袖沢御神楽沢

●日程:2019年9月14~16日
●メンバー:
つりし(L)、ササジ、タマ、ハギ(記)
●行程:
【14日】三岩岳登山道…窓明山手前のコルよりミチギノ沢下降…1200M(泊)
【15日】幕場…ミチギノ沢下降…御神楽沢遡行…1585M(泊)
【16日】幕場…御神楽沢遡行…会津駒ヶ岳/中門岳のコル…会津駒ヶ岳…駒の小屋…滝沢登山口

 

9月14日

三岩岳国体コース登山口(6:20)…三岩岳避難小屋(10:10)…窓明山鞍部(11:35)…ミチギノ沢…1202M(14:50)

前夜に東京発。車を下山場所の会津駒滝沢登山口の駐車場に置き、始発のバスで三岩岳登山口に向かう。
のっけからの急登、大汗をかきかき登る。それでもまだ、涼しいのでありがたい。三岩岳避難小屋近くの窓明山方面への縦走路に入り、ドロドロの登山道に文句を言いながら到着した池塘付近の鞍部にて装備を整え、薮に突入。ほどなく沢型が現れ、ホッとする。今日はこのミチギノ沢を下れる所まで下るのだ。

ミチギノ沢へ

しかしホッとしたのも束の間。この沢、よく滑るのだった。わたしはコケて、どういうわけか膝から着地。打ち身の痛みが引かず、膝を庇いながら妙な格好で降りて行く…。
のろまぶりにしびれを切らしたつりしL、後ろから別パーティが来て直近のテン場が埋まってはたいへんと、タマちゃんと先に確保しに先行。テン場近くになったら痛みはようやく引いてきた、まだまだ明日からも先が長いのだ、よかった。
14:50、1202Mの適地に到着。先行Pがいるのが分かっていたため、この下の1100Mの適地が空いているか微妙ということで、ここで1日目は終了。
ササジの富山土産から始まり、タマちゃんが担ぎ上げ下ろしてくれた豪華な夕食とおつまみでお腹一杯。つりしLがテン場周辺で釣り上げた良型の岩魚は一晩焼き枯らして朝食べることにした。

 

9月15日

幕場(6:50)…御神楽沢出合(9:30)…岩畳(11:15)…スラブ滝2段10M(12:10)…ナメ滝50M(14:55)…直瀑10M(16:15)…1585M(16:45)

今日は長くなりそうなので、4:30起床6:30発!の、予定だったが。
6:50発。沢の朝はどうも、のんびりしがちなのだった。

上流よりヌメリが取れて、大分歩き易くなった沢を下降。1100M適地の先で3-4Mほどの懸垂をし、さらに右岸の緩やかな段丘を巻き下る。段丘は懸垂したところから続いていたので、最初から巻きに入ってしまってもよかったかもしれない。最後は浮石だらけの枝沢から下降(段丘から枝沢に降りるところにトラロープがあった。)。ゴルジュっぽいところを、沢通しに下れる箇所も含めて纏めて巻いてしまったようだ。その後は特になにもなく、9:30御神楽沢との出合へ。
「時間、すでに押しているからね!」とつりしLに気合を注入されて出発。

20分ほどであらわれた小滝は右壁のバンドを伝って通過、その後も歩きとほどよい滝が交互に現れるかんじ。

下流の幅広滝
下流の幅広滝2

「御神楽沢の名所」という岩畳は、一時埋まってしまったそうだが、今は岩が一個残っているのみで不思議な景観を取り戻していた。

岩畳
跨ぐ勇気が出ませんでした

スラブ滝2段10Mで先行Pに追いついた。上段の左岸垂壁を1Pが上に抜けたところのようだ、もう1Pを待たずに垂壁手前の、ルンゼ状の枝沢から巻くが、中間が見た目よりなんだかいやらしい。そしてスラブ滝落口へのトラバースの出だしはわたしの大嫌いな土+草付風。お助けを要求…しかし本当に欲しかったところには間に合わなかった。(悲

スラブ滝2段10M、左から登れれば上は容易、でも残念なことに下部が取り付けません

しばし穏やかな歩きが続く。
スラブ滝を最初に抜けたPがいかにもな淵で釣りをしていたが、快く先に行かせていただいた。既に大物を何本も上げていて羨ましいかぎり。
その後は大田区の山岳会だというPも交え、相前後して進む。今回御神楽に入ったのはわたしたちを含めて3Pのようだ。

歩きゾーン

ナメ滝50Mは下部は左を快適に登るが、最後の抜け口が微妙。お助けをもらった。

ナメ滝50M、容易に見えます
ナメ滝50M2

(ナメ滝通過後、一箇所左から巻いて懸垂したのだが…遡行図を見てもどの滝か思い出せない。本流で唯一懸垂した)
渓相が変わって、大岩地帯へ。いつもならテン場でゆっくりしている時間だが、ここにはそんな場所はない。グイグイ登って高度を稼いだ。
大岩地帯の出口には側壁トラバースで登る滝、ちょっと膨らんでいて回り込む箇所に緊張したが問題なし。

大岩地帯で高度を稼ぎます
大岩地帯出口の滝
大岩地帯出口の滝2

沢が右に90度曲がる場所にある直瀑10M滝は左から腰まで浸かりそうなポイントを巻いて滝下に近づき、滝の左側から巻く。

直瀑10M

巻き終わるとすぐに4人寝れるくらいのテン場があり、ここで終了とする。
薪が少なく、あまり盛大な焚き火はできなかったが、河原が狭いのでちょうどよい。
満月で明るい夜だったが尾根向こうに出ているせいで、わたしたちがいるところからは星が綺麗に見え、また月明かりに照らされた対岸の山肌に背後の尾根の影が落ち、幻想的な風景だった。

 

9月16日

幕場(7:00)…ムジナクボ沢出合(7:05)…稲妻型の滝(8:10)…会津駒ヶ岳/中門岳のコル(11:20)…会津駒ヶ岳(11:40)…駒ノ小屋(12:00/12:45発)…林道(14:50)

霧雨の中出発。幕場から出発するとムジナクボ沢はすぐだった。しばらくすると、昨日の幕場よりも乾いて快適そうな適地を見送る。先行していたPはここに泊まったようだ。
さて、記録でよく写真が載っている三段電光型の滝。ちょうど、先行Pが三段目右のリッジをフリーで登っていた。滝全体としては寝ているのだが、三段目は登っているのを見ると見た目よりは立っている印象。

電光型3段の滝

滝上で巻きに入ったのを見届けて、「あの上の5M滝は登れないんですよ」と下調べしてきました感をアピール。するとつりしLが「じゃあ、めんどくさいから(電光型の滝と)一緒に巻いちゃおう」と速攻決断!みんな電光は登っていると抵抗したが、「なら巻きは新ルートかもね♪(試してみよう)」とそのまま左の藪に突入…。ともあれLの的確なルーファイで懸垂なし、電光型3段+5Mの滝+その上の最狭部も最小限で巻いたようだ。しかしツルツル根曲りのトラバースは個人的にきつかったです。片腕パンプ。いやはや。

ともあれ難しいところはもうなく、会津駒と中門岳の間のコルに出ることを目標に詰めるのみ。
1870Mの紛らわしい二俣では奥の二俣を左に進み、あとは方角を合わせて進みやすい方を選ぶ。
沢型は一瞬見失うも、わりと上の方まであり、最後10分ほど藪を漕ぐと、狙った通りの場所の登山道直下のコバイケイソウ地帯に飛び出した。なるたけ踏みつけないように注意しながら木道へ。ガスでどうせなにも見えん、と会津駒を巻いてさっさと小屋に下ろうとするLを説き伏せ、山頂経由で小屋へ向かう。

木道を会津駒山頂へ
真っ白な山頂に到着

駒の小屋で、各々熱いラーメンをすすり大休止。山のカップヌードルはなんでこんなに美味しいんだろ…。ほこほこ温まってすっかり弛緩した体に鞭打ち、雨の中、滝沢登山口に下山した。

*******

充実の3日間。全体の行程に影響を及ぼさずにあと何年、こういう山行に参加できるか…とドキドキするようになりました。「いまなら行ける行きたい沢」には行かないとな〜と思う今日このごろです。リーダーはじめメンバーの皆さまに感謝感謝です。ありがとうございました。

金木戸川 双六谷

2019/08/10-13
メンバー:つりし(CL)、ハギ(SL)、つかみ、セキモト(記録)

いよいよ来た夏休み。台風の影響を心配していましたが、結果とても良い沢旅となりました。渡渉、巨岩が連続する水量の多い沢で、沢登り3回目の私はおっかなびっくりのスタート。エメラルドグリーンの川と奥深い緑に癒される良い沢でした。

8/10

6:34 開始

取り付きより打込谷までは、泳ぎの連続の沢ですが、高巻きで打込谷へ行きそこから入渓するコースを取りました。

長い林道歩きの始まり

7:32 第二ゲート
8:13 崩落地

かなり大きな橋が巨岩で押しつぶされています。自然の力ってすごいですね。

崩落地

9:00 分岐

分岐を広川原方面へ進む、そのあと道沿いにいくがなぜか道が見つからない。
右岸をトラバースする踏み跡があるようだが、結局藪漕ぎを20 -30分ほど行うことに、無事不明瞭な道を脱して打込谷まで林道をひたすら進む。リーダーがしっかりリカバリー、全体的に初心者に合わせたペースで進んでいただきありがとうございますm(_ _)m

広川原方面へ

13:15 入渓

打込谷より入渓。台風の影響もあるのでセンズ谷まで進む予定。ひたすら川の中を歩き、渡渉、ヘつり、泳ぎの連続。特に危ないところは無いが、川底にぬめりがあり注意しながらの歩きとなる。

遡行開始
渡渉の連続

14:30 テン場

センズ谷までの予定であったが、夕立がきて増水するとまずいので、打込谷との中間地点で一泊。河原も見渡せる良いテン場であった。つかみさんが絶品カレーライスを作ってくれ、心配していた雨もなく良い初日で終了する。
(写真なくごめんなさい!)

1日目のテン場

8/11

7:30 開始

2日目も良い天気。引き続き、水量は多いが、台風や夕立の影響はなく良い感じでのスタート。2日目も気を引き締めて、天候がどうなるか、わからないのでできる限り先に行きたい。

2日目も良い天気
引き続き水量多し

12:13 センズ谷

遡行図で言うセンズ谷(違うとの噂も..)を越えたあたりの河原が素晴らしく綺麗でした。とても気持ちよく青空に映え見入ってしまう風景です。こういった場所に出会えるのは沢ならではですね。

気持ち良い河原
センズ谷前

14:10 熊のテン場

雲が出て来て、川下から風が吹いてくる。2日目は天候が崩れる予定だったので、用心して早めにテン場を探す。蓮華谷と抜戸沢の間で、増水しても問題なさそうなテン場を発見。ただ良く見ると、熊のフンがあちこちに… 近くに巣穴になりそうな洞穴も。少し怖いが、爆竹や笛を鳴らし泊まることに。一旦決心してしまうと熊のことは忘れ快適に過ごせました 笑。

2日目のテン場

8/12

7:00 入渓

雨を心配していましたが、昨晩も降られることはなく天気が良いまま3日目を迎える。

小滝が連続するが、特に怖いとこはない。一部ゴルジュ部分があり、ヘツリやお助けロープを出しての遡行となる。大きな岩は、背丈があるので越えられるが、ヘツリやホールドがない部分では、歩き方が重要と常々感じた。前をいくハギ先輩の動きにクライミング慣れしてると感心。まだまだ修行だな…と考えている時にドボンと川へ 笑。下流以外は、流されても安心な沢だったので大滝のある沢と異なり、気は楽に過ごせました。

巨岩を進むリーダー
続くメンバー

8:47 最後の二股

源頭部に近づくにつれて、いよいよ水はなくなっていく。藪漕ぎもなく気持ちが良いまま最後の登りを詰める。

最後の登り

11:28 双六前休憩

双六小屋までの道が美しい。

双六テント場に続く道
遡行終了

14:20 双六小屋

沢登りは終了。時間があるので空身で双六岳山頂まで。天気は悪く槍が岳は見えなかったが、無事登頂。

14:58 双六岳山頂

15:55 双六小屋

双六小屋に戻り、昨日あまりにも寒かったので贅沢し山小屋で一泊+
ビール三昧となりました ^^。

双六小屋で1泊

8/13

6:12 双六小屋

夕食、朝食ともに美味しかったです。

朝ごはん

素晴らしい天気の中、ゆっくりと下山。

7:33 弓折岳

槍から大キレット、滝谷、穂高、ジャンダルム、焼岳まで全て見渡せ素晴らしい天気。

8:16 鏡平山荘

鏡平小屋からの1枚は良い写真になりました。

鏡平より

10:29 ワサビ平小屋

途中のワサビ平小屋で、そうめんを発見。我慢できずに迷わず注文。
美味しかったです。

わさび平小屋で

11:25 新穂高ロープウェイ

11:30で登山終了。

【雑感】
初心者の私にとって、歩き方、ロープワーク、読図と学ぶことが多くとても実りのある沢旅になりました。リーダーには、ペースや増水の危険を考えながら、常に注意を行いつつ気を配っていただき感謝です。ハギさん、つかみさんにはロープの結び方や足の置き方など基本的なことを教えていただきありがとうございます。今までは一般縦走が中心でしたが、今後、山やバリエーションにも楽しんでいきたいです。山岳会に入り始めての夏休み、みなさんと色々な話もでき有意義な時間でした。

双六谷とても綺麗で思い出に残る沢旅になりました !
(記録:セキモト)

滝谷クラック尾根(無雪期)

2019/8/10(土)〜8/12(月)
メンバー:こば(L)、うえ(記録)
ギア類:(2人あわせて)
ダブルロープ:2本、ヌンチャク:9本、キャメロット:#0.3〜4×1ずつ、#0.75〜2×さらに1ずつ、その他個人装備:クライミングシューズ、カラビナ・スリング等

8/10(土)

5:40上高地〜8:05横尾〜9:05本谷橋〜10:45-11:45涸沢〜14:30北穂テント場〜15:10山頂

前夜の渋滞がひどく、沢渡駐車場に到着したのは深夜1:30頃だったが、翌朝はタクシーにすんなり乗れて、幸運にも5:30前に上高地入りすることができた。
寝不足の目をこすりながらも、横尾までは快調に進んでいく。
この日はとても天気が良く、本谷橋の前後からは暑さと寝不足に苦しめられ非常にしんどい登りになってきた。
息も絶え絶え涸沢に到着すると、生ビールを美味しそうに飲む人たちを尻目に、我々はソフトクリームで大休憩をとる。
涸沢から日帰りでアタックする手もあるのだが、明日の朝、なる早で取り付きたいので、根性で北穂まで登らなければならないのだ。
私は初めて北穂を南稜登山道から登ったのだが、急傾斜と灼熱の日差しでヘトヘトになってしまった。こんなに疲れて明日は大丈夫なのだろうか…
登山道の途中で、長野山岳警備の方からクラック尾根の最新の写真を見せてもらった。真新しい崩壊の後が見えたので心配していたが、北穂小屋の方に聞くと「今シーズン何パーティも登っているので問題ない」とのこと。
これで逃げ場はなくなった…
B沢下降点の偵察を済ませて小屋に戻る時、あまりの疲れから登山道をよろよろ登っていたら、小屋のお客さんから「あとちょっとだ!頑張れ!」と声援を頂いてしまった。大キレットを縦走して来たと思われたようで、縦走もしてないのにヘトヘトな自分が恥ずかしかった。
北穂の夜は満点の星空で、薄手のダウンと夏用シュラフでは結構寒かった。

8/11(日)

4:50B沢下降開始〜6:00登り返しfixロープ〜6:30取り付き〜8:50旧メガネのコル〜9:15ジャンケンクラック取り付き〜11:50大テラス〜12:30登攀終了〜14:20下山開始〜16:05涸沢テント場

【アプローチ】
3:00起床、3:40出発で、昨日確認したB沢下降点に向かう。
B沢下降点は北穂小屋から大キレット方面に少し下り、1つめの鎖&鉄梯子の下に×印が連打されている岩が見える。近づくとと「B沢入口」の文字があるのですぐわかる。

B沢への目印は連打された×印
B沢入口

装備を準備しながら日の出を待っていたら、手練れ風の4人パーティが来たので先を譲る。我々は明るくなってからスタートした。
B沢の恐ろしさは様々な記録で読んでいたが、まさに岩の墓場だ。
足元の岩は何一つ信頼できない。壁沿いの岩は比較的マシなので、右に左に側壁を伝いながら慎重に降りていく。

B沢の下降。慎重に下っていく
巨大チョックストーンを振り返って…

途中2箇所、残置ハーケンを使って懸垂した。
1つめは落ち口の左岸寄りをクライムダウンできる気もするが、落石必至なので大事をとった判断となった。
我々の後にもパーティが続々とやってくる。出だしの急な部分や、小ギャップを下る部分はどうしても落石を起こしてしまうので、十分に距離をとったり声を掛け合うなど注意が必要だ。

1時間少々降りたところで、左岸側壁にフィックスロープと足用のボルトが打ち込んである登り返しポイントに到着する。

FIXロープと足場用ボルト

表皮が傷んだロープにヒヤヒヤしながら2段登ると、右奥にペツルボルトの懸垂支点がある。ここを「斜めに懸垂しながらバンドに降りる」と先行記録で読んでいたのだが、実際は思いっきりトラバースしながら降りていくイメージだった。

2段目はFIXロープが切れているのでフリーで登る
ボルトの懸垂支点
バンドを目指して斜めに懸垂

斜上するバンドに降りて、その上の草付きの踏み跡を登っていくとクラック尾根の取付きテラスに到着する。
記録で見た「↑クラック」という文字は消えていて見つからなかった。

踏み跡を登ると取付きテラス

【1P目】(リード:こば)
凹角を登り少し進んだところで、残置ハーケンが固め打ちされているフェイスの前でピッチを切る。
トポの40mという記述よりは短めの印象だ。

1ピッチ目

【2P目】(リード:うえ)
ビレイポイントのあるフェイスをややトリッキーなムーブで上がった後、リッジに上がる場所を探しながら、左奥に回り込んでしまった。
回り込んだ突き当たりのフェイスには残置ハーケンが連打されていて、誰かがこのフェイスを登ってリッジに上がった様子を物語っているが、どうにも難しそう…。トポの記述は「やさしいリッジ」なのでどうも間違えたようだ。
ひとまず突き当たりのフェイスの残置ハーケンでピッチを切り、こばさんに登って来てもらった。ここで右往左往したせいで弛んだロープが浮石に引っかかりB沢に落石してしまった。人がいなくて本当によかった…。

2P目のはじめ

【3P目】(リード:こば)
こばさんにも様子を見てもらったが、ここからリッジに上がるのは厳しそう…ということで、間違えた場所まで戻ることに。
リッジを回り込む手前のフェイスで、ピナクルを使ってビレイポイントとした。
後続パーティはここで1P目を切っていた。

【2P目・やり直し】(リード:うえ)
ハンドサイズのクラックを利用してフェイスを登るとリッジにでる。「やさしいリッジ」を登りきり大きなピナクルに登ると、旧メガネのコルだと思われる崩壊地帯が見下ろせる。ロープ長は約40mほど。
トポではこの手前でピッチを切ってから3P目でピナクルの右を回り込むようだが、私はこのピナクルの上で残置ハーケンを利用してピッチを切った。

やさしいリッジからピナクルを見たところ

【3P目・やり直し】(リード:こば)
ピナクルからコルへクライムダウンして、崩壊したナイフリッジを渡り対岸の壁を1段登る。今年崩壊が進んだと思われる真新しい白壁の前まで。ここの崩壊地はかなり脆くて、私は巨大落石を1尾根とクラック尾根の間のルンゼに落としてしまった。反省。

P3終了点は崩壊壁の前。上部には4P目のワイドクラックと5P目のジャンケンクラックが写っている
崩壊の様子

【4P目】(リード:うえ)
簡単なハンドクラックを1段上がると、次はV級のワイドクラックだ。
フットホールドが乏しいのだが、クラックの中のガバを使いながら少しずつ足を上げていき、チョックストーンを思いっきりひっぱって腰をねじ込み、なんとか安定した体制に持ち込んだ。面白いピッチだった。
その後、突き当たりのジャンケンクラック取り付きでピッチを切った。
写真で見ただけではジャンケンクラックの左右が同じ1枚岩にあるのだと思っていたが、実はワイドクラックのある右の岩の奥に、左クラックのある岩が重なっている構造だった。

【5P目】(リード:こば)
ルート中の核心と言われる、ジャンケンクラック左(V)を登る。
右のクラックは近づいてみるとオフィズスっぽいワイドクラック。
楽しい難しさでなく、苦しいになりそうだったのでここは左を選択したそうだ。
クラックはゆるいフィストでジャミングが効きづらい。右横の細いクラックに右手を引っ掛けながら、クラックと両方使いながら登った。残置ピトンが多く、ここではカムは使わなかった。
クラックはすぐに終わり、右のオープンブックのコーナー(IV)に戻るために、わずかなフットホールドで慎重にトラバースする。ジャンケンクラック自体よりもこのトラバースの方が難しかった。

5P目のジャンケンクラック

トポではコーナーを登り切って、少しフェイスを登ったあたりでピッチを切るようだが、こばさんはその先の脆い凹角を越え、さらにルンゼを少し登った次のフェイスの前でピッチを切った。

つなげて登った脆い凹角。本来は6P目か?
5P目終了点のあたり。槍がよくみえる
絶景

【6P目】(リード:うえ)
左に回り込むラインもありそうだったが目の前のクラックが走ったフェイスを登る。トポには特に書いてないのだが、私にはかなり厳しく、V以上ありそうな印象だった。
正面のクラックの中の残置ハーケンにヌンチャクをかけて右横にカムをきめたあと、「あーでもない、こーでもない」ともがく私に、こばさんから「代わろうか」の一言。
「チョンボします」と、諦めた私はヌンチャクを鷲掴んで体を持ち上げ、なんとか届いた左手のガバカチに体重を預けて登り切った。(ここ、実はとても面白そうでやりたかったあ:こば)

6P目登り出しのフェイス。写真では分かりにくいが、上部が苦労したクラック。

リッジにあがった後はガラガラのルンゼを左手に見ながら、ルンゼが切れる突き当たりをめざし斜めに降りた。
トポではルンゼが80mと書いてあったのでかなり悩んだが、リッジの右を覗き込んだら断崖絶壁だったので消去法で正しいと判断し、ルンゼの突き当たりの階段状を少し登ったところ、巨大な平たいチョックストーンの下でピッチをきった。 ロープ長は40m以上だったように思う。

ガラガラのルンゼを上から見た写真

【7P目】(リード:こば)
チョックストーンの左下を回り込むように登ると再びガラガラのルンゼが繋がっていた。トポの「ルンゼが80m」の記述はチョックストーンの上下を合わせたものだったようだ。
左壁に沿って気をつけて進みながら、ルンゼの行き止まりの大テラスでピッチを切る。

7P目出だしの巨大チョックストーンを下から見たところ

【8P目】(リード:うえ)
大テラスの奥側も登れそうだったが、一段上を少し戻ったところの凹角から登った。
傾斜はゆるく登りやすいのだが、すべての岩が動くので上から押し付けるように慎重に登る。

8P目草付き混じりの凹角

凹角の頂上のピナクル目指して登りきると、登山道が間近に見えて驚いた。トポではもう1pあるはずなので嫌な予感はしたのだが、そこから右に方向転換して踏み跡を上がっていくと、北穂小屋の20mほど下、大キレット登山道のすぐ横にトップアウトしてしまった。
右手奥を覗くとトポの最終ピッチであると思われるバンドが見えたので、凹角の途中でピッチを切り、壁を直上してバンドを左上するのが本来のルートだったのかもしれない。
最終ピッチが無くなってしまったことをこばさんに謝って、周りの登山者の目に照れ臭さを感じながらカムで支点構築して、こばさんに登って来てもらった。

小屋を少し大キレット側に降りたところにトップアウト

スッキリしないトップアウトではあったが、無事に登り切ることができたことは本当に嬉しい。
行動中はほとんど補給をしていなかったので、登攀が終わるとそれまでの疲れがどっと出てきた。
北穂小屋でカレーを食べてひと休みしたのち、急いでツエルトを撤収し、ヘトヘトになりながら涸沢に降りた。
お盆の涸沢は大盛況で、生ビールも名物・手作りおでんも売り切れだったが、缶ビールとレトルトおでんで祝杯をあげた。
涸沢の夜は北穂に比べてかなり暖かかった。

8/12(月)

5:00起床〜6:20出発〜10:30上高地下山

赤く染まる奥穂を眺め、美しい涸沢を堪能したのち足早に下山。
この日も日差しが強く、標高を下げるにつれてどんどん暑くなっていく。
徳沢園のコーヒーフロートがとても美味しかった。
そして観光客で賑わう上高地に無事に下山した。

今回、憧れの滝谷を登るという非常に得難い経験ができた。
こばさんはドーム中央稜を登った経験があるが、私にとっては初めての滝谷だった。
ボロボロとした岩壁に囲まれた薄暗い谷間。ルート上のどこにも確実なホールドがない緊張感。
そして近くに大キレットや、高度をあげると槍を眺めながらクライミングできる素晴らしいロケーション。
滝谷らしい、大きな充実感を得ることができた。
ただ一つ心残りなのは、結局私にはクラック尾根の全貌がよくわからなかったこと。
進むべき方向に確信が持てないので、途中に乱打されている残置ハーケンに随分惑わされてしまった。
お隣の1尾根は山頂から1枚のひだが綺麗に伸びるように見えるが、クラック尾根はいくつかの尾根をつなげ、弱点攻略しながら登っていくルートなのでは…と、こばさんの言。
たしかに…
今回の経験をプラスにして、今後の山行に生かしていきたい。

最後に、いつも先陣をきって導いてくれたリーダーに感謝!

北鎌尾根

2019/7/20〜22
メンバー:ウエ(L)、つかみ、あず(記録)

待ちに待った北鎌尾根!入会してから約5年、やっとクラシックルートへの第一歩を踏み出すことができました。

女性3人ということと、テン泊装備で挑むということから、今回は最も行程が短く体力的にイージーであると専らの噂である水俣乗越経由のルートを取ることとしました。
当初の予定では19日から入山し22日を予備日として残すということになっていましたが、ここ数週間ほど活発に活動しては登山者を苦しめている梅雨前線と、数日前から日本海へ近づいてきている台風の影響で、私たちも例外なく山行の日程を後退させざるを得なくなりました。
撤退やアタック待機に予備日を使用することができなくなってしまったので、行程は再確認が必要に。体力的、天候的に可能なら初日(20日)は北鎌のコルで幕営、体力的に辛かったり2日目(21日、アタック日)の天気予報が不明瞭で撤退覚悟の場合は北鎌沢出合で幕営、という大まかに2通りの行動目標を立てることとしました。

7/20
06:00 上高地
当日、5:30にバスターミナルに集合したのち共同装備の振り分けやトイレ休憩を済ませ、6:00には上高地を後に。
この時期に入ると一般登山道もハイシーズンとなるので、沢渡からのバスも05:30に上高地に着きます。早いことは良いことですね。

前夜の雨で川霧烟る河童橋
長雨のためか水量の多い梓川

10:45 大曲
それにしても、リーダーのウエさんの足がめちゃくちゃ早い。本来なら本日中に北鎌のコルへ辿り着くのが最善なので当然の速度なのですが、やはり普段からバリエーションに通っているウエさんと、最近サボりがちな上荷物の軽量化に失敗した(この件は後々他のメンバーが私のザックを持ち上げたことで発覚)私では、キャパシティが倍近く異なっていました。殿のつかみさんも「暑い」などと言いながら、あまり体力を消費した風ではないので余計に私の心をえぐる…。
大曲まではコースタイムより大分早く通過し、本日の核心部「水俣乗越までの登り」へ突入です。

水俣乗越への登り途中、上高地方面を振り返って

12:05 水俣乗越
途中、どこかの屈強な学生3人(内2人は女性…!)が100L近い大型ザックを背負い私たちを抜かしていったものの、コースタイムよりは巻き気味で到着。
彼らも21日に北鎌尾根へアタックするらしく、幕営は北鎌のコルとのこと。コルには2張程度幕営できるとは聞いていましたが、体力の消費具合も考えると今夜は北鎌沢出合で幕営かな、という雰囲気が隊の中に流れ始めました。

水俣乗越の道標

水俣乗越で15分ほどの大休止を取り、天上沢の下りが始まります。

天上沢の下りから針ノ木岳方面

天上沢の斜面からは、後立山南部と思しき山影が見え隠れします。こう見ると水俣川遡行の方が早いのでは、などと錯覚させられますが、騙されてはいけません。

天上沢から北鎌取り付きまでの下りは、ひたすら沢型を下るだけなので、基本的には迷ったりしないと思います。
一つ注意点があるとすれば、水俣乗越から天上沢の雪渓まで下る踏み跡が途中まで非常に脆いということでしょうか。水俣乗越から下り始めてすぐは斜度がきつく崩れやすい、いわゆる沢の詰めの様な雰囲気です。途中からはジグザグで歩きやすい踏み跡に変わりますが、これを見逃すと滑落必至の雪渓スケートリンクへご招待されてしまいます。

ここからは雪渓に下りて下降する。-ウエさん撮影

天上沢を下り始めて2,30分ほどすると、避けることができない雪渓が姿を現しました。私とウエさんは軽アイゼンを持参していたので、念のためそれを装着。つかみさんは軽アイゼンはなしとのことなので、ストックとキックステップで私達2人の後を追います。
思うに、この時使用した軽アイゼンももっと小型で軽量なものにできたはずなので、こういうところから軽量化失敗の流れができあがっていたのかもしれません。人によっては軽アイゼンも要らない程度の斜度と距離だったので、持ってこないというのも一つの手だと思います。

雪渓終了後の天上沢下降-ウエさん撮影

雪渓が終わってからは、ダラダラと無駄に長い天上沢と時々横断する枝沢に辟易しながら下降を続けます。

14:50 北鎌沢出合

北鎌沢出合のケルン

北鎌沢出合に到着したのは15時も近い時間帯でした。
これから北鎌沢を詰めれば、どんなに早くとも2時間半はかかること、そして北鎌沢の水量がなんだか思ったよりも多いことで、遡行へのモチベーションはだだ下がり。今日はここまでで行動を終了すべきだ!という意見は出合到着前には固まっていて、出合に着き次第幕営地探しが始まりました。
ちなみに、北鎌沢出合の幕営地はいくつか適地がある様で、私たちは出合に一番近く且つ一番広いと思われる砂地にテントを張りました。3人用テント(mont-bell ステラリッジ3型)で丁度入りきるくらいの面積だったので、それより大型だと設営に苦心するかもしれません。
また、ラジオ(NHK第2)なら電波が入ることも確認できました。

17:00頃 夕食

夕食の生姜焼きはウエさんお手製

今夜の食担はウエさんで、メニューは豚肉の生姜焼き。こういう手の込んだ山飯にこんな場所ですらありつけることに感謝しながら、明日への英気を養います。
天候は比較的良好。ヤマテンによると明日も日中降雨の可能性が低い様なので、安心して床に就く。19:30頃には就寝。

7/21
04:40 出発
北鎌沢遡行からの行動開始ということで、3時頃に起床し、ある程度明るくなったこの時間帯に行動開始しました。
無雪期のセオリー通り、コルに飛び出す右俣を遡行。

しっかり水の流れる北鎌沢右俣

それにしても、前日からわかっていたこととは言え北鎌沢の水が尽きる気配がありません。最初から最後まで普通の沢遡行と同じくらいの水量が流れている様に感じました。
過去の記録を検索していると、伏流している箇所があることや、途中で水が枯れる様な記述も散見されますが、前々日にも雨が降っていた今回は例外だった様子。とは言え、ぬめったりはしていなかったので遡行難度はそれほど高くなかった様に思います。日頃から沢遡行をしていたことがこんなところで生きるとは…。

遡行中の癒し、お花畑

沢の両岸には、ニッコウキスゲをはじめとする白や黄色の高山植物が咲き乱れ、朝から登り続けている私たちの心を癒してくれました。

それにしても、この水量だと前日にコルまで詰めあげたはずの学生3人はもっとびしょ濡れになったに違いありません。あれだけの荷物を背負ってこの沢を難なく登るとは、流石の体力だと終始関心しきりでした。
そうこうしている内に最後の詰めが近づいてきます。

もうすぐ沢の詰めに突入

この枯れそうな滝の上の詰めが、北鎌沢の中では一番の核心だったのではないかと思います。
地形図上は綺麗な沢型から崖表記となりコルへと詰めあげる部分です。
沢筋とニッコウキスゲに導かれるまま右方向へ詰め続けると、そこに待っていたのは草付きと岩壁のミックス。
後からわかったことですが、途中から少し左寄りに詰めていき踏み跡を見つけるのが正しいようで、草付きをなんとか攻略した私たちは、コルの北東側にある数メートル高い位置に飛び出してしまったのでした。それでも同じようなミスをした先人は何人もいるようで、詰め上げた稜線からコルへ下る踏み跡が明瞭についていたのには少し笑ってしまいました。

07:40 北鎌のコル

北鎌のコル付近に設置されたレリーフ

途中まで順調な進みでしたが、草付きに苦戦している間に行動開始から3時間が経過してしまっていたようです。
その後北鎌のコルから独標取付きまでは、ただひたすら明瞭な踏み跡を登り続けます。

右手は硫黄尾根と裏銀座方面の展望良し

尾根の右手側は、燃えるように赤い硫黄尾根と美しい緑の西鎌尾根から裏銀座の展望がよく飽きることはないものの、これに気を取られて撮影などしていると瞬く間に時間を取られてしまうので注意です。

09:35 天狗腰掛け辺りから独標を眺める

独標の全貌

この時私たちはまだ気付いていませんでしたが、この写真でも既に独標のトラバースラインがはっきりと見て取れます。

10:03 独標トラバースの取り付き

独標トラバースの目印の固定ロープ

いくつもの記録で見飽きるほど見た独標トラバースの固定ロープ。
様々な記録で「独標が核心!」と書かれているのでどんな困難が待ち受けているのかと思いましたが、このトラバース自体はそれほど難しいものでもありませんでした。問題はそのあとのルート取りにあったのですが、私たちはこの時点ではまだ気付いていません。

トラバースラインの明瞭な踏み跡

トラバースラインは近付くと非常にわかりやすく、遠くから見たとき何故わからなかったのかと思うほど。

10:25 独標トラバース中の小チムニー

トラバース終盤の小チムニー-ウエさん撮影

写真の残置スリングのかかったチムニー状の岩場を超えた後、草付きの壁へ取り付くと独標の尾根上に出られるらしいのですが、私たちには引き続き明瞭に存在を主張してくる巻道しか目に入らず、トラバースを続行。
この小チムニーを登る際、ザックが重くて登れそうになかったので荷揚げしてもらいましたが、この時に私のザック重すぎる問題が発覚。スミマセンデシタ。

10:56 トラバース終了直後、GPSと地形図を睨むウエさん

位置確認中

この後、小さなピークを都度巻きながら穂先の取り付きを目指します。
しかし、この巻き道が後々私たちに悲劇をもたらすこととなる…。

美しい稜線-ウエさん撮影

独標を過ぎてからは、終始このような稜線風景。まさに「北鎌尾根」といったような山容です。

ここからP15の尾根に乗るまでの詳しい写真を誰も撮っていないことからもわかりますが、この先は主張の激しすぎる巻道に惑わされては尾根に復帰し、というようなことを2、3回ほど行った為に無駄な体力と時間を消耗してしまいました。
巻道の多くは大きなピークの右側に付いており、入口付近は踏み跡が非常に明瞭。お花畑も美しく、ここから行くのが楽でいいよ!と登山者を誘い込みます。しかし、この巻きたい欲に惑わされず、稜線上を行くように心がけることが、北鎌尾根を安全かつ気分良く楽しむ為の秘訣だと思います。
巻きすぎた時に、最初に気付いて復帰経路を見つけ出すのはいつもリーダーのウエさんで、自分の読図能力やルーファイ経験値の低さを改めて実感させられました。

14:57 P15を過ぎた辺り

霧がかかり始める穂先

この辺りから穂先が時たま霧の中に隠れるようになり、いよいよ天候的にもタイムリミットが近づいていることを知らされます。できれば視界明瞭のまま穂先に取り付きたかったので、少し気持ちが焦り始めます。

諸君頑張れ

14:58、「諸君頑張れ」と記されているレリーフを発見し、いよいよ佳境か?などとぬか喜びをした私たちでしたが、ここから穂先の取り付きまでも意外と遠かった。当初の予定だと14時半か15時頃には山頂に立っているつもりだったので、コースタイム的には大幅に遅れていることになります。

15:25 北鎌平付近のビバーク適地
ビバーク適地の砂地の西面にはレンガのように石が積まれていて、風からテントやツエルトを守れる仕様になっていました。

ビバーク地から大槍を見上げる-つかみさん撮影

この登り返しは今見ると直登すべきだったと思えますが、その時は崩れそうなスタンスや少し急な傾斜から正面は無いと判断し、左手に付いた踏み跡から側面へアプローチしガレた左側面をよじ登る判断をしました。
結局浮石が多かった事には違いなかったので、もしかしたら正面を直登していた方が早かったかもしれません…。

15:50 北鎌平付近

横浜蝸牛山岳会慰霊レリーフ-ウエさん撮影

横浜蝸牛山岳会の慰霊レリーフ。先ほどの登り返しのすぐ後だったと思います。
後から調べると、このレリーフの設置箇所付近が北鎌平の入口であるらしいことが判明しました。

16:30 穂先取り付き

霧で先が見えない大槍の登り

身体的な疲れと神経を使う浮石に時間を取られて、穂先に取り付けたのは16:30近くでした。ここからが正念場。

チムニー手前の偽チムニー-ウエさん撮影

16:43「実工 TAC」と書かれた錆びた看板があり、その奥の尖塔の間にもチムニーらしきものがありますが、それはおそらく偽チムニー、騙しチムニーである、ということを声高に主張したい。登らなくても右から巻けたのに、例のチムニーかと思って登ってしまいました。完全なる登り損です。

16:58 山頂下のチムニー

例のチムニー

写真右側の亀裂が例のチムニー。もっと近づくと、大体人1人くらいがすっぽり収まっても少し余裕があるくらいのチムニーだとわかります。
ここを直登する方針でいくと少し時間がかかるのは重々承知でしたが、ここを登らないで「北鎌登った」は何となく反則な気がしたので、全会一致で直登することとなりました。
しかし不思議なもので、このチムニーを登ってから槍の肩に降りるその時まで、今まで疲れで悲鳴を上げていた体からありとあらゆる疲れが吹き飛んでしまい、アドレナリンというものの効果をひしひしと感じました。

17:10 山頂
チムニーを突破すると、頂上の祠がはっきりと見えるようになります。
そして何とこの霧の中、頂上に登山者が!
何となく嬉しくなってルーファイが適当になってきてしまいますが、最後は格好良く祠の裏から飛び出たい!そんな気持ちを込めて、祠の真後ろにある少し急な壁を最後の力を振り絞って登攀しました。

山頂記念撮影-つかみさんの写真フォルダから拝借

山頂では、私たちの登頂を見守っていた登山者の方々が親切にも撮影役を買って出てくれた上、一緒に登頂を喜んでくれました。北鎌から登頂しても不審に思われるだけだった、という話も聞くので不安でしたが、違うパーティなのにここまで祝ってくださる方々が居るとは、本当に運の良いタイミングで登頂できたと思います。

17:41 槍ヶ岳肩の小屋
山頂で少しの撮影タイムを取ってからそそくさと下山。
流石にもう肩の小屋の夕食には有り付けないだろうし、こんな時間にテント場の受付をする危険登山者として怒られるかなぁ…と思っていましたが、とても心優しい小屋のスタッフさんが受け付けてくださり、特別に夕食提供をしてもらえることに。何ということでしょう。今夜はα米とフリーズドライだと絶望していただけに、白米・味噌汁・ハンバーグ・生ビールという下界のような夕食にひどい安堵感を覚え、アドレナリンが抑えつけていた疲れがどっと出てきてしまいました。本当にありがとうございました。今度は安全な時間に再訪します。

20:00 就寝
夕飯で飲みきれなかったビールを片手に、余ったおつまみで短い晩酌をしてからこの日は20時頃に就寝しました。

7/22
この日は上高地へ下山するだけ。
雨の中暑苦しい雨具を着て発狂寸前の私が一人で騒いでいたこと以外は、何ら問題なく下山できました。
この下山でもう一つの課題、精神力を鍛えること(私限定)、が浮かび上がったのは言うまでもないです。
徳沢でソフトクリームとチャーハンの補給をしたりしながら、14時半前には上高地へ下山、無事に帰途へ着きました。

まとめ
クラシックルートの登竜門的存在、北鎌尾根を踏破することができたのは、私をこの山行に誘ってくださったウエさん・つかみさんの存在があったこと、そして今までバリエーションルートを経験させてくださった会の先輩方のおかげです。
尾根道に関しては全くのド素人でルーファイはリーダーに頼りきりであったことや、装備の取捨選択ができておらずつかみさんとウエさんの体力に頼ってしまったことなど、多くの反省点が見つかった山行でした。
北鎌尾根自体は浮石やザレが多く、こういったことを何度も経験している人でなければ精神力の消耗が激しいと思うので、そう何回も来ようとは思えませんでしたが、悔しい思いもいくつかしたので、再訪することがあればもっとスマートに攻略したいな、という目標が芽生えました。
何にせよ、稀有な体験をさせてくれた槍ヶ岳という山に感謝!また五体満足で相見えられることを願います。

あず

コースタイム
7/20

06:00上高地-10:45大曲り-12:05水俣乗越-14:50北鎌沢出合
7/21
04:40出発-07:40北鎌のコル-10:03独標取り付き-15:50横浜蝸牛山岳会慰霊碑(北鎌平付近)-16:58頂上直下のチムニー-17:41槍ヶ岳肩
7/22
09:00大曲-12:00頃徳沢-14:15頃上高地バスターミナル

北岐沢〜ブナ沢

2019/7/6〜7
メンバー:こば(L)、ササジ、ウエ、ユミ、セキ、キヨ(記)

尾瀬の北岐沢・ブナ沢に行ってまいりました。

大清水小屋に車を置き、1時間半ほど林道を歩き入渓地点へ到着。

入渓点

梅雨のせいか水量が多かったようだ。

1回目のロープ(1497m地点)。ビレイするウエさんと見守るササジさん

倒木から登ろうとするコバさんと諦めたコバさん
2回目のロープ地点(1522m地点)
18mの大滝

右側から巻いて進んだ。
巻きの場所は分かりにくく、下りもセルフビレイを取りながらの下降となった。

1790m地点あたりで野営。

こばさん特製ウェルカム焼き鳥とカレーを頂いた。
写真はブレブレになってしまったので割愛。(ごめんなさいコバさん)

夜から雨が降り出し、翌朝も小雨が残る天気。

朝食はウエさんが雑炊を作ってくれた。
冷えた体に染み渡る。

7時半ごろから小雨の中遡行再開。

ガスの中、小松湿原に到着。
木道のない自然なままの湿原は初めてで感動した。

湿原から登山道へ出て、2055と2069のピークを越え、少し下降した当たりに分かりにくかったが右手にブナ沢への入渓点を発見。

入渓点は荒れていて分かりにくかった。

下降沢は初めてだったがこちらも楽しく下ることができた。

1768地点あたりで約10mの滝と遭遇。

非常に急斜面でロープは使わなかったが巻くのも大変だった。
私はここが一番の核心部だと感じた。

下降した10m滝

あとは特に苦労することもなく林道に出て山行終了。

コバさんをはじめ、みなさま、ありがとうございました!

有笠山

5/25-26 有笠山RC
メンバー:エビ、サイトー、シゲ

<さわったルート>※グレードは、『日本100岩場』参照

5/25 南国エリア
・とうりゃんせ 10c
・足を開いていけいけ 10d
・旅館有笠 10a
・白と黒 11b
・予選落ち 11a/b

 

 

 

 

 

 

 

5/26 古谷ロック、サンダンスエリア
・夢の浮橋 11a
・不思議なルート 10c
・カシン 11b
・苔の庭 10b
・友よさらば 10a
・大地讃唱 11b

小川山・瑞牆

2019/5/2〜4
メンバー:ササキ(L)、エビ、アベ、トヨ(記録)

GWに小川山・瑞牆でクライミングをしてきました。
最終日のカサメリ沢が少し混んでいましたが、それ以外のエリアはほぼ独占状態でした。

5/2 小川山

▪️父岩
小川山物語 5.9
小川山ストリート 5.9
タジヤンII 5.10a

▪️兄岩北面
マウンテン・プロショップ岳 5.12b
森の緑にかこまれて 5.11b

▪️兄岩2F
もみじ 5.10a
マガジン 5.10a

 

 

 

 

 

5/3 瑞牆

▪️十一面岩左岩稜末端壁
ペガサス1P 5.10d
調和の幻想1P 5.10a
アストロドーム 5.11a

末端壁

 

 

 

 

 

 

 

5/4 瑞牆

カサメリ沢
▪️モツランド
たぬき 5.10a
ミルクミルク 5.10c
レーザーズエッジ 5.10c/d

▪️コセロック
無名ルート 10.b(白虎 5.10c)

レーザーズエッジ

阿弥陀北稜(積雪期)

2019/3/9(土)
メンバー:こば(L)、うえ(記録)
行程:
6:10〜8:05-8:40行者小屋〜9:40ジャンクションピーク〜10:10第1岩稜〜10:40第2岩稜〜11:50阿弥陀岳山頂〜12:15下山開始〜13:00中岳のコル〜13:30-14:00行者小屋15:30下山

6:10
登山口で前泊してスタート。
南沢登山道はすでに明るく、程よく雪がつき歩きやすい。
新調した4本爪スパイクが快適だ。
雪がついて歩きやすい
阿弥陀岳が顔を覗かせる

8:05
行者小屋に到着。
アイゼンを履いてビーコンチェックしたり身支度を整える。我々以外に4、5パーティいたが、我々と同じ阿弥陀北稜にアタックした人達はいなかった。

8:40
阿弥陀岳の登山道方面に歩き出す。
赤岳方面への分岐と、水場の分岐を通り過ぎて、中岳沢を目指す。
顕著な沢型に出たら、左岸の樹林帯に入る。ここが北稜の枝尾根で、尾根伝いにひたすら急登だ。
この辺りはトレースはバッチリで全く迷わなかった。樹林がまばらになってくると、第1岩稜がよく見える。

9:40
ジャンクションピークで小休止。
先行の1組が付けてくれたトレースを辿っていたが、彼らがこのあたりで撤退したため、ちょっとしたラッセルになった。
傾斜はますます急になるが、第1岩稜がよく見えるので迷わなかった

10:10
第1岩稜取付き

一段登った辺りにビレイポイントが見えたので、左に少し回り込んだ所の凹角から登ることにした。
ここはロープを出さずフリーで登ったので緊張…思い返すとロープを出してもよかったかもしれない。
ビレイポイントで一息ついて、そこからは右側の簡単な斜面をフリーで登る。
あっという間に第2岩稜だ。

10:40
第2岩稜取付き

ビレイポイントがあったのでロープを出した。
右側のピナクルを目指して一段上がり、そのあと左側に移り登っていく…
幸い暖かかったので、薄手の手袋になって雪からガバホールドを掘り出しながら登った。
私にとってはじめての雪山での登攀。簡単なのだが、自分のアイゼンと手の感覚に自信が持てず緊張した。
残置の中間支点はとくになかったので、ピナクルや灌木にスリングをかけて利用した。
短い岩稜を乗り越して、ナイフリッジを少し歩くと灌木帯で30mロープがいっぱいになった。ここでピッチを切り、こばさんを上げる。

11:15
2ピッチ目

こばさんには申し訳ないのだが、2ピッチ目は5mほど終わってしまった。
50mロープならば繋げていけただろう。
細い灌木がある平らな雪面で、腰がらみで上げてもらい、ロープを閉まって雪稜を詰めた。
太ももくらいのラッセルで、なかなか疲れる。先頭交代しながら登った。

11:50
阿弥陀岳山頂に登頂
360度完璧な展望に、100点満点の快晴!
八ヶ岳は日本山岳の中心じゃないかと思ってしまうくらい、北・中央・南アルプスも、上越の山々も東北の山まで見渡せた。
風もさほど強くなく、気持ちよかった。

12:15
下山開始
いったん北稜側を戻ってから、中岳のコルを目指して稜線を下る。
この日は北西稜方面には踏み跡があるが、中岳方面にはトレースがなかった
西側は中岳沢、東側はきれ落ちてる細尾根の急な下りだ。雪を崩さないように慎重に下る。
夏道の鎖とハシゴを降りたあたりでようやくトレースが出てくるが、どうやら赤岳方面から来て引き返したもののようだった。
下から見るとかなりの絶壁感がある。ある意味北稜よりも緊張した。

13:00
中岳のコル
当初は登り返して文三郎ルートで下る予定だったが、中岳沢を降ることにした。
まだ雪が腐ってないとはいえ、気温は上昇中なので、雪崩に注意を払いつつ素早く降りた。

13:30〜14:00
行者小屋
南沢ルートの雪はかなり溶けている。木の上からも雪がさらさら降ってきて綺麗だ。
後半は泥混じりになったので、アイゼンを脱ぎスパイクに履き替えてサクサク降った。

15:30
駐車場に到着。
快晴・無風でとても良い条件だったので楽しい登攀ができた。
これが寒かったり、ガスって視界がなかったりすると全く難易度は変わるのだろうと思う。
こばリーダー、ありがとうございました!

日光 社山~黒檜岳(残雪期)

■日  付:2019年4月6日(土)~4月7日(日)1泊2日
■天  候:各日快晴(1日目は強風)
■メンバー:こば(L)、うえ、ササジ(記)
■主 装 備:テント、軽アイゼン、スコップ
■行  程:
・4月6日(土)
5:15東京出発→7:30立木第二駐車場到着→7:45立木第二駐車場出発→9:00社山登山口→10:50社山山頂→14:30黒檜岳手前にて幕営(泊)
・4月7日(日)
5:00起床→6:45出発→7:10黒檜岳手前分岐→7:20黒檜岳→9:30黒檜岳登山口に下山→休憩の後、中禅寺湖湖畔を歩く→11:15竜頭の滝の地獄茶屋に到着→休憩→11:41竜頭の滝バス停(バス乗車)→立木観音入口(バス下車)→12:00立木第二駐車場着

4月6日(土)

7:45天気は快晴であるが風がとにかく強い。気温は10℃ぐらいであったが強風のせいで体感温度はぐっと低く感じる。地上でこの強風なので稜線ではどうなんだろうかと不安だった。雪は路肩に若干残っている程度。立木第二駐車場(公衆トイレ有り)から社山登山口を目指し中禅寺湖の湖畔の道を1時間ちょっと歩く。

立木第二駐車場

社山登山口

社山登山道は日当たりが良く雪はない。しかし少し登山道を登ると日陰の部分に雪が付いている。そして凍っている。注意して登ればアイゼンは不要かもしれないが、阿世潟峠に登り詰めるまで念のため軽アイゼンを装着したほうが良いと感じた。

阿世潟峠

男体山と中禅寺湖

男体山と中禅寺湖を眺めながら稜線を歩く

阿世潟峠~社山山頂にかけては景色が抜群だ。男体山と中禅寺湖が一望でき、右手に男体山と中禅寺湖を見ながら気持ちの良い稜線を歩き社山山頂を目指す。歩くルートには雪は無い。しかし今回のように強風の日には注意して歩きたい。

社山山頂1827m

社山山頂から黒檜岳は若干残雪がる。稜線付近の雪は凍っていないのでアイゼン無しで歩行ができるが、雪が腐っているところもあるので踏み抜きに注意が必要だ。また社山以降は破線ルートであるがリボンが付いているし、見通しが良く進むルートが良く確認出来るので安心して進むことが出来る。そしてちょっとした樹林帯を抜けると広々とした景観が現れ大変気持ちがいい。

進むルートが一望出来る気持ちの良い稜線

残雪状況

広々とした景観1

広々とした景観2

残雪状況

残雪状況とリボン

幕営地は黒檜岳手前の標高1930m付近に平らく開けた場所があるので、予定通りそこに幕営することにした。適度に木々もあり防風にも役に立つ。日当たりも良好なので早めにテントを設営することでテント内がポカポカして快適となる。ちなみに微弱ながらも携帯の電波が入る。

幕営状況

4月7日(日)

快晴、ほぼ無風。5:00に起床し6:45に出発した。出発後すぐに緩やかな登りになり樹林帯にはいる。樹林帯にはリボン、標識があり注意していれば道に迷うことは無いだろう。幕営地から30分程度で黒檜岳と黒檜岳登山口との分岐点に着く。ここには標識もある。また黒檜岳山頂は樹林帯と変わらず景観はまったく無い。

黒檜岳手前樹林帯標識

黒檜岳分岐

黒檜岳から黒檜岳登山口に向けて下山。標高の高いところは雪があるものの、アイゼンは不要で腐った雪に足を取られなければ快適だ。しかし標高を下げるにつれて雪は氷へと変わっていく。一旦雪が無くなり木の根っ子がむき出しになった道を進む。油断しているとそこから下が凍結した道となる。場所によってはトラバース気味なところもあり、また落ち葉で分かりづらいがその下はほぼ凍結しているので注意が必要。軽アイゼン装着は必要。
下山を続けていくと急に春の訪れを体感できるようになる。そこまでくれば中禅寺湖湖畔にある千手堂はすぐそこである。

黒檜岳からの下山

春の訪れ

千手堂付近からの眺め

下山後、千手堂付近の橋の上で休憩を取る。静かな湖畔で気持ちが良く下山したと一旦心がOFFになる…間違いだった。4月中は千手ヶ浜からのバスは無いので、湖畔を1時間以上かけてバスの走っている竜頭の滝もしくは菖蒲ヶ浜まで遊歩道を歩かなくてはならない。湖畔の遊歩道と言ってもそれなりにアップダウンがあり地味に疲れるので、下山後は心を切らさずに最後まで保つこと。

竜頭の滝から立木観音入口までバスに乗る。料金は失念したが、ICカード(SUICA、PASMO)が使える。立木観音入口から立木第二駐車場まで徒歩10分程度。2日間たっぷりと日光の山々と中禅寺湖を満喫した山行であった。

コバさん、うえさん有難う御座いました。いい山行が出来ました。

最後に
・軽アイゼン以上は必携
・強風に注意
・景観がとにかく抜群(秋にも期待!)低山のMy best 1かも
・真夏は厳しそう
・シカが多い
・とにかくシカが多い(どこもかしこもシカの糞で敷き詰められているほど)
・4月の残雪上に熊の足跡があった
・水場は無い
・携帯の電波は割と入る
・湖畔の遊歩道は長い

2019年4月 記録 ササジ

恵那山

【期間】2019年1月26~27日
【メンバー】つかみ(記)わだっち
【行程】
1/26 王子駅前(6:20)・・駐車場(11:08)~広河原登山口(11:40)~恵那山(15:40)~恵那山山頂小屋(15:55)幕営
1/27 恵那山山頂小屋(7:50)~広河原登山口(10:05)~駐車場(10:33)

東京から中央自動車道、飯田山本ICを降り、月川温泉を超え駐車場へと向かう。
駐車場までの林道は先行車が通った形跡があるが、道を外れると谷底に真っ逆さま。集中しながら、ゆっくり慎重に進む。
駐車場には既に2台の車が。ここのスペースには50台程度駐車可能と照会されているが、この時期は雪の都合もあり20台ぐらいが限界。
身支度を整えへ出発。峰越林道を歩く。崩落が激しい場所で、特に雪解け時期にはゴロゴロと石が転がっている。歩くこと40分程度で登山口に到着。

駐車場
駐車場から30分程のトンネル

登山口から河川へと下りる。そして、丸太の橋を渡り対岸へ進み、左手方向の斜面を登って行く。登山道は整備されている。この辺りは雪が10㎝程度だった為、アイゼンや輪かんを装着せず、ツボ足で登って行った。

登山口、左下河川へ
丸太の橋

4合目付近まで傾斜があるが、その後は比較的なだらかだ。時折、隙間から展望が楽しめる。5合目過ぎたころから、雲に覆われ粉雪が舞う。7~8mの風に吹かれ寒さを実感。汗をかいたせいか髪が凍ってバリバリになってる。しばらくするとおさまり、日差しが見えてきた。それにしても地味な登山道だ。しかし、コロコロ変わる天候に、気持が影響され退屈せずに歩くことが出来た。



樹林帯を歩く

恵那山頂上。2191m。展望がなく、テントが張れそうなぐらい広々している。
頂上から15分位少し下ると、恵那山山頂小屋に到着。




恵那山頂上

私達の他、8人のパーティがいて宴会山行とのことだった。心の奥底では、とにかく寒いし面倒だし、避難小屋がいいと思ったが、テントを張ることにした。
せっかく担いで来たし、練習にもなると思いせっせと整地を始める。
この日は上空に強い寒気が留まり、ザックにぶら下げている温度計はマイナ19
度。凍えながらテントを張り一段落。テント内にも内張りを装着したが、寒い夜を過ごした。

恵那山山頂小屋

翌日、避難小屋の裏手の岩場から展望が楽しめるスポットがある。行ってみたが、曇り空で見ることは出来なかった。
寒くて仕方がなかったので、さっさと下山を始める。
途中、吹きっさらしの箇所はトレースが消えており、その上を歩くのは気持ちがよく、最高である。楽しさが上回ると寒さも感じなくなっていた。と、いうより天気がよく、日差しもあり一気に下っていた。
下りも、アイゼンや輪かんを着用することなく終わった。


ふかふかの雪


素晴らしい景色

最後に、核心はなんと言っても相方の誕生日。無事に山頂で迎えることが出来た。
「おめでとう!」心に残る山行となった。