錫杖岳登攀記

錫杖岳登攀記

2014年10月11日~12日

メンバー  角田 稔、阿部 功(記)

錫杖岳(2168m)は百名山の一つに数えられる笠ヶ岳(2898m)の南側に位置するが、なだらかな山容の笠ヶ岳には似つかわしくない急峻な岩稜である。

遥か前になるが、笠ヶ岳から剣岳に縦走した時初めて錫杖岳を目にした。その時異様に映ったことを覚えている。

今回は角田さんのお誘いに乗って、その錫杖岳へ行くことにした。

深沢さん曰く、アラカン(アラウンド還暦)ペアだそうだ。

錫杖岳の岩に関して言うと、現在休会中の湊さんと一緒に「注文の多い料理店」のルートを登ろうという予定だったのだが、思わぬ形で一つの夢が叶う事になった。

1錫杖岳全景
1錫杖岳全景

 

 

 

 

 

 

 

11日 ルート「注文の多い料理店」

大型の台風19号が接近しているので、週末はどうなるだろうと心配していたが、進みが遅く晴れの予想になったので、予定通り21時に隣町の角田邸を出発。

東松山ICから入って、上信越道経由し松本ICで降り158号線から新穂高温泉に到着。

AM2:00前にゴール出来た。

付近をウロウロして、ヘリポート横に駐車場を見つけてテント設営に取り掛かったのだが、テント用ポールを忘れるという大失態を演じてしまった。

これが原因で寝床は我が愛車が仮の宿となり、角田さんには申し訳ないが錫杖岳への出勤は駐車場からという羽目になってしまった。

駐車場の周りが騒がしくなり目を覚ます。軽い朝食を済ませAM6:30駐車場を出発。

対岸に渡るとすぐに登山道入り口があり、ポストに登山計画書を投函。

パートナーの角田さんはフルマラソンを3時間台で走る男、どんどん離されてしまう。またクライミングの知識も経験も彼の足元にも及ばない。

紅葉はしているものの10月とは思えない暑さである。山を一つ越えると錫杖岳の末端が見え始める。1時間30分ほどで錫杖岳の分岐に出る。さらに明瞭な踏み跡を辿って行くと30分ほどで基部に到着する。

 

既に大勢のクライマーが取り付いている。聞けば関西の労山主催の「登山学校の卒業山行」ということで、バスをチャーターして来ていると言う。川沿いにあったテント群は彼らが寝泊りしている物のようだ。ルートを確認しながら、今日は「注文の多い料理店」を登ることに決定。先行する3人パーティも登山学校の受講生で、リードしているのはガイドのようだ。

3P目が核心部のようなので、奇数ピッチを担当させて頂いた。

ビレィポイントにはピンが打ってあるが、ルート上は全てナチュラルプロテクションになる。そのためクライミングギアがずっしり重い。

長い待ち時間中、男女の外人が登ってきて迷っている様子だったので、トポを片手に下手くそな英語で説明してあげた。結局登るのを諦めて帰ったのだが「親切にしてくれて、ありがとう。」と言われ1Pのテラスで手を振って別れた。

待ち時間が長く、ポカポカしているので眠くなった。

2P目は角田さんがリード。出だしが以外に悪い。思い切って外に出ないとホールドがないのだが、高度感があるのでフンギリが必要だ。

2P目終了点間近のところで右へのトラバースになるが、しっかりしたホールドがなく振られる恐怖感が加わってメチャクチャ緊張する。

3P目はクラックを3mほど直上し、フレアした庇を越えるのだが、見ていると皆ここで手こずっている。やはりここでも相当待たされる。

庇の先端に#4キャメロットと#4フレンズを噛ませ、レイバックの体勢で思い切って外に出るが次のホールドがあまり良くない。側壁にスタンスがあるのでそこに立ちこんで、フレアしたクラックに左足を突っ込み、外れないでくれと祈る気持ちで乗り越す。

高度感が凄いが下を見ている余裕などない。何とか乗り越すと緩傾斜になるので、そこでカムを決めレスティングする。息が上がって左腕がよれて来ているので次のテラスまでがやたら遠く感じる。また大きなサイズのカムを使い切っているので、プロテクションポイントを探すのに苦労する。リッジにホールドを求め、最後はカブリ気味の岩を抱え乗り越すとようやくビレィポイントに到着する。

4P目角田さんリード。ここもクラック沿いにルートを取るのだが、ビレィ点間近のトラバースは浮石だらけで体重を掛けるのが怖い。

2注文の多い料理店4P目
2注文の多い料理店4P目

 

 

 

 

 

 

 

 

5P目クラックを直上して行くとブッシュ帯になり終了間近であることを感じさせる。6P目僅かに上がった所で混雑もしているので、ここで終了とする。同ルートを下降するのだが、ロープが何処まで届いているのか解らない。角田さんが先に下降してくれて有難かった。

 

50mロープ2回の懸垂下降で取り付き点に降りられる。エイト環が触れないくらい熱くなる。14:00道具を片付け駐車場まで戻る。岩場の基部から東側に西穂高岳、ジャンダルム、滝谷の景色が眺められ、白銀に変わる前の美しい景色に見入る。

3北アルプスの景色
3北アルプスの景色

 

 

 

 

 

 

 

 

約1時間30分で駐車場に着く。三つ峠並みの行程であるが、見えるのは富士山ではなくオレンジ色に染まりつつある槍ヶ岳の穂先が素晴らしい。

12日 ルート「左方カンテ」

AM5:00起床。昨夜食べきれなかった、野菜たっぷり(角田さん自家製)マーボー豆腐味ベースの煮込みうどんが朝食。まずくはないのだが微妙な味。

荷物を整理し、AM6:15出発。昨日と同じコースを辿る。途中渡渉した所に地蔵菩薩が祀られている。笠ヶ岳の麓にあるお地蔵さんなので。これが本当の「笠地蔵」かな、などと思いながら手を合わせる。

今日は無風快晴。昨日より暑く感じる。

「左方カンテ」取り付きで、昨日懸垂下降中に合流した2人組の男性ペアと出会う。

角田さんはすぐに仲良しになる。誰とでも仲良くなれる角田さんが羨ましい。

彼らは神奈川県の山岳会「カモの会」に所属しているとのこと。そのうちの一人は2回目の登攀だそうだ。

1P目角田さんリード途中、例の「登山学校の卒業山行」の一人が怪我をしたようで、県警ヘリが救助にやってきた。目の下で繰り広げられる救助活動を眺める。

その後参加者全員が下山したようで、山全体が静かになる。多分これが通常の状態なのだろう。

このルートも3P目が核心部で、傾斜はないがプロテクションが取りづらく、オポジションの体勢になるので初見では相当な勇気が必要だろう。

4P目凹角のルートを2P登ると「注文の多い料理店」のルートと合流し、そこで終了となる。若干の待ち時間はあって、予定より若干時間をオーバーしたものの、昨日と同じルートで懸垂下降をして終了となった。

4左方カンテ5P目をリードする角田さん
4左方カンテ5P目をリードする角田さん

 

 

 

 

 

 

 

 

私も下りの歩きは早いと思っていたが、角田さんには敵わない。それでも駐車場までは約1時間で降りた。一足早く降りた角田さんは橋の下の露天風呂に浸かってくつろいでいる。

女性らしき人も見えたので写真は控えた。

正直言ってこの山行は相当疲れた。腰は痛いし脛には新たな傷を沢山創った。

5.9のルート位楽しく登れるようになれたら、と思う。何処に行っても何をやっても宿題は減らない。

【ルート図 注文の多い料理店】

ルート図 注文の多い料理店


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ルート図 左方カンテ】

 

ルート図 左方カンテ


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北アルプスから中央アルプスへ

北アルプスから中央アルプスへ(平成26年8月30日~31日)

【メンバー】けんた(記)

8月30日(土) 中の湯バス停~乗鞍岳~南乗鞍オートキャンプ場
8月31日(日) 南乗鞍オートキャンプ場~木曽福島駅

8月29日の夜、竹橋からバスで出発し、8月30日4時20分頃、釜トンネルの手前あたりの中の湯バス停に到着。ほかに男性2人、女性2人のパーティーがおり、焼岳へ行くとのこと。自分は乗鞍岳へ行くと言ったら「?」な反応をされる。

焼岳登山口到着を過ぎるまではひたすら登りが続く。ペースを上げつつ歩く。

6時30分に平湯に到着し、登山道を登るための準備をする。平湯スキー場が登山口となっているのだが、登山口に入るがルートがよくわからない。スキー場下をうろうろしていると、牧場の山羊たちに変な目で見られる。気を取り直して進んでいると、途中カモシカの親子と遭遇。子を先に行かせて、親はこちらの様子をうかがっていた。

01_平湯尾根へ
平湯尾根への入口

しばらく進むと、スキー場の上部へ。そこから本格的な登山口に入り、しばらくははっきりした登山道がつづく。乗鞍権現社を経由し、高度を稼いでいると、ハイマツが生い茂ったり、水たまりがあったりと歩きにくくなる。さらに、こぶし大ぐらいのぼてっとした動物の糞も登山道に見られるようになる。正直、クマではないかとかなり恐れおののいた。ちなみに乗鞍岳はツキノワグマが多いらしく、岐阜県ではクママップを公開している。

10時40分に平湯・十石登山口に到着。ここから乗鞍スカイラインを歩く。乗鞍岳バスターミナルに到着して早々。うどんセットをいただく。わかめうどんに稲荷ずしがセットになったもの。周りには家族連れが多い。その後、一般登山客に混じって剣ヶ峰を目指す。肩の小屋に到着後、きつねうどんをいただく。ちなみに、バスターミナルでうどんセットを頂いてから1時間も経っていない。肩の小屋から30分ほどで、剣ヶ峰に到着。曇りではあったが、吹く風が気持ちよかった。

13時に下山を開始するも、中洞権現の尾根までは、ハイマツやシャクナゲの中を歩く。岩が配置され、マーキングもしてあったので歩きやすかったのだが、ガスっており、マーキングを見つけられずに、道を外してしまう場面があった。その場合は、ハイマツの上を歩く羽目になる。

中洞権現ノ尾根への分岐点は、わかりづらかった。地図とコンパス、高度計を見比べ、ここだろうという分岐を下る。しばらくハイマツ帯が続いたが、樹林帯に入ってからが大変であった。笹、苔のついた岩、水たまり(どうやら沢が横切っている場所がいくつもあったらしい)の繰り返し。藪漕ぎには慣れていないため、滑る、よろめく、コサックダンスをする、尻餅をつく、片足が滑落する、の繰り返し。マーキングのテープは慎重に探せば見つけられたが、焦っていると必ず道に迷うような状態であった。また、クマの恐怖もあったため、絶えずクマ鈴を鳴らしまくり。途中からは、雨・雷もひどくなり、かなり必死に下山した。林道に出られた時は、この山行で最高にうれしかった。

02_中洞権現
中洞権現ノ尾根登口

ちなみに平湯尾根、中洞権現ノ尾根では、誰とも会うことはなかった。

16時55分にオートキャンプ場に到着。受付手続を済ませた後、早々にツェルトを張り眠りについた。が、しばらくすると息苦しさに目を覚ます。通気性がほとんどないツェルトで、雨のため入口を閉めていたので、酸素不足になった模様。入口を開けて空気を取り入れる。そんなことを一晩に3回ほど繰り返した。

03 初投入のツェルト
初投入のツェルト

日(8月30日)5時に、水浸しのツェルトの中で起床。羊羹を2個ほど食べて出発。木曽街道を目指して進んでいると、サルの群れに遭遇。彼らもこちらに気付き、警告の甲高い鳴き声を発する。少し後退して様子を眺めていると、小さな子ザルも駆け抜けていく。朝の散歩の邪魔をしてしまったようだ。

国道361号と合流し、しばらく進むと、左ももに違和感を感じるようになる。理由をいろいろと考えながら走る。1週前に南アルプスから太平洋へ移動した際には、全然問題なかったのだが。いろいろ考えた末、前日のコサックダンスが足に響いていたことに思いいたる。藪の中を必死に移動したので、その時は何ともなかったのだが、思えば体の随所に痛みが感じられた。

県道20号へ入る頃には、左ももの痛みとの格闘となり、ゴールできるか焦り始める。昼頃に道の駅に到着したのだが、その頃には、走ることができなくなる。ソフトクリームを食べ、鋭気だけでも養うことにした。

13時頃に国道19号への入り口、元橋に到着。ここまで来るとあと少し。足を引きずりつつ進む。木曽福島駅へは以前来たことがあり、見なれた景色が見え始める。遠くに見える入道雲が印象的であった。そして、13時半 木曽福島駅に到着。無事到着できたことにホッした。

この雲はたぶん一生忘れない
この雲はたぶん一生忘れない

温泉で汗を流した後、木曽川を眺めながら食べる田口氷菓店のジェラートは最高であった。

I  scream!!
I scream!!

南アルプスから太平洋へ

南アルプスから太平洋へ

【メンバー】けんた(L・記)・キム兄

8月20日(水) 22:00竹橋集合
8月21日(木) 畑薙~荒川小屋
8月22日(金) 荒川小屋~椹島ロッジ
8月23日(土) 椹島ロッジ~千頭
8月24日(日) 千頭~大井川河口

01_海へ
海へ

正直、海が見えても淡々と走るんだろうなと思っていた。荒川を下り東京湾へよく走りに行くし、この企画の前月に100kmのトレランレースを完走していたので、次は100マイルレースの完走を目指していたからだ。単純に南アルプス南部の赤石岳と荒川三山を縦走し、その後、海を目指して走るだけだったら、淡々と走っていただろう。
海からの暖かい風が吹き始め、この1ヶ月の間に多くの部隊がアルプスを歩き、線を繋いできたという事実を思い出した時、鳥肌が立ち、胸にこみ上げるものがあった。思わず舗装道から一段上の防波堤の上に飛び上がっていた。

8月20日
集会に出席後、皆に拍手で見送られる。拍手をすることは頻繁にあるが、自分が拍手を受けることなんて何年ぶりだろうか。北とぴあを後にし、竹橋でキム兄と合流し、バスに乗り込んだ。

8月21日
5時に畑薙ダム臨時バス停に停車。乗客が一斉にバスからいなくなる中、我々はゆっくりと支度をし、入念にストレッチを行う。5時50分、出発。基本、上りは歩いて、下りや平地は走る。太陽はまだ低く、走るのにちょうど良い。
椹島に到着し、トイレ休憩もかねて、椹島ロッジへ立ち寄る。9時に椹島を出発。快調に登山道を登っていき、11時30分に赤石小屋に到着。昼食をいただく。
13時40分に赤石岳到着。ちょっとガスっており、眺めはよくはなかった。その後、荒川小屋に向けて出発する途中、知り合いと遭遇。平日の木曜日、人は少なく、偶然の出会いにお互いがびっくりする。
15時10分に荒川小屋到着。夕食では、荒川小屋名物のカレーをいただく。独特のスパイスが食欲をそそった。夕食時、窓からは富士山が見え、皆それぞれ夕景を楽しんでいた。

8月22日
4時30分に起床し、朝食をいただく。5時35分、荒川小屋を出発し、1時間ほどで、前岳に到着。天気が良く、昨日歩いてきた赤石岳からの縦走路がきれいに見えた。緑に覆われた3,000m級の山々、南アルプスの魅力だ。

南アルプス南部の縦走路
南アルプス南部の縦走路

途中、中岳に立ち寄り、7時40分に荒川岳に到着。天気は最高。南は伊豆、北は妙高、西は穂高・槍まではっきりと見ることができた。しばし、景色を楽しみ下山を開始する。途中、千枚小屋で休憩。ソウルミュージックやボサノバがかかる洒落た山小屋で、小屋内もきれい。電気がまだ動いていないということでケーキセットは食べられなかったが、ドリップコーヒーをいただく。ここで、1時間ほど休憩。キム兄は昼寝、私は「山と渓谷」剱岳特集を読む
その後は一気に、椹島ロッジまで降りる。受付を済ませたのち、テントサイトにて、下山祝いの酒を酌み交わす。開けた平地で、山々も見える。上高地のような高原の避暑地な雰囲気がかもし出されている。山に登らないでここでボーっとするだけでも良いという話になる。

8月23日
椹島ロッジで朝食を頂いた後、6時30分のバスで畑薙ダム臨時バス停へ。
7時55分 走り開始。基本、先頭がキム兄、トンネルは自分が先行して進んでいく。途中、素朴な道の駅で休憩し、ざるうどんをいただく。
【03_消化を考慮しざるうどん.jpg】

消化を考慮しざるうどん
消化を考慮しざるうどん

午後になり、雨が降り出す。すぐ止むと踏んで高をくくり、雨宿りしたが、これが大変なことに。雨はいっこうにやむ気配がなく、ひどくなるばかり。このままだと宿に到着できなくなりそうなため、雨具を着込んで強行する。坂では雨水が流れ、くるぶしまで水につかりながら進むことになった。後で知ったことだが、我々が走っていたエリアは静岡県でもかなりの降水量があった地域だそうだ。
16時頃 何とか宿に到着。宿でタオルを借りて、すぐに温泉に入りリラックス。夕方、少し町を散策する。夕食は、居酒屋(中華料理屋?)でいただく。給仕されていた方がとても素敵な方でした。

8月24日
4時に起床し、5時に出発。最初少しだけ小雨が降るが、だんだんと晴れ間も見えてくる。新道(国道)と旧道(県道)が並行して走っており、アップダウンが少ない方を選びつつ走る。山と山の合間を縫って、時々トンネルを抜ける。
【04_お茶畑を進む.jpg】

お茶畑を進む
お茶畑を進む

島田市からは街に入った雰囲気となり、人家が多くなり、自販機も増える。山道を抜けて街に入ると無性にうれしくなる。国道1号手前でセブンイレブンを発見、ここで大休止を取る。休憩の後、河川敷に上がる。本日は、大井川花火大会らしい。
河川敷沿いは、強い日差しにさらされアスファルトの照り返しを浴びて、体が熱くなる。ペースが落ちる。河川敷は程よく水道が整備されていたので、首筋などを冷やしながら、歩いたり走ったり歩いたりを繰り返す。最後2km、ゴール直前で再び走り出す。海が近くなり、テンションが少し上がる。生暖かいが、優しい風に吹かれる。河口基点0kmを過ぎると、海は目の前まで迫っていた。

2014年8月24日午後3時
2014年8月24日午後3時

富士山

富士山

2014年8月31日

いしつかみちこ

東京駅6:56(こだま633)発→新富士宮8:07着 (バス)8:30発→富士宮五合目10:20着

登山口10:30スタート~六合目10:45~新七合目11:15~元祖七合目11:30~八合目11:55~

九合目12:15~富士宮本宮浅間大社奥宮13:05~剣が峰13:20~富士宮本宮浅間大社奥宮

(下り)13:45スタート~八合目14:10~六合目15:10~登山口15:10 バス乗り場15:30出発

目覚めると、急に思い立った。

「あれっ、登山ルート変更したらどうかな・・・」

当初は、御殿場コースを予定していた。しかし、前夜の天気予報、そして当日の予報ともあまりよくない。つい先日、槍穂山行で悪天候に泣かされたばかりだったので、この日の予報に気分が落ち込む。この度の富士登山は私にとって、フィナーレ的な華々しい山行を描いていた。5年前から抱いていた、3000m級達成の最後の山であった。何度も描いていたはずの夢の大舞台である。それが・・この天気。日をずらす。しかし明日からは9月。夏富士は終わり。来年。いやいや、今年で一区切りつけたかった。だから、行くしかない。御殿場ルートは登り11キロ。標高差2275m。ちょっとした登り涯がある。いろんな事を思いながら、テクテク歩こうと楽しみにしていた。下りも大砂走りルートで思いっきり駆け巡ろう、そうワクワクしていた。日本一高い頂上。恥ずかしくてもいい、最高のポーズを撮ろう!そう、描いていた。

の、はずだったが・・・曇り時々霧。翌日、曇り時々雨。なんなのー(涙)

急遽、最短の富士宮ルートに変更した。慌てながらバス時間等印刷し、家を出発。

新幹線に飛び乗り、バスに揺られ・・富士宮五合目登山口に到着。

たくさんの人で、賑わっていた。家族連れや、外人さんなども思ったより多かった。

さあ、出発だ。ぶちぶち言わず、歩こう。さあ、行くぞ!

この最短コースは登り5キロ。標高差1315m。御殿場ルートの半分である。4つのルートがあるのだが、二番目に人気のあるコース。そう、ここは初心者コースである。

頂上までの区間、途切れることのないロープ。ここでは霧でも道迷いなしであろう。小刻みにある山小屋。トイレや水の心配もない。そんな優しい登山道を登って行った。混雑していたけれど、もじもじ後ろに付いて行ったら日が暮れそうだったので、ワサワサ登った。一人だったのでしゃべらなかった。しゃべる相手もいない。道行く人たちは、ダウンを着用していたり、あったかい格好をしていた。時折「あー寒い」まで聞こえた。なのに、私は汗だく。髪が汗に覆われ、半そで姿。もっとゆっくり歩けばいいのに(雨がふらないうちに、雨だけは勘弁して~)いつの間にか、歩きに拍車がかかっていた。

①IMG_3649

②IMG_3640

気づけば頂上。最高峰の剣が峰には沢山の人。記念写真待ち。割り込んだ覚えはないが、すぐに写真を撮ることが出来た。恥ずかしくたっていい、と思っていたがギャラリーがやたら多く、大人しいポーズしか撮れなかった。

富士宮本宮浅間大社奥宮で、しばしの休憩。昼の1時半。おにぎりを食べた。辺りを見渡すと奥宮では冬支度の作業をしていた。目の前の富士館は既に休業。来年の夏まで、ここは凍りつくのであろう。夏のほんのひと時の賑わい。今日で終わりだ。

霧で展望は全く見えなかった。本来なら、仲間たちが歩きぬいたアルプス山脈が見渡せるはず。しかし、全く姿を見ることは出来なかった。その霧の中から、ヘリコプターの音だけは、元気よく聞こえてくる。ちょうど(24時間テレビ愛は地球を救う)と言う番組で、富士登山をやっているみたいだ。隣で話しているのが聞こえた。TV中継みてみたかったけど、叶わず終わった。

計画では、朝早起きし、ご来光を堪能。そして、お鉢めぐりをして楽しむはずだった。

しかしこの天気。何も見えない。お鉢めぐりも意味がない。頂上にも行った。明日の朝方は雨。だったら、このまま下山しよう。申し訳なかったが、山小屋にキャンセルの電話をし、来た道を降りた。北稜下りというのか、すいすい下りて行った。しゃべらないと、こんなにも歩きに夢中になるのか、トレラン(誇張)選手のようだ。だけどもつまらない。やはり私は、しゃべる方が性にあっている。何だかつまらない。

富士山。これを期に何度も登ろうと思う。本来ならば素晴らしい感動的な風景が楽しめるはず。だからこんなにも多くの人が押し寄せる。次回に期待している。しかし、もう一人では来ない。富士山は、みんなで楽しむ憩いの場に感じた。

そんなこんなで、登山口に到着。バスに乗り込み、新富士宮駅に向かうのであった。

この夏、私の中の縦走に一区切りがついた。終わってみるとあっけないのだ。

ポカンと、心に穴が空くかと思いきや、心は新たな思いに、まっしぐらである。

さあ、今度は何年かかるやら・・・。

鹿島槍

【日程】2014年9月6~7日

【メンバー】カオリ(L) ・ツノダ・ミドリ・ケンタ・トヨタ(記)

9月5日(金) 22:30西川口集合
9月6日(土)

5:05登山口—8:05種池山荘—9:20爺ガ岳南峰—9:50爺ガ岳中峰—10:40冷池山荘—12:00布引岳—13:10鹿島槍ヶ岳南峰—14:00鹿島槍ヶ岳北峰—15:15キレット小屋

9月7日(日)
5:20キレット小屋—6:35口の沢—8:50五竜—9:50五竜山荘—12:45中遠見—14:50テレキャビン

 

9月6日(土)
前夜22時半、西川口でツノダ車に乗り込み、2時過ぎに扇沢の駐車場着。テント設営後、入山祝いに乾杯し、3時就寝。
4時起床。ツノダさん用意の豪華なモーニングを食べ、5時過ぎに出発。辺りはまだ薄暗く、ヘッドランプを点ける。出だしは樹林帯の中で単調な登りだが、それでも森の中は気持ちがいい。徐々に高度を上げていくと木立の合間に稜線と青空が見える。

鹿島槍1

コースタイムよりやや早くケルンを過ぎ、順調に種池山荘に到着。ここからは東に剣岳を見ながら、まずは爺ヶ岳に向かう。お天気もよく、鹿島槍の双耳峰がはっきりと見え、テンションが上がる。
ところが、爺ヶ岳を過ぎたあたりから徐々にメンバーの口数が少なくなってきた。お昼時で気温が上がってきている上に、尾根の東側は風がない。寝不足が追い討ちをかけ、鹿島槍ヶ岳への登りは蒸し暑くて身体が重い。ジグザグの登りを黙々と歩いて13時過ぎに南峰に到着。ホッとする。
北峰へ向かう途中で眼下にキレット小屋が見える。かなり下るようだが、距離的には近く感じるが、CTでは2時間かかる。気を引き締めて下降に入る。

鹿島槍²

 

岩の形状を見て、ホールドやスタンスを選びながら進むが、人によってラインが異なるのが面白い。急峻な岩場やはしごが多く手強いルートだったが、15時過ぎにキレット小屋に到着する。
さて、いよいよ本日最大のイベント、ミドリさん発案のカオリさんお誕生会の準備だ。カオリさんを談話室に足止めし、ツノダさんとケンタさんが担ぎ上げた材料&フライパンでホットケーキを焼く。チョコペンで飾り付けをし、シャンパンを添えて、ほのぼのとした夕刻を過ごす。

9月7日(日)
4時に起床。霧雨が降っており、薄暗く岩も濡れている。5時出発の予定だったが、明るくなるまで待ち、5時20分スタート。ガスがかかっており、視界は開けないが、雨ではないのでちょっと安心する。口の沢を過ぎ、しばらく進むと雨になる。急な登下降を繰り返し、G5やG4と思われる箇所を通過するが、ガスで地形がよく見えず確証が持てないうちに、あっけなく五竜山頂と山荘への分岐に出る。9時ちょっと前に五竜岳到着。

雨も上がり雲が動いており、ガスが晴れることを期待し、しばらく山頂にとどまるもタイムアップ。下山を開始する。途中春合宿ルートの話をしながら下ってくると、五竜山荘の手前でガスが切れ、日本海側の町や唐松岳への道が見えた。今回の山行では至る所で秋の気配を感じたが、五竜山荘の回りだけは緑が濃く、稜線直下の斜面には花畑が広がり、まだ夏の雰囲気を残していた。
五竜山荘からはテレキャビンまで遠見尾根を下る。
2日間ともCT10時間強、危険個所ありということでドキドキだったが、メンバーに恵まれ楽しい山行だった。みなさま、ありがとうございます。

(おまけ)
帰路の中央高速休憩所にてハギ隊と偶然ケッチボー

 

60周年記念山行 朝日岳~親不知

60周年記念山行 朝日岳~親不知

  • 場所:朝日岳~栂海新道~親不知
  • 日程:平成26年8月14日~8月16日
  • メンバー:サイトー・かおり(記)
  • 記録

―全体の記録は、タカタカ氏の記録を参照―

8月13日 猛暑日 ☀ (東京~富山県・泊駅)
一日入山を遅らせての、北アルプス入りとなった。
14:00 さいたま新都心駅を出発。帰省ラッシュの時間帯を避け、関越道を走る。
サイトー氏の読みが当たり、ニュースで放送されていた大渋滞を上手く避けて、軽自動車は走る。走る。
上信越道・東部湯の丸で高速を下り、松本市内へ向け、サイトー氏の愛車が唸る。ウナル。
サイトー氏が『はとバスのお姉さん』のごとく松本城を周って案内してくれる。
城壁の黒色に圧倒されながらも、サイトー氏のキャラの濃さの方が気になる。
国道148号を走り、先発隊が登っている山々を見る。

20:30 下山予定の栂海新道の出口を確認して、さらに泊駅に向け移動。
21:40 泊駅近くのタクシー会社にて駐車・小宴会の後就寝。

8月14日 晴れ ☀ (泊駅~朝日小屋:アベ隊と合流)

4:15 黒東タクシーにて北又小屋へ。
一般車は通行規制がある。地元のタクシーを利用すると助成金がでて¥1,000/人も値引きしてくれる。林道北又線管理者朝日町はすごい。
5:52 一時間もかからずに北又小屋へ到着し、準備を整えいざ入山。
沢登りのパーティは2組ほどいたが、登山者は我々のみ。
小屋から北俣ダムの手前に架かる吊り橋まで下り、歩行面がグレーチングの橋を渡る。ここからひたすら登りのみ。急登と樹林帯を覚悟した。
写真①16日はこの橋は増水で渡れなかったらしい
しかし、蛇行する山道は所々で視界がひらけ、疲れを吹き飛ばしてくれる。粋な演出のコースだ。
緑濃く、ブナの巨木が多い。

9:40 イブリ山到着
ここからは、展望よくお花畑と池塘の点在する素晴らしい登山道。2人して花の名前はまったく判らないが、美しさだけは理解したつもりだ。

写真②イブリ山山頂が10合目
写真②-2誰もいないから変なポーズもし放題

11:12 夕日ヶ原
夕日ヶ原は素晴らしい所で、登ってきたイブリ山や、所々に残る残雪・お花畑や池塘を一望できる。
はとバスのお姉さんから山男へと戻ったサイトー氏が、毛勝・猫又の山塊を指さす。絶景。

11:30 ノグチ隊と無線交信
元気な声が聞こえてきてテンションが上がる。

12:00 朝日小屋着
急登続きで大変と聞いていたが、景色や花々・無駄話が楽しく、意外にあっという間に到着してしまった。
写真③朝日小屋が見えた!
12:00 朝日小屋着
受付を済ませ、テントを張りコーヒーでまったりとすごす。
終日オープンにしていた無線でアベ隊と更新成功。水平歩道を歩いてきているようで、もう目の前に小屋が見えるらしい。サイトー氏とカメラを片手に迎えに行く。

14:00 草むらに身を隠し、疲労困憊のメンバーを激写しようと構えるが、屈強な面々はカト氏を先頭にみんな笑顔!後で知ったが、行水したらしい皆のさっぱりした笑顔にテンションも上がり、3時前からの宴会となる。
広く整地されたテント場とトイレも非常に綺麗で、さらに水場が近い。景色良し。朝日小屋テント場は最高である。
台風直撃の中を歩いてきたアベ氏・カト氏・タカちゃんの話しを始めに大盛り上がり。サイトー氏が担ぎ上げた数々の食材を美味しくいただき終演。
夕日が日本海に落ちるさまを眺めに西端に行く。雲海が広がる幻想的な日没を眺め、就寝へ。

写真④あれ?!みんなイイ笑顔

④-2雲海に沈む太陽が光のショー

日没後、アベ隊のテントのポールが折れる事件が発生するが、チームの力で補強作業を進める。また近くにいた親切な人が小屋へ工具を借りに走ってくれる。ありがたい。

写真⑤
写真⑤補修を終え再びテント内へ

15日16日は栂海新道をへて日本海へ。短い休みで何とか合流を果たせ、60周年記念山行へ参加出来たことは、大変うれしかったです。めったに登ることはない、北又を入山口に選択できたのもサイトー氏のおかげだと感謝しています。
最終日は雨の中富山湾が見えたとき、タカちゃんが感激の涙を流し、カト氏が冷静に「泣いたら足元が見えずに危ない。」と突っ込んでいた・・・こんな2人を8日間も面倒をみていたアベ氏に感心しながら、親不知へ到着。目の前の親不知観光ホテルで湯につかり、出てきたところをSa山氏のお出迎え。富山名物笹寿司がおいしかった~。皆様へ心より感謝を。

60周年記念山行 南アルプス全山縦走記

南アルプス全山縦走記

≪60周年記念山行≫

【日程】2014年7月18~31日

【メンバー】・ミナト(L) ・カト・アトム・ツノダ・トヨダ・きむ・ミチ(記)

※コースタイムや食糧などはカトさんの記録をご参考ください

それは突然起きた。

次から次へと涙が溢れた。

ほんのすう数分前、はしゃぎながら記念写真を撮っていたのに、突然・・。

自分でも予期しない出来事に困惑。だけども理由なんて何でもいい。

とにかく歩きぬいたのだ。南アルプス隊の最終ピーク、鋸岳に。

ミッションと口走りながら、半ば仕事のような義務感を抱いたり、容赦なく照りつける紫外線に怯えたり、ザックが重過ぎて食い込む痛さと戦ったり、思い起こすと限が無いぐらいの泣き言が出てくる。それでも辿り着いたのだ。

7月18日(出発)

《新宿バスターミナル・飯田駅》

雨の降る中、南アルプス隊の出発の時が来た。新宿のバスターミナル。

すでに隊長のミナトさんがいた。骨太のガッチリとした体。それに負けず劣らないザック。30キロ近くはあるだろう。小学生並みの重さだ。この縦走めがけて60キロのザックを背負い会社の階段でトレーニングを重ねていた。南アルプス隊の隊長でもあり、60周年記念山行の総隊長でもある。凄い人なのに、威張ったところなど微塵もなく、礼儀正しく穏やかである。毎度も言い続けているが、何度でも言いたい。ミナトさんがいると安心する。安全の保証が約束されるわけではないが、とにかく安心するのだ。

挨拶を交わしていると、カトさんが到着。出発前なのにすでに真っ黒に日焼けした姿は山人・・山で働いていそうな雰囲気を漂わせる。真っ赤なザックは大縦走のわりには大きくない。食事の準備も備わっている。なのに、コンパクトだ。工夫をこらし軽量化に務める。完璧なカトさん、無駄がない。今回の縦走でも、常に先頭を歩いてくれた。ペース配分も完璧。それに、準備や手配等お世話になりっぱなしだ。

そして最初の三日間、一緒に過ごすアトムさん。笑顔で登場だ。相変わらず背筋がピンとしている。一瞬でも猫背姿を見た覚えが無い。本人いわく遺伝と謙譲してだが、日ごろから鍛えている筋肉の力も大きいと思う。あやかりたい。

少し経つと私たちの後に出発する中央アルプス隊のアベさんの姿もあった。アベさんは南アルプス全山縦走を経験しており、確信に基づいたエールを送ってくれた。

「日が経つにつれだんだん荷が軽くなるから面白いよー」これを実感したのはだいぶ後になってからだった。

さあ、出発。これからどうなる?不安よりも楽しみの方がうんと大きい。お気楽なのか、いや、これでいい。4人を乗せたバスは飯田に向かって出発した。

7月19~21日(前半)

《光岳・易老岳・茶臼岳・上河内岳》

雨が降ったり、止んだり。雨具を身につけると瞬く間に汗がでる。重さ19キロのザックは重い。易老岳までの登り。かなりキツイ。根をあげるには早すぎる。だけどキツイ。何度も大丈夫との問いかけに、大丈夫と頷き、続けるはずが・・とうとう音を上げてしまった。ミナト、アトムさんが私のザックを軽くしてくれた。それもかなりの量。そのお陰でどうにか光小屋まで辿り着くことが出来た。振り返ると、この登りが一番キツカッタ。体が慣れてない、そこにきて大荷物や雨が降ったり止んだりの天気。心が折れかかった。(これじゃ足手まとい。この調子じゃ、一足さきに山を下りた方がよいのか・・・)

天気同様、曇り時々雨の中の山行。樹林帯の中をもくもくと歩く。景色も開けてこない。ただ、ただ汗が流れる。まだ始まったばかりなのに、弱気に支配された出だしであった。

二日目の聖平小屋での朝、アトムさんとお別れだ。寂しくなる。この時点で百名山の光岳を含め4座のピーク。まだ15座も残っている。気が遠くなる。大丈夫なのかと不安を抱える。それを見据えたかアトムさんがエールを送ってくれる。「気をつけてね、がんばって!」(アトムさん、ありがとう・・)

7月21~24日(中間・前)

《聖岳・兎岳・赤石岳・荒川岳》

兎岳非難小屋手前で単独のおじさんに出会った。「トマト食べる?」と挨拶してきた。私とカトさんは迷いも無く好意に甘えトマトを食べた。話しを聞くと金沢の人だった。そして、とにかくしゃべる人。こちらから終わりにしないと、いつまでもしゃべり続ける。なんとなく仲間のS氏にそっくりだった。背丈や雰囲気、歩き方さへ似ている。その後しばらくおじさんの後ろ姿みながら近づいたり、遠ざかったりしながら、徐々に見えなくなって行った・・・。

百間洞山の家に到着。小屋の脇には沢が流れており、テン場も最高だった。時間的にも日が落ちるまで、たっぷり時間は残されている。気分が高上する。3人でまずは乾杯。久々に飲んだ炭酸は格別だった。迷わず沢に入り足を洗った。厳密に言うと4日目ぶりだ。とにかく気持ちが良かった。足だけなのにさっぱりした。水道で顔も洗った。前半戦の疲れが、一気に流されていく。
百間洞山の家 (2)
テントなどの装備や雨具。靴からなにもかも干しまくった。辺り一面はガラクタ市のようになっていたがお構いなしに、干した。体だけじゃなく荷物もさっぱりした。ココでのサッパリが、意気を吹き返してくれた。

≪百間洞山の家≫

翌日、嘘のような絶好調が待っていた。

前半戦に自信を無くし掛けていると「4日目ぐらいから調子よくなるから」のミナトさんの言葉通りになった。肩のヒリヒリも無い。多少の登りもキツイと感じない。思考回路も鮮やかに変わって来た。恥ずかしい話しだが、地形はもちろん、名だたる山の場所や名前まで、はっきりと把握していない。そんな状態で参加したものだから、赤石岳を「赤岳まだですかー」と言う始末。大問題である。ここまでくると笑い事ではすまされない。山歴5年。会のメンバーになって1年が経った。自分でもウンザリしていた矢先の変化だった。天気は良好。見渡す限りの大展望。今まで歩いて来た山々。そして、これから向かう遥かなる山々。余計なざわめき一つ無い静かな山。このような環境におかれてか、果たして熱心に指導してくれたミナトさんのお陰か、覚えるようになった。光岳、茶臼岳、聖岳・・、赤石岳、荒川三山、塩見岳・・・。楽しかった。わけ分からずに、ただひたすら歩いている時よりも、新鮮だった。山の容も様々だ。特徴のあるものから、そうでないもの。人気のある山はやっぱり、なるほど・・と、頷ける何かがあったりする。土の感じも岩の種類も色々ある。南アルプスのど真ん中付近に居る。奥深い山の稜線上に居る。贅沢な課外授業だ。カトさんも花の名前を教えてくれる。一瞬覚えるのだが、直ぐに忘れる。高山植物についてはあと2~3年かかりそうだ。(カトさん待っていて下さい)

7月25~28日(中間・後)

《塩見岳・農鳥岳・間ノ岳・北岳・仙丈ヶ岳》

この日も晴天。目指すは塩見岳。三伏峠小屋を出発してから登り降りを繰りかえしながら塩見小屋の前に。中から、布団を抱えたさわやかなお姉さんが出てきた。挨拶を交わす。話しによると、今年で40年余り続いた小屋も老朽化が進み取り壊すようだ。レトロな雰囲気で何となく名残惜しい。このような稜線に立つ小屋は厳しい天候だったりすると、多くの人を救って来たに違いない。そう思うと自然に頭が下がる思いだ。小屋を後に岩ガレの急斜面を登り終えると、13座目の塩見岳頂上到着。平日だからか、ほとんど人が居ない。ゆったりとした山行予定。たっぷりある時間。気付けば3人して無言で携帯をいじっていた。塩見岳の頂上で。超大自然と超現代がコラボしている。そんな贅沢を経験した。

色んな体験をさせてもらった。その中でも身体についての発見だ。

わかりきっているが、山に入ると風呂には入れない。2週間近く続く風呂なし状態。

どうなるのだろう。もの凄く興味があった。雨に打たれ。汗もたっぷりかいた。帽子はかぶったりかぶらなかったりだが、髪もべったり固まっている。

3日目(百間洞山の家)沢に入り初めて足を洗った。

4日目(荒川小屋)テン場の水場で手足洗う。

5日目(高山裏非難小屋)手前の水場で始めて髪を洗う。ここで、みんなが体を拭きシャツなど洗いまくる。あー気持ちがいい。それにしても冷たい。頭皮にじんわりと突き刺さる。だけど最高だ。

7日目(熊野平小屋)でもほぼ全身浴に近い洗いに専念した。男性人は手足のみで相撲中継に夢中だった。

9日目(両又小屋)炊事場での蛇口で髪を洗う。それも手洗い石鹸で。よくすすがないとならない。快感を満喫するにはちょっとばかり水の冷たさが染みる。この日は午後から雨で気温も下がり気味。だけどもありがたい。この後は下山後、最終日までお預けだ。

まとめると、5日が限度のようだ。季節や状況、個人差にもよるが、5日が限度。そして太もも辺りがかゆかったのに、10日も過ぎると感じなくなる。むしろ皮膚にバリアガードが直積されたのかサラサラに感じる。結構の割合で清潔は保たれる。

新たな進化もあった。起床から出発までの時間だ。どんどん進化し、気付くと3時起床、3時50分出発が当たり前になっていた。更に5分短縮され45分準備完了の時さえあった。朝食、身支度、テント撤収。通常なら1時間半ぐらいなのに、半分の時間で完了。朝食は、コーヒーと昨夜に用意してあるアルファー米と簡単メニュー。そして極めつけは、自衛隊の訓練のような動きである。朝の挨拶を交わしてから出発まで、ほとんどしゃべらず淡々と出発めがけて行動するのであった・・。

北岳ではツノダさん、トヨダさんと合流。たくさんの物資を担ぎ上げて来てくれた。お願いした大福はもちろん、ビールやアルファー米。元気もりもりアミノバイタルまである。ホントありがたい。優雅な晩餐を味わった。体力的にも徐々に疲れが溜まってきているはずなのにテンションンは一気に上がった。仲間っていい。最高だ。大量物資のせいか本人たちはテントを持たずツエルトで夜を過ごした。この夜は風が強く大変だった。時折目が覚めるような強風。仲間って最高だ。などど、言いながら一度もテントから顔を出すことは無かった。仲間のはずなのに、ゴメンナサイ。翌日、強風と霧の中、かき分けるかのように頂上へと向かった。そのような状況でも、一瞬ガスがとれ素晴らしい瞬間を捉えることが出来た。燃えるような真っ赤な朝日。幻想的なブロッケン。本当ツイテいた。みんなで記念撮影。ここで16座目。残すところあとわずかであった。

≪北岳≫
北岳

7月29~31日(後半戦)

《甲斐駒ケ岳・鋸岳》

北岳・仙丈ヶ岳・甲斐駒ケ岳。この辺は、観光地と言っていいほどの賑わいだった。仙丈小屋から一気に1,000m下り、北沢峠で、きむ兄と合流。そして甲斐駒ケ岳頂上まで一気に1,000m登る。標高差はあるものの、整備され歩きやすかった。

それにここまでくると荷物が軽い。更に、きむ兄にもフライや水などを持ってもらう。

アベさんの言葉を思い出す。確かに、面白い・・・。

さて、甲斐駒ケ岳を後にして最終地点鋸岳へと向かう。先ほどまでの賑わいは何処へやら、誰もいない静かな、鋸岳への登山ルート。「集中」と何度も言い聞かせながら進む。遠くから見ていると、ギザギザしており危険な感じがしていた。だけども一瞬たりとも気が休まらない、などど、言うほどでもない。カトさんを先頭に一行は六合目小屋にと到着。レンガ造りの立派な非難小屋。私たち4名だけじゃもったいないぐらい広さだった。

さて、水場へと水汲みに行かなきゃ。だけどもそれらしい、道しるべや、標識もない。新人の私と、きむ兄で捜索に向かった。この捜索に関しては説明すると長くなる。既にこの南アルプス縦走記録も(簡潔に)を心がけていたのに、ずらずらとしている。記録のはずが、感想になっている。おまけに自分目線だ。最終的には、無事に水をくみ上げて来たが、そこに至までのドラマがあった。追々に語ることにする・・・。

確保した水で心配することなく過ごせた。夜は満天の星空を満喫。大自然の偉大さを噛み締める。いいなー、すごいなー、たまらない。終わらない感動、締め付けられる思い。願い事を唱えることすら忘れてしまう、そんな光景だった。

さてさて、翌日、一行は鋸岳へと向かう。分かりにくいルート。何度か辺りを見渡す。時にはロープをはり安全歩行。ガレガレ地帯では石を落とさずと気を張り詰める。これでもか、これでもか、とガレ場は続く。泣かされながら、ついに到着。南アルプス隊、最終ピーク鋸岳。

≪鋸岳≫
鋸岳

「やったー!やったー、やったよー!!」弾けるばかりの嬉しさに大騒ぎ。

皆と握手を交わす。「ありがとー!」「ありがとうございます!」

入山してから12日目。ついに達成。あっという間だった。だけど、色々あった。落ち込んだり、へこんだり。痛かったり、苦しかったり。それに負けないぐらい、嬉しかったり、楽しかったり。喜んだり、感動した。そして、何より強くなった。そう思う。

格好よく、「強くなった」はい、じゃんじゃん。で、終わりにしたかったが、鋸岳下り、そして、河原歩きなど、へこたれた。しゃべれないほど、へたれた。やはりまだまだ甘い。甘かった。

色んな山に行こう。更に進化して震えのくるような場面に出くわしたい。山に登れば登るほど欲深くなって行く。終わりがない。山って何なの。とにかく魅力的。こんなに思えるのも、みんなのお陰だ。

カトさん、山行途中に不幸があったにも関わらず下山せず同行。常に先頭を歩き引っ張ってくれた。安心して着いて行くことが出来た。カトさんとはよく一緒になる。(縁が強い)これから先、まだまだ、ご一緒願いたい。

途中で分かれたアトムさん。幾度となく、助けてもらった。荷物だけではなく精神的にもだ。語り合ったあの日の夜は楽しかった。また、続きを願う。今度は少し飲みながら。

ツノダさん、トヨダさん。思い荷を背負い支援してくれた。ありがたい。そう簡単な話ではない。次回は私が二人を応援したい。(待っていて下さい)

きむ兄、北沢峠から合流。あなたはやはり晴れ男。目が覚めるよな、天気を運んできてくれた。一緒に水を探しに行った。捜索隊の大冒険、わくわくした。上から目線の態度に刺激される。私は先輩、しっかりしなくてはと。

そして、ミナトさん。心より感謝いたします。(制御不能、敬語に変換致します)

よくぞ南アルプス全山縦走を実現してくれました。計画書作成から現地での判断、そして最後まで面倒をみてくれて、ありがとうございます。普通の感覚なら嫌になってもおかしくないぐらい、山に対して勉強不足、力不足、まさにアウト的な状態でした。私の犯した細かい明細はしまって置くとして、山を、更に、好きにさせてくれました。あんなに歩いたのに、もう、歩きたくて、歩きたくて仕方がないです。

また、一緒に歩いて下さい。

今度はミナトさんに泣いてもらいます。(なんちゃってー)

記録よりも感想になってしまいましたが、以上です。

支えてくれたみなさん、本当にありがとうございました!

甲斐駒・黄蓮谷右俣

甲斐駒・黄蓮谷右俣(沢登り)

  • 期日   2014年8月24~25日
  • メンバー  角田(L) 笹田 深沢(記)
  • タイム 8/24(日)竹宇駒ケ岳神社駐車場(6:00) 日向山林道ゲート前(6:20)  錦滝東屋(7:00) 尾白川入渓点(8:00) 噴水の滝(9:30) 黄蓮谷出合(10:15) 千丈の滝(11:00) 坊主の滝(11:30) 奥千丈の滝(14:00) 2400m付近BP(16:00)
    8/25(月)BP(6:00)甲斐駒ケ岳山頂(8:20) 五合目小屋跡(10:00~10:40) 駐車場(13:40)

8/24(日)晴れ~曇り夕方から雨

5時過ぎ、駐車場で昨夜到着の角田さん、笹田さんと合流。天気予報は夜半から雨、「幕岩」への変更も考えたが、降られるのを覚悟でゆくことにする。日向山林道ゲートまで車1台で行きデポ、林道を下降点に向かう。三カ所の隧道を抜けてまもなく明瞭な下降点に到着。ここから古いロープのフィックスをたよりに尾白川に降りたつ。ちょうど釣り始めたばかりの二人組に挨拶し、身支度をする。

噴水滝
噴水滝

水量は少なめ、溯行をはじめてまもなく鞍掛沢を左岸に確認、その先にワイヤーの滝が見える。沢の中央を通るワイヤーは廃道となった渓谷道に取り付けてあったものだろうか。次々と現れる釜のある滝は、トラロープや踏み跡をたよりに巻いてゆく。花岩と呼ばれる側壁前で小休止。すぐ先に噴水の滝、以前は1m近く跳ね上がっていたが、今は噴水のイメージは湧いてこない。いずれ消滅かもしれない。左岸の高い所に獅子岩を確認、しばらく行くと二俣となり左から黄蓮谷が出合う。

奥千丈の滝
奥千丈の滝

黄蓮谷に入り最初の滝は左岸を高巻く。トポに「怖いトラバース」とあるところは避けて大きく巻く。千丈の滝は地形図にもある三段の滝、右手に坊主の沢が細く流れている。右岸の顕著な巻道(廃道跡で五合目小屋跡に続いている)から滝上におりる。次の滝は左に五丈の沢を見ながら左岸を高巻く、途中の尾根上に平坦地があり焚き火あともある。沢に戻り、すぐに坊主の滝、右のガレ沢を登り大きく高巻く、沢に戻ると傾斜がきつくなり連瀑帯となる。このあたりで深沢の足がつり、ロープを笹田さんに担いでもらう。左俣の出合を過ぎたあたりで雪渓が残る。雪渓をこえて連瀑帯に入り奥千丈の滝となる。

2400m付近ビバーク
2400m付近ビバーク

奥千丈の滝は右岸を適当に登るうちに、角田さんは水流添いに、笹田さん、深沢は巻道の踏み跡へとわかれてしまい、上部で合流する。相変わらず連瀑帯で藪こぎを交えて進み2400m付近、雪渓のある滝下部でビバークとする。

焚き火の火がついた頃から雨が降り出す。食事はほうとう鍋、途中で採った「イグチ」はきのこ汁に。予備のツエルトをタープ替わりに張りその下で飲み始めるも、まったりとはゆかず、早々にツエルトにもぐる。夜半は小雨が続く。

 

甲斐駒ヶ岳
甲斐駒ヶ岳

2/25(月)雨~曇り

レリーフ前にて
レリーフ前にて

朝食(雑炊)をすませ、小雨の中撤収、出発。右寄りに踏み跡をたどる。奥の滝は下部までゆくが、戻って高巻く。ハイマツの中を進み途中から沢筋に降りる。もう稜線は近そう、少しの上りで尾根に飛び出し石室からの登山道にでる。山頂はそこだけど、ここで小休止。2~3分で甲斐駒山頂に到着。高度計は2965mピッタリだ。七丈小屋から登って来た単独の男性と撮影交換。あとは下りるだけだ。相変わらず小雨、視界はなし、8合目、7合目小屋を過ぎ5合目小屋跡では雨があがる。一息入れて久保さんのレリーフへ。

きのこラーメン
きのこ入りラーメン

角田さん、笹田さんも初めてとのこと、20代の頃、2~3度訪れてはいるものの記憶は不確かで、すぐには見つからず不安になったが、水場の先の少しザレた場所で岩に設置されたレリーフをみつける。38年前、笹田さんは感慨深げ、お参りして、5合目を後にする。

下山途中、キノコを少し(イグチ、アミタケ、タマゴタケ、ウスタケ?)採取、よく喋るおばちゃん夫婦とも遭遇。駐車場できのこ入りのラーメンを頂く。その後ベルガの湯に浸かって、解散。

 

 

白馬岳~栂海新道~親不知

山行報告(140812-15 白馬岳~栂海新道~親不知) byキム兄

【コース】

猿倉 – 白馬頂上山荘(泊) – 白馬 – 雪倉岳 – 朝日平(泊) – 朝日岳 – 黒岩山 さわがに山 – 犬ヶ岳山荘(泊) – 白鳥山 – 親不知

【メンバー】
アトム(L)、ブチョー、トヨタ、アズ、キム(記)
【報告】
初日、アトム隊の他の4名とは白馬駅で合流する予定だったが行き違いがあり、4名は先に猿倉へ。白馬駅で連絡が取れた私は後から追いかけることに‥

8/12曜日-1日目
アトム隊11:00猿倉先行、タクシーで追った私は遅れて11:15出発、白馬尻小屋で無事に追いつく(11:55)。微妙な雨で皆スタートからカッパを着ていたが、却って暑いので脱いで歩き出す。12:30大雪渓に取りつき、代わり映えのない足元の雪を見つめながら登る。天気は回復しているようだ。

20140812_0003
13:50アイゼンを外す。14:45避難小屋到着。雲の中から妙高、高妻、戸隠の山並みが頭を出す。陽は出ておらず涼しく、登りには絶好のコンディション。

  20140812_0006妙高、高妻、戸隠
更に1時間歩き頂上山荘到着(15:45)、お盆の混雑で45テンは場所を確保するのに苦労していた(私のソロテントは問題なかった)。夕食はキム製ナス味噌炒め。気まぐれでゴーヤを入れたら苦味しかしなくなった。まあ、きっと苦い分なにか薬効があるさ!
20140812_0010
夕方、天気は急速に回復、杓子・鑓がくっきりと西陽に照らされる。明日以降の天気は期待できそうだ。
20140812_0011
8/13水曜日-2日目

4:30起床、6:00発、いい天気。高度を上げていくと剣・立山や黒部五郎などが見えてくる。

20140813_0002
6:35白馬岳頂上。八ヶ岳、富士山、南ア、槍まで見えた。槍穂のハギ隊はどうしていることやら‥ 20140813_0004
10分ほどで再出発。雪倉岳を目指す。8:20避難小屋手前のお花畑で休憩。
20140813_0011
9:30雪倉岳山頂、とてもいい景色で30分も休憩してしまった。
20140813_0017雪倉岳
次に目指すは朝日岳。目測では遠く見えないが、途中不必要に下り、何だか結構疲れるコースだ。花畑はまだ散在し、白馬の花畑で指導員に教えてもらったシロウマアサツキを発見。
20140813_0019シロウマアサツキ
11:10ツバメ平で15分休憩、12:20朝日岳手前の分岐で頂上経由か巻くか悩む。まき道は「水平道」という名前だが、アップダウンが激しいことが地図に記されている。頂上にガスがかかってきたため、水平道を選択。
20140813_0021ネーミング失敗「水平道」
途中10分休憩を経て、14:30朝日平到着。テントを張ってビールを飲んでいるとイタさん率いる蓮華温泉出発隊が現れ、無事ケッチボー。先輩方のお話を伺う。楽しい方々で、笑い声の絶えない宴会となった。ブチョー製カレーを振る舞う。

現役と懇親
現役と懇親

 

~~~ ここから先、詳細は蓮華温泉パーティーの報告をご参照ください。 ~~~

 

8/14木曜日-3日目

3:30起床、5:00出発。薄曇りの涼しい気候。13名の大連隊で6:00朝日岳登頂。
20140814_0000十三人の大連隊
6:40蓮華温泉への分岐、10:30黒岩山、12:25さわがに山、13:35犬ヶ岳手前の水場、13人で汲むと30分もかかった。15:15犬ヶ岳の山荘到着。皆さん色々な夕食を作っている。こちらはアトム隊長のワカメ・高野豆腐ラーメン、乾きモンで軽そうなのに麺がラ王でおいしい。
20140814_0012
8/15金曜日-4日目

3:30起床、4:55出発。今日も涼しい、標高が低くなるから暑くなって大変だろうなあ、と思っていたがこの日とうとう最後まで涼しかった。少し降られたけど。
20140815_0002あの向こうに海が
6:05オーレン山、6:35オーレンの水場で15分休憩、7:15菊石山、8:00下駒、9:20雨に降られカッパ着用するも大して降らず、9:50白鳥山にて結局脱ぐ。
20140815_0006
白鳥山からは海や港がハッキリ見える。15:15入道山、最後に1時間ほど降られながら16:35親不知観光ホテル到着。
20140815_0014
今回の最大の収穫は、滅多にご一緒できないであろう大先輩方のバイタリティに触れさせて頂いた事です。大変お疲れ様でした。皆さんのご努力と直向きな姿勢に感動しました。本当に有難うございました。

記念山行 蓮華温泉~栂海新道

栂海新道

期  日: 平成26年8月12日〜15日
メンバー:  L いた、むさし、さとう(OB)、すすむ、たなか(OB)、
ささだ、えつ子、やました(OB)、ふく子(OB)、あいざわ(記)

この山行は東京北稜山岳会60周年記念山行の一部として、いたさんが「この記念山行のどこかで北稜OBクラスの人達も参加しょうよ」と OBの方々に参加を呼びかけて、10名のメンバーで実現できました。
このパーティー名称は「蓮華温泉パーティー」として記載しています。

《8月12日》
蓮華温泉のテント場に夕方集合という行動計画でしたが、朝から雨。普通なら中止の天候である。しかし、60周年の行事だし、雨でも行かねばならないのだと、糸魚川の親不知観光ホテルへと車を走らせた。

親不知観光ホテルは栂海新道のまさに下山口(登山口)にあるところで、ささださん夫妻、やましたさん夫妻、あいざわは下山後に宿泊することにした。今回は蓮華温泉から五輪尾根を経由して朝日小屋で一泊。翌日は栂海山荘まで。最終日は親不知に下山のため、ここに車を1台駐車させておけば、なにかと便利だと思い、ささだ車と親不知観光ホテルで12時に待ち合わせることにした。

長野IC付近まで雨が続いていたが、新潟県に入ると雨もやみ上越JCTから晴れ間も出て、気分的にもいい雰囲気になってきました。

どこかに旨いお店(昼食)はないかなと、ひとつ手前の糸魚川ICで降りて、お店を探しながら国道8号線を走る。道の駅親不知ピアパークがあったので様子見ていたらささださん夫妻とバッタリ。「お昼食べた?」と聞くと「ここでタラ汁定食とやらを食べたがあまり美味しくなかった」という。「食べてないならここで待っているから何か食べてこいよ」というので違うお店でカツカレー(早くできるから)を食べました。

目の前の親不知海水浴場は天候の関係なのか江ノ島のような賑やかさはなく、知名度はあるのだけど浜茶屋も一軒だけの寂しい雰囲気でした。

親不知観光ホテルのフロントに顔を出して車一台の駐車をお願いし、ささだ車に乗せてもらって蓮華温泉に向う。(全員夕方集合だったのですが、蓮華温泉に日帰り入浴したかったので、ささださん夫妻には12時〜13時親不知観光ホテルに来てほしいと無理して成田を早く出てもらうよう頼んでおいたのですが、11時に到着したと言っていました。)

蓮華温泉ロッジ
蓮華温泉ロッジ

ささださん夫妻は車で寝るというので、温泉ロッジで先に一風呂浴びてもらい、私は少し離れているテント場に天幕を張ってから温泉に入ることにしました。時間も時間だし、いくつもある露天風呂の湯巡りはやめて早々と内湯からあがってビールを少し飲んでいたらすすむさん夫妻とたなかさんが(電車&バス利用で)やってきました。

一緒にロッジで雑談をしてテント場に向う。コンビニでゲットした夕食を食べながら「むさしさん達は来るだろうか、来ないだろうか」と賭け事のようなヤリトリをしていたら、来ました!なんと高速でなく一般道を走ってきたとか。これはこだわりというか趣味というか恐れ入りました。

「夕方には着きます」と言っていた やましたさん夫妻も無事合流し、テント場の下はやや濡れてはいるが、少し高台になっているところや水の溜まらない場所を選んで各自テントを設営し、明日は5時出発だというのに久しぶりに顔を合わせたので遅く迄話が弾んでいました。

星が出て(流れ星もみつけましたよ)テント場は月に照らされて明るかった。ささださん夫妻はやましたさんの天幕で一緒に寝た。

イワカガミと
イワカガミとか・・

《8月13日》
出発に遅れたら先輩に怒られそうなので、早めに起きてラーメンを食べる。ささださん夫妻と私は小屋に泊まることにしておいたので夜露に濡れたテントは車の中に置いて、コーヒーセットもここだけにして出来るだけ荷物を軽くしていくことにした。それでも荷は重く感じる。

白高地沢まで下るのは勿体ないが、下りは実にいい。が、このままでは何時になっても朝日岳には着かない。白高地沢にかかる橋から登りにかかる。階段状の登山道にはイヤになってしまうが、やがて草原になり木道になる。

花園三角点付近だろうか、花園というだけあってお花が多い。花の名前はよく分からないけれど、たなかさん
がよく知っていて説明してくれる。しかしすぐに忘れてしまう。

五輪尾根
五輪尾根

五輪の森を過ぎるとハクサンコザクラの群生だ。このくらいの花は知っている。チングルマだってハクサンイチゲだって知っていますよ!

「来てよかったね〜」「これもいたリーダーのお誘いのおかげだよ」「有り難いね」と素直に感謝すると嫌みになる我が蓮華温泉パーティーである。

白高地の水、こりゃ〜美味しかった!でもここから栂海新道の分岐までが長かった。やっぱり疲れてきたんだろうね。

ここから快調に山頂に辿りついたが、小屋までがまた長かった。この下りは明日登り返さなきゃならないと思うと癪になる。4時前に到着。アトムパーィー5人がケッチボーの声で迎えてくれました。

朝日岳
朝日岳

さあ、ここからがこの山行のメインイベント?
朝日小屋に3人の宿泊を受付のオバサンにお願いしたところ、「予約してないの!」「今は予約が常識になっているのよ!」「3人!?」「部屋は予約のお客さんで割り振っているから、これから人を入れる事は無理よ!こっちが怒られるから!」「剱ならよそに行ってくれって言われますよ!」「ここは一軒だから泊めることは何とか考えるけどね…、常識ってものが足りないわよ!」「どこの会の人?」「食事は手作りでやっているから追加は無理!」「素泊まりなら何とかします」「え〜!まだいるの」「全部で9人?」「ほんとに何を考えてるの、この人達は」と呆れ返った表情で私を睨みつける。誠にごもっともな話だからただ黙って聞き入れるしかなかった。

「明日はどこに行くの?」「栂海山荘?」「予約は?」「え!してないの!」「あの小屋はね…」と小屋の説明をして、「私有地をお借りするんだから連絡するのは常識でしょ!」とまた怒られる。ここはいたさんが助けてくれました。「8人で利用させて頂くと連絡してあります」と小さい声で言うと、「ほんと?」という疑いの目つきで私を見る。(後から電話を借りに一人で行くと栂海山荘の人に確認していましたよ)

言いたい事を言って気持ちが落ち着いたのか、「◯◯さ〜ん、あっちの建物に9人泊まれるように準備してやって!」と使用人に指示してくれました。たなかさんはツエルトで寝るというので9人の素泊まりとなったが、案内された部屋は6畳位で2部屋。昔の建物だったのか発電室が隣にあるので音がうるさいが我々だけになったので逆に有り難かった。

現役と懇親
現役と懇親

他の登山客はいないし、折角だからとテント場から現役5人を呼んでビールで乾杯。自己紹介や昔の山話などで盛り上がる。食事がなくなったのでささださん夫妻には申し訳ないことになってしまったが、現役の作ったカレーを御馳走になりお腹は満たされました。

とにかく、北稜山岳会の山小屋って感じで、いい素泊まりになりました。
昨夜はテントで寒い思いをしたので皆が寝不足で疲れ気味。素泊まりでも布団の中で暖かくゆっくり寝れたようである。
気をつけましょう。山小屋利用は予約が必要です。携帯は連絡がつきません。蓮華温泉付近で予約しようと思ったが無理でした。ロッジの電話なら通じたかもしれないが、700mも戻るのは億劫だし、朝日小屋に迷惑をかけたのは事実。我々の落ち度は素直に反省したい。

小屋泊まりの場合、食事付きか、素泊まりかなどしっかり事前にパーティーのメンバーに確認して早めに予約しておく必要があります。なかなか山小屋利用の機会は少ないでしょうが、頭の中に「山小屋は予約」の言葉を入れておいて下さい。3人くらいの宿泊は大丈夫だろうと考えたのはあまかったですね。

《8月14日》
今日も5時出発。早めに食事を済ませて支度していたら、「昨日受付のオバサンが謝りにきたよ」という。2部屋だったから、私の部屋ではなかったので謝罪の内容は直接聞いていないし間違っているかもしれないが、「誤解があったようで申し訳ない」といったような内容だ。

ともあれ出発前にオバサンに、素泊まりさせてもらったことだけは素直にお礼を言って小屋を後にした。今日もまずまずの天気になりそうだ。ん?え?オバサンが小屋から出て来て我々を見送ってくれている?「また是非きて下さ〜い」と声をかけてくれました。

北アルプス最後の楽園
北アルプス最後の楽園

むさしさんは膝が痛むというので、水平道から雪倉岳経由で白馬大池にさとうシゲさんと下山する事になったので、お二人とは水平道分岐でお別れした。

昨日降りた道を登り返して再び朝日岳へ。ここから分岐へ一旦下り鬱蒼とした樹林帯を歩く。ちっともいい景色にならなくてガックリして歩いていると、草原のような景色が(花もそこそこに)やたらと出てくるので疲れも吹っ飛ぶ。

こんなところにこんなところがあるなんて…と栂海新道って素敵なところだねと感動しながら歩きました。

栂海新道を行く
栂海新道を行く

さあ北俣の水場だ。ここで明日の分も含めて一人2ℓは確保しなければいけない。栂海山荘までボッカとなったが、これが山登りだと思えばいいんじゃないの。一汗かいて山荘に到着。小屋番はいなかった。2階を陣取り食事は外で各自作り食べることにしました。新旧の分隔てない談笑も楽しかったですね。

今日はビールはないと決め込んでいたら、何と!小さい缶でしたが3缶宝石のように椅子の上にならびましたキム兄が持ってきたらしい。ほんの一口ずつではあったが全員嬉しそうに感謝しながら味わいました。キム兄、御馳走さまでした!ここでもたなかさんはツエルト泊。キム兄はテント泊でした。

キム兄差し入れでOB交えて乾杯
キム兄差し入れで乾杯

今日も良く歩いた。小屋の毛布もいらないくらい暖かい夜でした。
日本海沿いの街の灯りが少し見えました。あ〜あ、まだ遥かに遠いな〜。

《8月15日》
さて今日は最終日。いよいよ親不知だ。暑いと大変だから小雨くらいがいいねと言い合いながら出発。暫くは日差しもあって登りはこたえたが時々沢筋からくる涼しい風で癒される。やがて期待通りの小雨となり良かったです。

枯れる心配だった水場も潤沢に流れ出ていたので大助かりだったが、この下りはちっとも面白くない。
栂海新道も坂田峠でおしまいにして欲しいですね。特に二本松峠から親不知は遠く感じる。こんなのただの裏山じゃん!

栂海からの朝焼け
すばらしい朝焼け

しかしこの最終日の感動は景色ではなく「日本海まで歩いたぞ!」なんです。

親不知手前で雨が強くなり雨具を着ても着なくても濡れることとなったが、無事親不知観光ホテル前の国道に到着しました。本来は海岸迄が栂海新道になるようではあったが、そこは若い現役におまかせし、ビール飲みたさに予約組は省略。現役と分かれてホテルに入りました。

皆さん有り難うございました。朝日小屋から一緒に歩いて頂いた現役の5名の方にも感謝申し上げます。頼りになりました。

この山行のために各自トレーニング山行をして挑んだようである。その甲斐があって一日10時間も3日連続でよく歩くことができました。

平均年齢約70歳の蓮華温泉パーティー。いや〜もうすっごく楽しかったです。あらためていい山仲間に恵まれたとつくづく思いましたね。最高です。

一回一回の山登りをじっくりと味わいながら、下山後のビールを楽しみに、これからも精進して想い出をたくさん作っていきたいと思っています。

親不知観光ホテルでむさしさんとさとうシゲさんと一緒に乾杯(食事)出来なったのが残念でしたが、70周年があるから楽しみにしていますよ。