爺ヶ岳東尾根

日程:2017年3月18~19日
メンバー:コバ(L)、ウエ(記)

コースタイム
3/18 7:30 登山口〜10:40 JP〜11:40 P3〜14:00 P1
3/19 7:30 P1〜9:00 爺ヶ岳山頂〜9:45 P1〜10:15 下山開始〜12:00 P3〜13:00 JP〜15:00 登山口

3/18(土)快晴

前夜23時頃に都内を出発し途中のSAで仮眠をとった後、早朝旧鹿島山荘前へ。
7時頃到着の時点で6台ほどの駐車スペースはほぼ満車だ。
準備を整えて7:30に出発する。
民家の脇を通り抜け、おばばの碑が登山口の目印。
かつては鹿島槍の最も一般的な登山口はこの鹿島集落で、「おばば」こと鹿島山荘の狩野きく能さんは歴史的な登山家を幾人ももてなした有名な方なのだそう。
その向かいには「爺ヶ岳東尾根冬期登山口」の看板も。冬の北アルプス入門ルートとして人気のようで、同じ日に8パーティくらい入山していたのではないだろうか。

Ggatake01おばばの碑

登山口からはイキナリの急登だ。
稜線に出るまでの約2時間半、ひたすら登る。幸いトレースはしっかりだが、晴天すぎて暑さがつらい…

Ggatake02急登!

稜線に出てしばらくすると丸山から派生する尾根と交わるジャンクションピーク(JP)に出る。爺ヶ岳も鹿島槍も見える。素晴らしい展望にテンション上がる。

Ggatake03鹿島槍が見えてきた

山頂はすぐ近くのように見えるが、その手前にはこれから通る予定のP3、P2、P1が連なっている。手強そうな予感だ。

Ggatake04右奥から鹿島槍、爺ヶ岳北峰、中鋒、P1。その手前にP2、P3

今回の計画は初日P1でビバークし、2日目に爺ヶ岳経由で鹿島槍まで往復するA案と、初日にP1まで到達しない場合はP3に幕営し、2日目は爺ヶ岳だけを往復するというB案を用意していた。鹿島槍にアタックする場合は2日目に冷池で幕営する縦走スタイルが一般的なようだが、重荷での行動に不慣れな私のために、コバさんがP1からの往復を提案してくれたのだった。
なので、翌日の鹿島槍に希望を残すため、なんとしてもP3を目標タイムで通過してP1で幕営したいもの。
ペースを上げてP3の目標タイムはクリア。しかし…バテていた。
P3は本日の幕営の準備をするパーティーで賑わっていた。豪華な風除けが残置されていたり、なかなか寝心地が良さそう…

Ggatake05P3は快適そうなテン場だ

でももうひと頑張りして、さらに進む。
P2の手前は少し痩せ尾根。この日は幸い快晴無風なので風景を堪能しながら気持ちよく歩けた。

Ggatake06P2は高度感がある

その後再び樹林帯を通り、最後に急登を必死の思いで乗り超えるとP1の広大なテラスに到着だ。
P1は遮るものがなく、間近には爺ヶ岳の山頂と鹿島槍、遠く槍ヶ岳まで見渡せる絶景が広がっていた。

Ggatake07槍が見えた!

ここまで辿り着けた達成感を感じつつ、ビバーク準備を整える。
地面はアイスバーンの上に薄い雪が乗った状態。コバさんががんばって風除けを掘ってくれたが、だいぶ苦労した。

Ggatake08P1から爺ヶ岳山頂を背景に

テント内で宴会をしているうちに日が落ちて、気温が下がり、風がでてきた。
風がどんどん、どんどん強くなり、テントが傾き始めた…。
この風は激しくなる一方で、夜中中風がテントを煽る「ドドドド」というマシンガンのような音は止まず、ただただテントが飛ばされないことを祈って眠りについたのだった。

3/19(日)吹雪のち晴れ

翌朝、風は幾分収まったが、外は雪。視界はほぼゼロ。
出発を遅らせ様子をみたが、天候は回復しそうにないので、軽身での爺ヶ岳往復だけ決行することにした。
P1の広い尾根に一晩で30センチあまり雪が積もった為、シュルントや雪庇に注意しつつ歩いた。視界が悪くトレースも消えてルーファイも難しい。昨日とは何もかも違う状況の中、新雪と強風で思うように歩けない。
なんとか頂上に立ったものの視界ゼロ。証拠写真だけ撮影してそそくさと下山した。

Ggatake09撤収前のP1

撤収して、昨日通った道を下山していくが、ここからが長かった。
下山中に天候は回復し気温も上昇、雪はみるみるうちに腐っていく。涼しい顔でスタスタ降りていくコバさんを必死に追いかけながら、なかば滑り落ちるように無様に降りていく私であった。

最後に…
気長に見守ってくれたコバさんには感謝してもしきれない。
自分の歩きや雪山での振る舞いは大きな課題が見つかったが、天候によって全く違う姿を見せる冬の北アルプスを体感できたことは得難い経験だった。
そしてこの時、爺ヶ岳の山頂から見えるはずだった雪の劔を見たいと強く思い、GW合宿の五竜岳山行への参加を決めただった。

妙義 木戸壁右カンテ(西上州シリーズその2)

日程: 2016年12月30日
メンバー: みなと、けんた(記)

5:52 霞ヶ関駅(埼玉県)集合・出発
7:45 駐車場到着・準備
7:55 出発
8:30 取り付き
10:40 登頂
12:10 取り付き
12:55 下山

みなとリーダーにお誘い頂き、西上州シリーズその2である。
前回の筆頭岩からおよそ1ヶ月後、軽い気持ちで家を出たが、南浦和駅での電車の接続待ちが、寒い。朝霞台での電車の接続待ちが、ものすごく寒い。霞ヶ関駅でみなとリーダーと集合した際には、すでに戦意喪失。寒くて手がかじかんで、岩を登れないのではということで、ハイキングにしようという話になる。
国民宿舎の駐車場に到着して準備をする。気温は低いが向かう岩場は日が差しており、とりあえず行けるのではないかということで取り付き点へ向けて出発。取り付き点へ向けての登山道は、ちょっとした岩場のアップダウンを繰り返しながら進む。ところどころ、初心者は引き返してくださいという看板が見られ、さすが裏妙義という気がした。
30分強で取り付き点へ到着し、岩屋根の下で準備をする。この時点ですでにたどん状の岩が見られる。試しに、岩を握って力を込めてみると、取れた! 他の岩でも試してみるが、取れた!!
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
この時、前評判通り、ここの岩場のホールドは、信じられないことを悟る。
ここでもやはり、みなとリーダーから何ピッチをリードしたいか聞かれ、即座に奇数ピッチを希望。事前の情報を見て、やはりラクに快適のモットーを優先させる。
とはいったものの、1ピッチ目は、全く持っての垂壁。ホールドはあるのだが、こいつ本当に信頼できるのという思いから「スタートできないんじゃね」という不安に駆られる。ネットの山行記録にあった3点支持を意識し、ホールドが取れないことを確認しながらおっかなびっくり登る。
2ピッチ目、たどん状のホールドやボルトが豊富にあることはあるのだが、みなとリーダーもなかなか進まない。やはりホールドが取れないか確認をしているようだ。

3ピッチ目は、松の木を目指して登るピッチで、ルートが分りやすく、また2ピッチ目より斜度も緩やか。登りやすいピッチであった。
4ピッチ目。全ピッチの中でいろいろな意味でここが一番登りづらいピッチであった。ルートを右上に取った後、カンテを左上するのだが、まず左に切り替わる地点がいやらしい。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
ホールドの少ない垂壁なのだが、1つだけいかにも乗ってくださいと言わんばかりのたどんが1個(上の写真でも見られます)出っ張っていた。みなとリーダーは、このたどんに足を乗せて良いものやら、大分悩まれていた。他にホールドがあれば、それに越したことはないのだが、どうやらこのたどんしかない。最後は思い切って、このたどんに足を乗せて、上へ上がられていた。ちなみに私は、みなとりーだーが乗って大丈夫なら、自分は確実に大丈夫なはず、ということで迷わず足を乗せることができた。また、みなとりーだーが登り切った後、私のフォローの際に、青のダブルロープがたどんに引っかかって、うまくロープが張れなかったため、赤ロープのみをたよりに登ることとなった。セカンドで登るにも緊張するピッチだった。
5ピッチ目も、3ピッチ目と同様、緩やかなルートかつ短いルートであっけなく終了。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
インターネット上の山行記録を見ると、5ピッチ目よりも上へ登られている記録もあるのだけれども、特に眺望が望めるわけではなく、このピッチで終了させ、懸垂下降に移る。懸垂下降ルートも上ったルートを辿るように降りる。たどんにロープが絡むことを恐れて、ダブルロープ一本で下降を開始。最初の3ピッチは問題なく降りられたのだけれども、次のピッチでロープが絡んでしまった。二人で力を入れて引いても、全然動かない。仕方なく、もう一本のロープでみなとリーダーが登り返し、事なきを得る。やはり本番のルートではダブルロープが必須である。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
振り返ってみると、それほど難しくはないルートではあったが、絶えず緊張が強いられたルートであった。ただ、その緊張のおかげで、岩を落とすことなく集中して登ることができた。今後の本番ルートに向けてのいい経験になったというのが実感である。

<ミナト記>
全てのホールドが信用できない… しかし、これでもか!という程打たれているボルトのおかげで登ることができた。もう見るからに「このホールドはヤバいな」という場面では、躊躇なくA0しちゃったし、「足を置いたホールドが落ちたら、ケンちゃんに直撃しちゃうかも」なんて場面でも、躊躇なくボルトに足を乗せちゃいました。
最初にこのルートを登った人は相当な精神力の持ち主だったに違いない!ハーケンは効かないので、取れちゃうかどうか判らない「たどん状ホールド」にスリングを掛けてランニングにして、登って行ったのだと想像すると…私には絶対に出来ません!!
でもこの岩場のロケーションは素晴らしいですよ。たかだか千メートル程の山とは思えない岩山景色です。南面なので日当たりは良く、赤城おろしの風も遮られてけっこう暖かいし、スカッとした高度感が最高です!ルートも易しいし(ホールドが大丈夫なら)、初級者のマルチピッチ練習にちょうどいいと思いました。ただ、アプローチがヒルの生息地なので5月~10月はNGですね。

2016年12月雪上訓練 谷川岳

日程:2016年12月17~18日

メンバー:サブ(CL)、ケンタ(SL)、ツカミ、ミナザ、ミヤユミ、ササ(記)

■12月17日(土)
9:30   谷川岳ロープウェイ駅集合(佐々木遅刻10:50着)
12:20  熊穴沢避難小屋到着
テント設営
14:20  テント内にてロープワーク復習
・ヒマラヤコンテ
・諸注意
16:40  夕食
20:00  就寝

しょっぱな電車遅延で遅刻。
本来の集合場所ではなく、谷川岳ロープウェイで待ってくれているサブさんと合流する。
他のメンバーは先に出発していたためすぐに追いかける。
雪はパラついて平地でもひざ下まで積もっていた。ロープウェイ側の斜面では5~6組ほどのパーティーがラッセルや滑落停止訓練を行っていた。

待ってくれていたメンバーと合流し、幕営予定の熊穴沢避難小屋を目指す。
道中は人もテントも多くトレースはばっちりついていたので歩行はかなり楽だった。

1日目テント幕営地熊穴沢小屋

ケンタ、ササが先行し熊穴沢小屋へ到着し幕営スペースを確保。
全員合流しテント設営。

テント設営後は中でサブ、ケンタにてロープワーク講習。
2日目の実習に備える。

夕食担当はツカミ。

ツカミさんの美味しい夕食

とてもおいしく品数も多かった為、少々食べ過ぎた。
各自持参の酒でささやかな宴会をし1日目終了。

 

■12月18日(日)
4:00   起床
6:00   出発
8:15   肩ノ小屋到着
8:45   トマの耳到着
9:50   熊穴沢避難小屋到着
・テント回収
・アイゼン装着
11:05  熊穴沢小屋出発
12:10  谷川岳ロープウェイ駅付近の斜面にて雪上訓練。
・滑落停止訓練・・・初期制動
・ヒマラヤコンテ
・スタンディングアックスビレイ(あくまで参考として)
12:40  谷川ロープウェイ駅発
日の出前の暗いうちから出発。

日の出。今日もお天気は良さそうだ
準備を整えて出発

風は強いが雪も降っていないので行動しやすかった。ふと気づくと既にずっと先まで
トレースがついていた。天狗の留まり場に到着する前にラッセルをしていたパーティーに合流した。若い男性3人のパーティーで話を聞くと早朝から延々ラッセルしていたという。
私たちも混じりラッセルする。やっと雪訓らしいことができた。

ようやく雪の量もそこそこになってきた

雪は時に腰までありとても深い。浅い部分は足を上げなくていいので疲れないが腰ラッセルは踏む→膝で固める→足で固めるこの一連の流れが辛く体力を消耗する。

交代しながらなんとかトマの耳へ到着。
強い風が吹いているが晴れていてとても眺めがよかった。

トマの耳

今回はトマの耳までで下山。
最後に谷川ロープウェイ駅の前の斜面で滑落停止、ヒマラヤコンテの練習をして
今回の雪上訓練は終了した。
谷川は積雪も多い為、多くのパーティーが訓練していて異様な光景だった。
だが実際歩いてみて雪訓にはもってこいだと感じた。

 

 

妙義 筆頭岩(西上州シリーズその1)

平成28年12月4日
【メンバー】みなと、けんた(記)

5:52 霞ヶ関駅(埼玉県)集合・出発
7:30 駐車場到着・準備
7:40 出発
10:20 登頂
11:30 下山

みなとリーダーにそそのかされてダブルロープを購入したのは、1年半以上前、それ以降ダブルロープを使ったのは、雪訓で1回とサブリーダーの元での岩トレで1回の2回のみ。今回、ようやくみなとリーダーにダブルロープの使い方をご指南頂く運びとなった。ちなみに今回ご案内頂いた筆頭岩は、日本の山を世界に紹介したかのウェルター・ウェストンさんも登られたということで、俄然やる気が出てくる。
早々に出発したことが奏功し、まだ人が少ない、駐車場に到着する。手早く準備を済ませ、出発。しばらくは車道歩きが続くが、だんだんと目の前に筆頭岩が迫ってくるのが圧巻だった。見た目はプチ槍ヶ岳。
車道から登山道に入るのだが、各種記録に見られるように、ここが核心であった。狭い道を進むのだが、浮き石がゴロゴロ、すぐ下には車道が走る。当然、岩を落としてはならないが、自分が落ちるのではないかという恐怖におののく。慎重に、慎重に進み、取り付き点へ。
みなとリーダーから何ピッチをリードしたいか聞かれ、即座に奇数ピッチを希望。事前の情報を見ていても、厳しいピッチは、偶数ピッチに集中していた。ラクに快適にがモットーです。
1ピッチ目は、階段状の登り。練習のため、こまめにランニングを取りながら登る。

1ピッチ目

2ピッチ目から斜度が増していくが、みなとリーダーの落ち着いたクライミングにより、難なくクリア。

2ピッチ目

3ピッチ目も傾斜は急であるが、ピークを越えた先がナイフリッジになっている。リードという事もあり、恥も外聞もかなぐり捨てて、這い這いで進む。みなとりーだーからは見えない位置だし、証拠写真は撮られないので安心だ。ちなみに、左側を見ると切れ落ちた崖なのだが、右側を見ると単なる雑木林になっていた。落ちるとしたら右だなと縁起でもないことを思いながら進んだ。

3ピッチ目

そして核心の4ピッチ目へ。垂壁に近い壁。自分はリードしたくないなあと思いながら見ていたが、みなとリーダーは淡々と登っていった。セカンドで登ると、安心感からすんなりと登ることができた。

4ピッチ目

頂上からの眺めは良く、遠くまでしっかりと見ることができた。

頂上

頂上で軽く食事を取り、下降を開始する。今回はダブルロープ2本を使用して、2ピッチで下降。1ピッチ目は岩を落とさないように注意しながら下降。特に問題なく降りたが、2ピッチ目で私が支点に思いっきり負担をかけてしてしまいながら、懸垂下降を行ってしまった。みなとリーダーから本ちゃんルートでの懸垂下降は支点に負担をかけないようにしっかりと教えて頂くことに。
取り付き点に戻ってから、また車道までの登山道を戻ることになるが、最初と同様、かなり注意しながら歩く。車道を見ると峠を攻める車やバイクが頻繁に登ってくる。岩を落としたら本当に大事故になってしまい、最初よりも緊張しながら慎重に歩く。車道についてようやっと安心できた。安心からか、帰りの車では爆睡してしまい、途中から記憶がない・・・。みなとリーダー失礼しました。
ダブルロープを使った本番のルートは、今回が初めて。筆頭岩はそれほど厳しくなく、経験を積むのにちょうど良かった。また、西上州の山々が楽しめ、関東からも近い。今後も西上州の岩場を楽しんでいきたいと思う。(ただし、ヒルの出ない時期で。)

筆頭岩
<みなと記>
初めての西上州なので、最も易しい岩場にしました。ちょっと岩慣れた人ならロープ無しでも行けちゃうと思う。一応の核心となる最終ピッチには鎖もあるし(ボロボロですが)。
ですので、岩登りの楽しさ的には期待できないが、ハイグレードハイキング的な面白さや、初心者のマルチピッチ練習にはちょうどいいと思います。あと、妙義の岩峰群の景色が素晴らしいです。新緑の頃にまた行きたい!

鶏冠尾根

日程:H28.8.19~20
10/15 東上線霞ヶ関駅集合9:30=圏央道=中央道=西沢渓谷駐車場0:00幕営
10/16 駐車場5:30~鶏冠第3岩峰11:00~鶏冠山12:00~木賊山15:30~徳ちゃん新道~駐車場19:30=帰玉
参加者:ミナト(L・記録)、ウエ、ユイ、ミヤユミ

10/15(土)晴れ

リーダー権限で私の最寄り駅で集合とし、レンタルした愚妻車で一路目的地へ。西沢渓谷駐車場の端っこの落ち葉の上にテントを張り、ユイさん持参のワインで軽く酒盛りしてAM1:00に就寝。この駐車場はトイレは遠いが快適な幕場だ。

10/16(日)快晴のち曇り

4:30起床、5:30出発。林道をしばらく歩き東沢を吊り橋で渡ると、すぐ右に東沢沿いの登山道があり、そこを行くと自然に鶏冠谷出合へ導かれる。心配していた東沢の徒渉は問題なく、道標に従い鶏冠尾根へ取付く。ここでヘルメットやハーネスを装着し気を引き締めるが、道は立派な登山道並みで、ちょっとガッカリしつつも黙々と稜線を目指す。天気は秋晴れ、空気も爽やかで急登も気にならない。「あんなところにブルーシートがある!」とウエちゃんが叫ぶと、「あれは青空だよ?」とユミちゃんに返され一同大爆笑!いったいどうしたらそこまで勘違いできるのだろうか?不思議だ…。
稜線手前の岩壁帯を登る所でちょっと迷うが、ウエちゃんから「ここに登った跡があるよ」と助言してもらい、めでたく稜線へ出られた。残置ストックの手書き道標によると、ここはチンネのコルという所らしい。ここから樹林帯をしばらく登るといよいよ岩稜帯のお出ましだ。

写真1登山道並みの良い道
写真2岩稜帯のお出ましだ

所々に鎖やトラロープが設置されているが、それらを使わずとも適所にガバホールドがあり、岩のフリクションも良いので快適に登れる。ちょっと怖い所もあるが、それもスパイスとして楽しみましょう!クライムアップ、ダウンを繰り返すと核心の第3岩峰に突き当たった。今までの岩稜・岩峰に比べ高さと角度が段違いで、鎖やロープも無く、これはクライミングの領域。不安そうな顔のユイさんとユミちゃんに「巻道で行くかい?」と問うと、二人とも思いっきりうなずいて笑顔に戻った。さてウエちゃんはどうかな?「私は登る!絶対に!!」、ハイハイわかりました。

写真3第2岩峰から第3岩峰を見る
写真4第3岩峰取付き

ユイさんとユミちゃんには巻道で行って上で待っててもらうこととし、私とウエちゃんは登攀の準備をしレッツ・クライム。正面フェースはフラットソールじゃないと無理。左へ回り込んでみると右上するクラックが中間テラスへ続いていて「ここを登りなさい」と岩が教えている。まず2m程上のピナクルでランニングを取り、適度にあるガバで順調に登りカムでランニングしようと思ったらハーケンが2枚打ってあった。1枚はヤバそうだが、もう1枚はガッチリ効いているので、それにランニングを取る。そこから2m程登ると中間テラスでビレイポイントも設置されていた。まだ10mも登っていないのでピッチを切らずそのまま上へ。このテラスから左の石を足場にして1段上がって正面フェースに取付く所が核心だろう。フェースに取付いてそのまま上がろうとしたら行き詰り、一旦テラスに降りて仕切り直し。下から「私のビレイで大丈夫ですかぁ~」と不安げなコール。大丈夫も何もここまで来たら行くっきゃないでしょ!真面目にルーファイすると、少し右に行くとガバっぽいのがある。再度取付いてそのガバ目指して登ってみると目論見通り、おまけにハーケンも打ってありヌンチャクでランニングしてひと安心。ここから上はガバの連続で快適なクライミングを楽しんで終了点に到着。
立木を確保支点にして、ウエちゃんに「登っていいよ」のコール。ウエちゃんはスルスルと順調に登ってきたが、例の核心で迷っている。よしよし、それでよいのよ。迷って自分で解決して、それで力が付いてくるのだから。何とか核心を解決し、完登したウエちゃんは満面の笑顔で「楽しかった~!」だって。すぐ上にはユイさんとユミちゃんが待っていてくれて、お待たせしました。そこからちょっと歩くと鶏冠山の山名標があって、登頂おめでとうございます!

写真5ニセ鶏冠山・山頂

時刻は11時。「来た道を戻るか、尾根伝いに木賊山へ登って一般道で下山するか、どっちにする?」と私。「戻るより進みたい!」との全員の意見。この先は特に危険な所も無いとの情報なので、それではそうしましょう!シャクナゲがうるさい踏み跡を1時間ほど登ると「あれれ、鶏冠山の看板がある!」ええっどうゆうこと??どうやらこっちが本当の鶏冠山頂みたい。木賊山到着が14時頃と見積もっていた私は「ヤバい、1時間まちがえた!これじゃ木賊山到着は15時過ぎで、ヘッデン下山確実かも」とひとり焦るが、皆が不安にならないよう「木賊山まであと1時間」と適当にうそぶいたら、ウエちゃんに「そんなに早く着くはずないじゃない!」とたしなめられてしまった。

写真6本当の鶏冠山・山頂
写真7藪漕ぎデビューのお姉さまたち

ここから先はシャクナゲがさらに濃くなり、おまけに下ったりもするものだから、遅々として進まず不安な空気が漂い始める。慣れない藪漕ぎと先が見えない行程に段々とお姉さまたちの機嫌が悪くなり、出てくる言葉は愚痴とため息ばかり。こんな時は申し訳ないが奴をネタにするしかない。そう、あの怪しい東洋人「キム兄」だ!「あいつはさ、あんな顔して…なんだぜ」と私。「そうなんですよね~、あれでも…なんですよ!アハハ~」とウエちゃん。「キム兄さんにはどうやったら会えるの?私も会いたい~♪」とユミちゃんも乗ってきて、あっという間に場は和やかになった。キム兄よ、キミは今、東北の山をさまよっていて知らないだろうが、こうして我々を癒してくれているのだよ!ありがとうキム兄!
先頭のユイさんの絶妙なルーファイで木賊山頂30m手前の登山道に飛び出してひと安心。ユイさんは、「藪漕ぎって面白いですね!」と言い放つ奇特な人で、私にとっては先が楽しみな人材だ。

写真8木賊山にやっと到着

下山は尾根ルートの「徳ちゃん新道」を選択し、途中からヘッデンを点けての下降になる。駐車場に辿り着いたのは19時半。14時間に及ぶ長い1日であった。
今回は、読図、岩稜、藪漕ぎ、夜間歩行、長時間歩行と大変内容の濃い山行であったが、いつの日か、この経験が今後の皆の山行に活かされる日が必ず来るであろうと思う。

きのこ採り沢2016 福島県滑谷沢

期日:2016年10月1~2日
場所:滑谷沢左俣下降~三本松右俣遡行~栗子山~三本松左俣下降
メンバー:つりし・(L)ハギ・こば・あずさ・つかみ(記録)

週末の天気が・・・。
前線の影響で、週末雨が予想されていた。当初計画していたのは、奥只見に位置する白石沢スラブ。残念ながら中止が決定。それでも諦めきれず、相談を始めた。雨から逃れ、なおかつ水量がすくなく、秋・・きのこだ!と、言うことで2年前に訪れた、栗子山塊、滑谷沢に行くことになった。

【一日目】

6:00 王子駅前セブンイレブン前~東北自動車道・福島飯坂IC経由~
9:45 東栗子トンネル駐車場到着。全員沢靴に履き替え出発。

写真1前線を抜け見事な天気

駐車場の脇道を進むこと5分程で、林道に入る。この林道はかつての国道。(昭和41年に廃止されている)万世大路と呼ばれる旧国道は勾配も穏やかで、歩きやすい。
10:35 二つ小屋トンネルに到着。

写真22年前より整備されている

トンネルを抜け、しばらくすると大きなキノコを発見。次いで紫色したキノコ。図鑑で詳しく調べる。食べられると判明すると袋の中へ。それから入渓地までキョロキョロ収穫しながら進む。キノコだけではない、山ぶどうもある。粒が大きく甘い。もちろんこちらも袋の中に。宴会での葡萄酒、とても楽しみだ。そして歩きながらも山ぶどうを頬張った。

写真3大きいキノコ
写真4図鑑で検索
写真5スギタケモドキ

12:20 太平橋到着。ここより入渓。

写真6太平橋

日差しがブナの隙間からこぼれる。時より美しいナメ床が出現する。平坦で遡行しやすいのだが、キノコを探すのに夢中で何度か見逃す。みんな袋をぶら下げながら幕営地となる裏見の滝手前の二俣へと進む。前回は大収穫のため、今年もと・・期待をよせた。が、しかし・・大量収穫とまではいかなかった。

写真7きのこハンター
写真8美味しそうなナメコ

13:40 幕営地到着。右岸には人臭い気配が残っていた。向かって左岸はどうにか、人工的なものがない。なので、こちらに決定。タープを張り、テントを設営。次いで、個人の準備を整え、上流へとキノコ採りへと出発。裏見ノ滝を少し過ぎた辺りで倒木にはりついたクリタケを発見。その後は真剣に探すも、腐れていたり古かったりで無念に終わった。2年前に比べると不作らしいのだが、コッフェルいっぱいにキノコを収穫出来た。

写真9ご覧あれ、きのこ尽くめ

夕方には宴会が始まる。今までにないビールの量。今日はハギさんの誕生日前夜祭。こば料理長の料理はいつもながらプロ級だ。写真でお見せ出来ないのが残念だが、どうにか伝えたい。旬の芋煮は牛肉、キノコ入りと、贅沢な具が盛りだくさん。しかも白菜が溶け込んで、たまらない美味さだ。芋煮だけじゃない、豚の味噌漬け。焼き鳥。まさか山で三種類のお肉を食べるなんて想像もしなかった。ミズのお浸しは鰹味と梅味を楽しみ、採れたて葡萄とバーボンのコラボ酒。米は収穫したてのコシヒカリ。あっ・・これ以上、望むものなんて・・主役はハギさんのはずだが・・負けじと、みんな幸せに包まれた夜を過ごした。

【二日目】

5:30 起床。予定より30分遅れた。まさかの全員寝坊。今日は荷物をデボして6時間程の行動予定だから、押した分急がないといけない。しかし慌てる様子もなく、約一時間後の6:40分出発した。

テン場の滑谷沢左岸から三本松沢右岸の奥へ進み、そのまま沢床へ降りる。遡行図では栗子山までの間、2~5m、3~7mの小滝連続と大雑把に記されている。次から次へと滝が続く。大きなものはないのだが、ナメがあり慎重になったり、濡れるのを回避しまいたりした。いくつ滝があったかは数え損ねたが、ロープを出すこともなく楽しめた。

写真10ナメ床を進む
写真11快適に登る

9:35 栗子山到着。三角点をみつけられなかったのだが、ドラム缶が放置してあり、そこを頂上とした。

写真12栗子山のドラム缶

藪漕ぎをしながら稜線を南に南下。稜線にはピンクの紐で標がされている。背丈ほどある藪を抜けると見晴らしの良い台地になっていて、吾妻連峰や麓の町がよくみえた。しばらく休憩・・何もかも吹っ飛んでしまう程、癒される・・。

写真13藪を抜けると絶景が
写真14稜線からの眺め

10:30 稜線から三本松左俣下降に入る。小滝が連なるが、比較的簡単に下降できる。中俣、右俣と出合いしばらくすると、滑谷沢出合いでる。
12:20 幕営地に到着。撤収を行い
12:40 出発。帰りはキノコ採りに夢中だったので気づかなかった部分を何度か確認しながら進んだ。場所によっては新鮮な感覚を覚える。

写真15昨日通ったはずなのに・・

13:35 太平橋~14:45 二つ小屋トンネル 林道の万世大路を下って行く。
トンネル内は舗装されているので、歩きやすい。整備されている気配だが、崩落している箇所があったりもして、気が引き締まる。木漏れ日に当たりながらあっという間に、駐車場到着。15:30。

自然の恵に、感謝せずにはいられない。
きのこ採り沢、このまま秋の定番コースになりそうだ。

コースタイム
【一日目】東栗子トンネル駐車場出発9:45~二つ小屋トンネル10:35~太平橋(入渓)12:20~二俣(幕営地)13:40
【二日目】二俣幕営地6:40~栗子山9:35~三本松左俣下降10:30~幕営地12:20~太平橋13:35~二つ小屋トンネル14:45~東栗子トンネル駐車場15:30

谷川岳 馬蹄形縦走

日程: 2016年10月8~9日
メンバー: ミナト(CL)、アトム、ウエ、ユイ(記)

CT: 10/8 土合橋駐車場(7:05)〜松ノ木沢の頭(09:40)〜白毛門山頂(10:50/11:20)〜笠ヶ岳山頂(12:25/12:40)〜朝日岳(14:00/14:35)〜ジャンクションピーク(14:50)〜清水峠(16:25:幕営)
10/9 清水峠(7:30)〜七ツ小屋山(08:25)〜蓬峠(09:25)〜白樺避難小屋(10:20/10:45)〜芝倉沢巡視小屋(12:30/12:50)〜マチガ沢駐車スペース(13:50/14:00)〜土合橋駐車場(14:25)

1日目、早朝に集合、先ず、土合橋駐車場から霧の中、白毛門に上がります。なかなかの急坂が続き、露岩も点在するしっかりした登りです。松ノ木沢の頭前後から森も疎らになり、視界も開けてくるはずですが、今日は真っ白、ジジ岩・ババ岩も見えません。そのまま岩がちな山道を白毛門へと登り、稜線を伝って、笠ヶ岳へと歩いていきます。

白毛門へ、岩場を越える
白毛門山頂にて

笠ヶ岳へ向かうあたりから、霧が晴れてきた。パーティのメンバーから一斉に歓声があがります。霧が晴れると、周囲は紅葉した木々の山々、正面に笠ヶ岳から小烏帽子の稜線、稜線の笹が風に波打って風紋のよう。眺望は期待していなかっただけに喜びが湧いてきます。

紅葉の笠ヶ岳
笹原が波打つ笠ヶ岳の稜線

笠ヶ岳からは稜線を伝って、小烏帽子を抜けて朝日岳に到達。時折、晴れ間も出てきて、ぐるり360°の展望を楽しめる眺望山行となりました。朝日岳に到着して休憩。朝日岳周辺は広くてとても気持ちが良いところ、静かでとてもきれいな山頂です。休憩後はおだやかな池塘の広がる木道を進み、ジャンクションピークを抜けていきます。

笠ヶ岳山頂にて、山頂同定中のよう
笠ヶ岳山頂より白毛門方面、ジブリ調
崖上のミナトさん
朝日岳山頂にて
朝日岳池塘の木道
ジャンクションピークの先には、右手に巻機山のカッコいい稜線が続き、登山道の続く稜線には幕営予定地である清水峠が見えます。清水峠への下りは、トラバース気味なやや嫌らしい個所も幾つか越えるなど足元に気を使い、また、視界に清水峠にあるJRの巡視小屋と避難小屋を肉眼ではっきりと捉えるものの、なかなか清水峠に到着できませんでした。
ジャンクションピーク先の稜線
カッコいい巻機山
清水峠はあと少し
紅葉稜線
幕営地の清水峠は、穏やかな笹原にある心地よいところ。水場の水はとてもおいしく、幕営にちょうど良いです。この日の夕食は、ウエちゃんが、マイタケのスープ、エリンギとホタテのアヒージョ、トマトソースのペンネをふるまってくれました。アトムさんが持参して下さったビールで乾杯し、ウイスキーや焼酎をいただきながら、歓談のひと時を経て、22時頃に就寝しました。
清水峠に到着

2日目:翌朝は冷たい雨。起床時間を遅らせ、お湯を沸かして、アトムさんが作るコーンビーフサンドイッチをおいしくいただきました。この日は、風雨強く、早々に蓬峠から土合口への下山を決める。冷たい雨と風の中、七ツ石小屋山を越え、蓬峠から下山開始です。雨の谷川岳は、蛇紋岩がつるつる滑り、途端に難しくなります。崩落した岩のトラバース、増水した沢の渡渉などがあり、気を使いながら、慎重に対処します。雨に濡れた岩は、まるでアルカリ温泉にある浴槽と洗い場のようにつるつる滑り、また、沢も増水していて渡渉が難しく、下山は思ったより大変でした。

雨の清水峠
雨の白樺避難小屋
増水した沢の渡渉個所を探す

事前の天気予報では、両日とも雨予報でしたが、初日は山行日和になり、紅葉と眺望を楽しむことができました。2日間の歩きごたえあるルート、無事に楽しく歩けたのは、泊まり山行に慣れた会の皆さまのお陰です。今回は、荒天で蓬峠から下山となってしましましたので、次回は、好天の日に、是非とも谷川馬蹄形をコンプリートしたい、魅力的なルートと山行でした。

米子沢~国境稜線~白毛門山

【期間】2016年10月7日~8日

【メンバー】こばL、キム

今回はキム兄が東北巡業に出る直前ということもあり、贅沢にも1人1台の車。道の駅みなかみ近くのコンビニで待合わせて、まずは下山地点の白毛門登山口にある駐車場へ。キム兄の車をデポして新潟へ。桜坂の駐車場には11時ごろだろうか。ビールを飲んで眠りにつく。

10月7日(金)
6:00出発-6:30入渓-9:40避難小屋-10:00巻機山頂(ホントの山頂)-11:25米子頭山北側のコル-12:40米子頭山-15:00北側の1809m峰北側のコル(BP)

5時起床。
普通ならば尾根ルートを取るところだが、某先輩の言葉に調子にのって米子沢遡行、ナルミズ下降という計画にしていた僕等。カップ麺を食って沢支度をすると6時。計画書では柄沢岳手前の1809m峰のコルの池塘としていたが、できることなら今日のうちに檜倉山まで、はたまた朝日まで抜けたいなんて。なんと無謀なことか。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA OLYMPUS DIGITAL CAMERAOLYMPUS DIGITAL CAMERA<米子沢は薄曇りで寒かったあ>

6時半前に入渓。10時には巻機山の本当の頂上。ここまでは予定通り。しかし試練はこれからだ。赤牛岳との分岐からいよいよ国境稜線に足を踏み込む。多くの記録にもあるように、ここからしばらくは群馬県側の草地に踏み跡がある。これを辿ると栂ノ頭を東から巻いて行くことができる。途中何箇所かの笹薮はあるものの快適だ。草地の傾斜が強くなりこれ以上は行けなくなる栂ノ頭直下で笹を掴んで稜線に乗る。ここから米子頭山北のコルまではどの記録でも心くじかれる激藪。しかし3年前の記憶ではさほどではない。後で思うことだが、先人たちは朝日側から踏破していることが多く、この辺りは最後の苦しい登りになる。逆から行く我々にはあまり参考にならないのであった。この下りもやはり背丈を超えて潅木が混じる激藪ではあるが、まだまだ元気な僕らにはダメージが少なかったように思う。それでも巻機山頂から1時間半。

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コルを通過するといよいよ藪の登り。しかしここは背丈と腰ほどの藪が交互に現れ比較的楽。12時40分頃米子頭山到着。藪に囲まれた山頂だが群馬側は露岩で開けていて眺望がある。山頂には一応山名板もある。
米子頭から先もやはり背丈ほどの藪。ピークを幾つか越えていくが柄沢岳手前の1809m峰南側の草原が今日のBP予定地。気合を入れて再スタートを切る。
ピークがあるとは言っても高低差はあまりなく、それがかえって藪漕ぎを辛いものにしている。顕著な登りや下りであれば笹も枝も下に向かって這っているので両手で掻き分けやすい。傾斜が緩いと好きな方向に這っているので、まるで編み込まれたようで両手で漕いでも歯が立たない。勢い枝の上に乗り上げてねじ伏せるが、それも不安定で恐い。かれこれ2時間上以上格闘し精魂尽き果てた頃急に視界が開け草原地帯となる。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

二つある1809m峰のうち北側にあるものの南面に出たのだ。コルの辺りに二つの池溏があり一面の草原だ。次のピークまでは踏み跡もみえる。まるで天国のようだ。二人とも草原に出たところでしゃがみこんでしまい、もう一歩も動く気がしない。時間は15時。もう少し先に予定していた池溏と草原のテンバ適地があるはずだが、ここでビバークすることに決定した。明日取り返せるのだろうか?
池溏の水も意外ときれいだが一応浄水器で濾過し、一度沸かして使うことにした。これがなかったら一体どれだけの水を担がなければならなかったことか。日が暮れるまでのんびり酒飲んで飯食って。日がくれると一気に冷えてくるのでさっさと寝てしまった。

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10月8日(土)
6:00出発-7:30柄沢山-11:10檜倉山-15:00大烏帽子山-16:40ジャンクションピーク-17:15朝日岳-22:00白毛門登山口駐車場

2日目も5時起床6時出発。
しばらくは草原と踏み跡のある笹原に昨日は見えたが、行ってみると笹原に踏みあとは見つからず。結局1809m峰南のコルまでそれなりの藪漕ぎ。やはり池塘を持った草原が広がりこちらも天国のテンバ。地獄の藪と天国の草原が交互に出てくるのだこの稜線は。(圧倒的に地獄が多いけど)
目の前に大きくそびえる笹の茂る柄沢山を目指す。稜線の中心を歩くと時折踏み跡が現れる。旧道はここに付いていたのであろうか。確かに藪も胸くらいで首が出せるだけ気持ち的には楽になる。小ピークをいくつか越えながら進むのだがなぜか小ピークの付近にはシャクナゲや針葉樹の灌木が密集する。このころになるともう避けるよりも中央突破。柄沢山の直下から草原となる。これはうれしかった。そしてこの草原が新潟側の奥まで続いているようにみえる。草原に誘われるように歩いていった先には悪魔が待ち構えていた。そう、この稜線は新潟側に外れてはいけないのだ!草原はやがて浅い笹藪となり、すぐに行くことも戻る事も出来ない激藪に変わり牙を剥く。真っ直ぐ新潟側の斜面に這っている笹を掻き分けるのはほぼ不可能。音を上げて稜線を目指すがあまりに遠い。高度を上げるとさらに灌木の密度が増して壁のようになる。わずかばかりだが進んだ辺りで南へのそこそこの下降となる。これを逃したらもう稜線に戻れない!笹に掴まり枝に掴まり力ずくで体を振って稜線目指して下降する。足元は常に空中。コル状になったところで稜線を捕まえて力尽きる。振り返ると群馬側に草原がみえる。俺たちはなんてことをしてしまったんだあ。ガッカリである。しかもたどり着いた稜線には踏みあとが。。。
下降中にも見えたが、ここから檜倉山までは灌木中心の藪。見た目には紅葉してたりしてきれいだが、そんな見た目には騙されないぞ!(って突っ込むしかないのだが)

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枝をなぎ倒し、踏みつけ、落っこち、転がり、脛を打ちながら越えていく。何度か倒れこんだまま動けずそのまま休憩。正直ここから檜倉山までの間に何があったのかほとんど覚えていない。ようやく檜倉山についたときには3時間以上が経過していた。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA<わかるかなあ。足の下は地面まで1M弱>
檜倉山山頂は広い草原&池塘で天国のテンバ。しかし昨晩すべてのアルコールを飲みきってしまった僕らにはここで泊まる選択肢はない。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
そうは言っても出発からすでに5時間。くたくたなので大休憩とする。池塘の水を濾して一旦沸かして水筒に補給する。ちょっと色がついている。このルートにはこんな水しかないのだ。
20~30分休憩して鋭気を養って最後のピーク大烏帽子へ。ここから先も何があったかはやはり記憶があいまい。というかどこも同じようにひどい藪。
大烏帽子の頂上直下近くに来るといきなり藪から飛び出し草原となる。なんと開放的なことか!これで苦行も終わった!と思ったのだが。。。草原はさほど続かず、ホントの頂上直下は藪。でも頂上からはナルミズ沢の源頭まで草原が広がっている。その先は踏み跡があるとの記録どおり、上から見ると明瞭なトレースがつながっている。やったー終わった!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA<最後の草原。終わったあ。>

OLYMPUS DIGITAL CAMERA<ナルミズ沢の源頭>

しかし時計を見ると15:00。これから沢を下るのは危険。コルでビバークしたとして明日ナルミズ沢下降+東黒沢下降までできるか。さらに天気は下り坂。ナルミズ沢下降は諦め、今日のうちに土合まで下山すべく覚悟を決める。ナルミズ沢のコルからジャンクションピークまでは確かに踏み跡はあるが、やはり沢屋の踏み跡。一般登山道とは違うわけで暗くならないうちに通過しなければならない。15:00ともなるとこの時期は日の傾きが気になる。せっせと藪漕ぎ交じりの踏み跡を辿り何とか明るいうちにジャンクションピーク。そして朝日岳の水場までたどり着けることができた。
この先は暗いながらも一般道で水もたっぷり。安全だし、まあカモシカ山行?久しぶりのヘッデン下山にちょっと楽しさを感じつつ夜10時には下山。予定通り?
白毛門登山口の東黒沢で身を清め、デポした車で再び桜坂へ。腹減りまくってたけど意外と食えないもんですなあ。2時ごろ眠りにつきました。

奥秩父全山縦走

日程:H28

9.9 韮崎駅発バス8:50~瑞牆山荘前10:05~金峰山~大弛峠小屋15:00幕営
9.10 幕営地4:00~国師岳~甲武信岳~破風山~雁坂峠小屋14:30幕営
9.11 幕営地5:30~古礼山~笠取山~唐松尾山~将監小屋12:30幕営
9.12 幕営地6:00~飛龍山~雲取山~雲取山荘13:00幕営
9.13 幕営地6:00~白岩山~三峰神社9:30 西武バス10:30発~帰玉

参加者:ミナト(単独)

9/9(金)晴れのち曇り

韮崎駅バス停の『台風の為、バスの運行を中止します』との貼紙に唖然と立ち尽くす私…。過去2回の挑戦は体力不足で敗退、そして今回はなんとアプローチ敗退とは!
途方に暮れていると、バスの運ちゃんが来てその貼紙をベリッと剥がします。「バ、バスは出るんですか?」と私。「安全が確認出来たので出ますよ」とのこと。ヨカッター!!
終点の瑞牆山荘前でバスを降りて身支度を整え、金峰山に向かい幅広の登山道を登ります。富士見平小屋の水場で喉を潤し、小屋で休憩しようとしたらノコギリを持った髭づらの小屋番が入口で仁王立ちしていて、ちょっと怖かったので素通りしてしまいました。仕方がないので大日小屋まで休まず進みここで休憩です。この小屋も何だか不気味な気配が漂っていたので中には入りませんでした。
ガマスラブみたいな大日岩を横目に過ぎて、急登で大汗を掻き樹林帯が切れるとようやく砂払いの頭に到着。たぶん展望が開けているのでしょうが、今はガスの中。「まったくなんにも見えなかった」と言いながらオジサンが頂上から降りて来ました。その後はガスの中の岩稜帯をよじ登り、五丈岩と金峰山頂に到着。平日なのにガヤガヤと登山者が居て、さすがは百名山です。頂上から少し離れた静かなところで休憩し、今夜の泊り場の大弛峠へ向けてあと2ピッチを頑張ります。

証拠写真その1:金峰山証拠写真その1:金峰山

次のピークの鉄山は巻いて、その次の朝日岳を越えてちょっと下ると大弛峠で、立派な舗装された駐車場に車が数台駐車しています。「こんな山奥なのに…」と場違いな思いを抱きながら、できるだけ車道から離れた場所にテントを張りました。

9/10(土)晴れ

今日はちょっと頑張るので、3:00時起床、4:00時出発。まずはヘッデンを点けて国師岳へ向かいます。皇太子様のおかげなのか国師岳までは立派な遊歩道で、ヘッデン無しでも行けちゃいそうなくらいです。途中奥秩父最高峰の北奥仙丈岳へ寄り道し、国師岳に着いたのは5時ちょっと前。山頂には御来光と富士山の撮影目的のカメラマンが大勢いて、しかも皆声ひとつ出さずに黙って東の方向を見つめており、何か新興宗教のような不気味さを醸し出しています。山名標の写真を撮るのも憚られすぐに先に進みます。
ここから甲武信ヶ岳まではガイド本等によると「展望も登山者も無く、ひたすら原生林の尾根歩きがうんざりするほど続く」らしいのですが、原生林フェチの私は大いに期待してしまいます。確かに国師岳から先は道も細くなり登山者も皆無、そして「これでもか!」というほど針葉樹の原生林に浸れますが、木が若干細いことがイマイチだったかなぁ。雰囲気的には南アルプスの光岳周辺か八ヶ岳の御小屋尾根のような感じで、世代交代後のまだ若い森なのでしょうか、あと百年くらいしたら見頃なのだろうなと思いながら歩きました。

国師岳で御来光を待つカメラマン国師岳で御来光を待つカメラマン
原生林の朝日に輝く苔原生林の朝日に輝く苔

そんな楽しい原生林の道も甲武信ヶ岳が近づくと普通の登山道になって、百名山ハンターがウヨウヨしています。甲武信ヶ岳山頂も甲武信小屋もウヨウヨ、小屋でコーラを飲んだらとっとと木賊山へ、そして山頂から笹平へ急降下すると破不避難小屋が見えてきました。明るくてとても雰囲気の良いキレイな小屋で、思わず泊まってしまいたくなりましたが、まだ昼の11時です。大休憩することで我慢しましょう。
小屋から西破風山への登りは本日一番の頑張り所で、休まず一気に登らないとヤバイです。頑張って登って、もうひと頑張り雁坂嶺を登って下りたら日本三大峠の雁坂峠です(あと二つは針ノ木峠、三伏峠)。とても気持ちの良い笹原の峠で、ここのベンチで1時間程昼寝をしてしまいました。そして、今夜はここから10分下った雁坂小屋に幕営です。

泊まってみたい!破不避難小屋泊まってみたい!破不避難小屋
日本三大峠の雁坂峠日本三大峠の雁坂峠

9/11(日)曇り時々晴れ

今日はのんびりなので、4:30起床、5:30出発です。小屋から雁坂峠へ登り返し、水晶山へ緩やかに登っていきます。昨年の秋にも訪れたのですが、ここから古礼山までの原生林がとても素敵なのです。適度な樹間を保つコメツガやトウヒの黒木の大木、倒木を覆う厚い苔の絨毯、朝の斜光の輝き、それらが原生林フェチを夢中にさせます!
古礼山からは雄大な富士山が見えるハズですが、今日はガスで何も見えません。そそくさと燕山へ向かい、ショボい山頂を越えると雁峠へ急降下です。雁峠は広くてとても気持ちの良い静かな高原の峠です。そしてひっそりと佇む廃屋の峠小屋が、昔日の賑わいを語っています。

フェチのおススメ原生林フェチのおススメ原生林
静かな雁峠静かな雁峠

さて、これから今山行一番の急登の笠取山を迎えます。昨日の西破風山よりもさらに急登で、攣りそうになる足を騙し騙し登ってやっと頂上です。頂上っぽくない頂上を通り過ぎ、さらに3つほどのピークを越え急降下して本来の縦走路に合流しましたが、すぐに唐松尾山への分岐路に入ります。大して期待していなかったこの分岐路ですが、いやいやこれは素晴らしい原生林じゃないですか!唐松とコメツガの大木や老木と、背の低い笹原の林床とのマッチングは「The_奥秩父」と呼ぶのに相応しい原生林です!幻想的な霧の中の緩やかな起伏の原生林を彷徨い歩き、幸せな時間に浸っていたら唐松尾山の山頂にひょっこり出ました。山頂は展望も無くひっそりとしています。あとは和名倉山分岐の山ノ神土、なだらかな草原の午王院平、明るい将監峠を経て将監小屋まで下れば今夜の幕場に到着です。

主のような黒木の大木主のような黒木の大木
ひっそりとした頂上ひっそりとした頂上

将監小屋の出入り口には、スズメバチの巣があって中に入れません。炊事棟で休んでいた人達が「今日は小屋番は留守だよ」と言うので、受付せずに適当にテントを張って昼寝しました。夕方起きたら誰も居らず、辺りはシーンと静まり返っています。ちょっと寂しかったので、そそくさと夕食を食べ6時には寝てしまいました。

9/12(月)小雨のち雨

今日は5:00起床、6:00出発。段々と起きるのが遅くなってきましたね。小雨が降る中、飛龍山に向かって巻道を行きます。計画では地図読みしながら竜喰山~大常木山を登頂する予定だったのですが、「雨の中、わざわざ地図読みかぁ?」と日和ってしまいました。ダメですね、本当に根性無しですみません。
飛龍山までの巻道は退屈でした。森も過去に伐採が入った様でイマイチです。飛龍山頂への分岐手前に禿岩という好展望地があるのですが、ガスで何も見えませんでした。分岐から山頂へ向かうと辺りの雰囲気はイイ感じになってきます。シャクナゲのトンネルや黒木が迫る奥秩父らしい道をしばらく行くと静かな飛龍山頂に到着です。

静かな飛龍山頂上静かな飛龍山頂上

分岐まで戻り、雲取山を目指してまた退屈な縦走路を歩きます。北天のタルで三条の湯へ下る道を見送り、しばらくすると「狼平」という不思議なところに出ました。森の中にそこだけぽっかりと笹と苔の原の空間が開いています。しかも小雨煙る中、動物の遠吠えまで聞こえてきました。「えっ、オオカミ!」と思いましたがまさかね…。

狼平狼平
笹と苔の原:オオカミがいるかも?笹と苔の原:オオカミがいるかも?

そこからすぐで三条ダルミ、ここからも三条の湯に下れます。雲取山荘への巻道は通行止めになっていて、縦走路は雲取山へ直登します。けっこうキツイ登りですが、最終目的地だと思うとテンションも上がります。「どはっ、ヤッタゼ!!」と雲取山頂に到着し、しばし感慨に浸ります。なんか場違いなほど立派な山名標の証拠写真を撮り、のんびりとおやつを食べて、今夜の幕場の雲取山荘へ下りました。

証拠写真その2:雲取山証拠写真その2:雲取山

9/13(火)大雨

5:00起床、6:00出発です。土砂降りですが、下山して温泉に浸かれると思うとそんなのはヘッチャラです。川のようになった登山道を三峰神社目指してどんどん進みます。靴の中はもちろん、カッパを着ていてもパンツまでぐっしょりです。しかし頭の中は「温泉入って~♪カツ丼食べて~♪」と温泉とカツ丼の歌がグルグル回っていて、ほとんど休みも取らずに三峰神社に到着してしまいました。神社の屋根付きバス停でズボンまで脱いで着替えていたら、掃除にきたオバサンに変な目で見られてしまいましたが、しょうがないですよね。
あとは大滝温泉にゆっくり浸かって、隣接する食堂でカツ丼からダムカレーに浮気して、3度目の挑戦にしてやっと達成できた奥秩父全山縦走の喜びをひとり味わいました!

柳沢川右俣遡行

2016年9月10日〜11日
≪メンバー≫
ハギ(L)、いた、アトム、コバ、つかみ、キム、アベ

今年度入会のユイさんのために、ハギさんが企画した山行に加わった。
その主役のユイさんが、当日発熱のため急遽不参加になってしまった。
前夜送られてきたメール内容から、すごく張り切っていた様子が伺える。
遠足前に張り切りすぎて、当日熱を出してしまう可愛そうな小学生がいるが、同じ症状なのでしょうか?
真実はどうなのか聞いてみたい・・・。
主役不在でも山行は予定通り決行される。日曜日は雨の予報なので濡れることを覚悟したが、そこは北稜きっての晴れ女、いたさんの参加があったので、両日晴天に恵まれ楽しい沢登りが堪能出来た。

9月10日(土)
≪コースタイム≫
東武日光駅→(¥1500)→赤沼→(¥300)→西ノ湖入口
→11:00 柳沢出合→12:00 赤岩滝分岐→13:00 二股→13:40 2段15m滝→
14:40 テント場 22:00 就寝

 自家用車を使っての山行が多い自分にとっては本当に久しぶりの電車利用に、最初からとまどいがあった。車だと余分な物はトランクに置いておけばよいのだが、公共機関利用だとそうはいかない。ただ酒が飲めるという最大の利点があり、運転しない安心感もある。
初めて使う日光までの東武鉄道には、春日部駅から乗車。
最後尾に乗車したが、新今市駅で車両の切り離しがあり、日光駅まで行けるのは後2両だけだったのでラッキーだった。
予定時間で東武日光駅に到着。前を歩いて行くコバさんを発見。
改札口でみんなと合流。
湯元温泉行きのバスでJR組のいたさん、アトムさんと合流。運行バスの運転手さんは、「今年は大変緑が綺麗なので、すばらしい紅葉になるだろう。でも、紅葉時期は日光駅から中禅寺湖まで5時間掛かる。」との説明に、来て欲しいのか来て欲しくないのかとの疑問を感じた方も居たようだ。バスは「いろは坂」を登り赤沼で下車。
赤沼でバスを乗り継ぎ「西ノ湖入口」で下車。唐松林の遊歩道を赤岩滝方面に右折し40分ほどで沢の出合いに着く。

記録はユイさんが担当する予定だったらしいが、参加していない人に頼むこともできないので、急に参加させてもらうことになった自分が引き受けた。
赤岩滝分岐を左に入りしばらくすると、崩壊の激しい場所に出る。このところ続いた台風と大雨の影響によるものと思われる。いくつか枝沢が入り込んでいるが、何れもかなりの水量があり、土中に相当量の水を含んでいることが推察される。
右俣沢に入るとナメ床が現れる。これを見たいためにここまで来ていると思いたいが、今日の顔ぶれをみると、目的は別にありそうだ。
沢の終わりに素晴らしい平坦地があるらしく、そこで一泊するのが狙いのようだ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA二俣付近のナメ

2ナメ滝

 2段15mの滝を右岸から高巻き、次のスダレ状15mは左岸を直登。途中ハイステップのところがあって、つかみさんにアドバイスすると、自分にとってはハイステップではないと言う。横に並んで足の長さを比較された。
スミマセン。余計なお世話でした。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA黒岩滝は右岸に巻道あり

4スダレ滝は右端を登る

 水の浸み出している最初の場所が今宵の宿営地になる。水路を挟んで両脇が平坦で、なるほど泊まりたくなる場所だと納得する。

5本日の目的地

 左側に焚き火の跡があり、我々もそこにタープを張る。
まだ陽は高いのだが、せっかちなメンバーが居て酒宴開始となる。
今日参加できなくなったつりしさんが「ユイさん、あいつらから守ることが出来なくて、ゴメン」と言ったとか、言わないとか諸説あるが、あいつらの中に自分は含まれていないと皆思っているようです。また、守ると言った本人も本当に守ってくれるのか怪しいと思っているのは私だけではありません。
そんなこんなで、持ってきた酒は全部飲み干していつもの通り就寝。

 

9月11日(日)
5:00 起床 7:00出発→7:50 稜線→9:00 2077m鞍部→10:40二股→
12:10 柳沢出合→13:20 西ノ湖入口バス停→13:50 赤沼→15:00 東武日光駅

鳥のさえずりで起床、だったら気持ち良かったのですが、鳥はどこにも居ません。
うるさい虫も見当たりません。みんな逃げてしまったようです。
そりゃそうだろう。
なかなか燃えない薪で煙はモウモウだし、キム兄は辺り中に毒をまき散らかすし、こうやって新人も毒に犯されていくんだろうな・・・。
たまにしか日本に居ないのに、この存在感はどうだ。これでずっと一緒にいられたら鬱陶しくなるのは想像に難くない。
朝食はアトムさん特製のパスタ。特製といっても麺を茹でて上に調味料を掛けただけの物だが、意外にいける。今日の降水確率はゼロパーセントらしく、良いほうに外れたことに感謝する。
テント場から1時間ほどで稜線に出る。不明瞭だが道らしき跡は確認できる。また、木に打ち付けられた目印もある。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA笹の稜線を進む

 笹が密集していて急な坂道は良く滑るし、笹に隠れて足元をすくう罠のような倒木もある。そういうのを割り引いても、静かな山は気持ちがいい。進行方向左側には中禅寺湖が映える。
ハギリーダーは地図とコンパスでルート確認に余念がない。リーダーは大変だね、ご苦労さん。
2077mの鞍部まで下降すると、すぐ左側に沢筋が見えるので、左沢へはそこから簡単に入渓できる。

7

左俣右沢と合流

 下降路は5mほどの滝で1回ロープを使ったが、その他はさほど悪場もなく無事二股まで帰着。バス停までの途中きのこ採取に没頭。白樺の流木に生えたムキタケ? 唐松林に生えたイグチなど秋の到来を感じさせる。
西ノ湖入口から赤沼までのバスで移動中、地元の中学生と思われるグループとすれ違う。みんなキラキラした目で手を振る。
ア~ァ、俺にも隣の方にもあんな時代があったはずだけど・・・

 最後に急な参加表明にも関わらず、暖かくメンバーに加えてくれたことに感謝申し上げます。

(記録 アベ)