只見川水系恋ノ俣川

只見川水系恋ノ俣川

日程: 8月12日(水)−15日(土)
メンバー:つりしL、ハギ、サブ、ツカミ、キム、トヨ

1日目 曇り
集合場所の越後湯沢駅に集まったメンバーが一人足りない。キム兄から2時間遅刻との連絡があり、浦佐駅での待ち合わせとなる。
スタートが遅くなるため、時間短縮を図るため、浦佐駅で沢装備を整え、恋ノ俣に向かう。銀山平から恋ノ岐までの道路はカーブが多い山道で、ハーネス装着での道中は、車酔いしやすいメンバーにとってはちょっと厳しかったか。
11時20分 恋ノ岐の駐車場到着。他に数台車があった。入渓点は駐車場の向かいで、徒歩0分。下山時の下降はオボコ沢の予定だが、万が一登山道を下ることになっても沢靴で問題ないだろうとの判断で、アプローチシューズをデポする。
11時40分入渓。沢慣れしていないため、私は早々に苔のついた石で足を滑らせ、ズボンを濡らす。先が思いやられる出だしであるが、これで濡れる覚悟ができた。
恋ノ岐の出だしは所々に数メートルの滝が現れ、入渓直後のウォーミングアップといった感じである。


とは言え、日帰り沢と違い泊まりで荷物が重く、私はと言えば、いつもなら乗り越せる高さのところで体を上げられず、ツカミさんに押し上げてもらい、岩から岩への飛び移りも躊躇し、スピードが出ず遅れがちとなる。
13時30分、清水沢付近で最初の休憩。ここから先は更になだらかな渓相となり、時々大釜を持った滝が現れ、飽きさせない。

16時20分頃、木々の間に薄く煙がかかっているように見える箇所がある。先行パーティが幕営し焚き火を始めたようだ。その対岸にも幕営可能な場所があり仮確保する。キム兄がこの先を偵察しに行くが、適当な場所がなかったため、標高1200m付近で泊まることとする。
河原での盛大な焚き火を囲み、食事をし、一息ついていると曇り空に星が見え始め、しばらくすると満天の星空となる。明日の好天を祈り眠りにつく。

2日目
残念ながら、予報通り夜中2時半くらいから雨が降り出す。
4時起床。一旦雨が上がり、6時40分出発。びっしょりと濡れたフライが重い。暫く進むと、静かな淵に魚影を見かけるようになるが、まだまだ先が長いので竿は出さず、先に進む。
8時20分オボコ沢出会。明日の下降時にピックアップする予定で、ここに少し荷物をデポする。とは言っても、状況によっては別ルートで下山の可能性もあるため、お酒等なくなってもよい物品のみだ。遅れがちな私を見かね、リーダーがフライを持ってくれると言う。一瞬悩んだが先のことを考え、甘えさせていただく。結果的にこの後はあまり遅れることなく、進むことができ助かった。(リーダー、ありがとうございます!)
オボコ沢から先は、水量が減り沢幅も狭くなるが、程よい間隔で、数mの滝が現れる。ゴルジュ状の滝が多く、次から次へとヘツリの課題を出されているようだ。

記録には沢が途絶えるちょっと前に40mの大ナメ滝があると記載されていたが、徐々に沢幅も狭まり、そんなスケールの滝が現れるような雰囲気ではない。半信半疑で進んで行くと、やや高度感のある滝が現れる。右側から登ることができそうだが、ぬめっていそうなのと、高さがあるためロープを出す。全員問題なく登る。そこから暫く進むと40mの大ナメ滝が現れた。微妙な傾斜のスラブである。乾いていればなんということもないのだが、ぬめっている箇所もあるので気を抜けない。大ナメ滝を過ぎると、その先はどんどん水が少なくなり、笹ヤブへ突入する。地図と磁石で登山道の方角に目星をつけてヤブ漕ぎが始まるが、フェルトでの笹の藪漕ぎ経験があまりない私は、結構苦戦した。ハギさんの「ヤブが水平になったよ〜」の声の後、登山道に飛び出た。15時過ぎだった。
休憩をとりながら、幕営地は検討するため、天気予報を確認しようとするが、ラジオも携帯もうまくつながらない。ひとまず電波の入りやすい頂上に向かう。目の前の登りを超えるとすぐに姫の平に出るかと思いきや、次から次へと新たなピークが現れる。
16時、姫の平到着。荷物をデポし、平が岳に向かう。
16時30分、道標に導かれ、木道脇の小道を少し進むとのっぺりとした草地が現れる。そこが平が岳山頂であった。

携帯で天気情報を確認し、姫の平で幕営とする。暫くすると小高状態だった雨が本降りとなる。二つあるテントのうち、レジャー用テントが雨漏りし始めたので、ビニール・タープで覆う。これが結構優れもので、雨を防ぐとともに、保温効果もあり、夜中の気温低下にも役にたった。湿原なので焚き火はないが、サブさんの用意してくれた豪華な夕食で和んだ。

3日目
5時過ぎに目が覚め、身支度をしていると遠くで雷の音が聞こえた。ウン?と思っているとどんどん近づいてくる。リーダーから樹林帯へ避難するとの指示が出る。5時30分、荷物をそのままにテントを飛び出し、急ぎ標高の低い場所へ移動する。雨が徐々に本降りとなる。タープを被り、姿勢を低くし、雷雲が通り過ぎるのを待つ。山の稜線での雷は怖い。近くで落雷があったようで、テントが心配になる。

小1時間程過ぎると雨が小降りになり、雷鳴も遠のいたので、6時30分にテントへ戻る。テントに雷は落ちなかったようだが、レジャーテントはビショ濡れだった。
沢靴を履き、荷物の撤収をしていると、再度雷の音が聞こえだした。急いで荷物をまとめ、標高の低い場所へ移動する。登山道脇の樹林帯で再びタープを被る。予報では今日の午後から天気が回復するとのことだったが、これまでの降雨量を考えると、沢の下降を断念し、登山道を降りることにする。ただ、登山道だと車までかなり車道を歩かなければならないため、キム兄に先行をお願いし、車を取ってきてもらうこととした。
雷が遠ざかり、キム兄出発。荷物を再分配し、残りのメンバーも8時30分に出発。稜線を下り始めると一時雨が止んで霧が晴れ、周りの景色を楽しむことができた。

その後は雨が降ったり止んだりで、一向に好天の気配がない。10時10分、台倉清水到着。ここがオボコ沢への下降点となるようだ。10時30分、台倉山通過。
エアリアマップに下台倉山から先はヤセ尾根と記載おり、沢靴なので心配したが、それほど危険なルートではなかった。下りきった後は、平坦な樹林帯の中をしばらく進み、車道に出る。14時下山。
周りを見回して車を探すがない。仕方なく歩き始めようとしたところ、こちらに向かって走ってくる車がパッシングをした。メンバーから歓声があがる。
その日は、銀山平のロッジに食事付きで宿泊し、アドベンチャーな山行を振り返りつつ飲み明かし、翌日帰京した。

(参考: 奥只見山荘 食事付きバンガロー 一人10200円)

船形連峰 大倉川鬼口沢下降ー笹木沢遡行

メンバー:こば、ハギ、つりし、ツノダ、アズ

<1日目>8/1(土)

6:00観音寺林道終点登山口―7:50定義分岐点跡―8:25鬼口沢入渓―13:30笹木沢出合―15:00テンバ(700m付近)

<2日目>8/2(日)

6:50テンバ発―9:00鎧滝―12:30登山道

8月1日(土)

東京を21時頃出発し、東北道~山形道を経由し柳沢小屋に1:30頃到着。柳沢小屋は築年数はそれなりだがよく管理されていて快適。囲炉裏があって田舎のおばあちゃん家に来たような雰囲気。ビールで乾杯して2:30頃仮眠。5時起床。夜には気づかなかったがとても気持ちのいい水場があり、冷たくておいしい。夜のうちに車で到着し、車内で寝ていたというツノダさんと小屋の前で合流。

車で林道終点まで移動。林道終点には車が5~6台以上は止められるスペースがある。準備を整えて出発。

登山口から粟畑までは軽い登りで30分くらい。ブナの気持ちのいい森の中を歩くが、幹はどれも細く若い。植林だろうか。阿波畑からの登山道は仙台カゴまでピークを巻いてアップダウンも少なく快適。仙台かごを越えて下りきったところが定義分岐点跡で、97年のトマの記録ではここから大倉川鬼口沢(本流)に向けてトラバース気味に進むとある。

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地形図で1000mの等高線伝いに尾根を回り込んでいくと鬼口沢右岸の崖マークが切れる場所があるが、ここが入渓の目標地点。分岐から少し行くとすぐに踏み跡は見えなくなる。たまに踏み跡らしきものやピンクのテープがあったりするが、実質地形図とコンパスが便り。手前の尾根を回り込むと下の方がやや平坦に見える。地形図で鬼口沢の崖マークの上にあるなだらかな地形のようだ。であればこれをたどればいいはず。と言ってみるとこれがビンゴ!8:30入渓
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下降を開始するが最初からまずまずの渓相。小滝をクライミングダウンしていくと1時間ぐらいで15m位の滝が現れる。これは懸垂。下部が少し空中懸垂となるが問題なく下降していく。

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最初の大滝を超えると沢は開けてくる。両岸が切り立ったスラブ状のV字谷となり日差しが直接差し込むので暑い。一か所未だに雪の残るところを発見。ウドか何か山菜がないかと探し廻るも収穫なし。左岸から何度か沢が滝となって合わさる。滝に打たれたり淵で泳いだりしながら体を冷やす。P1020344

V字谷が終わり、緑が濃くなると5m位のすだれ状の滝となる。傾斜はないがつるんとしているため念のためロープを出す。渓相は河原歩きが中心となるが、その分快適なテン場適地が目立つようになる。魚影も濃い。途中右岸から金吹沢が滝で出合い、しばらく行くと小ゴルジュとなり今日のハイライト笹木沢手前の大滝となる。前出のトマの記録では30mとあるが、近年のひろたさんの記録では15m程度。但し上からは下の様子が把握できない。左岸を5m位上がると樹木があるので、懸垂用にロープをセットしつりしさんが様子を見ながら下降することとする。万が一の時の登り返し用にツノダさんのアッセンダーを借りて行く。左岸を下降するが、若干水流から離れるようにルートを振りながらの下降となるが、ロープの長さも充分であった。

RIMG0323 RIMG0333

この滝のすぐ下で笹木沢と出会う。時間は14時。この先テンバ予定地の770m付近までは特に大きい滝もなく安全と判断。つりしさんとツノダさんは大倉川本流を少し釣り下ってから笹木沢を遡ることに。残る3名は先行してテンバを探す。出来るだけ水流を避けて遡行していくが時折大きな魚影が走る。

笹木沢に入ると渓相はナメと滝の連続となる。小滝を超えると長いナメが続くといった感じで東北らしいやさしい感じが続く。長いナメの間のちょっとした淵にも大きなイワナが。今晩のご馳走が頭をよぎる。

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15時頃右岸の1m位上がったところに焚火跡を発見する。周囲を整地すると5人くらいが焚火を囲めるスペースが出来る。少し上がったところにはテントも張れる。薪を集め焚火の準備をしていると釣り師二人が戻ってくるが、なんと手ぶら。どうやら水温が高く魚が餌を食わないという。まあ僕ら先行者がいたのだから警戒して喰わないのも当たり前。そこで二人はテンバの上流に。今度はイワナ3匹をゲット。ツノダさんが持ってきた牛タンとで豪華な宴となった。

 

8月2日(日)

朝5時に起床。7時前に出発。最初しばらくは高くても5m位の登れる滝と長いナメが連続する。7:30ごろ7m滝。スタンス、ホールド共に細かそうで、中盤はツルッとしていていやらしい感じ。ロープを出してリードする。案の定中盤でホールドスタンスが見つからず動きが止まる。小さなクラックがありボールナッツが決まりそうで決まらない。1か所ランニングが取れれば随分気持ちが違うのだが。仕方がないのでランニングをあきらめホールドを探す。手を伸ばしきったところに何とかカチで決まるホールドを発見。左足をクラック状の岩の隙間にかましてそーっと上がる。何とかクリア。ロープをフィックスして後続にはタイブロックで上がってきてもらう。

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その後も7m位の滝を2つほどクリアすると目の前に鎧滝がそそり立って見える。しかしこの鎧滝、左壁の乾いたところを登ると何とも快適。階段状である。高度感がかえって気持ちいいくらいだ。落ち口付近が少しぬめっていて気を付けなければならないが、簡単に登ることができる。

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鎧滝を超えると滝やナメはいくつか出て来るものの若干単調な様子となり源頭の雰囲気が出てくる。しかしイワナはまだいる。そしてここからが長く暑い。つりしさんは何度となく泥水に浸かって体を冷し、全員ひーひー言いながら詰めあがった。但し大した藪漕ぎは無く登山道に出ることができた。

短い下山で駐車場に、柳沢小屋の冷たい水で顔を洗い舟形連峰を後にした。

短いけどいい夏休みといった感じでした。

会越国境 霧来沢大鍋又沢右俣左沢~中俣下降

平成27年7月4日・5日

メンバー つりしL(記録)、はぎ、えび

7月4日 王子6:00発→林道通行止箇所11:30(道中観光など寄り道1時間ちょい)→入渓13:00→三俣BC地点15:00 行きはバッタ(釣餌)・山菜をとったりしたので車からBCまでのコースタイムは5日を参考にしてください。

7月5日 BC7:15発→二段30mスラブ滝下8:11着/滝上9:05発→御神楽の稜線着10:00→(携帯紛失30分ロス)→中俣沢着11:50→BC12:05着/12:40発→林道12:50着→駐車場所15:20着

 

アプローチは東北自動車道から磐越自動車道の会津坂下ICを出て国道252号を走り本名ダムの脇に伸びている林道を入っていく。

林道はよく整備されていて、普通乗用車でも問題なく走れるよい道だが今年途中の橋が流されたようで手前で通行止めのバリケード(下記写真)。(詳細は金山町HP参照)

あと余談であるが、行きはインター出てすぐのところにセブンイレブンがあり買い出しできる。(そのあとすぐのファミマであとは道沿いにはコンビニ無いので注意)

そのセブンの対面に野菜売り場があり、お買い得。

特大大蒜200円をひとつ買ってたき火で焼いたらジャガイモみたく甘くて大好評

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林道は入渓点に近づくところからやぶが濃くなり、ぬかるむので沢靴での歩行が良い。本流と左岸からの枝沢の合流したところの降り口にピンクのテープがある。

沢のぬめりはあまりなくフェルト靴・ゴム底どちらもフリクションに問題なし。

下記写真は入渓点から少し入ったところ。幕営地までに高巻1か所、宴会材料で重い荷物には少ししんどいトラバース1か所あったが、あとは特に問題なし。

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入渓して1時間30で今日の幕営地である変則3つ俣に到着、一段上がった平地の葦を倒してテンバにする。
あと中俣にすこし入ったところにも樹木の中に良いテンバがあった。
時間があるので左俣を釣り上がるもチビイワナばっかりが飛びついてくる、ようやく20cm一匹確保したがスノーブリッジが出てきたので終了した。
三俣付近まで来ると水量が減るので下流が釣りにはおすすめ。
山菜はウルイが多かった、あとはワラビ少々、ウドはなかった。
河原にでて開放的な場所でのたき火が楽しい。

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深夜に雨が強くなり河原に出しっぱなしの荷物を一段高いテント場所にあげる。

水かさが少し(5cm)くらい上がっていたが、水量が少ないので特に問題はなかった。しかしスラブ状の岩肌が多いのであまり保水能力があるとは思えないので用心にこしたことはない。

翌朝、雨が止んでいたので出発、大鍋又沢右俣を少し行くとすぐにスノーブリッジ2ヶ所 ひとりずつ下を通り抜ける、標高600m位なのだが、さすが豪雪地帯である。

スノーブリッジはそこだけであとは無かった。

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二俣までは単調な渓相だが右俣左沢に入ると沢も開けてきて2m~5m位のボルダチックな小滝が連続して楽しい。
少し行くと前にスラブ滝、下記左の写真が下部20mくらい 右が上部10mくらい
その間に10mの踊り場あり、40mザイルでは一気には届きそうもないので 踊り場にハーケンを打ち一度切る。
下部は高さはあるものの手足はちゃんとしたのが続いているので慎重に行けば大丈夫、上部は写真の取付ルートは少しやらしかったようで一度戻って右に回りこんで登った。

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スラブ滝を超えて少し行くと水が無くなり、稜線に突き上げる乾いたスラブ帯が出てくるが傾斜ゆるくザイルは必要ない、ただ浮き石が多いところがあるので注意が必要。
稜線に出ると標高1000mと思えない深い山々が素晴らしい。携帯(ドコモ)は稜線に出ても繋がらない。

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下山ルートは最初の稜線を右に折れやぶを掴みながら下りていく。
やぶの密集度は低くシャクナゲ、つる類もないので至極快適である。
途中、保険でGPS代わりのスマホをヤブコギ中に落としてしまい、戻って探したので30分ロスした。(運よく発見できてホッとした。)
最後沢に降りるところは直進すると急であったので最後の小ピークから左(中俣下流側)に降りたら途中沢形にぶつかり中俣沢にザイルを一度も使わずに降りられた。

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あとはゆったりとした流れの中ノ俣沢を少し歩くとBC着、すぐに撤収して沢を下降していたら、単独で来ていた釣り人(フライ)に会う、我々が上流から来たのでこの渓相だとこの上は釣りにならないだろう、我々が悪いわけでもないのだが、ここまで来たのに残念な釣り人の気持ちもよくわかる「すみませんね」と声を掛けると「戻って別の沢に入るので気にしないで」と気持ちよく言ってくれる。

帰りの温泉は国道から少し入ったところにある「つるの湯」入って初めて知ったのだが湯治場もある由緒ある温泉、濁り湯の泉質も気持ちよかったし、横を流れる只見川から吹いてくる風も気持ち良かった、最後まで癒された沢行でした。

霧来沢ほかにも魅力的な支流があり、楽しめそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北穂東稜線 前穂北尾根

吊尾根

春合宿 北穂東稜 前穂北尾根

さぶ(L、記録)、笹田、カト

日程&行程
2015/05/02(晴れ)   22:00竹橋BT出発
2015/05/03(晴れ)   5:00上高地着-12:30涸沢(幕営)
2015/05/04(曇りのち雨)3:00起床-4:30出発-東稜-北穂山頂-涸沢(幕営)
2015/05/05(晴)    2:00起床-3:30出発-5:30 5.6のコル-12:00前穂頂上-吊尾根-15:30奥穂頂上-1815涸沢(幕営)
2015/05/06(晴れ)   涸沢-上高地

GW合宿の場所として、2年前の春合宿で行けなかった、前穂北尾根に場所を決めた。
2年前はSLとして入ったが、SLらしき事は全くできず、反省の残る山だった。
いい加減、ピヨピヨ後ろをくっついていく山はやめて
今回は、、リーダーとしてきっちり、岩を登れる技術、安全を確保する技術を
身に着けたいと思っていた。
大先輩と二人と一緒で、一番心配なのが私といういつも構図はぬぐいきれないが。。。

2日の夜、竹橋に集合しバスに乗り込む。おそらく1日の夜発の人が多いのだろう、思ったよりすいていた。
ハズは順調で、5時半前は上高地に到着。東京は真夏日がつづていたが、上高地は思ったより寒い。

5時40分に身支度を整えて、出発。いつもどおり、徳沢、横尾で休憩をとる。
ちょうど横尾で前穂付近を旋回する県警のヘリを見る。事故だろうか。。。暗い気持ちでヘリを見る。
しばらくするとヘリは町の方で飛んで行った、救助された人が助かるといいと願う。
そのまま、順調に歩をすすめ、12時半には、涸沢の人となる。
ちょうど、テントを撤収している若者たちがいたので
その整地された場所をそのままもらう。涸沢はまずまずの混雑具合。ただし、明日が雨予報の為、今日下る人が多いとテントの受付で聞く。昨日は過去最大の人数がいたとのこと。

その後、小屋にて横尾で北尾根付近に飛んでいたヘリは、4峰で仲間の落とした落石にあたって落ちた方がいると聞く。
しかも、1人は亡くなったと聞く。これから行くルートで死亡事故があった事を重く受け止め、4峰付近を臨み、一人黙祷をささげた。

テント設営したら、3人でいつものように生ビールとおでんで乾杯だ。
呑みながら、見ると、前穂の北尾根の下の雪渓をスキーで滑走しているふたつの陰がある。えらいところを滑っているなとビールを飲みながら話していると、ほどなくして、涸沢のデッキに相席してきた男女2人がその人と知り、びっくり。いやはや、すごい。。。

明日の天気は、雨模様。。。早い時間は曇りマークだったが午後は持ちそうにない。
事故の件もあり、明日の行動をどうするか考えながら穂高連邦とにらめっこして、ビールを口に含む。いつもより苦く感じる。

夜ごはんはさぶのビーフシチュー。沢山食べて明日にそなえるべし。ここで、最後の天気予報を見て明日の行動を決めて先輩に告げる。

当初は明日、前穂北尾根→吊尾根経由→奥穂山荘のテンバでツェルトビバークし、5日に上がってくるかおり隊長率いる後発隊と合流。
奥穂に一緒に登頂する予定だったが、雨天でのビバークがキツいのと、天気が崩れた状態で長い行程の前穂北尾根~奥穂をやりすごす自信がないので、4日は、短時間で行ける北穂東稜に変更。
天気の回復する5日、前穂北尾根にする旨を伝える。大先輩二人とも快諾してくれた。

どちらにせよ、明日は、午前中勝負だ、早出を告げてさっさと就寝。

4日、AM4:30涸沢出発。ガスっていて、稜線が見えない。軽量化のため、1本のロープでコンテにして、とりあえず、北穂沢を登る。
オーダーは、さぶ、笹田さん、カトさんの順。

途中で、このあたりだとうと思う所から、北穂沢をはずれて、右にトラバース。。。しかしとりつきがガスで見えず、ルーファイが全くできない。
しかも別のパーティーが、北穂の一般ルートと間違えて、私たちの後ろをついてきてしまったようだ。気が付いて戻って引き返していた模様。危ない、危ない。
ガスが薄くなった瞬間にとりつきの鞍部を確認する。他にも東稜にとりつこうとしているパーティーがいるが
彼らもルートの見極めに難儀しているようだ。自分を信じて他のパーティーに惑わされないようにと笹田さんにアドバイスをうけ
少しラインを外しながら稜線へ。とまどいならも、なんとか取り付きの東稜の鞍部に出てほっとする。

雪のナイフリッジ、ゴジラの背の岩場とそこまで難しい箇所はないが、前回来たときと違って、雪が随分くさっているのでラインを
岩にとるか雪にとるかをここも迷い迷いリード。天気は相変わらず悪い。真っ白だ。。

ゴジラの背
ゴジラの背。視界なし!!

岩場は、スタカットに切り替えて越していく、さすがの悪天で人気ルートも人がいない。前回の様に渋滞で待つこともなく難所を抜けて、北穂山荘までは、雪壁を上がっていく。頂上で記念写真をとって、小屋の前で一休みし、北穂沢を一般ルートで下る。
早出が功を奏して、テンバについたのがたしか10時過ぎくらいだったか。雨が本降りになる前にテントに入る事が出来た。
(なぜかこの日の写真だけデータが壊れて取れてなかったため、カトさんの写真のみ。記録時間が曖昧なのはこのせいです。。。すみません)

さて、テントに入ると随分と雨足が強くなってくる。後発のかおり隊の心が折れてないか心配しながらテントで装備を乾かす。

12時の交信時、無線をOPENするとうっすらかおり隊長の声が入る。
が、私が無線の使い方を間違えていて(交信時に押すボタンを間違えてた。すみません。。。)うまく交信できず。。。
でも、順調に上がってきているようで、安心してテントで待つと、しばらくすると外でききなれた声がするので、外へ出る。

重荷を背負って、雨の中の行軍のせいか、彼女たちのテンションがリーマンショック以降の株価のごとく急降下しているのが見てわかる。
明らかに、おうちに帰りたくてしょうがない空気をまといつつなんとかテントを設営している姿がなんとも痛ましい。。うう、お疲れ様。。。
落ち着いた所で、かおちゃんに先発隊の、予定変更を説明。

ここでかおちゃんが、明日はきっと余裕がないだろうから、1日前倒しにしてけっちぼー宴会を今日やってしまおうと提案される。(本来は今日私たち奥穂山荘でビバーク予定だったわけです)
かおちゃんの絶品シチューをはじめ、なんと厚焼きたまごまで持ってきてくれたのはびっくり、重かったに違いない。。。
そして、いたさんのふきみそが出てきたときは、これは日本酒だな!!との流れに
雨の中とんちゃんが自ら進んで(決して強要はしてない。。。はずだ)売店まで買い出しに行ってくれた。ありがとう。。
明日は天気がよさそうだ。長い一日になるだろうけど。頑張ろう。

5日 AM2:00起床。星が出ている時折風がごうっとなるが、天気はよさそうだ。手早く朝食を済ませる。
私の一番の心配ごと。。。大きい用事が入山以来果たせてない事。。。(いつもシモの話ですみません)
前回、夏の前穂北尾根では体調不良で、吐くは下すわの大騒ぎでコルというコルにマーキングしてきたのだった。。。
全ピッチリードさせてほしいと先輩にミエを切った手前、おなか痛くってなんて言ってられない。

3時30分過ぎに涸沢出発。奥穂に向かうかおちゃん、いたさん、とんちゃんがわざわざ外まで出て見送ってくれた。仲間の励ましが心に沁みる。
この日は2本のザイルの頂点が私で、笹田さん、カトさんがそれぞれにつながる形だ。コンテの時はカトさんが先頭ー私ー笹田さんと続く
スタカットの時は私がリードして2人をビレイするシステムだ。

笹田さんが、めずらしく「大丈夫?」と心配してくれる。「大丈夫です」とここは答える。無茶はしないつもりだが、最初から弱気ではいけない。
後で聞くと、核心部の3峰の1ピッチ目で泣きが入るだろうなと思っていたようだ。
気合を入れて、まずはコンテで5.6のコルをめざす。

3日のうちに5.6のコルへ上がるラインを確認していたが、4日の雨で踏み跡は割とながされていて不明瞭。先頭のカトさんもところどろ迷うようだ。
ちょっと、6峰の尾根にあがりそうなくらい上の方に進路をとったので、あれ?違うかなと思ったら、笹田さんからもっと下だと教えてもらう。
5.6のコルまでは6峰の尾根の下をトラバースするように回り込んで、コルをめざす。しばらくすると空が白んでくる。息をのむような絶景が広がる。

ちょっと写真をとってもいいですか?と立ち止まったところで、カトさんに緊急事態発生。私の十八番のお腹痛い事件を先取りされてしまった。
(いや、本家本元はカトさんか)
とはいえ、結構な急斜面だ。あと、少しで5.6のコルなのだが、もうどうにも我慢できないようで、私がカトさんを追い越す形で前に出て、
ピッケルを突き刺し、カトさんのロープをクローブヒッチで固定して確保する。
カトさん、ギリギリで間に合ったよう。色々無事で何よりだ(笑

5.6のコルを目指す
5.6のコルを目指すカトさん

再び、とりなおして、5.6のコルへ行くと、テントがはってある。どうもここにビバークして、これから前穂北尾根を登る人たちのようだ。
軽く挨拶して、先へ行く。
5峰~4.5のコルまでもコンテ。4峰を見上げる。

3.4のコルから4峰
4.5のコルから4峰を見上げる。

ここで先日人が亡くなったと思うと、気の毒な気持ちと、怖いと思う気持ち。
そんな所にいる自分ってなんなのかと不思議な気持ちになる、改めて、ひそかに黙祷をささげた。
落石を気を付けながら、笹田さんのアドバイスもあり、コンテで間隔を詰めて登る。
4峰は基本的には、稜線どおし、雪はほぼなく、最後に奥又白側に回り込み、ここの雪壁をダブルアックスで行く。

3.4のコルの手前で3峰を見下ろしながら、改めてこのルートの核心部を確認する。

4峰から3峰を見る
4峰から3峰を見る。ここが核心部。

取り付きには残置のシュリンゲがあり明瞭。1ピッチ目はまでは以前、夏に登った記憶があるので、なんとかわかる。。。。はずだ。。
しかし、そのあとのチムニーがよく覚えてない。たしかあの時、私たちはチムニーを右に巻いたような気がする。
今回は核心部のチムニーは登りたいと思っていた。

4峰から見ると、二つのチムニーがあり、左側はすっきりとチョックストーンがほぼなく
右側のチムニーはいくつかチョックストーンが見える。右のチムニーがルートだと思っていたが
カトさんから事前に右側のチムニーは崩落があり今は使ってないような情報を見たと聞く。
ここで笹田さんに確認すると、どっちでもいけると思うヨ~とのこと。
チョックストーンが崩落時にできたものなら、それが安定してないといやなので、左側を行こうと決めて取り付きまでいく。

3峰1P目、尾根を左に巻くように行く。いくつもボルトがあるのでどのラインが一番簡単か見極めながら
右往左往してしまった。ルーファイに時間のかかり、全体の行動の遅延につながる。大いに反省。。。
1P目の右のラインは、私には無理だと判断
結局、夏に行ったとおりの道をとおる。おそらく一番左側にトラバースをするラインだと思う。
ボルトが何本も打ってあるところで1P目を切り、先輩二人をビレイ。
2P目。左のチムニーにつっこむ。
雪が詰まっているところまではいいが、最後は雪がせり出していて、ハング気味に膨らむ。
しかし、まったくピンがない。
テラス状になっている雪面にバイルを入れるが、くさっていて中々決まらない。
ハング気味にせり出している、雪をピッケルのブレードで切り出し、なんとかずりあがろうとするが
手がかかり足がかりともにない。。。

右側の壁の高い一に唯一、アイゼンがひっかかりそうな溝がある、不自然に右足だけあげてアイゼンをひっかけて体を少しあげると
雪面に氷化した部分があり、なんとかバイルがひっかかる。左のバイルと、右足だけで体をぐいっとあげたところで
なんと、後続のガイドから
「そこ、ルートじゃないぞ!!登れないよ!!」との指摘が。。。
えーー!!このタイミングで言われたって!!
どうやら、後で聞くとガイド曰く、雪の時期は右のチムニーが
夏の時期はチムニー横のスラブがルートどの主張だった。

と言われましても。。。ギリギリ登れるかなってところを下るのは不可能な訳で。
下降するにも、支点をとるもピンもない。
行くしかないだろうと覚悟を決めて
「降りれないので、このまま登ります!!」と叫ぶ。

アイゼンもバイルも効いている。絶対登れる、と心を決めて体を上げる。

なんとか無事に平な雪面まで体を上げることに成功。
とりあえず、心配している先輩二人をビレイして上がってきてもらう。

チムニーから臨む風景
2P目。チムニーから臨む風景。なんとか上がれてよかった。。

笹田さんいわく、何度も夏も冬もここを上がっているので、問題ないとのこと。
しかも、アルパインのルートを教科書通りに登っているなんて初登なんかできないだろうと。
おお、さすが師匠。。。
しかし、今回ギリギリ登れたが、もうちょっと雪が解けた状態だと、私には左のチムニーは厳しかったかもしれない。
また、雪などで、崩落部分が安定しているなら右の方はピンがあるので、こちらの方が安心なのかな。
とにかくアルパインルートは自分でルートの状況を判断し、安全に登れれば正解なのだろうと思う。

3P目?そこから、教科書のルートはチムニーを出たところのクラックのある凹角を直上するのだが
笹田さんより、後ろのガイドとルートが被るから左にトラバース気味に上がろうと提案されそのように上がる。
途中で、岩にザイルが絡まったり、ダブルザイルが交錯したりと散々な状況に。。。ここでもタイムロス。
ダブルザイルの扱いは課題だ。

4P目は雪壁。ガイド一向を先に行ってもらう。

4P目ロープが交錯。。。
4P目。雪のルンゼ状。ビレイ点から

5P目は岩壁。出だしがちょっとやらしい。。。これで3峰の頭へ出る

5P目の岩壁
5P目の岩壁。出だしで手間どる。。

3峰は明確なピークじゃなく、私一人、知らないうちにとおりすぎてしまった様で
2峰の懸垂下降の時点で、まだ3峰の下りだと勘違いしていた。
(懸垂下降は2峰だとしっていたのに!!)
そんな訳で、2峰だと、勘違いしたまま頂上に到達とする痛恨のミス。

笹田さんにここが頂上だぞ!!って言われてはじめて、気が付く。

わーい!!なんとか登れた!!ありがとうございます!!と師匠に抱きつく。

前穂頂上
前穂頂上。ありがとうございました!

ここで12時過ぎ。リーダー未熟につき、時間かかりすぎの巻き。
うーーん。吊尾根~奥穂~涸沢となると随分遅くなるだろう。
距離でいえば今来た道を戻るという選択肢もあり、それも視野にいれての北尾根だったが、
今来た道を私の技量で戻るのも随分時間がかかりそうだと
師匠に相談すると、やはり、奥穂経由で戻った方がいいとのこと。

頂上でしばし休憩をとることとして、かおり隊と交信を試みる。
するとすぐに応答。なんと、あちらも奥穂の頂上にいるとのこと。

前穂の頂上から奥穂へと手を振ると、こちらは雪面なので奥穂から私たちが認識できたようだ。
お互いの登頂を喜びあう。奥穂にいた他の登山者も一緒に喜んでくれたようだ。
北穂の頂上は天国のよう、360度パノラマだ。本当に、感動的に瞬間だった。

しかし、感動ばっかりしてられないのだ。こっからが長い訳で。ザイルをしまい、奥穂をめざす。
吊尾根はほぼ雪がなく、とはいえ、ときおり、雪の部分が出てくるのでアイゼンは脱げず
岩場のアイゼンでの歩行がわずらわしい。

吊尾根
長ーい吊尾根。でも景色は抜群!!

なんとか奥穂の山頂についたのが15:30。
かおり隊が心配しているだとうと思い、交信すると、かおり隊もちょうど、奥穂小屋を降りてすぐだったようだ。
17時で涸沢の売店が閉まる事を知っていた私は、到底間に合いそうもないので
お酒をかっておいてもらえるように、お願いする。周囲で板さんの笑い声が聞こえる。すみません。呑み汚くてw

お互いの無事の再会を願いながら、こちらも下山開始。

小屋の手前の急雪壁はちょといやらしかった。後ろ向きでちょこちょこ降りる、
奥穂小屋の方に、小さな落石を伴う雪崩があったことを聞いて、雪崩箇所に寄らないように言われ
最後まで気をひきしめて下山。

涸沢が見え始めると、なんと、かおちゃんととんちゃんが出迎えにきてくれた。
達成感が押し寄せる。かおちゃんと、ハグして、お互いの隊の無事の再会を喜ぶ。
テント場に戻ると板さんが甘くて温かい紅茶をふるまってくれて、ここで心底ほっとする。

夜の宴会は、とんちゃんの料理もおいしく
楽しく会話がつきることがなかった。とりあえず、かおり隊長がドバイの石油王の第二夫人になる可能性について多いに議論があった事だけ特筆したい。
しかも、この未来の石油王の第二夫人は、ビールと、ボトルのワインまで買い込んでくれていた。感謝。感謝。

翌日は、7時頃、出発。上高地までは、穂高連邦を名残おしく振り返りながら帰り、
いつもの立ち寄り湯で汗を流し、
松本のいつもの蕎麦屋で打ち上げとなる。

事前のアイゼントレ、赤岳主稜のトレーニングも快くつきあってくれ
また、ピヨピヨリーダーの私に諸事判断を任せてくれながらも
カンどころでは的確なアドバイスをくれた、笹田さん、カトさんの諸先輩方に心からの感謝を。しかし、まだまだな弟子に冷や冷やしたことでしょう。すみません。

多大な食糧を担いでくれた後発隊にも感謝を。奥穂に登りたいという意欲を見せて前向きにトレーニングしたとんちゃん。万事やさしくサポートしてくれた板さん。そして、後発隊を取りまとめてくれた、かおちゃんに心から感謝。
本当にありがとうございました。

涸沢で記念撮影
涸沢で記念撮影。みんなありがとうございました!

最後に、書くか迷いましたが。。。

入山日に見た、前穂のヘリコプター、そして4峰で滑落死があったと記録にも書きましたが。それは、私の知人でした。
下山して、初めて、事実を知りました。

彼女はとても優秀なクライマーで、国内外、数々のアルパインルートを経験した技術も経験もある女性でした。
とてもストイックで、それでいて、人にやさしい尊敬すべき女性でした。
彼女が亡くなった事実、また、彼女が亡くなった山を直後に知らずに登ったという事実。
正直、気持ちの整理がいまだについていません。

山の事故とは、経験がなかったり、準備不足だったり、技量が足りない人だけが遭遇するものではない事を実感させられました。この事故を自分の中でどう考えればいいのか、自分がどう山に向き合っていくのか、改めて考えおります。

最後に彼女のご冥福を心からお祈りさせて頂きたいと思います。

裏越後三山

日程: 前日発 5月3−5日

メンバー: ハギ(L)、つりし、キム、トヨタ(記)

5月2日(土) 快晴

昼前東京発、車で銀山平に向かう。銀山平船着場にて前夜泊。

前日のうちに登山口を確認すると、宿泊場所から登山口まで向かう途中の銀山平船着場⇔石抱橋間は雪崩の危険があるため、夜間(18:30-6:00)全面通行止めとなることがわかる。

 

5月3日(日) 無風快晴

4時起床。1日目の行動時間の予測が難しいため、6時の開通に一番乗りできるよう、少し早めに車で向かうと、ゲートが開いており難なく通過できた。民宿「きこり」前の銀山平駐車場に車をデポし、6:20出発。

蛇子沢の左岸の尾根をルートとして選び、石抱橋付近の尾根の末端に取付く。

朝一で雪がやや固く、傾斜もあるので、安全のためアイゼンを付けて登り始める。

尾根に上がるとしばらくは快適な雪の尾根歩きが続く。

1

1256m付近から雪が少なくなり、雪があっても亀裂があり、そのため雪のない踏み跡を辿る箇所が徐々に多くなってくる。

しばらくすると、ルート上に雪がまったく見えなくなり、藪だけとなったところでアイゼンを外し、ピッケルやストックをしまう。

周りは白いコブシにピンクのシャクナゲ、足元にカタクリ、イワウチワと春爛漫である。だが、藪が背丈を越え、藪濃度がグンとあがると花どころではなくなる。

ザックに括りつけたピッケルやストックが枝に引っかかり苦戦する。藪漕ぎ慣れしているメンバーもこの状況には辟易としていた。

そのうち薮100%の急登となり、薮との格闘が始まる。

男性が体重で枝を押し下げ空間を作って抜けて行くような箇所を、軽い女性は抜けることができず別ルートを探り、逆に、女性なら通り抜けられる隙間で男性が苦戦するといったように、藪漕ぎ力が試されるようなルートだった。

2

1649m手前あたりから、また雪面が現れようになり、再度アイゼンをつける。やっと薮を抜け、快適な雪稜が現れるかと期待するが、案に相違し、雪と薮の繰返しであった。

3

無風快晴の急登&藪漕ぎで汗がしたたり、喉が渇く。手持ちの水がだいぶ少なくなってしまったので、雪を口に含みながら登る。

1800mを越えたあたりで樹林帯を抜け、荒沢岳までのルートが一望できる雪稜に出る。

4

雪はあるのだが、所々クラックが走っており快適な状態とは言い難い。安全を考えると部分的に薮を選択せざるを得ない箇所があり、最後まで薮と離れられなかった。ハギリーダーの情報で夏道を発見し、薮から解放される。

16:45本日の幕営地、荒沢岳直下の鞍部に到着。テント設営時あたりから少し風が出てくる。

 

5月4日(月) 曇りのち雨

4時起床。天候は曇りでやや風がある。

5:40空身で荒沢岳往復。荒沢岳までのルートには雪がなく、テン場から15分で山頂到着。山頂からの眺望は、360°の山・山・山の景色で、山の奥深さを感じる。これから縦走する中岳までのルートも見えるが、やや遠く感じる。

6:20テン場に戻り、荷物を持ち出発し、5分程で分岐に到着。灰吹山方面は広い雪面が広がり、快適な雪稜歩きとなる。

5

8:30灰の又山山頂。今日は面白いように距離を稼ぐことができる。このあたりから、登りの北面は雪だが、下りの南面は雪がなく、夏道を行くといったパターンになる。

9:50巻倉山通過、11:30兎岳到着。休憩後、兎岳の山頂から延びる夏道を進むが、どうも向かっている方向がおかしい。地図を確認すると、丹後山へ向かう分岐に入り込んでしまっており、15分程度ロスする。兎岳の山頂から更に少し戻ると、雪の中に中ノ岳に向かう分岐を発見する。

兎岳から中ノ岳まではほぼ雪道となる。兎岳からの下りで雨が降り出す。西の空も暗く、本降りになるかと思われたので雨具をつけるが、雨は暫くぱらついただけで止んでくれた。

小兎岳を経由し、一旦グンと高度を下げ、それから中ノ岳への長い登りが始まる。雨具を着ての登りは暑いが、風があるので助かる。雪庇やクラックを避けながら、黙々と登って行くと、中ノ岳頂上の手前で雪壁が現れる。

6

14:30雪壁の高さは20m程度、70°以上あると思われ、上部は更に傾斜が増している。雪壁にははっきりと登りのステップが刻まれており、先行者がいるようだ。

一番手のつりしさんがステップをトレースしながら登り始める。後続が続いて登るのはリスクが高いため、残りのメンバーは下で見守ることにする。ステップはまあまあしっかりしているようだが、上部に行く程、慎重を期している様子が窺える。

雪壁を乗り越え、つりしさんの姿が見えなくなると、こちらもホッとする。

安全を期して、ロープを出してもらうことにする。少し風があるため、ビレイヤーが寒いと思われたので、急いで登る。

(同じ時期にここを通過した他パーティの記録では、雪壁の西側をトラバースして巻いたと記されていた。)

 

雪壁を抜け、やや傾斜が緩くなった雪稜をしばらくいくと15:35中ノ岳に到着。

7

このころから少しガスがかかる。15:50中ノ岳避難小屋着。小屋には先行パーティがいた。彼らは前嵓岳経由で荒沢岳に登り、ここまで来たという。荒沢岳直下では2ピッチ程ロープを出したとのこと。先ほどの雪壁のステップは彼らのものと思われる。

その日は夕方から雨が振出し、夜は暴風雨となったが、快適なトイレ付の小屋で一晩明かすことができたのは幸せである。

夜は、GWの越後駒ヶ岳の山頂小屋でビールを売っていたという情報で、小屋でビールを調達し、幕営地でビール片手に越後の山並みを愛でようという話で盛り上がる。

 

5月5日(火) 快晴

一晩中小屋にたたきつけていた雨音が明け方には聞こえなくなった。5時起床。3日目は越後駒ヶ岳を経由して適当な場所で幕営予定なので、ゆっくり身支度を整え、7:40に小屋を出発する。

明け方の冷え込みで雨は雪に変わったようで、新雪が薄らと雪面を覆っている。雪もしまっており、快適に中ノ岳からぐんぐん下る。

9:40檜平方面はほぼ夏道なので、アイゼンをはずす。途中、雪面に黒い物体を見つける。熊?と思ったが、カモシカだった。

8

11:10天狗平到着。駒ヶ岳への途中で盆栽のような小さな桜が花をつけていた。

12:20山頂直下で再度アイゼンを付ける。

13:10越後駒ヶ岳到着。

9

中ノ岳からのルートですれ違ったパーティは1組だけだったが、さすがに百名山の越後駒ヶ岳には登山者やスキーヤーがちらほらいる。山頂で小屋の様子を尋ねると、小屋は開放されているが無人とのこと。ビールの調達ができないとわかり、メンバーのテンションが一気に下がる。話をした登山者は日帰りで、これから下山すると聞き、我々も下山しようかとの声が出る。

越後駒ヶ岳の山頂からは雪の斜面をどんどん下る。雪の状態もよく、下りは軽快である。

10

15時過ぎに道行山付近で休憩をとる。

目の前に3日間かけて辿ってきたルートが一望でき、最高のロケーションである。

11

蛇子沢の尾根は上部がかなり急登であることがわかり、二日前の苦闘が蘇る。荒沢岳から中ノ岳、越後駒ヶ岳にかけては美しい山並みが続いている。このまま山中で泊り、のんびり山を眺めながら一晩過ごすのも捨てがたいが、帰りの高速渋滞を考え下山することに決める。

途中、コシアブラを収穫しながら山から降りきると、白沢に出る。白沢の中州にスノーブリッジがかかっており、沢を渡り進んでいると、リーダーからこちらからは北ノ又川が越えられないとの声がかかる。改めて地図を確認するとその通りであった。後続パーティは白沢の対岸を川下に向かっている。白沢の対岸に戻り、残雪で斜面となった沢沿いを進む。何気に歩きにくい道を厭きるほど歩くと、石抱橋の手前に小さな橋がある。それを渡ると駐車場へ続く車道へ出る。17:30下山。

白銀の湯で3日間の汗を流し、銀山平船着場でテントを張り、ビールで乾杯した。

3日間とも10時間程度の行動となったが、山菜と薮と雪と山を楽しんだ、とても充実した山行だった。

 

冨士山雪上訓練

冨士山雪上訓練
期日:2014年12月13日 ~14日

参加者: ハギCL、アベSL、サイトーSSL、カト、エビ、ミドリ、カオ、タカタカ、いしつかみ、こなが、あず、つりし(記録)

13日:つりし車 6:00王子発→10:00着(馬返しP)場所を間違え1時間のロス
10:20発→14:00幕営地~16:00ころまで訓練
14日:6:30訓練開始→11:00訓練終了→12:00テント撤収完了→13:40着

最近、雪上訓練といえば谷川が主体であったが、アベ代表から会員のさらなるレベルアップを図るべく、今年は本番さながらの緊張感がある富士山で訓練を行ったらどうかと提案がある。
担当であるハギCLは富士山での雪上訓練は初めてで、今回は取りまとめ役にまわります
ということで、現地では講師にアベ代表、そして経験豊富なサイトーさんに教えていた だいた。

13日
王子で集合したつりし車、助手席E君がカーナビのセットしてくれて、着いたところが 反対側の吉田口の同名馬返しに到着してしまい予定より1時間以上遅れてしまう。
皆様の貴重な時間をほんと申し訳ありませんでした。
私はナビに従って運転していただけなんです。
10:20発 整備されている登山道に雪はないが1時間位すすむと凍結箇所が出てきてア イゼン装着。
14:00 5合目 佐藤小屋到着
テント場は佐藤小屋直下の車道のすぐ下の樹林帯部を整地し3張り隣同士設営後、さっ そくカリカリに凍結している車道を歩いて5分ほどの斜面で訓練開始
万が一止まらなかったら場合でも下に生えている低木地帯で止まるので、その範囲で行いなさいと訓練前に代表からの指示が出る。

まず滑落停止、その後 アイゼンを付けない歩行訓練(キックステップ)、登り、下り、トラバース、待機の足場の作り方、トラバースしながら向きを変える時の足とピッケル の使い方などを習う。日も陰ってきた16時訓練終了。
幕営地周りは積雪量15cmくらい少し掘ると土がでてきてしまい綺麗な水を作るのが困難なので佐藤小屋で下からタンク車でもってきているという水をテント一張り分の料金を支払い(4人×500円)全員分を売ってもらう。
本来我々が幕営している場所は佐藤小屋指定テント地でないので、テント料金はいただけないが水だけは売っていないということで、そうした。
通年営業しているのはありがたい。
食事は各テントで、うちらのテントはタカちゃん特製五平餅入りキムチ鍋、やっぱり雪山ではこれがいいね~と飲んべえの二人は酒をカポカポ、被害者飲まないコナガさん。

14日
6:30 快晴だが風があり底冷えがする。
本日の練習場所は昨日の斜面からさらに5分ほどまわりこんだ車道の山側の斜面、前日よりも斜度が少々きつい、表面はクラスト気味、テカってアイゼンならよく効く雪質であったが、ノーアイゼンだとしっかりキックステップをしないと少々怖い。
昨日のような下に低木帯がないが下の車道にはガードポールにワイヤーが二段張られている。
講習前に皆で幅1.5mほどの平地を横方向に20mほど作成、その2.0m上に支点を構築しザイルを横方向に張った。

富士山1
富士山1
富士山2
富士山2

 

万一滑って止まられない場合は、まずは上のザイルにひっかかり、それでもダ
メなときは平地で速度をゆるめ、最後は道に張られているロープに引っかかるという、安全対策である。
そして、この対策を施している箇所にポールを立て、上にもそれ以上行かないように目印のスコップが立てられ、前日同様にアベ代表から訓練前にこの範囲内で行動するように注意がある。

富士山3
富士山3

 

富士山4
富士山4

昨日同様、ツボ足歩きの練習、続いて滑落停止、そしてビレイヤーの足場の上に支点を構築しそこからセルフを取った後、スタカットでトップが滑落したときの制動をパターンを変えてやってみた、はじめ腰からみで滑落者を止める、次は肩がらみで止めてみたはじめの腰からみでは体重差があっても大体安定して止められていたのが、肩がら みだと重心が上になり体重差があると厳しそうたびたびビレイヤー自身持ってかれセルフビレーのロープが伸びる。
それは突然だった。
「あっ」と言う声で下を見るとコナガさんが車道まで滑っていてガードロープに足を絡めて腹這いになって止まっている。
びっくりして本人によく聞くと、順番待ちで待機姿勢をしているときに足を滑らせたとのこと、そして滑落停止とピッケルを3度打ち込もうとしたが、雪面に跳ね返されて刺さらなくて止められなかったとのこと滑落距離15mほどであったが、もしガードロープで止まらなかったら、その下は岩交じりの斜面、最悪の結果になっていたとしても不思議でない。
(この件については、再発防止のため話し合われたので別途資料を参照されたい)
その後、ヒマラヤコンテのシステムを習い、その後2人1組で一人が滑落し停止させることを行う。
11:00ころに練習終了し、テント撤収。
13:30ころに駐車場に着いた。
そこで判明したのだが、カヲちゃんの足先が凍傷で紫色になっていた。
訓練中は-5度の風速10m位(体感である)で実際の雪山からすればなんということもないのだが、風を遮るところがないのと北斜面なので日が当たらないのと、そして体を動かさないので発熱しないので、とても寒さを感じた。

今回の雪上訓練 緊張感もあり実戦的でよい経験になりました。
そしてリスクを覚悟しながらも、我々の勉強のためと現地で講習をしていただいたアベさん、さいとうさん、そして私は富士山では講師をする自信はないと謙遜して裏方で大人数の段取りをしていただいたハギ隊長ありがとうございました。
以上

赤岳 県界尾根

樹林帯の中

赤岳 ~県界尾根から美濃戸口へ、2月から3月へ~

(平成27年2月28日~3月1日)

【メンバー】笹田リーダー、カト、けんた(記)

2/28(土) 清里スキー場…小天狗…大天狗(幕営)

3/1(日)   大天狗(幕営)…赤岳…行者小屋…美濃戸口

2月の末日、朝7時新宿発のスーパーあずさに乗る。今回の行き先は赤岳の東に拡がる県界尾根。

まだ2,000mを超える山に登り始めて間もない頃、この県界尾根で遭難しかかった事がある。その頃地図を持たずに登っていた私は、赤岳に登頂後、他の登山者のアドバイスに従って進んだところ、この県界尾根に迷い込んでしまった。その時は、なんとか元来た道へ戻ることができたが、私としては、今でも因縁の尾根であった。こうした経緯から、この山行から無事戻ってくることができたら、今よりも先へ進めるような気がしていた。

9時前に小淵沢駅に到着。そこからタクシーで清里スキー場の県界尾根入口まで移動。準備をして午前10時頃に出発した。天気は良く、風はほとんどない。最高のコンディションだ。しばらく沢沿いを進み、途中で県界尾根への分岐点に到達する。そこから急なのぼりがはじまる。雪はついていたがむき出しの土は凍っており、途中でアイゼンを付けた後、高度を上げる。

 

樹林帯の中
樹林帯の中

12時半頃に小天狗到着。ルート上は歩きやすいが、少し外れるとひざ下位のラッセルになり、ところどころ苦しめられた。だが、ほとんどの場所で、赤岳や大天狗・小天狗、真教寺尾根、赤岳東稜などがきれいに見え、シャッターを切ることが楽しかった。

県界尾根から眺める赤岳
県界尾根から眺める赤岳

15時半頃に大天狗に到着し、テントを張る。軽く宴会、夕食の後、19時に就寝。

3月1日、朝3時過ぎに起床。外は雪が舞っている。朝食を食べ、ゆっくりと支度をし、5時半頃に出発。訓練も兼ね、出発時からコンテで進む。あたりはまだ暗く、進むべきルートが判然としない。ラッセルをしつつ、灌木の間を抜けながら、先へ進む。

先頭の私は猪突猛進型で、尾根上をとにかくまっすぐ進んだが、目の前に更なる急登が現れ、そこへ突入しようとしたとき、笹田リーダーから待ったがかかる。笹田リーダー曰く、ここは右へ巻くのがベストであると。そこでスタカットに切り替え、笹田リーダーが斜面をトラバースし、道を作る。我々も後に続いてトラバースをしていくと、そこに雪に半分埋まった鉄梯子が現れた。本来のルートだ。笹田リーダー曰く、ここにルートが見えたとのこと。今の私のレベルではさっぱりであった。いつかルートが見えるようになるのだろうか。

その後もトラバースを繰り返した。途中、樹木が全く生えていない斜面をトラバースすることになったが、雪崩が起きるのではと思うと、軽く戦慄した。

ラッセルによる肉体的消耗と、雪崩の恐怖による精神的消耗で、赤岳頂上へ向けての登りに入った時には、かなりばててしまっており、笹田リーダーに先頭を変わっていただくことになった。

10時半頃、赤岳頂上小屋に到着。吹き付ける風は強く、雪が氷の粒となって顔を打つ。ここでしばしの休憩。頂上には誰もいない。こんな天気で来る人はいないか。先日、国際登山ガイドの近藤謙司さんのお話を聞いてきたのだが、その際、赤岳の頂上で強風に吹かれ、顔が凍傷になったとの話されていたことを思い出した。やはり軽く戦慄した。

11時頃、耐風姿勢を繰り返しながらなんとか赤岳頂上に到着。写真を撮る余裕もなく、文三郎尾根からの這々の体で、というよりもむしろ這いつくばりながら下山を開始する。が、いきなりの雪壁+強風。恐怖のため進めず、再び笹田リーダーにトップを変わっていただく。

その下山途中、人生初の滑落停止を経験することになった。下山は絶えず強風との戦いであったが、ピッケルを持つ手を変えようとした時、強風にあおられ、2mほど滑落。反射的にピッケルを差し、なんとか止まったが、その後も急斜面・強風が続いていたため、かなりビビりながらの下山であった。そのため、前を歩くカトさんとの距離をうまく保てず、かなりご迷惑をおかけした。

12時位に行者小屋に到着。到着するまでは緊張の連続でかなりきつかった。行者小屋近辺も人は少なく、南沢ルートは歩かれた様子がなかったため、北沢経由で下山することとなる。

赤岳鉱泉に到着すると、アイスキャンディを楽しんだ人たちがちょうど下山を開始する時間帯であった。アイスクライマーたちと挨拶を交わしながら北沢ルートで下山、美濃戸口には16時頃に到着した。

下山して思い返してみると、私にとっては密度の濃い山行で会った。この経験を次の山行へと活かしていきたい。ちなみに、今私自身の課題と考えているのは、以下のとおり

・ルートファインディング能力の向上

・コンテのロープの長さをしっかり張った状態にする

・体力の向上(重い荷物に弱い)と荷物の軽量化

 

<笹田リーダーコメント>

昭和13年積雪期(4月)から残雪期(5月)にかけて偵察を兼ねながら東京魚市場山岳会 倉方武雄氏が赤岳東壁として赤岳北峰から派生する顕著な2本の岩尾根の左側を直接登っている記録があります。

当時の登山者の志の高さに感銘を受けます。

昔も今も吹き荒ぶ風雪に変わりはありません。

そこに身をおくと、先人の想いが共有できるようで同志的な繋がりを感じます。

今回私にとっては3度目の試みでした。

良き仲間と思いで深い山行になりました。

 

<カトさんコメント>

雪山は厳しい。山に入るたびに体力、能力の限界を感じる。五感も鈍くなった。県界尾根は昨年3月東稜への間違いに続く二度目のチャレンジ。人は入ってなくルートの見極めが難しい。終始笹田さんに頼りきり。ケンさんにはラッセルを任せきり。前進を自ら切り開くことをしないことを無念と思わなくなった自分が忌まわしい。人を頼る山行はやめた方が良い。もともとバリエーションルートをこなす技量がないことを考えるとこんなものだろうか。皆いっぱいいっぱいの行動をしている中、こんな自分に文句ひとつ言わないことに感謝しなければいけない。

2日目の天気は時間経過に伴い悪化の予報。赤岳には早めに上がらねばならないと思う。5:30大天狗を出発したので8時には赤岳頂上小屋に着くだろうと考えていた。これが甘い。急斜面の尾根のラッセル、ルートを探しながら雪崩れるようなルンゼのトラバース。頂上小屋が見える地点に来たときは10時を回っている。痙攣が始まった足をだましだましゆっくり歩を進める。頂上小屋に上がれば強風で体が吹っ飛ぶ。文三郎尾根の下りは強風のため背面下りを何度も強いられる。弱い自分ながらなんとか行者小屋にたどり着く。

何時も楽しさとは何だろう、と思う。自然、日常的な鍛錬、ルールの厳守、仲間との接し方など様々な厳しさの経験や認識よって目的が達成された達成感なのか。そんな風に考えると県界尾根は確かに楽しかった、と言える。

赤岳主稜

1P目。チョックストーンをくぐるカトさん

日程:4月18-19日
参加者:笹田(L)、カト、さぶ
コースタイム
1日目(晴れ):美濃戸~赤岳鉱泉~行者小屋(幕営)
2日目(晴れのち雨):3:00起床 4:30行者小屋~文三郎~6:001P目取り付き~赤岳山頂~11:00行者~15:00 美濃戸

GW合宿のターゲットを前穂北尾根と決めてから、へなちょこリーダーを買って出たさぶは正直びびっていた。以前、夏に北尾根は踏んだことがあるのだが、緊張からか、お腹を壊し、登攀中コルというコルでマーキングするというよくある事態に。。
あれを、アイゼンで行くのかと思うと、またお腹がゴロゴロしてくる。 そこで、笹田師匠にお願いし、赤岳主稜を前トレーニングの場とした。 新宿からいつもの7時発のあずさ2号で旅立つ。車内で熟睡し、茅野駅からバスで、美濃戸へ到着。

南沢の方がアクセスは早いが、北沢の方が景色が綺麗なのと、アルコールを調達したい私のわがままで、赤岳鉱泉経由で行者まで。
アイスキャンディーが解けてしまったからか、赤岳鉱泉は半月前に角田さんとジョウゴ沢に来たときに比べると人がいない。

行者に到着したのが14時半。行者小屋も人が少ない。先客のお隣さんは、横浜の方らしい。
明日は阿弥陀の北西稜に行くとのこと。菊水のふなぐち一番しぼりの1リットル缶をヤッているのをみて、笹田さん、カトさんが
そんな缶あるの!!ってつっこんだら、飲みますか?となり、2人ともいきなり日本酒をごちそうになっている。 「物欲しそうにみてないでください!!記録に書きますよ!」と脅したら、私もご相伴にあづかり、晴れて共犯者に。。日本酒うまーい。

私たちも、さっそく、テントを設営し、ほどなく宴会。
山談義に花が咲き、あっという間に20時になる。楽しい時間がたつのは、早い、明日は3時起きだ。あわてて就寝。

3時起床、4時半すぎに出発。

笹田Lの指示の元、ロープは荷物になるからと、行者小屋から、コンテのセットで行く。

実は、今回、久しぶりの登攀になるので、笹田さんの後をついていき、
岩をアイゼンで登る感覚を呼び覚まそうという魂胆であったが
師匠は甘くなかった。1ピッチ目の核心部のみカトさんがリードし、後のピッチは全てさぶがリードすべしとの指令。
何たること。ドキドキしながら、文三郎を歩く。

行者小屋からほどなく行くと、顕著なチョックストーンへ文三郎からトラバーストレースがうっすらついていた。
ここが取り付き。


トラバース嫌いの私には、結構な斜面だが、雪が締まっているのでコンテで平気だろう、と笹田師匠の言葉で、私-カトさん‐笹田さんの
順に歩いていく。春合宿の五竜GⅡの取り付きのトラバースもかなりの急斜面だったが。。。怖くて、さぶはへっぴり腰。 チョックストーンにつくと、セルフをとって、この1ピッチはカトさんリード。1ピッチ目がこのルートの核心部。。。

のはずが、雪が解けているため、チョックストーンの下がくぐれる、めったにくぐる機会もないとのことで
チョックストーンをくぐるカトさん。2番手私、しんがりは笹田さんが勤めてくれる。

1P目。チョックストーンをくぐるカトさん
1P目。チョックストーンをくぐるカトさん



1ピッチ目はカトさんがピナクルにシュリンゲを掛けて、ビレイしてくれていた。

2ピッチ目からすべてリードせよとの仰せに従い、意を決めて、
右に岩を回り込むと、本来切るべき1ピッチ目の終了点がありその上にピンがある。なんだか、立っているよ~。
1ピン目をとって、2ピン目かけたところで、手詰まり。
師匠~。いけませーーん。カトさん、テンショーン。と情けない事に、早々に泣きが入る。 A0しつつ、一旦、取り付きに降りる。師匠が心配して岩を回り込んで様子を見てくれる。

こっちじゃない?ピンはないが、あきらかに岩の弱点をついていけそうなルートがピンの左に。
素人は目先にとらわれて悪い方に行くという見本品さぶ。

2P目。なんとか、上に上がる。ルーファイがダメすぎ。。。
2P目。なんとか、上へ。心配そうにビレイする笹田師匠。



これならと持ち直して、再び、体を上げる。
たっているけど、フォールド、スタンス共に豊富だ。
ここからは、比較的問題なく上がる。2ピッチ目の終了点もしっかりしている。

3ピッチ目、記憶になし。。。

4ピッチ目。岩稜。立っている場所はあるが、ホールド・スタンス共に豊富。

ビレイをしながら、阿弥陀を見る。スカイラインが北西稜。テントのお隣さんも今頃のぼっているだろうか。

阿弥陀を臨む
阿弥陀を臨む。例年より雪が少ない気が。。。


というか、文三郎尾根から丸見え。指をさしてこちらを見ている人もいる。
悪い事している訳じゃないとは思うが、結構、気まずい。

5ピッチ目、雪稜をゆく。ダブルアックス。しっかり締まっている。草付のところにシュリンゲがあったので
ランニングをとって、その上、もう少したった、雪稜を右の岩を巻くように上にあがるんだろうなと
行こうとしたところ、ザイル残りあと10メートルと笹田師匠からコールが。。。
残りのロープをまったく気にせずに行動してしまった。失敗。

5P目。ロープが足りなくて、うろうろするはめに。。。
5P目。ロープが足りなくて、うろうろするはめに。。。



回りをみても、支点がない。。。きっと、さっきランニングとった立木で切るべきだったんだろう。
そこまで下りるのがちょっと、立っていていやな感じだ。

少しさがったところに、灌木があったのであそこで取ろうと思って3メートルほど降りる。

取ろうとおもった木は下が抜けていて、役に立たない・・・。マジかー。。。
バケツを掘って、ピッケルを雪にバイルで打ち込んだら、雪が締まっているのでよく効く。
それでセルフをとって。座って腰がらみでビレイ。

6ピッチ目、岩を右に回り込むようにして、雪壁を上がる。ダブルアックスなので安心してあがれる。
雪壁終了の岩場にきちんとした支点があり。

7ピッチ目、こちらも一部立っていはいるが、スタンスホールド豊富な岩場。
終了点はペカペカのペツル2個あり。シュリンゲを通し、岩場なので、半マストでビレイ。

8ピッチ以降はコンテで上がる。ハーケンがあるので状況によりスタカットで行く場合もあるのだろう。
特に問題なく、岩場を上がる。

登山道に人がいるのが見える。あきらかに写真をとられている。。。これまた気まずい。
登山道で、お二人と握手。岩、雪共に、よい状態で登りやすく、充実したトレーニングが出来た。
たのしかった!!ありがとうございました!

計画どおり、赤岳山頂経由で文三郎に戻る。

赤岳頂上で写真を撮ってもらい
文三郎を降りる。とりつきあたりで雨が強くなる。

赤岳南峰。よく頑張りました!
赤岳南峰。よく頑張りました!



自分たちが登った稜線を確かめながら行者小屋に降りる。
雨の中、早々に撤収して、今度は南沢経由で下山開始。

ここで、笹田さん、カトさんはノーアイゼンで行くという。
私もイキがってノーアイゼンで下るが途中、凍結箇所が幾度となくでてきて
難儀する。しかし、危険個所はそうないので、訓練と思い、そのまま下る。えらい疲れた。。。先輩二人はスタスタ歩いていく。。。何が違うんだろうか。。。(涙

15時前のバスに飛び乗り、茅野駅の蕎麦屋で打ち上げして帰る。
帰りのあずさは無事にすわれたが、加藤さんが別の団体のご婦人と同席。
どうも、ハイキング帰りのようで、カトさんは、いたくこの御婦人に気に入られておモテになっていたことを最後に特筆しておこう。

GW合宿前のよい訓練になった。つきあってくれた先輩二人に感謝したい。

西丹沢沢旅 記録

  • 場所:西丹沢 モロクボ沢~地蔵平~菰釣山~大栂~浅瀬
  • 日程:平成27年5月2-4日
  • メンバー:こば(L、記)、えび、みどり

行程図行程図

2日(土)晴れ

新松田駅発7時20分のバスに乗る予定が人の多さにびっくり。1時間立ちたくないのでタクシーにする。西丹沢自然教室の先の林道ゲートまで9700円。9時前に入渓。

最初のうちは河原歩き。30分ほどで大きなF1が現れる。直登する人もいるそうで、真夏の暑い日ならばシャワーを浴びながらのクライミングが楽しいかもしれない。今回はまだ濡れたくないので1段目を上がったところで左の壁からチムニー上の岩場を登る。F1を越えるとしばらくナメや小滝が続いて水晶沢の出合となる。沢が左に大きく回り込む広い河原状の場所での合流のため、何となくまっすぐ行くと水晶に入ってしまいそうになるので注意が必要。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAモロクボ沢F1

OLYMPUS DIGITAL CAMERAチムニーから顔を出す。

水晶沢出合からはまたしても単調な河原歩きが30分以上続く。しかしモロクボ沢は後半に入ってまた急に楽しくなる。水量は少なくなるがナメ床や小滝が連続し最後まで飽きさせない。最後は適当なところで左岸側に詰め上げて登山道に出る。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAとても明るい渓相

OLYMPUS DIGITAL CAMERA小さな滝が続く

OLYMPUS DIGITAL CAMERAモロクボ沢の頭

登山道を畦ヶ丸の方に少し行くとモロクボ沢の頭に着く。少し畦ヶ丸側に降りたところが戸沢への下降点。明るく開けた落ち葉の斜面をサクサク音を立てて下っていく。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA下降開始

OLYMPUS DIGITAL CAMERA新緑の中に花が咲く

OLYMPUS DIGITAL CAMERA戸沢の下降は意外と滝も多く楽しませてくれる。

戸沢が赤沢と合流しバケモノ沢と名前を変えるあたりでビバークをすることにする。まだ明るいがこの先谷が狭くなるため安全を見る。タープを張り食事の支度をする。途中で摘んできたミズをつまみながら酒を飲む。沢の音、鳥のさえずりが何とも春を感じさせてくれる。夜中目を覚ました時に鹿が鳴いていたような気がした。

3日(日)晴れ

5時起き、6時40分発。バケモノ沢の下降は楽しい。2m~5m位の滝がいくつもかかるが高巻きをするほどではない。ネットの記録を読むと3段20m位の滝があるとのことだったが、気が付かずに降りてしまった。急に沢が開けると堰堤があり、左岸側に林を抜けていくと林道に出る。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA小滝1

OLYMPUS DIGITAL CAMERA小滝2

OLYMPUS DIGITAL CAMERA小滝3

OLYMPUS DIGITAL CAMERA堰堤手前の明るい林で休憩

地蔵平から林道を歩き白水沢には市がかかるところで再入渓。この沢も最初は河原歩き。フジモク沢の右股に入ると滝も増え変化に富んだ渓相に変わる。滝を登り、へつり、時々釜に浸かる。午前中とはいえ気温は高く暑い。水もそんなに冷たくなので濡れても気持ちがいい。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA滝が続く

OLYMPUS DIGITAL CAMERAへつって

OLYMPUS DIGITAL CAMERAまた攀じる

詰めは避難小屋のあたりから派生する尾根に向けて藪を漕ぐ。まだ春のためか去年の笹は折れやすく頼りにならない。30分ほど藪漕ぎ急登をこなして尾根上に上がる。菰釣避難小屋には11時前に到着してしまった。予定では避難小屋泊だったがこれではあまりに早すぎる。水場も遠いことから、ここは先に進み大栂の先で谷に降りてビバークすることにした。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA菰釣避難小屋

大栂までは以前水の木沢を遡行するときにたどっているので全く問題なく到着。しかし辿ってみるとこの先の地図読みがなかなか難易度が高い。要所々々にはテープがあり迷わない様にはなっているが、注意が必要。

織戸峠は昔は峠として機能していたであろう名残か、少し道らしいはっきりとした踏み跡が付いている。ここを左側に下降。なかなか急斜面で細かな砂利でガレている。谷底に到着するとすぐに水が出てくる。これで谷が開けてくればビバーク適地が見つかるはず。期待して進むと左から水量の多い沢が合流し、明るい平地が出現する。今夜も最高のテンバ。4時近くなってしまったので急いでタープを張る。丹沢の沢旅最後の夜を楽しみながら眠りについた。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA菰釣山から大栂に向けて尾根を下る。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA今日のテンバ

4日(月)晴れ

天気図では西から低気圧が接近し昼過ぎには天気が崩れてきそうな雰囲気なので、尾根に戻るのはやめて沢を下ることにする。そう長く下らずとも林道が出てくるはずで、早い下山を選択した。というか昨日下降したグズグズのガレ場を登りたくなかっただけか?

しかしこの法行沢と言うやつもなかなか綺麗。高巻きを余儀なく所もあるがなかなか楽しい。谷の上を通る橋をくぐるとすぐに大きな堰堤が現れる。下をのぞくとまだ楽しそうな沢が見えるがどうもこの堰堤を越えるのは手間がかかりそうということで林道に上がることにする。遡行時間1時間弱。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA OLYMPUS DIGITAL CAMERA小滝が連続する

まだ8時前。ここからは長い長い林道歩きになってしまった。浅瀬の林道ゲートを越えて丹沢湖バス停到着が10時30分。橋のたもとにある落合館は入浴可。3日分の汗をさっぱりと洗い流し丹沢を後にした。

南アルプス 北岳 記録

  • 場所:南アルプス 北岳 池山吊尾根ルート(奈良田から)
  • 日程:平成27年3月28-30日
  • メンバー:こば(L、記)、えび、けんた

27日(金)

東京を20時ごろ出発し車を飛ばして22時30分ごろ奈良田温泉の駐車場に到着。思っていたほど寒くない。軽く酒を飲んでさっさとお休み。

28日(土)

この日は朝から快晴。天気図によると29日の昼くらいまでは移動性高気圧の支配下で南アルプスは晴れそう。今日登れるところまで登っておけば、明日の登頂の可能性がぐんと高くなる。

朝5時に起き準備開始。奈良田の林道ゲート前には東京電力の駐車場があり、そこまで5分のドライブ。やはりゲートは閉まっていた。最初の核心部。

ゲートを越えて長い林道歩きの開始だ。所々にある滝を見物しつつ退屈をしのぐ。長ーいトンネルを越えるともうすぐあるき沢橋。ここまで約3時間の行程。今日はここからどれだけ登れるかが勝負。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAあるき沢橋

それにしても雪が無い。もう春。サクサクの落ち葉を踏みしめて気持ちのよい急登を行く。道ははっきりしていないがテープがたくさんあり迷うことは無い。少し雪が出てくると道は凍ってくる。安全をみて早々にアイゼンを履く。途中池山御池の小屋を越える頃にはすっかり雪山の景色になっていた。池山御池が2000mちょい。ここから城峰を越え砂払いの手前約2600mまでこの日のうちに登っておきたい。今丁度12時。15時までには着けるか。

時折見える間ノ岳や農鳥岳に励まされながらぐいぐい高度を上げる。15時を過ぎたころ眺めの良い比較的なだらかな場所を発見しテンバとする。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAテンバ近くから間の岳方面

29日(日)

朝3時に起床。やはり山の上はまだ寒い。時折強い風の音がする。しかし外に出てみると星が出ている。今日もまずは快晴だ。

準備を整え4時30分ごろ出発。まだ若干暗いのでヘッデンを点けて行動開始。5時過ぎには森林限界を越える。前方に北岳以外の白根三山、後ろには甲斐駒、鳳凰、八ヶ岳そして富士山がシルエットで浮かび上がる。だんだん明るくなるに従い山々が赤みを帯びてくる。ボーコンの頭を越えたとき、目の前に突如として巨大な北岳が現れる。しかも真っ赤なモルゲンロートに輝いて。これには感動した。ボーコンの頭から八本歯までは快適な稜線漫歩。南アルプスの主峰たちを眺めながらの縦走はまさに天上の気分。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAシルエットの富士

OLYMPUS DIGITAL CAMERA北岳のモルゲンロート

八本歯は今回の核心。岩交じりのやせ尾根を急下降する。少しいやらしい所は躊躇なくロープを出す。ロープを使うのも僕らには練習なのだ。少し緊張感のある下りが終わると八本歯のコル。大樺沢を登る夏道と北岳山荘に向かうトラバース道の分岐。僕らは当然まっすぐ北岳に向かう。ここで6時半。なかなかのペース。このまま予定通り進めば天気の安定している9時ごろまでには登頂し、午前中にはテンバに戻れるだろう。気を引き締めて先に進む。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA池山吊尾根を振り返る

OLYMPUS DIGITAL CAMERA八本歯の下り

OLYMPUS DIGITAL CAMERA北岳に光が当たる

7時半ごろ間ノ岳へ向かう稜線との分岐に到着。標識には北岳山頂まで20分とある。もう登頂したような気分。もうすぐだ。しかしここからが以外にも悪い。夏道をたどって進んだが、頂上直下のつづら折りの登りは冬は雪壁と化している。ここは意を決して直登。ピッケルを突き立てアイゼンを蹴りこんで一歩づつ登る。雪は固く締まっていて、アイゼンが良く効く。不安はあまりないが緊張しつつ登りきるとその少し先に北岳山頂が見える。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA山頂直下のトラバース

8時15分ごろ登頂。結局あと20分が45分になってしまった。こんなものか。後で他の人の記録を見ると稜線とおしに登っている人もいてそちらの方が安全かもしれない。とはいえ無事登頂。風もあまり強くなく、目の前に広がる完璧なパノラマをゆっくり楽しむことが出来た。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA山頂にて

OLYMPUS DIGITAL CAMERA甲斐駒ケ岳

下山も直下の雪壁が核心。一歩一歩注意して下る。天気も何とかもってくれた。ボーコン沢の頭まで戻ってきたころ雪がぱらつき始め景色が見えなくなっていく。間に合った!って感じでした。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA直下の下降

OLYMPUS DIGITAL CAMERA直下の下降2

テンバに戻り11時。あまりに早いので少し休憩した後で池山避難小屋まで下ることにした。下りは早い。13時半には小屋に到着。誰もいない綺麗な小屋を3人で独占し、14時くらいには早速宴会開始。7時ごろには寝てしまいました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAライチョウ

30日(月)

この日は下山。低気圧が通過したあとは天気も回復し朝から暖かな日差しが差し込んでくる。充実した山行を与えてくれた山と森に感謝しつつ南アルプスを後にした。