同時にテンションも上がっていく。(何これ?楽しいー!やばい、最高―!!)

興奮したのもつかの間、物凄い体力を消耗する。踏ん張りどころだが、ラッセルマシン化した兵だらけ。ついつい甘えが発生してしまう。ほんのわずかで交代した。今日、この日はコバさん、ケンちゃん、アトムさん、そしてサイトーさんが大活躍だった。

2/23 晴れ時々曇り
翌朝4時起床。さあ、いよいよ白毛門頂上を目指す時が来た。
昨夜、降っていた雪もそんなに大袈裟なものでもなく、かえって綺麗な白銀の世界を造っていた。状況次第でピーク断念かもしれない。タイムリミット12時。スガさんの調子が悪くテントに留まることになる。
そんな条件つきで6名のラッセル隊は出発。

今日もトップバッターはコバさん。大変なんだろうけど楽しそうに、楽しそうに登る。少年のような、はしゃぎっぷり。これって大事なことで後を歩く私までもが楽しさが伝染してくる。辛いのに楽しい。面白い現象だ。コバさんの後を歩くとマルコのように、何千里でも歩けそうだ。

次にケンちゃん。やはり持久戦チャンピオンとでもいうのか、息も切らさず進んで行く。足が長い?否、身長があるからだろうか、歩き幅が他の誰よりも長い。文句一つ言わない姿勢に脱帽。細身の身体だけど体力十分、スピードもある。ケンちゃんだけにはお姉さん風を吹かせたい。息が上がるが聞こえないよう堪えた。辛さアピールも控えた。必死の努力、気付いていたのだろうか・・。

さて、アトムさん。全身筋肉で鍛え上げられた体はまさにラッセルマシーン。身を持って私たちを危険から救ってくれた。それは二度もクレパス風(雪の下が空洞)に填まった。しかし全身の筋肉をフル回転させ、登り返す。あの技はまさに、アトムさんのオリジナル、日ごろからのトレーニングの賜モノ。立派だった。あの空洞は今でもはっきり目に焼きついている。怖い、切り立った尾根よりも怖い。まるで落とし穴みたいで予測不能。山ってすごい・・。

IMGP1329そして、この白毛門ラッセル山行ラッセル部門に輝くのは、なんと言ってもサイトーさんだ。同期だが数多くの雪山を経験している先輩だ。

一人真白な銀世界の急勾配を漂々と進むその姿は美しかった・・・。その姿は美しくて足が止まる程だ。感動を覚える。人ってこんなに美しいものなのか。山と一体化している。今、こうやって想い返すだけで心が静止する。幸せだ・・。

わかんを外している間にかなり先に進んでいった。魅了されながら後を追う。思ったより急勾配。積雪も膝上まである。ものすごい運動量なのだろうけど、真っ直ぐに伸びた姿勢、変わらない表情。あ、まさしく山男なのだ・・。

隊長のミナトさん。今回はほとんど、ラッセルすることがなかった。しかし、頂上付近での鎖場では、先頭をきり導いてくれた。それにアトムさんに続いて私も、空洞に片足をとられた。その時は引き上げてくれ助かった。それに頂上付近以外はずっと列の最後にいてくれた。何て言えばいいのか、底知れぬ安心感がある。決して見放さない、裏切らないブレナイ安心感。終始変わらずの安心感を与え続けてくれた。それに大事な寝床、幕営地での整地作り。スコップがとても似合っていて、早くて綺麗。まさに職人技、完璧だ。あっという間に平に仕上げた。松の木沢の頭手前のわずかなスペースを快適な寝床にしてくれた。

IMGP1335出発から1時間45分で頂上到着。頭の部分がちょこんと出た標識以外、何もない頂上。ふみ後一つない雪の上。「やったー!」記念写真を撮る。

見上げると谷川岳が姿をみせる。頂上付近にガスが、かかっているがはっきりと眺めることが出来た。風もなく爽快だ。

テントまではふかふかの雪を一気に下った。やわらかい雪を駆け下りるのは快感すら覚える。登り綺麗に描かれたトレースは、ぐちゃぐちゃに変わる。白毛門を独占。童心にかえる。贅沢な大人の雪遊び・・。

そんな勢いで駆け下りたので、30程度で到着。あっという間だった。

幕営地から登山口までの下りは1時間30分程度。しかし以外に大変だった。
ふみ後が変形していて歩きづらくなっていた。天気もよく気温も上がってきて、下りなのに汗が滲む。わかんは外れる。だけども、はじけながら下って行く。

それでも、みんな、予定通り無事下山。12時のバスに乗車し白毛門を後にした。

IMGP1338最後に、テントの中で笑い転げた時間なしでは語れない、山行だった。

とりわけガタイのいいメンバーが4.5テントに終結。足をたたんだり伸ばしたり、時には、つりながらも、尽きない時間。辺りには静けさの他何もない。だから遠慮なくドンチャン騒ぎ。気付けば10時を回っていた。笑いセラピーとかがあるが、負けてない気がする。翌朝もテント内は笑い転げた。いったい何の話をしていたのか。気になるところだが、またしても記憶が曖昧。楽しかったことだけはしっかり覚えている。

白毛門ラッセル山行。楽しかった。天候にも恵まれ・・、天気じゃなくても、きっと楽しかった。くどいが、とにかく楽しかった。さらに楽しい山行は進化していく。

みなさま、ありがとうございました!

編笠山~権現岳

編笠山~権現岳

期日:2014年1月11日(土)~13日(月)

メンバー:いた(L)・ハギ(SL)・かおり・いしつかみ(記)

行程:1/11・・新宿発7:00(スーパーあずさ1号)~小淵沢8:54~タクシー~観音平口9:30~富士見平11:30~雲海12:55~押手川14:20(幕営)・・就寝20:15

1/12・・起床4:30~押手川(スタート)6:45~編笠山8:10~青年小屋8:30~権現岳11:00~青年小屋12:30~編笠山13:15~押手川14:05・・就寝19:15

1/13・・起床5:00・・押手川(撤収)7:25~富士見平8:40~観音口10:00~タクシー~温泉10:30・・12:50~小淵沢13:10~甲府14:09~新宿

 

記録:
今回の権現隊は女子だけのメンバーでした。荷物や力仕事、男子がいると、ついつい頼りがち。だからこそ甘えのない山行を!の意気込みで参加させて頂きました。
新宿発のスーパーあずさで四人の女子隊は小淵沢へ向かいました。
三連休初日とあって混雑を予想していたはずの車内は余裕たっぷりでした。天気は良好。窓からは八ヶ岳連峰は顔を覗かせ、わくわく致しました。
小淵沢駅に到着すると事前に予約していたタクシーに乗り込み、観音平口へ。20分位で到着。装備を整えいよいよ出発。さあ、ここから楽しい山行の始まりです。

富士見平の登山口まで林道を歩きました。ゆるやかな勾配にもかかわらず、私は大汗をかき始めました。それに気づいた先頭を歩くかおさんが、汗は大敵だから脱ぐようにとアドバイス。新調したヤッケと腰に貼り付けたカイロを外しました。汗は落ち着きいい感じに。早い時に自分で意思表示をしなければならないと思いました。

登山口から少したった辺りに、シカがお出迎え。キョトンとしてかわいらしく、結構たくさんいました。この辺りのエリアを拠点としているらしく、帰りもまた見送ってくれました。行きも帰りも同じシカでしょうか、私たちはシカに見つめられながら、進んでいきました。

しばらくすると雲海に到着。まだ樹林帯なのですが、ちょっとした展望台になっていまして風があたります。ここでアイゼンを装着し、汗のかかない程度の速さで進んで行きました。

微妙な時間で押手川にさしかかりました。リーダーの判断で、青年小屋ではなく押手川でテントを張ることに。一旦ザックを置き、適切な場所はないかと探索にとりかかりました。急に身軽になり、はしゃぎながら登っていくと、この日初めての登山者と会いました。日帰り単独男子、編笠山ピストンコース。この先の様子など尋ね総合判断をし、編笠山手前、急勾配手前ギリギリのナイスエリアにテントを張りました。時間的に余裕の幕営でした。風もなく良好な環境でしたが、やはり八ヶ岳2000メータ上空。手足が凍えてきました。

(やば・・やばかったかも・・)などの思いが過ぎりました。(頑張って青年小屋まで行っていたら・・)そう思うと、余裕をもっての行動って大切なんだと、実感致しました。

テントの中では個々に持参したアルコールで乾杯。止まらぬおしゃべり。

夕食も一人150gとたっぷりお肉のすき焼き。いたさんが丁寧に三度にわけて味付けしてくれました。おいしかったです。あ~、なんて幸せなんだろう・・。

編笠へ
編笠へ

翌日、荷物をテントに置き最低限だけ持参して、いよいよ編笠山~権現岳へと出発。編笠山頂上までは急勾配でしたが、途中に素晴らしい景色が溢れていました。陽のでに照らされ反射する優しいオレンジ色の木々。空を舞う幻想的なダイアモンドダスト。吸い込まれそうな真っ青な空。雲の上に浮かんで見える富士山。くっきりと頂上の姿までみえる南アルプス。そして静かに連なる北アルプス。どれもこれも、凄い!美しい!見事であります!!

私たちは何度も足を止めてしまいました。魔法にでもかかったように何度も立ち止まりました。(日焼け止めクリームタイムも含む)

編笠山に到着。それまで無風に近かったのに、ものすごい風でした。私は顔の面積が広いのか、とにかく顔が痛く、守ろうとあたふたしてしまいました。その為頂上のことはよく覚えていませんでした。それが、不思議なことに帰りは全くの無風。腰を下ろし休憩をとるほどでした。近くにいた男性は「毎年来ているけどこんな天気はめずらしい」と絶賛していました。

編笠山
編笠山

編笠山から青年小屋までは下り。(あ~)と思い、そして権現岳へ(ふ~)と登り返し。注目していたトラバースには鎖が出ていました。大丈夫ということで慎重に進んで行きました。私は終始右手にピッケルを持っていましたが、山側にピッケルを差し込みながら、とアドバイス。「はい!そうか、3点確保・・」より安定して歩くことが出来ました。一つ、また一つと大切な事を教えてもらいながらの学びの山行でもありました。

 

 

 

仲間たち
仲間たち

トラバースも過ぎ権現岳小屋手前の細い稜線で、カトさん、ケンちゃんに会いました。嬉しいですね、楽しいですね、山で仲間に会うと高揚してきます。

写真を撮り、つかの間の時を終え、さよなら致しました。

 

 

 

 

権現岳
権現岳

さあ、最終段階です。またもや風が吹き荒れてきました。場所によって風が強かったり、なかったり。一歩一歩進み、よじ登り・・権現岳山頂に到着。風に煽られながらハイチーズ。観賞に浸る間もなく頂上を後にしました。・・。 

真っ直ぐにそびえ立つ赤岳。元旦に登る予定が悪天候のため断念。そんな暗い話しも吹き飛ばすような絶景。誰のものでもない山なのに、何故か自分に語りかけているような錯覚を起こしたり、贅沢な時間でした。

ワイワイしながら、テントに戻って来ました。テントを確認したとき「テント」が「家」という感覚でした。その我が家での過ごす時間も格別でした。俗に言うガールズトークと言うのでしょうか、女子だけならではの本音おしゃべり。内容は非公開とさせていただきますが、楽しかったです。(おホホ・・)

 

 

P1000914
雪稜から編笠へ

翌日、無事観音口ゲートまで辿りつき、タクシーを手配し温泉へ。20分位車を走らせた処にある「延命の湯」。受付の方が良心的で通常料金600円だけど、クーポン利用で500円にしてくれました。世の中の流れなのでしょうか、女子だけだと得をする世の中なのでしょうか。(ちなみに受付は中年男性)

ゆっくりと温泉につかり、その後お食事処で、ビールで乾杯!あ~美味い!

充実した三日間でした。天候に恵まれ素晴らしい展望でした。風もなく、時には暑いぐらいの陽気でした。女子だけの山行は初めてで、新たな発見を体験させていただきました。そして、リーダーいたさんの、的確な判断やアドバイスなど勉強になりました。おっとりとした口調や身のこなしなど安心していられました。またご一緒させて下さい。かおさんはとことん面倒をみてくれます。本当に感謝致します。ハギさんは自然体なので憧れからか、チョロチョロ見てしまいました、すみません・・。

初めての冬山登山達成を果たしました。厳しい条件付きの厳冬期。しかし今回は恵まれまして、いいことだらけでした。やはり女性は逞しい、そう確信致しました。これで迷いはなくなり、ますます冬山にはまってしまったようです。

次の山行まで、いてもたってもいられない、楽しみです!

 

皆様、ありがとうございました。