●日程: 9月21日~9月23日
●剱岳: 八ツ峰Ⅵ峰~本峰~早月尾根
●メンバー: 笹田(L)・カトー・サブ・sa山・かおり(記)
9月20日 夜10時 月夜
(竹橋:毎日新聞社集合)
夜行バスの集合場所へ向かい地下鉄を乗り継いだ。今回こそ忘れ物大王の汚名を返上するため、持ち物は二度三度と確認した。不安はいっぱいだが気分は上々である。
が!!竹橋の改札で切符が無い!確かポケットに入れたハズ・・・メトロの駅員さんの前で大きなザックで改札口を占領し、無くした旨を必死で訴えた・・・しぶしぶ再度、運賃を払おうとした私に早く改札の前から退いて欲しかったのか、注意のみで改札を出してくれた。地下に居ても今宵の月のように明るい社員だ。
バスの受付はカトー氏が滞りなく手配を進めてくれ、いざバスへ乗り込む。翌日のことを考えなるべく就寝を心掛けるが、やはりバスでの移動は窮屈だ。隣席では酔っ払いsa山氏の相手をサブちゃんがしている。脱帽。
9月21日 はれ ☀
(室堂~雷鳥沢ヒュッテ~剱御前小舎~剱沢雪渓~長次郎出合~熊の岩)
8:00頃 室堂に到着。
8:40 室堂出発。
晴天の連休初日で、登山客や観光客で賑わっている。みくりが池温泉経由で雷鳥沢へ下る。
雷鳥沢より、新室堂乗越経由で剱御前小屋を目指す。途中尾根に上がったところで休憩する。槍や石川県の白山・富山市内まで見渡せる。秋の台風シーズンでこんなに天気に恵まれるとは!
11:10 剱御前小屋着。所々紅葉しはじめていて岩と雪に黄や紅が混じる。
12:15 剱沢小屋着。軽アイゼンをつけて剱沢雪渓を下る。この時私は、4本爪の軽アイゼンで四苦八苦する。
今年四月のマチガ沢雪訓で熊と遭遇した際、笹田氏が「アイゼンに雪が団子上に付き高下駄で滑った」と言っていた。私は驚いて腰を抜かしたのだと思っていたが、今回自分もアイゼンに雪が団子状に付き、あまりに滑るので、ようやくあの時の台詞を理解した。次からは人の言葉を素直に信じると共に6本爪の軽アイゼンを持参したい。
13:30 長次郎出合から長次郎雪渓を登る。
晴天に加え、他のパーティもあまり会わず絶景を独占しているようだ。
出合から、熊の岩の幕営地まで小休憩をはさみながら高度を上げていく。私は慣れない雪渓歩きに四苦八苦。他のメンバーはさすがベテラン、顔色変えずに黙々と登る。
16:00 熊の岩到着!!
北穂のテン場でも非常に感動したが、熊の岩はまた格別。一般登山客がいない事や雪渓を越えてきた充実感も相まって、ここに来たことの優越感・満足感がヒシヒシと込上げる。
隣のテントの女性とカトー氏・笹田氏がなにやら楽しげに会話していると思ったら、どうやらガス缶を忘れて来たパーティだったらしい。私たちは各自1缶持参しているので、心優しいサブちゃんがガス缶を分けてあげる。
サブちゃんの手料理と剱沢小屋で仕入れたビールとsa山氏が担ぎ上げた富山名物昆布シメで入山祝い。早々に就寝。
深夜 月が明るく雪渓に反射してヘッドランプが不要な程。
9月22日 はれ ☀
(熊の岩~八ツ峰Ⅵ峰Cフェース~熊の岩~左俣経由長次郎のコル~剱山頂~早月小屋)
3:30起床 壁に一番で取り付くため早くに起床。カトー氏の豪華朝食を食し、準備へ。
カトー氏の食事を初めて食べたが、豪華で海抜0m地帯でも味わえない食事を2500mの高地で頂く。
5:00出発。アタックザックのみで、目前に迫る八峰Ⅵ峰Cフェイスへと向かう。
雪渓をトラバースして取り付くため、笹田氏が自分の6本爪のアイゼンを私に貸してくれる。寛仁大度。
私が、雨具が見つから無くもたもたしている間に笹田氏はノーアイゼンで軽々雪渓をトラバースしCフェイスへ先に到達。カトー氏を先頭に残るメンバーで取り付きへ。
先に到着していた笹田氏が私の雨具をそっと差し出す。あれだけテン場で探していたのに無い訳だ!
しかし軽アイゼンを借りているし、これから壁に登るし・・・私は苦情を飲み込んだ。くぅ~
さて壁に取り付くぞ!との段でカトー氏、フラットソールが無いと騒ぎ出す。穂高で登攀具を忘れた私が言うのもナンですが『何しに来たんだ・・・』
しかし、さすがカトー氏!この位の壁ならクラッシックスタイルの登山靴で登ることにする。
あらためて、壁に取り付く段で今度はサブちゃんが腹の不調を訴えた。早朝の爽やかな八ツ峰Ⅵ峰Cフェイスでサブちゃんマーキング。その間にカトー+sa山ペアが先行して登る。
ザイル分け : カトー+Sa山 / 笹田+サブ+かおり
1ピッチ目:サブちゃんリードで登る。グングン行く。後で聞くと、ハーケンが見つけられず探した~とのこと。
灌木や小石があって、後続に落とさないように注意した。笹田氏が最後。
2ピッチ目:サブちゃんリードで登る。ハイマツの間を登り、右に緩やかに折れて、終了点へ。
ザイルが支点にかけたシュリンゲに巻きつき、引き上げるのに苦労。サブちゃんの腕力をもってしても、かなり苦戦していた模様。「ザイルを2本引き上げるので進む方向と交錯しないように支点を取らないといけないね。」とサブちゃん談。また一回り大きくなった彼女を見た。
3ピッチ目:サブちゃんリードで登る。ここから他のパーティと入り乱れるようになり、経験の少ない私はかなり焦る。笹田氏が冷静に指示してくれるが、他グループのザイルが顔に当たったり、急かされているような感じがあったりで小心者の私は右往左往。リッジ手前のビレーポイントまでたどり着く。
4ピッチ目:なんと私が外岩初リード。3ピッチ目でビビりまくっていた私は、笹田氏の「行け」という言葉に声もなく従う。ここは、高度感のあるリッジをへばり付くようにして、なんとか渡る。ザイルは2本引かずに1本で行ったが、途中からザイルが動かない。どうやら、私たちのザイルが後続のパーティの人に引っかかっていたらしい。支点は見つからないし、ザイルは重いし、高度感抜群だし、先行のカトー・sa山コンビはアドバイスが正反対の事を言っているし・・・大変なリードデビューだった。しかし、終了点についてサブちゃんをザイルで引いた時感動が込上げてきた。サブちゃん・笹田氏は余裕のリッジ越え。
5ピッチ目:私がリード。4ピッチ目を考えると、簡単で登りやすかったが、他グループのザイルが交錯していて、どう対処していいかわからなかった。Cフェイスの頂上で交錯してしまったザイルの主に謝ると、なんと昨日テン場でガス缶を分けたパーティ。「気にしなくて良いから、ビレー点まで来い」とのお言葉。8:00Cフェイスの頭完登。
懸垂を2回して雪渓までクライムダウン。例えようも無いくらい美しい景色だが、やはり下りは怖い・・・
9:00 熊の岩着。テントを撤収して、剱岳本峰へ向かう。
10:15 熊の岩出発。左俣を登る。が、大変岩が崩れる場所で一歩すすんで3歩崩れるような場所で、非常に疲れる。隊の先頭はサブちゃんで、真下に居る私に岩を落とさないように慎重に歩いてくれる。私はカトー氏にボロボロ落とすが・・・
長次郎のコルに向かい登るが、踏み跡をたどれ!との先輩方の指示にサブちゃん少々プチキレて「目指すコルはどれ?!」と真正面にある不動のコルを見失っていた・・・それもこれも足場が非常に悪いせいである。
Sa山氏を先頭に岩壁にへばりつくように長次郎のコルを目指す。私の後ろはカトー氏が守りを固めてくれているので安泰。横をみると笹田氏がマネの出来ない足さばきでガレ場を登っている。
11:45 長次郎のコル着。疲労困憊でコルに到着。
12:10 剱岳頂上到着!なんか色々ありすぎて、頂上へ着いたのに感動が薄い・・・
12:40 山頂を出発し、早月小屋までの下りに入る。これが長いこと急なこと!
16:00 早月小屋到着。Cフェイスの頂上に着いた時より、長次郎のコルを抜けた時より、剱岳山頂へ到着した時より、小屋に着いたときのほうが感動するとは・・・恐るべし早月尾根・・・宴会後就寝。
9月23日 はれ ☀
(早月小屋~馬場島 上市→富山→越後湯沢→都内帰宅)
4:30 起床。笹田氏の洋風朝食。オートミールなるものを人生で初めて食す。甘くて美味い。
6:00 早月小屋出発。またしてもひたすら急な下りで、昨日の筋肉痛にひびく。
10:00 馬場島到着。たいへん美しいキャンプ場でタクシーの到着までゆったりとした、ひと時を過ごす。
ヤマボウシなる木の実を教えてもらうと、カトー・sa山両氏は子供のように狩りに出る。元気だ・・・
富山で白エビを食べ、電車内で宴会し帰路へ。
最後に、天気に恵まれ初リードをさせて頂き有意義で楽しい時間を過ごせたのも、メンバーの皆様のおかげだと感謝しています。機会損失を掲げ強引に誘っていただいたsa山氏にも感謝。
感想:カト
劒岳長次郎谷、八ツ峰Ⅵ峰は思い出の地だ。山を初めて2年目の2008年夏に「劒岳 点の記」を読んで感動したことを笹田さん話したところ「行こうか」と言って素晴らしい世界を体験させてもらったところだ。別世界を垣間見て山にはまり込んだ特別の地。もう2度目はないだろうと思っていたが幸いにも今回思い出の地を踏むことができた。
熊ノ岩からの八ツ峰は本当に素晴らしい。シャモニーから見たアルプス針峰に匹敵すると思うのは独りよがりか。
5年前は共同装備をメンバーに担いでもらい今思えば身軽で臨んだがそれでも長次郎雪渓はヒーヒー言っていた。今回はリーダーの笹田さんに特にお願いして自分のSザイルを担がせてもらった。5年を経過して登攀具とザイルを担いでどこまでいけるか老いる自分との戦いでもあった。案の定熊ノ岩手前で皆さんに置いていかれる。歳を感じた瞬間だ。しかし、3度目はないと思うので本峰、熊ノ岩、八ツ峰を目に焼きつけながら懸命に歩を進めた。八ツ峰Ⅵ峰登攀そのものは私には技量がないので難易を言う程のものは持ち合わせてないが、高度感、岩質、展望など五感を鋭くして集中し感じ入ることが楽しい。
山の仲間は素晴らしい。楽しい時は共に笑い、苦しい時は目に見えない手を差し伸べてくれる気配を感じる。こんなことが頑張れる源泉だろうか。今回もメンバーに助けられて記憶に残る山行となった。自然や仲間の優しさに生かされていることをしみじみと感じた山行であった。
感想:sa山
昨年、一昨年と合宿は雨に叩かれ、3年越しの釼岳です、チャンスをのがすと今度、いつになるか分からないよ、という事でカオちゃんを引っ張り込みました。いい所は、一人でも多く感動してもらいたい、釼岳、八ツ峰はそういうところです。
9/21 釼沢の雪渓はもっと少ないと思っていましたが、200mほど後退している程度で、夏とそんなに変わらない。長次郎雪渓は昨年さぶちゃんと偵察に来たときは熊の岩まで雪渓通しに来れたが、途中ガレ場が出ている。
室堂から8時間ほどで熊の岩、ここでの幕営は初めてです、パーティーも少なく、整地された良い場所に張れた、正面に針ノ木岳、遠くには燕岳、大天井岳、常念岳が連なり素晴しいロケーションです。
中秋の名月後でもあり、明るい月夜で岩が白くひかり、うっすら雪化粧のように見えた。
9/22 5時早朝出発、取り付きで明るくなる、カト・sa山、隊はDフェースを計画していたのですが、威圧感に押され、一緒にCフェースを登ることに変更。一ピッチ目、sa山、二ピッチ目、靴を忘れたカトさん、旧スタイルでゴローの登山靴で、三ピッチ目sa山、4ピッチ目カトさん。そこで確保してもらい後続をカメラに収める、残りチョッとで終了。
後続組み、笹田さん、さぶちゃん、カオちゃんは、核心部の三→4ピッチ目で、ガイド付の他パーティのトップが追い抜きザイルが流れず苦労している、他パーティのセカンドは、ザイルワークを知らず、こちらのザイルの流れを悪くしているようだ。最近のガイドは自信が在るのだろうが、先を急ぐ余りにルールを守らない、巻き込まれるのはごめんです。
全員無事終了点に着き記念写真、八ツ峰頭を登り、右俣を下降する予定でしたが、今日中に早月小屋に向うということで、ラク石に注意し下降、2ピッチザイルで降り、5,6のコルへ、幕場に戻り撤収し、左又コルに向かう、雪渓が少なく、あり地獄のようなガレ場登りとなり、切れることしばし、コルにつき一休みし、頂上へ向かう、頂上には祠が無く、修理中のようだ。
早月尾根初めてですが、こんなにキツイ尾根とは知りませんでした、やせ尾根の急登で鎖が張られた所は、他の山でも、よく在りますが、それが延々と続く、普通の尾根の倍ほど時間を要する理由が分かりました、小屋の屋根が見えほっとする。幕場はいい所はすでに張られ、迷惑をかけない様、間に割り込んで張らせてもらう。
9/23 ゆっくり6時出発する、ここからも昨日同様急登が馬場島近くまで続く。タクシーが来るまで、徳沢園のような馬場島のキャンプ場でテントを干す。途中上市のアルプス温泉で汗を流し、富山駅に出て白エビを囲み乾杯し岐路に着いた、皆様楽しい山行ありがとうございました、又次の計画を楽しみにしております。
感想:サブ
皆様とすばらしい山行が出来た事、幸せでした。
笹田リーダー初め、皆様にお世話になりました。
Cフェース取り付きでお腹を壊す
左俣のガレ場でプチ切れる
情けない自己を認識をすることができて、よい山でした。(涙
Cフェースはちょっと物足りなかったので(下●ピーが何をいうかですね)
次は、チンネ左稜線行きたいです!
でも、早月尾根はしばらくはいいです。。。
とまれ、70歳になる笹田L、加藤代表の心技体の揃いっぷりに脱帽でした。
笹山さんの富山猿ぶりも、圧巻。
そして、チーム田吾作、かおちゃんと一緒で本当に楽しい山でした。
またよろしくお願いします!!