白馬岳

日程:H28.8.19~20
参加者:L・記録_ミナト、ウエ、リュウ

今年に入って腰を痛めてしまい山行に参加出来なかったウエちゃんの復帰山行として、北アルプスでは比較的易しくて展望の良い、白馬大池からの白馬岳往復を計画しました。
サポート体制としては案内役執事がミナト、ボッカ役執事がリュウちゃんで臨みます。

8/19(曇り):栂池高原~天狗原~乗鞍岳~白馬大池小屋(幕営)

長野駅に集合した3人は、特急バスで栂池高原へ。その後、ゴンドラ~ロープウェイと乗り継ぎ登山口へ到着です。
それではここで3人のファッションチェックの時間です。まずはウエちゃん、とっても可愛いい山ガールファッションで決めています。オシャレですね!しかし、足元の武骨なゴロー靴がただの山ガールではないことを主張していますよ。
次はリュウちゃん。当会の男性最年少です。なんたって24才独身ですからね。着ているものもブランド品です。ザックも何だかカッコイイ!
そして私はというと、ワークマンの980円Tシャツにホームセンターで買った9000円の靴。もうこれ以上は言いません。勘弁してください…。

写真1カッコいいウエちゃんとリュウちゃん
写真2それに比べて…

今回はリハビリなので、すべてウエちゃんの思いのままになることが、私たち執事のミッションとなります。
登山口で荷作りをしていると、何だかウエちゃんが不機嫌になってきました。「どうしましたか?」「荷物が私のザックに入りきらないのよ!」これは大変です!早速ボッカ役執事リュウちゃんの出番です。「ご安心ください、入らない荷物は全部私がお持ちします」「あら、そうなの。助かるわ」ふ~、やれやれです。
登り始めて1時間くらいの水場で喉を潤し、そして天狗原湿原へ。生憎ガスっていますが、木道が設置されていて雰囲気の良い所です。木道が終わると乗鞍岳への急登になります。樹林帯を喘ぎつつ登り、雪田跡の大きな岩塊地帯になると、ペンキ印が錯綜しルートが判然としません。先頭のウエちゃんが段々と不機嫌になって「もう、どっちへ行けばいいのよ!」と怒り出しました。これは大変です!ここは案内役執事ミナトの出番です。「ここはあちらの印を目指して、あそこを上に向かってください。くれぐれも足元にお気を付けください」「あら、そうなの。わかったわ」ふ~、やれやれです。
急登が終わると広い高原状になり、大きなケルンが乗鞍岳の頂上の目印になります。ここまで来れば今夜の泊り場の白馬大池まではもうすぐそこです。
テントを張り終えたら、まずはビールで乾杯です。夕食はウエちゃんが腕を振るってくれました。献立は茄子とベーコンのトマトパスタ、舞茸のスープ、じゃがりこサラダ、そして自家製梅酒が食欲をそそります!とっても美味しくて、三つ星級でしたよ!!

写真3トマトパスタと舞茸のスープ

8/20(晴れのち曇り):幕営地~白馬岳往復~幕営地(テント回収)~栂池高原~帰京

3時半に起床しテントから顔を出すと、満天の星空です。リュウちゃんが実家からパクってきたラーメンを流し込み、そそくさと白馬岳へ向けて出発、時刻は4時半でした。
雷鳥坂を登っていると陽が昇り始めました。素晴らしい御来光にしばし見入ります。

写真4素晴らしい御来光

稜線に出ると風が強いですが、最高の展望が広がります。左側は長野の平野、中央は五竜~鹿島槍方面へ続く稜線、そして右側には日本海に浮かぶ佐渡ヶ島が見渡せます。

写真5稜線からの展望
写真6長野の実家を俯瞰するリュウちゃん

ウエちゃんからは「今年はあきらめていたけど、来れてよかったぁ!北アルプス最高!!」とのありがたいお言葉を頂けて、執事の二人も感激です!
どこまでも続くなだらかな稜線を、のんびりと白馬岳目指して進みます。至福の時間です。

写真7白馬岳へ続く道

白馬岳には8時過ぎくらいに着きましたが、生憎ガスって視界がありませんでした。白馬岳は4回目ですが、全てガスっていましたので私との相性が悪いのかもしれませんね。立ち去り難いのですが、帰りのバス時刻がギリなので、頂上を後に幕営地に戻ります。

写真8ガスの白馬山頂

幕営地に戻りテントを回収し、昨日来た道を戻ります。滑りやすいので慎重に下りましたが、バスの時刻には十分間に合いました。ちなみに、立ち寄ったゴンドラ発着所の近くの栂の湯はガラガラで快適でしたよ。

今回はウエちゃんのリハビリ山行ということで細心の注意を払いましたが、まったく問題ありませんでした。特に2日目は9時間に及ぶ行動時間でしたが、通常コースタイムで元気に歩き通しておりました。まずは復帰できて良かったです、おめでとうございます。
それと、リュウちゃんにはボッカ役を引受けてもらって、大変助かりました。どうもありがとうございました。

朝日連峰

日程:2016年8月11~14日
メンバー:ツノダ(L)、軍曹、ママ、アトム、つかみ(記)

朝日連峰は山形県と新潟県の県境にまたがる東北屈指の山岳地帯。その規模は南北60km、東西30kmにも及ぶ。今回は、泡滝ダムから古寺鉱泉へ下降するルート約32km。5人のメンバーで2泊3日、ゆっくりと進む大人の山旅である。

(11日)古寺駐車場6:00→泡滝駐車場8:10…8:40出発→七つ滝吊り橋10:40…11:40出発→大鳥小屋キャンプ場13:00(幕営)
(12日)大鳥小屋キャンプ場5:20→以東岳9:20…10:20出発→狐穴小屋12:40→寒江山14:05→竜門避難小屋15:20(宿泊)
(13日)竜門小屋4:40→西朝日岳6:30→大朝日避難小屋8:10…大朝日岳8:30…大朝日避難小屋出発9:10→一服清水9:35→古寺鉱泉13:45→古寺駐車場13:50

記録:

11日。昨夜、東京を出発し山形自動車道の月山湖PAでリーダーのツノダさんと合流。眠い体に鞭打って、もうひと頑張りと古寺駐車場へと向かった。翌朝、5時起床。ママさんが朝食にサンドイッチを作ってくれた。2時間ほどしか寝ていないので寝ぼけ半ばに食べられるかな~、と思い気や・・ひと口いただくと美味しい!なんだ、このパンは!みな、残さず食べた。リーダーもメロンを出してくれた。初日からなんとも豪勢な朝食だった。そう、この後に続く食事も縦走とは思えない程、豪華だった。
ゴールとなる古寺駐車場にツノダ車を泊め、スタートとなる泡滝駐車場へアトム車で向かった。駐車場から登山口は目と鼻さき、いよいよ出発。大鳥池迄、コースタイムが3時間ほど。急な登りもなく、楽々と七つ滝吊り橋にさしかかる。時間もあるので、大休憩をとる。釣り竿持参のリーダーと軍曹さんが釣りを始める。1時間ほど釣り糸を垂らすが、無念に終わった。

写真1七つ滝吊り橋
写真2イワナ釣り

暑い日差しがブナの木の隙間を照らす。癒される沢の音を聞きながら、大鳥キャンプ場到着。整地されたキャンプ場は申し分ない環境。水は惜しむことなくジャバジャバと24時間放水。トイレも綺麗だし、沢もながれている。テントを張り終えると、早速リーダーと軍曹さんは2回目の釣りへと出掛けた。その他のメンバーも自由に過ごした。空を直視できないぐらい、天気がいい。芝生の上に寝っ転がる至福のひと時。しばらくするとイワナを釣った二人が戻り、みんなで調理を始める。イワナは三匹。一つは塩焼き。あとはムニエル。やはり新鮮は格別だ。フレッシュサラダにビール。それとママさんが、カレーを作ってくれた。専門店で嗅ぐような匂いのカレー。まさか山で食べるとは、想像もしなかった。標高千メートルの上空で、日が暮れるまで楽しんだ。

写真3大鳥キャンプ場
写真4フリータイム

12日。大鳥池から以東岳まで標高差800mを一気に登り詰める。急登コースと穏やかコース。時間にして1時間ほど違いがある。計画通りオツボ峰経由の穏やかコースを歩く。しかし、結構な勾配だった。4時間弱で到着したが、頂上でしばしの大休憩をとる。眺めは最高だ。昨日に続きの晴天。眼下に大鳥池。峰から除く麓の奥には日本海。そして飯豊連峰や月山、鳥海山など東北の山々が見える。

写真5大鳥池

さあ、穏やかな稜線を歩く。小さなアップダウンを繰り返しながら、竜門避難小屋まで約5時間ほどかけて・・ゆっくりと休み休み、進む。

写真6どこまでも続く稜線

竜門避難小屋は賑わっていた。収容人数50名とあるが、板場がほぼ埋まっていたのでそのぐらいいたのかも知れない。やはりお盆休みだけある。持ち場のスペースを確保するため、リーダーが現場を仕切ってくれた。わずかな陣地だが快適さを司る大事なこだわり。お隣さんと丸く収まった。山では色々な場面に遭遇する。そのつど、適切な対応が要求される。
外で宴会を始める。この日は私の作る麻婆茄子だ。定番の料理だがちょっと味を変えてみた。
優しい先輩たちはみな美味しいと食べてくれた。今夜は流星群が夜空を駆け巡る知らせ。アトムさんと夜中に起きて観察しようと約束。しかし、二人とも熟睡。起きることはないまま朝を迎えた。

写真7一日の終わり

13日。いよいよ、朝日連峰最高峰の大朝日岳へ向かう。この日も抜群の天気。穏やかな、東北の山々をみながらの稜線歩きが続く。真夏だが、早朝は少し肌寒いぐらいの風が吹く。一本とりながら、衣類を調節する。小屋を後にしてから、ゆっくり歩くこと2時間弱、西朝日岳に到着。それから進むこと1時間半大朝日避難小屋到着。三階建ての小屋。三階部分の窓には格子がない。冬に備えての設計なのかもしれない。
ザックをデポし、頂上へ。混雑もなく20分ぐらいで到着。変わらぬ景色を堪能。大朝日岳東側斜面をスキーで滑り下りた先輩の話を聞き驚いた。かなりの急斜面である。厳冬期、こんなコースを滑り下りるなんて、まるで映画の世界だ。最高なんだろうな。

写真8大朝日岳
写真9大朝日からの眺め

大朝日岳から古寺鉱泉へ向かう。土曜日とあってか、登ってくる人と何度もすれ違う。小朝日岳をトラバースでまく。特別危険な箇所もない。この下山道はとにかく水が豊富である。銀玉水、三沢清水、一服清水。冷たくて美味しい水だ。携帯している水を摂取しなくても、途中の水場の補給で十分だった。約4時間半かけて古寺鉱泉に到着。標高は582m。やはり暑い。稜線上は汗をかいているのだが、涼しかった・・・。
こうして、2泊3日にわたる朝日連峰の縦走を終えた。

蔵王

合宿には、まだ続きがある。
14日。朝日連峰を楽しんだ翌日、蔵王へ向かった。昨夜合流した、かおさんも一緒だ。軍団に一段と賑わいが増した。蔵王ハイラインの終点まで行くと駐車場になっている。2~3分で展望台に到着。そこから御釜を眺めながら蔵王連峰の最高峰、熊野岳に向かう。ここは一般の観光客で賑わう、ハイキング道だ。太陽に照らされた御釜は、吸い込まれそうな美しいエメラルドグリーンに輝いていた。写真をとったり遊んだりしながら、40分位で到着。穏やかな景色が広がる。ここ蔵王はスキー場にもなっている。ゲレンデを眺めながら、樹氷を想像した。次はスキーにチャレンジしよう。遊び心が止まらない。他のメンバーも個々に色々な想いに心染められていたと思う・・・。高山植物の女王コマクサを眺めながら下山し駐車場へ。混雑していた。やはり有名な観光地、大勢の人が訪れていた。

写真10蔵王の御釜

本格的な登山、観光地巡り、ペンションでのくつろぎ、ドライブ、釣り、遊び、大笑いと内容が盛りだくさんの2016年夏合宿。贅沢な大人の旅・・感謝、感謝である。

丹波川小常木沢

・日程 2016年7月31日(日帰り)

・メンバー つりし(L、記録)、はぎ

・コースタイム(全体的にかなり余裕をもった行動でした)

余慶橋P 7:50発→一瀬川本流入渓8:00→花ノ木沢出合9:30着/9:45発→兆子ノ滝9:50着→逆くの字滝10:20着→不動ノ滝10:35着/11:45上発→20m大滝11:55着/12:50上発→ねじれの滝13:00着/13:50上発→岩岳沢出合14:00→登山道16:30→再び入渓17:40→余慶橋18:10着

小常木谷といえば置草履の悪場という滝の連続する悪渓、私のように沢といえば、たき火に酒、あとは岩魚に山菜やきのこ、と順に連想する人間にはとても敷居が高いところだったのですが、今年の夏合宿(利根川本谷)に向けての練習ということもあり行ってまいりました。

駐車スペースから余慶橋のたもとの登山道まですぐ、そして登山道に入ってすぐのところに丹波川に降りる道がある、車から入渓まで1分

入渓してから丹波川を上流に遡行し右から流れ込む沢をいくと火打石沢と小常木の分岐である。

小常木沢に入り遡行するが水量も少なく平凡な渓相が延々1時間半続く、花ノ木沢が左から流れ込んでくると、いよいよ置草鞋の悪場である。

兆子ノ滝10mは滝の水流左にハーケンが連打してある、立ってはいるが手足とも良いので快適に登れる。

兆子ノ滝

逆くの字滝は通常はつっぱりで超えるようだが、今回は倒木が真ん中にあったので、それを使って越えた、特に問題なし

不動ノ滝は被り気味なので巻き、ガイド本通り左岸の滑ったルンゼを一段上がってからロープを出す、左の乾いたスラブを登るがすこしスタンスが細かいのと高さがあるので、安全のためカムと途中の枯れ木で支点を取る。

一度立木で切ってはぎちゃんをあげた後、沢筋にそってトラバース、高さがあるのでロープをだす。5mほど残置のトラロープが張ってあったが、その先の一歩がすこし悪いそして良い支点が取れなかった。

ちなみに逆くの字滝の右岸にもしっかりとした踏み跡があった、こちらが良いという記録もあるが今回は行ってないので詳細不明

不動ノ滝

2段20m大滝 1段目は問題なし2段目は左側の滑った水流脇の階段上を登っていく、ここにも古いハーケンが連打されている、途中からシュリンゲが垂れ下がっている乾いた岩をあがっていくのだが、少しかぶり気味なのと手足がいまいちうまくきまらないので一歩が踏み切れない、最後は残置シュリンゲをA0して体をあげてそして次のシュリンゲも掴んで登る、どちらのシュリンゲも古いので気持ちの良いものではない。

途中水流沿いのほうがスタンスがありそうにも見えたが、登って滝上からみると落ち口はつるつるで水流沿いに入らなくて正解であった。

大滝
大滝/ルートは左

ねじれの滝2段20mの1段目は滝の水流脇右側を登っていくと4m位上がったあたりの水流脇にハーケン、そこから右の乾いたスラブにもシュリンゲが垂れ下がって「こっちのルートだよ~おいでおいで」しているが、そのルートはどうみても手足乏しく残置シュリンゲに全体重を預けてゴボウで登らないと突破できそうもないので、滝落ち口の流れのなかに細かいスタンスをみつけ、そろーりと登る。

ねじれの滝一段目

 2段目は滝の左側の乾いたスラブを登っていく、ここも4mほど上がると残置ハーケンがある。下は快適に登れるが最後の2歩ほど良いスタンスがないので、左岩のガバをつかいレイバック気味に足をスラブに押し付けて登る、そういや広沢寺でこんなとこあったな~と今回一番楽しい登りができたところ。

ねじれの滝二段目
ねじれの滝二段目/ルートは左凹角沿い

置草鞋の悪場も終了である、少し行くと岩岳沢の出合、今回はその岩岳沢を入って二股を左に入り途中から右岸の尾根に乗ったが、沢の中はガレていて一か所小滝でお助け紐をだす、尾根もはじめ傾斜がきつい(はぎちゃんはここが核心でないの!といつもの〇節を連発しながら詰めてたが、もちろんそんなことはない)

下山岩岳登山道は急なところもなくとても良い道であった。(今回詰めあげたところは地形図と若干ずれて稜線より向こう側に登山道があった)

快適登山道に至るまでが約1名的にNG

その他

・入渓点 橋脇の登山道を入ってすぐのロープをくぐり本流から上がっていくのが増水してなければ圧倒的に楽 帰りも同じコースなので沢靴のまま登山道を降りた。

・滝の難易度

大滝>ねじれの滝>不動滝の巻き>兆子の滝といったところか

ザイルは30mでも足りるが、40mあると安心(今回不動滝のトラバースで支点がなく立木で折り返してロワーダウン気味に確保したので)

・靴底、沢自体は滑っているのでフェルトで正解、しかし今回通った各滝の核心部はほとんど乾いた岩だったのでアクアステルスがメンバーに一人いたらトップを交互にできるかも。

・ハーケンは使わなかった、BD製カムは1番~0番の5種類を携行した、残置は総じて古いのでカムが決まると精神的余裕が違った。

・今回時間的に核心部を中心に遡行したので、フェルトで岩トレをしたような印象であった、残置多く練習には良いかも。

明神岳東稜

目的地: 北アルプス明神岳東稜~主稜下降

日時: 2016年8月6-7日

メンバー: コバ(記録)、エビ

<1日目>

24時少し前にバスターミナル最寄の第三駐車場に到着。車内で仮眠をとって、朝4時半頃バスターミナルへ向かうとタクシー会社が相乗りの斡旋をしている。大型のタクシーで一人800円。安いし楽なのでこれに乗って上高地に向かう事にする。釜トンネルのオープンが5時なので、中湯で少し時間待ちをして5時20分頃には上高地入りすることが出来た。

RIMG2377

 明神まで1時間弱歩き、明神池の前の喜平次小屋でプラティパス2本分の水を補給する。

梓川沿いを少し上流に行ったところで左に道が別れ、奥に小さな木造の建物がある。これが信州大学の施設で、向かって左手のボロい丸木橋を渡るとヒョウタン池に続く一般道となる。

一般道なので所々にペイントがあり踏みあともはっきりしている。森の中をしばらく歩くとガレた涸れ沢、下宮川谷に突き当たる。谷の右岸につけられた急登の道を辿ると、10分程で左岸から入る小さな枝沢に導かれる。出合には赤丸と矢印のペイントがあり迷うことはないだろう。傾斜はさらに急になり、ガレて非常に登りにくい。登るに従い開けてくる。ペイントを見逃さないようにしないと登りすぎてしまいそうだ。

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■宮川のコルあたりからⅤ峰の東面を望む

宮川のコル周辺は全体的に曖昧な地形で、ペイントをたどっていくといつの間にか上宮川谷に入り、左手の岩場の基部を通過して東稜の取り付きであるヒョウタン池に向かって行く。陽射しが暑い。ヒョウタン池直下の辺りでどこからかクライミングのコールが聞こえるので見上げると4人くらいのパーティーが岩混じりの尾根をロープを使って登っているのが見える。あの辺りが第一階段だろうか。

 ヒョウタン池は本当に瓢箪の形をしていて、小さい。

RIMG2384■ヒョウタン池

一般道はここまで。とはいえ藪の中には明瞭な踏みあとがあり問題ない。ただ暑い。藪を掴みながらの急登を行くと岩っぽい場所に突き当たる。第一階段だ。ブッシュ混じりのスッキリしない岩場を注意しながら登る。ロープは使わなかった。

RIMG2386 RIMG2387

■第一階段はロープなしでもOK。ただブッシュ交じりでちょっとうっとおしい。

第一階段の先はただひたすら登る。暑さと草の臭いに体力を奪われる。時折現れるブルーベリーの酸っぱい実で元気を付けながら暑さに耐えて登る登る登る。右手に見える前穂と左手の主稜、振り替えれば梓川が徐々に姿を変え、着実に高度を上げているという実感を与えてくれる。

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■下から望むと前穂は三本槍ヶ岳の趣

13時ころ。ようやく東稜の頭。目の前に東稜の核心であるバットレスの全貌を見渡すことができる。先行パーティーが1ピッチ目を登りきったところのように見える。バットレス手前のコルが今日の僕らの寝床。核心の楽しみは明日にとっとおいて、今日は鋭気を養うこととする。ツエルトを張ってゴロゴロする。陽射しが刺すようだ。虫も多い。それがなければ展望も最高の良いテンバなのだが。

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■明神主峰とバットレス

<二日目>

二日目は朝から岩場に取り付く。1P目エビリード。最初3m位上がり、左に回り込んでブッシュ混じりをトラバースぎみに進む。屈曲が多くロープが重いこともあり、ブッシュの中でピッチを切る。

2P目コバリード。ブッシュ混じりの岩場を10mほど登って広いテラスに出る。目の前に今日の核心スラブ。そのスラブの取り付きで腰がらみビレーとし、エビに上がってきてもらう。

3P目エビリード。スラブはわりと寝ていてフリクションもきいて登りやすい。アプローチシューズのままのエビも難なくクリア。スラブの上にはもう一つ一枚岩が横たわるがこれは左から簡単に巻ける。その上で切って終了。

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■核心の凹角スラブを登るエビ登攀隊長

4P目はガレガレの斜面。コバリード。この先はロープなしでも良さそうだったが、念のため頂上までスタカットで登ることにする。ロープ一杯まで伸ばしてハイマツ帯で終了。

5P目エビリード、踏み跡は頂上に向かって左から巻きこむように続いているが直登を選ぶ。岩が動くとかハイマツが抜けそうとか妙な緊張感のあるピッチ。頂上直下で終了。

6P目コバリード。せっかくフラットソールを持っていったのにいいところはエビに持っていかれ、ガレ場をフラットソールで歩き続けた僕に最後に花を持たせてくれた数メートルのピッチ。実感3手くらいで頂上。7時半。

RIMG2401

■頂上直下のピッチ

RIMG2407■明神主峰頂上ではしゃぐ。

明神頂上からは素晴らしい展望。来て良かったと思うと同時に目の前にある明神Ⅱ峰の岩壁が。達成感の後にもう一度気を引き締める。主峰からⅡ峰まではまたしても急なガレ場でⅡ峰取付きに至る。Ⅱ峰は2ピッチと考えじゃんけんでどっちが先に登るか決める。

RIMG2409■Ⅱ峰。遠目には結構立ってる!

1P目コバリード。一段上がって左に移るあたりがちょっと怖い。少し上がるとテラス状になるのでカムで支点を取ってピッチを切る。

2P目エビリード。Ⅱ峰は思ったより短かったというのが実感。ひょこりと稜線に上がり終了。

Ⅱ峰は冬にのぼられるからか色々なところに支点があって迷いやすいが、弱点をきちんと狙っていけば問題ないと感じた。

Ⅲ峰以降の主稜の下りは基本的にはっきりとした踏み跡があり迷うことは無さそう。ただⅤ峰からの下りは踏み跡が複数ある。上高地の方角に見えるちょっとした広場にに向かって下って行くが、少し起動修正が必要になってしまった。それにしても長く暑い下りを思い返したくない程つづけ、ようやく14時ごろ上高地。

RIMG2412■主稜に延々と続く踏み跡

僕らとしては3度目の正直の明神岳。自分たちで1からやろうと決めて少しずつ積み上げてきた結果が実り、最初のステップを踏み出せた山行として感無量でした。やはりアルプス。大きな山でした。

 

西穂高岳

◇日程 : 2016年7月16日~17日(前夜発1泊)

◇メンバー: サイト(CL)、トヨ、ササ、タケ(記)

◇コースタイム
7/16(sat)
西穂高登山口(5:30)~休憩(6:28)~休憩(7:27)~西穂山荘(8:20)着
西穂山荘(9:10)~丸山(10:45)~休憩~西穂山荘(11:50)
夜ごはん(16:30)~就寝(19:00頃)

7/17(sun)
起床(2:15)~朝ごはん(2:30)~西穂山荘(3:48)~独標(4:50)~
ピラミッドピーク(5:28)~西穂高山頂(6:15)~独標~(7:34)~西穂山荘(8:22)着
~下山口(10:25)

金曜日夜21時、鴻巣駅。ミナトさんがお見送りに来てくださり、出発。
土曜日深夜過ぎ、沢渡駐車場に到着。天気予報が不安定の為か、駐車場はとても空いている。
朝は、タクシーの人がすぐタクシーを呼んでくれ、5時過ぎには出発できた。
帝国ホテル前で下車。朝ご飯を近くのベンチで取る。
変な虫が多く、早々に出発。
トイレはあるものの、水場がなく、水を沢渡で汲んでおけばよかったと後悔。
中尾根は、ほとんど登山者がいなかった。途中で齋藤さんに見事なオレンジを頂き、癒されながら上った。
西穂山荘到着時には、ほとんどテントはなく、開放されていたヘリポートにテントを張らせてもらった。

ミナトさんの差し入れのジャガリコとともに一杯 笠をバックに、快晴の丸山
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明日、あの山を越えるんだな~ シャクナゲも満開
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下山後は、各自お昼寝。
その後は、なんと豪華ひつまぶし!!!
山でこんな美味しい料理が食べられる(作れる)のかと感動。

~お品書き~
ひつまぶし、タラモサラダ、胡椒効かせたスープ、わかめサラダ。

すべて工夫と軽量化を凝らしており、味も最高であった。
飲めないメンバーだったせいか、日の入りも見ずに早々に就寝。
ササさんは耐寒に強いのか、シュラフなしで寝ていました。

翌日は2:15起床。
朝食はまたもやおいしい鶏肉入りフォーをいただく。
外は小雨(霧)で、風もややあり。
隣のツェルト2張は夜に退散したのか、早出か、いなくなっていた。
とりあえず出発。
とりあえず西穂まで行ってみたが、天気が改善する気配はなく、そのまま引き返す事に。
同じくジャンダルムに行く2人パーティとすれ違ったが、途中で引き返す前提で行くと言っていた。

視界なし 良いこともあるもので、雷鳥の親子が姿を現す
ガスの中 OLYMPUS DIGITAL CAMERA

下山は、休憩なしで足早に下りる。
途中、ヘビ出現。カエルは10匹くらい出現し、先頭に立つメンバーを驚かせていた。

最後に、ご一緒させていただいた、皆さん御礼申し上げます。
また、隊長にはテント本体を持っていただいただけでなく、すべて運転もしていただき、ありがとうございました。
ジャンダルムは越えられなかったものの、北陵での初宿泊山行の中、勉強できることも多く、楽しい山行でした。
慣れていなく、皆様にお気遣いいただく場面も多かったと思いますが、少しずつ慣れていきたいと思います。

奥利根・利根川本谷

日程:2016年8月5日(金)~8月9日(火)
メンバー:つりし(L),ハギ(食計),あずさ(記)

コースタイム
1日目
22:30湯檜曽駅
2日目
05:00湯檜曽駅-05:20民宿やぐら-06:30奥利根湖出発-06:50下船(割沢手前)-08:00雨量観測所-09:50巻淵-14:35滝ヶ倉沢出合
3日目
06:00幕営地(滝ヶ倉沢先)出発-08:20定吉沢出合-09:35魚止滝-13:30大利根滝-15:20ハト平-16:45佐市平(西小沢手前)
4日目
06:15佐市平出発-09:40人参滝-10:50深山滝-12:10赤沢滝-12:35水上滝-14:15利根川水源碑-18:50十字峡

 

元々は、夏合宿ということで初級者も連れて東北の沢へ…という予定だったが、今年の沢希望者はこの3人のみ。つりしLの提案で、雪も水も少ない今年なら!ということで利根川本谷への挑戦が決まった。
日程は、出発前日に発生した台風5号により8日には十字峡に抜けるのが先決という話になり、エスケープを考えつつの沢中2泊3日の山行となった。

【1日目/8月5日】
19:20 つりしLの車でハギさんと私をピックアップし、東京を出発する。
22:30 湯檜曽駅前着。今夜はここでビバークとなる。

【2日目/8月6日】
04:00 起床
05:00 湯檜曽駅出発

05:20 民宿やぐらの駐車場着。
やぐらのご主人と挨拶をする。私たちの他には、男性二人組の1パーティのみ入渓するようだ。

06:15 奥利根湖到着
ご主人の車で奥利根湖こと矢木沢ダムへと向かった。
先々週の奈良俣ダムと同様、水位が低い様子(というか、それを狙って来たのだが)。

06:30 管理小屋に計画書を提出し、ボートでいざ出発!
私たち沢登りのパーティ以外にも、釣り人さんが何パーティか船で湖へ入るようだ。
奥利根マリンの高柳さんらしき方とも少しお話をした。曰く、「今年はオイックイの雪渓も無いだろうな。」…!本当にそうだと大分遡行が楽になりそうだ。

06:50 下船
割沢少し手前で大量の倒木が浮いており、水位も低くなる。
バックウォーターに入ったようなので、ここから入渓となる。

 

倒木の湖面を必死に漕ぐつりしL(ハギさん撮影)。カヌー経験者の腕が鳴ります!と、頑張ったのにその先の水位が低く、結局引き返すことに…。
入渓点は、干上がっていた期間が長いせいか草原のような状態に。

08:00 雨量観測所
水線通しにひざ下の徒渉を繰り返し、シッケイガマワシ手前の雨量観測所まで入渓から1時間弱。

▲シッケイガマワシの終わりを告げる、又右衛門ヶ淵
入ってみるも、結局右岸を巻く。
▲エメラルドグリーンの水流が美しい

09:50 巻き淵
暗く洞窟の様に穿たれた右壁に取付いてみるも、突破は困難。
少し戻って左岸を巻く。

10:50 越後沢出合
幕営適地とされている出合左岸には、水溜りが出来ていてとても適地には見えない。

▲まるで鏡面のように静かな流れ
剣ヶ倉土合へと足を踏み入れる

例のヒトマタギは明らかに男性サイズの幅で、つりしさんのみ記念撮影。私とハギさんは、絶対落ちる!と遠慮させて頂いた。

▲剣ヶ倉土合終盤の淵。私がトップで泳いでみるも、意外と水流が強く進めない(つりしさん撮影)。すると、後ろからつりしさんが泳いで来る。二人でもがいているうちに、つりしさんの「足着いた!着いたよ!」との声。やっと先に進める!

14:35 滝ヶ倉沢出合
そろそろ、本日の幕営地を探す時間だ。予定では滝ヶ倉沢出合のテンバ、ということだったが中々見つからない。仕方ないので、少し先の砂地(というより砂利)を幕営地とする。高さは無いが、増水の心配も少ない天気なので平坦で快適そうなここに決定!

16:00 天気図を取る
台風が近付いているので、気象通報を聞くことにする。しかし、周波数を合わせてもなかなかNHK第二放送に繋がらない。周波数と格闘すること数分、やっと繋がったと思えば、聞こえてきた声は「ルドナヤプリスタニは~」。日本域は終わった後だった。その後の漁業気象で、台風は若干遅れているようだということだけ分かった。

今日の夕飯は、ハギさんの工夫が凝らされた高野豆腐そぼろ丼。
これがなかなか美味しい!軽量化をしつつもお腹を満たすのは至難の業なので、ハギさんには感謝しかない。

20:00 就寝
疲れもあり、今日のところは早めに床に就いた。

【3日目/8月7日】
04:00 起床
06:00 出発
今日は、天気のことを考えると大利根滝を越えて西小沢手前の佐市平まで行かねばならない。オイックイの雪渓も心配だ。
そう思っていたのだが、オイックイ入口の下北沢出合を過ぎても、水温は温いまま。もしかして、本当に雪渓が無いのでは…?

▲雪渓の無いオイックイを行く。
途中、一緒に入渓したパーティの出発準備に出会ったり沢床まで下りてきたカモシカとご対面したりなどのイベントを交えつつも、雪渓とは遭遇しなかった。唯一支流に残る雪の残骸だけが、

そこにスノーブリッジが存在していたことを物語っている。

08:20 定吉沢出合
先には、暗いゴルジュと滝が見える。最初の滝は高巻き、次の滝はつりしLが空身で取りつき、細かいホールドを拾いながら突破。

後から来た二人は高巻くつもりだったようだが、つりしさんの登攀を見て登る気になったようだ。しかしこの二人の御仁、足も速くてロープも出さないので、今日も抜かれた後は一度も出会わなかった。

09:35 魚止滝

▲ここは右岸から巻き、途中の灌木にスリングを残置して懸垂。
今回は、残置用の捨てスリングが大いに役立った。

13:30 大利根滝
魚止滝からいくつもの滝を越え、やっとこさ大利根滝にたどり着いた。多くの記録で快適だのピッチグレードⅢだの言われているが、果たして。

▲トップで右壁に取付くつりしL(ハギさん撮影)。
なんだか岩質がフェルトと相性が悪いようで、緊張の時が続く。これだけ登られているのだから残置もあるかと思われたが、それもほとんど見られない。
結局、よく写真で見られる「落ち口へトラバースするルート」ではなく、「直上して灌木帯へ入るルート」を取った。
登った感想は、「やっぱり5級に行くような人の評価は私たちと感覚が違う。」ということだった。この先、もっと難しい滝ばかりになるのだろうか…。

15:20 ハト平
大滝に時間を取られ、気付けばこんな時間に。明日のことを考えると、西小沢まで急がなければならない。

16:45 佐市平
途中1回の高巻きを交えつつも、お目当ての幕営地へとたどり着く。
佐市平こと西小沢手前の幕営地は、噂通り3張近く張ることの出来る大きく平坦なテンバだった。そのテンバより手前にも、1張のみの場所と2張張れる場所の2ヵ所が見つかった。どれも、ハト平と同じくウドやシダの藪の中にあり、焚火をしなければ虫にたかられそうだ。私たちは虫を忌避して、佐市平の外にある砂地にタープを張った。

▲今晩は最後の幕営となるだろうということで、持っていたおつまみを大放出。前回の集会でイシツカミさんから頂いていた大きなにんにくもその一つ。
晩御飯は、大豆ミートを使ったカレーでこれまた美味だが、おつまみ類が多く早々に満腹に。カレーは朝ごはんに持ち越しとなった。

22:00 就寝

【4日目/8月8日】
04:00 起床
朝食は、前日のカレーを使ってカレークリームパスタ。カレーが程よくマイルドになっていて、朝からリッチな気分に。

06:15 出発
少し先で、またも二人組先行者の朝仕度にばったりと鉢会う。しかし、この後の滝で私たちがロープを出している隙に反対側の壁からの-ロープであっさり抜かしていってしまった。ボルダ―チックな登攀で、軽やかな二人だった。

▲まだ日も差していないのに、朝っぱらから泳がされたり。
この時は、日があたらなくて寒いということばかり考えていたので、この後の悲劇など知るべくもないのである…。

そろそろ人参滝であろう、という4m位の滝で、悲劇は(主に私にだけ)起こった。滝の左壁を登っていたところ、体重移動を誤って滑り落ちた上、壁に左膝を思い切り打ちつけてしまったのだ。不幸中の幸いは、ロープを出して頂いていたことだろうか。これ程盛大に落ちたのは人生初だった。もう少しクライミングを練習します…。
それにしても、左膝がすごく痛い。その後のトイ状滝の高巻きでも、膝立ちをした時に凄まじい激痛に見舞われた。その上、しっかり回収したと思っていたハーケンを一つ失くしてしまった。持ち主のつりしさん、ごめんなさい!前日の高巻き中にもタイブロックを滝壺の餌にしてしまっていたので、これで紛失物は2つ目だった。不注意極まりない…。

09:40 人参滝

2つの失くし物と膝の痛みにシクシクしていると、とうとう人参滝にまで来てしまった。今日の核心部その1だ。ここは右のリッジから高巻くが、あまり良くなさそうなので、つりしLがトップでリードする。やはり脆くなっているようで、リッジ上から浮き石を滝つぼに落とす音がする。

▲高巻き後に見つけたキイチゴ。少しすっぱかった。

10:50 深山滝
今日の核心その2。3段(見えないが4段目?もあり)の美しい滝だが、所々脆くなっているので、注意が必要そうだ。ここもつりしさんがリード。
今回の山行はほぼ全ての核心でつりしさんにリードをして頂き、本当に頭の下がる思いだ…。私もいつかは負担を減らす手伝いが出来るようにならねば!

▲深山滝をリードするつりしさん(ハギさん撮影)。2段目と3段目の間が核心。

12:10 赤沢滝
名前の通り、赤茶色でぬめった滝だが、一見ホールドは良さそうに見える。

▲ここは、つりしさんに勧められてハギさんがリード。登りやすいが、ぬめりが何だか怖い滝だった。ロープを出したのは一番下の段のみ。

12:35 水上滝

ここが、最後にロープを出した滝となった。やはりつりしLがリードし、右壁から突破。その上にある苔のついた滝は、思い思いの場所から登り、これが最後の滝となった。

最後のツメは、水が無くならないうちにおいしい利根川の天然水(本物!)を汲みながら進む。そろそろ三角雪田かなぁというところで、なんだか緑が美しい草原が見え始めた。あれはもしや…。

やはりと言うかなんと言うか、三角雪田も全く雪がありませんでした!!

そして、振り返ると今まで遡行してきた利根川の谷筋と越後の山々が見える。2泊3日の急ぎ足だったが、長い道のりだった。

御花畑も美しく、3人で谷筋をバックに何枚か記念撮影。

14:15 利根川水源碑

少しだけ笹薮を漕ぎ登山道に出て歩くと、利根川水源碑が見えてくる。
ここでも記念撮影。
丹後山までの稜線は、笹が美しい快適な道だった。
丹後山避難小屋にはワンダーフォーゲル部の学生が10人近く集まっていて、今夜は避難小屋に泊り、明日からは藪漕ぎで巻機山方面へ行くそうだ。私たちは、十字峡方面へと下山する。

18:50 十字峡
下山途中、私の失態で足をくじいてしまい、つりしさんがタクシーと合流するために先に下山して下さった。私は、ハギさんのストックを貸してもらいながらなんとか林道まで下りることが出来た。最後の最後に、慢心してしまったのかもしれない…。
林道を、メジロアブにたかられながら40分ほど歩くと、タクシーと合流したつりしさんが私たちを迎えに来てくれていた。やっと終わったのだ。
その後は五十沢の素泊まり宿に宿泊し、翌日にはデポした車を回収して帰京した。宿の女将さんは気の良い人で、旅の疲れも癒された。

北稜に入会して2年とちょっと、まだまだひよっこの私はあまりお役に立てませんでしたが、利根川攻略という大きな山行に同行することが出来て、先輩方には感謝が尽きません。特に、今回リーダーを務め、車から登攀までお世話になりきりだったつりしさん、本当にありがとうございました。そして、お疲れ様でした。もう少しでも遡行に貢献できるよう、クライミングもちゃんとやらなければなぁ…と、改めて感じる山行でした…。
ともあれ、雪渓の無い利根川をある意味完全遡行したこの思い出は、一生忘れることの無いものとなると思います。お二人とも、ありがとうございました!

楢俣川前深沢

写真9

場所:楢俣川前深沢
日程:2016年7月22日(金)~24日(日)
メンバー:コバ(L)、つりし、ハギ、トヨタ、あずさ(記録)

【1日目】7月22日(金)

21:00 近場の駅に集合。コバ車で水上方面へ。
23:30 ならまた湖畔着。オートキャンプ用の大きなテントを立て、24:30過ぎ就寝。

【2日目】7月23日(土)

04:30 起床
約4時間しか眠れなかったことに嘆きながらも、準備を開始。
自分たち以外には、先行者の車が1台と、通りかかった洗ノ沢へ入る1パーティのみ。
写真1

05:40 出発
長~い3時間の林道歩きが始まった。
今回は鳩待峠へ抜けてしまうプランの為、この林道を引き返してくる必要が無いことが、唯一の救いだ(と、面倒くさがりの私は思っていた)。
途中、今晩のおかずになりそうなフキや蕨、コゴミを採取。秋になると、この林道は山ブドウの畑のようになるという。
以前は崩壊していたようだが、整備された為目立った崩壊は1ヵ所程度だった。

07:20 休憩
湖畔で一息取る。
おそらくクルマユリと思われる花の橙色が眩しい。背後の奈良俣ダムは、だいぶ水位が低いようだ。
写真2

09:10 入渓
ヘイズル沢を過ぎて数分後、道幅が広くなっている場所で装備の準備をし、ピンクテープを横目に狩小屋沢から入渓。
写真3↑せっかく良いカメラを持ってきたのに、F値が高くてなんだか暗い。しかも、譲っていただいたものなのでまだ使い勝手が分からず、元に戻せない…。

09:15 楢俣川本流出合
本流のスケールは非常に大きく、楢俣初心者の私は感嘆の声が止まない。
横幅が広く連瀑が美しい階段状の滝や、滑らかなスラブ滝などなど。
しかし、以前訪れた時より数10cm水位が低いらしい。
カメラはどうやらマニュアルモードだったらしく、初心者の私はおずおずとオートモードへ戻すこととなった…。

写真4↑わざわざ泳いで滑滝に取付こうとするコバリーダー

写真5↑同じ滝でたわしを使ってホールドのぬめりを取るも、滑り落ちていくつりしさん

写真6↑特にこの連瀑は美しい!

10:30 前深沢出合
幅広の4m滝のところで、本流とはお別れする。
前深沢は本流より沢幅が狭そうだ。
写真7↑楢俣川本流にかかる4m滝

11:37 12m滝
途中、数分の河原に意気消沈するも、奥に待ち伏せていた12mの滝に「おぉ~」という歓声(?)が上がる。
ここは、水流を横切ってシャワークライムする。
写真8↑意を決して先陣を切るコバL

写真9↑すぐ先にある10m滝は、コバLがリード。

ハーケンの打ち抜き練習と称してつりしさんが滝の中間点にハーケンを打ち、続く私→ハギさん→トヨタさんの順で、抜いては打つ、を繰り返した。
私の打ったハーケンは、簡単に抜けたらしい。練習あるのみ!

その後も、美しいナメ床と階段状の滝が続く。

写真23↑途中、かわいい雛鳥がいる巣を発見。踏まないように気を付けて通り抜ける。

そろそろビバーク地を、ということで探し始めるが、どこもいまいちだ。
そうこうしている間にも、大滝近くのトイ状連瀑が現る。
写真10
写真11↑最後の4mはつりしさんが最初に登り、上からお助け紐を垂らしてもらう。

シャワークライム気味で、上の方が若干難しい。

14:30 大滝
結局その後もビバーク適地は無く、大滝下の小さめな平地に幕営することとなった。
写真12↑奥に見える大滝は、霧で霞んでいる。

私たちが着いた時には2人組が取付いており、滝上でビバークすると話していた。
その後も3人パーティが通りかかり、霧のかかる大滝を越えて行った。

夕食は私の担当で、キムチ鍋とシメはうどん。
が、いつものごとく大量のつまみを持ってきてくれるメンバーや、林道で採取した山菜に助けられ、満腹状態に。
20:30には就寝した。

【3日目】7月24日(日)

04:30 起床
寒さに目を覚ますと、女性陣の寝ていたツエルトは前日の霧と若干の定員オーバーにより、凄まじい結露が起きていた。
朝食は、トヨタさんのクリームリゾット。とろけるチーズの濃厚な感じがとても良い。
と、ここで前日まで使っていた“いいカメラ”ことOM-Dの電源が夜中中入りっぱなしだったことが発覚。電池が無くなってしまったため、コバLのコンデジを借りることとなった。

07:00 出発
朝一番から大滝登攀に取り掛かる。
写真13↑40mの壁に、どう登るか思案中のコバLとつりしさん。

写真14↑途中、一瞬だけ水線に入りつつも、ガイドや事前の記録通り右側の乾いた壁を登るコバL。アクアステルスは快調の様子。

ハーケン1枚と、カムでいくつかランニングを取る。
途中の狭いテラスで1ピッチ切り、ビレイヤーのつりしさんもそこまで登る。
テラスからコバLがもう1ピッチ登るが、ロープは50mあるので落ち口上から固定ロープを張り、残りの女性陣3人は1ピッチで滝上へ。
高所恐怖症の私には、スリルたっぷりの登攀だった。ホールドも、ガバというよりカチ。

09:00 大滝上
5人いたこともあり、大滝攻略には約2時間かかってしまった。
しかし長い登攀を終えると、滝上の美しいナメ床や快適に登れる気持ちの良い滝の数々が私たちを待っていた。

写真16

写真17↑視界は開け、雲の中に稜線が見え隠れする。

写真18↑途中、会のクライマーたちが好みそうな岩壁を発見。クラックにカムが良く効きそう!

10:40 二俣
両岸からゴルジュ状に稜線が迫る石積み連瀑帯を通り抜けると、最後の二俣に直面する。
ここは右の5mCS滝へ。
写真19
その後まもなく水が無くなり、ウスユキソウなど高山植物を愛でながら灌木のツメを進む。
私が花を片っ端から写真に収めていると、コバLから「時間押してるよ!」とお叱りを受けてしまう。ごめんなさい…。

稜線へ出る直前の岩壁が視界に入るころ、前日滝に挑んでいるのを見かけた二人組が藪漕ぎしているのを発見。私たちも同様に、岩壁の付け根へ向かってハイマツの藪を漕ぐ。ハイマツは頼りになるが、マツヤニがベトベトして気持ち悪い。
写真20

12:10 登山道
茶色い岩壁の真下まで来ると、登山道のロープがすぐそこにあるのが見える。ようやく遡行終了だ。
先行の二人は、4日間使ってゆっくりと楢俣川周辺を堪能しているらしい。隊員からは、思わず「いいなぁ」という声が漏れる。

12:30 至仏山山頂
登山道に詰めあがった場所の岩陰に貴重品以外をデポし、至仏山へ。
前回ヘイズル沢へ行ったときは、終了点からの遠さに登頂を諦め、小至仏山の「小」の字を隠して写真を偽造したらしい(面倒くさがりもここまで来ると…笑)。

14:10 鳩待峠
デポした荷物を回収し、鳩待峠へ下山。
途中、たくさんの登山者とすれ違う。天気も悪くなかった為、一般道は混雑していた。
写真22↑鳩待峠は、見渡す限り人、人、人。
奈良俣ダムへは、金に物を言わせてタクシーを手配。およそ35分で峠まで来てくれるらしい。

16:00 奈良俣ダム
無事ここまで戻ってきた…。
前日からデポしていた車の中はムシっと暑い。無事に帰ってこられたことに感謝し、一路東京方面へ。

私にとって初めての楢俣川でしたが、ぎっしり詰まった良い沢でした。一緒に遡行したメンバーの皆さんには感謝、感謝です!

コースタイム

1日目
23:30奈良俣ダム
2日目
05:40ダム出発-09:10入渓-09:15楢俣川出合-10:30前深沢出合-14:30大滝下
3日目
07:00幕営地出発-09:00大滝上-12:10登山道-12:30至仏山-14:10鳩待峠-16:00奈良俣ダム

後立山縦走

夏合宿縦走隊番外編 『隊長ヨレヨレ顛末記』

プロローグ

合宿二日前、私は隊長ヅラしてエラそうに参加者にメールを送りました。

内容は、「皆さま、ここまで来たら後は体調管理に気を付けて合宿当日を迎えましょう!」

合宿前夜、軽い悪寒と頭痛に襲われる。「あれ~これはヤバイかも!一昨日会社サボってサイトーさんと深谷ジムで汗だくになって、そのまま着替えず帰ったのがマズかったか?」

7/28 合宿1日目(自宅~長野駅集合~白馬大池テン泊)

ミナト、ユミ、ミナザエモン

4時の目覚ましで起床するも、完全に風邪の症状。「やっちまった!これじゃ穂高合宿の二の舞だ…」3年前の夏合宿で、やはりリーダーであったにも関わらず風邪をひいてしまい、多大なる迷惑をかけたことを思い出し悔いるも後の祭り。「もう行くしかない!」と根性キメて20キロ超のザックを担ぐも、駅まででヘロヘロです。「こんなんで大丈夫かぁ?」でも隊員の新人たちに気を使わせるわけにはいかないので、風邪ひきのことは気付かれない様にしなければ…。

長野駅で新人のユミちゃん、ミナザエモンと待ち合わせ。ミナザエモンがなかなか現れないので探しに行くと、ポケモンGoをしてました。ったくも~。

特急バス~ゴンドラ~ロープウェイと乗継ぎ白馬大池への登山口へ到着です。

「まず俺がペースを作る。縦走はゆっくり、これが基本だ!」と自分が先頭になりゆっくりペースで歩き出すが、なんのことはない、体調不良なのでゆっくりしか歩けないことをカモフラージュする作戦なのでした。そんなことを知らない新人二人は素直に従います。カワイイもんです。のんびりと3時間程登って本日のテン場の白馬大池に到着。静かで綺麗でとても素敵な場所です。池の畔のテン場は平らで水場もあり、トイレも清潔です!

夕食は二人の新人さんが作ってくれたマーボ茄子です。ユミちゃんは油を忘れたので失敗作だと言っていましたが、トンちゃんの「茄子を忘れたマーボナス」に比べればどうってこと無いです。味付けも丁度良くとてもおいしく頂きました。

夕食後はすぐに就寝します。ミナザエモンは飲み足りないと文句を言っていますが、「縦走は早寝早起き、これが基本だ!」とさっさとシュラフに潜り込むが、なんのことはない、体調不良なので早く寝たいことをカモフラージュする作戦なのでした。そんなことを知らないユミちゃんは素直に従います。が、ミナザエモンは従いません!テントの真中であぐらをかき、ひとりで缶ビールをグビリとやり始めました。恐るべしミナザエモン…。

7/29 合宿2日目(テン場~白馬三山縦走~天狗山荘テン泊及びサブ隊合流)

ミナト、ユミ、ミナザエモン、天狗合流サブ、タケ

3時半起床。外には星が瞬いていますが、体調は昨日より悪くなっている感じです。う~んマズイなぁ…。朝食のラーメンもほとんど喉を通らず、二人に全部食べてもらいました。

予定の5時を少し過ぎて出発です。ミナザエモン、ごちゃごちゃしたものをもっとまとめて、ちゃんと予定時刻に出発できるようにしましょうね!

天気も景色も上々、雷鳥もお目見えし、新人二人は高度が上がるにつれどんどん感激度がアップしていきますが、私は高度が上がるにつれ咳き込む様になり、どんどん体調が悪化していきます。

テンションアップの新人たち

 

新人:「わ~キレイ!」「スゴイ雲海ぃー!」「感激です!」「どこまでも行けそうですぅ」

私:「よかった ゲホゲホッ ね…、ゲホゴホ、カー、ぺッ」「少し休もうか…」

新人:「どっか悪いんですか、大丈夫?」

私:「ぜんぜん大丈夫、ちょっと咳が出るだけ…」とあくまで体調の悪さを悟られないように体裁を繕いますが、もう気付いているんだろうな、たぶん…。

残念ながら白馬岳頂上はガスの中、なのでさっさと白馬岳頂上小屋へ下り休憩しましょう。と、ここでユミちゃんがお知り合いに遭遇です。こんなところで奇遇でしたね!

さて、これから杓子岳、白馬鑓ケ岳と縦走するのですが、「こんなにキツかったか?」と言うほどキツかったです。ですので、景色や状況などの記憶がありません。ただ、杓子岳頂上でサブちゃん隊と無線交信が出来て少し元気をもらえました。

白馬鑓ケ岳をやっと越え、ヨロヨロと本日のテン場の天狗山荘に向かっていると、鑓温泉の硫黄の香りとともになにやら聞こえてきました?どこかで聞いたことのある歌声…野太い拳の効いた…あの歌声は、そうです!北島サブちゃんならぬ北稜サブちゃんでは!!

♪はぁ~るばるきたぜぇしーろうまぁ~ なぁ~なつのさけをの~みながらぁ~♪

上機嫌で歌いながら我々を迎えに来てくれたサブちゃんに「ケッチボー」すると、サブちゃんもケッチボーを返してくれました。嬉しいですね!感動的なお迎えケッチボーです!!

天狗山荘のテン場では、合流隊の新人タケちゃんが我々を発見してなぜかピョンピョンしています!(この後も彼女はいろんな所でピョンピョンしていました。飛び跳ねるのが好きなのでしょうか?)

夕食は私の人生初となるロコモコ丼です。感動的なおいしさ!で、体の具合も良くなり私も思わずピョンピョンしたくなりましたよ!ありがとうタケちゃん!!

人生初のロコモコ丼

7/30 合宿3日目(テン場~不帰ノ瞼~唐松岳~唐松山荘テン泊)

ミナト、ユミ、ミナザエモン、サブ、タケ

3時半起床、天気は多少ガスがかかるもまずまずで、雨の心配はありません。5時出発でサブちゃんを先頭に天狗の大下りへ向かいます。

私は、ロコモコパワーのおかげで元気を取り戻すも、大下り終わったらパワー切れになってしまいました。それにしても、私以外の4人は元気全開です!うらやましい…。

ロコモコパワーが切れた隊長

 

大下り終わると、今合宿最大の難所の不帰ノ瞼です。取付く前にヘルメットと簡易ハーネスを装備し、いざ出陣です。ここで先頭が私に代わります。私がミナザエモン、サブちゃんがユミちゃんの安全を確保します。あれっ、タケちゃんの確保は?えーと、まあ、大丈夫でしょう…。

いざ不帰へ

 

不帰Ⅰ峰は、特に問題ありません。

不帰Ⅱ峰が問題ありです。危ない所には鎖が付いているのですが、高度感があります。でもみんなヘーキなんですね!大したもんです。

危険個所を過ぎてⅡ峰の南峰まで来たところで、安堵したからか、とうとう私が発熱しグロッキー状態になってしまいました。仕方がないので、皆に私の荷を分担してもらうことになりました。「情けないなぁ」とショボクレていたら、ミナザエモンに「つまらない男のプライドなんか捨てちゃいなさいよ!」と叱られてしまいました。う~もっともでございます。

みんなから介護される隊長

 

唐松岳を越えて唐松山荘に到着したところで、さらに情けないことに、私が「もうこれ以上動けません」状態になり、今後の行動ついて合宿最大の決断をしなければならなくなってしまいました。案は二つ。

A案:唐松に全員がテン泊し、明日は八方尾根で下山する。(五竜岳は諦める)

B案:ミナトのみを唐松に残し、サブちゃんが隊長となって計画通りに五竜登頂を実行する。当然、ミナトは明日一人で八方へ下山することになる。

優しいサブちゃんは新人たちを気遣いB案を推挙したいようだが、さて、新人たちはどのように考えているのだろうか?新人たちには難しい選択であり、議論が続く。

この時、私は笹田師匠との合宿を思い出していた。師匠は言う「合宿の良さは、先輩と新人が寝食を共にし、お互いに助け合いながら行動し信頼を築き、かけがえのない山の仲間となっていくことだ。それが同じ釜の飯を喰った仲間というものだ」また、こんなことも教わった「サイゴマデ タタカウモイノチ 友ノ辺ニ スツルモイノチ 共ニユク」松濤明の有名な遺書の一節である。友を見捨てれば助かるかもしれないが、松濤は友と一緒に死ぬことを選ぶ。私の決断は決まった。

重苦しい沈黙を破って私は言った。「リーダー権限で、今日は全員が此処に泊まることにします。そして明日は全員で八方尾根を下山します。以上、よろしくお願いします」

しかし、自分が原因でこんなことになってしまったので、この決断を口にすることにはかなりの勇気が必要であったことを付け加えておきます。小心者なんです自分…。

その後、私は2人用テントに隔離され、みんなからいろいろな介護を受けて、十分な療養を得ることができました。おかげさまで随分と回復したように感じます。本当にありがとうございました。

7/31合宿4日目(唐松山荘テン場~八方尾根で下山~帰京)

ミナト、ユミ、ミナザエモン、サブ、タケ

5時起床、今日も天気は上々で7時出発。唐松山荘前で山ガールモドキのピョンピョン写真を撮ってから下山開始です。

山ガールモドキがピョンピョン

 

尾根道からは、縦走してきた山並みが見渡せます。「あんなに遠くから歩いてきたんだぜ」「ホント、凄いですよね!」小蓮華、白馬、杓子、鑓、不帰、唐松、本当によく歩きました。これぞ縦走の醍醐味ですね!

大勢の登山者と観光客で賑わう八方池山荘とリフト乗場が見えると、合宿も終わりに近づきます。いつものことなのですが、「いろいろあったがもう終わりだ」と思うと、やはりちょっと寂しいです…。

 

エピローグ

隊長の私が不注意により風邪をひき、参加の皆さまに大変な迷惑をかけてしまった事を深く反省します。ちゃんと注意していれば防げた事なのに、本当に情けないことです。この場を借りて皆さまにお詫びします。どうもすみませんでした。

しかし、私がダメになってしまったことで、サブちゃんを中心に新人たちが一致団結し、大変良くまとまったパーティーになったように見受けられます。隊長が頼りにならなくなってしまったので仕方がないことだったのでしょうが、とても頼もしく感じられました。

また、新人たちの著しい成長も嬉しく思います。最終日の八方尾根は登山初心者であふれておりました。4日前は同様の初心者であった新人たちですが、合宿を過ごすうちに歩き方や身のこなしが格段に成長していったことを、この八方尾根の初心者さん達と比較することで十分確認することができました。

最後にお願いですが、これに懲りずにまた山行をご一緒しましょう!同じ釜の飯を喰ったかけがえのない仲間なのですから…。

ミナト記

魚野川完全遡行

 

日程:2016年7月16~18日

メンバー:つりし(L)、ハギ、つかみ(記)

CT:

16日 切明温泉5:50→ 渋沢ダム8:50→  黒沢出合 12:50(幕営)

17日  黒沢出合7:15→ 魚留ゼン8:30… 10:10 → 南沢出合 15:50(幕営)

 18日  南沢出合7:00→ 北ノ沢からの詰めの分岐 9:05→  藪の詰め10:00→稜線 10:50→ 志賀高原高天ヶ原12:10(ゴンドラリフトにて発哺温泉下山13:00→タクシーにて切明温泉14:00

装備:靴/フェルト ザイル/8×30m

 

記録:(16日) 秋山郷の最奥に切明温泉がある。ここの雄川閣旅館の駐車場に車を

泊め車中泊。朝方5時に起き準備を整え出発。まずは渋沢ダムを目指す。約3時間かけて5キロの道のりを進んで行く。歩き始めは平坦な登山道。地元の釣り人、三人組が年期かかったミニバイクにまたがり先をゆく。とっても楽しそう。そして楽そうだ。ダム迄は吊り橋を渡りトンネルを通ったり、これより始まる、長い魚野川完全遡行に向けての準備開始だ。

入渓地手前の吊り橋

ダムより10分ぐらい進んだ地点で入渓。沢靴に履き替え魚野川に足を入れる。天気は曇り。大汗をかいているのに冷たい。あ~だけど気持ちいい。前日に鉄砲水が流れたとの情報を、途中すれ違った東京電力職員らしき人が言っていた。しかし、増水の気配はない。千沢を過ぎた廊下状のゴルジェもなんらく通過。何度か訪れているリーダーも、巻かずに通過なんて、とつぶやく。それぐらい今回は水量が少なかった。

例年より水量がない

曇りがちではあるが、気持ちよく癒されながら登って行く。高沢出合いを過ぎ、大ゼンに差し掛かる。左岸を巻きすんなり超える。

大ゼン

大ゼンから1時間弱進むと、一日目の幕営地、黒沢の出合。ナマリ岩がお出迎え。水量がすくなかったこともあり、予定よりも早くに到着。ほっとするのもつかの間で、私はそわそわした。誰もいない貸し切り状態の大自然。焚火に釣り。ビールに御馳走・・・と頭を駆けめぐった。時間はたっぷりあるのに、心は小学生のようにはしゃいでいた。

黒沢出合幕営地、ナマリ岩

予定では、夕方より雨。一刻もはやく遊びたい心をなだめ、まずはテントを張った。テン場も最高の場所にある。沢よりも一段高め。しかし水場も焚火からも遠くないベストエリア。設営終えると、リーダーつりしのアドバイスを受けイワナ釣りに出かけた。どれぐらい、釣りをしていたのだろう。調理を始めたころは、既に夕刻時である。三人で10匹近くの大捕獲である。ムニエル、塩焼き、ぬか漬け、オリーブ炒め等々、お腹いっぱい満たされた。元気がよかったのかこの日の就寝は22時を過ぎていた。

イワナ

(17日)いよいよ、核心部が顔を出す遡行になる。気が引き締まる。天気は厚い雲に覆われている。いつ雨が降りだしてもおかしくない。小雨が降りだしてきた。合羽を着用して出発した。1時間強進むと、魚止めゼンが現れる。スラブ状の幅の広い滝だ。リーダーがロープをつけ左端から登る。しかし容易に登れない、滑々なのだ。ザックをおろし空身でチャレンジ。すんなりとクリア。次は私の番だ。行ける!と思ったが、やはり素人目線だった。二~三歩踏み出した途端、滝に滑り落ちた。二度も三度も、何度やっても落ちる。挙句、左端から水量が多い右側の隙間で立ち往生してしまった。滝の上で腰がらみをしているリーダーは状況が見えず、テンションがかかりっぱなしなので、腰まで浸かった体を動かせずにいた。淵から見守っていたハギさんとは、滝の音に声がかき消され正確に言葉を交わせない。絶対絶命のピンチ。体が冷え震える。どうしたらいいの!?頭の中は真っ白。もがいているとどうにか元の出発地点に戻れた。ハギさんに先に登ってもらい、最後にトップロープ状態であげてもらい、どうにかこうにか、越えた。魚止め滞在時間は1時間40分にも及んだ。実力のなさを思い知らされた。

とんでもない迷惑をかけてしまった。このあとしばらく音が消えて行く・・・。

恐怖の魚止めゼン

庄九郎大滝までたくさんの小滝の連発。日差しも差し込み見事なナメ床が続く。

ナメ床
連発する小滝

魚止めゼンから進むところ2時間弱。庄九郎大滝。10メートル位だがわりと迫力がある。滝の右側のルンゼを登り巻く。足場は悪く倒木や浮石がひしめき合う。15メートル程登ると、ミナトさんが20年前に張ったらしきロープがあった。そこから先はロープを張りトラバースで進む。

庄九朗大滝、トラバース

その後、穏やかな癒し沢を楽しみ二日目の幕営地、南ノ沢出合15:50分到着。

テン場は、整地無用。ご丁寧にも厚手の銀マットあり。何方かの忘れ物?贈り物?ありがたいのだが、大自然には似合わない物であることも確かだ。どうしたことか、三人して空きっ腹。テントを張る前にハギさん手製のマカロニスープをいただく。この日イワナは釣れなかった。一匹釣ったものの逃げられた。しかし心配無用。昨日数匹ぬか漬けにしておいた。本日のおかずはイワナのぬか漬け。網の上で焼いた。特に皮の部分が美味い。最後の焚火を惜しみながら22時、横になった。

(18日)南の沢出合から北ノ沢。左岸7つめの沢を行く。一本一本確認しながら進む。

方角も合っている。確信をもち7つめの沢を登って行く。そこから100メートル位で3又の分岐。左に曲がり稜線に出る。そんな作戦を練って進む。しかし左側は垂直ちかい壁。登り詰めるような谷間は見つからない。枝沢みたいのが現れた。そこを行くことにした。急な登り。濃い藪に突入する。リーダーを先頭に藪と奮闘を続けた。途中から鋸で狩り進むこと50分、稜線に出た。

藪漕ぎ

寺子屋峰をピークを得て、志賀高原山頂に。開けた高原にはニッコウキスゲが咲き誇り綺麗だ。手付かずの大自然とは、また一味違う美しさだ。

ニッコウキスゲ

大自然って何だろう。魚野川で堪能したはずなのに、言葉にしようとすると難しい。さえずりだったり、匂いだったり。風だったり、色だったり。五感が自然を感知する。ありがたい。こうやって楽しめる一つ一つ。癒しあり。勉強あり。恐怖あり。沢って凄い!

 

 

 

 

 

 

日原川巳の戸谷

日程: 2016年7月3日

メンバー: つりし(CL)、ハギ、アズ、ユイ(記)

CT 八丁橋先、天祖山登山道入口ゲート(7:35)〜林道ガード先、日原川降下ポイント(07:45)~日原川河原にて遡行準備(07:50/08:10)~15m大滝(08:25)〜忌山の悪場入口(08:45)〜忌山の悪場、核心部8m滝(09:15)〜忌山の悪場6m滝(10:05)〜小屋跡(10:30)〜8m滝(11:55)〜3連の滝(12:35)~五平窪出会付近(13:30/14:00)~ヤケト尾根1,247m峰付近(14:50/15:00)~八丁橋先、天祖山登山道入口ゲート(16:55)

記録:日原川の崖地を縫う林道を車で慎重に走って、八丁橋先の天祖山登山道入口まで入る。登山道入口にあるゲートを越えて出発、左側ガードの切れ目、赤いペンキの塗られた箇所が日原川への降下ポイント。急降下する登山道を慎重に下り、日原川河原で遡行準備して、日原川を右岸へ渡って出発。

日原川右岸を歩いて程なく入渓地点に到達、緩い勾配の道を沢沿いに進むと、すぐに15mの大滝が現れる。

DSC08441

直瀑の見事な滝は右側に高巻き、苔と岩、小石の沢床を20分ほど歩くと、忌山の悪場と呼ばれるゴルジュ帯に到達する。

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忌山の悪場のゴルジュ帯は、入口から直ぐ左に大きく折れ、滝が連続する。先ずは3m、3m、4mと次々に滝を越えていく。4mの滝は、右側を登るが、やや足場が悪く、つりしCLが安全確保のロープを出す。

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4mの滝を越えると、今日の核心部ともいうべき8mの滝が現れる。左壁を登っていくものの、なかなか足場の確保が難しい。一方、丁度良いところに残置(ハーケン4か所)があり。私も先行者の足場、手の置き場を注視して、見様見真似で何とか登る。

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8mの滝を過ぎても、忌山の悪場は、なおも3m以下の滝がゴルジュ帯の中に連続する。倒木が多いため、やや難儀する個所もあるが、清冽な水の流れる沢の遡行を楽しむ。

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そして、忌山の悪場は、ゴルジュ帯の出口近く、最後に6mの滝が現れる。シダや苔の生えた滝の左壁を慎重に直登して越える。

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忌山の悪場を抜けると、倒木の多い谷の遡行となる。倒木・小滝と越えていくと、大釜のある4m滝が現れる。4mの滝は、右側にへつりながら滝の釜左側に取り付き、水の落ち口に沿ってステップを刻みながら登っていく。(写真は、滝の水流をものともせず登っていくつりしCL。)

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4m滝を抜け、左手に小屋跡を見遣りながら、倒木の多いエリアをさらに進むと、6mの滝に到達。流石に直登は難しく、右に取り付き、ややトラバース気味に滝の落ち口を目指して登り、滝を越えていく。

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6m滝を越えると、再び小さな滝がいくつも続く。倒木に悪戦苦闘しながら進むと、倒木に白いキノコが群生、なんと見事なウスヒラタケである。早速、ナイフを取りだし、切り取ってアズが自宅へお土産として持ち帰ることとなった。

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ウスヒラタケのあった小滝から先に進むと、沢筋は穏やかになってきた。私も、多少緊張が解けてきたが、最後に行く手を阻む8mの直滝が現れる。滝は、上部で2丈に分かれて直接滝壺に落ちている。水しぶきがミスト状に舞い上がり、滝壺近くは寒いくらいに涼しい。ホールド、スタンスがある右壁を登っていく。私も登るが、途中で足の置き場を見失って停止、周囲を見回し、いくつもの足の置き場になりそうなところをトライ、やっと見つけて、再び滝上を目指す。(途中残置ハーケン1か所あり)

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8m滝を越え、沢筋を足元に気を付けながら進むと、見事な3連の滝が現れる。丁度、日が差し込み、滝が輝いている。奥多摩にもこんな世界があるのかと、暫し見惚れる。

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綺麗な3連の滝を抜けると、再び小滝をいくつか越えていく。途中、真っ白なキクラゲを発見、野生のキクラゲを見るのは初めてであり、透き通った色合いはとても綺麗だ。

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小滝が連続し、倒木の多いエリアをさらに進むと、左手に見事な10mのすだれ状になった滝が現れる。滝の先は、沢の傾斜は緩むものの倒木が重なるエリア、倒木は滑ったりザックが引っかかったりするので、慎重に越えていく。

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倒木エリアを抜けると小さな広場が現れ、ここで遡行終了。広場から先は、更に倒木が折り重なっている。広場で着替え、軽く休憩し、帰りは、1,200m付近左岸にある山道を示すテープ横から、右岸にあるヤケト尾根の尾根筋を目指す。

その山道は少し歩くとすぐに悪くなるので、今回1,247mの尾根筋に回り込むような感じで登り稜線に出た後下り山道に合流するコースを選択する。(写真は、広場左岸にあった吊橋への山道を示すテープ。)

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尾根筋へは、初め急こう配の足場が悪く所々ザレた斜面を登り、やがて、一転して、緩く広い尾根筋に乗る。広い尾根筋は、踏み跡が無く迷いやすい。現在地確認のためにGPSがあると安心。モミ・ブナの森は、静かで気持ち良い。緩やかで広い尾根を下り、やがて1,247m峰付近で一息入れる。

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1,247m峰から更に下ると、尾根は再び急こう配な斜面になる。途中、急斜面に見事なキノコを発見。ザレた急斜面を下って確かめるも、毒キノコであるツキヨタケ。

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気を取り直して、ザレた急斜面を戻り、トラバース気味に、急斜面に続く作業道を下っていく。滑落事故を起こしそうな急斜面をトラバースし続けるルートは、最後まで気を抜くことができない。滑れば、日原川の谷底まで滑落しかねないトラバースの道は、疲労が蓄積した状態でもあり、最後まで気の抜けない状況が続く。

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やがて、つり橋が現れ、少し登り返せば、八丁橋へと続く林道に到達、あとは、林道を緑の木々を愛でながら、八丁橋に戻り、本日の山行は終了。

巳ノ戸谷は、滝の連続する沢の魅力に溢れる好ルートです。倒木が多く閉口する場面もありましたが、沢は2回目という私にとっては、奥多摩にこんな綺麗な滝があちこちに落ちる世界があるのかと、驚きながらの山行でした。

また、登攀技術、ロープワーク、歩き方等々、何れも大変に勉強になった一日でもありました。

この日は、寝坊の上、ヘルメットを忘れるという状況で、ご迷惑をおかけしてしまい、反省せずにはいられません。

この日は、お陰さまでとても楽しい一日となりました。

どうもありがとうございます。

 Minoto【 ルートGPS記録 (2016年7月3日、巳ノ戸谷) 】