八ヶ岳冬合宿 笹田隊(天狗尾根、赤岳)

冬合宿 天狗尾根 記録
参加者:笹田(L)、カト、さぶ(記録)

期日:2013/12/28-30

コースタイム
1日目(晴れ)
7:00 新宿発(あずさ)-8:54 小淵沢~タクシー~9:30美しの森駐車場~14:20出会い小屋~16:00 2100m付近で幕営
2日目(晴れ)
4:30起床幕営地~第一岩峰~8:30カニのはさみ~10:30第2岩峰?~14:00大天狗~小天狗~15:50文三郎尾根~16:40行者小屋
3日目(晴れ)
5:00起床-7:20行者小屋-9:30赤岳-10:30行者小屋-(撤収)-11:30行者小屋出発-14:15美濃戸口バス停着

記録

さあ、厳しくも、楽しい冬合宿の始まりだ。
笹田リーダーより、2泊3日で、天狗尾根を越え、行者に抜け、最終日は大同心稜もしくは、赤岳の南峰リッジを登る予定を聞き、私は相当ビビッていた。
天狗尾根は、ガイド本には、初級ルートとなっているが
私みたいなピヨピヨには、冬期のバリエーションルートは厳しいという事を改めて思い知る山行になった。

一日目
新宿発、7時ちょうどのあずさ1号で旅立つ、3人。
カトさんは、前夜から嘔吐腹痛により体調不良とのこと。(ナマモノにあたったようだ・・)
様子をみての乗車、笹田Lより、状況により天狗尾根を辞めて、美濃戸から行者に入ろうかと提案、しかし、カトさんの体調も回復傾向とのことで、とりあえず予定どおり天狗尾根へ。
小淵沢駅にて、予約したタクシーに乗り込み、美しの森の駐車場にて降りる。
身支度をし、いざ出発。平坦な道なのでアイゼンを付けずゆくが、だらだらと続くなだからな林道にイマイチテンションが上がらない。
ただ冬合宿前にいつもやる歩荷トレをしてなかったので心配だったが、今年の過酷な合宿や剱の登攀を経て体力がついているようだ。軽量化したのもあるが、背中が軽く感じる。
天気は申し分なし、出会小屋まで、何回か、抜きつ抜かれつしたパーティーが1組のみ。静かだ。

そのパーティーは出会い小屋で幕営とのこと。
ここの小屋に荷物をデポして空身のラッシュで登るスタイルが記録を読んでいても多い。

出会小屋で、しばし他のパーティーと談笑し、別れを告げる。
小屋の先もトレースがある。先行パーティーがいるようだ。
少し足が潜るので、体力温存のため、私とカトさんは、わかんをつけてあがる。
赤岳沢を少しつめると、一個目のルンゼのところからトレースは天狗尾根に上がっている。もう少し先の方が道がよさそうだが、トレースがあった方が楽だろうという笹田Lの判断の下、トレースをたどりうえに上がる。
キレイにまっすぐ伸びる尾根に気分が高揚する。特に危険個所もなくゆっくり高度をかせぐと途中で、トレースをつけてくれたと思われる二人組?のパーティーが2000m付近の小さなスペースにテントを張っていた。(後で知ったが、聞いたら友人の友人だった)
心の中でお礼を言い
私たちは予定どおり2100mまで上がる。さらに2人用と思われるテントが既に張られていた。

2100m付近のテンバ。先行パーティーのテント。
2100m付近のテンバ。先行パーティーのテント。

しかし、中には、気配は全くなし。少し心配しながらも(どうやら、ぐっすり寝ていたようだ)私たちもスペースをみつけて整地、テントを張り、ここで幕営。
人気ルートの割に、本当に人が少なくラッキーだ。軽くお酒を飲み、カトさんの絶品、白菜とばら肉のミルフィーユ鍋を頂く。
鍋にぎっちり、白菜にくるくるまかれたばら肉が入っており、ポン酢のつけだれで頂く。
非常に美味。ごちそうさまです。
テント内でしばし歓談し、早々に眠る事にする。明日は長い一日になるだろう。
2日目
4:30起床。朝は、笹田Lのホタテのリゾット。なんと生のホタテの貝柱が!!(乾燥貝柱が売ってなかったららしい)このまま、しょうゆで食べたい!!とカトさん(生ものにあたったのに懲りてないところがさすがだ)アルファ米をバターでいため、粉末のオニオンスープをお湯でといておいたもので貝柱で煮込む。うまい!!笹田さんの食事はいつも手早く、軽くて、そして、美味しい。温かいものを腹につめ、元気がついたところで、撤収、出発。
昨日と同様、カトさん、さぶ、笹田Lのオーダー。
樹林帯を進むと、次第に視界が開けてくる。美しい尾根の背中に乗っている3人。
後ろを振り返ると富士山がどーん!左を見ると権現岳がどーん!
顔がにやけてしまう。素晴らしい風景だ。

富士山をバックに上がってくるカトさん、笹田リーダー
富士山をバックに上がってくるカトさん、笹田リーダー

カニのはさみが見えてしばらくテントが張れるくらいの平らな場所に出る。
でも、風が強いと危険そう。。。
カニのはさみの基部(これが第一岩峰と言っている記録もおある?)を左に巻くが、一瞬、体を切れ落ちた外に出さないといけない箇所があり、ここでカトさんが躊躇。確かに怖い。
笹田さんに先に行ってもらい、お助け紐を出してもらう。ありがたい。。。
ほどなく行くと、
直上する10メートルほどの岩場。ここで、先頭のカトさんが再び、躊躇。ここで初めてザイルを出して、笹田さんにリードしてもらう。私は立木にセルフを採り、笹田リーダーをビレイ。

一つ目の岩場。ミックスでいやらしい。。。
一つ目の岩場。ミックスでいやらしい。。。

ほどなくビレイ解除のコースが聞こえ、私は中間で結んで、登攀開始。
重荷を背負っての登攀は厳しい。途中、体を上げるのを躊躇するような場所あり、ロープ出してもらってよかったと思う。
引き続き、カトさんを私が引き揚げ(今回は半マストを多用しました)、その間に、笹田リーダーはするすると上に上がってしまう。終始こんな感じのシステムで上がっていく。

もう1ピッチ上がると、30メートルほどの第二岩峰にあたる
(これを第一岩峰と言っている記録もあるがどれが正しいか定かではない・・・。ちなみには私はこれが大天狗だと思っていた。だめすぎる。。。)
あとで、他の記録をみると、ここでフィックスザイルがあったらしいが、見当たらなかった、雪の下か、撤去されたか。
ここも、笹田さんがまずリード。

第2岩峰? トラバースあと、ルンゼを上がっていく 笹田さんリード
第2岩峰? トラバースあと、ルンゼを上がっていく 笹田さんリード

8メートルほど切り立った岩場をトラバースし、雪の岩のミックスの壁を上がる。
笹田さんは、するする上がっていたが、私にはちょっと手にあまる。ここは私はプルージックで登ったので、片手を離すのがちょっとつらい箇所があった。

右手はバイルを出して雪に打ち込む。左手は、恥を忍んで、ロープをつかんでぐっと上がる。その上は雪壁。
笹田さんは、立木でビレイをしていた。私が上がると、「俺のビレイはいいから、カトさんあげてあげて~」とするするまた登って行ってしまう。スゲー。。。

ルンゼを上がってくるカトさん
ルンゼを上がってくるカトさん

カトさんが上がってきて、また、私が押し出されるように、上に上がる。
ここの間があまり記憶にないが、次のピッチはあまり難しくなったようだ。
途中、コンテを交えて上がっていくと、岩峰をぐるっと右に巻いたところで、手ごわそうな壁が現れる、どうやら、これが大天狗だったらしい(私はこれが小天狗だと思っていた..orz)
笹田さんが、手前の立木のところで、体に巻いたザイルを下したので、ここでビレイするのだなと、立木にセルフをとり、半マストの用意。
笹田リーダーはとことこと、数メートルのミックスの壁をややトラバース気味にいく。
岩場には、残置のパサパサのシュリンゲが風に揺れている、笹田リーダーはその横にもうひとつあるハーケンでランニングをとり、右にトラバース気味難なく上がっていく。本当、何でできてるんだろう。。。うちのリーダーは。。。
上がせまいテラスになっているようで、そこでピッチを切ってくれた。
(テラスには、ぴかぴかの新しい鎖あり)
私は、セカンドなので安心なはずなのだが、それでも怖いものは。怖い。
一応「落ちてもいいですよね?」と念を押してからトライ。トラバースが怖いので
うすかぶりだが、ガバがある方を選ぶ。ランニングをとってあった壁から、力任せに、体を上げる。

大天狗登り ちょうど私の左側にパサパサのシュリンゲ。 テラスに上がるところがうすカブリ。
大天狗登り ちょうど私の左側にパサパサのシュリンゲ。
テラスに上がるところがうすカブリ。

さすがに息があがり、テラスに出たときは、精神的にやられていた。
「じゃ、カトさんビレイして~」と例のように言われたが、「ごめんなさい!少し休ませて~」
とお願いする。いやはや、情けない事、この上ない。。。
「日が暮れちゃうよ~」との言葉にまずいと思い直し、カトさんをビレイ。
カトさんも直上ルートを選ぶが、手に力が入らない模様。
それを、笹田さんがゴボウで引き上げる。
この時点で、14時近く。急がないと、降りる頃にはヘッドランプが必要になるだろうとのことで、ここからコンテを交えてトラバースをすると出たコルが小天狗のコル(だったらしい。小天狗はコンテで草付き交じりを左にまいて抜けたとリーダーから後で教わるも記憶が定かじゃない。記録係失格。。)
最後、雪壁を登り、登山道に出ると、鎖がまだ出ている。稜線は風が強く(笹田さんいわく、ヤツでは、このくらいは、そよ風だとのこと。)
コンテのザイルが足に絡まり、怖い。ここで、さぶ、風とロープに八つ当たり。
1人、プチキレながら歩く。
赤岳に直登するのかと思っていたら、左巻きに巻き道がついているようだ。
ほどなくして、文三郎尾根の標識をみつけた。
ここで、相当ほっとする。文三郎を降りてると16時10分の交信時間になる。
カトさんより、ハギ隊が心配しているだろうと言われ、トランシーバーで交信を試みると、スガさんが応答してくれた!もうテント場にいて、場所も確保してくれているとのこと、
あと20分ほどで到着する旨を伝え、交信を終える。
仲間の声に励まされ、順調に文三郎を降りていくと、部長がなんと迎えに来てくれていた。
「ケッチボー」と声をかけて、お互いの無事を喜ぶ。
テンバにつくとハギ隊のみんなが出てきてくれて、フラッシュの嵐。
成田空港についた、ハリウッドスターの気分だ(笑
しずかな部長おすすめの場所に整地までしてくれて、温かいスープまでふるまってくれる。
仲間は本当にありがたい。
はじめてここで3人で集合写真を撮り、幕営。

行者小屋でパチリ。リーダーありがとうございました!
行者小屋でパチリ。リーダーありがとうございました!

行者小屋でビールを買い込み、さぶの軽量化マーボカレー鍋を食べたところで
ハギ隊のテントお呼ばれし、合同宴会。お互いの山行話に花が咲く。

笹田リーダーより、今日は疲れがたまっているので、翌日の登攀はやめて、ハギ隊と行動を共にしようと告げられ、赤岳ノーマルルートに変更。
安心して、あるだけの酒を流し込む。ああ、酒がうまい。。。

3日目
ハギ隊長のもと、赤岳を地蔵尾根から上がる。
詳細はハギ隊ミヤノリさんの記録を参照。
晴天の下、ピーンと張りつめた厳冬期の空気。
地球って丸いんだなーって感じさせるようなパノラマの風景。
そして阿弥陀、権現などのヤツの名峰。
登るかもしれなかった大同心を遠くで眺めながら、山にいる幸せをかみしめる。

地蔵尾根から赤岳を臨む。ダイヤモンドダストが!
地蔵尾根から赤岳を臨む。ダイヤモンドダストが!

赤岳の頂上で、行者から上がってきた。コバケンコンビに遭遇し、
期せずして、赤岳集中山行。厳しくも、最高の合宿であった。

赤岳頂上でコバケン隊とバッタリ!奇跡!
赤岳頂上でコバケン隊とバッタリ!奇跡!

厳しいルートを常に冷静に判断して私たちをリードしてくれた笹田リーダー
体調が悪い中でも、常に前向きに行動するカトさん
そして、温かく行者で迎えてくれたハギさん率いる天狗~硫黄縦走隊
驚異のスピードで赤岳に登ってきたコバケンコンビ。
皆さんと一緒に山に行けたことに心から感謝します。

(笹田L感想)

「天狗尾根」                        笹田記

大天狗を越えて小天狗にさしかかる頃には疲労が著しくなり、コンテのザイルが常時緊張して立ち止まる状態となった。

稜線に出て10分間の短い休憩を取る。

これからの竜頭峰から赤岳直下までは吹き募る雪交じりの八ヶ岳特有の北西風を避けるすべは無い。

その間ビバーグの適地も無く、明るいうちに行者小屋に辿り着くべく強行する。

ザイルが風に翻弄され、仲間の顔面は烈風に晒されて赤鬼の様に見える。

アンネ・ソフィー・フォン・オッターが歌う「コッポンゲン」の癒しのメロディーが聞こえる。

・・・・・never die.

此処だけは覚えている。

通信販売で買ったCD “Healing Voice”の中の一曲だ。

帰宅後改めて聞いてみると

一小節は

There is silence around me in the peaceful winter night.

From the church down in the valley.

I can see the candlelight.

And I stopped for a moment in this winter paradise.

When I heard a choir singing through the darkness and the ice.

今だ厳しい冬山に身を置くことが出来る幸せは、何物にも代えられない。

 

(カトさん感想)
今回の合宿参加者は5隊、13名。私はミナト合宿担当から取りまとめを依頼され
た俄か担当。ミナトさんの水面下でのお膳立てとリーダーの主体的企画で今回も
多数の参加を得た。冬合宿初参加者は4名。今年入会2名とベテラン2名。八ヶ岳
というなじみの山域の所為かも知れない。また、9連休という好条件かもしれな
い。
前半は好天気に恵まれて順調に推移したが、中盤(1/1-1/2)は風雪激しく行動
不可となり撤退となったことは残念だった。しかしこれも良き経験でリーダーの
好判断を称えるべきだろう。また、急変への対応も各隊へのコミが良く取れスムー
ズな行動になったこともよかった点だろう。
さて、私はというと、出発前夜から体調不良。前夜2回嘔吐。朝家を出て北赤羽
駅に着くまでの5分間で2回嘔吐。体温は36.9。足はしっかりしているが気分が悪
い。コンビニで胃薬を買って飲む。前夜食事を食べすぎたものと判断したが、ど
うも2日前に食べた生かきが原因のようだ。電車に乗り体温を測ると36.3度。山
行を止めようとも考えたが体温が下がってきたので行ける所まで行こうと決断。
軽量化したつもりでも8日分の行動食、1/2以降の登攀具などザックは重い。20K
g弱程度か。冬の天狗尾根、大天狗、小天狗は厳しいと聞いていた。しかし、笹
田さん、さぶさんのお陰で何とか行者まで辿り着くことができた。雪山の厳しさ、
楽しさを味わうことができ、また、自分の拙さ、弱さなど含めていろいろな意味
で価値ある山行だったと勝手に思っている。パートナーの心配を顧みずに…。
いつものことながら別世界、異次元の体験をさせてもらっている笹田さんには感
謝している。
1/1以降計画変更があり別働隊と合流ができなくなったので急遽テントを撤収し
て下山することにしたが荷は重かった。
この冬合宿は重い荷に泣かされた山行だった。

 

谷川岳西黒尾根雪上訓練(泊り班・日帰り班)

●期日:12月14日 ~12月15日
●参加者:
泊班/CLサブ、SLグッチ、カト、笹田、ハギ、みどり、コバ、いしつかみ、ツノダ(記)
日帰り班/Lケン、アトム、みやのり

 <記録>

・12/14 9:30 谷川岳ロープウェイ→14:30ラクダのこぶ(テント泊)。
14:00谷川岳ロープウェイ駅(日帰り班)
・12/15 7:20幕営地→11:20谷川岳ロープウェイ駅

先発車班の笹田さん、コバさん、いしつかみさん、ツノダは13日22時王子駅を出発、水上道の駅仮眠。
雪交じりのお店の軒下に3人宴会し就寝。いしつかみさんは風邪気味で車中泊。
後発車班日帰り・泊り班は14日6時王子駅を出発。
58期新人訓練と正月八ヶ岳冬合宿前の雪上訓練を兼ね谷川岳ロープウェイに12名全員集合。

天候は晴天、冬装備を付け登山センターを抜け西黒尾根取付きからサブさんをトップにゆっくり薄雪の中歩行。鉄塔を過ぎた頃は春山の気分。ほぼTシャツのメンバーもいる。

西黒尾根雪訓
思いがけずの晴天

途中、ラクダのコルからのUターン3人に会う。トレースが出来てありがたいです。
樹林帯から天神平スキー場のスキーヤーが見える。なんて良い登山日和で明日の天神尾根の下りを期待。
サブさんより時間に余裕あれば今日は肩の小屋泊り予定とのこと。
稜線に入りラクダのコブ前のピークでアイゼンを装着。
ここで日帰り組3人と別れる。次回は八ヶ岳で会いましょう。

後ろからJ堂医学部山岳部が抜くがアイゼンなしで岩場に少し手間取っている。
我々は用心しロープをフィックス。

ラクダのコブ14時30分着、頂上はガスがかかり視界が悪くのでスペースがあるここでキャンプ。
全員でテント2張りとおトイレをあっという間に建設。日帰り組と定時連絡、お互いに無事を確認。
コンテ登高時のビレイシステムや無線機、ビーコン、ブローブの説明、方法をサブさん、カトさんよりを教授。

夜食はいしつかみさんのあったかいキムチ鍋にうどん。
寒い夜だが酒が入った身体をさらに熱くする美味しい夕食、ご馳走でした。
夜半から段々荒天になり笹田さんが時々外に出て除雪、私の背中を押す白い重い雪。それでも寝る。

16日朝4時起床。小羽シェフのおでんの素とこぶ茶の味付けの雑炊。軽量化をしながら絶品の味付け、恐れ入ります。

荒天の事でサブさんより7時下山が伝えられ、明るくなり夫々、装備装着、テント撤収。

グッチさんとロープを組み先行、腰までのラッセルで10m進むのに10分。まだ風がないのが良かったです。果たして今日中にロープウェイに着くのかを懸念しているのは新人の角田だけか?
スタカットしながらラッセルを交代し中々進めない為途中でワカン装着。

前日のフィックスした地点でツルベ登降。小ピークを過ぎてもラッセル。クサリ場の下りは緊張し樹林帯に手前で集合しロープを仕舞う。後ろよりJ堂医学部山岳部が合流、後は若い彼らにラッセルを交代。

段々風が強まるが滑落の心配がなく後は着実にルートを下るのみ。途中コバサンのGPSで確認。
最新機器を使用する事や荷物を軽くし速く登る事は安全登山の基本だと改めて思う次第です。

途中入山する5・6パーティーの会い、こんな荒天の中テント泊の入山するパーティーもあり大変びっくり。鉄塔の下で集合しサブさんの指導で滑落訓練や耐風姿勢も行いました。

11時20分全員無事ロープウェイ駅の下山。バス、電車班と車班に分かれ夫々帰京の途へ。

本格的な冬山の前の訓練と思いましたが西高東低の冬型になれば一晩に1mも積もる時もあり安易な考えでいけないことを改めて思う山行でした。

2013夏合宿(沢隊) 追良瀬川、ウスラ石沢、白神岳

2013 夏合宿 追良瀬川〜ウズラ石沢〜白神岳

日程:2013.8.10〜14(予備日1日含む)
参加者:アベ(CL),ハギ(SL),イタ,sa山,エビ,スガ(記録)
実際の行動:
8/10 上野・大宮より東北新幹線にて新青森,特急で弘前へ.弘前で全員集合,タクシーにて入渓地の追良瀬大橋まで林を経て追良瀬堰堤の付近(マッタの沢との出合)で幕営
8/11 幕営地〜五郎三郎の沢(滝)前で幕営
8/12 幕営地〜ウズラ石沢遡行し幕営
8/13 幕営地〜白神岳〜白神岳登山口駅〜陸奥岩崎(静観荘)
8/14 陸奥岩崎〜弘前,帰途につく

この計画の立案者であるつりしが,急遽不参加となり一旦呆然となる.が,CLをアベに変更して計画通りに遂行することとなった.

出発前日,秋田・青森が豪雨に見舞われた.最初はあまり気にも留めていなかったが,時間を追うにつれ入ってくる災害の情報に,入渓が危ぶまれるかも…という危機感が出てくる.

自車で一足先に東北へ向かっていたsa山は秋田で足止めを食らい,沢隊の面々に「電車が不通で弘前まで行かれない,どうしよう…」というメールが届く.秋田—盛岡間の在来線も新幹線も不通らしい.

時を同じくして,入渓に使う道路が寸断されたかもしれないという情報をハギが入手,慌てて調べたところ,幸いにも我々が通る道路ではないことがわかる.

夕方になって,sa山から弘前到着の一報.能代まで行ったものの,大館あたりが大打撃を受けており,奥羽本線は不通でどうしようもないことがわかり,仕方なく弘前まで自車で移動したらしい.

この日,アベは河口の水位変化をチェックしており,スガもまた雨雲レーダーを見ていて,雨雲は追良瀬川流域にはほとんどかかっていないことを確認していた.

アベが「実際には行ってみないとわからないから決行しましょう,もう行っちゃっている人もいるし…(苦笑?)」と宣言したため,スガは夜行バスで出発.

 

第1日目(8/10)

スガは早朝弘前へ到着し,先に来ていたsa山と合流する.

アベ,ハギ,イタ,エビも新幹線で予定通り新青森まで出た.ところが弘前へ出るために乗車予定だった特急が運休となったため,1時間遅れで弘前到着.

全席指定の新幹線は通路に人があふれるほど満員だったらしい.前日の豪雨の影響は盆の帰省の足にも大きな影響を与えている.

11:30 無事に6人全員集合.城東口にて予約していたジャンボタクシーに乗車.

弘前市内の川は濁流だったが山間部へ行くにつれ澄んでいき,皆「おおっ!(これはもしや…)」期待に胸が膨らむ.

途中,水を汲んでおいた方が良いだろうということで,暗門の滝そばのビジターセンター?に立ち寄る.一大観光スポットらしく観光客が多い.(エビはそこにあった滑り台へいく.思いの外,急で長かったらしい.)

再度タクシーに乗り込んだところで,運転手がこの近くにある白神のマザーツリーを見に行ってはどうか?と提案.時刻はすでに13:00過ぎ,どうせ今日はそんなに行動できないし…というわけで,ちょっと寄り道をして皆で樹齢400年(推定)のブナの巨木を見に行く.

そして,このあと運転手のちょっとした勘違いで,下りるべき場所を30分以上行きすぎてしまい, 気づいて戻ったものの,約1時間のロス.我々は大して気にもしていなかったが,運転手はかなりへこんでいた.

15:30 追良瀬大橋着.川は澄んでいて穏やかに流れているように見える.そしてなぜかそこに釣り人らしき姿を発見.(…いいのか?)

(因みにタクシー代金は,恐縮しきりの運転手が2万円でよいと言ったのだが,観光もさせてくれたし…とアベが言い,会計のエビは板挟みとなり,結局本来の料金である2.5万円を支払った.)

支度を整え,今日は堰堤付近でテントを張ろうと,出発する.この川沿いの小道はアブがかなりうるさい.途中でヤマカガシがひかれて死んでいた.

16時過ぎ,堰堤の手前でテントを張れそうなところがあったため,アベとハギがその先を偵察に行く.そして堰堤を越えたところのほうが良さそうということで移動.

堰堤を越えたすぐ右手からの小川がマッタの沢(ユキブカノ沢)で,そこにも釣り人が1名いたが,すぐに去って行った.

追良瀬川
追良瀬川

このマッタの沢との出合でテントを張る.魚が良く跳ねているのは夕方で虫が多いからだろうとアベ.

この分ならば先にも行かれそうだろう,とりあえず無事の入渓を祝い宴会,

20:30頃就寝.

 

第2日目(8/11)

4:00 起床.朝靄がかかってはいるが晴れている.

5:35 出発. (どうでも良いが,出発しようという時にスガが鼻血を出した…)

6:15(一本)休憩中,エビが座った石がちょうどお尻にはまっていた.

少し行くと両岸が高く,ゴルジュとなる.(アベは黒部のようだと言う.)

川幅は広く流れは穏やかで,時折男性は腰程度,女性は胸くらいまで浸かる事はあるものの,そんなには水量も多くはないため,両岸や川の中を進む.

7:35頃? 一の沢(ダケノ沢)通過.

7:42頃 一の沢の先で一本.そういえば,明るくなってくると虫が多くなってはくるが,出発前に聞いていたほどの襲撃にはまだ遭っていない.

8:00頃? 石の滝か?深い釜のあるゴルジュ.へつりか巻き道で越える.

8:30頃 予想外にすごく水流の細い(水量の少ない)四十八滝の出合で一本.

シノリカ?モ
シノリカモ

出発してしばらく行くと黒っぽい体色に白斑が顔や体に見られるシノリガモを発見!人が来たためか,慌てて上流へ移動していく.

さらにその先で川の中に別のシノリガモの群れを発見!!(9:20頃)

白神周辺で繁殖しているのだが,運が良ければ見られるというレベルの遭遇率らしい.ということは,紛れもなく運は良い!!

9:40頃 ジャグノ沢出合で一本.

 

五郎三郎
五郎三郎

10:40頃 五郎三郎の滝.

テン場到着としては,だいぶ時間が早かったが,この先に良いテン場があるかわからず,またもしあっても,他に入っている人たちとかち合って使えなかったら困るため,当初の予定通り,滝の向かいの広い川岸を本日のテン場に決める.

テントを張ったのち,滝の直下へ行ったり,服を乾かしたり,ぼーっとしたり,各々好きに過ごす.少し上流には深い淵があり,魚影が見られる.

昼頃に,ハギが持ってきた素麺を茹でる.同時にアベが某スポーツ店で勧められたという,水で戻す餅を振る舞ってくれた.

お盆時期と言うことでもっと入渓者がいるかと思ったのだが,一向に後続の人々は現れない.また上流から下ってくる人もいない.

15時過ぎに,イタが周辺に生えているフキで蕗味噌を,ハギは持ってきた餃子の皮でピザのようなおつまみをつくりはじめる.

16:30にスガが天気図を描き終える頃,宴会開始.

21時頃? 就寝.

 

第3日目(8/12)

5:00 起床.またもや良い天気.

6:25 出発.

6:34 三の沢(シワラノ沢)通過.

6:45頃 深い釜をもつゴルジュ.皆へつって越えていこうとする中,

CLのアベが泳ぎを許可したため,へつりの苦手なスガは泳いで渡る.

(朝一での泳ぎはやはりキツかった…あとメットを外せば良かった…)

このあと,穏やかな流れの中を皆で(割と好き勝手に)歩いて行く間に,エビはカラフルでものすごくでかいヤマカガシの抜け殻を川の中で発見し,生きているのか死んでいるのかわからなくて,棒で突っついていた(そうだ).

7:10頃 人面岩(モアイ?というかゴリラっぽい?)を発見.

ナメ
ナメ

その後すぐにタキノ沢(すごく狭い沢).このあたりはとても美しいナメ!

7:30頃 一本.本流を心ゆくまで楽しみたくてのんびりと行く.

 

 

 

 

ホノ沢
ホノ沢

8:00頃 ホノ沢(本流の3m位?上部を流れており,本流とは垂直に曲がって落ちる小滝で合流.ちなみにその滝の脇の壁をエビが登っていた.)

 

8:40頃 一本.

 

 

 

ウス?ラ石沢
ウスラ石沢

9:00頃 とうとうウズラ石沢出合に到着.本流との出合は深い淵になっている.

たおやかな本流から離れてウズラ石沢に入る.いわゆる沢登りらしくなってきても,やはりここは東北の山(沢).丹沢や奥多摩とはひと味もふた味も雰囲気は違う.

少しだけ深い所にイワナの影.ぐるぐると泳いでいるのを皆で見つめる.

9:40頃 一本.ふと空を見上げたら,猛禽類が飛んでいた.(クマタカではないとは思うが…)

ウズラ石沢に入ってしばらく行った先に出てくるはずの「右壁直上10m」というのが遡行図にはあるのだが,結局わからずじまい.

11:25頃 「ネコのひたい河原(仮)」の少し手前?とおぼしきあたりで一本.

少し上がってもその「ネコのひたい」が不明…そこで沢が左に曲がっている形状のあたりで,テン場適地を探しにアベ,ハギ,エビが空身で偵察に出かける.

3人が戻ってきて,少し上がったところが良さそうとのことで,そこにテントを張ることに.(12:30頃?)草木を踏みつけて整地,設営.

テント設営後にアベは沢沿いに生えるミズ(ウワバミソウ)を採って,お味噌汁とおひたしをつくってくれた.

この日の天気図も問題は見当たらず,沢中最後の宴会を楽しみ,21時頃就寝.

 

第4日目(8/13)

5:00 起床.昨日までと異なり樹林の中ではあるが,天気は良さそう.

6:40 出発.

7:35 一本.

二股になっているところを左側に行く.

8:45頃 一本.

この辺から白いナデシコとかなり大輪のダイモンジソウが見られるようになる.

沢は消えたり現れたりを繰り返し,いくつも二股を生じる.基本は左へ,とはいうものの,あまりにも左へ左へと行くと,予定の場所より外れてしまうため,地図と地形とコンパスと皆の頭をつきあわせて相談しながら進んでいく.

9:20頃 笹のトンネルが出現.何となくネズミになった気分?で前進.

恐らくそんなに長い時間ではないと思うから,15分程度経った頃だろうか?笹のトンネルが消えて,とうとう笹をヤブ漕ぎすることに.しかし,これもすぐに終わって登山道へ!!

9:40頃 避難小屋到着.前のベンチで沢装備解除.

小屋を覗くと誰もおらず,きれいな2階建て.そして離れた所に非常に立派な(小屋よりも大きい?)トイレが建っている.

ちなみにこの辺りでドコモのガラケー(スガ所有)は通信可能だったため,飛び込みで静観荘に宿泊予約.ついでに掲示板にも一言書き込む.

白神岳
白神岳

10:30頃 白神岳山頂登頂.

白神岳は深い山の中の頂,という感じ.北海道の山や南アルプスの深部の山の様相.また,登山者は思いの外少なく,1〜2名の数パーティーが現れてはいなくなり,という感じで静かな山を堪能.

10:45頃 名残惜しい気持ちで下山開始.

11:25頃 ブナ林の中で一本.少し霧が出てきてこれもまた幻想的.

12:15頃 一本.

12:40頃 三角点を通過(どうやらこれが蟶(マテ)山だったらしい)

12:50頃 「最後の水場」(登る人にとって)

13:22 二股通過

14:00頃? 登山口

五能線の時間までかなりあったのと,下に下りても水場はないハズということで,ここの水場で沢靴等を洗いまくる.テントもロープも干しまくる.他の登山者が少ないのを良いことに,我が物顔に占拠する….

15:20頃 ここにいても不毛だし,ということで,駅へ向かうことに.

意外とこの舗装路歩きが暑くて苦痛だった.

線路を越えると祭りの装いをしている人を見かける.

16:00 白神岳登山口駅到着.

1.5時間ほど待つので,荷物をまとめて置いておき,皆で海へ行ってみることに.

途中,道に出ていた女声に海の方向を聞いたら,その方は食料品店の人だった.(看板がないから店だと思わなかった.)そこで念願のBeerを仕入れて海でゆるりと1Hほど過ごす.お盆らしく家族連れや子供が磯遊びに興じている.

17:36発に乗り,3駅先の陸奥岩崎駅で下車.10分弱歩いて宿へ.

意外と大きな宿だったが,この日の宿泊客は我々を含め4組しかいなかった.

到着後,ひとまずフロに入った後に夕食.噂通りの料理の多さとおいしさに舌鼓を打ち,天候に恵まれた今回の山行の無事を皆で祝した.

 

第5日目(8/14)

6時頃,ハギとスガで海沿いを散歩.

スガはカモメの羽を拾い,ハギはルアーを拾い,これはアベにプレゼント.

朝食後,少しのんびりしてから駅へ向かい,五能線で弘前へ.

途中,追良瀬川の河口を渡る.とても広くて穏やかな,そして水の少ない流れだった.

3Hくらいかけて弘前に到着,解散と相成った.アベ,ハギ,イタ,エビは東京へ.sa山とスガは山のはしごをするために鳥海へと向かうことになった.

 

<感想>

白神山の感想

憧れのマタギ住む山、ブナの原生林から流れ出す清流に棲むイワナ。
山田さんから計画が出されたとき、行くしかないと思いました。
自分にとって東北の山は未知なる所です。
急遽行けなくなった山田さんには、本当に申し訳ない。
お世話になりっぱなしでした。同じように皆さんにも。
今回の山行は本当に天気に恵まれました。
入山直前に東北地方を襲った豪雨、そのお陰なのか我々以外のパーティーに出合うことも無く、アブに悩まされることも無く、1泊抜けられる沢旅を2泊掛けて楽しんだ。天気に感謝です。
沢の中で寝泊りして、秩父の山奥の沢とそれほど大差ないと思った。
ここは世界遺産、秩父の山は世界遺産ではないが、同じように守っていかなければならない遺産に違いない。
奥多摩だって、丹沢だって同じ遺産ではないのか、そんなことを感じました。
泊まった宿の海の幸には感動しました。
また、五能線の車窓に写る海の美しさも世界遺産級でした。
アベ——————————————————————————————————————————————————————————————————————

感想(ハギ)
登山行為というよりは、渓の生活を楽しむ。
対峙するというよりは、静かな営みを乱すことにゴメンナサイしながらその懐に入り込み、包み込まれたその空気・水・緑と溶け合えた…かも知れんと感じられることに感謝する。
以前行ったなおさんから聞き及び、憧れていた世界遺産・白神山地の沢登りは、そんな夏の「旅」でした。
「変化に富む遡行内容の面白さ」を求めてしまうと物足りない…のかも知れません。
が、我々の貸し切りで、東北の自然の奥深さを思い切り満喫できました。
詰め後も旅の延長、白神岳のてっぺんから、ブナの森を抜けくだり、海抜ゼロメートルのフィナーレ感動。
電車待ち、海でチビヤドカリ・チビハゼ・チビカニにちょっかい出しながらのビール幸福。
飛び込み泊S a山さん推薦民宿のこれでもか的海の幸ごはん堪能。
帰路弘前に向かう、海岸線を舐めるように行く五能線の旅、晴れ渡った日本海に悠々と流れこむ追良瀬川、感無量。
…前日は実施絶望的と思ってましたが、アベさん・スガさんの情報収集力に感謝。また出発日は秋田新幹線は豪雨影響で動いていなかったので、当初から東北新幹線経由の弘前からアプローチとしていた、つりしさんのプランに感謝。
春からプランを温め着々と計画を詰めてくださっていたつりしさんは直前で行けなくなり、本当に残念でしたが、アベCLはじめ一緒に旅した皆さま、…もう、なんか本当に何もかも楽しくて…。ありがとうございました。——————————————————————————————————————————————————————————————————————————

白神
沢登りを再開した時買った沢の本に追良瀬川が載っていて、いつかこんなふうにのんびりと行ってみたいなぁ・・・と長い間思っていました。
つりしさんが計画を立ててくださり、辿ることが出来て嬉しさいっぱいです。
大きな滝が眺められる五郎三郎のテン場でのんびり青空を眺めながら昼寝をしたこと、
並んで泳ぐ鴨の後をそ~と歩いたり、きれいな滑に喜んだり、三日目の狭いテン場から眺めた星空など、今までになくゆっくりとした沢旅を味わいました。
追良瀬川に別れ、太いぶなの森に包まれて清々しい空気を胸いっぱいに吸い込み下るのは気持ちの良いものの、終ってしまった寂しさが去来していました。
いつも微笑みで包んでくれたリーダーのアベさん、奇妙な行動で笑わせてくれたSa山さん、皆を引っ張ってくれたハギちゃん、ユニークな発想で笑いがたえないエビさん、泳ぎが得意いで沢慣れたスガさん、ご一緒下さりとてもとてもありがとうございました。
笑いがたえないなごやかな旅でした。
イタ——————————————————————————————————————————————————————————————————————————

  記
白神山地での日々は、私にとって「白神山地を沢登りした」「追良瀬川を遡行した」というよりも2013年の夏にゆったりとした優雅な時間のなか6人で贅沢な共同生活をおくったという大切な思い出になりました。
正直に申しますと少し単調な川原歩きの部分などでは、ちょっと物足りないと感じたところもあったのですが、五郎三郎のキャンプ地で明るい光に包まれて過ごす時間は、贅沢で幸せを感じずにはいられませんでした。
皆々様、本当にありがとうございました。
エビ——————————————————————————————————————————————————————————————————————————

 今頃,白神の山は深い雪に覆われていることだろう.
2013年は,雨に祟られた夏だった.しかし,どのような幸運が味方してくれたのか,追良瀬川の遡行は最も良い状況で行動できたと思う.前日までの嵐が嘘のような好天続き,平水に戻ったのであろう水量,予想外の虫の少なさ,これらが物語っている.
そして,この上もなく贅沢な時間を過ごしたことは間違いない.
沢に行きたいというだけでこの山岳会に入ったようなものなのだが,これまでの間につりしさんに色々連れて行って貰えたことが,この合宿につながったのだと思うと非常に感謝したいし,共に歩けなかったことが残念でたまらない.
最後に,CLとしてまとめて下さったアベさん,先頭に立って隊を導いてくれ,最後は良いところに詰め上げてくれたハギさん,細かいところで沢山サポートして下さるイタさん,飄々と自由に動いているが時としてかなり役立つアドバイスを下さるsa山さん,そしてこの夏合宿を計画し参加の機会を与えて下さったつりしさん,皆々様に深く深く感謝したい.(そして記録のUPが大変遅くなってしまい申し訳ありません.)                                  スガ

八ヶ岳冬合宿ハギ隊(天狗~硫黄~赤岳)

八ヶ岳縦走
・年月日:2013.12.28(土)~30(月)
・参加者:
ハギ(L)、部長、スガ、みやのり(記)
・行程:
1日目(12/28、晴れ)
新宿駅発8:00(スーパーあずさ5号)-茅野着10:06-バス(渋ノ湯行き)10:25-渋ノ湯着11:25/11:50出発-黒百合ヒュッテ着14:10 テント泊

2日目(12/29、晴れのち曇り)
起床4:30-黒百合ヒュッテ7:10-東天狗岳8:40-根石岳9:20-硫黄岳12:30-赤岳鉱泉14:00/25-行者小屋着15:30 テント泊

3日目(12/30、晴れ)
起床5:00-行者小屋7:20-赤岳9:30-行者小屋着10:30/11:30-美濃戸口バス停着14:15

・コース状況
全体的に登山者が多いせいでトレースは明瞭でわかりやすい。
天狗岳〜根石岳 クサリは出ているが使用せず歩行可能。
夏沢峠〜硫黄岳 中腹から迂回路があるが迷ったトレースあり。悪天の時は注意。

・記録、感想
バスを降りて、なにかとうるさい渋ノ湯の旅館の前で支度をして川沿いに行くと登山指導所があった。そこで山行計画書を提出し、いろいろ注意を受け、なぜか粗品のミニライトをいただいた。そこそこ急な樹林帯をぬけて行くと気持ちの良い空がぬける雪原があらわれ、また樹林の中進むと黒百合ヒュッテに出た。

黒百合平
黒百合平

テントは10張り以上はあったであろう。めぼしいとこを見つけ雪上整備を始める。20〜30分ぐらい作業したところで黄色い氷発見。「トイレ近いのにこんなとこですんなよ」と思いながら根こそぎ駆除した。テン場の平地ではしてはいけないなと自分に戒めた。
翌朝、トイレに起き小屋の温度計を見るとマイナス18℃であったが風があまりないのでそれほど寒くはなかった。

 

 

 

 

東天狗へ
東天狗へ

中山峠から天狗岳へ。空は青空。絶好の雪山日和で気分も盛り上がる。しかし、3000m級の山はあまくはなかった。樹林を抜けると風が強く、歩く足どりにも力が入る。1時間ほど強風の中で歩を進めると東天狗岳に着いた。山頂の裏側が風よけにちょうど良いところだったが人がぞくぞく来るのでそのまま根石岳へ。道の左側が切れ落ちていたがそんなに恐怖感もなくクサリ場通過。根石岳を過ぎ、吹きさらしで雪もほとんどついてないなだらかなコルに根石山荘があった。

 

 

 

 

 

根石岳へ
根石岳へ

 

テン場を出てから休憩らしい休憩をしていなかったので中で落ち着いて休めるかとおもいきや営業はしていなかった。しかし、自家発電が動いていたので中に声をかけに行くと親切にも中で休ませていただいた。少し休憩させて頂いてまた強風の中へ。しかし箕冠山の樹林帯は風もなく気持ちのよい雪山ハイクである。夏沢峠から硫黄岳へ向かうと中腹で迂回路への指示があり、トレースを進むと何本かのトレースに分かれていた。一番太いのを選び登坂して行くとハエマツの上を歩く道になったが無事に本道に出た。さほど急登ではないが強風の中を歩を進めると広い山頂をもつ硫黄岳に着いた。もうほとほと疲れていたので休憩したかったが風よけの小屋の中は雪で埋もれて入れずそのまま下山。赤岩の頭の下の斜面で風もおさまりそこで休憩した。そこからは安心な雪道で下山し赤岳鉱泉へ。その後登り返して行者小屋へ向かった。

 

 

 

硫黄岳をのぞむ
赤岳をのぞむ

 

行者小屋へ着き部長オススメノ樹林の中でテントを張った。先ほどの無線で連絡は取れていたので安心して天狗尾根隊を待つ。ほどなくして疲れきった様相の隊が下山してきた。よっぽどつらい山行を強いられたのあろうことが見て取れた。夜はその話を聞きながら酒宴で盛り上がった。

翌朝の起床時は星のきらめく快晴であった。前日下山時にもう満足し赤岳登らずに下山もと考えていたが快晴であれば気分もあがる。準備後、小屋の裏から地蔵尾根へ取り付く。ゆるやかな斜面もまもなく急斜面になり、鉄のハシゴがあらわれる。中途半端に出ているので注意が必要だ。その後も急登が続きハシゴやクサリがつづき、短いが両側の切れたリッジを過ぎ、岩稜帯をぬけると強風吹きすさぶ尾根へ出た。赤岳天望荘で風をよけて休憩し赤岳へ。頂上は見えているが強風で歩もままならず、急登でなかなか進まない。一歩一歩確実に歩を進め赤岳山頂へ着いた。山頂で展望を楽しんでいるとなんとコバケン隊とケッチボー。まさか山頂で会うとは。その後われわれは文三郎尾根で下山へ。階段はほとんど雪に隠れていて歩きやすく、赤岳主陵に取り付く人たちを見つつ下山した。その後、撤収して南沢から雪山ハイク気分で美濃戸口へ向かった。

冬の八ヶ岳には何回か訪れてはいたが今回気になっていたのは耐寒装備をどのようにするかだった。縦走であるのでなるべく軽くしたいし、かといって寒いのは嫌だし。結局、シェラフは3シーズン用で就寝時に上下のダウンを使用。アウターは裏地付きのドロワット上下で行動した。夜は寝ていて薄ら寒く、行動時には風も強く休憩時には末端が寒くはあったが支障なく過ごすことができた。それと今回は非常に天候に恵まれたことはラッキーであったと思う。計画時に核心は天狗岳の下りと硫黄岳の下り口探索であろうということであった。確かにもし悪天でガスっていたら硫黄岳の山頂は広くて大変であったろうし登りも方向を失う可能性があったろうと思う。冬山は体力も必要であるし天候を見極め判断する力が一番大切ということを肝に銘じなければいけないと改めて思った。

南会津・三岩岳縦走

●期日:2013年11月9~10日
●メンバー:つりし、いた、すが、ハギ(記)
●行程:
11/9…赤羽発6:00~小豆温泉駐車場発10:15〜三岩岳避難小屋着15:05
11/10…三岩岳避難小屋発6:05~三岩岳山頂6:55~三岩岳避難小屋発7:53~窓明山着8:55~家向山着10:35~巽沢山着11:43~車道着12:40

●記録:
7月に行った黒檜沢の下山道。その途中に水場付きのログハウス風素敵な避難小屋があった。
そこに泊まり、きのこ、特に!時期が良さそうなナメコを道すがら捜索し、ついでに?!周回コースで縦走しようという、なんとも欲張りな計画を、つりしさんが立ててくれた。

紅葉が道の両側に迫る素敵なドライブコースを経て、小豆温泉の駐車場から戻る形で10分弱、沢沿いコースではなく「国体コース(旧道)」からスタート。

右の緩やかな踏み跡を辿ったらすぐに不明瞭になり、左の尾根へトラバースした。ここは登山口からすぐ左に見える、朽ちかけた急な丸田階段を素直に登って尾根にさっさと取り付いた方がいい。

なかなかの急登だ。今日の行程は短いので迷ったが、分不相応に欲張らず、ビール一本だけ&度数重視のウィスキーでよかった…。7月下った時は、ずっとなだらか~なイメージだったのだが…そのなだらかな印象は、かなり上の方の記憶だったようだ。

早速、老菌だがムキタケ少々を発見、期待が高まる。

が、それからしばらくは、たまに見つけても食べごろ終了なきのこだけ状態が続き…相変わらず見上げれば気分が萎える急な道を淡々と登り、期待が萎みつつあったとき。つりしさんがやおら「ムムッ」と唸って登山道を逸れ、踏み込んだ先の倒木のたもとで叫ぶ。「ナメコだあー!!」

登山道から5メートル、こちらからは小さい粒が一つ、見えるだけだったのに見逃さなかったつりしさん、情熱のなせる業か。みんなその場でザックをかなぐり捨てる。
間違えようはなかったが、一応図鑑で確認。ナイフで丁寧に切り取ると、ぬめりがこれまた半端なく、ねっとりと糸を引き、手が粘液まみれになる(この手、どうしよう…)。さらに倒木に沿って奥に踏み込んだつりしさんがまたも絶叫する。「すごいよこっち!」
茶色い宝石のよう粒がつやつやと…みっしりと!
みんな笑いが止まらない。小さめのレジ袋二つにずっしり〜。

ナメコ♪ナメコ♪♪ナメコ♪♪♪
ナメコ♪ナメコ♪♪ナメコ♪♪♪

ニタニタしながら足取りも軽く急登を再開。途中ムキタケに加えてクリタケも少し採取。
晩餐が楽しみだ!!次第に雪が出てきて、いたさんが「初雪だわ~」と嬉しそう。

ブナ林の中を登ったあとは
ブナ林の中を登ったあとは
初雪踏み踏み
初雪踏み踏み

避難小屋で今日の行動は終了。小屋前の水場も、水筒に溜めるのにストレスがない程度にきちんと出ていてホッとする。雪に覆われる前でも、もう少し寒くなったら凍ってしまうだろう。

女三人が荷物を出したり、夜汲むのは嫌なので、水をありったけの水筒に詰めたりしている間に、つりしさんが丹念にきのこを洗い、塩水につけて虫抜きの下処理。たっぷりあるので、明日の朝食のすいとんにも入れることにする。

こんなに採れました!(もちろん食べきり)
こんなに採れました!(もちろん食べきり)

これまたつりしさんが担ぎ上げた日本酒の熱燗をやり、暖まってからビールで乾杯、きのこ汁を味わう。その味は…も、たまりません。
同宿の、単独男性二人にもおすそ分け。楽しい夜だった。

翌朝は四時半起床、トイレに外に出ると、星が出ていた。

朝から具沢山のナメコすいとん汁を頂いて元気一杯、荷物は置いて、小屋から軽アイゼンを履いて三岩岳を往復する。途中で雲の合間にご来光。積雪は多い所で15センチほど。
黒檜沢の薮漕ぎの終了点、思い出のポイントに出会いなんだかとても嬉しい。
曇っていたがガスガスではなく視界はクリア、山頂では会津駒の向こうに燧(多分)まで見えた。

見覚えのあるポイントに興奮するリーダー
見覚えのあるポイントに興奮するリーダー
山頂、奥の奥に燧?
山頂、奥の奥に燧?

小屋まで戻り、問題はこれから荒れるという今日の行動をどうするか、であるが、縦走路は森林限界以下=吹きさらしの稜線ではないので、縦走行ってみましょうとつりしリーダーの号令。予定通り、小屋からすぐの縦走路に踏み込んだ。
しばらく歩いたら雨がポツポツ降りだした。が、以降小雨程度で降ったり止んだりだったので、本当によかったと思う。

窓明山への稜線、右奥の池糖が見えるでしょうか
窓明山への稜線、右奥の池糖が見えるでしょうか

背の高い笹藪が防風林の役目を果たしている窓明山までの稜線、途中で行く手にぽっかりと池糖が見え、素敵な景色。窓明山からは下り、樹林帯に入りもう安心。途中でまた、つりしさんが登山道のすぐ脇にいるナメコ群を見つける。今度のは昨日のより大きめサイズで、一同ひとしきり興奮。他、下山中の収穫はムキタケ、ヒラタケを少々。あと同定できなかったキノコ(ブナシメジ、エノキタケの疑い。もちろん「確信なきは食わない」の、コバ師匠の教えを守る)。

こんなに大きくてもナメコです
こんなに大きくてもナメコです
紅葉に向かって降りていきます
紅葉に向かって降りていきます

途中までなだらかないい道だったが、ラスト高度差200Mまたウンザリな急降下になり、落ち葉で滑ってまったく気が抜けない。今回ストックは非常に有効だった。上の方は葉も落ちきっていたので、眼下に広がる唐松の黄色い絨毯がより一層鮮やかに見え、目を楽しませてくれた。
最後は大きく崩壊した脇を下り、車道に飛び出した。特に登山口の標識がないので、こちらから登る時は道路から見える崩壊と、20M先にある建築物が目印か。
車まで戻ってザックを置き、すぐそこの温泉に向かうタイミングを待っていたかのように、雨が強めに降り出した。

予定通りの行程を無理なくこなせ、山の恵みを頂いて、ひたすら静かな晩秋の山を存分に楽しめた。
とってもとっても、いい休日でした!ありがとうございました。

古賀志クライミング

●日時平成25年11月2日(土曜)~4日(月曜)

●場所:
11月2日「不動滝左フェイス」
11月3日「不動滝右フェイス」
11月4日 悪天候のため、インドアへ転戦

●ルート:当文書の末尾を参照ください

●参加メンバー:アベ(L)、サイトウ(SL)、中村、はぎ、つりし、さぶ、カオリン、コバ、みっちゃん、たかたか(記)

●記録 :
7時に岩槻駅集合。アベさんの車で、中村さん、ハギちゃん、カオリン、タカタカの5人は、古賀志のゲレンデへ向かう。3連休初日の下りは渋滞し、到着まで2時間半くらい費やした。

古賀志の岩質はチャートで逆層。しかし、傾斜はそれほど無く、5.9以下のルートも沢山ある。ボルトもしっかりしていて間隔も近い。とはいっても、リードとなると難しいもの。早速、ベテランのアベさんが「粉屋の娘さん」をリード。アベさんは右肩に痛みがあるそうだが、率先してリードを担当してくれた。阿部さんの登りは何回見ても、バランスが良く、とても美しい。また、もう1人のベテラン中村さんのクライミングは素早くて、あっという間に終了点に到達している。中村さんにとっては久しぶりの山行参加だが、そのブランクを感じさせない。さすが岩場に慣れているなぁと感じた。

さて、ベテランはその2人以外にも、もう1人いた。ハギちゃんの知り合いの男性、○田さんだ(とりあえず匿名)。偶然にゲレンデで会ったのだが、○田さんは「仲間が午後からくるので、午前中はクライミング仲間に入れてくれないか」とのこと。私たちも承諾して一緒にクライミングを楽しんだ。というか、何本もトップロープをセットしてもらった。と言ったほうが正しい。○田さんのお陰で、皆が様々なルートを充分に楽しんだ。

他メンバーも負けてはいない。特に、はぎちゃんとカオリンのやる気がすごい!幾つかの難しいかぶったルートに果敢に挑戦して、核心部分を何度も何度もトライする。○田さんも絶賛。「本当にすごい!よくそんなに長くねばるねえ。大したものだ。」と褒めてくれた。

この日、トータルで6~8本のルートを登り、疲れ果てた。だからこそ、その後の飲み会は最高だ。中村さんは所用により日帰りで残念。アベさんが美味しいご馳走を振舞ってくれた。1日目夜はキムチ鍋、2日目朝は鳥南蛮うどん。キムチ鍋は豚バラと蛤のダシが旨みタップリ、ニンニクとゴマの香ばしさが堪らない。鳥南蛮は鶏モモ(大)2枚をこんがり焼いてからカットして鍋へ。どちらも料理のコツがぎっしり詰まった一品。女子3人は、ビール片手に「へ~、勉強になるねえ~」などと言いながら、つまみをポリポリ食べている。。アベさん、すみません、本当にありがとうございました。

翌日の11月3日は、サイトウさん、コバさん、さぶちゃん、みっちゃんの4人が朝から合流。つりしさんは夜から合流予定。

まず最初にハギちゃんが「新人クラック」をリード。スムーズに登っていく。サブちゃんも同じルートを何の問題も無くリードでクリア。アベさんも「タケチャンマン」をリードする。このルートは結構ホールドが悪いのだが、相変わらずお手本になるクライミングだ。

リード中のハギちゃん
リード中のハギちゃん

さて、新人(?)の3人はどうだったかというと、、、

まず、コバさんはスタイルが良く手足が長いので、ヒョイっとホールドに手が届くあたりが羨ましい。そして、ハギちゃんとカオリン同様、結構ねばる。何度も何度も挑戦していて、体力があるなあと感じた。

みっちゃんは、外岩の経験は1、2回しかないにも関わらず、スイスイと登っていく。その姿に一同びっくり!岩登りの素質があると皆に褒められていた。そんな中、みっちゃんが急に「思いつきました」と言う。テンションかけるとき、その前に「あ」をつけると、「アテンション・プリーズ☆」(スッチー風)になる、ということを発見したらしい。。。私たちは何とリアクションすべきなのか?一瞬にして回りの空気を凍らせた。気を取り直して、みっちゃんが登る。しかし、中盤でまさかの「アテンション・プリーズ☆」を大声で叫ぶ。当の本人は、先ほどの凍りついた雰囲気を察することが出来ていなかったようだ。今回の合宿中、みっちゃんはこのような爆弾を何発もぶち込んできたのだが、その全てをここに書ききれないことが惜しい。何回お腹を抱えて笑ったことか。この調子だと、一年後には北稜会員はトレーニングなしで、腹筋がシックスパックに割れていると思う。

ガシガシ登るみっちゃん
ガシガシ登るみっちゃん

サイトウさんは、次から次へとリードをして、トップロープをセットしてくれた。流石20年前に日本のクライミング界を騒がせた男。長期ブランクを感じさせない安定した美しいクライミング。アベさんは昼過ぎに帰ったのだが、もしサイトウさんがいなかったら、残りのピヨピヨ集団は路頭に迷ったことだろう。本当にサイトウさんが入会してくれて良かった。他メンバーへの面倒見も良い。例えば、、「ドライアイス・センセーション」の終盤にマントリングする箇所がある。そこまではサイトウさんがリードしてくれたのだが、その箇所から終了点までのみをタカタカがリードすることに。しかし全くクリアできないタカタカを哀れんで、マントリングした後にある支点に、サイトウさんが隣のルートからヌンチャクを先に掛けてくれた。しかも3本も連なって。。 サイトウさんの優しさを感じる。タカタカには極楽からの蜘蛛の糸に見えたのだった。

どんどんリードする齋藤さん
どんどんリードする齋藤さん

この日も6~8本登って、皆大満足。夕食はコバさん特製カレーシチュー。トマトベースのスープにカレーの風味が食欲をそそる一品。まず、細かく丁寧に刻んだニンニクやショウガ、アクセントで鷹の爪などを炒めることから始まる。その丁寧な仕事に、皆が感心する。野菜とお肉がタップリ入って、栄養満点だ。さらにお手製のお酒も持参。そのほかにも即席アレンジで、酒盗のパスタ(これが絶品!)やソーセージのチーズ焼きなど、沢山のおつまみメニューを作ってくれた。昨日のアベさんといい、皆を楽しませようと色々気を使ってくれて、本当に感謝します。

そんな宴会の最中、つりしさんが到着。更に宴会を盛り上げてくれた。しかし、宴会の途中で急に強い雨が降ってきて、さあ大変。すると、つりしさんはご自身で作ったというタープをロープで木に固定して、即席で宴会会場を作ってくれた。さすが、沢登りの達人だ。

この夜、強い雨が降り、3日目の最終日は岩登り中止。深谷のジムへ転戦したのでした。

この3日間の合宿中、皆がクライミングを大満喫できたことと思います。リーダーのアベさん、サブリーダーのサイトウさんをはじめ、皆様大変お世話になりました。誠にありがとうございました!

●ルート詳細

11月2日「不動滝左フェイス」
・粉屋の娘さん(5.9) 中盤のカチが数手続くところが核心。
・沙羅ちゃん(5.8)
・ブラックレイン(5.8) 一番易しい。
・鼻カンテ(5.10b) 壁がかぶっているが、ガバが多い。体のフリを意識。
・競技会ルート直上(5.10a) 途中テラス沿いに左から回り込むと「競技会ノーマル」
・ウルトラマン・フェース(5.9) 少し壁がかぶっている。意外とホールドが小さくて悪い。

11月3日「不動滝右フェイス」
・新人クラック(5.8) クラック沿いにガバあり。
・タケチャンマン(5.10c) 少し壁がかぶっている。中盤でカチが続き、次の左手も悪い。
・ドライアイス・センセーション(5.10a) 体のフリを意識してバランスを取る。
上部のマントリングも面白い。色々なムーヴが出来て、良いルート。
・凹状フェイス(5.9) 体のフリ、バランス大事。ガバが多い。
・失神クラック(5.10c) 下部はクラック沿いにガバがあるが、中盤はカチが増える。
・凹状ハング(5.10a) え?ほんとに10a??ホールド悪い。

御嶽山山行報告

御嶽山

時期:2013年10月12(土)~13日(日)
メンバー:いしつかみ

1日目(10/12)
新宿発7:00→塩尻9:34・発10:03→木曽福島駅10:37(特急しなの7分遅れての到着)・バス10:43発→田の原着12:00 田の原12:05~王滝頂上~剣が峰(頂上)14:35着・発14:45発~二ノ池~五ノ池小屋16:40着

2日目(10/13)
五ノ池小屋6:00発~継子岳6:30~四ノ池~三ノ池~女人堂(9合目)9:00~御岳ロープウェイ9:45着・発11:20→木曽福島駅12:15→塩尻13:11・新宿着15:33

御嶽山へのアプローチは意外と長く、朝一のあずさに乗車し、乗り継ぎ乗り継ぎで5時間を要しました。途中信越線の遅れでバスへの乗り継ぎにハラハラしましたが、無事に登山口となる、田の原口に到着。思ったより人は少なく、思ったより寒い状態でスタートしました。ここ、田の原口は既に2256mあります。途中までハイキングコースにもなっており観光で訪れている家族などの散策風景がみられました。風は少しあるものの天気がよく気持ちよく歩き始めました。

 

登山口からの御嶽山
登山口からの御嶽山

今回は山小屋泊まりともあってどこかで観光気分に酔いしれていたのかもしれません。そこが大きな仇となり、後ほど試練が待っているなんてこのときは知る余地もありませんでした。順調に9合目まで来ました。この辺りから風が強くなって来ました。先ほどまで汗をかいていましたが、寒さが上回りはじめした。持ってきた上着と雨具を着込みました。(大丈夫かな?)不安な感覚が生まれながらも王滝頂上に到着。ここまでくると頂上までは15分程度。しかし風の他に霧までが発生。時より強い風が吹き、足が止まりそれでも一歩、また一歩と進むうちに頂上岳山荘到着。リュックを置き、階段を上り御嶽山の頂上、剣が峰に到着。頂上には立派な祠があり石像も何体か祭られてありました。静けさから不気味さも加わってか、写真を撮り急いで頂上を後にするのでした。

 

御嶽山頂上
御嶽山頂上

頂上山荘には数名登山者がいました。ストーブが焚いてあり、体を温める光景。私も手を温めさせてもらいました。10分ぐらい休んだら大分落ち着き元気がでてきました。ここから五ノ池小屋まで通常なら1時間程。アップダウンもほとんどない。「大丈夫、そう大丈夫」そう言い聞かせ、これから先の道のりに不安を抱えながらも出発しました。向かい風と戦いながら二ノ池を超え、賽の河原へ。ここは恐かったです。霧の中、人だ!と思う全てがお地蔵様だったり巨大ケルンだったり。視界がわるく3メータ先ぐらいしか見えませんでした。そして、3000m上空の世界とは思えぬほど、登山道は整備されていました。コースもあちこちありすぎ迷う場面も。迷ったら地図とコンパスで位置確認とかしなくてはなりません。しかし凍えた手でリュックから色々取り出すことが億劫で、これが優先し、感覚判断で進んで行きました。しかし、とうとう悲劇が起きました。“小屋まであと5分”と書かれていた看板から10分経っても、20分経っても着きません。やっと看板が見えて来ました。くいるように見ると、今まで歩いてきた方向を示しています。「えっ!」おかれている状況を把握しました。「これって遭難・・道迷い。」視界も2mぐらいになっていて泣きそうになりました。(不安、孤独、寒さ・・あ、どうしよう・・)とっくに山小屋に到着していいはずの時間は過ぎています。携帯電話を握り締め尾根に出たらSOSの連絡をしよう、そう繰り返しながら無我夢中で歩きました。踏み外さぬよう、見落としがないよう、体は霧雨でどんどん重たくなって行きました。尾根に着き辺りを見渡そうとした時、風が霧を払い行く手に五ノ池山荘が、五ノ池小屋と書かれた石看板がみえました。「あ~よかった、あ~助かった・・!」小屋の人も心配していました。周りの人も察知したのかストーブの前を空けて温めさせてくれました。この日の山小屋は大混雑でした。頂上山荘からココまで、誰一人と会わなかったのにココには沢山の人。ひょっとすると霧が濃かったので見えなかったのでしょうか。どうにか無事に到着出来たものの、情けないありさま、反省だらけの一日でした。この日の夜は氷点下(-4℃)。観光気分の装備しか用意していなかったので、遭難していたらと思うとぞっとします。10月の3000m級の山は恐いと思い知らされました。その夜は疲れていたのでしょう、7時半にバタン、きゅー。翌日4時半まで熟睡でした。

二日目の朝は、昨日とは一転、遠く北アルプスも見渡せる程の天気でした。あんなに迷った辺りも一望出来ました。5時50分、日の出を拝み6時に小屋を後にし、継子岳経由で御岳ロープウェイに向かいました。風が強かったのですが、展望がよく全て見渡せたので楽しめました。8合目にある女人堂に着くと、今朝登ってきたかと思われる登山者が途切れることなくロープウェイまで、つながっていました。絶好の紅葉、行楽日和です。センターハウスでは“木曽フェスティバル”が開催されており、ホルンや和太鼓の演奏が行われていました。きのこ汁や地元のお酒の試飲などもあり大勢の人が楽しんでいました。

 

木曽フェスティバル
木曽フェスティバル

振り返ると、身を持って“山の恐さ”を思い知らされた山行でした。「まさか御嶽山で!?ありえないでしょう。」みたいな“驕り”は、決してあってはいけないということでした。自立した登山者を目指しているはずなのに、地図は見ない、読めない。上着は持っていくも、薄くて意味がない。進むルートをはっきり把握していない。あれもこれも山の基本だらけなのに、全く機能していませんでした。反省点だらけです。これもまた経験の一つと忘れずに心に刻み、これからは二度とこのような事がないよう、行動していきたいと思います。

 

 

御嶽山、3067m信仰の山として知られています。
この霊山で、これからの山との向き合い方を教えられました。
山をやり始め4年目でした。だけどスタートラインに立った感じです。
まだまだこれからです。自立した登山者になるよう先輩たちにくっ付いて、色々学んで生きたいと思います。ありがとうございました!

利根川水系 楢俣川ススケ沢

【山行日】2013年9月20日~23日(前夜発2泊3日)

【メンバー】つりし(CL)、ハギ、コバ(記)

【行程】
9月20日 集合(21:00)-楢俣湖 林道ゲート着(0:00)
9月21日 林道ゲート(6:30)-狩小屋沢出合(10:00)-幕営地(14:30)
9月22日 幕営地(7:30)-ススケ沢出合(8:20)-ススケ峰の南西尾根1800M地点(12:30)-奥ススケ沢源頭部(13:00)-沢種沢合流点(15:00)-幕営地(17:30)
9月23日 幕営地(8:00)-狩小屋沢出合(11:30)-林道ゲート(15:30)

【記録】

9月21日(晴れ)

林道ゲートを6:30発。他に2パーティが前後して出発。楢俣川本流での釣りとヘイヅル沢とのこと。

ネットの記録によると林道歩きは3時間とのことで少々心配していたが、景色に変化がありなかなか飽きさせない。途中山葡萄を発見。少し収穫してしゃぶりながら歩く。時間は余計にかかったが狩小屋沢出合手前の開けた場所に到着。

沢装備を付け、踏み跡をたどった先で狩小屋沢に突き当たり入渓する。入渓点には相当古いがロープが張られていた。

楢俣川本流入渓
楢俣川本流入渓
ブナの緑とエメラルドグリーンの深い流れ
ブナの緑とエメラルドグリーンの深い流れ

入渓点から狩小屋沢を下るとすぐに楢俣川の本流と合流する。狩小屋沢は沢幅も狭く暗い感じだったが、本流に出た途端視界が開け、明るくて広い沢が出現する。水量も多く、透明度が高く、深いところでは濃いエメラルドグリーンが美しい。本流に入ってすぐは広い河原歩きとなるが、だんだん両岸が切れ上がっていきゴルジュと滝が連続するようになる。ゴルジュのヘツリも滝の壁も十分なスタンスとホールドがあってどれも比較的簡単に通過できる。どの滝もスケール感がありとにかく楽しい。

明るい滝が連続する
明るい滝が連続する
癒される感じ
癒される感じ
右から日崎沢が滝となって流れ込む
右から日崎沢が滝となって流れ込む

出合に滝を掛ける日崎沢を右手に通過した辺りでそろそろ幕営地を探そうということになる。しばらく行ったあたりでつりしリーダーが適地を発見。テントを張ることにする。テント場はちょうどいい大きさで、人が多く利用しているようで焚火跡もあったがゴミもなくとても快適であった。

つりしさんとハギさんは近くでイワナを3匹も吊り上げる大漁ぶり。残念ながらキノコにはまだ早く収穫はならなかったが、大満足の夕食となった。この日のイワナはムニエル、なめろう、胃と皮のソテー、卵と白子の醤油漬け。ご馳走様でした。

いかにもイワナがいそうな淵
いかにもイワナがいそうな淵
イワナ3本ゲット。一本は尺越えの鼻曲り
イワナ3本ゲット。一本は尺越えの鼻曲り
快適なテン場
快適なテン場

9月22日(晴れのち曇り)

予報では曇りベースであったが朝から晴れ。ススケ沢を遡行し、うまくいけばススケ峰と幻の湿原にたどり着けるかも。ということで7時半に出発。朝のさわやかな空気の中を1時間くらいでススケ沢出合に到着。ススケ沢出合は反対からも小沢が流入してミニ十字峡を形成していてわかりやすい。実はこのススケ沢、遡行記録は多くあるものの、国土地理院の地形図にもその名はなく、いったいどの沢がそうなのか現地に着くまで実のところ不明であった。行ってみると地形図に記載のある南沢というのがそれであった。

ススケ沢出合
ススケ沢出合
いきなり素敵なナメ沢
いきなり素敵なナメ沢
最初の20M滝
最初の20M滝

ススケ沢を遡行し始めるとすぐにここもやはり楢俣川であることを実感させられる。沢幅は狭まるものの白い岩の明るいゴルジュ地形にエメラルドグリーンの澄み切った流れ、次から次へと現れる個性的な滝。うっとりとするような景観が続く。ススケ沢に入って20分ほどで20m弱くらいの滝が現れる。これは右岸のスロープ状の岩を上がり滝の中間部あたりに取りつくと水線脇を難なく登れる。さらに20分ほどでススケ沢核心部大滝が現れる。地形図にある滝マーク?20mは超えていると思われるので、これを越えたら40メートルしかロープの無い僕らはもうこの沢を引き返すことはできないが、時間もまだ9時過ぎなので詰めあげることを決意する。見たところ直登は不可能なため左岸のスラブを上がって巻くことにする。滝の落ち口上部に向かってトラバースする草付の急傾斜が滑りやすく泥も剥がれ易そうで緊張するが、20分ほどでどうにか切り抜ける。

奥に見えるのが大滝。右のスラブを巻きました
奥に見えるのが大滝。右のスラブを巻きました
大滝の落ち口へ下降
大滝の落ち口へ下降
大滝上部から
大滝上部から

この後も大小の滝やゴルジュが連続し楽しく遡行を続ける。10時15分ごろ1470M付近の二俣到着。右に行けば至仏岳と連なる稜線に出てススケ峰にも確実に登れるルート。左に行くと記録がないのでどうなっているかは不明だが、下降に予定している沢の源頭付近に突き上げるルート。もし源頭部が草原ならススケ峰の湿原を望める可能性も残る。悩んだ結果時間と下降を優先する左俣ルートを選択。

ゴルジュ帯
ゴルジュ帯
奥の二股 右に行くと至仏に続く稜線
奥の二股 右に行くと至仏に続く稜線
いつまでも滝が続く
いつまでも滝が続く
なんだか巨人になったみたいな
なんだか巨人になったみたいな
最後の最後まで滝が
最後の最後まで滝が

さすがに源頭の様相となってきて両側から藪が迫ってくる。にも拘わらずところどころに滝が出現。最後の最後まで楽しませてくれるのだ。いよいよ水流もなくなったあたりで一瞬草地の上に顔を出す。振り返った眺めは素晴らしく、充実感一杯。だがここからは笹と灌木の藪漕ぎ。1時間ほどで尾根線上に到着するもやはり藪の中で眺望はなく、時間も12時を過ぎていたためススケ峰はあきらめる。念のためGPSで現在地を確認し、目標となる下降沢(奥ススケ沢?)へのルートを確認する。尾根を越え下降気味にトラバースすると割と簡単に沢筋に出ることができた。

一旦草原に出ます
一旦草原に出ます
藪を漕いで
藪を漕いで
奥ススケ沢の下降を開始
奥ススケ沢の下降を開始

奥ススケ沢は下降に適した沢で、一か所懸垂下降をしたが、他は多少大きな滝も階段状に歩いて降りることができて快適だった。16時頃本流と合流し17時半ごろテン場着。充実した1日であった。

一か所懸垂で降りました
一か所懸垂で降りました
奥ススケもなかなか綺麗なのです
奥ススケもなかなか綺麗なのです
樋状の流れが直角に曲がってます
樋状の流れが直角に曲がってます
どの滝も大概簡単に降りれます
どの滝も大概簡単に降りれます

9月23日(雨)

深夜から雨。しとしと降りで増水の心配をするようなものではない。

朝もゆっくり起きて8時ごろの出発。1日目とは逆に楢俣川本流を下り狩小屋沢を目指す。雨は降っているが快適。1か所日崎沢の出合の滝で懸垂下降した以外は問題なく、予定よりも早い11時半ごろ狩小屋沢から林道に上がることができた。林道はなぜか帰りに登りが多く、1日目と違いだんだん飽きてくる。長い林道であった。

さて帰りましょう
さて帰りましょう
日崎沢出合 帰りは懸垂
日崎沢出合 帰りは懸垂
ダムみたいな滝
ダムみたいな滝
狩小屋沢に到着
狩小屋沢に到着

楢俣川は明るくブナの森に囲まれた素敵な沢でした。大きな滝も登りやすく、美しいゴルジュや淵、緊張感・高度感のある滝もあり、藪漕ぎもほどほど。イワナも魚影が濃く、季節になればキノコや山菜も期待できる。ルートもたくさんあるようなのでぜひ何度も訪れたいと感じた沢でした。

きのこ採り沢 福島県滑谷沢

●期日:2013年10月12日 ~14日
●参加者:ハギCL、えび、こば、つりし(記)
●行程:
11日:王子出(22:30)→東北道福島飯坂ICを経て峠駅着(26:00)幕営
12日:峠駅(7:00)→東栗子トンネル登山口(8:00)→烏川入渓(10:00)→滑谷沢出合(12:50)→二俣幕営地BC(15:30)(内きのこ採り時間2hほど)
13日:BC(8:00)→滑谷沢右俣(8:05)→奥の二俣(10:00)→BC(12:00)
(当初予定は栗小山に詰め上げ三本松沢下降であったが雨天の為BC往復に変更)
14日:BC(7:10)→滑谷沢左俣(7:15)→裏見の滝(8:20)→大平橋(9:20)→登山口(12:30)

●記録:
東北自動車道の福島飯坂ICを出るとまさかの本降り、はじめ登山口のある東栗子トンネルの出口脇で幕営をする予定であったが、(車のトンネル通過音が大きく幕営は不向き)雨がしのげるところということで、そこから40分ほど走った米沢の旧峠駅跡地で幕営する。
軽く飲んで3:00就寝し朝はゆっくり寝坊する予定であったが、5:40テント横の車の防犯ベルが突然鳴り出し飛び起きる。
外に出ると誤作動でしたと車の主が平身低頭、また峠駅自体も深夜の保線工事の音で度々目が覚め、みんな寝不足気味である。

ともあれ車でまた40分ほど走り栗子トンネル脇のスペースに駐車、登山道の看板がある工事現場内を通って林道を進む、最後のほうにある二つ小屋トンネルは崩壊が激しく要ヘッデン、林道も四駆で通れるかどうかかなり微妙である。

トンネル出現
トンネル出現

2時間ほど歩いてコンクリートの烏川橋を少し超えたところから入渓し烏川を下る。
沢は高低差がなくサラサラとおだやかに流れている、特にザイルを出すようなところもないが苔が滑るため、一人アクアステルス底であったコバさんは少々歩きにくそう。

途中、倒木に楢茸の群生が何箇所も出てきて収穫しながら沢を歩く、キノコはその後の最終日までスギタケ、くりたけ、うすひらたけ、ぶなはりたけ、サンゴハリ茸、センボンイチメガサ、エゾハリ茸を食べられる量だけ採取した。
このようなきのこ採りができるのも、今年入会したコバさんのおかげである、その収穫の仕方はとても慎重で、すでにわかっているキノコでも複数のキノコ図鑑で念入りに再確認し、そして少しでも自信がないものは食べないことを徹底しているので、とても安心して食べられる。
それにしても、とれたてのキノコは美味しい。(*エゾハリ茸だけは固くて今一)

キノコ鑑定中
キノコ鑑定中
楢茸群生にご満悦のリーダー
楢茸群生にご満悦のリーダー

10:00滑谷沢の出合いに到達、水量が一気に多くなり、ところどころ出てくる深い釜のへつりはこの時期、落ちると震えるほど寒いのでとってもスリリング、また雨足が段々強くなって本降り状態に沢水は茶色になり少し増水してるが、このくらいの雨だと周囲は保水力がある森であるので一気に増水することは少ないのかもしれない。
途中、幕営できそうな平地が何箇所かあるが、今一決め手に欠けるので、大雨の中我慢し遡行を続けると、15:00二俣手前に素晴らしい幕営地出現、ありがたいことにブルーシートがデポしてあったのでそれをタープ代わりに設営しその下で焚火をすることにした。
冷え切った体でようやく集めた薪は水浸しで着火困難と思われたが、エビ火付責任者が一発で着火させる、去年からメキメキ腕をあげ今やすっかり焚火有段者である。
さて焚火が安定すると、ここからはコバ料理長の独断場である。
まずは前菜・食前酒としてクラッカーにたっぷり塗った山葡萄ジャムと山葡萄漬けのバーボンが厳かに出てくる、山葡萄は前にナラマタ沢行でとったものを料理長がジャムとバーボン酒漬けにしたもの、その気品あふれる素晴らしい味に皆が唸る、いまここに幻のレストラン「ブルー・ラ・シート」が出現した。
大蒜ホイル焼き、なすときのこの大根おろし煮、ミョウガ生姜味噌、仙台油ふとキノコの甘辛煮、一人150gもある鶏肉とキノコとトマトの悪魔風炒めなど、素晴らしい料理の数々に赤ワインとビールがガンガン進む。
前日ほとんど寝てないので珍しく私は21:00にテントに避難、流石にこの時期はシェラフカバーだけだと寒いので、夏用シェラフ+カバーで寝たらとても快適であったが、ダウン上+象足+カッパ+シェラフカバーでも寒くなかったようである、こちらのほうが缶ビール1本位追加できたかも。

至福の時間
至福の時間

あくる朝、寝ぼけ眼でエビマスターが入れてくれた本格ドリップコーヒーを飲んでいると、雨が本降りになってきた、ハギCL悩みに悩んだすえ、本日停滞して、もし天気が回復したら右俣を奥の二俣まで往復に切り替えるという決断をする。
本日雨でもブルーシートが張ってあれば焚火宴会ができるのでひと安心??
雨が少し上がり始めたので8:00に出発 変更通り右俣を上がる、滝がぽつぽつ出てくるが難しいところはしっかりとした巻き道あるので容易、また落ちなければ濡れても膝上あたりくらいで済むので、秋の沢としてもとても良い場所である、いろいろ調査して選んでくれたハギCLに感謝である、また魚は多く走ったが、サイズがあまり大きくないのと、巻き道がしっかり付いていること、幕営地のデポ品などを考えると、9月禁漁時期までは釣り人が多く入る沢であるのではないかと思われる、ちなみに今回沢中で会った釣り人は居なく沢登の2人組だけであった。

どぼんしないよう慎重に登る
どぼんしないよう慎重に登る

予定とおり往復してBC13:00頃帰還、余った期限切れのコンビニ御握りときのこをぶっこんで作ったきのこ雑炊が旨い。

さて今夜は今季沢中での最後の焚火宴会でもある、そんなみんなの気持ちを代弁するかのように、燃やすのに時間がかかりそうな太い薪がたくさん集まる。
暗くなるのが待ちきれずに熱燗「ぷわー」 あてはきのことわかめの酢味噌和え、ワカメの山葵醤油漬け、体がすっかり暖まりビールに変更するとつまみもウインナーときのこの炒め物、大蒜ホイル焼き、きのことねぎのホイル焼きと合わせてくる敏腕料理長、今夜のメインディッシュであるハギCL特製大盛きのこクリームシチューを食べその優しい味に浸っていると、今度は料理長が丸々太った尺ベーコンをとり出し、ベーコンの端を切ってキノコと炒める、旨すぎる。
お腹がきつくなってくるが、米は別腹という乱暴な意見に押されビリー缶に米4合+山盛キノコに醤油を適当にかけて焚火に放り込むと、30分で素晴らしいキノコ飯の出来上がり、「これは凄いよ」とおこげも綺麗にこそぎ落として食べるお腹一杯なはずの欠食大人達。
いよいよ宴も終盤となり最後はウイスキーでちびりとなると、いよいよ先ほどのベーコン塊のご登場、真っ赤な火で炙ると、溶け出した脂がとびちり、あつあつをまな板の上でじゅっと厚切りにして、口に放り込むと「はふほふ、脂じゅわー」あーなんて幸せなのかしら・・
そんなこんなんで、深夜就寝、その夜体脂肪率が10%増えた健康診断書を医者から渡された警告的な夢を本当に見てしまった。

翌朝は大快晴、大盛きのこラーメンを食べ7:00出発、途中 スダレ状滝や裏見の滝、ナメ滝が出てきて綺麗、しかし困難なところはなく、間違いなく初級癒し沢である。

スダレ状滝
スダレ状滝
うらみの滝通過中
うらみの滝通過中

両岸にある低いぶなの森に日が差し込み、木漏れ日が沢に反射してなんとも素晴らしい。
9:20 大平橋到着、大変名残惜しいのだが陸に上がる、帰り道は山ぶどうを採り食べながら歩き、お土産と山栗、きのこなどを採取する、秋の歩行時間はいつもより余計かかることを勉強し12:30登山口に無事に到着、おかげで良い沢納めになりましたとお互いに感謝の握手を交わす。

帰りの風呂は偶然見つけた飯坂温泉共同浴場(あとで調べると同じような所が温泉内に9箇所あるとのこと)、こじんまりだが100%かけ流し、風呂代200円+石鹸別売り50円也、熱い風呂と温い風呂と別れているが両方とも46度、地元の人は熱いのがお好みとかで、風呂場には風呂めぐりの地元以外の方が来たら温い風呂釜は43度に下げてあげましょうと書いてある。
ちなみに私も熱くて入れずに親切な地元の方に加水してもらい入りました。
東北福島は人も自然もとても優しく、また良い仲間に恵まれ最後までとても癒された沢旅ができましたハギリーダー、えびちゃん、こばさんありがとうございました。
また来年もこんな感じなのを是非やりましょうね。

癒されました
癒されました

上越国境稜線

上越国境稜線

・時期:2013年10月12日(土)~13日(日)
・メンバー:部長(L)、みやのり、トンちゃん、カト(記)
・行程:
1日目(10/12)
ロープウエイ天神平駅9:10…肩の小屋11:00…大障子避難小屋13:00(幕営)
2日目(10/13)
大障子避難小屋5:45…万太郎山6:55…エビス大黒ノ頭9:00…仙ノ倉山10:20…平標山11:00…松手山12:15…平標登山口13:20
・記録:
(はじめに)
4年振りの紅葉狩り山行に上越国境稜線に行きました。今回は今年入会のトンちゃんと初めての山行でしたのでとても楽しみでした。4年前の前回は1日目が強風雨の酷い天気で前進か撤退かを肩の小屋で迷いましたが天気予報を信じて前進することとしました。願いが通じて2日目は快晴で紅葉晴れとなりました。果たして今年はどうでしたでしょうか。新潟地方の天気予報では1日目が全国で唯一の傘マーク、2日目は晴マークでしたが、大体は予報通りでした。予想に反したのは2日目朝が濃霧、昼間が強風になったことでした。紅葉は盛りにはちょっと早かったようです。しかし、それなりに満喫できました。
(1日目、10/12(土)晴後曇後雨)
谷川岳ロープウエイは意外と空いていました。長蛇の列を予想していましたがすんなりと乗れました。水上発バス8:25の乗車で時間が早かったことが良かったと思います。しかし、登山者は多く、ところどころ列をなしているので岩場で列の横を登って追い越したことが二度三度ありました。いつも休憩する熊穴沢ノ避難小屋をパスして最初の岩峰(部長が第一岩峰と名付けている)で1本立てました。みやのりさんはオクノ耳に行ってないので是非にと言っていましたが、肩の小屋に着いたら曇っていて全く展望がありませんでした。みやのりさん今回も残念でしたね。ロープウエイからの紅葉は色付き始めたころでしたが上に行くに従って期待通り見事に色づいていました。

天神尾根
天神尾根

大障子避難小屋に13:00に着いてしまいました。テントを設営したら雨がひどくなってきました。みやのりさんとトンちゃんは避難小屋手前(谷川岳を背にして)、群馬県側の水場まで斜面を下ってもらいました。テントに帰ってきたときはずぶ濡れ、クマ笹で足元が濡れて靴下まで濡れる程でした。危うい急斜面で本日一番の核心だったとのことでした。

これから晩飯までどう過ごすかが問題でした。と言っても飲むことしか能がないので取りあえず乾杯をして宴会モードにスイッチを切り替えました。トンちゃんはノンアルコールビールをしっかり用意してきてノンベエの我々に着き合ってくれました。トンちゃんは本当に素直で良いお人柄ですね。素直さは晩飯料理教室で本領を発揮します。先生は部長、生徒はトンちゃんです。メニューはカツ煮。拙い替え歌で表現してみます。
(月の法善寺横丁(藤島桓夫)替えて「雨の稜線横町」:シニアの方は歌ってみてください)
包丁一本 ザックに詰めて/山に行くのが オラの意気地/待っててトンちゃん 哀しいだろうが/ああ 若いトンちゃんの/想い出つくり 大障子/月も見えない 暴風雨
(セリフ)トンちゃんに、オラが初めてカツ煮を教えはったのは「大障子」の晩やった。
はよう立派なお弟子さんになりやゆうて、たまねぎのうすぎり、カツの切り方、卵の溶き方、水の注ぎ方、火加減を教えはりましたなあ。これまでつりしはんを始めとする弟子さんはゆうことききはりませんでみなオラから逃げてしもた。あんただけがゆうことききはりやった。この晩からオラはトンちゃんが好きになりました。あんた一番弟子や。
と、言うことで厨房に入ったことのないトンちゃんは立派な板場はんになりました。今後の’ トン‘カツ煮をお楽しみに。美味しいカツ煮をいただき、酒も切れて18:00就寝と相成りました。夜半に雨は上がりましたが風が強くテントの張り綱が切れるのではないかと心配しました。
(2日目、10/13(日)濃霧後晴、強風)
4:00起床、5:45出発。避難小屋3人のうちの一人が早立ちして行きました。濃霧の中を最初の万太郎山に向かいます。

大障子避難小屋の朝
大障子避難小屋の朝

10分ほどすると晴れてきましたが風は強く前進に苦労します。また追い風、横風になると身体を持っていかれます。よろけることは何回も、そして登山道はスリップするのでしっかり地面を踏みます。人が立つのが困難な風速は15mから20mだと言います。立ち止まって風圧に耐える程でしたから瞬間的には風速20m程はあったのでしょうか。左右の深い斜面から風と共に湧き上がる雲、雲になでられてクマ笹がさざ波のごとく稜線に向かって打ち寄せています。自然の猛威を感じます。
ここでまた拙い替え歌で表現してみます。これは強風の中私が便秘で苦しんでいる様子です。
(嵐を呼ぶ男(石原裕二郎):古くかつ下品ですみません)
おいらはハイカー/やくざなハイカー/おいらがあるけば 嵐を呼ぶぜ/喧嘩代わりに ヒップを叩きゃ/放屁の圧で ふっとぶぜ
(セリフ)この野郎、かゝって来い!/最初はプッス-だ… ほら右からだ/おっと左からー…/畜生、風圧が凄いな、倍にして返すぜ/ブゥワアーだ、ブゥワアーだ、プッだ/えゝい我慢できねえ― この辺に隠れ草むらがねえのカ-
てなことで、隠れ草むらがなく下山後皆さんがお風呂に入っている時間20分間格闘の末でやっと2日間の食料を排泄したのです。しもの話でごめんなさい。
仙ノ倉山、平標山、松木山とピークを順調に踏みますが、ここまで部長の先導が早いのです。一番弟子のトンちゃんは滑りに滑っても間をおかずにしっかりついていくのです。3番目を歩く私はと言うと滑るのが嫌で全くのマイペースです。前二人と間があいても意を介さず離れても気にしません。どうせちょっと厳しいところでは追いつくと高をくくっています。これも昨年の北ア水平道路で前を追いかけた末の宇奈月への最終下降で歩行困難になった経験が活きています。
しかし、12:20時点の松木山でバス時刻を確認しますと下山地の平標山登山口から越後湯沢行き14:05があり、CT1:30を考慮しますとぎりぎりの感じがしましてそれまでののんびりムードが吹っ飛びます。早足の部長を先頭に4人の足並みがそろい1時間弱の13:20前にバス停に下山しました。

松木山へ向かう
松木山へ向かう

越後湯沢に行けばそば処の「しんばし」でしょう。へぎそばと熱燗で舌鼓を打ち新幹線の人となりました。

 

 

 

 

歳を経るごとに過去の記憶が懐かしく、と言っても短い山経験ではそんな感傷にひったて入られませんが、それでも6年と1ヵ月で298回目の凝縮された山行の中で国境稜線は思いが深いルートのひとつです。激しく変わる天候、素晴らしい稜線など自然が為せる技の中で生かされている実感、そして何よりも良き仲間がいて同じ思いを共感できること、が素晴らしいと思います。